「来て」
短い一言には、有無を言わさぬ迫力が備わっていた。
折紙の言葉に素直に従い、士道は彼女のあとを歩いていく。よしのんも、抵抗することなく彼の隣に並んでいた。
「入って」
しばらく歩いて、たどり着いたのはとあるマンションの一室。先日も訪れた、折紙の家だった。
『お邪魔するよーん』
士道が折紙の挙動を緊張した面持ちで見守る傍ら、よしのんは清々しいほどいつも通りだった。場の緊迫した雰囲気などまったくおかまいなしである。
「状況の説明を求める」
リビングに3人して座ったところで、折紙が鋭い目つきで尋ねてきた。当たり前だが、彼女の警戒の視線はよしのんに向けられている。
「順を追って説明していくぞ」
『士道くんはよしのんとデートしてたんだよねー』
「おいっ」
できるだけ彼女を刺激しないように言葉を吟味していこうとした矢先、なんとも身も蓋もないセリフがよしのんの口から飛び出してしまう。
「デート?」
ピクリと動く折紙の眉。
『ひょっとして君、士道くんの彼女さんかな? だったらごめんねー。よしのんがあまりに魅力的すぎるせいで、士道くん鞍替えしちゃったのかも。昨日も楽しくお話ししてくれたし』
「それはない。彼の好みは大人の色気。あなたには備わっていない。私を見捨てるようなこともしない」
なぜか会話の流れが修羅場っぽい雰囲気になっていく。これではまるで士道が二股をかけているようである。
「鞍替えとかなんの話してるんだ。そもそも、俺と鳶一はそんな関係じゃないって」
『なーんだ、そうなの』
「ごめんなさい。うっかり2年後の未来を想定して話してしまっていた」
「いやちょっと待て。2年後だと俺とお前は付き合ってるのか」
鳶一折紙という少女は若干不思議系なところがあり、時々話の内容についていけなくなってしまう。
「よしのん。ちょっとだけ静かにしておいてくれるか」
やんわり釘を刺してから、士道はここまでの経緯を丁寧に語り始める。
昨日の空間震が起きた際、よしのんと会って会話したこと。そして今日、彼女が空間震を起こさず現界し、士道と偶然鉢合わせになったこと。ゆっくり話し合おうとカフェに向かおうとした矢先、折紙と出くわしたこと。
「この子も十香と同じだ。むやみに人間を傷つけたりはしない。そうだよな、よしのん」
『ま、そだね。よしのんはいろんな人と楽しくおしゃべりしたいし! ……街を壊しちゃうのは申し訳ないと思ってるんだけど、よしのん自身もどうしようもないんだよね』
最後の方は、よしのんにしては珍しく元気のない声だった。というより、彼女のこういった話し方を、士道は初めて聞いた気がする。
「つまり、まだ霊力は封印できていない?」
「……そうだな」
「そう」
小さくうなずいた折紙は、品定めするかのような目つきでよしのんを見つめる。
「一般人が街にいる状況では、私もうかつに精霊に手出しはできない」
折紙の家に来る途中、琴里には現状を記したメールを送っておいた。士道が家を出た時にはまだ眠っていたが、さすがに11時ともなれば目を覚ましている頃だろう。
念のためにポケットに入れていたインカムも、今はきちんと耳にはめている。
「でもASTに連絡して、強引に空間震警報を出して住民を避難させることは可能」
「っ、それは……!」
まずい事態になったら連絡する。琴里にはそう伝えているが――
「ただ、話し合いが終わっていないのならそれまで待つ。早く霊力を封印するといい」
「……いいのか?」
「かまわない。ただし監視はさせてもらう」
どうやら、まだ助けを求める段階には来ていないようだ。
「ありがとう。鳶一」
「礼を言われるようなことではない」
ふっと表情を緩めると、彼女はおもむろに立ち上がった。
「お茶を淹れてくる」
台所に消える折紙の背中を見送ると、よしのんがパペットで士道の背中をポンポンと叩いてきた。
