理想郷の皇帝とその仲間たち   作:海豹のごま

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百三十五話 顔のない王

 会談も終わり覇王と状助は闘技場へと戻ることにした。するとその二人の後ろから木乃香の声が聞こえた。

 

 

「はおー!」

 

「木乃香?」

 

 

 木乃香は前を歩く二人を止めようと、覇王の名を叫んだ。

覇王は木乃香の声に気がつき、そこで足を止め振り向き木乃香を見た。

 

 

「俺、先行ってるぜ。じゃーな!」

 

「状助! ……ふう、まったく気にしすぎだと言うのに」

 

 

 状助は一人先に戻ると言い、少し焦った様子で覇王を残して走り去った。

走り去る友人を覇王は眺めながら、気にしなくてよいと言うのに、と思いながら苦笑していた。

 

 

「ところで、どうしたんだい?」

 

「はおに聞きたいことがあってなー」

 

「何かな?」

 

 

 覇王は改めて木乃香へと対面し、一体どうしたのだろうかと尋ねた。

木乃香はそこで覇王に聞きたいことがあって、追って来たと言葉にした。

それを聞いた覇王は、その聞きたいこととはなんだろうかと再び尋ねた。

 

 

「はおはどないしてここにおるんやろかって」

 

「ふふ、どうしてかな?」

 

 

 木乃香が聞きたかったこと、それは覇王が何故この魔法世界にいるのかということだった。と言うのも、覇王が魔法世界に一人で来ていることなど、木乃香は知らなかった。なので、それが気になるというのは当然のことだったのだ。

 

 しかし、覇王はその問いをはぐらかすように、小さく笑っていた。

自分が”転生者”であることは木乃香に教えた覇王であったが、ここにいる目的を話してよいのやら、と考えたからだ。

 

 ……覇王が魔法世界にいる目的、それは危険な転生者を狩ることだ。この世界の”転生神”とやらにその使命を与えられた覇王は、律儀にそれをこなしていた。

 

 が、たとえそうだとしても、たとえ倒した転生者が悪であろうとも、他者を傷つけることに間違いはない。そんなことを目の前の優しい少女に話すのは、覇王としてもしたくないことだった。

 

 

「むむー、教えてくれてもええやろー?」

 

「……まあ、君たちとはちょっと違う事情でここに来てるってことかな」

 

 

 そんな覇王の心情を知らず、木乃香はなおも教えてほしいと頼んだ。

上目づかいで教えてほしいとせがむ木乃香に、覇王は苦笑しながら事情があったとだけ言葉にした。

 

 

「……ウチにも内緒なん?」

 

「そうだね。今はまだ言えないかな……」

 

「そっかー……」

 

 

 木乃香は覇王がちゃんと説明しないことに、教えてくれないのかと少し残念そうな顔で再び尋ねた。

覇王はそう言う木乃香へと、申し訳なさそうに断りの言葉を述べた。

 

 その覇王の言葉に、木乃香もうつむいてしょんぼりした様子を見せた。

いや、多分教えてくれないだろうとは、木乃香も予想していたことだ。それでもやはり、それを直接言われるとショックなのである。

 

 

「そんなら、はおが話したくなったらでええわ」

 

「……ありがとう、木乃香」

 

「せやけど、絶対教えとくれよー?」

 

「わかってるさ。約束する」

 

 

 しかし、木乃香は顔を上げ、再び覇王の顔を見た。

そして、笑いかけながら、教えてくれたくなったら話せばよいと言ったのだ。

 

 覇王はその木乃香の優しさに、一瞬言葉を失った。

また、覇王は数秒黙った後、自然とお礼を口から出していた。黙っていることを許してくれた礼だ。

 

 木乃香もそれを許したが、時が来たら教えてほしいと笑いながら言葉にした。

覇王もそれに笑みを見せながら約束し、必ず話すことを誓った。

 

 

「じゃ、また明日」

 

「おやすみなー」

 

 

 その後覇王は闘技場へ戻るために再び歩き出し、木乃香も別れの言葉を述べてアスナたちの下へと戻って言ったのだった。

 

 

…… …… ……

 

 

 ネギたちが新オスティアへやってきた次の日の朝。ネギはアスナと再会した、見通しの良いこの場所で朝の空を眺めていた。しかし、その目は不安を感じているような、そんな目であった。

 

 

「よう、ぼーず。朝からこんなところでどうした?」

 

「いえ、特には……」

 

 

 そこへラカンが現れ、ネギへと話しかけた。

ネギはラカンを見上げながら、なんでもないと一言話した。

 

 

「心配なのか? 仲間のことが、この先のことが」

 

「ええ……」

 

 

 だが、ラカンはネギが何か不安げなのを察し、それを言葉にした。

そのラカンの言葉を、ネギは静かに肯定した。

 

 

「まっ、あまり心配ばっかしててもしょうがねぇぞ?」

 

「それはそうですが……」

 

 

 するとラカンは、そんなことばかり考えていても、生産的ではないと語った。

確かに未だ見つかってない仲間も、この先のこともわからない。だが、それで弱ってしまっては意味がない。

ネギもそれを理解してはいるが、やはり心配なことは心配なのだ。

 

 

「んなことよりも、完成したのか? お前だけの術具融合」

 

「90%ほどは……」

 

「ほう? 後一歩ってところか」

 

 

 しかし、ラカンはその不安よりも、もっと見つめるべき課題があるのではないかと、それをネギに質問した。

ネギが術具融合を完成させたかどうかだ。何せネギは未だに術具融合の完成に至ってはいなかったからだ。

 

 ネギは悩んだ様子で答えると、ラカンはネギが進歩していたことに多少満足した様子を見せた。

9割と言う数字はほとんど完成したに等しい。だが、あと一つ何かが足りなかった。もっと強いイメージを、ネギは求めていたのだ。

 

 

「だが、早く完成させねぇと色々と大変だぜ?」

 

「何が……?」

 

「聞いてなかったのか? お姫様のことをよ」

 

 

 だが、ラカンはその完成を急いだ方がよいと語った。

この先のことを心配するならば、まずそれを終えた方がよいと。

 

 ネギはそれに対して、どうしてだろうかと言う態度を見せた。

確かに完成させなければならないと思ってはいるが、焦るほどに必要なのかと思ったのだ。

 

 そこでラカンはある一言をネギへ言った。

”お姫様”その言葉は多くの意味を秘めていた。それはアスナを指す言葉であり、また、黄昏の姫御子としての意味合いでもある。そして、それは重要な人物と言うことも意味し、誰もが狙っているということでもあった。

 

 

「お姫様……? あれ、どこかで聞いたことが……」

 

「ん? 聞いたのに忘れてるってくちか?」

 

 

 ネギはラカンが言った”お姫様”と言う単語に、少し反応した。

どこかで、最近聞いたような言葉だったと、ネギは考え思い出そうとしていたのだ。

 

 と言うのも、ネギはその言葉を麻帆良祭で聞いていた。そう、ビフォアの策略に嵌った時、ビフォアがその単語を口にしていたからだ。しかし、その後のごたごたで、ネギはそのことをすっかり忘れてしまっていたのだ。

 

 ラカンはそんなネギを見て、ド忘れでもしたのかと思ったようだ。

誰から聞いたのかは知らないが、まあアスナ本人が言ったのかもしれないとも考えたからである。

 

