テンプレ49:ナンパ
テンプレ50:銀髪イケメンオッドアイ
さて、ここは麻帆良の繁華街。ここに二人の男女が歩いていた。一人は原作キャラの”大河内アキラ”である。スラっとしながらも、女性としてなかなかよい体つき。黒い長めの髪をポニーテールにしている、あの娘だ。そしてもう一人の男性のほうは、明らかに転生者だった。
彼の名前は”
そんな刃牙だが、今日は久々にアキラに呼ばれ、買い物につき合わされていた。学園の寮に住むようになったアキラは、久々に会う刃牙との買い物を楽しんでいた。逆に刃牙はどうでもよさそうに”水の入った”ペットボトルを片手に、フラフラ歩いていた。刃牙としては、アキラって何だっけ?ああ、あの音石明か、程度の認識でもあった。いやそのりくつはおかしい。
「久々に会ったのはいいがなぁ、ただの荷物持ちじゃあねえんかこれ?」
「ゴメン。だけどとても助かるよ、今日は本当にありがとう」
「はぁ、まあそう言われちまうと、悪い気分じゃねぇーな」
もはや定番、定番の荷物持ち……! パッシーポジションだった。状助もパッシーだったが、彼もパッシーだったようだ。スタンド使いはスタンド使い同士パシリになるルールでもあるのだろうか。
荷物を持たされ、ため息をつきながら、しょぉーがねぇーなぁー、と嘆くパッシー、じゃなかった、刃牙。その横で悠々と歩くアキラの姿があった。デートに見えなくも無いが、刃牙は自分をパッシーとしか思っていないのだ。しかし、荷物を抱えながらも、”水の入った”ペットボトルだけは、手放さない刃牙。それをアキラは不思議に思ったのだ。
「刃牙、何でそのペットボトルを持ったままなんだ?」
「こいつはクセってやつさ。生前の時の習慣がのこっていてね。そう……クセってやつだ」
「意味がわからないよ、まあクセなのはわかった」
「そういうことだから、気にしなくていいんだよ」
刃牙はこれを癖と呼び、アキラは微妙だが納得したようだった。しかし癖というのは半分正解だが、半分は違うのだ。刃牙にとって、水というものは欠かせないからだ。水を飲まないとすぐ干からびるとか、そういう理由ではない。あくまで、個人的に欠かせないだけである。だが、これが最も重要なことなのだ。
(まぁ、これがねぇと”能力”が持ち歩けねえからな……。というか
そう刃牙は考えた。そして
(俺の特典、”スタンドのクラッシュ”は水の中でしか発現できねぇ……。まあ、水さえあれば便利だからいいがな)
刃牙の特典の一つが”クラッシュ”と呼ばれたスタンドだった。ジョジョの奇妙な冒険Part5に登場した、ボスの親衛隊のスタンド使い、スクアーロのスタンドだ。この刃牙も、その影響でスクアーロにそっくりな姿となっていた。それを本人はあまり気にしていないのだが。能力は水がある場所なら、転移するというものだ。さらに鋭い牙で噛み付き、相手を攻撃できる。水の量や広さに応じて、大きさも変わるという特性もある。
そしてネギまの終盤、アキラが得るアーティファクトも、似たような能力なのだ。運命か、転生神の悪戯か。刃牙はそのアキラと巡り合ってしまったようだ。
…… …… ……
買い物も順調に進み、とりあえず屋外の喫茶店で休むことにした二人。しかし休日のためか、人が多くて並んでおり、少しドリンクの購入に時間がかかりそうだった。
「俺がなんか買ってきてやるよ、コーラかなんかでいいか?」
「それでいいよ、任せる」
「おんじゃま、行ってくるかぁー」
そう言うとさっさと店内に入りドリンクを買うために行列に並ぶ刃牙。面倒そうに、やはりペットボトルは欠かさず握り締めながら、その行列の最後尾に立つのであった。アキラも少し時間がかかるだろうと思い、のんびり待つことにした。しかし、そこで来なくてもよい来訪者がやってきた。
「HEY彼女、元気ー? 一人かーい?」
「OREたちと一緒に、どうだーい?」
「KIITOたのしーよー?!」
アホ顔の男立ちが囲んで声をかけてきた。所謂ナンパである。もはや定番、鉄板のネタ。ありきたりであった。しかもこんな掛け声では、ぶっちゃけ誰も来ない。いや、声をかけるなら、せめてそこの木と比べて頭悪そうな女の人に声をかけるべきだ。とモフモフした帽子の男なら言うだろう。そんなアホのような連中に絡まれて、とても機嫌の悪そうな表情で、つっかえすアキラ。