『なかなかレベルの高いクールビューティーだねえ。付き合ってないって言ってたけど、士道くんとはどういう関係なのかなあ?』
「教え子だよ。俺が学校の先生で、彼女が生徒」
『へー』
どうやらよしのんは、学校が何かを知っているらしい。精霊ごとに持っている情報量に差があるということを、士道はここでも実感した。
「よしのん。ちょっとお願いがあるんだけど、いいか」
『ん? なんだい』
相変わらず口を開くのはパペットだけで、よしのんの顔はぴくりとも反応しない。あまりに腹話術が徹底していることが気にかかるのは事実だが、今はもっと優先すべきことがある。
「もし、精霊の力と引き換えに人間の世界で生きていけるとしたら、どうする?」
『ほぇ?』
「こっちの世界とあっちの世界を行き来することもなくなる。街を壊すこともなくなる。いじめられることもなくなる。その代わり、霊力を全部失うってことだ」
よしのんの目をまっすぐ見つめて、士道ははっきりと言葉を紡いでいく。
「………」
いつの間にか紅茶を用意して戻ってきていた折紙も、黙ってそれを聞いていた。
『つまり、人間のみんなと一緒にいられるってこと?』
「そうだ。俺だけじゃなく、いろんな人と仲良くできる」
『……ぁっはっは! いいねそれ、わくわくするなあ』
カラカラと笑い声をあげるよしのん。士道が言った光景を想像しているのだろうか。
「俺なら、それができる。よしのんさえよければ、すぐにでもそうしたいと思っている。どうかな」
『もちろんオッケー! で、よしのんはどうすればいいの?』
「霊力を封じるためには……キスが必要なんだ。冗談みたいな話だけど、信じてくれるか」
文言だけ見ると、無垢な少女を騙していやらしい行為を要求する男のようだ。しかし断じて邪な感情はないので、何も気にする必要はないと士道は自らに言い聞かせる。
『キス? なにそれ』
「えっとだな、それは」
「唇と唇を重ねあう行為。本来は恋愛感情を示すものだけれど、今回はそうではないので勘違いしないように」
よしのんの疑問に答えたのは、士道ではなく折紙だった。無表情のままだったが、その声には妙に感情がこもっている。
『ふーん、それくらいなら全然できそうだねえ。じゃあ士道くん、さっさとやっちゃおうか!』
「お、おう。本当にいいのか?」
『へーきへーき。士道くんのこと、嫌いじゃないからさ』
そう言って、よしのんはパペットの口を閉じた。もう話すつもりはないらしい。
「よし、それなら」
意を決して、顔を近づけようとする士道。
「………」
だが、そんな彼をじーーーっと眺める折紙の視線が気になって、なかなか行動に移せない。
「あ、あのさ鳶一。よかったら、ちょっとだけ席を外してもらえると助かるんだけど」
「それはできない。私には〈ハーミット〉を監視する義務がある」
「いや、でもさっきはお茶を淹れに行ってたような」
「重要な行為をする際には、一時も目を離してはならない。そして、あなた達のキスを見て悔しさを胸に刻みこむ」
「く、悔しさ……?」
よくわからないが、この場を離れるつもりはないらしい。
折紙の説得を諦めた士道は、覚悟を決めてよしのんと向き合った。
「いくぞ」
ゆっくりと顔を近づける。
整った彼女の顔の、まつ毛の一本一本が見えるくらいになったところで目を閉じ、士道は彼女の唇にそっと触れた。
「………」
柔らかな感触が、自らの唇を通して伝わってくる。女の子特有の甘い匂いが、士道の鼻孔をくすぐった。
「………?」
だが、それだけだった。
十香の時に感じた、温かい何かが流れこんでくるような感覚は、一切ない。
そのことに士道が違和感を覚えていると、肩を何かに叩かれた。
『ちょっと士道くーん。キスをする相手って、よしのんじゃなくて四糸乃のことだったの?』
「えっ……?」
『確かに精霊の力の大本は四糸乃にあるんだけどさー、それならそうと先に説明してほしかったよね。肩すかし食らった気分だから、よしのんともキスしてもらおうかな』
