異世界より”超高校級”が参戦するようですよ!   作:ヤッサイモッサイ

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えーっと…………あれ?評価欄が真っ赤だぞ?びびった。昨日まで真っ白だったのに本当にビビった。

ありがとう評価つけてくれた五名様。抽選で金のひなた君人形が当たります。



まぁ冗談はおいておいて本当に嬉しいです。嬉しすぎて更新しちゃいました。
そして予約投稿ができるときは正午と言っていましたが零時に変更します。

何故かって?そりゃ学生的にはそっちの方がやりやすいからです!



えーっとまぁこれからも及ばぬ所もあるとは思いますが何卒宜しくです。

評価をくれた人は金のひなた君人形をお待ちください


水も滴るいい男の顔も三度まで

水の滴るいい男の顔も三度まで

 

 

 

僕らが廃墟をこえて進むと徐々に外観の整った地区へと出る。

どうやら今のノーネームはこの奥の一際大きな館とも呼べる建物で集団生活をしているらしい。

だが今はそれよりも先に用水路へと向かう。

この先には貯水池とも呼べる全ての水路がつながるポイントがあるらしくそこに手に入れた水樹の苗を設置すると言う話だ

 

かくして着いた先では子供達がそれぞれ清掃用具を持って掃除をしていた

 

「あ、皆さん!水路と貯水池の準備は整ってます!」

 

「ご苦労様ですジン坊ちゃん。みんなも掃除を手伝っていましたか?」

 

するとたくさんの子供が黒ウサギの元へと集まって各々に主張を開始する

 

「黒ウサギのねーちゃんおかえりー!」

 

「眠たいけど掃除手伝ったよ!」

 

「ねぇねぇ、新しい人たちって誰!?」

 

「強いの!?カッコイイの!?」

 

なんとも和む光景だがそれの真ん中にいるのが自分たちとそう歳の離れていないように見える黒ウサギなので元の世界の常識から少ししんみりとしてしまう。

 

元の世界が平和だった頃は多くても四五人の兄妹を高校生、またはそれに準ずる年の少年少女が働く親の代わりに面倒を見る程度のものだった。

仕事となればこれに準ずる数の子供も集まるだろうがそれにしたって複数人でそれぞれに均等に割り振って昼間だけ一時的に監督するだけだった。

 

一人でこれだけの人数をずっと…………

 

 

(大変…………だよなぁ。)

 

二百年…………途方もない年数だし俺たちからすればお婆ちゃんもいいところだ…………でもそれでもだろう。

 

コミュニティの復活という目的を掲げジンというサポーターがついていたとしても所詮11歳…………こうして子供達の面倒も見て俺たちのわがままにも付き合って…………対したもんだ。見た目通りの年齢ならば超高校級の保母と言う名を進呈したいくらいだ。

 

 

なんてことを考えているといつの間にか俺たちの紹介へと移りコミュニティ内での子供達の役割についても教えられる。

 

ギフトゲームに参加できない子供達は参加出来るものたちの補佐、身の回りの世話などを担当するらしい。

それに意見した飛鳥をこれも教育の一環だと言わんばかりの勢いで説き伏せた黒ウサギはやはり様になっている。

 

すると今度は子供達がこちらへと向き直って元気良く頭を下げる

 

「「「「よろしくおねがいします!!」」」」

 

…………元気が良すぎて耳が痛い。

 

「ハハッ、元気がいいじゃねぇか。」

 

「そ、そうね…………」

 

「……………………」

 

「よ、よろしくな。」

 

十六夜はよくもまぁ普通に返事が返せるもんだ。

 

「さて!自己紹介も終わりましたし、それでは水樹の苗を植えましょう!黒ウサギが台座に根を張らせるので、十六夜さんのギフトカードから出してくれますか?」

 

「あいよ」

 

それにしても立派な水路だ。長年水が貼られていなかった影響がところどころに見えるがそれも子供達で掃除したのだろう。少なくとも目に見えてというところは無い。

目に見えないところはわからないけど…………

逆に言えばそれほど広いわけで、やはり規模だけなら凄いなノーネーム。

 

「大きい貯水池だね。ちょっとした湖ぐらいあ

るよ」

 

曜が三毛猫に話しかけている。流石に猫がなんと答えているかはわからないが賛同していたりするのかもしれない。…………あれ?猫って水が苦手だっけ?いやでも湖に落ちたときは別に溺れてなかったし…………はて?

 

「はいな、最後に使ったのは三年前ですよ、三毛猫さん。元々は龍の瞳を水珠に加工したギフトが貯水池の台座に設置してあったのですが、それも魔王に取り上げられてしまいました」

 

「龍の瞳?何それカッコいい超欲しい。何処に行けば手に入る?」

 

「さて、何処でしょう?知っていても十六夜さんには教えません」

 

「賢明な判断だな。」

 

「おい、なんでお前はそっちの肩をもってんだよ。」

 

気のせいだろ。

 

「水路も時々は整備していたのですが、あくまで最低限です。それにこの水樹じゃまだこの貯水池と水路を全て埋めるのは無理でしょう。ですから居住区の水路は遮断して本拠の屋敷と別館に直通している水路だけ開きます。此方は皆で川の水を汲んできた時に時々使っていたものなので問題ありません」

 

「あら、数kmも先の川から水を運ぶ方法があるの?」

 

「はい。みんなと一緒にバケツを両手に持って運びました」

 

「半分くらいはコケて無くなっちゃうんだけどね」

 

「黒ウサのねーちゃんが箱庭の外で水を汲んでいいなら、貯水池をいっぱいにしてくれるのになぁ」

 

「………。そう。大変なのね」

 

そりゃまぁそんな異世界チックに素晴らしい技術があったら水樹なんて喜ばれないだろ。

神を倒して手に入れたのがそれってどんな貧乏神だったのかと。

 

「それでは苗の紐を解いて根を張ります。十六夜さんは屋敷への水門を開けてください!」

 

「あいよ」

 

十六夜が水路へと降り立ち門を開けるとそれを確認した黒ウサギが水樹を包んでいた布を貯水池の真ん中にある台座の上で解く。

水樹から溢れだした水は瞬く間に激流となり貯水池を満たしながら水路の先の十六夜へと───って大丈夫かあいつ?

