理想郷の皇帝とその仲間たち   作:海豹のごま

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八十七話 スナイパー

 状助は作戦のために猛スピードでバイクを走らせていた。それは時間が指定された作戦で、一刻を争うものだった。だが、そんな時に突如として、子供が目の前に飛び出してきたのである。

 

 

「うおおおおおおおぉぉ――――ッ!!!?」

 

 

 このままではバイクで子供を撥ねてしまう。しかし、避けようとすれば自分がこける。停止すれば時間通りポイントに到達できない。状助はこの避けられぬ現状を、どうするか頭をフルに回転させて考えた。そして、ならばこれしかないと、行動を起こしたのだ。

 

 

「しかし、クレイジー・ダイヤモンド!! ドラララララララララアァッ!!」

 

 

 それは彼の能力の元となった人物、東方仗助が使った手だった。バイクをスタンドで殴り壊し、子供の頭上を飛び去るというものだったのだ。これならば速度を殺すことなく、回避することなく、子供を轢くことなく避けれる。

 

そうやって子供の頭上を飛び越えた後、状助はバイクを修復し、再び加速を始めたのだった。また、分解されたバイクが頭上を飛び越え、その先で修復されて走り去る様を見た子供は、面白いものを見たと思い先ほどの恐怖を忘れ笑っていたのだった。

 

 

 そして状助は時間通り、そのポイントにたどり着いた。その先には状助が狙う獲物がおり、しっかりと目視できる距離となっていた。

 

 

「見えたぜぇ……。”マンハッタン・トランスファー”!」

 

 

 それはまさしくスタンドだった。まるでテンガロハットのような形状で真上から見ると十字の形をしたそれは、紛れも無くスタンドだった。十字型のブーメランのような物体の中心部分は花のように開き、その中央には栗の実を思わせるような円形の物体が内包されていた。さらにその下には鍵のようなものを複数ぶら下げた形状の、握り拳程度の大きさのスタンド。そう、それこそが敵のスナイパーの特典(スタンド)のマンハッタン・トランスファーだ。

 

 このマンハッタン・トランスファーというスタンド。スタンドでありながらスタンドバトルに不向きのどうしようもない能力だ。何せこれといった能力もない、破壊力もない、スピードもない、防御も出来ない何も出来ないスタンドだからだ。出来ることは狙撃衛星として、せいぜい空中をふわりと浮き上がることだけ。それ以外何も出来ない、本当に非力なスタンドなのだ。

 

 だが、ここはジョジョの世界ではなくネギまの世界。スタンド使いと出会い戦うことなどほとんど無いだろう。また、遠距離からの狙撃となれば、話が違ってくる。ジョジョの第六部にて、敵スタンドのホワイトスネイクが見せた夢だったが、このスタンドを用いた超遠距離狙撃を行っていた。外からの狙撃でありながらも、建物内への狙撃を可能としていたのだ。その能力を用いれば、どんな相手だろうと狙撃出来る。スタンド使い同士の接近戦さえしなければ、これほど強力な敵は居ないのである。

 

 さらに言えば、このマンハッタン・トランスファー、転生神の力により魔改造されていた。マンハッタン・トランスファーは単体のスタンドとして描写されていた。つまりマンハッタン・トランスファーは遠隔操作型と呼ばれるスタンドで、遠くへ移動できるがパワーが小さいスタンドだ。また、通常のスタンドどおり、本体一人につき一つのヴィジョンみのスタンドなのだ。しかし、このマンハッタン・トランスファーは違った。なんと”群集型”と呼ばれるスタンドに改造されていたのである。

 

 群集型とは大きな能力を持たない代わりに、本体一人につき複数のヴィジョンを持つことが出来るスタンドだ。つまり、このマンハッタン・トランスファーは複数存在することになる。狙撃衛星としてのスタンドが複数存在することは、弾丸の軌道を自由に変化させることが可能となり、想像以上の脅威となるであろ。

 

 

 空中で弾丸が反射する現象。それはマンハッタン・トランスファーが狙撃衛星として機能するからこそ起こる現象だった。超が未来から得た情報で不可思議な現象として捉えられた、空中での弾丸の軌道変更。これを分析したものこそが、状助とジョゼフだったのだ。そして、そこから得られた情報から、メトゥーナトへと最終的に命中する弾丸の軌道を計算し、その弾丸を反射する狙撃衛星の破壊を状助が行うことになったのだ。

