理想郷の皇帝とその仲間たち   作:海豹のごま

3 / 179
テンプレ12:オリ主修行回

テンプレ13:スタンド使い

テンプレ14:転生者、アスナと同じクラス

テンプレ15:オリアーティファクト

テンプレ16:原作キャラとオリ主の仮契約、そしてオリアーティファクト

テンプレ17:世紀末な雑魚キャラ

主要キャラの説明のために、現在は基本的にこの話まで一人称を使っています


三話 熱血親子 スタンド使いの転生者と少女 大地の戦士

 *熱血親子*

 

 

 よぅ、俺の名は”熱海龍一郎(あたみ りゅういちろう)”ってやつさ。

 

 ま、覚えてくれようが、覚えてくれまいが、どちらでもいいんだがね。アルカディア帝国、皇帝陛下直属の部隊の一人だけどよ、俺は特に皇帝から指示を受けてねぇんでな、適当にやってるのさ。

 

 そんでもって俺は今、実の息子の修行をつけてやってる。名は”熱海数多(あたみ あまた)”っていうんだがな。こいつの名前は覚えなくていいぜ。

 

 黒い髪に赤い鉢巻を頭に巻いて、つりあがった眉毛に微妙に目つきが悪りぃ表情。俺をかなーり若くしたような顔してやがる、昔の俺はもっとイケメンだったがな。

 

 鉢巻の中央にはAの文字が刻んである。俺のはRの文字だがな、名前の頭文字ってやつだ。熱血っつったらこの赤い鉢巻だろうがよ。鉄板ってやつだ。

 

 俺はあいつ(メトゥーナト)らと違ってただの人間だし、あいつらより先に死んじまう。周りは俺のこと、まったく人間だと思ってくれねぇけどな。

 

 だから、この馬鹿息子を鍛えて、自分の後釜にしねぇといけねぇ。わがままかい?わがままだな。だが、馬鹿息子もまんざらではなさそうだしな。

 

 この修行場所は、アルカディア帝国の中心にあるアルカディア中央浮遊大陸から、北の場所にある北方浮遊大陸の中央、美しい自然が丸まる残った山岳地帯の山深くだぜ。

 

 こんなでけー島か大陸かが浮いてるってのも、魔力によるもんらしいが、俺にはよーわからん。一応修行場所の近くには、コテージがあり、そこに寝泊りもできる。

 

 その上、城に移転するための魔方陣も用意してあって、行き帰りはそこまで苦労しないのさ。修行といやー大自然の中で、サバイバルしながらやるもんだろう?

 

 そう考えていると、滝の目の前でピョンピョン飛び跳ね何がしたいのかまったくわからない馬鹿息子が居た。

 

 

「おい、その程度か? 蚊が飛んでるとしか思えねぇんだがどうしたよ?」

 

「ま、待てよ親父……。こりゃ無茶だぜ、根性論ってやつかよ!?」

 

 

 あったりめぇよ!俺らは熱血の力を使うんだぜ?根性論なくして熱血あらずだろうが。何をいまさらって感じだぜ。

 

 今、息子に何をさせているかっつーとな、簡単なことさ、滝のぼりだ。ただし、道具なしで紐なしって所を除けばな~。滝の高さはざっと20メートルあるか無いかってところだな。できるわけない? できるだろ、できるやつだっているしな。俺みたいにね。

 

 と、突然馬鹿息子がアホみたいな顔で叫びだした、うるせぇ。

 

 

「死ぬ、死ぬ!」

 

「なら、九割死ね」

 

「死なせる気がねぇや!」

 

 

 死んだら跡継げねぇだろ、何言ってんだこいつ。まったく、チンタラやってんなよ、しょうがねぇな、見本みせてやるか。

 

 

「いつまでやってんだよ、見本見せてやっから真似してみろ」

 

「は? 何!?」

 

 

 俺はそう言うと、しゃがみこんだ瞬間に足の膂力のみで高く飛翔し、滝からはみ出ている岩を利用しながら、岩の間を瞬間的に移動しつつ徐々に登っていく。

 

 滝の一番高い部分にある岩に足を乗せた瞬間、最後に力強く蹴って大上昇する。そして、ものの数秒で滝の頂上の岩場へと到達する。ほらみろ、簡単じゃねぇか。

 