そう言うやいなや、今度はパペットの口が士道の唇に軽く触れた。当たり前だが、霊力が封印された感触はない。
『これがキスかー。うん、満足満足』
「え、えっと、よしのん? 今、よしのがどうって」
よしのんの言動に困惑する士道は、彼女の言葉の中にあった知らない単語について尋ねた。
『うん? 四糸乃がどうかした?』
やはり聞き間違いではなく、彼女は『四糸乃』と『よしのん』という2つの言葉を使い分けている。
落ち着いてこれまでの発言を振り返り、士道はおそるおそるパペットに視線を向けた。
「君が、よしのん」
『なーに士道くん? 今さら当たり前のこと確認するなんてさ』
続いて彼は、フードを被った感情のない少女に目を移した。
「君が、四糸乃?」
『そうだよー。四糸乃とよしのんはいつも一緒なんだー』
「………」
どういうことだ、と頭を抱えたくなる。
あのウサギは、どこからどう見てもただのパペットだ。声だって、口は動いてなくても少女の方から出ているのは明白である。
今までずっと、ただ腹話術を使っているだけだと士道は考えていた。
だが、よしのんのセリフがあまりに真に迫りすぎている。これではまるで――
「〈ハーミット〉」
その時だった。
今まで事態を静観していた折紙が、立ち上がってよしのん……と、四糸乃のそばまで移動し、両膝をつく。
『鳶一折紙ちゃんだっけ? 〈ハーミット〉じゃなくて、よしのんにはよしのんっていう可愛い名前が』
「借りる」
なんの前触れもなく、折紙はひょいっとパペットを少女の手から抜き取った。
「っ!?」
よしのんの言葉は途中で止まり、無表情だった彼女の様子が一気に乱れる。
「……か、かえして……かえして、くださいっ」
あっという間に目尻に涙が溜まり、必死の形相でパペットを取り戻そうとする。
「返す」
そんな彼女の姿を見て、折紙は素早くパペットを元の位置に戻した。
少女の体がぴくんと跳ねて、途端に感情が消え去る。
『もー、ひどいよ折紙ちゃん! 可愛いレディーの体をぞんざいに扱うなんて、いくら温厚なよしのんでも怒っちゃうよ?』
ぷんすかと両手をバタバタさせるパペットを尻目に、折紙は士道の方に向き直る。
「これでひとつの仮説が立った」
「仮説?」
聞き返す士道に対し、彼女は淡々と言葉を続けた。
「〈ハーミット〉は、多重人格」
「………!」
それは、士道が考えていた答えのひとつでもあった。
パペットが『よしのん』と名乗り、まるで意思を持っているかのように振る舞う。
そのパペットが体から離れると、『四糸乃』が異常なほどに取り乱す。
まるで、四糸乃とよしのんの2人の心が存在しているみたいだと、彼は感じていたのだ。
「五河先生。霊力の封印には成功した?」
「……いや、多分できてない」
「以前あなたは言っていた。キスをする際に、精霊がある程度こちらに心を開いていなければ、力を封じることはできないと」
よしのんの態度を見る限り、十分士道に心を開いてくれていたはずだ。昨日の段階で、琴里もキスまで行けるかもしれないと言っていた。
なのに、実際はキスをしても何も起こらなかった。
それが意味することは。
「あなたが仲良くなったのは、作られた人形の人格。彼女の本来の人格は、心を開いていない」
*
折紙の家を出たところで、インカムから聞きなれた声が響いてきた。
『やっとつながった……! 士道、今の状況は? 大丈夫なんでしょうね?』
「琴里。ああ、大丈夫だ。さっきまで鳶一の家にいたんだが、今は外にいる」
『そう……さっきまでジャミングを受けてて、通信ができなかったのよ』
「ジャミング?」
『鳶一折紙の家にいたのよね? ASTの隊員は危機管理が徹底してるのね』
感心したように語る琴里。士道はそれを聞きながら、前を歩く2人の少女を眺める。