 

 加速するバイクを運転し、狙撃衛星であるマンハッタン・トラスファーへと接近する状助。そこに空中を飛び交う弾丸がひとつ、その狙撃衛星へと接近してきていた。その弾丸こそが、未来でメトゥーナトに命中するはずの弾丸だったのだ。しかし、弾丸よりも風よりも、音よりもすばやい速度で、状助のクレイジー・ダイヤモンドの拳が振り切られたのだ。

 

 

「ドラァッ!!!」

 

 

 そのクレイジー・ダイヤモンドの拳は確実に狙撃衛星を捉え、破壊しようとした。だが、状助はここに来て、ひとつ失念していた。マンハッタン・トランスファーの特性を失念していた。

 

 

「何ィィィィッ!?」

 

 

 それはマンハッタン・トランスファーが空気の流れを感じ取り、回避を行うということだ。マンハッタン・トランスファーは気流を読むことで、どんなものも回避してみせる。それはスプリンクラーの水滴一つ一つを回避するほどの能力だ。また、周囲の空気のゆらめきを感知することで、そこに存在する人物や障害物を感知することが出来る。だからこそ、超遠距離の狙撃でありながらも、確実に相手を見極めて狙い撃つことが出来るのだ。その能力により、状助が放ったクレイジー・ダイヤモンドの拳はマンハッタン・トランスファーに読まれ回避されてしまったのだ!

 

 ここにきて状助は、そのことをようやく思い出したようだった。しかし、すでに遅い。完全に拳をかわされ、猛スピードでバイクとともに突っ切っていくしかなくなってしまった。しかし、それでは作戦は失敗。こちらが大きく不利になってしまうということだ。それだけはなんとしてでも食い止めなければならない。ならばどうすればよいか、状助は焦りながらも考えた。

 

 状助は、バイクを横転させてクレイジー・ダイヤモンドで地面を防御しながら、マンハッタン・トランスファーが浮いている真下の地面を殴って砕いた。さらにその砕いた破片をつかみ、その能力を発現させたのだ。

 

 

「”直す”!」

 

 

 すると状助の体は慣性の法則に従い、バイクとともにまっすぐ地面を滑りながら進んで行くはずだったのが、突然その場で停止した。加えてつかんでいた破片が修復の為に戻ろうとする力を利用し、逆にマンハッタン・トランスファーへと近づくことに成功したのだ。これで再びチャンスが訪れたことになる。状助はその場でクレイジー・ダイヤモンドの足を使い飛び上がり、今度は避れぬほどの猛烈なラッシュを、マンハッタン・トランスファーの真上から繰り出した。

 

 

「うおおお! ドララララララララララララララララアァァァァッ!!!」

 

 

 すさまじい怒涛のラッシュ。マンハッタン・トランスファーを捕らえようと無数の拳が炸裂していた。だが、それでもマンハッタン・トランスファーを捕らえることが出来ない。それでも状助は何度も殴る、殴る、殴る。マンハッタン・トランスファーには命中しないが何度も殴る。そう、幾度と無く殴っていたのはマンハッタン・トランスファーだけではなかった。マンハッタン・トランスファーを殴るついでに、周囲の地面をも破壊していたのだ。

 

 

「もう一度”直す”!」

 

 

 そこで再び状助は能力を発動、空に飛び散った地面の破片を修復したのである。するとその破片がマンハッタン・トランスファーを四方八方から覆いかぶさり、一瞬だが動きを鈍らせることに成功したのだ。確かにマンハッタン・トランスファーはスプリンクラーの水滴すらも回避する能力を持っている。しかし、同時に自らを中心として集まる無数の破片は、マンハッタン・トランスファーといえど回避することが出来なかったのだ。

 

 

「もらったぜ! ドラァァッ!!」

 

 

 破壊された地面の破片が修復され、すさまじい圧力にてマンハッタン・トランスファーを押さえつけている。これならば回避されることなく、マンハッタン・トランスファーを狙えるという状助の作戦だった。そしてようやくクレイジー・ダイヤモンドの拳は、マンハッタン・トランスファーを捕らえ、破壊することに成功したのだ。