 下を眺めてみると、小さく見える馬鹿息子が、眼を見開いて驚いてやがって、なにやら叫んでいるようで口を金魚みてぇにパクパクさせていた、だらしねぇ。

 

 見本も見せたし、俺はその場からジャンプし、滝の下へと落下、そのまま馬鹿息子の目の前に着地した。すると、何が気にくわねーのか、馬鹿息子がわめきだした、うるせぇ。

 

 

「早すぎて見えねぇよ!」

 

「あぁ? ずいぶんスローにやったつもりだが?」

 

「なん……だと……」

 

 

 見本なのに見えねぇ速度でやってどうすんだよ。これでも見えねぇとか、鍛錬が足りてねぇ証拠だな。つーか、”気”とか使ってねぇ時点で察しろや。

 

 俺はそんなことを言う馬鹿息子にあきれ半分の眼差しを送り、別の修行にするしかないなら、何がいいかと考える。

 

 

「しょうがねぇなぁ、丸太避けに変更するか」

 

「つーか明日学校だろうが! これ以上どうするってんだよ!」

 

 

 あー?そんなのもあったね。確か小学3年だったっけ、俺が修行馬鹿すぎて忘れてたわ。何、気にすることは無い、がっこーなんてクソ食らえだぜ。

 

 しっかしま、魔法の世界だっつーのに、日本っぽい学校があるってのもなぁ。外国の日本人学校みてぇなもんなんだろうがよ。世知辛い世の中だぜ、ファンタジーさのかけらもねぇや。俺はそんなこと考えつつ、肩をすくめて左右に首を振る。

 

 

「がっこーって何だ? 食えるのか?」

 

「親父が息子にズル休みさせてどうすんだよ!?」

 

 

 知らんね。がっこーとか言うのより、こっちのほうがずっと大事だろう?ああ、この修行の後すぐがっこー行かしゃーいいんだ。簡単じゃねぇか。

 

 ふむ、ならどうしたらやる気が出るか。そうだこの手がいい。俺は口元を吊り上げ、馬鹿息子をにらみつけた。

 

 

「じゃあよ、賭けしようぜ。お前が丸太避けの修行、一発でできたら解散してやらぁ」

 

 その発言と同時に、俺は馬鹿息子に対して指をさす。

 

「何ぃぃ!? できるわけが無い!」

 

 

 馬鹿息子は驚いた表情で、できねぇとかわめきだしやがった、うっせぇ。

 

 

「今、言ったな?できるわけが無いと?」

 

 

 けっ、そんなんだから、だらしねーってんだよ。男なら黙って一発でキメろや。カッコがつかねーだろ。失敗を恐れてどうすんだよ、コンジョーもたりねーんか。ここはちっと挑発して、やる気を出させるしかねぇな。そんで俺は失望の眼差しを送り、やる気の出る呪文を唱えてやる。

 

 

「根性なしめ、それで俺の息子だと? 俺はがっかりしたぜー、そんなんじゃ永遠に俺は超えられねぇ」

 

「くっ……や、やってやらぁ!!」

 

「うんうん、それでいい、その調子だ」

 

 

 息子のやつぁ、俺を超えることが目標みてぇだかんな。親としちゃうれしいが、簡単には越させねぇぜ?俺を超えたきゃ、今の三倍の修行はやってこい。俺は半分馬鹿にした態度で腕を組みながら、さっきとは逆に首を上下に振る。

 

 馬鹿息子も早く終わらせて休みたいみてーだし、さっさと移動するために、川の近くにある林へと、せっせと足を運ぶ。

 

 

「よし、移動するぜ、ついてきな」

 

「一発合格してやらぁ!」

 

「くっくっく、できりゃいいなぁ」

 

 

 滝が流れる川から少し離れた林の中に、ロープに吊るされた丸太が大体20本ほど並ばせてある。こいつが、丸太避けの修行だ、ニンジャみてーでカッケー修行法さ。これを避けきれるようになれば、さらに数を増やす予定だがね。すると馬鹿息子はやる気を引き出すように叫びだした、うるせぇ。

 

 

「うおおおお、やらせていただきます!」

 

「おう、やれや」

 

 