 

「ちょ、少しは待てやゴラァ!!流石に今日はこれ以上濡れたくねぇぞオイッ!?」

 

濁流に飲まれる直前何とか水路から飛び上がって俺らのところに着地した十六夜が恨めしげに黒ウサギを見る。

 

 

まぁ振り回されてた復讐か?

自業自得だな十六夜。

 

何やら言い争いを始めた二人は置いておいてすごいな水樹の苗。

伸びた根が用水路へと広がるとそこからは放出する量もさらに増えて張り巡らされた水路へとどんどん水を送り込む。

 

 

「凄い!これなら生活以外にも水を使えるかも……!」

 

「なんだ。農作業でもするのか?」

 

「近いです。例えば水仙卵華などの水面に自生する花のギフトを繁殖させれば、ギフトゲームに参加せずともコミュニティの収入になります。これならゲームに参加出来ない皆にも出来るし……」

 

「ふぅん。で、水仙卵華って何だ、御チビ」

 

「花だろ。鳳仙花とかの水上版みたいな?」

 

「鳳仙花はわかりませんがまぁ花であることに変わりはありません。水仙卵華は別名アクアフランとも浄水効果のある亜麻色の花なんですよ。薬湯に使われることもあって観賞用にもよく取引されています。確か噴水広場にもあった筈ですが…………」

 

…………あぁ、あれか。確かに似た特徴の花が咲いてたはずだ。名前の通り卵のようなものが。

 

「あぁ、あの卵のような蕾のこと?それならひとつくらいもらっておけば良かったかしら?」

 

「確かに綺麗だったけどな。採ったら景観を損ねないか?」

 

「ひとつくらい大丈夫でしょ。」

 

「だ、駄目ですよ!水仙卵華は南区画や北区画でもゲームのチップとして使われるものですから、採ってしまえば犯罪です!」

 

…………あんなとこに生えてたら子供が間違って摘んじゃいそうなもんだけどな。

 

「おいおい、ガキのくせに細かいことを気にすんじゃねぇよ御チビ」

 

「いやいや細かくないだろ、犯罪だぞ犯罪。」

 

「俺の法は俺が決める。結果無罪放免。」

 

「…………既にやらかした後かよ。」

 

それにしてもジンの方もいろいろ溜まっているようです先程から少し顔が険しい。

御チビ呼ばわりされていることが一番なのだろうがほっておけば身長なんて伸びるものだ。

 

 

…………極たまに伸びない奴もいるが。

 

「悪いが、俺は俺が認めないかぎりは“リーダー”なんて呼ばないぜ?今の御チビはリーダーの器じゃないしな。この水樹だって気が向いたから貰ってきただけだ。コミュニティの為、なんてつもりはさらさらないからな。」

 

「あまり苛めるなよ。可哀想だぞ。」

 

今の十六夜の言葉はここまで幼いながらにコミュニティを引っ張る代表として過ごしてきた少年とそれらの面倒を見てきた黒ウサギにあまりにも酷だ。

 

「バカ言え、これは必要なことだろうが。いいか?黒ウサギにも言ったことだが俺は召喚された分の義理は返してやる。箱庭の世界は退屈せずに済みそうだしな。だがもしも義理を果たした時このコミュニティがつまらないことになっていたら…………俺は躊躇なく抜けるぞ。」

 

 

威圧的にそう言い切った十六夜をこの中で一番扱いにくいと改めてそう判断したようだ。

 

 

 

 

というか現状を面白いと言い切る十六夜のつまらない…………とはどういうことなのだろう?

 

「あ、俺もやる事が終わったら元の世界に帰るぞ?」

 

「えぇ!?」

 

なんで黒ウサギが反応するんだよ。さっき言っただろ。

 

「日向さんが帰ったら残った問題児様方の相手を黒ウサギが一人でしなくてはならないじゃないですか!」

 

 

…………うん、諦めてくれ。

 

「俺も抜けてる可能性あるから負担はそんなにねーだろーさ」

 

「自覚があるなら少しは自重してください…………。」

 

そう笑いながら告げた十六夜に耳を垂らしながら力無く項垂れる黒ウサギ。

 

「十六夜さん!」

 

先程の暗い空間から少し空気が回復したところでジンが再び十六夜へ呼びかける。

 

「僕らは“打倒魔王”を掲げたコミュニティです。何時までも黒ウサギに頼るつもりはありません。次のギフトゲームで……それを証明します。」

 

決意を固めた様子のジンを見て更に笑を深めた十六夜。

 

 

 

 

だがジンはわかっているのだろうか?

 

 

”何を”証明すればいいのか。

 

 

 

 

 

 

─────十六夜にとってのつまらないとはなんなのかを。




本当はね?二話くらい前の時点で1日目の夜を迎えているはずだったんだ。



なのにこの有様だよ!!まだ夜にすらなってないじゃないか!
ここから夜まで殆ど何もないのにもう一話挟むことになりそうで怖いくらいだよ!


そして受験生辛すぎるびっくりした。

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