異世界より”超高校級”が参戦するようですよ! 作:ヤッサイモッサイ
ロンパロンパロンパ!それは違うぞ黒ウサギ!
「おいおいいくら水も滴るいい男って言ったって限度ってもんがあるぞ。クリーニング代位は出るんだろうな?」
「アハハー善処させて頂きます…………って今のは黒ウサギ関係無いですよ!?自業自得です!」
「俺は不可抗力────」
「ここまで来た時点で同罪です!」
「裁判ちょー、執行猶予を求めまーす。」
「そんなものありません!即効ギルティです!!」
なんでかはわからないけど何かこう…………黒ウサギって左右田と同じ感じがするんだよな。
弄りたくなるっていうか。まぁ今のは違うけど…………。
「なんにしてもお二人が無事で良かったです。とりあえず私は蛇神様からギフトをもらってきますね。試練…………とは行かなかったみたいですが勝者は十六夜さんですし蛇神様も文句はないでしょう。」
「あぁ?」
「神仏とギフトゲームを競い合う時は基本的に三つの中から選ぶんですよ。最もポピュラーなのが“力”と“知恵”と“勇気”ですね。力比べのゲームの際は相応の相手が用意されるものなんですが………十六夜さんはご本人を倒しましたから。きっと凄いのを戴けますよー。これで黒ウサギたちのコミュニティも今より力をつけることが出来ます♪」
そう小躍りしながら黒ウサギがプカァと浮かぶ蛇へと近寄る。
何だかはワカラナイが蛇がウサギを丸呑みにするという妙に生々しい映像が脳裏に浮かぶ。
なんにせよご機嫌な黒ウサギだが、そんな黒ウサギとは対象に蛇神を倒した当の本人、十六夜は機嫌が悪そうだ。
その理由は良く分かる。
分かるからこそ…………俺は見逃すわけには行かない。
「なぁ十六夜。」
未だに治まらぬ高揚に何処か自分の体が自分のものじゃないかの様な感覚を受けるがそんな奇妙を差し置いて明確な疑問を口にする。
「俺たちはどうするべきなんだろうな?」
強者ゆえの選択肢を持つゆえの傲慢な発言。
そんな言葉かスラリと出てくる時点で…………否、友人の力を使えている時点で間違いなく自身の身に何かが起きている。
本来の日向に水弾を切り裂くような才能はない。ましてやその後ろにある湖をあまつさえ木の棒程度で切り裂くなんてことは逆立ちしたって不可能だ。
今さらになって考えないようにしていた事実が日向を襲う。
それを含めての”解”を…………十六夜に求めていた。
無論理解しているとは思っていない。
「黙ってるわけにも行かねえだろ。せっかく見つけた楽しみをそんなつまんねぇ事で台無しにされたくないしな」
そう言う十六夜は心の底から白けたようで、いつも不敵に浮かべていた笑もなりを潜めている。
「結局は黒ウサギの対応次第ってこった。」
「それでもつまらなかったら去るんだろ?」
「当然。逆に日向、お前はどうするんだよ?」
俺はその答えを聞きたかったんだけどな。
俺は十六夜のようには考えられない。
正直帰りたいし何故か使えると確信しているみんなの才能もなぜ使えたのかわからない俺が役に立つとは思えない。
俺の目標は纏めれば仲間の復活と世界の再興…………それに尽きる。
自分の事もできないのに他人を…………ましてや異世界のことを気遣ってる余裕は正直ない。
(それでもそう簡単に切り捨てられるとは思えないんだよな。)
もう自分でも認めてしまっているのだ。