 

「ネギさん……!」

 

「この声は確か……」

 

 

 だが、そこにネギの思考をさえぎるかのように、ネギを呼ぶ声が聞こえてきた。

ネギはその声に反応し、考えていたことを中断し、ぱっと周囲を見渡した。そして、その声の主を発見したのである。

 

 

「お久しぶりです、ネギさんにラカンさん」

 

「あなたはマタムネさん!」

 

「あん時のネコか!」

 

 

 そこへ現れたのはマタムネだった。

和美のアーティファクトのスパイゴーレムの上に鎮座しながら、ここへ駆けつけたのである。

 

 マタムネはネギとラカンへ挨拶すると、ネギとラカンは久々に見るマタムネの姿に喜んだ。

 

 

「……覇王様はいないようですね」

 

「覇王さんならまだ闘技場の方にいると思いますが……。一体どうしたんですか?」

 

 

 マタムネは多少周囲をうかがい、自分の主である覇王を探した。

だが、覇王の姿はここになく、どうしたものかと腕を組んだ。

 

 ネギは覇王が今いる場所をマタムネへと告げ、何事なのだろうかと尋ねた。

先ほどの呼びかけは、何か急いでいるような、そんな様子だったからだ。

 

 

「そうでした。ネギさん、あなたの生徒が賞金稼ぎに襲われております」

 

「何だって!? 誰が!?」

 

「前髪で目が隠れた少女……、確かのどかさんでしたかな?」

 

「のどかさんが!?」

 

 

 マタムネはそこで思い出したかのように、何を伝えに来たのかをネギへ話した。

それはネギの生徒の一人が、賞金稼ぎに攻撃されているというものだった。

 

 

「ここから50キロのあたりにいます、非常に危険な状況です」

 

「なら行かなくちゃ!」

 

 

 そう、のどかとそのトレジャーハンターの仲間たちは、ここへ向かう途中、のどかを狙う賞金稼ぎにより攻撃されていた。そして、その場所はここから50キロほど離れた場所だった。

 

 それをマタムネがネギへ伝えると、ネギは慌てて動き出した。

このままではまずい、非常に危険だと。

 

 また、ここでのネギは自分の杖をなくしてはいなかった。なので、それをさっと取り出し、すぐさまのどかの下へと赴こうとしたのである。

 

 

「小生が案内します。ついてきてください」

 

「お願いします!」

 

 

 マタムネは和美のアーティファクトに座ったまま、その場所へ案内すると述べた。

ネギもそれについていこうと考え、案内を頼んだ。

 

 

「おーい!」

 

「あれは!」

 

 

 しかし、そこへ突然大声で叫ぶ、一人の少女の声が聞こえた。

その声の主の方をネギが向けば、なんと魚の形をした飛行船が飛んできたではないか。

 

 

「ヤッホー! ネギ君!」

 

「ハルナさん!」

 

 

 その飛行船の上に乗っていたのは、なんとハルナだった。ネギを大きな声で呼んでいたのもハルナだった。また、ハルナ以外にも未だ合流できていなかった古菲や、仲間を捜しに出て行った和美と茶々丸も一緒だった。

 

 ネギは元気そうなハルナの姿を見て、喜びながら彼女の名を呼んでいた。

アルスからハルナのことを聞いていたネギだったが、その無事な姿を見て嬉しくなったのである。

 

 

「……あの、その船は一体……!?」

 

「中古で買ったちゃった! いやぁ、こっちで一儲けしちゃってね!」

 

「すっ……すごいですね……」

 

 

 さらに、その飛行船の持ち主こそ、なんとハルナだった。

ハルナは自分の飛行船の上で、笑いながらこの飛行船を購入したと言い出した。

彼女は自分の溢れんばかりの才能(もうそう)で、大金を得たらしい。

 

 そんなハルナの言葉に、ネギは言葉を失っていた。

一人で飛行船を中古とは言え買えるほどの儲けを得たとか、ネギには想像ができなかったからだ。

 

 

「よし、行きましょう!」

 

「……参りましょうか」

 

 

 とりあえず、古菲とハルナが無事でよかった。ネギはそう思いながら、急ごうと言葉にした。

そうだ、今は再会を喜んでいる暇などない。のどかの危機に駆けつけなくてはならないからだ。

 

 ネギの叫びを聞いたマタムネも、急ごうと考えた。故に、ネギたちを先導することにしたのだった。

 

 

…… …… ……

 

 

 ネギたちがいる新オスティアから50キロ離れた地点。何もない岩場だけの荒野にて、数名の人が岩陰に隠れていた。それはのどかやその仲間のクレイグとクリスティンであった。さらに、岩場へ向けてかなりの距離から、大量の魔法の射手が発射されていたのだ。

 

 

「大丈夫か? 嬢ちゃん!」

 

「はい!」

 

 

 クレイグは同じ岩陰で隠れているのどかを気遣うように声をかけた。

何と言うことだろうか、今まさに危機的状況だからだ。

 

 しかし、のどかはこの状況でも、元気よく返事をして見せた。

それでもやはり、この状況に不安を感じてはいたのである。

 

 

「どうだぁ!? クリス!」

 

「マズイねぇー、雨あられの魔法の矢攻撃だよ。しかも遠距離!」

 

 

 その隣にある別の岩陰で、クリスティンも身を潜めていた。

クレイグはそのクリスティンへ状況を尋ねれば、どうしようもないと言う答えが返ってきた。

 

 

「そう言えばロビンのヤツ、こんな時にどこ行ったんだ!?」

 

「確かにさっきから姿が見えねぇな……」

 

 

 また、ここにはもう一人仲間がいた。ロビンと呼ばれた緑色のマントの男だ。

 

 だが、そのロビンの姿がここにはなく、仲間のクレイグもその居場所すらわからないという状況だった。

クリスティンもクレイグの疑問の声に、自分もわからないと言うだけだった。

 

 

『見えたわ』

 

 

 そこへ別行動を取っていたアイシャから、クレイグたちに念話で連絡が入った。

アイシャとリンは敵がどんなものなのかを把握するため、身を潜めながら移動していたのだ。

 

 

『千里眼で敵の姿を捉えたわ』

 

 

 アイシャは魔法の千里眼を用いて、超遠距離から攻撃してくる敵を身を低くしつつ目視した。隣には同じく姿勢を低くして息を潜めるリンの姿もあった。

 

 

『距離三千、人数は見える範囲で4人……。蟲っぽい魔獣も2体見えるわ』

 

 

 敵はなんと3キロ離れた地点から、こちらを攻撃しているというものだった。敵の数は4人であり、チームを組んでいる様子だった。さらに、その後ろには巨大な(ワーム)のような魔獣も従えていたのである。

 

 

『これはマズイわね……。あの黒衣姿……、シルチス亜大陸で名を挙げてる賞金稼ぎ結社”黒い猟犬”』

 

 

 アイシャはそれを見て、敵が誰なのかをすぐに理解した。かなりのやり手の賞金稼ぎであり、その名を轟かせている”黒い猟犬”だ。仕事の為ならば冷酷な手を使う、非情な賞金稼ぎである。

 

 

『冷酷非情で有名よ。勝てないわ、逃げた方が……、キャア!』

 

「アイシャ!? アイシャ!!」

 

 

