異世界より”超高校級”が参戦するようですよ!   作:ヤッサイモッサイ

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お久しぶりです。マジお久しぶりです。ムカ着火なくらいお久しぶりです。無事大学進学できました、作者です。
去年の秋頃から更新を止めてしまっていました。まぁ理由は受験ともう一つ始めた連載のせいです。最近読者の方からこちらに感想をいただきまして、「確かにそろそろ書き出さねば」と思い至ったのですが......この愚か者は実家に帰る時にラノベを一人暮らし先に置いてきてしまいました。なので去年の秋頃少し書いてあったところまで......短いですがとりあえずという形で投げさせてもらいます。
話したい事は沢山あります。受験が終わったのに執筆できない事情や、ダンガンロンパ3のアニメの話。えぇ、本当に沢山あるのですが、これを投稿しているタイミングがちょっと厳しいのでまたそれは後日ということで......
8月中にまた次の話を投稿したいのですが、いかんせん久しぶりなのと自動車学校の合宿が控えているので出せるかはわかりません。何にせよこのなつやすみを機に両作品共投稿を再開したいと考えております。改めてという形にはなりますが、何卒よろしくお願いします


切ってはまた繋ごう、人の縁はけして綺麗ではないのだから

─────────時はまた流れ今は何故か久遠とジンが、正式にはペストが向かい合って立っていた。

 

 

あぁ、そうだ一度まとまったと思った話も、いざ会議の場になったら一気に話を変えられた……誰に、って?言わせるな、我らがノーネーム一の問題児様のことを、これ以上考えさせないでほしい

 

「……で、この戦い本当に必要か?」

「い、いやぁ黒ウサギも少し反応に困ると言いましょうか……ぶっちゃけどうなんでしょう?」

 

十六夜の考える事にいちいち否定を挟むつもりもない。信用であり信頼の結果だが……それでも俺は、あいつが全く間違いがない人間だとは思ってない。

しかしよくもまぁあのスペックと性格を持って、問題児程度に収まっているものだ。俺の中の似たようなやつは世界に絶望して軽く魔王化しているというに……マジでどういう育ち方をしたんだ?ちなみにここで大事なのは育てられたわけじゃないところだ。いや、真実は知らないが、あんな暴走列車みたいなのを育てられる親とはどんな存在だろう?江ノ島に苗木でも掛け合わせたらなんか反発作用でも起きて誕生しそうだな

 

 

 

──────思ったんだが俺ちょっと黒くなったか?

 

「それにしても久遠が上に行きたがるとはねぇ。ディーンでどうやって戦うつもりなんだか」

「そう思うならちゃんと止めて下さればよかったじゃないですか!?」

「一応伸縮自在だからなぁ……如意棒の取り柄はデカさじゃなくて伸びることだったし狭くてもまぁ戦えるとは思うけど、質量が変わらないなら当たればそれなりに力が出るってことでもあるしな」

 

……加えて十六夜もだ。俺達が城に行くのは救出が目的、もちろん万が一に備えて戦力が必要なのは変わり無いが、また初めのようにドラゴンが出てきた時のために十六夜は下で待機しているはずだった。

それに対して自分もついていくと言い「足で纏い」の一言に見事にバッサリ切られたのが久遠だ。それでも食い下がる久遠に十六夜が提示した条件がこれ……ペストから一本を取ること

 

「……春日部に加えて久遠の心まで折れても俺はなにもできないぞ?」

「まぁ確かに勝ち目が薄いのは事実ですけど」

 

─────“薄い”。それは人を勘違いさせる言葉だ。

望みは薄くともある、と危険な一歩を踏まこませる魔性の言葉だ。

薄氷という言葉がある、歩けるかもしれないと一歩を踏み出し沈むくらいならば初めから水のままでいい。それは取り返しのつかないことにならないからだ。

まぁ稀にその水の上を歩いて見せるような、あるいは水を割って道を作ってしまうような規格外の苗木(せいじん)のような存在もいるわけなのだが……例外は例外である。いくらここの問題児とはいえ、あぁいった存在にはなれない

 

勇気は大事だ、覚悟も大事、時には無謀とて許そう……ただしそれは勘違いがなければだと思う。

0.01%の成功率に対し踏み込むのと0%を0.01%と思い込んで踏み込むのは大きく違うのだ

 

「でも飛鳥さんは今までずっと後ろにいましたから」

 

……ペルセウス戦、ペスト戦。彼女が対したのは分類すれば“その他”の存在だ。

舞台の裏か表かでいえば裏であり、時々表へ出てきてもその立ち位置は隅である。

 

「真ん中にいなければ納得出来ない……子供っぽい理由だけどそれが無ければ強くはなれないか」

 

自身の弱さを噛み締め、認め、引き下がり別の道を歩む……それも成長だ。大人になるという事を具体的に言った言葉だ。その先にだってもちろん強さはある。圧倒的じゃないかもしれない、時間がかかるかもしれない、でも確かに強さと功績は残る

 

……だがそれは目指すものになりえない。子供が、子供のままに成長し強くなるのに、常に付き従うのは挑戦だ。何かに守られているが故に行える絶対安全圏内での挑戦だ。俺にはその気持ちがよくわかる

 

「ハッ、だとしたら十六夜は────娘の旅立ちを認められず癇癪を起こす父親そのものだな」

「───さっきから日向さん少し辛辣ですよね」

 

……予め決めてたことが尽く変えられていったらそりゃ不機嫌にもなる

 

「まぁ、俺も子供だからな?」

 

二十歳近くでこれを言うのは少し恥ずかしいがな

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

川を割るように佇む赤き巨人に、睨み合って対峙する黒死を纏いし少女(ペスト)。戦闘自体は既に何度も行われており、それはつまり一度として久遠がペストに勝てていない事を表していた

