えんとつそうじのネタ帳   作:えんとつそうじ

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これは自分が唯一オリジナルで書いた小説です。なので決行雑になってしまってると思いますがどうかお目こぼしをよろしくお願いします。


こんな乙女ゲー物もあっていいんじゃない?:オリジナル

書かない理由:謀略や主人公の作戦が思いつかなかった(乙女ゲー物)

 

 

 

【国立悠久学園(こくりつゆうきゅうがくえん)】。

 

 明治初期より設立されたその学園は日本に現存する教育機関の中でも最も旧い歴史と伝統を誇り、皇族をはじめとした名門、名族が多く通う所謂「お金持ち学校」と呼ばれる類の学校だ。

 

 そんな名門中の名門であるこの学園には五人の有名人がいるのを皆さんはご存知だろうか?

 

 生徒会長、『九劉雅人(くりゅうまさと)』。

 日本で三指に入る財閥、『三大財閥』の一つである九劉財閥の跡取り息子で、俗にいう「オレ様系」の肉食男子。その類まれなるリーダーシップにより生徒会を纏め上げる若きカリスマ。

 

 副会長『大黒白楼(だいこくはくろう)』。

 生徒会長である雅人の実家の九劉家には劣るが日本トップクラスの名家の人間で、彼の幼馴染でもある。その智謀で生徒会長を補佐する学園屈指の鬼畜眼鏡だ。

 

 会計『大門周防(だいもんすおう)』。

 経済界に大きな影響力を誇る大門家の次男坊。温和な性格で他の学生や教員たちと癖の強い性と会員の調停役も担っている苦労人。

 

 書記『神宮寺武彦(じんぐうじたけひこ)』。

 毎年多くの有能な武術家を輩出している大家の人間だが、本人が三男坊で家を継ぐ可能性が低いことと生来の臆病さゆえに生徒会の中では比較的地味。しかし才能はかの家の中でもピカ一なため、機器察知能力は比較的高い。

 

 庶務『財全尊(ざいぜんみこと)』。

 日本でも有数の大病院の跡取り息子。お調子者でいつも女性と戯れている生徒会屈指のプレイボーイ。

 

 この悠久学園の歴史上でも稀に見る特別なメンバーで構成されたこの生徒会は、そのメンバーのあくの強さから当初不安視されていたが、その権力、財力、行動力、そして自分たちの能力によりその影響力を学園中に広めていき、今では多くの生徒の尊敬と憧れをその身に受ける存在へとなっていた。

 

 しかしそんな彼ら生徒会と真っ向から対立する一人の女生徒がいた。

 

 その名は『天城院姫亜(てんじょういんひめあ)』。

 生徒会長である九劉雅人と同じく三大財閥にあたる天城院財閥の一人娘であるこの少女には幼いころから多くの伝説があった。

 

 曰く、産まれたときから言葉が喋れた。

 曰く、生後三日で立ち上がった。

 曰く、三歳のころにはもう英語をマスターした。

 曰く、その歌声を聴いた大物歌手が涙を流しながら昇天した。

 曰く、その冷たいまなざしで罵ってもらいたい。

 

 このような様々な伝説があることからわかると思うが、この天城院姫亜という少女、生徒会のメンバーと同じ、いやそれ以上の規格外の持ち主で、その能力は生徒会メンバーをも上回るといわれている。

 

 そんな彼女にはある秘密があった。

 

 そう、彼女はこの世界のことがゲームとして記されている世界からやってきた―――

 

 

                                ―――転生者だったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 どうもはじめまして、皆様。私の名前は天城院姫亜。栄えある天城院家の一人娘にして、この悠久学園にて風紀委員長をやらせてもらっています。今後とも是非お付き合いのほどをよろしくおねがいしますわ。

 

 ………ふう、やっぱりお嬢様口調は疲れるな。俺(・・・)の性にあってないし。

 

 あ、ごめんごめん。待たせちゃって。え?さっきと口調が違う?ああ、それには実は話せば―――まあ短いけどちょっとした理由があるんだが、まあその前に改めて自己紹介をさせてくれ。……いいか?じゃあはじめるぞ?ン、ゴホン!