 俺が全部の丸太を瞬間的に蹴り上げ、すごい速度で丸太が揺れる。全部で20本ぐらいあるだろう動く丸太の道の前に、息子が立っているのがわかる。さぁ、避けてみな、テメェの修行の成果ってやつを俺に見せてみろ!そして俺の合図と同時に馬鹿息子が動く丸太の道を突っ切ろうと走り出す。

 

 

「ぐおおっ」

 

 

 馬鹿息子は20本近くある、高速で動く丸太の道をギリギリ、本当にギリギリで回避しつつ進んでいる。ギリギリとは言ったがあれでいい。

 

 ギリギリというか、少ない動きで回避するのが、この修行の重要な部分だ。最小限でありながらすばやく動き、さらに正確な判断力で、確実にゴールに近づいているようだ。

 

 やるねぇ、この修行法は馬鹿息子がクリアできねーで悔しがってたからな。必死こいて練習を重ねたに違いねぇ、でなきゃここまで綺麗に進めねぇぜ。

 

 そう考えていると、息子はあろうことか、マジで一発合格しやがった……。馬鹿息子の近くに寄り、柄にもねぇが俺の中では、惜しみない賞賛を送ってやる。

 

 

「なんだよ、やれるじゃねぇか。おつかれさんよ、けーって休むぞ」

 

 

 でもって、俺は修行の終了を宣言し、帰路に着く準備を始めた。しかし馬鹿息子は、いまだ合格したことに実感が無い様子で自分の両手を見ながら震えているようだ。ドンだけうれしーんだよ。

 

 

「お、おう、俺やれたんだな!?」

 

 

 何言ってんだよ、やれたからここにいるんだろうが。帰りたくねぇのか?だから帰りたくなる呪文を、そこで唱えてやった。

 

 

「できたっつってんだろ?さらに修行増やすぞ?」

 

「ひっ、帰って休むぜ!」

 

 

 けっ、帰るときになると元気になりやがる。まったく、このクソ息子め、滝登りの修行のときより動きがいいぜ。次の修行はさらにハードなやつ決定だなこりゃ。そんな風に考えていると、馬鹿息子が突然震えだした。

 

 

「親父ぃ、すげー薄ら寒いもん感じたぜ……?」

 

「あ?気のせいだろ?」

 

 

 いい勘してんじゃねーか、これだからこいつを鍛えるのはやめれんな。くっくっくっ、早く俺の目の前に上ってこいや。楽しみにしてんだからよ。と、すでに夕焼けが落ち始めて、あたりは暗くなって来たな。さっさと帰って飯食って寝るか。

 

 

――― ――― ――― ――― ―――

 

 

 *スタンド使いの転生者と少女*

 

 

 俺の名前は東状助(あずま じょうすけ)、転生者ってやつだ。

 

 死因はまったく覚えてねぇ、なんたって突然死んだらしいからな。それが神のミスみてーでよぉ~、お詫びとして特典二つもらって転生させられたぜ。お詫びならよぉ~、自分の世界で生き返してくれってんだよなぁ~!

 

 

 もらった特典はジョジョの奇妙な冒険Part4の主人公「東方仗助」のスタンド”クレイジー・ダイヤモンド”と、同じ作品の出典で「トニオ・トラサルディー」のスタンド”パール・ジャム”だぜ! どちらも回復特化で便利っちゃー便利だかんなぁ~。

 

 ただ、パール・ジャムのほうは料理がうまくねぇと効果が発揮しづれぇのが難点だな。まぁ、そこは俺の料理の腕しだいってわけだから、頑張ればなんとかなるさ。

 

 

 それよりよぉ、最近の悩みは特典が動かせるようになったのはいいんだがよぉ~髪型がどんどんリーゼント(サザエさん)みてぇになっていくってことだぜ~ッ!

 

 まあ、俺は仗助みてぇに、髪型の話題だけでキレねぇから問題ねぇけどよぉ。ずっとリーゼント(アトム)ってのは、ちと問題じゃねーかぁ?ま、でかくなったらまた考えりゃいいか、今は放置すっかね。

 

 

 しかし、この世界がまさか”ネギま”だったなんてよぉ~! スタンドも月までブッ飛ぶこの衝撃ッ! たまげたなぁ~!

