異世界より”超高校級”が参戦するようですよ!   作:ヤッサイモッサイ

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急ぎ足ですね。そんで初めてまともな戦闘(?)描写です。
絶望が絡むとリフレインがふえますねー笑
手抜き感ぱねぇ。
とりあえず次でペルセウス完結、投稿はしばらくしないと思います。

2014 09月23日 15時36分 金髪→銀髪 支える→使える等の誤字その他表現を若干改稿しました。


だが英雄を殺すのはただの人、人を殺させるのは絶望だ。

だが英雄を殺すのはただの人、人を殺させるのは絶望だ。

 

 

 

 

 

 

かくしてギフトゲームが始まった。

黒ウサギは審判として十六夜たちと最奥へと向かい残された久遠は入口付近で水樹を操りながら敵を集めている。

俺はといえば……。

 

「……どこだここ?」

 

……絶賛迷子中だった。

 

入口付近は久遠で事足りてるしそもそも俺に戦闘能力はない。見つかって逃げて見つかって逃げてをするのならば広いところよりも狭い通路の方がいいと考えてきた訳だが……地理がわからん俺じゃすぐ捕まるなこれ。

 

「……どうしたもんか────ッ!!?」

 

あちこちから聞こえていたはずの轟音、怒声が一気に静まり返って嫌な静寂が訪れる。早くも決着がついた訳ではない……この飲み込まれるような、たっているだけで足が震え自分そのものが不安になるようなこの寒気は……酷く既視感を覚える。

冴え渡って引き伸ばされた感覚が静寂の中で一つの異音を捉えた。

自分が歩いてきた廊下の奥の奥……カツン、カツンと革の靴が硬質な地面を叩く音……ゆっくりとこちらへ近づいてくる。

ペルセウス……なわけが無い、彼らの音はもっと重い。

歩幅も、歩速も全然違う。

 

「久しいな───元気そうで何よりだ、日向。」

 

───近い!

 

産毛立つような囁きに咄嗟に前へ転がるようにして距離を取る。

目に入るのは長身。銀髪に赤目というあまりお目にかかることのない配色をきちんと着こなした制服と眼鏡で凜としたイメージにまとめ肩からかけた竹刀袋が現代に蘇った侍をイメージさせる。

力強く落ちついた声もそれを思わせる一端だろう。

その姿は俺がこの世界に来て初めて違和感に気付くきっかけとなった才能を持つ俺の仲間……”超高校級の剣道家”の姿に相違なかった。

 

「辺古山……おまえがここにいるってことは!!」

「お察しの通りだ日向。花村の次は私……というわけだ。お前達を殺そうとした私が言うのもなんだが……生きていてくれて良かった。あの時は坊ちゃんのためだと無心で動いていたが……それでもやはりあの南国生活であれほど仲良くなれたお前を殺すのは……正直辛かった。それからも坊ちゃんと仲良くしてくれて……本当に感謝している。」

「……辺古山、お前は絶望していないのか?」

「フム、最もな質問だな。しているかしていないかで言えばしているのだろうよ。お前だって感じるのだろう?私から……”絶望”を。」

「……あぁ。でも───」

「絶望は理屈じゃない……いくら私とお前の間に絆があろうとそれは坊ちゃんと私の絆には及ばない物だしこの私はお前を絶望させるためにある……現実を見ろ日向。縋るな。私はお前の敵だ。」

 

そう言って辺古山は掛けていた二つの竹刀袋から竹刀を取り出した。

 

「花村は弁でお前に挑んだらしいな。だが私は大して口が回る方でもない……故にこれで決着をつけてもらう。」

 

渡された竹刀は予想以上に重い……ってちょっと待て!

 

「俺は剣道なんてできないぞ!?」

「あぁ安心しろ。これは剣道じゃないし私の勝利条件はお前の絶望……殺すつもりは毛頭ない。何よりも私がお前を殺したくない。私はお前が立てなくなるまで、折れるまでただ死なない程度に叩きのめすだけだっ!」

 

瞬間俺の腹部に衝撃が走り水平方向にメートル単位で体が飛んだ。

 

いつの間にか廊下は床から天井までびっしりと黒いギアスロールに埋め尽くされており既に絶望との戦いが始まっていることに気づく。

 

「竹刀というものはとても靭やかで強い。纏めてある分硬さもある。そして衝撃もとても通しやすいということもあって生身の人間に使うものではないのだ。下手をしなくとも一打で人命を奪う事もある。」

「……殺す気はないんじゃなかったのか?」

 

腹部が訴える痛みは確かに生半可なものではない。出した声も震えるし竹刀を杖にしてもまともに立ち上がることすらできない。

ただの一撃でこの有様だ。

 

「もちろん。衝撃の通りやすさは衝撃の逃がしやすさだ。私にとって体に一切の傷害を残さずに打ち込むことなどさして難しいことではない。だが、体表で爆発する痛みは───その分凄まじい」

 

────再び一閃。

肩口を切り上げるように振るわれた竹刀に体を浮かされ返す刀で再び胴体を薙がれる。

 

「があああぁぁぁっ!!」

 

熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱いアツイッ!!!

