異世界より”超高校級”が参戦するようですよ!   作:ヤッサイモッサイ

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なんか予想以上に早く完成したのでパパっとあげとこう。来週の投稿は無しだ!


さて、今回実はひなた君の成果考えるの忘れてました。
だからゲームが終わった後どうしよう!!って考えてとにかくそこまでの過程を書いてる時間がなくなるから先に書いて後の時間を考えるのに使おうと思ったら流れで書き上げちゃったって感じです。
あまりよろしいと思っていないのでなんかアイディアあったら(こっそり)教えてください笑


この作品のカムクラ君の説明をいつもいつもうまく説明できてなかったのですがめだかボックスのキャラ使ったらすごい簡単になった。古賀いたみが名瀬夭歌の記憶人体改造で黒神めだかのアブノーマルゲットだぜ☆ですかね。てかひなた君がまんま古賀いたみでカムクラ君の力が素で黒神めだかなのが悪い。
後書きにまたなんか書いときます


負けているのに負けられぬその理由

昔些細なことで争った男女がいた。

もはや日課のように顔を合わせては毎日毎日くだらぬ事でぶつかる二人を周りの人間が呆れたように見る……広い世界の端の端の平和な幸せの一幕だった。

ある日、いつものようにどうでもいいコトで喧嘩を始めた二人は解決に一つのゲームを使う事にした。どちらが正しいのかを証明するためのゲーム……どんなものだったかなんて覚えてはいない。ただ男の言うことが正しかったことだけは覚えている。正しかったからそれを間違いだと思っていた私は危険も知らず森の奥へと進み死んでしまった。私が死ぬだけならばまだ良かった、だが男は遅れながらも私のことに気づき、助ける為に危険へと飛び込んできた……ゲームは男の勝利だ。これは間違えようもない、だが男は死んだ。勝者がいないのにゲームは終わらない。女のゲームは女が死んでもなお終わってなどいなかった。女はそのゲームの終わりを望んでいた。ただの人間に過ぎない女の記憶がその悠久の果てに褪せてきてもそれだけは変わらない──────これは何百年と前の話。

とある白蛇が神の力を賜るそのさらに昔のことだった

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「─────これは坊やもダメだったか?」

 

遠くで鳴く自分の犠牲者達の声にあきらめの言葉を吐き出す

亡者達は私が真の意味で死なない限りこの世界から消えることすらできない……だが彼らには私ほどの強い後悔も意思もなかった、ただ外に出たい、解放されたいという思いのみを持ってこの世界で朽ちて行ったモノたちなのだから当たり前だ。ならばこの永劫廃れて行くのみの変化のささやかな世界でどうして自分を保てようか、どうして正常な判断が出来ようか

いくら足掻いたところで死んだ身はもう蘇ることはない、だが彼らはそれを理解せず"自分がゲームをクリアするために"同じ目的を持つ他者を排斥しようとしている。

とはいえこの世界のことを最も知っているのはただ座っているだけの自分でもさきほど来たばかりの挑戦者でもなくきっと脱出のためにただたださまよい続けている彼らのはずだ

ならばどうやってその彼らを退けることができよう?最も簡単であり故に難題である。なにせ私は負けたことがない

 

「また次の人間を待つ……か」

 

後自分の記憶がどれだけ持つのかもわからない。この調子で行けば次の人間に出会えるまでにこの世界を維持できるだけの最低限のものすら自分の中から消えてしまうのかもしれない。みんなに忘れ去られて、みんなを忘れて。自分の都合で無関係の人間まで巻き込んで結果自分の些細な願いすら叶えられない。

一体私とはなんなのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………?

 

亡者の声が聞こえない?

 

「──────ようやく戻って来れた。いやスクラムとかピラミッドとか芸達者なのはいいけど一々先回りされていきなりあんなもん見せられて堪んないな」

 

声に弾かれるように振り返れば亡者達に追いかけ回されていた坊やがそこに立っていた。右腕こそ何やらひどい有様だがそれ以外はほぼ無傷と言ってもいい……あの亡者を相手にして生還出来る力の持ち主がなぜこんな世界の端に来ていたのか?

否、それよりも亡者達は一体どうしたと言うのか?