 

 ネギまの世界とか、ミスったら火星と地球が大戦争するやべぇ世界じゃあねぇかよ! なんで、こんな未来に希望が持ちにくい世界に転生させやがったんだッ!

 

 正直この能力で生きていけるか、すでにすげぇ不安だぜ……ぜってぇやべぇ! 神の話じゃ転生者もいっぱいいるらしいし、マジでグレートな状況だぜ……。

 

 

 ふぅ~、やれやれ……。考えたってしかたねぇか。なるようになるしかないぜ。と、思ってたんだがよぉ……。神ってやつぁ俺のことが嫌いみて~だなぁ~!!

 

 

 まさかとは思ったが、このクラスに主要人物(アスナ)が入って来るなんてよぉッ!

 つまり原作通りなら”雪広あやか(ブルジョア)”もこのクラスってことじゃあねーかーッ!

 

 つーか普通にいるしよぉ~! 現実逃避してて目を逸らしてただけだがよぉ~~!! うおおおぉぉぉ! 無敵のスタープラチナで何とかしてくださいよぉ~~~ッ!? くそー……、マジかよグレート……。先行き不安になってきたぜェ~~!

 

 だがよぉ~、アスナの姓がちげぇみてーだな。原作だと”神楽坂(かぐらざか)”だったはずだろう?

 

 ここだと”銀河(ぎんが)”になってやがる、転生者が他にいるってことは、その”()()()”かぁ~?!

 

 まぁ、あんま差がね~みてぇだし、今んとこ大きな違いはねぇな。まてよ、確かこの場面って原作でも多少重要なイベントがあった気がするが、どうだったかなぁ~? 思い出せないってこたぁ、そこまで重要でもなかったのかもしれねぇぜ。

 

 ん? なんか、あやかのヤツがアスナにいちゃもんつけ始めたぞ!? おいおいおいおいおい、こりゃアレか? ”()()”かぁ~!?

 

 

 グレートな状況だぜ……、あやかとアスナが喧嘩し始めやがった!! 誰か! 誰か説明してくれよぉ~! たしかに原作でもこんなんだったがよぉ~!

 

 しっかも、段々攻撃のしかたがガチになってきてっぞオイッ!! 誰かとめるやつはいねぇのかよ!

 

 やべぇ、エキサイトしてきやがった! おい誰か! 誰か止めてやれ! 俺はヤだぜ! 関わりたくねぇからな!!

 

 ギニャ! なんだこのクラスは! 止めるどころがノリノリでどっちが勝つかで金まで賭け始めやがった! 頭がいてぇー! この年で賭け事とか、ろくな大人になれねぇぞコラァ!

 

 うおおおおお! どっちもボコボコじゃねーかー!! どうしてこうなったんだ! ちくしょうっ!!

 

 俺のスタンド使えば傷なんて治せっからいいが、いややっぱやめとくぜ、関わりたくねぇし。特殊な能力があるってバレたら、いろいろメンドくせぇしなぁ~……。

 

 しかし、もどかしいぜぇ……、治す能力揃えたってのに、美少女の傷ひとつ治せねぇなんて、マジで情けねぇ~。

 

 まッ、ひどい怪我じゃなさそうだし、喧嘩に痛みがねぇってことはねぇからな。これを期に反省して喧嘩なんてやめりゃいいのさ……。そんなふうに考えていた時期が、俺にもありました。

 

 

 

…… …… ……

 

 

 

 今日もようやく騒がしい学校が終わって、そそくさと帰路へ着く。入学してから何週間かすぎた気がするけど、クラスでの大きな変化はあまり無い。

 

 ……学校で社会勉強をしてこいと言われたけど、毎日喧嘩しかしてない気がしてきた。喧嘩の相手は、雪広あやか(いいんちょ)っていうナマイキなガキ。目つきが気に入らないとか、態度が気に入らないとかで、一々つっかかってくる。

 

 そんなんだから、ガキだって言うと、さらにムキになってつっかかってくる。私もそのガキの挑発に乗って、つい取っ組み合いをしてしまう。

 

 ……最近、それにも慣れてきて、むしろ喧嘩がない時のほうが落ち着かなくなってしまった。でも、そのせいで、毎日傷だらけで、傷が無い日がまったくないんだけども。だけど、メトゥーナトさんが喧嘩してできた怪我は

 

 『喧嘩での怪我を治してしまったら、相手に対してフェアではない。対等な立ち居地でこそ意味があるのだ。その傷は反省とともに、自然に治るまで我慢するんだな』

 

 とかすこしキザなこと言って、絶対に魔法で治療してくれない。

 

 喧嘩には喧嘩の美学があるみたいな感じに言ってるし、初めて喧嘩したときも”喧嘩ばかりするな”って言ってたけど”喧嘩を絶対にしてはならない”とは言われてないし、むしろ喧嘩を推しているの?

