【凍結中】ペルソナ4 ~静寂なる癒しを施すもの~   作:ウルハーツ

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今回はいつもの半分くらい……申し訳ないです。


自称特別捜査隊 場所を掴む

 9月19日。放課後。この日、敬老の日で学校は休み。その為朝から悠達は零の情報を仕入れるために集まっていた。悠たちは既に直斗の情報については仕入れている。今回の事件にかなり執着し、警察と共に捜査していたにも関わらずその熱意とは裏腹に警察では子供扱いされていたとの事。その情報だけでもかなり直斗について理解が出来る悠たち。残るは零の情報のみなのだが、学校で零のことを知っているのは恐らく悠たちのみ。唯一の手がかりは今日辰姫神社に来る可能性がある零と意思を交わしていたと言うお爺さん。

 

 零の昔を知っている雪子・完二・りせとリーダーの悠の計4人にお爺さんの方を任せて陽介と千枝はそれぞれ再び彼方此方に聞き込みを開始する事を決定し、悠たちは辰姫神社に。陽介・千枝は別の場所に向かって行動を開始する。

 

 悠達が辰姫神社に辿り着けばすぐに何時もとは違う違和感を感じる。辰姫神社は無人だった時が長かったせいか、それとも零の存在が余りにも静か過ぎたせいで気づかれていなかったのか分からないが、非常に何時もと変わらない雰囲気であった。子供が遊んでおり、それを1人の老人が見ている。しかしその【何時通り】に悠達は少し違和感を感じてならなかった。

 

 子供を見ているお爺さん。恐らく目的の相手はあのお爺さんなのでは? と悠達は集まって話し合いを始める。と、お爺さんが小さく呟いたのが全員の耳に入った。「今日は居ないようじゃな」と言うお爺さんの呟きが。その呟きを聞き、その居ない相手が零のことであると4人はすぐに確信する。そして話しかけることにした。

 

「あの、すいません」

 

「? やや! 天城屋旅館の娘さんじゃな。零ちゃんとは再会出来たかの?」

 

「あ、はい」

 

 雪子が話しかければお爺さんは顔を上げた後、雪子の顔を少し見た後に質問する。雪子はその通りのため、答えると悠達を見た。やはり昔から一緒に居た存在ならば好印象。もしも悠・陽介・千枝の3人だった場合、零のことを聴いたとしても怪しまれる可能性がある。が、仲が良かったことを知っているならば変に怪しまれる可能性はほぼ0だろう。

 

「あの、姫ちゃんに付いて聞きたいんです。何か抱えてるとか、何か隠してるとか。何でも良いんです」

 

「むむ? それならば昔からの付き合いである主等の方が詳しそうじゃが……むぅ」

 

 お爺さんの言うことも尤も。昔遊んでいた雪子達の方が零については詳しいだろう。しかし現に零のことで分からないことがあるせいでこうやって情報を集めているのだ。悠たちの誰もが知らない零が居るのは確実。しかしお爺さんは悩み続けており、中々思いつかない様であった。そして全員が諦め掛けたとき、お爺さんが顔を上げる。

 

「零ちゃんのことでは無いのだがの、零ちゃんが引っ越した理由は主らも知らぬじゃろう。友ならば支えてやってくれると安心できるわい」

 

「姫先輩が引っ越した理由」

 

「姫先輩、俺達に何も言わずに居なくなっちまったっすもんね」

 

「何も言わなかったのではない。【言えなかったのじゃ】」

 

 お爺さんの言葉に悠以外の3人は首を傾げる。悠は3人に気を利かせて少し離れた場所で話を聞いていた。

 

「零ちゃんが引っ越したのは彼女の親父さんが亡くなっての。母親1人では生活が厳しいと感じたのじゃろう。叔母の住む実家の方に帰ったのじゃよ。じゃがの……母親のお姉さん。つまり零の叔母さんじゃの。は零ちゃんのことを嫌って居ったのじゃ。【災いの子】と呼んでの」

 

「! それってもしかして……」

 

「お嬢ちゃんの考えてる通りじゃよ。幼い頃から何度も言われて居たのじゃろうな。泣いている所を見たこともあったが主らと関わる頃には彼女は笑わなくなってしまったのじゃ。もしも彼女が叔母の場所にずっと住んでいたとすれば想像するだけでも怖いことが起こっていたじゃろうな。とうとう喋らなくなってしもうたのにはわしも驚いた。声が出ない……のかの?」

 

「そうでは無いみたいなんですが、姫ちゃん自身が喋ろうとしないんです」

 

 雪子の言葉を聴いてお爺さんは考えた後、「恐らく彼女にもう親族は居ない。支えてやってくれ」と言うと子供に声を掛けて辰姫神社を去って行ってしまう。黙り込んでしまう3人。悠はそんな3人を静かに見守りながらも近づき、いつでも話しに参加できる位置に移動する。

 

「私、気になってた。テレビの中に映るのはもう1人の自分で心にあるもう1つの思い何でしょ?」

 

「急にどうしたんだよ? そんなの今更……お、おい待てよ! それだと」

 

「そんな訳無い! だって姫ちゃんは……」

 

「でも姫先輩テレビで言ってた。【私の【死】についてを送る予定】って。【【死】によって【救われる】事を】って。思いたくないけどあの言葉の意味ってそうとしか思えないよ!」

 

「死ぬことで辰姫は何かをしたいのか?」

 

「ふ、ふざけんな! 死んだら何も出来ないじゃねぇか! 絶対、絶対に姫先輩は死なせねぇ!」

 

 誰も居なくなった辰姫神社で話し合い、出た結論に完二が怒りを爆発させて言う。そしてその言葉にその場に居る全員が頷くと、手に入れた情報を伝える為に陽介と千枝に連絡を取って集まることにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 テレビの中に入り、再びりせに2人の場所を確認して貰う。と、りせは集中していた顔を笑顔にして「見つけたよ!」と大きな声で言う。が、その次に何かに驚いた様に「なに……これ」と続けた。そしてりせの作業が終わると全員はすぐにりせに駆け寄る。

 

「見つけたんだな!」

 

「う、うん。直斗君も姫先輩も。だけど……1箇所だけかなり遠くて、それで居て物凄く怖いの。何か、近寄っていい場所じゃないみたいな。入ったら無事では帰ってこられない見たいな。そんな雰囲気が」

 

「ちょ、ちょっと! 大丈夫なの!?」

 

「大丈夫でも大丈夫じゃなくても行かなきゃ助けられないよ」

 

「うん。でもあそこは後の方が絶対に良いよ。準備しても今の私達じゃ危険すぎると思うから」

 

「なら毎日入って特訓するっすよ! 良いっすね、鳴上先輩!」

 

「あぁ、来れる日は出来る限り来よう」

 

「ま、毎日クマか!? むぅ、これもヒメちゃんを助けるためクマ! 頑張るクマよ!」

 

 りせの忠告に完二は悠に言い、悠はそれに答えるとクマは驚いた後にその場で腹筋を始めながら言う。そして全員は頷き会うと悠に視線を向ける。悠はしばらく考えた後、「行こう!」と言ってりせに先ほど言っていた場所では無いもう1箇所の場所を目指して行動を開始するのだった。


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