 

「……こりゃたまげた。やるんだね坊や」

「どちらかと言えばやられたよ。世界の端から突き落とされるとは思わなかった」

 

むしろそこまでされて生きて帰ってこれるなんて思わなかった

 

「ちょうど杭になりそうな物に手繰るものまで持ってたからな。落ちる瞬間に打ち込んで這い上がってきた。幽霊達は殴っても切っても水をかけても意味がなかったから土に埋めてきた」

「……大した人外っぷりだよ、前のプレイヤーが来てから数十年たったわけだがいつの間にか外の世界はそんなにインフレが進んでいたわけか」

「いや、数十年前を知らないけどこんななんでもできる体を持ってる奴がそこいらに居てたまるか」

 

まさに同じ気分だ、悪い夢かと思ってしまうぐらいに

 

「じゃあそのなんでもできるあんたはこのゲームを終わらせられるのかい?幽霊どもなんか何匹倒したって意味ないよ?」

 

そりゃそうだ、と肩をすくめた坊やはどうも言葉とは裏腹に余裕が見て取れる

 

「質問……いいんだよな?なら聞かせてくれ─────このゲームの名前はなんだ?」

 

……たどり着いたのか?理解したと?まともなヒントなんて何もないこの世界で?

 

「そんなの聞いてどうするのさ?」

「おいおい、ゲームっていうのは勝利条件だけじゃないだろ?名前だってなくちゃダメなはずだ。プレイヤーとして当然の質問だろ」

 

……なるほど、確かにこんなのがあちこちにいる世界なんて息が詰まる

この世界といい勝負だ

 

「ゲームの名前は『敗者の心残り』……どんな頭をしてるんだか一回覗いてみたいね、全く」

「その気持ちは良く分かるぞ。俺の仲間にもそう思わせてくれる奴がいるからな」

 

そういう少年はその視線を先程までいた世界の果てへと真っ直ぐに向けて力強く宣言した

 

「俺の"勝ち"だ」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

先程までの横にかかっていた力が嘘のように体を下に引く力へと変化し俺の体を奈落の底へと叩き込もうとしてくる。既に陸は手の届かない範囲に出てしまった

文字通り手も足も出やしない。何よりも最後の無理なブレーキで右腕がズタボロだ。

 

だが打つ手はある。

右腕に巻いたエプロンを解き左腕でしっかりと端を持って未だに刀に巻かれたままのもう一端を右手で打ち出す。さながらアンカーの如く岸へと突き刺さったそれを便りにそれば上がることはできる

 

「割と本当に危なかった……」

 

ゾッとしない。シャレにならないけれどそれでもやはり体験するぐらいならシャレの方が良かったと思える。さすがのカムクラとて紐なしバンジーはやったことがないだろうに

 

やっとのことで這い上がった先に幽霊共はいない。おそらく仕留めたと勘違いをしているのだろうこっちとしてもさっきの蹴りの感触的に攻撃が効いてない事はなんとなくわかっている、ならばこんな不安定なところで囲まれているなんて状況になっていないのは嬉しいことなのだがその実状況は何ら変わっていない

いくら速度で優っていても先回りされたんじゃ意味が無い。着地点が見えない以上木の上を走って行くのも無しだ。

紙のような肉体……となれば切る、燃やす、濡らすというのが効果的にも思えるがどうなのだろう?正直無駄な感じもするがこの際そんなことも言ってられない。とりあえず一体でもまともに除去する方法がわかれば真正面から突っ込むことだってできるのだから……だがそれがわからないのだからどうすればいいのか?

 

 

簡単な話だ、成功するまで試行を繰り返せばいい。素晴らしいことに時間制限も敗北もないこのゲーム。試す時間なら腐るほどにある

ただ遮二無二突っ込んでもクリアできるほどのイージーゲーム、せっかくなのだからいろいろとやらせてもらおうじゃないか

 

「まずは斬撃」

 

森の奥に見える瞳の輝きへと先ほど同様に飛び出し襲いかかる、違うのはその手に獲物を狩る牙を持っているか否かのみ

死んだと思った存在に反応すらすることができずその紙の如き肉体は金箔が剥がれてほぼ鉄色の刀身を受けいれる……がこれではダメだ、通り抜けると言うよりは刃が抜けた先から再生している。ならば再生よりも早く切り刻めばというわけにもいかない程に早い再生に純粋な物理攻撃は効かないとみえる。

 

「次は濁流」

 

先ほど刀を突き立て地面に引いた一文字に流れ込んだ水を巻き上げ宛ら逆巻く滝の如く幽霊ごと天へと打ち上げる……がどうも紙は紙でも水を弾ける類の紙らしい

 

「なら業火だ」

 