 

 改めてはじめまして諸君。俺の名前は天城院姫亜。日本でも三指に入るほどの名家。三大財閥の一つである天城院家の一人娘だ。三大財閥がわからないやつは、まあ日本で上から三位以内に入るお金持ちの家と思ってくれればいい。

 

 さて、そんな俺には他の人間には話せないある秘密があるが、せっかくなのでここで喋らせてもらおう。

 

 俺の秘密、それは俺には俗にいう「前世の記憶」があるというもの。……ここまでいえばその手の知識が豊富な同士諸君にはわかってもらえたと思う。

 

 そう、俺は前世の知識を受け継いだこの世界のまさに異端者(イレギュラー)。所謂『転生者』と呼ばれる存在なのだ!!

 

 

 

 

 ……まあ待て、とりあえずその哀れむような目はやめてくれ。

 

 気持ちはわかる。俺だって全く見知らぬやつにそんなこといわれたら思わず今の君たちと同じような目をしながら冷静に黄色の救急車を呼ぶために携帯電話を手に取るだろうし。

 

 でも、しょうがないだろ?これは漫画や小説の話じゃなく、もちろん俺が見た夢の話でもなく本当の話なんだから。

 

 話は戻すが、俺が前世の記憶を思い出したのは三歳の俺の誕生日でのこと。突然激しい頭痛がした俺はその場で倒れ気を失ってしまったのだが、その後目を覚ましたときには全てを思い出していたのだ。

 

 そこで思い出した記憶によると、前世での俺は就職に成功したはいいが、なかなか仕事がうまくいかず、大きな失敗をしてしまいその会社をクビに。

 失意のどん底に陥った俺は、これからの生活をどうしようかと帰り道を歩いていたのだが、その際にトラックに轢かれてそのまま死亡。そのまま帰らぬ人となってしまったのだ。

 

 普通ならここで俺の物語は終わってしまうのだが、そうは問屋がおろさなかった。

 

 死んだと思った俺は気づいたら全く見たこともない白い空間にいて、そこであの人と出会ってしまったのだ。―――自らを『神』と名乗る老人と!

 

 その老人は俺が自分の存在を認識するのを確認すると、なんともいえぬ笑みで俺にこんな話を持ちかけてきた。

 

『お主物語の世界に転生してみる気はないかの?』と。

 

 なんでも神様というのは長生きで誰も逆らえないほど偉い分かなり暇な存在らしく、ときおり暇つぶしに死んだ魂をその魂の持ち主が生前に創作の世界として知っている世界に力を持たせて送り込み、世界にどんな変化をもたらすのか、それを観察して楽しむことがあるらしく、今回は俺がその観察対象に選ばれたらしいのだ。

 

 その時俺は「テンプレきたー!」と思ったが、それと同時にある懸念を抱いた。

 

 俺もその手の専門家(笑)としてこのような展開の作品はネットでいくつも見ていたが、それにはある共通点として転生した世界がそれなりに物騒だということが上げられてしまうのだ。

 

 転生物のテンプレよろしくなにかサイキョー的な能力ももらえるらしいし、それがなくても転生者には神様のサービスで通常の人間より各種能力が格段に上がっているらしいのだが、それでも俺はそんな血と硝煙がはびこるような、もしくはそれに準じるような世界には行きたくないことを神様に告げら、危険度が少ない世界は所謂転生特典がランダムになるし、転生先も自由には設定できないが、それで安全な世界に行けるならと承諾。そのままこの世界に転生したというわけだ。……まさか女になるとは思わなかったが。

 

 まあそれだけなら別にいいのだが、問題は俺が転生した世界にあった。

 

 俺が転生したのは『悠久物語』という所謂乙女ゲーと呼ばれるゲームの世界で、世界的な名門である悠久学園を舞台に、特待生として入学した庶民出身の主人公が、家柄も能力も規格外なイケメン生徒会メンバーに目をつけられ、さまざまな問題に巻き込まれるというもの。その騒動の中生徒会メンバーの問題を主人公は解決していき、その主人公に生徒会メンバーが徐々に惹かれていくという俗にいうハーレム物になっている。

 

 なぜ俺がここまで詳しいのかというと、生前姉がこのゲームにハマッていて、俺にもその素晴らしさを教えようとよく俺の部屋に乗り込んできて強制的にやらされていたからだ。

 