 アイシャはそれを説明し、逃げた方がよいと述べた。

だが、その後すぐさま、悲鳴とともに通信が途絶えたのである。

 

 異変に気が付いたクリスティンは、アイシャの名を何度も呼んだ。

しかし、無情にも無音だけが、クリスティンの耳へ返ってきたのだった。

 

 

「クソ! アイシャからの念話が途切れた……!」

 

「リンも応答がない……」

 

「そんな!?」

 

 

 クリスティンは無念の表情を見せながら、アイシャの通信が途絶えたことを口にした。

また、同じくクレイグも、アイシャと行動をともにしていたリンからの通信も途絶したことを伝えた。

 

 それを聞いたのどかは、驚き戸惑う声を上げていた。

きっと敵の目的は自分だと。自分のせいで巻き込んでしまったと、のどかは思ったのである。

 

 

「クレイグさん! 私に考えがあります! アーティファクトを使いますから相手の顔が見える距離まで……!」

 

「何!? アーティ……」

 

『クレイグ、アイシャたちが心配だ。援護を頼む』

 

「なっ!? クリス!」

 

 

 そこでのどかは、自分のアーティファクトを開示することを考えた。

それをクレイグへと伝えようとしたその時、岩陰に隠れていたはずのクリスティンが行動を起こしたのである。

 

 何せこのクリスティン、アイシャに惚れている。そのアイシャの身に何かあったのではないかと思い、痺れを切らしてしまったのだ。

 

 その念話を聞いたクレイグは大きく焦り、のどかとの会話を中断せざるを得なくなった。

クリスティン一人を敵陣へ走らせる訳には行かないからだ。

 

 

「ええい! 嬢ちゃんはそこでじっとしてんだぞ!」

 

「あっ! クレイグさん!!」

 

 

 クレイグはこうなったらヤケだと考え、のどかをこの場所から動かぬよう命令し、その場を後にした。

のどかは自分の作戦を伝えられぬまま、クレイグが走っていくのを見ているしかなかった。

 

 

「ど、どうしよう……。私一人じゃアーティファクトがあってもどうしようも……」

 

「お嬢ちゃん、無事か?」

 

「え? あっ、ロビンさん!」

 

 

 そして、一人残されたのどかは、どうすればいいのかと悩んでいた。

アーティファクトで相手の心を読んだとしても、それ以上のことができないからだ。

 

 すると、突然スーッと緑のマントの男が、のどかの目の前に現れた。それこそ、先ほどから姿がないと言われていた、ロビンと言う男だった。

 

 ロビンはのどかの無事を確認するよう、静かにそれを言葉にした。

だが、のどかは突然現れたロビンを見て、あたふたと驚くばかりであった。

 

 

「ロビンさん! 大変なんです! クレイグさんたちが!!」

 

「わかってるって。とりあえず、こいつを握っててくれ」

 

「これは……」

 

 

 また、のどかはロビンへと必死な様子で、クレイグたちがピンチであることを伝えようとした。

しかし、ロビンも既にそのことは理解していたようで、知っているという態度を見せた。

 

 さらに、ロビンはのどかへと、あるものを手渡した。のどかはそれを手のひらに乗せられると、その渡されたものを見て驚いた。

 

 そう、その渡されたものこそ、ロビンが装備している緑色のマントの切れ端だった。そのマントは透明化する能力のある貴重な魔法具だとのどかは思っており、それを切り取って渡されたことに驚いたのだ。

 

 

「そんじゃまっ、そろそろ行くとしますかねぇ」

 

「ロビンさん! だったら私も!」

 

「お嬢ちゃんはそこで待ってな。すぐに終わらせてくるからよ」

 

「ロビンさん!!」

 

 

 それでもロビンはそれを渡したことを気にすることなく、次の行動を開始し始めた。

そこへのどかは自分も連れて行ってほしいと、ロビンへと願い出た。

 

 だが、ロビンはそれを許すことはない。何せ次は敵を倒すために、戦いに出るのだから。

故に、ロビンはのどかへ待っていろと、やさしく言うだけだった。

 

 そして、ロビンはのどかの声を背にしながら、ゆっくりと消えて言った。いや、その緑色のマントの効果で、姿を消しながら移動を始めたのである。また、のどかもロビンが渡したマントの切れ端の効果で、その場から姿が消えたのだった。

 

 

「むう……、妙だ……」

 

「敵の姿が忽然と消えた……」

 

 

 また、敵も奇妙な状況に戸惑いを感じていた。怪物のような頭を持つ亜人の男は、忽然と消えた獲物を前に驚きを隠せずにいた。また、リーダー格の大柄の男も、消えた敵に戸惑っていた。

 

 

「どうなっている?」

 

「魔法具か何かかネ……」

 

 

 同じように獣の骸骨の頭をした魔族も、何が起こったのか理解できない様子を見せていた。そして、深く帽子をかぶり顔すら見えぬ、少し横に太い亜人は、消える効果がある魔法具の力なのではないかと口にしていた。

 

 

「何!?」

 

「っ! 矢!?」

 

 

 しかし、彼らにはそんな悠長に考えている時間はなかった。すでに、そうすでに、あの緑色の男が姿を消しながら攻撃を行ったからだ。

 

 黒い猟犬の彼らは、その攻撃に反応し各自回避行動を取った。また、その攻撃が何であったかを、そこで目の当たりにしたのだ。

 

 その攻撃とは、矢での狙撃だった。ミドルレンジから突如放たれた矢が、彼らを襲ったのである。

 

 

「なっ!? こいついつの間に!?」

 

「へっ、あんたら、相手が悪かったな!」

 

「グアッ!?」

 

 

 だが、攻撃はそれだけではなかった。

いや、その攻撃自体目くらましでしかなかったようで、すでにロビンと名乗る男は、大柄な男の前に現れていた。

 

 大柄な男はそれに気がつき、たじろいだ。

そんな男へとロビンは、ニヤリと笑いながらそれを言葉にした。

 

 その次の瞬間、ロビンは右足を使って蹴りを放った。

今の蹴りは大柄な男の腹部へと深々と突き刺さり、男は苦悶の声をあげながら後方へと吹き飛ばされたのである。

 

 

「何だと!?」

 

「貴様!?」

 

 

 黒い猟犬の仲間たちは、リーダー格の仲間が吹き飛ばされたのを見て、かなり驚いた。そして、目の前の緑色の男が敵だということを、完全に認識した。

 

 

「あーらよっと!!」

 

「ガッ!?」

 

 

 だが、敵がロビンを敵だと断定し行動を起こす前に、すでにロビンが動いていた。なんと、すばやく怪物のような頭の亜人の懐へ入り込み、再び蹴りをお見舞いしたのだ。

 

 それにより怪物の頭の亜人も大きく吹き飛ばされ、苦しそうに転がった。

 

 

「こっ、この!!」

 

「はっ、遅いぜオタク!」

 

「ぐうう!?」

 

 

 次々に仲間が倒されていくことに焦った骸骨の魔族は、自在に伸びる4本の骨の腕でロビンを攻撃した。しかし、それは当然ロビンには届かず、むしろ逆にロビンのミドルキックが魔族に命中する始末だった。

 

 すさまじいスピードでのロビンの蹴りは、かなりの衝撃だった。骸骨の魔族も骨だと言うのに苦痛に耐えるような声を出し、その場に倒れたのだった。

 