 

 ……確かメトゥーナトさんも、メトゥーナトさんが、いつも”馬鹿”って呼んでる”熱海龍一郎さん”と喧嘩ばかりしてたっけ。会うごとに睨みあって、売り言葉に買い言葉で、最終的に訓練場で戦ってた。

 

 ……しかし、あれが俗に言う好敵手(ライバル)っていうやつなのかもしれない。

 

 

 ……ん?するとあのガキは、まさか私のライバル……!?

 

 

 確かに、私が本気を出せば、指先ひとつでダウンだけど、それじゃ大人気ないから同じぐらいの力で対抗したけど、こっちも無傷とは行かないあたりやり手ではあるのかな?

 

 ……そう考えると、ほーんの少しだけ、あのガキに興味が出てきた。

あのガキは何なのか、目つきがどうだ、態度がどうだってつまらない理由で、どうしてそんなに毎日毎日突っかかってくるのか。聞けば教えてくれるだろうか、教えてくれなければ実力行使するだけだけど。明日早速聞いてみよう、教えてくれるかは別として。

 

 っと、いつの間にか家の前についていたみたい。考え事していると時間がたつのが早い。私はこの小さな手でドアノブをひねり、扉を開けて中に入る。

 

 

「……ただいま」

 

 

 大きな声ではないけど、メトゥーナトさんに聞こえるようにただいまの挨拶をする。すると、黒い髪に黒い服のメトゥーナトさんが、玄関へ出迎えに来てくれた。いつもは仮面をつけてるけど、麻帆良(ここ)でははずしているみたいで、40代ぐらいな感じに老けていて、それでも美形と言える顔がこちらを見ている。

 

 

「おかえり、……また喧嘩したのか? ……本当に毎日懲りないものだな……。怪我が治っても、また新しい怪我が増えるだけではないか?」

 

 

 毎日喧嘩しているとは言え、今日も喧嘩したかのような言い方。まあ、毎日喧嘩してるから間違ってないし、今日も喧嘩したし。でも、それはメトゥーナトさんが言ってもあまり説得力がない気がする、絶対言わないけど。そして、私はライバル候補を見つけたことを、無い胸を張って説明する。

 

 

「メトゥーナトさん、いつものガキが私の強敵と書いて友(ライバル)と呼ぶに相応しい相手かもしれない」

 

 

 そう言うとメトゥーナトさんは、いったい何を言っているのかわからないというような表情をしながらも、小さく微笑んでいた。

 

 

「……そうか、それはよかった。しかし前にも言ったが、この場所では家の中とはいえ、一応”銀河来史渡(ぎんが きしと)”と呼んでほしいところだ」

 

 

 そうだったっけ、すっかりわすれてた。次からは気をつけるとしよう。しかし、”よかった”とはいったいどういう意味なのか。ライバルが見つかることが、よいことなのだろうか。

 

 そう考えながら、メトゥーナトさんに見送られつつ自分の部屋へと歩いていった。部屋へ行く途中、よく聞こえなかったけど、メトゥーナトさんが何かつぶやいていた。

 

 

 ”彼女もようやく友人ができたようで、うれしいかぎりだ”

 

 

 明日絶対に、ガキが何なのか問いただしてやろう。

 

 

――― ――― ――― ――― ―――

 

 

 *大地の戦士*

 

 

 ワシの名はギガント・ハードポイズン。アルカディア帝国、皇帝陛下直属の部下だ。

 

 そしてNGO団体”大地の宴”の団長であり、その中核を担う”大地と敬虔”のリーダーも勤めている。

 