久遠の力は言霊による他者の制御、それには黒ウサギが提示した二つの使い方が存在するが、その中で彼女が選択したのは“物理的、概念的な強化”の可能性だ。簡単に言えば、他者の精神を操るのではなく、「がんばれー」とでも言って選手を鼓舞するチアリーダーにでもなったと思えばいい。もちろん、それは彼女の性格的にも、そして今持つディーンというギフト的にも噛み合う素晴らしい力だ。武器が多ければ多いほど、その力は無限に増していく……本人の力を除いて。

 

「例えば一般人が拳銃をポンッと渡されたとして、しかもそれが狙って撃てば必ず当たり、対象を破壊するに足る力を持つ物だったとして……十六夜に当てられるかと言われたらまず無理って話だ」

「……それはあの少女のことを言っているのか?」

「はい────っと……いや、“あぁ”だったな。うん、やっぱり普通に話せと言われてもいきなりは難しいな」

 

高台にある、いわば観戦席では俺を含めた三人が並んでいる。それはある意味当事者である黒ウサギと、この場所を特別に貸してくれたサラ様だ。

 

「久遠が操るあの巨人は確かに強い。元々並大抵のギフトではないのに、それを更に本人の力でブーストしてるんだから、正面からぶつかれば十六夜はともかく俺は少し怪しい」

 

何せ伸縮自在の存在だ。リーチの面でも対応力の面でも厳し過ぎる────とはいえ、実際戦ってみるとそうはならない

 

「見ての通り、あのギフトを操る久遠がその特性を活かせていない。そして目にも止まらぬ速度で動くペストを追えていない」

「……いくら飛鳥さんが才能に溢れていても、経験や対応力に乏しい今の内に、魔王を相手にするのは無理がございますですよ」

 

まぁ、そういうことである。だからこそ眼下で行われる戦いに、変化は一切訪れない。久遠がディーンに拳を振るわせ、ペストがそれを軽々と掻い潜り久遠の喉元へその細腕を突き付けてはチェックメイトを告げる。

 

「見てられないな、やっぱり十六夜のことは全くわからない」

 

元々他人のことを察する力はそう高くない。他人に相談されて、その口で説明されて、そこまでしてようやく俺は他人の気持ちを察することが出来る。人間関係を気にせずに高校生まで突っ走ってきた俺には合理的思考が馴染みすぎていた。

いい加減、飽きたらしいペストが遂に久遠を川へとたたき落とした。ペストからすればこのやりとりに意味なんてないのだから当たり前だろう。むしろ、久遠レベルの実力者に勝てると侮られている事が不機嫌に繋がってる節すら有る

 

「……終わりだな。やっぱり引き出しの少なさは致命的だよなぁ」

 

何も他人に言えたことではない。むしろこれは自分に言い聞かせるべく、発した言葉だ。

なにせ現状俺が操れる力といえば効果の微妙な三つのギフトに十六夜の劣化版の肉体だ。引き出しの少なさで言えば、俺は正直久遠にも劣るだろう。元の力がカムクラであるだけに、正直ダントツで無力であるとすら思う。

せめて肉体や感覚の力をもっと引き出せれば、あるいは限定的でも技術を引き出せれば……そして自分のものとして昇華できれば魔王に遅れをとることも、無いかもしれないのに

 

「もう終わったみたいだし、先に出てるぞ」

 

居てもたってもいられず、足早に観戦席を立ち去る俺の耳に、何やらやたらと近い所で強烈な水音が届いたり、残してきた女性ふたりの姦しい悲鳴が聞こえたりもしたが、すっかり思考の海に潜ってしまった俺に届く事は無かった。

 

俺も力は足りない。素の俺が、今まで誰かに勝てたことは無いのだから、言い訳のしようもなく力不足だ。

ならば俺はもっと貪欲に求めるべきなのだ、あの時のように、すべてを捨て去る覚悟で、ただ力を望むべきだ。もちろん、ただ力を手に入れるだけなら内なるカムクラにただ身を任せればいい。すべてを捨て去って、投げやりに崩壊する世界を見ていれば、その内絶望として覚醒することは簡単だろう。

だがそれでは意味が無い、何を犠牲にするわけでもなく、俺は力を手に入れなければならない。そんな我侭を、通すくらいのことをしなくてはならない。

 

「でも、一度は成功したんだ。七海のおかげだけど、確かに俺は日向として力を手に入れた」

 

それは前を向く力、胸を張る力……所詮カムクラの力はおまけでしかなかったとはいえ、あの時のあの感覚があったからこそ俺の希望は仲間達に伝播した。

でも彼女はもうここにはいない、いるはずが無い。だからこそ今度こそ独力で成し遂げるのだ、俺が俺として頑張れる道を。力でも技量でもギフトでもいい。せめて絶望にだけは二度と屈することの無い何かを見つけ出さなければならない

 

決戦は近い。独力とはいったものの、いい加減俺も学習しなければならない頃だ。独りで出来ることには限界がある。特に俺のような愚か者はそれが際立つ

であれば道は一つ、今いる仲間に頼る……ただそれのみ。

だが問題児様方はみんなが皆それぞれ忙しい……そんな中俺が頼れて、兼最も可能性がある存在。そんなのは1人しかいない

 

 

 

 

───田中眼蛇夢。あの男だけが頼りだ

 

 




ダンガンロンパ3で新たに判明した事も話には反映していきたいとは思ってます。ただ、既に出してしまった話や設定に関しては変えられないので、日向くん周りは原作と離れてしまう可能性がアニメの流れ的には出てくるかもしれません(魔改造カムクラからは目をそらしながら)

はい、それだけです。それでは正式な話はまた次回させていただきます。ではまた!

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