雨は相変わらず降り続いており、折紙もよしのんもそれぞれ傘をさしていた。よしのんが持つ傘は、折紙の家に残っていたのを借りたものである。
『それで? 今何してるの』
「3人でオーシャンパークに行く途中」
『……はあ?』
士道の発言が理解できなかったのか、琴里が困惑した声をあげる。
『オーシャンパークって、遊園地の名前よね。3人って、士道とよしのんと鳶一折紙で?』
「おう」
そこまで言って、士道は正確には3人ではなくて3人と1羽であることに気づいた。
『何がどうなってそういう状況になったのか、手短に説明してもらいたいものね』
「まあ、いろいろあってな。事情は説明するから、もう少し俺に任せてくれないか」
『士道くーん! さっきから何をぶつぶつ言ってるの?』
こちらを振り向いたよしのんが、士道のもとに近づいてきた。
『……こっちも大至急カメラを送るから、よしのんと話してあげなさい』
「わかった。サンキューな」
いったん琴里との会話を打ちきり、よしのんに視線を合わせる士道。
「なんでもないよ。遊園地はもうすぐだから、楽しみにしておいてくれ」
『遊ぶための場所だなんて、まさによしのん好みと言うしかないんだよねー』
天気は悪いものの、オーシャンパークは屋内施設も充実している。半日遊ぶには十分なはずだ。
「仕事は、しょうがないけど明日にまわすか」
午後から高校に向かう予定だったが、致し方ない。
絶対に今日仕上げなければならないわけではないし、誰かと一緒に行う作業なわけでもない。
休んでも問題ないと、そう士道は判断した。
*
『おおーー!! すごいねこりゃー!』
入場門をくぐるや否や、よしのんが両手を高く上げて興奮を表現していた。四糸乃の方は、やはりなんのリアクションも見せてはいない。
「鳶一は、ここに来たことあるのか?」
「ない。遊園地自体、小さい頃に何度か行っただけだから」
「そうか。じゃあ、今日は鳶一も案内してやらないとな」
士道は家族と一緒に遊びに来たことがあるので、だいたいの施設は把握している。
『ねえねえ、最初はどこに行くの? よしのんはあっちのお城みたいなところを希望するんだけど!』
遊園地を前にしてはしゃぐよしのん。こんな姿を見てしまうと、どうしても言いづらくなってしまうが……仕方がないと、士道は口を開いた。
「よしのん。本当に悪いんだけど、しばらく四糸乃と離れて俺と一緒にいないか?」
『……えぇ?』
予想外の提案だったのだろう、よしのんは口をあんぐりと開けたまま固まってしまう。
だが、士道はそのためにオーシャンパークにやって来たのだ。
『四糸乃は恥ずかしがり屋さんだから、よしのんがついていないと駄目なんだよー』
「それはわかってる。でも、俺はよしのんだけじゃなくて四糸乃とも仲良くしたいんだ」
折紙が見守る横で、士道は優しくよしのんに語りかける。
四糸乃が他人とのコミュニケーションを苦手にしているであろうことは、彼女の人格が顔をのぞかせた時の反応を見てなんとなく予測がついていた。
他人と接する怖さが、遊園地の楽しさで少しでも紛れれば……そう考えて、士道はこの場所を選んだのである。
『士道くん……』
「どうしても無理になったら、すぐによしのんを四糸乃のそばに連れて行く。それは約束するから」
霊力を封印するためには、四糸乃に心を開いてもらう必要がある。そのためには、多少荒療治になるが彼女とよしのんを引き離すしかない。
こればかりは、真摯にこちらの気持ちを伝えるしかないと士道は考えていた。
「お願いだ。きっと、四糸乃とよしのんのためにもなることだから」
『……そこまで言うんなら、わかった。でも、四糸乃を泣かせたら許さないよ?』
「もちろんだ。ありがとう」
真面目な口調のよしのんの言葉にうなずき、礼を言う。
『まさか、二重人格の精霊とはね……』
インカムから聞こえる琴里の声からは、若干不安が感じとられた。士道がうまく対話できるか、心配なのだろう。