 

 それにより狙撃衛星を利用して反射するはずだった弾丸は、そのまま空を舞って建造物に命中し、黒い渦を巻き起こして消えていったのだった。その様子を見た状助は、任務を完遂させれたことに安堵し、額の汗を右腕でぬぐってため息をついていた。

 

 

「すげぇプレッシャーだったぜ……。だが、プレッシャーを跳ね返す男、東状助ってことが証明された訳だな」

 

 

 この作戦にて状助は、ああ見えてもかなりのプレッシャーを受けていた。何せ土壇場の作戦であり、これが失敗すれば自分たちに勝ち目が薄くなるというものだったからだ。それでも作戦をしっかりと完遂した状助は、自信に満ちた表情で地面に転がったバイクを持ち上げ修復していたのだった。

 

 

「後は頼んだぜぇ……。先輩よぉ……!」

 

 

 だが、この作戦はまだ続いていた。状助が狙撃衛星を破壊したのは、次につなぐためのものでしかなかったのだ。そして、次の作戦を行うものに、これにてバトンが渡されたのだった。

 

 

…… …… ……

 

 

 状助が狙撃衛星を破壊した数キロ先にて、スナイパーは驚きの表情をしていた。ライフルを構え、メトゥーナトに向けて弾丸を発射し、今の攻撃で確実に捉えたと思っていたからだ。

 

 

「何……?! 馬鹿な……!? 狙撃衛星をひとつつぶされた……?!」

 

 

 さらに、狙撃衛星であるマンハッタン・トランスファーが破壊されたことも、驚く理由としてあった。まさかゴミやチリのように空中に漂うスタンドを、攻撃してくるとは思っても見なかったのだ。さらにマンハッタン・トランスファーは気流の流れを読み回避する能力がある。それを突破してスタンドを破壊されたことに、スナイパーは大きく驚いたのだ。

 

 

「ふん、敵にスタンド使いが居たというわけか……」

 

 

 そして、敵にスタンド使いが居るということにも、多少の驚きがあった。だが、そんなことなどすべて想定の内であり、敵にスタンド使いが居ようと居まいと、ほとんど関係の無いことだった。何せこちらは遠距離での攻撃。自分に接近するものを感知し、それを狙撃さえすれば無敵だからだ。

 

 また、本来ならばスタンドを破壊されれば、本体もダメージを受けることになる。しかし、群集型として魔改造されたマンハッタン・トランスファーの数は約50体。一つのスタンドが破壊されただけでは、本体へのダメージとならないのである。

 

 

「だが、その程度など修正がきく。問題などどこにもない」

 

 

 さらに、たった一つの狙撃衛星が落とされたところで、問題などあるはずがない。別に破壊された狙撃衛星を使わずとも、別の狙撃衛星を使えば問題が解消されるからだ。だからこそ、スナイパーは驚きの表情からすぐさま冷静な表情に戻し、目標として定めたメトゥーナトへと新たな弾丸を発射するのだ。

 

 

「これで俺の勝ちだ! マンハッタン・トランスファーをひとつ潰しただけでどうなると思ったのが運のつきだったな!」

 

 

 ひとつの狙撃衛星を倒しただけで終わりだと思った敵こそ、最大のマヌケだ。スナイパーはそう考えながら、自分の勝ちを信じていた。数キロ離れた自分の場所を突き止め、接近してくることなどまずありえないと思ったからだ。また、自分の位置を特定出来たとしても、ここまで接近させない自信があった。

 

 だからこそ、自らの勝利を確信出来るのだ。しかし、ああしかし。その勝利という言葉は、ジョジョにとって大きな意味を持っていた。このスナイパー、ジョジョの特典(スタンド)を貰いながらも、そのことを失念していたのだった。

 

 

…… …… ……

 

 

 麻帆良と外界をつなぐ巨大な吊橋の柱の上。そこに一人の男性が立ちながら、手を天に掲げ、人差し指を立てていた。

 

 

「風力、湿度、温度、いっきに確認……」

 

 

 その男性こそ、あの猫山直一だった。この直一こそ、状助の次に作戦を決行する人物だったのだ。また、直一はその言葉通り、風力湿度温度を、すべて確認して見せていた。

 

 