別にともに戦ったわけでも無く、癖の強過ぎるお世辞にもいい奴らとは言い難い十六夜達を…………
「仲間…………だからな。」
仲間だと認めてしまった。
快楽主義で言動の一挙一動全てが人の神経を逆なでするがそれでも常に物事に真剣に向き合っている十六夜
言葉がキツくプライドの高い問題児の中でもダントツの高潔さを持つがそれ故にそれ以上の正義感を持ち悪を許せない真っ直ぐな飛鳥
口数が少なく、またコミュニケーションの取り方も少し独特ながら行動の節々に俺達に対する気遣いが見え隠れする優しい心を持つ耀
打算を含んでこそいるとはいえ俺達のような問題児を纏め、時には怒り、そして思いっきり心配してくれる黒ウサギ。
まだ俺はこっちに来てそんなに時間もたってないし会ったのだってたったの四人だけ…………だからこそ、
「見捨てたくないんだよ。仲間を疑う事はしても───仲間を裏切ることも、仲間を憎む事も、仲間の犠牲に泣く事もしたくない。」
だからこそ───
「もしもなんて無い。確かに今の黒ウサギは信用ならないけど…………俺は信用したい。信頼できるようになりたいんだ。」
「現実は理想論じゃ語れないぜ?」
…………ロマンチストがよく言うよ。
「だからこそ───俺は疑うよ。信用するためにも。仲間だからこそ────俺は疑うことをやめない。」
俺は何やら笑顔で植物の苗らしきモノを受け取る黒ウサギを見てそう言い切る。
十六夜はそんな俺に呆れたのか…………それともまた面白いとでも思っているのか。再び不敵な笑みを顔に戻して口癖のようにこう締めた
「やっぱ面白いな…………。」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「見てください十六夜さん、日向さん!こんなに立派な水樹の苗を頂きましたよ!これで水に困ることもなくなります!!」
悪い事なんて何も起らないと確信しているかのような笑顔で黒ウサギはそう言った。
「そうかい。んじゃ、いいことついでに一つ教えてもらってもいいか?」
「はい?何でございましょう♪この黒ウサギに答えられることでしたら何でも───」
「お前、何か決定的なことを俺たちに隠してるよな?」
そんな笑顔が凍り付く。
何度も何度も見てきた表情…………人が………絶望に飲み込まれる時に決まってするあの顔だ。
「な、何のことでしょう?箱庭のことならばお答えすると約束しましたしゲームの話もしました。黒ウサギが皆様に隠す事なんて何も───」
「『それは違うぞ黒ウサギ。』」
十六夜と黒ウサギの問答に割り込んだ俺の声はその声量に合わず静かな森の中にどこまでも響きわたっていった。
いいなれたこのセリフ…………仲間を助けることもあれば死地に送り出すこともあったこの言葉は…………この世界ではどちらへ機能するのか。
「隠す事ならあるはずだ。」
セリフを奪われたにも関わらず口を挟まぬ十六夜は既に静観モードの様で、火付け役の癖に一歩下がって黒ウサギをじっと見つめている。
そこに軽薄な色はもはや無く、何処までも真剣な面持ちで話の進展を待っていた。
「だ、だから何が「コミュニティのことだよ。」───え?」
俺の言葉が紡がれ、打ち出される度に黒ウサギの表情はあの醜悪な裁判所に立った仲間達のそれをなぞる様に変化する。
「黒ウサギ…………なんでも答えてくれるというなら教えてくれないか?