「待っている人がいますから、どうぞお構いなく」
「SOREは本当かい? ウソじゃあないのかい?」
「HIHIHI、俺たちのほうがずっとたのしーよ!」
「SOUだぜ? いろんなことを教えちゃうよ!!」
駄目だこいつら、早く来てくれゴクウ状態である。本当にしつこいやつらだった。しつこいヤツは嫌われえるぜ、と言われても仕方がないくらい粘着体質であった。
「HORAいこうぜ!? な!!?」
「あ、離してください!」
「いーもんもんじゃんじゃん」
「HOOOOORAAAAほらほらー!」
腕をつかまれ、それを必死に解こうとするアキラ。しかしこのナンパ、結構力があるよで、なかなか離してはくれないようだ。流石に少しヤバイと感じ始めたアキラだが、もうすぐ刃牙が帰ってくる頃だろうと考え、ひたすら耐えることにした。しかし、そこで声をかけてきたのは、刃牙とは違う声だった。もう少し若い少年の声だった。
「君たち、そういうのはよくないと思うよ。離してあげなよ」
「OH? テメェがこいつのカレシかなんかってやつ?」
「違うよ、君たちの醜い行動を注意しに来たんだよ」
「FUCK? ヤンのかコラアアア!!」
「あ、危ない!!」
すごい挑発的な態度で離すよう進言するこの少年。見た目はイケメンだ。すごくイケメンだ。銀髪の髪を整えながらも、ある程度長く伸ばしていた。目は両方の色が違い、赤と青で、オッドアイというものだった。
まだ幼いが、とても整った顔立ちのこの少年は、ナンパ連中が攻撃をしてきたのに反応して、臨戦態勢となっていた。アキラはこの少年が、ナンパ連中にリンチされると思い、とっさに声をかけたのだ。
「HEEEY! イッちまいなぁ!!」
「KIIIAAAAYYY!! その命もらったぁ!」
「HOOOO! 食らえや!!」
「その程度の攻撃、あたるわけが無い」
銀髪少年はナンパ連中の攻撃を華麗に避け、逆に全員を殴り飛ばしたのだ。そして吹っ飛ばされていくナンパ連中。それを見て、驚くしかなかったのはアキラだった。
「HI、ひひひひひいいいいいい!?」
「OH、NO! つえぇぇ、にげろおおお!!」
「SHIT! 俺たちの出番はこれだけかよーーー!!」
訳がわからない悲鳴と共に、さっさと退散していくナンパ連中。情けない連中であった。そして、アキラへと心配そうな目で近寄るこの銀髪少年であった。アキラは助けてもらったので、とりあえず礼を言おうと思った。
「ありがとうございます、助かりました」
「いえいえ、あのような輩、困ったものですね」
まったく気にするそぶりも見せず、どうしようもないね、と答える銀髪少年。しかし、そこへ突然刃牙がやってきて、とっさにさえぎる様、少年とアキラの真ん中へと立ったのだ。
「おっと、遅れてすまねぇ、ほれ飲みもん、で、なんかあったのか?」
「あ、ありがとう。そうだ、後ろの人がナンパされてたのを助けてくれたんだ」
「ほう、後ろのやつねぇ」
「どうも、はじめまして」
刃牙はそう聞くと、後ろにいる銀髪少年へと向かいなおした。だが、そこで足を滑らせて、持っていた自分用の飲み物をこぼしてしまったのだ。それが運悪く、銀髪少年にかかってしまい、銀髪少年は冷たそうな表情をしていた。
「何をやってるんだよ! 刃牙!」
「おおう、すまねぇえ!! 悪い!悪い! あー、これやるから、勘弁してくれ!」
「ああ、いいよ、気にしなくて。注意しないと危ないね」
刃牙は慌てて銀髪少年をハンカチで拭いた。そして刃牙は持っていたサンドイッチをあげるからと許しを請った。銀髪少年は別にいらない、気にするなと言って、刃牙がぬれた箇所を吹き終わると、すぐさまその場から立ち去っていった。その行動に、恩人にひどいことをした刃牙へ怒るアキラが居たのだ。
「まったく、注意しないからこうなるんだ! 恩人に向かってあんなコトを……」
「わ、悪い……。俺が不注意だったよ……」
「はあ、でも相手が許してくれたし、私からこれ以上言うことはないかな」