「まぁ、やってやりますか……!」

 

 

 すると直一は麻帆良側を背に、柱から落ちるギリギリのラインへと位置を変えた。そして、額の中央から飛び出した前髪にかかったサングラス。指でその前髪を跳ね上げると、サングラスが自然の摂理どおり、鼻の部分へと落下していった。直一の表情は、自信にあふれたすがすがしいもので、特に何も心配した様子を見せず、むしろ笑みをこぼしていた。

 

 

「フッ!」

 

 

 直一はキザな感じで微笑むと、そのまま後ろへと体重をかけ、その柱から落下したのである。重力に逆らわず、地球の引力に身を任せながら、自由落下する直一。だが、その途中、突如落下する方向へと向きを変え、加速をかけたのだ。なんとその加速のまま水面に衝突すると、虹色の粒子が周囲を舞った。加えてひとつの人影が、上空へと超高速で飛び上がったのだ。また、そのすさまじい衝撃にて、水面から水しぶきが上空へと舞い上がり、虹色の粒子とともに虹の橋を生み出していたのだった。

 

 直一はジェット機など目ではない速度で上空を飛び、その目標を定めていた。その速度により、上空を飛んでいるのにもかかわらず、地表にも衝撃の波が押し寄せて突風を生み出していたのだった。音を置き去りにし、その衝撃波とともに直一は、その獲物へと突貫していったのだ。

 

 

「何!? グオアァァッ!?」

 

 

 その獲物は敵のスナイパーだった。もはやスナイパーが感知出来ぬほどの速度であり、近づかれた時にはすでにスナイパーは吹き飛ばされ、上に乗っていた屋根の下に落下していたのだった。

 

 そう、これこそがスナイパーを確実に倒すための作戦。スナイパーが自分のスタンドを倒されたことに、気を取られた一瞬を利用したものだった。さらにスナイパーの射程距離外からの、超直線攻撃によりスナイパーを一撃で倒すというものだったのだ。まさに直一自身が弾丸となり、スナイパーをスナイプするのがこの作戦の最大の狙いだったのである。

 

 しかし、なぜ直一がスナイパーの位置を知り、確実に狙うことが出来たのだろうか。それはやはりジョゼフの能力が関係していた。ジョゼフ・ジョーテスと言う転生者の能力はハーミットパープルというスタンドだ。ハーミットパープルは念写を得意とするスタンドであり、スナイパーの位置を特定することが出来たのだ。さらに超がスーパーコンピューターを使いシミュレーションを行うことで、スナイパーの位置をより確かなものにしたのである。

 

 

「いかんいかん……。世界を縮めすぎてしまったぁ~……」

 

 

 建物の屋根は完全に崩壊し、その下にスナイパーは落ちて倒れ伏せていた。一体何が起こったのか、どうして感知できなかったのか、スナイパーにはまったくわからなかった。理解できぬこの現状を、ただただ全身の痛みとともに受け止めるしかなかったのだ。そのすぐ近くでしゃがみこみ、こめかみに指を当てて、エクスタシーを感じているかのような声を、直一があげていた。

 

 

「こんにちわ、スナイパーさん……?」

 

「コイツ……!? どこから……クッ!!」

 

 

 そして直一は、スナイパーへと顔を向け、余裕があるかのように挨拶の言葉を発していた。スナイパーは一体何が起こったのかわからなかったが、この目の前の直一が何かしたということはわかったようだった。ならばこの目の前の直一を倒すべく、両腕の袖から拳銃を取り出し直一へと狙いを定めた。

 

 

「誰も俺の速さを感知など出来ない……!」

 

「グッ……!!」

 

 

 しかし、その拳銃から弾丸が発射された時には、すでに直一は姿を消していた。さらに、すでにスナイパーの目の前へとやってきて、そのアルターを装着した足でスナイパーの両腕を蹴り上げたのだ。するとスナイパーはその攻撃により拳銃を叩き落されてしまったのだ。直一はスナイパーを逃がさないよう、追撃を繰り出すべく、体を回転させて再びけりを放った。その蹴りはスナイパーの腹部へと突き刺さり、そのまま足とともにスナイパーの体を持ち上げたのだ。

 