”なんでお前は俺達を呼んだんだ?”」
「そ、それは…………みな様をぜひこの世界に招待したく───」
「おい、黒ウサギ。正直に言えよ。そうじゃなけりゃ俺はお前のコミュニティには入らない。」
「そんなっ!!?ちょっと待ってください!」
「黒ウサギ…………正直に言ってくれ。お前は何を隠してるんだ?」
俺たちの追求に口を開いては閉じるを繰り返す黒ウサギ。
そこには先程までの元気な姿は見えず…………見えない何かに怯えるような…………元来のウサギが肉食獣や狩人に恐怖するときの姿がそこにはあった。
だがそれではダメだ。
十六夜は躊躇い無く切り捨てられる。
それはある意味当然だし何も悪くは無い…………でも俺の個人的な感情でそれは許せない。
十六夜が他に行くかどうかは…………十六夜本人がちゃんと現状から判断すべきだ。
間違えてもこんな別れ方は許せない。
「もしかしたらだけど…………黒ウサギのコミュニティは限りなく弱小な、もしくは訳あって衰退したコミュニティ………だったりするんじゃないか?」
そんな俺の言葉に黒ウサギは目を見開く。
「これが最後のチャンスだ黒ウサギ。俺も日向も大体の推測はできている。お前が俺たちに隠していることを────しっかり話せ。」
黒ウサギは俺達に箱庭のことを説明するときもコミュニティの部分はやけに必死だった。
十六夜のおふざけに対する返答もやけに余裕がなかったし水神からギフトをもらった時の発言も余裕のある者のする内容ではなかった。
はじめからヒントは有ったんだ。
「…………話せば協力していただけますか?」
黒ウサギの観念したかのような…………それでもまた別の希望を捨てきれないと言った姿勢が俺の心を揺さぶる。
「おう、面白ければな。」
刺激や自身の好みで行動できる十六夜とは違い俺は即断ができない。
「俺は…………。」
ためらう理由ならそれこそいくらでもある。
自身が元の世界でやらなければならない事があるというのもそうだし自身の体の異変もそうだった。
帰らなければ元の世界の仲間を捨てることになり帰れば黒ウサギ達を捨てることにもなる。
帰れる帰れないは別にしてそういう選択をした時点で俺はどちらかを捨てた事になる。
────それだけはしたくなかった。
してはいけなかった…………。
「日向、お前は何がしたい?」
「は?いきなりなんだよ。」
いつまでも俺が返事を返さないことに痺れを切らしたのか十六夜がそう聞いてくる。
「お前が何を悩んでんのか俺にはわかんねぇけどよ。お前って結構ロマンチストだろ?自分で言うのもなんだが俺は快楽主義者だ。だから世界の果てが見たいってだけでここまで来た。お前もそうだろ?ロマンがあるからここまで来た。」
───あ………………そうだ。
「この選択とさっきの決断は何が違う?何が縛るってんだこんな何でもアリの世界で。」
「十六夜さん…………。」
「好きに選べよそんくらい。最善の決断が出来ないなら、自分にとっての最高を選べ。」
…………それもそうだ。
考えるのをやめれば死ぬ…………そんな世界だった。
でもだからって考えるだけで生き残れる世界じゃなかった。
(仲間を信じる…………か。さんざん疑ってようやく信じられた仲間たちを疑うなんて俺もどうかしてたな。)
「俺は黒ウサギを疑ってる。だから信じられたなら…………面白かったなら手伝ってやるよ黒ウサギ!」
こんな世界で俺が役に立てるのかはわからない…………それでもできることはある。
立ち止まる理由にはならない。
あの絶望的な世界でも前を向けたんだ…………今度だって
(それができない筈がない!)
「…………そうですね、それでは黒ウサギも腹を括ってせいぜい面白可笑しくコミュニティの惨状を語らせていただきます。」
黒ウサギも声色こそ下がったままだが顔には若干の余裕が戻ったようだ。
ていうかやっぱり惨状なんだな。あれだけ言っておいて外したら赤っ恥なので安心…………というのは不謹慎だが少しホッとしたのも事実だ。
「まず私達のコミュニティには名乗るべき“名”がありません。よって呼ばれる時は名前の無いその他大勢…………“ノーネーム”という蔑称で称されます」
「名前が無い……ってそれコミュニティっていうのかよ。」
「だからこそのその他大勢扱いなんだろ。それで?」
「次に私達にコミュニティの誇りである旗印もありません。この旗印というのはコミュニティのテリトリーを示す大事な役目も担っています」
「…………それで終わりか?」
まぁ確かに国を名乗るのに国名も国旗も無かったら話にならない。
なんでそうなったのかは…………ギフトゲームなんだろうけど…………どこのどいつが国名と国旗を賭けに出すんだ。そんなの侵略されたのと同じだろ。
だが黒ウサギの”惨状”語りはまだ終わらない。
「いえ、“名”と“旗印”に続いてトドメに、中核を成す仲間達は一人も残っておりません。もっとぶっちゃけてしまえば、ゲームに参加出来るだけのギフトを持っているのは現コミュニティメンバーの一二二人中、黒ウサギとジン坊っちゃんだけで、後は十歳以下の子供ばかりなのですヨ!」
───国民もいなかった!?