 そして一番の問題は俺が転生したこの天城院姫亜という人物。実はこいつは悠久物語というゲームにおいて主人公のライバルキャラとして登場し、その三大財閥の一人娘という立場と類まれなる美貌から学園のマドンナ的存在ではあるが、傲慢な性格で嫉妬深く、庶民でそれほどの美貌でもないくせに学園でもトップの面々である生徒会メンバーを魅了する主人公に嫌がらせを繰り返し、最終的には自暴自棄になりその命を狙おうとするのだが、生徒会の面々がそれを阻止。そのまま生徒会メンバーに殺されるという悲惨な最期を迎えることになる女性なのだ。

 

 俺はこのことに気づいた時あまりにも暗い自身の未来にしばらく絶望に包まれていたが、そこで俺は考え直した。自分の未来が暗いものだとわかっているならそうならないように行動すればいいんじゃないかと。

 

 幸い神様のいうことが正しければ転生者の俺はそこいらの人間よりも格段に能力が上がっているはず。ならば今から自身に磨きをかけて能力を底上げすれば学園で生徒会に匹敵する社会的地位を得ることができ、なるべく彼らに関わらないようにすれば無事に人生を送ることができるはずだ。

 

 そう考えた俺はさっそく行動を開始した。

 

 体力づくりのためにまずは屋敷とその周りの探索をはじめ、屋敷の書籍部屋に忍び込み一人勉強をする。

 

 それだけでは物足りなくなった俺は両親に強請り高い教育を求め、その結果今では自分でいうのもなんだがどこに出しても恥ずかしくない立派な淑女へと成長したというわけだ。……まあ今でも内心は強制されずにこんな言葉遣いになっちまってるが。

 

 悠久学園に入学してからはまた大変だった。

 

 生徒会のメンバーは確かに優秀で設立された当初から多くの人望を集めたのだが、原作が始まりヒロインがこの学校に入学してからは言い方は悪いが徐々に腑抜けていき、彼女に近づく男たちを恐喝したり、学校の設備の占有など問題を起こしていき、生徒会の業務が停滞していった。

 

 俺はそれを最初は現実なんてこんなものかとそれを傍観していたのだが、学校はそれを憂慮したのか生徒会を牽制させるために生徒会とは別に独立した生徒主導の機関である風紀委員会の委員長に俺になってくれと頼んできたのだ。

 

 なんでもあのヒロインが学校に入学してから生徒会の面々はたびたび問題を起こすのだが彼らの家柄が凄すぎて自分たちでは何もいえないので、生徒会長と同じく日本で上から数えたほうが圧倒的に早い三大財閥の生まれの俺に対抗して生徒会を抑えてほしいんだとか。

 

 俺はその申し出に正直迷った。俺は生前男だったこと、そして今は肉体は女で女としての教育を受けてきたために男にも女にも興味がないのでヒロインに嫉妬して嫌がらせをするなどということはありえないが、本来の歴史で俺を殺すことになる生徒会とどんな形であれ敵対することになったら俺の命を脅かすことになるんじゃないかと思ったからだ。

 

 だが冷静に考えたら俺が財閥の娘という地位を追われて生徒会に殺されてしまうのは俺がヒロインに嫌がらせをして裏でいろいろ悪どいことをいろいろしていたからであって、今の俺にはなんの後ろ暗いことともない。

 

 生徒会を抑える役目でいくらか彼らの恨みを買ってしまうかもしれないが、それでも家から追い出され今の地位を失うことがなければ彼らも迂闊に俺に手を出してくることもないだろう。

 

 そう結論付けた俺は、風紀委員会風紀委員長の内示を快諾。生徒会との戦いを決意するのだった。

 

 風紀委員長の仕事は大変だった。名家名門の人間は皆若いころから甘やかされてきたのか注意してもいうことを聞かないやつも多いし、もちろん生徒会もただいっただけでは今の環境を改善しようとしない。なのでそれなりに強引な手段をとってやっと事が進む、そんな状況だった。

 

 だが俺の努力と誠意(・・・)が実を結んだのか、俺のいうことを聞いてくれる人も段々と増えてきて、俺を慕って風紀委員を手伝いたいという人も続出。委員長としての活動も段々と楽になっていった。

 

 生徒会の方はさすがに一般の生徒みたいに簡単にはいかなかったが、彼らも名家としての面子があるのだろう。最低限の仕事はしてくれるようになった。

 