 

「ぬ! 甘いネ!」

 

「はっ! そいつらの相手はすでに終わってるぜ?」

 

 

 そこへ顔が見えぬ敵が後ろに待機させていた蟲の魔獣を、ロビンへとけしかけた。蟲の魔獣はその口から無数の触手を伸ばし、ロビンを捕らえようと襲い掛かったのだ。

 

 それでもロビンは笑みを見せ、余裕の態度を崩さずにそう言った。

 

 

「地雷!? いつのまに……!!」

 

「甘かったのはそちらさんの方だったって訳!」

 

「ぐっ!?」

 

 

 何故ロビンの表情が余裕だったか。それはすぐにわかった。なんと、蟲の魔獣の真下に魔方陣が発生し、巨大な爆発が起こったからだ。それにより、魔獣は戦う力を失ったのか、倒れこんで動かなくなったのである。

 

 このロビン、すでに蟲退治用の罠をあらかじめいたるところに設置し、タイミングよくそれを使ったのだ。そう、ロビンが先ほど姿を消していたのは、このためでもあった。

 

 そして、ロビンはそのまま顔が見えぬ敵へとサマーソルトを放ち、4人全員を負傷させたのである。また、ロビンに蹴られた今の敵も、周りの3人と同じように、吹き飛ばされ地面に横たわった。

 

 

「この!」

 

「おうおう、気張るねぇー」

 

 

 しかし、敵もまだまだ諦めてはいなかった。怪物の顔の亜人は即座に立ち上がり、再びロビンへと殴りかかった。

 

 ロビンはそんな相手を涼しげに眺めながら、よくやると思っていた。

これほどの戦力さを見せ付ければ、少しは怯むだろうにと考えていたのだ。

 

 

「待て! ここでアレを使うぞ……」

 

「何!? アレはヤツらを一網打尽にするためのものでは!?」

 

「だが、こいつをしとめるにはそれしかない……」

 

 

 だが、大柄な男は拳を突き出そうとする亜人へと、待ったをかけた。さらに、仕方ないが奥の手を使うと言い出したのである。

 

 それを聞いた骸骨の魔族は、その奥の手は違う相手に使う為に用意したのではないのかと、驚きの声を出していた。それでも大柄な男は、苦渋の判断でそれを使用することを選んだ。

 

 目の前の緑色の男は想像以上に強く、自分たち4人を相手に余裕の態度を崩さない。はっきり言えばこちらに勝ち目は無く、このままでは獲物を取り逃がしかねないと判断したのだ。

 

 

「転移? 逃げた……、って訳じゃないみたいだな」

 

 

 すると、黒い猟犬の4人は札を一枚出してその場から転移した。ロビンはそれを見て、逃げたとは判断しなかった。何かある、そう考えながらちらりと地面へと目を向けると、何やら悟ったかのように、ニヤリと小さく笑って見せた。

 

 

「そろそろ発動するころだ」

 

「ヤツを倒した後、とりあえずターゲットを捕獲し、再度連中を呼び出すことにしよう……」

 

 

 そして、黒い猟犬の4人は先ほどからかなり離れた場所へと転移してきていた。そこでロビンがいるであろう場所を眺めながら、奥の手が発動するのを待っていた。

 

 その奥の手とは、対軍用魔法地雷と言う巨大な罠だった。周囲100メートルに巨大な雷撃を100秒間も降らせ続けるという、大掛かりなものだ。

 

 本来ならばこの罠はのどかを餌として、おびき寄せたその仲間たちに使い、一網打尽にする予定だった。だが、それはロビンが出現したことにより、失敗に終わってしまった。

 

 ならば、まずは目の前のロビンを倒すことだけに集中し、それを倒した後に再びのどかを捕らえ、その仲間たちをも捕まえようと考えたのだ。

 

 

「……なあ、まだ発動しないのか?」

 

「いや、そんなはずは……?」

 

「まさか……、あの地雷が発動しなかっただと!?」

 

 

 そんな時、怪物の顔の亜人が未だに発動しない罠に痺れを切らせ、まだなのかと尋ねた。

それを聞いた大柄な男は、ありえないという顔を見せ始め、見る見る顔色が悪くなっていった。

その横にいた骸骨の魔族は、まさかあの罠が不発に終わったのかと、冗談ではないという様子を見せていた。

 

 

「さっき言ったはずだぜ? 相手が悪かったなってな……!」

 

「いつの間に!?」

 

 

 そこに、再びあの男の声が聞こえてきた。緑色の男、ロビンの美男子のような声だ。

大柄な男は突如として現れた緑色の男に、度肝を抜いた様子を見せたのだ。

 

 

「その台詞、今ので二度目だぜ? ほらよ!」

 

「ぐおお!?」

 

 

 ロビンはやはり余裕の表情で、大柄な男の台詞が二度目であると言葉にした。

そして、今度は蹴りではなく、右腕に装備された小型のボウガンを用いて、その男に矢を撃ち込んだのである。

 

 大柄な男はその矢を何とか回避し、即座に後退した。何と言うことだろうか。緑色の男はまたしても気が付かない内に近寄り、攻撃したのだ。

 

 

「オレの前で罠を使おうなんざ、10年早いぜ!」

 

「ぐう!?」

 

 

 だが、ロビンは大柄な男を逃がすまいと、さらに追撃を行った。それにより大柄な男の左肩へ、矢を命中させることに成功したのだ。矢を受けた大柄な男は、痛みで声を漏らしていた。

 

 また、ロビンは自分には罠など通用しないと、ニヒルな微笑を見せながら豪語した。

ロビンは罠に深く精通した男。どんな罠であっても、簡単に解除して見せたのである。

 

 

「この野郎!」

 

「おっと! こっちだぜ!」

 

「ぬうおお!?」

 

 

 仲間を再び攻撃されたのを見て激昂し、反撃に出たのは怪物の頭の亜人だった。彼はロビンへと怒りを乗せた拳を放った。

 

 ロビンはそれをヒラリとかわし、その亜人の背後へと移動した。その後すぐさまボウガンから矢を放ち、その亜人の左足に命中させたのだ。

 

 亜人はその攻撃を受け、怯んで動かなくなった。そこへロビンはさらに別の相手を攻撃すべく、行動に移っていた。

 

 

「そらよ! すり抜けるぜ!」

 

「がああああ!?」

 

 

 次にロビンが標的にしたのは、骸骨の魔族だった。相手が魔族故に、ロビンは手加減せずに雨あられのように矢を放った。

 

 魔族はその矢を全身に受け、そのまま後ろに倒れこんだ。そこへさらに矢が降ってきてた。魔族は全身が骸骨であり、その骨と骨の間に矢が突き刺さってしまい、身動きが取れなくなったのである。

 

 

「あーらよっと!」

 

「ぐ!?」

 

 

 また、ロビンは魔族が動けなくなったのを見て、さらに別の敵へと攻撃した。それは顔が見えない太った感じの亜人だった。その亜人へとロビンは先ほどと同じように、矢を高速で何度も撃ち込んだ。

 

 すさまじい矢の雨をその亜人は受け、たじろぎ後ろへと下がった。間一髪直撃は避けれたようだが、何本か矢が体のあちこちに突き刺さり、明らかに動きが鈍くなっていた。

 