だが、やるしかない。一度大きく深呼吸してから、士道はよしのん――パペットを、四糸乃の手から取り外した。
「………! ひぅっ」
その瞬間、おびえた表情を浮かべるひとりの少女の人格が現れた。
士道の手にあるよしのんに一瞬手を伸ばしかけるが、彼女が自らの意思で離れたことを知っているのか、取り戻そうとはしなかった。
「落ち着いて、怖がらなくても大丈夫。誰も君をいじめたりしないから」
「うぅ……ひぐっ」
「俺は士道。五河士道だ。よろしく」
ゆっくりと、怖がらせないように語りかける士道。
しかし四糸乃は涙を浮かべ、明らかに冷静さを失っているままだった。
「………さい」
「え?」
「……聞かせて、ください。よしのんの、声……かえしてとは、言いませんから」
よしのんの声は、今まで四糸乃自身が出していたはず。なのに、彼女はその声を聞かせてほしいと言う。
やはり、四糸乃はよしのんという人格の存在を本気で信じているのだ。
「えーっと」
とはいえ、それがわかったところでどうすればいいのか。
困った士道は、いろいろ考えた末……よしのんを左手に装着した。
「は、ハァイ四糸乃! よしのんだよー?」
できるだけ高い声を意識して、よしのんを演じてみたところ。
「えぐっ、えぐっ……よしのんじゃない……!」
しゃくりあげる声が余計にひどくなってしまった。
「だ、駄目か」
『当たり前でしょ馬鹿士道。あんなかけらも似てない野太い声でごまかせるわけないでしょうが』
琴里にお叱りを受けてしまったが、だからといって他に妙案も浮かばなかったのだ。
このままでは早々によしのんを返さなければならなくなるが――
「貸して」
ひょいっとよしのんが取り上げられたかと思うと、次の瞬間には折紙の左手に収まっていた。
「と、鳶一?」
無表情のまま、彼女は泣きじゃくる四糸乃の前で中腰になる。
視線を合わせると、ぐいっとよしのんを突き出した。
『ほらほら、そんなに泣いてちゃだめだよー? よしのんはちゃーんと四糸乃のことを見守ってるからね。笑って笑って!』
「あ……よしのん……っ!」
「うまっ!?」
甲高い声は、まさしく本物のよしのんのそれにそっくりだった。しかも折紙の口がまったく動いていない。四糸乃に負けず劣らずの、完璧な腹話術だった。
「よ、よしのん、私……」
『士道くんはいい男だから、心配しなくても大丈夫! 楽しんでおいでよー』
「う、うん……!」
……しかし、滅多に感情を表に出さず、一部では『鳶一・コキュートス・折紙』とまで呼ばれている彼女があんな陽気なトークを展開していると思うと、猛烈な違和感が襲ってくる。
『やるじゃない、彼女。士道より役に立つわね』
「とりあえず、これで遊園地をまわれそうだな」
彼がほっと一息をついていると、折紙と四糸乃が並んで歩いてきた。
「ありがとう鳶一。助かった」
「この場で彼女の感情を乱して、下手に暴れられても困る。それだけ」
「それでもいいさ」
士道がお礼を言うと、折紙は少し考えるような素振りを見せてから、パペットをつけた左手を顔の前に掲げた。
『士道くん士道くん』
「ん?」
折紙、もといよしのんが士道を呼んだかと思うと、彼女はなぜか折紙の胸をぺたぺたと触り始めた。
『四糸乃よりも折紙ちゃんの方がおっぱい大きいよー』
「ばっ……よしのんで遊ぶな!」
カラカラと笑うよしのん。これ、本当に折紙が声をあてているのかと、思わず疑ってしまう士道であった。
ASTのエースクラスともなると、腹話術くらい余裕でできるはず。
よしのんを装着した折紙の姿を想像したら可愛らしかったので、そこからこの展開を思いつきました。
雨の中ではありますがJK(教え子)とロリとの遊園地デートです。ハーレムですね。
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