落下に差し掛かった幽霊の体から着地点を割り出し円を作るようにそこらの木を切り付けまくる。表面が凸凹とした金箔剥がれかけの刀と辺古山の技量から火種を作り花村のエプロンで一気に煽る。一瞬で雨のように落ちてくる水を気化させるほどの塊へと成長したそこに読み通りに落ちてくるが……さて、やはり見た目が紙見たいというだけで別に本当に紙ってわけでもないか。そりゃそうだ

 

……さて、熱でも湿気でも物理でもダメとなれば後俺に出せるものはなさそうだ。雷でも出せれば違ったかもしれないが流石に静電気なんかで何千ボルトも貯められる気がしない

もうお手上げだ、できることも何もない。倒せないんだからしょうがない

 

「じゃあ生き埋めだな」

 

大炎上するその一角へと自ら飛び込み気持ちの悪い幽霊の頭部を掴む。

お生憎とここらの地盤は木を引っこ抜いたり切り刻んだり水を流し込んだり燃やしてみたりとですごく崩れやすい状態にある。

 

「そらっ!」

 

全力でそのまま地面へと叩き込む。そりゃもう全力も全力だ。自分の腕すら肘を超えて付け根に近いところまで土に埋めてしまうぐらいに全力だ。そうして相手の体は置き去りに腕だけを抜きさりエプロンで辺りの炎を一気に飛ばせば黒く炭化しながらもなおぼやけ続ける不思議愉快な景観の完成だ。これぞ正しく劇的にビフォーアフターしたと言う奴だろう。ただし幽霊のいわく付きな上に地盤はゆるゆる、街からも遠いし何よりも常時モザイクという……誰が買うのかそんな土地。

流石に激しい戦闘音からか沢山の存在がこちらへと集まってくる。ならば俺も最後の仕上げに取り掛かろう。森林破壊は良くない、したのであれば再生にもそれなりに責任を持たなくてはならない……故に

 

「燃やしたら植える、当たり前のことだ」

 

着地点に幽霊がいて再びスクラムなんて組まれていたら困るので飛べなかった訳だが着地点が拓けているという条件であれば幽霊の手の届かないところで行動するのは何ら問題ではない。つまりはある意味の原点回帰。はじめの戦闘地域へとひとっ飛びに戻る。そこには結局へし折られてから使われないまま中心から円形に放射状に倒れる木々があった。

まぁつまりはそう言う事だ。燃やしたのなら植える。今頃は幽霊たちが勢ぞろいして囲んでいるであろうそこへと……投げ植える。あぁもちろんいるだろうとも。なにせあいつらはここいらの地形に詳しくそして必ず囲む様にして集まるのだから。

蹴り上げ打ち出し、持ち上げ投げ出し、かち上げ吹き飛ばし、叩き上げて叩き落とす。

世界の端の方で何やら土が連続して巻き上がるのを無視して都合16本。それだけの木を匠の技で植え直したのだ、さぞ素晴らしいことになっているだろう……もっとも現実に何ら影響がない世界だとわかったから出来ることだが冷静になって自身の行動を振り返れば何か溜まっていたのだろうかと言わんばかりの荒れようだ。心当たりが多過ぎて困るというのが悲しいことだがトドメは絶対にあの幽霊達のビジュアルと動きなので特に気にしないで進むことにする。ここまで来れば自身が吹き飛ばされた事で道が出来ているのでまっすぐ進むだけであの女のところへとたどり着く

 

 

「──────ようやく戻って来れた。いやスクラムとかピラミッドとか芸達者なのはいいけど一々先回りされていきなりあんなもん見せられて堪んないな」

 

一直線に木すらへし折りながら飛ばされたとはいえそれでも鬱蒼とした道を抜けた先で女は初めと変わらず岩の上に腰掛けて動いていない

 

「……こりゃたまげた。やるんだね坊や」

 

本当に驚いたという顔でこちらを見る女にどこか達成感が浮かぶがいやしかし素直に喜ぼうにも苦い思い出が多過ぎる

 

「どちらかと言えばやられたよ。世界の端から突き落とされるとは思わなかった」

 

途端に化物でも見るかのような顔になったその反応が気に食わず子細を話す

 

「ちょうど杭になりそうな物に手繰るものまで持ってたからな。落ちる瞬間に打ち込んで這い上がってきた。幽霊達は殴っても切っても水をかけても意味がなかったから土に埋めてきた」

「……大した人外っぷりだよ、前のプレイヤーが来てから数十年たったわけだがいつの間にか外の世界はそんなにインフレが進んでいたわけか」

「いや、数十年前を知らないけどこんななんでもできる体を持ってる奴がそこいらに居てたまるか」

 