 

「さてと、今の矢には遅効性の毒が塗ってあってな。さっさと退かねぇと毒が回るぜ?」

 

「何だと!?」

 

「そんな脅しなど!」

 

「まぁ、嘘だと言うなら試してもいいぜ? ただし……」

 

 

 一通り攻撃を終えたロビンは、敵へとゆっくり話しかけた。

今放った矢には毒が盛ってあり、ほおって置くと危険であると言い出したのだ。

 

 黒い猟犬はそれを聞いて、嘘だと判断した。

脅したところで無意味だと、そう怒りをあらわにして叫んだのだ。

 

 だが、ロビンはそんな連中を見て、肩をすくめていた。

いやはや、確かに敵の言うことは信用なんてできないでしょうねと。

 

 

「……次の一撃は、かなりヤバイぜ?」

 

「っ!」

 

 

 しかし、その直後、ロビンは右腕のボウガンを敵へと向け、目つきを鋭くしながらドスがきいた声でそれを述べた。先ほどの攻撃は全てけん制であり、本気ではないと。次こそが最大の一撃になりえると。

 

 敵はそれを聞いて、一瞬ロビンに対して恐れを抱いた。毒が嘘であれなんであれ、次の一撃は本気であることに間違いは無いだろうと。ならば、ここで戦闘を続行してよいものか、敵はそれを考え悩み始めていた。

 

 

「……退却だ……」

 

「何!? 本気か!?」

 

「……毒が嘘だったにせよ、俺らじゃヤツには勝てん……」

 

 

 そこで大柄なリーダー格の男は、仲間に撤退を宣言した。

それを聞いた怪物の顔の亜人は、正気なのかと叫んでいた。

 

 だが、大柄な男は冷静にこの状況を判断し、撤退しかないと考えた。

自分たち4人だけでは、目の前の男を倒すことはできない。このままでは敗北は必至。毒が本当であったなら、さらに状況が悪化するだけだからだ。

 

 

「……退くぞ!」

 

「クソ……! 覚えていろ!」

 

「あの魔法地雷高かったんだけどなぁ……」

 

「オッパイ……」

 

 

 大柄な男は撤退を進言すると、その場から転移符で去っていった。同じように仲間たちも、次々に一言愚痴をこぼしながら消えていったのだった。

 

 

「ふぅー、ちったー頭が回る連中でよかったよかった」

 

 

 ロビンは敵が去ったのをしっかりと確認した後、ため息を吐きながら構えを解いた。これで敵が諦めず攻撃して来るならば、”奥の手”を使わざるを得ないと考えていたからだ。

 

 とは言え、あの4人の中に転生者がまぎれていたり、転生者が5人目の仲間として現れなかったことも幸いであった。

 

 

「あの!」

 

「ん? 坊主はもしかしてお嬢ちゃんの……?」

 

 

 すると、そこへ一人の少年が、杖にまたがり空から現れた。それは当然ネギだった。ネギはのどかの危機と聞いて、すぐさまやってきたのだ。

 

 しかし、ネギがこの場に来ていれば、緑色の男が一人いるだけだった。

なので、その緑色の男へと、ネギは声をかけたのだ。

 

 ロビンはそのネギを見て、もしやのどかのお仲間ではないかと察した。

それ故、そのことを小さく口からもらしたのである。

 

 

「はい、のどかさんの仲間です。ところでのどかさんは……?」

 

「ああ、お嬢ちゃんなら安全さ」

 

 

 ネギはロビンのその言葉を聞いて、自分が何者なのかを説明した。

そして、肝心ののどかの安否を気にかけたのである。

 

 ロビンはネギがのどかの仲間だと完全に理解し、のどかの無事をネギへ伝えた。

 

 

「近くにいるんですね?」

 

「ここから見えるか? あの岩場の影に隠れているはずだ」

 

「では、僕のカードで呼びます」

 

「ほぉー、仮契約か。そういやお嬢ちゃん、さっきそんなこと言ってたっけな」

 

 

 ネギは再びロビンへ質問した。それはのどかが近くにいるのかどうかだった。

ロビンはそれに対し、多少離れた一つの岩へと指をさし、そこにいると伝えた。

 

 そこでネギは仮契約カードを取り出し、のどかをここへ直接呼び出そうと考えた。そう、仮契約カードの機能の一つ、従者の召喚だ。

 

 ネギのその行動を見てロビンは、のどかが先ほどアーティファクトがどうとか言っていたのを思い出した。

そうか、この少年がのどかの魔法使いの主なのかと、ロビンは納得した様子を見せていた。また、ロビンはのどかに渡していた緑色の切れ端の効力を止め、のどかの姿が見えるようにしたのだ。

 

 

「ネギ先生!」

 

「のどかさん! よかった……、無事で何よりです」

 

「ネギ先生こそ……!」

 

 

 のどかはネギの召喚に応じ、魔方陣とともにその場に現れた。

さらにのどかはネギへと駆け寄り、無事を喜んだのである。

 

 ネギも同じくのどかの無事と再会を喜び、ほっと胸をなでおろしていた。

無事でよかった、なんともなくてよかったと、そう思っていた。

 

 

「おや、終わってしまったようでござるな」

 

「しかし、あの人……、かなりできる……」

 

 

 そこへ楓と刹那も登場し、すでに戦いが終わっていることを確認していた。

また、刹那はあの緑色の男が実力者であることを理解し、戦慄していたのだった。

 

 

「オイオイ……、アイツはまさか……」

 

「ふむ……」

 

 

 それ以外にも刹那とともにやってきたバーサーカーと、和美のアーティファクトの上で腕を組むマタムネの姿もあった。

バーサーカーはその緑色の男を見て、何やら驚いた様子を見せた。マタムネもまた、何かを考える様子を見せていた。

 

 

「ロビン! テメェ一人で何やってんだ!?」

 

「いやー、あんたらも無事で何よりだ」

 

「何よりじゃないだろ!?」

 

 

 さらに、戦いが終わったのを察したクレイグたちも、その場へと集まってきた。

そして、ロビンが一人で黒い猟犬と戦ったことに文句を言ってきたのだ。

 

 ロビンは文句を飛ばすクレイグを見て、すました顔で無事を祝った。

だが、クレイグはそれが聞きたかった訳ではないという様子で、大声で叫んでいた。

 

 と言うのも、クレイグとクリスは行動を開始した後、姿なきロビンに眠らされたのだ。ロビンは眠った二人に緑の切れ端を被せ、その姿を消しておいたのである。

 

 また、アイシャやリンにも同じことを行い、姿を消し去っておいたのである。それにより四人とも傷を負うことなく、無事にこの場へやってこれたのだ。

 

 

「しかし、まさか黒い猟犬を一人で撃退しちゃうなんてね……」

 

「強い……」

 

「本当お前一体何者なんだ……?」

 

 

 そんな光景を眺めながら、アイシャはふと思った。

あの黒い猟犬の四人を、たった一人で倒してしまった。このロビンは何と言う強さなのだろうかと、そう考えたのだ。

 

 その横にいたリンも、ロビンの強さを小さく口にしていた。

自分が戦ったらどうだろうか、勝てただろうか。そう考えながら、ロビンの強さに戦慄していた。

 