「もう崖っぷちだな!」
「それでコミュニティを名乗れるのが俺には一番の不思議だ。」
「ホントですねー♪コミュニティとは名ばかりのごっこ遊びが適してるかもしれません♪」
「名ばかりというかその名前がないんだけどな!」
俺達の素直な感想にガックリと肩を落とす黒ウサギ。
なるほどな…………確かに手を借りたいというのもわかる。
聞けば聞くほどに黒ウサギのコミュニティ、『ノーネーム』とやらは組織とは言えぬ有様で絶望的だ。
だが気になるのはなぜそこまで絶望的にならざるを得なかったのか。
仲間の件は置いておいても旗印と名前は賭けなければいい。
やむを得ずかけなければならない状態になるほど崖っぷちのコミュニティならば今度はこだわる理由がない。
なにせ一度解散させてまう一度作り直す、もしくは他所に引き取ってもらえばいいのだから。
他のメンバーがどうあれ仮にも神といわれる存在を圧倒した十六夜に追いつく力を持つ黒ウサギならそれはそう難しくはない筈なのだ。
「で、どうしてそうなった?黒ウサギのコミュニティは孤児院か何かか?」
俺と同じ結論に至ったらしい十六夜の言葉が黒ウサギに先を促す。
だがその質問に黒ウサギは一気に顔を暗くする。
先程のような自嘲をすることすらできないほどに思いつめた…………真の絶望の顔で首を横に振る。
「いいえ…………彼らの親は奪われたのですよ。名前も旗印も仲間も何もかもが奪われたのです。…………箱庭を襲う史上最悪の天災…………《魔王》によって」
…………魔王というとあれか?ゲームなんかのラスボス的な…………さすが異世界。
でもある意味前の世界でも魔王的なやつはいたか。
まぁ倒したのは俺らじゃないしむしろ復活させかけたのが俺らなんだけどな。
「ま…………魔王!?」
絶句する俺とは違いむしろ子供のように目を輝かせて身を乗り出す十六夜。
本当にそういうところはすごいと思う
「魔王!なんだよそれ超カッコイイじゃねぇか!なんだよ、箱庭にはそんな素敵ネーミングで呼ばれてるやつらがいるのか!?」
「え、ええまぁ。けど十六夜さんが思い描いている魔王とは差異があるかと……」
「そうなのか?けど魔王なんて名乗るんだから強大で凶悪で、全力で叩き潰しても誰からも咎められることのないような素敵に不敵にゲスい奴なんだろ?」
「十六夜…………流石にそんな横暴な奴らがいたら互いに衝突しあって勝手に潰れてるんじゃないか?」
「ま、まぁ……倒したら多方面から感謝される可能性はございます。倒せば条件次第で隷属させることも可能ですし…………日向さんの言うこともごもっともなのですがこの場合は少し事情が違うんです。」
「へぇ?」
事情が違う?…………というか隷属ってことは
「前例でもあるのか?」
「えぇと、まぁ。その通りでございます。……魔王は“主催者権限”という箱庭における特権階級を持つ修羅神仏で、彼らにギフトゲームを挑まれたが最後、誰も断ることが出来ません。私達は“主催者権限”を持つ魔王のゲームに強制参加させられ、コミュニティは………コミュニティとして活動していく為に必要な全てを奪われてしまいました。それまでは私達のコミュニティにも仲間になった元・魔王は居たのですが…………」
「奪われた…………ってか?」
「そのとおりでございます。」
悔しそうに、そしてそれよりも悲しそうに悲痛な姿で黒ウサギは話し続けた。
おかげで状況はよく理解できた。
黒ウサギのコミュニティは降りることが許されない賭け金エンドレスレイズのノーリミテッドポーカーを挑まれ…………負け続けた…………そう言う事なんだろう。
笑えないな。
「でもそれならコミュニティに”新しい名前”と”新しい旗印”を付ければいいんじゃないのか?コミュニティへの所属が前提の世界でそんな理不尽存在が居るってことはその後のリカバリーだってあるはずだろ?」
「そ、それは…………。」