 仲間や弟子たちと共に、魔法世界や旧世界の紛争地帯に赴き、幾多の患者を治療してきたよ。また、魔法世界では戦争で住む場所を失ったものたちに、帝国へ来ないかと呼びかけたりもした。

 

 

 ワシの姿は亜人と呼ばれるもので、ゴツい体に紫色の皮膚を持ち、顔は怪獣のような形で、髪の毛は生えてない。その代わりに、頭部に一本の角を生やし、トゲトゲしい巨大な耳が頭の左右に存在している。初めて顔を見せるものには、少しだけ驚かれるのが、気にはせんよ。

 

 この姿では旧世界へ行くときだと目立つので、変身魔法で人に変化するがね。流石にこのままの姿では、驚かれたりしてしまうからね。

 

 

 ……なぜ亜人のワシが旧世界へ赴けるかというとだな。実はワシは生粋の魔法世界の住人ではない。転生者の”特典”として存在したものだ。ワシの前の(トレーナー)はもうこの世にはおらんだろうが、まあその話はどうでもよい。そこらへんは、正直深く考えたくはないのでな。まあ、だからこそ魔法世界に縛られず、旧世界へと赴けるのだが。

 

 

 今、ワシがいるのは魔法世界の紛争地帯近くの医療テント群だ。大戦が終わって十数年経つというのに、いまだ紛争が収まらない地域もある。

 

 皇帝陛下が交渉し、和平を協定させたり、少数民族ならば帝国へ移住させたりと、いろいろ活動をなさっているおかげか、最近はだいぶ落ち着いてきている。だが、それでも紛争はやまぬのだ。それも仕方ないことなのだろうがな。

 

 

 ……しかし、原因は紛争だけではない。転生者が突然暴れたり、転生者同士の衝突で、街が被害に会うこともあるのだ。

 

 転生者は旧世界ではさほど暴れない、なぜなら転生前の故郷だからだ。だが、魔法世界は違う、幻想だと思っている転生者も数多く存在し、魔法世界の住人には、遠慮や配慮などをしないものも多い。

 

 それだけは、断じて許すことはできんが、突発的に行動する転生者の前では悔しいことだが、我々は後手に回るしかないというのが現状だ。だから、ワシはこうして普段は紛争や転生者の暴走によって、怪我をした人々を治療して回っておるのだ。アルカディア帝国のひとつの顔でもあるのだがな。

 

 

 この医療班のテントの村を歩きつつ、周りを見渡す。患者が今日は多いようで、人手は足りているが、みな忙しそうに動いておる。

 

 さて、ならば我が皇帝陛下から賜りしアーティファクトを使うとしよう。ワシは胸元から一枚のカードを出す。仮契約カードというものだ。この仮契約カードは皇帝陛下との契約の証、皇帝陛下からいただいた最大の信頼と恩恵。

 

 

来れ(アデアット)

 

 

 その一言でアーティファクトを呼び出す。するとワシを中心に数十体の白衣を着たものが浮かび上がる。

 

 白衣を着たものはガタイのいい成人男性の姿で、若干無機質な感じで人間味を感じづらい。これがワシのアーティファクト、総勢200体からなる、医者型のオートマトン。世界で行われている最新の医療を常に更新している、いわば最上位の医者の軍団。さらに、医療器具も大量に搭載、いかなる場面でも確実で適切な治療が可能というもの。

 

 ”国境無き医師団”、これこそがワシが皇帝から賜った無類の神器。戦闘はできぬが、ワシの仕事にあった最高のアーティファクトだ。

 

 だが、ワシ自身も別に医者としての仕事ができぬわけではないぞ?あくまで、このアーティファクトはサポートとして使っているだけだ。

 

 また、旧世界にいるときや、部下が多くいる場面では、あまり使うことはない。彼らもまたプロフェッショナルで、使う必要が無いとも言えるがね。

 

 

 そしてワシはオートマトンたちに指示を出す。するとオートマトンたちは了解の声とともに分散して行った。

 

 

「ギガント様」

 

 

 気がつけば隣に少女が立っており、小さな声でワシを呼んだ。頭に特徴的な二つの角、長く伸ばした髪に、いつも目を瞑っており、まだ幼いが美しい顔の少女。その彼女の名は”ブリジット”という。

 

 

