異世界より”超高校級”が参戦するようですよ!   作:ヤッサイモッサイ

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正直今回はあまりできが宜しくありません
キャラの動きが全くないうえ全体に独自解釈が混じってその上何が言いたいのかわからないみたいなことになってるかもしれません
ただ書きなおせるのかと言われたらわからないのでとりあえず気になるところはメッセージでもいいので聞いてください。今回は範囲が広すぎてあとがきで補足とか少しきついです


絶望という病と希望という薬

絶望という病と希望という薬

 

 

 

 

かつて人類の進化のためと言う名目でひとつの完成された個を生み出すための研究機関があった。

そのために取られた方法は単純にして明快……この世に輝く超高校級とも呼べる才能を持つ少年少女を集め、研究し、そして研鑽して才能を解析……そうして集めた数多の才能をたった一人へと張り付けること。そしてそれは学業機関として形をなし、その計画も学園の創始者の名前をとって「カムクライズルプロジェクト」と名付けられた。

 

そうして幾年もの月日が流れその計画はようやく一つの結果を出すことに成功する。「ロボトミー手術」……被験者の脳に直接干渉することにより人格、感情、記憶や趣味といったあらゆる不要物を取り除く、そうして取り付けられた才能は無事に機能しまさに人類の進化形、「超高校級の希望」としてプロジェクトの発展に協力したのだった─────

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「俺たちの元の世界は本質的にはたぶん十六夜たちの世界となんら変わりのない世界だったはずだ

「積み重ねた歴史や文明、言語に至るまで違和感を感じることはほとんどない

「だけどやっぱり違うところもある……それはそんな大きな話じゃなくてただ"超高校級"と言う概念があるかないかの違いだ

「超高校級……ていうのはつまり尋常ならざる才能のこと

「それこそ黒ウサギや十六夜が見たとおり超高校級の剣道家ともなればそこらへんの木の枝でも水塊を断ち切れる

「だからまぁ俺がその超高校級の剣道家なのかと言われればまた少し違うんだが……なんにせよ俺らの世界にはギフトみたいな超常の力とは別に人間の機能の延長として人外の結果を生み出すことができる存在がいるわけだ

「そしてそういった奴らを集める学業機関があったのさ、それが"希望ヶ峰学園"と呼ばれる超高校級の研究機関だ

「この学園も色々裏話はあるんだが長くなるからざっくりと行くがこの学園、研究機関と言うだけあってただの学校じゃない

「目的は超高校級の育成ではなく創造……人工的に才能を持った人間を作る……よりいえば才能がなかった人間に後天的に超高校級の技能を付けてしまうというぶっ飛んだものだ

「そのために各地から様々な分野の超一流中の超一流が集められ、研究され、そして時には協力までしていた……といっても別に非人道的な研究が強制的に行われていたりだとか無理矢理従わされていたりとか言ったことはなかったがな

「……ただそんな平和な世界もそう続かなかった

「当たり前のことだが才能なんてものは良い方向に使われてばかりじゃない……時には人類という種に牙を剥く事すらある、いやある意味それだけならまだ問題じゃない……

「でもその牙に毒が塗られていたとしたら?比喩ではなく本当に人類という種を滅ぼす力があったとしたら?

「……学園は確かに変わったよ、表面上はまだ穏やかな一年、二年が続いたさ……でもその裏では確かに変わっていた

「原因はとある生徒達の入学……そこから学園は……いや、世界は一気に変貌したんだ──────

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「ふーん、随分と気になる引き方をするな。それに話がいちいち大袈裟だ」

 

俺が一息にまだ絶望が蔓延し始める前の話をしたところで一息入れた

理由は俺の記憶も実はあやふやだという事と久遠を除くノーネーム、追加でサラマンドラの二人に一息に話すには衝撃があり過ぎる話だからだ。さらに言えば一気に行き過ぎて疑問が溜まっている事だろう

 

「例えば世界……そりゃどのレベルの世界だ?経済界?国?それともお前の周りか?世界大戦にでもなったか?」

 

そんな休憩の意図を含めたこのひと呼吸の間に十六夜はそれでも爆弾を投げ込む。本人にとっては軽い冗談のつもりだったとしても……事実はなにも軽くはない

 

「たしか今回の魔王は昔流行した黒死病を元に発生したんだったな」

「あぁ、まず間違いないだろうな」

 

黒死病程度というのは些か不謹慎だろうかあの事件から見ればそれでもやはりそれは『その程度』でしかない

 

「ならこっち側の世界で起きたその事件を元にした魔王がいるとしたならば……実績だけでもあの少女を軽く下に見れるだろうよ。なにせこっちは────文字通り世界を滅ぼしてる」

 