 

「私とて痛めつけたいわけではない、むしろ心苦しいくらいだ。痛みが嫌なのであれば……早急に諦めることだ。」

「ぐっ!」

 

痛みに呻きながら顔を上げる。

そう言った辺古山の顔はセリフに反して酷く嗜虐的な笑みを浮かべていた。……前まではそんな顔をしなかったじゃないか……。

……絶望……絶望が仲間を歪める。自分も歪める。世界も歪める。

自己も他人も事象も要因も過程も結果も歪められたのだとしたら真実はどこにあるのか?そんな虚飾だらけの虚像の世界の何が愉快なのか?

俺にはわからない、わからないからこそ今の仲間は巻き込みたくはない!

今のコミュニティが心地よいから……

十六夜の軽口が、久遠の見えない眼差しが、春日部の心遣いが、黒ウサギの笑顔が、ジンの懸命な様子が、子供達の笑い声が……すごく心地いいから……壊されたくない。壊されたくないっ!!!

 

「……ない。」

 

竹刀が振るわれる

 

「……んて……ない。」

 

竹刀が振るわれる

 

「……んてしない。」

 

竹刀が振るわれる

 

「……なんてしない。」

 

竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる竹刀が振るわれる─────

 

「絶望に絶望しろォっ!!」

 

───いいや、辺古山。俺は……仲間がいるから。いくら嫌われていても、いくら信じられてなくても、俺が手を伸ばせなくても……それでも仲間だと言ってくれる奴がいるのならば!!

 

 

 

 

「───絶望なんかしない!!」

 

 

 

 

 

振るわれた竹刀は……弾かれた。

 

「───なっ!?」

「ウオオオォォォっ!!」

 

体が自由に動く……だったら思い出せ今まで受けた一閃を。

あの時振るった一閃を。

この体ならできないことはない。できない方がおかしいのだから!

振るって振るって振るって振るって染み込ませろ!

 

 

上から袈裟斬りに振るわれた───合わせる

 

「……何故だ」

 

反転して横なぎ─────合わせる

 

「……何故?」

 

少し戻して再び横なぎ───合わせる

 

「おかしい……。」

 

ひねりを変えて上下の連撃────合わせる!!

 

「なぜ追いつく!?」

 

「ウリャァッ!!」

 

振るわれた全てに竹刀を合わせて……力で押し切る!

それでも押さえ込んで耐えるというのはさすがとしか言い様がない。

少し置かれた距離はギリギリ竹刀の射程外。詰めようと思えばすぐにでも詰めることはできるが……俺の目的も痛めつける事じゃない。

 

「グゥッ!何故だ!」

 

先程までの余裕も消え疲労からから肩の動きも激しい。

それでもなお剣先がぶれない様に構えられているのはやはり超高校級の剣道家としての姿だろう。

 

「……単純な話。仮に辺古山の技術を使える存在が他にいたとしたら……体格の違いとかで多少技に差が出るだろうけど何よりも打ち合った際の力の入りに差が出るだろう」

「私は力を逃がすことだって───」

「辺古山の技術で力を逃がせるってことは辺古山の技術で力を逃がさないこともできるってことだ。辺古山が逃がそうとした力をそのまま捕まえておくのは……簡単だったよ。」

 

もっともはじめの段階から辺古山が俺の体にダメージを与えに来ていたのなら別だが辺古山はそうはしなかった。細かい裂傷や引き攣りそうなところもないではないが体の駆動においてはほぼ万全だ。

 

「辺古山……なんでそんなことになった?九頭龍は生きてる。みんながみんな無事とは言えなかったけど誰一人死んでない!九頭龍だって別にお前のことを忘れたわけじゃないぞ?」