アキラはあちらが許したから、これ以上責める必要は無いと思ったようだ。しかし、この一連の動作、実は全てわざとであった。刃牙は、わざとアキラと銀髪少年の間に立ち、わざと銀髪少年に飲み物をかけるようこけた振りをしたのだ。それには大きな理由があった。
(銀髪オッドアイイケメンとか、やべぇだろ……。二次創作でアレがもつ特典は、基本的に”ニコぽ”か”ナデぽ”だ。あのままほっといたら、アキラが呪いのような力で、あれに惚れちまっていたかもしれねぇ)
刃牙はそう考えていた。二次創作において、鉄板と呼べる踏み台の姿。銀髪イケメンオッドアイの少年。まれにその中でも、常識的な中身までイケメンがいるのだが、基本的にはゲスな中身なのだ。そしてその特典は、基本的に”ナデぽ”か”ニコぽ”と相場が決まっている。
ナデぽとは、頭をなでるだけで相手を惚れさせる呪いである。ニコぽとは、笑顔を振りまくだけで、惚れさせる呪いである。面倒なら愛の黒子でも貰っておけばいいのに、何故かそういう手段を選ぶのだ。そして、ソレにかかれば、たちまち狂った信者のように惚れ、永遠に愛の奴隷と化してしまうのだ。しかも、それを受けた本人の意思に関係なくなのである。
(アキラのやつが惚れた相手っつーんなら、祝福してやる。だが、呪いで惚れさせるなら、ぜってぇ許さねぇ!)
刃牙は、惚れた相手ならいい、だが、呪いで惚れさせるのは卑怯であり、人を人とも思わない行為だと思っている。人として最低の行動で、人としてやってはならないことだと思っているのだ。だから、汚れ仕事になろうとも、わざと銀髪少年を追い払ったのだ。アキラにこれで恨まれても、気にすることなど無いと思っているほどだ。
「しかし、ナンパってのが今でもいるとはね、過去の遺産かと思ってたぜ」
「私とそんなに年の差がないのに、年寄りのようなコトを言うんだね」
「精神年齢50歳ですから」
「ウソばかりついていると、狼少年になるよ?」
「男はみんな、狼さ……
最後の一言は、アキラには聞こえないように答えた。アレは狼だ、危険人物だと確信したからだ。刃牙は、もう少し出遅れていたら、アキラが魔の手に奪われていたと思った。そう考えるとうすら恐ろしいと感じていた。刃牙はアキラのことを別に恋愛対象として見てはいない。だだ、呪いのように惚れるという現象に、吐き気を催すだけなのだ。吐き気を催す邪悪だと思っているのだ!
アレが居るとなると、原作キャラの何名かは、アレの毒牙にかかってしまったかもしれないと考える刃牙。しかし、それを助ける手もないし、どうしようもないと思った。だから、とりあえずアキラだけでも、助けようと誓ったのだ。
「アキラ、なんかあったら俺にいいな。力になるぜ」
「何を急に? まあ、そういうなら頼りにするよ」
「ああ、とことん頼ってくれや」
銀髪イケメンオッドアイ。彼の特典を刃牙はわからないが、多分ナデぽニコぽと予想した。これが覇王なら、一発で特典がわかっただろう。刃牙は、こういう転生者を何とかしている人がいるかもしれないと考えた。だから、とりあえずそういう人物にあってみたいと思ったのだ。しかし、実はその隣で、目を光らせている人物が居た。それが覇王だったのだ。覇王は隣のテーブルに座り、適当にくつろいでいたのだった。
(ふうん、銀髪オッドアイに、そうか、彼もか……。でも彼はなかなか肝が据わっているじゃないか。後で声をかけてやろう)
覇王は今ではなく、あえて後で声をかけることにした。今は、彼と彼女のデートを邪魔したくは無かったからだ。そして、刃牙とアキラが別れた後に、すっと現れ、自分の知識の全てを、刃牙へ教える覇王がいたのだった。
…… …… ……
転生者名:
種族:人間
性別:男性
原作知識:あり
前世:40代給水装置工事技術者
能力:スタンドのクラッシュ
特典:ジョジョの奇妙な冒険Part5のスクアーロの能力
オマケでスタンドのクラッシュ
前世と同じぐらいの裕福な暮らし
転生者名:銀髪イケメンオッドアイ少年
種族:人間
性別:男性
原作知識:あり
前世:30代会社員
能力:推定ニコぽかナデぽ
特典:推定ニコぽかナデぽ
推定銀髪イケメンオッドアイという見た目
満を持して投入された銀髪イケメンオッドアイ君
テンプレ50記念にされてしまった