 もはや完全敗北。スナイパーは状助と直一の作戦により、倒されたのだ。ジョジョにおいて、”勝利”の言葉を使うことは、すなわち敗北を意味していた。メタなことになるが、スナイパーが勝利を語ったことで、敗北が決定したといっても過言ではなかったのである。

 

 

「さて、いろいろとテメェには聞きたいことが山ほどある。吐いてもらうぞ?」

 

「……フッ……」

 

 

 そこで直一はスナイパーに尋問すべく、言葉を投げかけた。だが、スナイパーは余裕があるかの表情で笑ったのだ。そのスナイパーの不審な表情にハッとした直一は、後ろで反射する弾丸を目にしたのだった。

 

 

「何!? トアァッ!!」

 

 

 そしてそのまま直一の背中を狙い、弾丸が反射してきたのだ。しかし、直一は高く飛び上がり、その弾丸を回避した。だが、その弾丸はどこへ行ったのだろうか。それに直一が気づいた時、してやられたという表情をするしかなかった。

 

 

「て、テメェ……! わざと自分にその弾を……!」

 

「お前も一緒に連れて行く算段だったが……。まあいい……」

 

 

 その弾丸はなんとスナイパー自らが受けていた。弾丸が命中したことにより、スナイパーの周りに黒い渦が発生し、今にも飲み込まれて消えかけていたのだ。スナイパーは直一とともに、3時間後へと飛び去る気だったのである。

 

 

「俺はプロだ。敗北は受け止めよう。だがお前たちにつかまる訳にもいかんのでな……!」

 

「チィ……!」

 

 

 直一は弾丸を回避した。だが、スナイパーはそれも計算の内だったのだ。このままつかまってしまえば、スナイパーのこけんにかかわる。ならばせめて、自らの弾丸で消え去り、つかまらないことを優先したのだ。

 

 ただ、スナイパーがここで時間転移ではなく、座標転移で逃げることも出来たはずだ。それをなぜしなかったというと、スナイパー自身が敗北を認めたからである。負けたからには退場するのが道理。負け逃げなどプライドが許さないのだ。

 

 さらに言えば自分の位置を特定出来たからこそ、このような攻撃が可能だったとスナイパーは気づいていた。つまり自分の位置がわかる方法が直一たちにはあるということを、スナイパーは察したのだ。ならばいくら別の場所へ転移しても、位置がばれるならば同じ手で負けることになる。なぜなら直一がスナイパーが感知できぬ速度で、射程距離の外から攻撃できるからだ。それでは何度やってもいたちごっこになるだけだ。

 

 そんな惨めにあがくぐらいなら、素直に負けを認め、退場してしまおうとスナイパーは考えたのだ。しかし、実はスナイパー自身も、ビフォアからは依頼程度しか伝えられておらず、直一たちが知りたい情報など持っていない。それでも小さな情報すらも渡したくなかったスナイパーは、こうして直一の目の前からいやみったらしい笑みと共に、消え去ったのだった。

 

 そしてそのまま渦に飲み込まれ、消え去っていくスナイパーを、直一はただ悔しそうに見ていることしか出来なかったのである。

 

 

「……参ったなぁ、アイツを捕まえていろいろ吐かせる計画だったんだが……、まあしょうがねぇか……」

 

 

 本来ならば、今のスナイパーを捕らえて情報を吐いてもらう予定だった。しかし、スナイパーは自らの弾丸で3時間後へ飛んでいってしまったのだ。まあ、そうなってしまったものは仕方がない。直一は気分を即座に切り替え、次に何をすべきかを考え始めていたのだった。

 

 

「……!? あっちの方が騒がしいぞ……!」

 

 

 だが、その直後すさまじい破壊音が、遠くから聞こえてきたのだ。それは大会で世界樹を防衛しているあたりから発せられた音だった。直一は何かが起こったと考え、そこへ超速度で移動して行ったのである。

 

 

…… …… ……

 

 

転生者名:ジョン・G

種族:人間

性別:男

原作知識:なし

前世:カメラマン

能力:スタンド、マンハッタン・トランスファーを利用した狙撃

特典:ジョジョの奇妙な冒険第六部のジョンガリ・Aの能力(ホワイトスネイクの夢を含む)

   マンハッタン・トランスファーを群集型スタンドに魔改造(約50体ほど)

 

 


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