言いよどむ黒ウサギ。
その様子だと出来ないと言うよりかは…………
「またなにか事情があるってことか。そしてそれこそが黒ウサギが俺たちを呼んだ理由な訳だな?」
十六夜の言葉に無言で黒ウサギが頷く。
「コミュニティの”名”と”旗印”を新しく申請することは可能です。…………でもそれは実質的にコミュニティの解散を意味します。」
そこまで言われれば俺達にも話が読めてくる。
結局のところ黒ウサギは嫌なのだ。
魔王に仲間を奪われて、悔しくて、それで俺たちを呼ぶほどに必死になった彼女はコミュニティを…………失いたくないらしい。
「それではダメなんです。私達は…………何よりも、仲間が帰ってくる場所を守りたいのですから!」
それが願い。
それが黒ウサギたちの希望。
「茨の道だと言うのは分かっています。けど私達は仲間が帰る場所を守りつつ、コミュニティを再建し……何時の日か、コミュニティの名と旗印を取り戻して掲げたいのです。そのためには十六夜さん達のような強大な力を持つプレイヤーを頼るほかありません!どうかその強大な力、我々のコミュニティに貸していただけないでしょか………!?」
こんな時アイツならどうしたんだろう。
誰よりも希望に憧れて…………焦がれて死んでしまったあの幸運を持つ男はどう思うんだろう?
希望は尊い。
ギフトを希望だとは思わないが黒ウサギが掲げる物も十六夜達も間違いなく希望だと思う。
だからこそ俺の答えは一つしかない。
「……ふぅん。魔王から誇りと仲間を、ねぇ?」
そんな俺の決意とは対象に淡白な返事を返す十六夜。
あれ?そう言うのは十六夜の好みだと思ったのだが…………俺の勘違いか?
王道熱血モノとか好きそうなんだけどなぁ。
そんな風に内心どうやって黒ウサギをフォローするか考え始める俺に予想外の言葉が飛び込んでくる
「いいな、それ。」
……………………………。
「「────は?」」
「HA?じゃねぇよ。協力するって言ったんだ。もっと喜べよ黒ウサギ」
「え…………あ、あれれ?今の流れってそんな流れでございましたか?」
「俺にもそう聞こえたぞ!?一瞬ダメかと思ったんだよ!」
「何だよその反応。それとも俺がいらねぇのか?失礼なこと言うと本気で余所行くぞ」
「だ、駄目です駄目です!絶対駄目です!十六夜さんは私達に絶対必要です!」
「素直でよろしい。日向も来んだろ?てか来いよ。お前もお前でなかなかおもしろそうだ。」
「お前こそ魔王みたいだよ。」
人をおもちゃか何かのように言う十六夜に皮肉を一つ返し黒ウサギへと向き直る。
「俺も十六夜と同じだ。俺は黒ウサギのコミュニティ復興に協力したい。本当なら元の世界に帰りたいんだけど…………でも思ったんだよ。絶望から逃げてばかりで世界なんて救える筈がない。なぁに、世界の復興に挑もうとしてたんだ。コミュニティの復興ぐらい……やって見せるよ。」
「俺はそんな高尚な理由じゃねぇぞ一緒にすんな。」
「そのセリフは普通俺のセリフじゃないか!?」
言ったのは確かに俺だけども!
「お二方…………本当にありがとうございます!」
そんな俺たち二人の様子に黒ウサギが目尻に涙を浮かべながら礼を言ってきた。
その姿に不覚にもドキッとしたのは秘密だ。
「んー、なんかエロいな。」
…………俺も俺だが口に出したら感動も台無しだぞ十六夜。
結局、俺と十六夜の世界の果てまでのちょっとした冒険は水神退治?と黒ウサギのコミュニティへの正式加入をもって終わりを告げた。
この日向くんは四次元ポケットにガチャアイテムをコンプしてます。
使う機会は多分あまりありません。
またノーマル日向くんは幾つかの島を走り続けても切れることはない無尽蔵の体力以外は極めて一般的な少年です。
ゲームの中のアクションの類は自己流に解釈して推理に役立てる様にしてます。
そして才能がないので他の問題児に比べこだわりが無く違った視点を持っています。