……最悪なことにその魔王にすら心当たりがあるのだから本当に笑うことなんてできやしない

ペストの影響にかかったらしくベットに横になったまま話を聞く春日部ですら驚きに身を起こし、黒ウサギやサラマンドラの二人に至っては事の重要性を何よりも理解したのか顔を真っ青に染めて言葉を探していた

 

「これまた事件の詳細は省くがその事件の大元は間違いなく希望ヶ峰学園であり、事件の後もその学園を中心として壮絶な地獄が広がっていたよ」

 

……そして

 

「俺はその被害者でもある」

 

 

 

 

……そして加害者でもある

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「ここでようやく俺の、そして罪木蜜柑の話に入るわけだ。ザックリを通り越して中身スカスカの説明でもここまでの濃さと長さだ、ビックリだろ?それほどまでに俺の世界は終わってるんだよ

「……でもってここからもやっぱり大雑把な地獄案内ツアーになる。びっくりしないで聴いて欲しいっていっても無駄なんだろうがまず俺を含めた希望ヶ峰学園の生徒16名、計算上というか事実上一学年まるごとが学園での記憶を失って無人島へと叩き込まれた……そのとおり、全員が全員みんな平等に記憶を失って、とっくの昔に済ませた自己紹介をやり直し、深めたはずの絆をまた深め直すという作業へと勤しむことを強要されたわけだ……そして────ここからが本当の地獄なんだよ

「常夏の島、不足するものなんかなくて脱出できないこと、事情がわからないことを除けば不満なんて何もないその島に突如嵐が訪れた。揶揄じゃない本当に唐突に黒雲が流されてきたんだよ

「そしてその黒雲にはあの事件の黒幕が潜んでいたわけだ。もちろん俺達は学園での記憶がないから事件のことも忘れていたんだけどな

「まぁ……その黒幕によって罪木を含む俺たち16人は和気あいあいとした南国生活から突如変貌したコロシアイ生活を強要されたわけだ

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

そうして再び小休止、ここからは曖昧なんて事はない、一度たりとも忘れたこともないし忘れることもできないであろう地獄の経験だ。だからその分……俺にも整理する時間が欲しかった

 

「コロシアイ生活……でございますか?」

「そうだよ黒ウサギ。ギフトゲームのように言えば勝利条件が『誰にもバレずに16人の仲間のうち一人以上を殺すこと』な最悪のサバイバルゲーム生活だ」

「仲間が仲間を殺すんですか!?」

 

一番最初に声に出した黒ウサギとジンにとっては信じられないことだったのだろう、なにせ二人にとって仲間とは掛け替えのないもの。

 

「そうだよ、かけがえがないからこそその島でそのゲームは成り立った。より言えば俺たちは仲間であっても仲間じゃなかったんだ」

 

なにせ記憶がない、そしてあまりにもお互いを知らなさ過ぎた。却って中途半端に知っていたからこそ、仲間意識がありまた自身の意志を曲げることができなかった

 

「意志……なるほどな。才能を持ってる奴ってのは等しく人格まで常識を超えていた……そういう解釈でいいのか?」

「その言い方だと人間じゃないみたいに聞こえるけどそうだな……お前たちみたいに異常な人格と人間味を特別な環境下でもなく普通の環境の下で両立させて来たと言う意味ではそのとおりだ。別にあいつらは仲間を思う気持ちもあったし過去に世界に復讐を誓った亡者だったわけでもないよ」

 

人間味があったのさ……あったから殺さなくてはならなかった

意志があったのさ……あったから殺さなくてはならなかった

普通だったとも……だから殺すという道以外に適応方法が見つからなかった

 

「結局今まで保ててきたそのバランスが崩れちまったんだろうな。全部を立てられる優しい世界からどん底に落とされたせいで選ばざるを得なかったんだろうよ……だから最初の殺人は驚くほど早かった」

「……殺した人はどうなるの?」

「……殺人が起きて死体が発見されるとしばらくして学級裁判なるものが開かれるのがその生活のルールだった。そこで見事他の奴に罪を着せることに成功すれば犯人は脱出できたんだよ……真実を知ったあとなら外だって地獄なことに気付けたのにな」

「……罪を着せられた人はどうなるのですか?」

 

サンドラ様のは自身も下手をすれば今後断罪する側に回る故の質問だろうか?