 彼女はワシの弟子であり、医療班のマスコットみたいなものだ。

 

 ……彼女との出会いは数年前まで遡る。彼女の集落は深い巨大樹の森の中だ。あの時、そのあたりで、きな臭い情報をつかんでいた。連合の駐留軍が、種族間の対立を煽っているという情報だった。

 

 それが原因であったのか、その集落は何者かに襲撃されていたのだ。一歩遅かった、そうワシは思い生き残りを探しつつ、森を移動した。

 

 すると一人の少女が、震えながら木の根の影に隠れているではないか。彼女の種族の角は、高い効果を発揮する薬の材料で、高く裏取引されているものだ。

 

 襲撃者は角を取りながら、復讐だと言っていたが、そこはどうでもよい。その少女が見つかりそうになっていたので、とっさに体を動かした。彼らを精霊の力でねじ伏せ、さっさと退場してもらったのだ。その時、彼女を引き取り弟子にしたのだ。

 

 

「どうした。何か問題でもあったか?」

 

「いえ、特に問題はありません。アーティファクトの練習の許可をいただきたいと思いまして」

 

「ふむ、そうだな……。許可しよう、さあ弾いておくれ」

 

「ありがとうございます。では……」

 

 

 彼女はそう言うと仮契約カードからアーティファクトを呼び出し、曲を奏でる。ワシが主として仮契約して、彼女が得たアーティファクトが”穏和の竪琴”というものだ。

 

 その効果は、それを使って弾いた音楽を聴いた相手の敵意や苦痛などを発散させ、安らぎを与え、心を穏やかにするというものだ。

 

 まあ、演奏をうまく奏でられないと効果が薄いのだが、彼女は必死に練習しておる。今ではなかなか心地よい音楽を奏でるようになった。彼女の練習で、周りが静かになったようだ、よいことだ。

 

 

「なかなか上達してきたようだな。師として、弟子の成長はうれしいものだ」

 

「いえ、この程度ではまだまだです。もっとうまく弾けるようになって、完全に使いこなして見せます」

 

「謙虚に振舞い、自らを高めることはよいことだが、あまり無理をしてはならないぞ?」

 

 

 無理はよくない、せっかく鍛え上げても体を壊しては意味がないのだ。すると彼女は「はい」と言って、もう一曲弾き始める。

 

 ……最初のころとは大違いだ、よくここまで進歩したものよ。美しい音色を聴きながら、そう考えているとどうやら弾き終わったようだ。

 

 

「見事だ、あまりにも見事だ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

 ワシは彼女の曲を賞賛しつつ拍手すると、彼女は照れくさそうにしつつ、ペコリと頭を下げた。

 

 さて、こうしているだけでは、仕事をオートマトンたちに任せているだけの無職(ニート)のようだな。ゆっくり、見回しながら歩き出すと、彼女もそれに釣られてワシの後を追う。すると、地平線の彼方から地面を滑空するバイクに乗ってやってくる集団があった。

 

 

「ヒャッハーッ! 水だァー! 食料だァー!」

 

「奪え奪えー!」

 

「ヒヒッ! 俺様のかわいい爆弾ちゃんに挨拶しな!」

 

「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のものだァー!」

 

 

 ……最近紛争地帯で火事場泥棒のごとく、荒らしていると噂されている集団。たしか名前が”世紀末特攻野郎”だったか。

 

 数はだいたい5~6人程度のようで、全員赤色のモヒカンという髪型に、柄の悪いサングラス、肩に棘がはえた肩パッドを装備している。しかも、わけがわからんことを叫ぶ、とんでもなく迷惑な連中だ。

 

 やつらはこっちをターゲットにしたのか、近づいてきた。ブリジットはあの集団に恐怖したのか、ワシの背後へ回っていた。

 

 

「ギガント様……」

 

 

 おびえた表情でワシを見上げる彼女の頭にそっとワシのゴツい手を乗せて安心させる。

 

 

「このワシがいるのだぞ?何を心配する必要がある?」

 

 

 そう言うと彼女は納得したらしく少しだけ不安げにしながらも、微笑んだ。

 

 ワシはやつらを退治するため、仮契約カードのオマケ機能である衣装の変更を使い、フルプレートの鎧を着込み、彼女にここで待っているよう伝える。

 