 クリスはそこでロビンへと、その正体について尋ねた。

はっきり言ってあの強さは尋常ではない。あの4人を一人で圧倒するその強さは、上位の賞金稼ぎや兵士でもありえないからだ。

 

 

「何者かって? オレはただのしがない射手(アーチャー)ですよ」

 

「本当かよ……」

 

 

 だが、ロビンはその問いに、肩をすくめて何者でもないと言った。

ただのアーチャー、弓兵。矢の射手でしかないと。

 

 何せロビン自身、自分が優れた存在だとは思っていない。基本的に卑怯な手や絡め手で相手を倒す、卑劣漢でしかないと思っているのだ。

 

 しかし、あの敵4人を一人で倒したとあれば、そんなはずはないと思われるのも当然だ。クリスティンやクレイグはその答えに納得せず、ただただ冗談にしか聞こえないと思っていた。

 

 

「大将、ありゃサーヴァントだ……」

 

「サーヴァント……? あのロビンと言う人が……?」

 

 

 すると、バーサーカーが刹那へと、小さな声で呼びかけた。

ロビンと言う男は自分と同じ”サーヴァント”。英霊召喚で呼び出された、英霊であると教えたのだ。

 

 刹那はバーサーカーにそれを言われ、目をぱちくりさせた。

そして、よく目を凝らせば、確かにそのような雰囲気があると感じたようだ。

 

 

「へえ? つまり、オタクもサーヴァントってやつ?」

 

「まあな……。オレはバーサーカー、真名は坂田金時ってもんだ。で、あんたは?」

 

「ご丁寧にどうも、オレのクラスはアーチャー。真名は……ロビンフッドってところですかねぇ」

 

 

 それを耳にしたロビンは、バーサーカーへとそれを尋ねた。

サーヴァントと言うのはこの世界でも特殊な存在。そうそう存在しないからだ。

 

 そこでバーサーカーは、自分に戦意がないことを伝えるため、クラスと真名をロビンへ告げた。敵対するとすれば真名など教えはしないし、そもそも武器である宝具を呼び出し構えるからだ。

 

 ロビンもそれを聞いて、自分のことを話し始めた。

ロビンの正体、それはアーチャークラスとして呼び出されたロビンフッドと言う英霊だった。

 

 しかし、ロビンは自分の真名に多少自信なさげに口にした。

と言うのも、ロビンフッドは数あるロビンフッドの、元になった人物の中から選ばれ召喚される。故に、自分がロビンフッドである、と自信を持って言えるような存在ではないのだ。

 

 そして、あの緑色のマントこそ、彼が保有する宝具の一つである”顔のない王(ノーフェイス・メイキング)”であった。その効果は先ほど見たとおり、自分やそれを持つものを透明にする効果があるのだ。

 

 

「アーチャーか」

 

「ロビンフッドと言えば、確か……」

 

 

 バーサーカーはロビンがアーチャーと聞いて、妙に納得した顔を見せていた。

刹那もロビンフッドと聞いて、ふと思い出した様子を見せていた。

 

 ロビンフッドとはシャーウッドの森に住むと言われる義賊である。弓を使い森に潜み、緑色をした男だと伝えられている。それを考えてみれば、確かに目の前の男はロビンフッドそのものだった。

 

 

「しかし、オタク本当にバーサーカー? 理性もあれば会話もできてる気がするんですけど?」

 

「あぁ、オレの狂化がちょいと特殊なだけだ」

 

「そういうもんかねぇ……。いやまあ、そういうこともあるんでしょうがね」

 

 

 だが、ロビンは目の前の筋肉ムキムキの金髪が、バーサーカーだと言ったことに疑問を持った。

何せ本来のバーサーカーは狂化の代償として理性や言語能力を失う。なのに目の前の自称バーサーカーは、そのどちらも失われていないからだ。

 

 バーサーカーはそのロビンの問いに、この前キャスターへ同じことを説明したのを思い出した。

そして、その時と同じように、ロビンへとそのことを説明したのだ。

 

 ロビンはそれを聞いて、少し疑いの目を向けた。

ただ、ここで目の前の自称バーサーカーが、嘘をついてるようにも見えないと考えた。それにそういう特殊な事例や例外も存在するのだろうと思い、そういうこともあるとしたのである。

 

 

「……あなたはロビンフッドなんですか!?」

 

「本当かって言われると自信なんてこれっぽっちもないが、そう呼ばれる人物として召喚されてるのも事実さ」

 

 

 すると、ネギはロビンフッドと聞いて、少し興奮した様子でロビンにそれを尋ねた。

何せロビンフッドはネギの祖国である英国の英雄だ。ネギも当然ロビンフッドの物語を知っていた。

 

 また、ネギもバーサーカーから英霊、サーヴァントの意味を教えてもらっていた。それを考え、目の前の緑色の男性が本物のロビンフッドなのだろうかと期待したのである。

 

 ただ、ロビン本人はロビンフッドである確証などない。複数ある元となった人物の一人と言う程度でしかないロビンには、”本物のロビンフッド”と尋ねられても困るだけだ。

 

 それでも”ロビンフッド”と言う枠で召喚された以上は、今のロビンがロビンフッドであることに違いは無いのだ。故にロビンは、多分そうなんじゃないか、程度に返事をした。

 

 

「あなたがあの、シャーウッドの森のロビンフッドなんですか……!?」

 

「……いやぁ、なんだ。そんな目で見つめられると困っちまうってもんよ」

 

 

 それを聞いたネギはさらに目を輝かせ、シャーウッドの森に住むと伝えられるロビンフッドなのかと、ロビンに真偽を尋ねた。

憧れ、と言うほどではないが、やはり自分の国で伝承として残った英雄が、自分の目の前に現れたということに興奮を隠せないでいたのだ。

 

 ロビンはその輝く目をしたネギを見て、非常にいたたまれない気持ちになっていた。何故ならロビンは自分のことを卑怯者だと思っているからだ。

 

 このロビンフッドとなった英霊は、少年が憧れるような生き方なんてしてないし、目標となるようなこともしてない。あったのはただただ、卑怯な手で相手の尊厳や誇りを命とともに奪うだけの、卑劣で汚い人間だったからだ。

 

 だから、ロビンは少し困った様子でネギにそれを言った。

自分は憧れや目標になるような英雄ではない。憧れるのであれば、アーサー王あたりにしておけ、そう思ったからだ。

 

 

「あっ、すいません……」

 

「……いや、まあ別に坊主が悪い訳でもなけりゃ、怒ってる訳でもねぇ。……ただ、オレには坊主のその目が、ちっとばかし眩しすぎただけさ」

 

 

 ネギはそのロビンの言葉を聞いて、つい謝ってしまった。

確かに人をジロジロ見るのは、失礼だったと思ったのだ。

 

 そこでロビンは少し落ち込んだ様子を見せたネギに、いけねっ、と思い庇護に回った。

何せ今のはネギが悪い訳ではない。悪いのはそう言う生き方しかできなかった、自分の方だとロビンは思っていた。それに怒った訳でもないし、邪険にした訳でもないと、ネギへと伝えたのだ。

 

 むしろ、そう言う輝かしい目で見られることは、ロビンにとって嬉しくない訳でもない。それ故ロビンは、ネギの視線にむずがゆさを感じていたのだ。とは言え、基本的に自分のことに後ろめたさを持つロビンは、あえてつっけんどんな言い方をしてしまうのである。