「……関係ない。私にとって他の奴らなどどうでもいいんだ。坊ちゃんがいれば……坊ちゃんが生きてくれれば……そう思ってた。だがその後も前に進むお前を見て思った。倒れる仲間を見て思った。なんで私もあそこに立てないのだろうと。なんで私はあそこで力になれないのだろうと!!私は今!あそこに立ちたい!!私の力は守るためのもの……守られるための力じゃない!!」

「だからってなんで!!」

「……お前が絶望に落ちればモノクマは……彼女は必ず向こうのみんなも絶望に染める。そうすればまたみんなで頑張れる!!今!力になれる!!」

 

……絶望に染まれば人は変わる。世界が変えられてしまう。歪んでいることに気づきながらもそれを望んでしまう、それしか望めなくなる。絶望に落ちれば自分で戻ることは不可能になる。

───だからこそそれを止めるのが……希望の役目だ。

 

「さっきのは言葉を間違えた、もう一度いうぞ辺古山……みんなお前のことを忘れたわけじゃない。戻ってこい辺古山!」

「私は……私はァァァァァっ!!」

 

正眼に構えられた竹刀が真っ直ぐに眼前へと迫る。

込められた剣気がその一瞬だけ辺古山をとてつもなく大きな存在に見せる。

 

……それだけ立派な芯があって……なんで歪んじゃうんだよ。

 

同じように正眼の構えから全く同じ軌道で剣を振り下ろす。

確かにいくら力が強くとも反応よりも早く決まれば辺古山が勝つ。技術は共有できても体が共有できないというのは……剣道で鍛えた視神経などの神経系の強さもまた共有できないということ……だけど俺は……俺の体はカムクラの物だ。普段の俺には発揮できない超人的な筋力があるなら……神経だって超人的なんだよ───

 

「目を……覚ませぇ!!」

 

結果再び正面から辺古山の竹刀と衝突した俺の竹刀は激しい音と共に辺古山の竹刀をへし折りその手から弾き飛ばした。

それでも止まらぬ斬撃は吹き飛ばされた辺古山の横を直進し────ペルセウスの城ごと両断した。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「なんだなんだ!?」

 

既にルイオスとの決闘も佳境を迎え、出現した魔王アルゴールの城全体を石化してしまうような赤褐色の光を消すのも既に何度目かという時、突如両断されて足場が傾いた。

これほどの揺れに不安定な壇上で石像となったままのレティシアは無事かと視線をやれば案の定ガタガタと揺れて硬質な床にその体を衝突させようとしており───

 

「──黒ウサギ!!」

「無理です!間に合いま───」

 

アルゴールに足止めされ支えに行けない自分の代わりにと黒ウサギが走り出すが距離的に間に合うかどうかは絶望的である。

しかし時は待ってはくれない。ついに動きに耐えられなくなりバランスを崩したレティシアが地面に叩き付けられる……そんな最悪をその場の全員が確信した瞬間城の切れ目から飛び出した何かがレティシアを支えた。

 

「今度こそ助けたぞ……かなり間一髪だったけどな。」

「日向!?」

 

普段より一段……以上に鋭くなった気配と全体的に白っぽくなった体躯、さらにそれと反比例するように赤い色を深めた瞳を携えて日向が決着の場へと登場した。

 

「おいおいなんだそりゃ、おまえどっかの戦闘民族の出身だったりするのか?」

「お前は俺に尻尾が付いているように見えんのか?」

「んじゃ切れたんだな。」

「余裕みたいだし手伝いはいらないよな?」

「むしろ手を出したらてめぇから……って一回お前とはやってみたかったから是非是非手を出せ。」

 

日向は「おまえのほうが脳みそ戦闘民族じゃねえか。」と吐き出しかけた言葉を飲み込んで皮肉替わりにわざとキザったらしい言葉を選んで言った

 

「悪いけど今ばっかりは両手がお姫様で塞がってるよ。お前はその蛇女とダンスしてな。」

「後で殺す。」

 

割とマジな仲間の殺気に当てられながら日向は噛み締める……今度こそ助けられたその両手の重みを。

 

 

 

 

 




ちなみにペコちゃんは好感度マックスなのでところどころ日向くんは特別扱いしてます、
男キャラは友情値、女キャラは基本恋愛値マックスです。
ただし原作でほかに大切な人がいる描写をしていたらその度合いによってはひなたくんよりもその人の方が大事的な感じ。
ついでにこの前ゲームやり直して最終形態日向君がカムクラの力を持つことを知ったので日向君のモードのあれ改稿しておきます。今回の日向君はちょい希望モードということでそっち参考にしてください

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