 

「殺した犯人以外の全ての人間が死ぬ。罪を着せられたやつじゃなく真犯人を暴けなかった奴らすべてがだ」

「「「─────っ!!」」」

「だから地獄なんだ。殺人を犯した本人は覚悟も、事情もあったんだろうな。でもそれ以外は殺すつもりなんてないんだ。自身のミスで人が死ぬ……それも仲間だ。まさに極限状態ってやつだな」

「その流れだと真犯人を暴いた場合も……」

 

……そこがあの生活の最悪なところだった

本性を良くも悪くも明らかにする生活というだけならまだ心が壊れると言う表現はいらないだろう、でも……

 

「勝っても負けても……仲間が死ぬ。特に生き残り続ければ生き残り続けるほど残った仲間との絆は深くなる。それを裏切られ仲間が殺されそれでも前を向いて真実を突き止め仲間の命がかかった必死の腹の探り合いを抜けてようやくたどり着いた先に残るのは『また仲間を処刑台に送った』という事実だけ。惨ったらしい処刑映像を強制的に見させられていくら憔悴しても翌日にはまた人が少なくなった島で生活を送らなきゃならない」

 

……まさに生き地獄だ

別に行動を悔やんでいるわけじゃない。罪悪感も……正直あまりない。でも仲間を殺すしかなかったから殺すという行為はそれでも嫌悪感を抱くし実際そうせざるを得なかったのも、なぜ事件が起こる前に犯人にもその事情があることを気づくことができなかったのかも悔しいのだ

 

過酷といえばこちらの世界の方が過酷だろう、向こうの世界の方が恵まれてはいるのだろう。少なくとも日本はそうだった。だがあの地獄に関しては……事件の後の世界を見ればこちらの世界の悲劇の殆どは向うに有りふれるだろう。それが悲劇を比べるという烏滸がましいことをせずとも明確にわかってしまう真実なのだ

故に俺以外の全員がその壮絶さに口を閉ざす。かける言葉が見つからないでもない、自身の中で区切りが付かず思考するという当たり前の事がうまくできていないのだ。

それでも少し落ち着いた頃を見計らって言葉は続けた

 

「……罪木はその生活の中で三番目の事件の犯人だった」

「……?ちょっと待てよ三番目の事件の犯人ってことは死んでなくちゃならない。もしそうじゃなかったのなら死んでるのはお前だぞ日向」

「無理もないけど別に妄言でもなんでもないしお前の頭がおかしくなったわけでもない、罪木蜜柑は一度死に、そしてこちらの世界で蘇った」

 

……ここからが本当の本当に大事なことだ

 

「馬鹿な、死者の蘇生など─────」

「俺はこっちの世界のことには疎いが……不死身の存在がいるんだ、何らかの条件をクリアすればその存在を呼び込むこともできるんじゃないのか?ジャックオーランタンは言ってたぜ、『迷える存在を導くのが役目』だってな」

 

唸ったマンドラの言葉にそう返して再びひと呼吸、マンドラだって本当ならばわかっている筈なのだ……ありえない事はないと、少なくとも条件さえあればそれに近しいことはできるのだと

 

「本題はここからだ。まずは罪木がここにいる理由から……これは恐らく先程言った事件の黒幕が関係している」

「断言する理由はなんだ?結局詳しい話は聞かせてもらえてねーが聞くにやばい存在なんだろそいつ?」

「ふむ、それにその黒幕がこちらに来る手段がない。そっちには超常の力が無いのだろう?」

 

しかし絶え間の無い十六夜とレティシアの絶え間の無い質問がそのひと呼吸すら奪っていく……

 

「黒幕がこっちにいるのは確実だ、なにせ一度会ってる。間違いなくあいつは本物だよ」

「────っ!もしやそれはフォレスガロのときの!?」

「そう、俺が居なかったのはその時既に魔王とこれまた死んだはずの仲間と会っていたからだ」

 

そしてレティシアの質問にも答えはある

 

「黒幕がこっちにいる理由も幾つかあるだろうけど言ってしまえば一言……事件の黒幕こと"超高校級の絶望"江ノ島盾子が向こうの世界では軽く神格化されているからだろうな」

 

正確に言えば神聖視……いや神聖なものは寧ろ好まれないのだから神聖なものとしてみてはいないのだろうがなんにせよ尊いものとして超不特定多数に求められていたのは確かだ

 

「そんなめちゃくちゃな!!」

「めちゃくちゃだよ、なのが江ノ島盾子なんだよ」

「……その超高校級の絶望ってのはなんだ?」

 

───それは

 

「……そのままさ、絶望だよ」

 

絶望に理由はない。存在を形づける言葉もない。

 

「初めに言った通り超一流の中の超一流の絶望だからこそ……超高校級の絶望なんだ」

 

でも希望には理由がいる、重くなった体が反応するほどの希望がない現状……あの絶望にどう対抗すればいいのか、俺には全くわからない

 

「事態はまさに絶望的ってやつだよ」

 

まるで学級裁判が終わったあとかのような疲労感に身を任せて俺はこのまま眠ってしまいたかった

無駄だとわかりつつも少し静かになった空気に任せて俺は少しまぶたを下ろすのだった


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