 さて、やつらを退治してくるか。

 

 

「ヒャッハー! おっさんなんて蹴散らすぜー!」

 

「電動ノコが血をすいてぇって言ってるぜぇー!」

 

 

 久々に体を動かすとしよう。ワシの戦闘スタイルは基本的にカウンターだ。あえて、相手の攻撃を受けた後、倍にして返すというものだ。

 

 

「俺様の爆弾ちゃんを食らいな!!」

 

「ヒーハーッ! 汚物は消毒だァーッ!」

 

解体(バラ)してやんよ!?」

 

 

 全ての攻撃がワシに命中する。爆弾の爆発により視界が妨げられたようだが何、気にすることはない。

 

 

「あっけねぇーぜ!」

 

「終わった、何もかも」

 

「やった! 第六話完!!」

 

 

 ……この程度でワシを倒したと思っているらしい。ワシは装着している鎧を発光させて、受けた攻撃のエネルギーを増幅する。

 

 これがワシの力”ギガントアーマー”というものだ。ネーミングが安直だとか、そういう話は聞かぬからな。その受けたエネルギーを、両腕に集中させて大きく腕を広げ、そのままやつらの中心へと瞬動を利用して突進する。

 

 

「”豪腕の鉄槌(アームハンマー)”」

 

「「ドギャスッ!?」」

 

 

 まず二人を両腕で捕らえ、そのまま数回自分の体を中心に回転し、振り回す。そして、その勢いで別々に構えている二人に向かって投げ飛ばしてやる。

 

 

「”投げつける(ジャイアントスイング)”」

 

「「オッパァァァーッ!?」」

 

 

 投げ飛ばした二人は、構えていた二人と衝突し、四人とも地面に転がったようだ。ワシはその回転の勢いを乗せたまま、地面に両拳を突き刺す。

 

 

「”地震(アースクエイク)”」

 

「「ホゲェェェェェッ!?」」

 

 

 地面に尖った隆起ができ、鋭く尖った地面が残りの二人が襲いそれに直撃し、尖った地面の上でぶら下がっておる。さて、トドメの一撃だ。ワシは足に力を入れ、そのまま地面を踏みしめ、大地の精霊を呼び起こす。

 

 

「”大地の力(エレメンタルアース)”」

 

「「「「「「ヤッダアアアバアアァァァァッ!!!?」」」」」」

 

 

 大地の精霊の力により、地面からすさまじい衝撃波が発生し、やつらをまとめて上空に吹き飛ばし、そのまま自由落下した後、地面に叩きつけたのだ。そして、やつらは白目を向いてピクピクと痙攣しており、完全に気を失っているようだ。

 

 

「何、職業柄、殺しは好きではないのでね。しかと法に基づき、裁いてもらうのだな」

 

 

 さて、こいつらをふん縛って、帝国の牢獄にでも放り込んでもらうか。そう考えつつ、部下を呼んでこいつらを預けた。

 

 

…… …… ……

 

 

オリ主名:熱海龍一郎(あたみ りゅういちろう)

種族:人間

性別:男性

技能:我流格闘術

能力:真の熱血(パシャニット・フレイム)

元ネタ:親父系師匠熱血キャラ全般

 

 

オリ主名:熱海数多(あたみ あまた)

種族:人間

性別:男性

技能:我流格闘術

能力:真の熱血(パシャニット・フレイム)

元ネタ:息子系弟子熱血キャラ全般

 

 

転生者名:東状助(あずま じょうすけ)

種族:人間

性別:男性

原作知識:あり

前世:20代前半のフリーター

体質:絶対髪型リーゼント

スタンド名:クレイジー・ダイヤモンド、パール・ジャム

特典:ジョジョの奇妙な冒険Part4のスタンド、クレイジー・ダイヤモンド

   同じ作品内のスタンド、パール・ジャム

 

 

オリ主名:ギガント・ハードポイズン

種族:半不死者

性別:男性

技能:我流戦闘術

能力:精霊からの最大恩恵と無敵装甲ギガントアーマー

アーティファクト:国境無き医師団

元ネタ:ポケットモンスター「ニドキング」




この数多少年は、3-Aメンバーよりも年上です
同世代は転生者だけで十分です

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。