 

 

「とまあ……、あんたらとは敵対する気なんか微塵もない。お嬢ちゃんの知り合いみてぇだしな」

 

「オレもだ。むしろ、大将の友人を守ってくれて感謝してるぐらいだぜ!」

 

「そりゃよかった。バーサーカーなんぞと戦ったら、ちっとキツいかもしれねぇからな」

 

 

 聖杯戦争ではないのでサーヴァント同士が戦う必要はないのだが、どうしても身構えてしまうというものだ。なのでロビンは、バーサーカーへと敵対する気がないことを告げた。

それに、のどかの知り合いで仲間のようだし、敵対する意味も必要もないと思ったからだ。

 

 バーサーカーも当然戦う意思はない。

ロビンと同じく主たる刹那の友人、クラスメイトたるのどかを助け、守ってくれたのだから、戦うと言うのは考えられないと思っていた。

故に、バーサーカーも自分に戦う気がないことを、ニカッと笑ってロビンへ話した。

 

 ロビンはそれを聞いて、少しだが安堵した様子を見せた。

目の前のバーサーカーに戦う気がないのは、大体わかっていたことだった。それでも万が一戦うことになれば、こちらが多少不利だと考慮していたからだ。

 

 

「ありがとうございます、ロビンさん」

 

「お礼なんざ不要ってもんさ。仲間を守っただけですからね」

 

 

 そこへネギがロビンへと、のどかを守ってくれたことに対しての礼を、丁寧に頭を下げながら述べた。

 

 ロビンはそんなネギへ、そんなものはいらないと話した。

自分の仲間であるのどかを助けただけだ。仲間を助けるのは当然だ。そう思っていたからだ。

 

 その後ハルナの飛行船が登場し、仲間たちは再会を祝った。そして、彼らは再び新オスティアへと戻っていくのだった。

 

 

…… …… ……

 

 

 ネギたちがのどかを助けに行ってから数時間後。新オスティアで一人の男性が何かを待つようにして立っていた。

 

 

「さてと、……そろそろか」

 

 

 その男性はアルスであった。アルスはもうすぐ来るであろう裕奈たちを、時計を眺めながら待っていたのだ。

 

 

「アルスさーん!」

 

「おっ、来たな」

 

 

 すると、遠くからアルスを呼ぶ裕奈の声が聞こえてきた。

アルスがそちらを振り向けば、手を振って元気そうに駆けてくる裕奈とまき絵の姿があった。

 

 

「久しぶりー!」

 

「お久しぶりです!」

 

 

 アルスの下へとやってきた裕奈は、いつものように元気よくアルスへと挨拶した。

また、まき絵も同じように元気な様子でお辞儀しながら挨拶していた。

 

 

「よっ! 元気そうで何よりだ」

 

「そりゃ元気こそ一番だからね!」

 

「おーおー、そうだったな!」

 

 

 アルスも軽快な挨拶で、そんな二人を出迎えた。

そこで元気と言う言葉に裕奈は反応し、当然と笑って言った。

それにつられてアルスも笑い、それに同意した。

 

 

「よお」

 

「どうも……」

 

 

 そして、その二人の後ろから、一人の男性が顔を出した。

それこそ目の前の二人をここへと連れて来たジョニーだった。

ジョニーはアルスへと小さく挨拶すると、アルスもそっと頭を下げた。

 

 

「ありがとうございます、彼女たちを送り届けていただいて……」

 

「なあに、約束を果たしただけさ」

 

 

 さらにアルスは二人をここへ送り届けてもらったことに、感謝の言葉をジョニーへと送った。

だが、ジョニーは約束を守っただけだと笑いながら話すだけで、気にした様子は見られなかった。

いや、むしろ気にするなと、遠まわしに言っているようなものだった。

 

 

「さて、俺の仕事はここまでかな」

 

「ありがとー! ジョニーさん!」

 

「ありがとうー!」

 

 

 ジョニーは自分の出番は終わったと、裕奈とまき絵に話した。

そこで裕奈とまき絵はそんなジョニーへと、大きな声で礼を述べた。

 

 

「まっ、祭り中は街にいるから、何かあれば声をかけてくれや」

 

「はーい!」

 

「りょうかーい!」

 

 

 さらにジョニーは自分の仕事が終わったと言ったというのに、何かあったら面倒を見てやると言葉にした。

が、最後に小さくアルスがいるから必要ないか、とこぼしていた。

 

 しかし、二人には小声で言った言葉は聞こえなかったようで、元気に返事をしていたのだった。

 

 また、ジョニーの言う祭りとは、翌日に新オスティアで開かれる終戦記念祭のことだ。20年前の大分烈戦争の終戦と平和を祈って、この新オスティアで毎年開かれている祭りなのである。しかも、今年で終戦20周年目であり、普段以上に人が多く集まってきているようだった。

 

 

「……ご苦労をかけました。本当にありがとうございます」

 

「へっ、何度も言ってるじゃねぇか、いいってことよ」

 

 

 アルスは再びジョニーへと声をかけ、手を差し伸べながら礼を言った。

ジョニーもその差し伸べられた手を握り握手を交わし、ニヤリと笑って気にするなと言うのだった。

 

 

「じゃっ! またな!」

 

「本当にありがとー!」

 

「助かりましたー!」

 

 

 握手を終えたジョニーは、最後に別れを述べると手を挙げて去っていった。

それに裕奈とまき絵も手を大きく振り、ジョニーを見送ったのだ。

 

 

「いい人に出会えたな」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

 

 去って行ったジョニーの方向を眺めながら、アルスはそれを言葉にした。

あのジョニーという人は、間違いなくいい人だ。それに出会えた彼女たちは、運がいいんだろうと。

 

 そして、それを聞いた裕奈とまき絵は、活気溢れる声で盛大に返事をした。

二人は本当にジョニーに出会えてよかった、そう言いたそうな笑顔だった。

 

 

「んじゃ、俺らも行くか」

 

「どこへ行くの?」

 

「どこって? そりゃお前らの友人のところさ」

 

 

 アルスはそこで、自分たちも移動することを裕奈とまき絵に告げた。

しかし、行き先までは告げなかったので、裕奈はそれが気になった。

なので、それをアルスへ聞けば、友人の場所だとはっきり言葉にしたのだ。

 

 そして、一同は祭りと言うことで人が多い街の中を歩きながら、その場所へと向かって行った。その向かった先、そこは何の変哲もない小さなカフェであった。

 

 

「ここだ」

 

「ここにアキラたちが?」

 

「あっ! いたよ!」

 

 

 アルスはようやく目的地に到着すると、そのことを二人へ告げた。と言うのも、アルスは裕奈とまき絵の友人であるアキラと亜子を、その二人に会わせるべくこのカフェで待たせていたのだ。

 

 裕奈はこのカフェにアキラと亜子がいるのかとアルスへ聞くと、それと同時にまき絵が二人を発見したのだ。

 

 

「この声は……?」

 

「まき絵!?」

 

 

 また、まき絵の声が聞こえたのか、アキラと亜子は周囲をキョロキョロと伺い始めた。

そこで亜子はその声の主であるまき絵と、隣にいた裕奈を見つけたのである。

 

 

「おーい! アキラー! 亜子ー!」

 