冗談じゃない、そんな世界ならきっと十六夜のテンションがうなぎ上り間違いなしだ

 

「じゃあそのなんでもできるあんたはこのゲームを終わらせられるのかい?幽霊どもなんか何匹倒したって意味ないよ?」

 

……それもそうだ。終わらせられるのならば早く終わらせてしまおう、お互いのためにも

 

「質問……いいんだよな?なら聞かせてくれ─────このゲームの名前はなんだ?」

「そんなの聞いてどうするのさ?」

「おいおい、ゲームっていうのは勝利条件だけじゃないだろ?名前だってなくちゃダメなはずだ。プレイヤーとして当然の質問だろ」

 

ゲームの名前というのはそれはそれは重要な情報だ。何せそれは一番わかり易くそのゲームを表す言葉なのだから。

 

「ゲームの名前は『敗者の心残り』……どんな頭をしてるんだか一回覗いてみたいね、全く」

 

敗者の心残り……なるほどなら多分予想は間違えてない。だからこそそこまで言われるのが心外だ。ただ気持ちだけならわかる

 

「その気持ちは良く分かるぞ。俺の仲間にもそう思わせてくれる奴がいるからな」

 

……そう気持ちだけなら良く分かるとも、だから早く終わらせてしまおう。初めから終わっているゲームなんて……面白くもなんともない

 

「──────俺の"勝ち"だ」

「あぁ、坊やの勝ちだよ。おめでとう」

 

 

 

世界が女の手からこぼれ落ちた紙から広がっていく。ぼやけた木も折れた木も全部が全部元の形へと戻っていく……派手だからこそよく見なければわからないが理解した上で見れば確かにあの世界とこの世界は違うのだろう。過去の世界とはいえ記憶が摩耗するほどの時を過ごすとなればそれは木も道も世界の果てすらその形が変わっても何らおかしくない

 

このゲームははじめから自身が勝利しているという前提で始まるゲーム、誰かがかつて勝利し、最後その義務を果たさぬまま消えたそのゲームを終わらせるためにただ一言紡ぐためだけのゲーム。

ゲームとは勝者が決まって初めて初めて終わる。だからこそ勝者が決まったことを周りへと伝えなければならない。どんな形であろうと自分が勝ったことを主張し、相手がそれを讃えてようやくクリアなのだ

 

「ハハッ、これでようやく終わったか」

「終わってくれなきゃ困る。一生あの幽霊達と一緒っていうのが特に」

 

割と本気の話だ。それほどまでにあれは衝撃的過ぎた

同じ幽霊とはいえ幽霊らしく満足な顔をして今まさに成仏しようとしてる眼前の女とどうしてあそこまで違うのか

 

「……ところでどれくらいここにいたんだアンタ?」

 

ふとした疑問だった。結局正確な年代はわからなかったが景色があそこまで変わるというのは相応の時間がたっているはずだ

 

「おいおい、女に年齢を聞くもんじゃない。今の子はそんなことも知らないのかい?」

「……それもそうだな、忘れてくれ」

 

確かに失礼というものだ。

 

「まぁ何だ……今度こそ有意義な時間を」

 

そうでなくちゃ報われない。何があったか知らないがあそこまで負けに固執したからには理由があった筈なのだから

 

「……最近の坊やは生意気だね、問題ないよ。今度こそ勝ってやるんだから」

 

そう言って女は宙に解けるように消えていった……ん?待て待て待て待て待て!!ギフトは!?クリアした特典は!!?

 

……まぁ、満足してもらえたのならいいか。将来というか来世への先行投資だと思っておけば

 

いつの間にか空も赤く染まっている。時間もあまりないが最低限の悪あがきぐらいさせてもらわねばあの三人の笑いダネにされることうけあいだ。

 

「さて、まずは右腕なんとかしないとな」

 

そうして今日もまた日は沈む。

止まっていた時は動き出し囚われていた1236人分の魂は開放された

祓われたその土地はとても清く、また怨霊になるでも神霊になるでもなくただ長き時自分を貫き続けた女の加護として少年へと宿る

 

 

 

 

少年がその予想外の贈り物に顔を綻ばせるのは少し先の話だ

 

 




今回勝利の展開が三巻の十六夜の過去話の影響受けてねと思った方がおられるかもしれません。一応パクリではなくゲームを考えて前半投稿して今朝後半を書く前に読み進めたら出てきちゃったので「あ、なんか似てる」と焦っちゃいました。一応ね。うん。


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