「ゆーな! まき絵!」

 

 

 裕奈はまき絵が指さした方向を見てアキラと亜子を見つけると、大きな声で二人を呼んだ。

アキラと亜子も二人を見つけ、すぐさま席から立ち上がり、二人がいる場所へと駆けたのだ。

 

 

「よかったー…… 無事やったんやな……」

 

「本当に無事でよかったよ……」

 

「それはこっちの台詞だよ!」

 

「そっちこそ無事でよかったー!」

 

 

 そして、四人はようやく再会できたことを祝い、喜び抱き合った。

会えてよかった、無事でよかった。四人はともに同じことを思い、嬉しそうに微笑んだ。

 

 それを遠くからアルスは眺め、小さく笑っていた。四人の友情を見て、心温まる気持ちとなっていたのだ。また、これで一つ目標が達成されたと、一つ小さな荷が肩から降りるのを実感していた。だが、これからさらに大変であることも、アルスは忘れてはいなかったのだった。

 

 

…… …… ……

 

 

 のどかの救出と合流が終わったネギたちは、新オスティアへと戻ってきた。そこでアスナがネギへと二人きりで話がしたいと呼んだのである。

 

 

「話ってなんでしょうか? アスナさん」

 

「……」

 

 

 ネギはアスナが一人たたずむ、島の端へとやってきた。そこは何もない草原の先には、まるで世界がそこで終わっているかのように、その大地が忽然となくなっていた。いや、この場所は浮遊する島であり、最初からそこには足の踏み場などない。

 

 そして、その草原の終点の崖の下には白い雲が悠々と流れており、その先には白い雲に浮かぶオスティアの古都を眺めることができた。アスナはそのオスティアの古都を、懐かしむような、何やら思い込むような、そんな複雑な思いで眺めていた。

 

 そこへネギがアスナへ声をかけても、アスナは視線をオスティアへ向けたまま、動こうとはしなかった。

 

 

「アスナさん……?」

 

「ん、あっ、ごめん。なんでもないわ」

 

「二人きりで話したいとは一体どんなことなんでしょう?」

 

 

 ネギは儚い表情を見せるアスナに、もう一度声をかけた。

するとアスナはネギが来たことに気がつき、そちらを向いて小さく謝った。

 

 ネギはその謝罪を受け止め、今思う疑問をアスナへ話した。

二人きりでの話とは一体なんだろうか。珍しいこともあったものだと。

 

 

「そうね、まずは私の正体を先に話そうかしら」

 

「……? 正体……?」

 

 

 アスナはそのネギの問いに答え、ならば最初に話すべきことを話すと言った。

それは自分の正体、つまりこのオスティアのお姫様で、魔法世界の住人であることだ。

 

 だが、ネギは突然正体と言われてもよく分からない。

故に、ちんぷんかんぷんだと言う顔で、ぽかんとするだけであった。

 

 

「私はね、このオスティアのお姫様なのよ」

 

「……え? え?」

 

 

 アスナはその自分の正体を、疑問で頭がいっぱいのネギへと話した。

まるで世間話をするように、いつもの他愛のない会話をするように、それをネギへと教えた。

 

 しかし、ネギはそれを聞いて、さらに頭が混乱した様子だった。

いきなりここのお姫様だと言われれば、当然混乱もするだろう。

 

 

「やっぱり、そういう顔すると思った」

 

「え? あの、その……、それは本当なんですか!?」

 

「本当よ」

 

 

 困惑するネギを見て、アスナはクスりと笑った。

思ったとおり困った顔を見せたと。まあ、しかたないことかな、と。

 

 そこで混乱した頭を必死に整理しながら、ネギはそれが本当なのかをアスナへ尋ねた。

アスナはそれに即座に答えた。嘘偽りない事実であると。

 

 

「あ! そういうことだったのか……!」

 

「ん?」

 

「いえ、こっちの話です」

 

 

 ネギはそれを聞いて、ふと思い出した。

ラカンが言っていた”お姫様”と言う言葉を。さらにはそれを麻帆良祭の時、改変された未来でビフォアが言葉にしていたことを思い出したのだ。ああ、そういうことだったのか、ネギは一人納得し、小さく言葉を漏らしていた。

 

 が、アスナはそんなネギに、どうしたのだろうかと思った。

そんなアスナを見て、ネギははっとして、気にしないでほしいと話した。

 

 

「このことは、このかや刹那さんに楓ちゃん、それにいいんちょにも話してあるわ」

 

「今のことを教えたんですか……?」

 

「ええ、ここに来る少し前にね」

 

 

 今話したことは、木乃香たち4人、バーサーカーを含めたら5人にもすでに話したことであると、アスナはネギへ伝えた。

 

 ただ、ネギは今のことを4人に話したということに、多少驚いた様子を見せていた。

何せ結構重大なことなはずだし、あやかは本来一般人だったからだ。

 

 それでもアスナは、むしろすっきりした顔を見せていた。

アスナ自身それを話すと決めていたし、みんなそれを受けれいてくれたからだ。

 

 

「でも、ここからはこのかたちにはまだ話してないことを、ネギだけに話すわ」

 

「あの4人に話していないこと……?」

 

「そう……」

 

 

 だが、次に話すことは、先ほど名前を挙げた4人にも内緒のことだと、アスナは前置きをした。その言葉は普段のアスナの言葉よりも、少しだけ重い感じであった。

 

 今から話すことは、まずはネギに話すべきだとアスナは思った。自分の血族であるアリカの血を引く、その息子であるネギだからこそ話そうと思ったことだ。

 

 ただ、ネギはその4人にも話していない、重大なこととは何だろうかと考えていた。

すでにこの魔法世界の、このオスティアのお姫様と言うこと自体、かなり重要なのではないかと思っていた。しかし、それ以上があるとすれば、一体どんな秘密がアスナにあるのかと、ネギは思考していたのだ。

 

 そして、アスナは小さく息を吐き、少しずつ、多少重みのある言葉を述べ始めた。

 

 

「……私が黄昏の姫御子として……、この魔法無効化(ちから)を利用され続けていたということを……」

 

 

 アスナがネギのみに話す重大なこと、それこそ自分が黄昏の姫御子と呼ばれ、忌み嫌われていたことだった。自分が搭に幽閉され、魔法無効化の力を利用され兵器として扱われていたと言う、暗く哀しい過去のことだった……。

 

 

…… …… ……

 

 

名前 ロビンフッド

出典 史実

マスター ???(通称ダンナ?)

身長/体重 175/65

属性 中立・善

クラス アーチャー

ステータス

筋力 C 耐久 C 敏捷 B 魔力 B 幸運 B 宝具 D

 

クラススキル 対魔力 D 単独行動 A

 

保有スキル 破壊工作 A 黄金律 E

 

宝具

祈りの弓(イー・バウ)

ランク D 種別 対人宝具 射程 4~10 最大補足 1人

イチイの木から作り出された弓。

相手の腹にある不浄(毒)を増幅し流出、爆発させる。

相手が毒になってなければさほど効果が無い宝具。

ちなみにイチイの木から弓を作るという儀式は、森との一体化を意味する。

 

顔のない王(ノーフェイス・メイキング)

アーチャーが緑色のマントとして装着しているもの。

姿を消し、背景に溶け込む。また、切り取って使うこともできる。

 

 


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