 まあ生徒会にいる友達(・・・)のいうことには本当に最低限らしいし、俺もいくつか故意に見逃してやったこともあるので完全に改心したとはいえないが大分マシになったと思う。

 

 まあそういうわけで生徒会とは一種の冷戦状態にはなりながらも、なんとかかんとか仕事をこなし、先日ようやくゲーム、つまり原作の終わりを確認した俺は、現在学園の風紀委員会に割り当てられた執務室で一人紅茶を飲んで一息ついていた。

 

「―――やれやれ、やっとここまで来ましたか。思ったより長かったですわね」

 

 ため息とともに思わず口から漏れる言葉。

 

 だが許してほしい。本当にここまでくるのは大変だったのだ。

 

 甘やかされたクソガキどもの面倒を見ながらさらにやっかいな生徒会のクソガキどもが起こす面倒ごとの被害を少なくするために奔走。それをしながら原作に起きる事件でイレギュラーが起きてこっちや学園に被害がいかないよう風紀委員メンバーに偵察をさせ事態を推移しながらコントロールしていった。

 

 鈍感なヒロインと癖の強いガキを誘導するのはなかなか至難の業だったが、それもなんとか成功し、原作でいうハッピーエンドを先日終えたのを確認したために、こうして他の風紀委員メンバーに仕事を一時任せ、今までがんばってきた自分をねぎらう意味も兼ねてこうして一人優雅に紅茶を飲んでいるというわけである。

 

「(これで後は何事もなく学園生活を終えるだけ。そうすればあの忌々しい生徒会ともようやくおさらばできる。これほどめでたいことはないな!)」

 

 本来ならば生徒会メンバーをきっちりと更正させるためにいろいろやったほうがいいのだろうが、もう表向きは(・・・)なにもしていないだろうし、それをわざわざ粗探しするのもめんどくさい。するとしても俺が卒業してから俺の後を継いだ誰かがやるだろう。

 

 そう考えた俺は、ちょっとした達成感とともにまた紅茶を一口口に含む。その時だった。

 

 

こんこん

 

 

「お嬢様、今大丈夫ですか?」

 

 

 ノックとともに自分の腹心である男性の入室を求める声が聞こえてきたので許可を出すと、執務室の扉から腕に風紀委員のシンボルである腕章をつけた角刈りの大柄な男子生徒が部屋へと入ってきた。

 

 彼の名は『磯野健二(いそのけんじ)』。幼いころに父親がどこからか拾ってきた子供で、俺の世話役兼遊び相手。まあつまりは私の腹心でもありちょっとした幼馴染でもある男だ。

 

 父の話を聞くと、どうやら彼は父の昔の友人が愛人との間に作った子供らしく、その友人が病気にかかって死んでしまい、その最後の頼みとして家に連れてきたのだ。

 

 ちょうど自分のてご、げふんげふん。友人が欲しいと思っていた俺はそれを歓迎し、今でもこうして俺の腹心、そして貴重な友人として手元においているというわけである。

 

 はじめはどこともわからない、いっては悪いが馬の骨である健二を俺のそばに置くのは相応しくないというやつも親戚の中から出てきたが、健二の方は幼いころから一緒にいた俺についていくのに不満はないのか、それとも家に恩を返すためか、必死で努力をしてくれて俺という名家の娘のサポート役ととしてどこからも文句がでないほど優秀な友人、そして部下として自らを成長させていった。

 

 いつも冷戦沈着でいて、豪胆である俺の右腕でもある存在。しかし俺はそんな彼がなにやら微妙な表情をしていることに気づき、思わず首を傾げる。

 

「どうしたの健二、そんな顔して?いつものあなたらしくありませんわ?」

 

 いつも俺がなにもいわないかぎりは「鋼鉄の仮面(アイアン・マスク)』とあだ名されるほどのポーカーフェイスの彼が表情を崩すこと自体が珍しいので思わずそう尋ねると、彼はしばらくなにやら悩みながらも、ゆっくりと口を開いた。

 

「……申し訳ありません、お嬢様。なにしろ予想外の客人が来たもので」

「客人?この時間に?」

「はい」

 

 健二の言葉に俺は再び首を傾げる。何しろ今の時間は夕方。ほとんどの生徒がもう帰宅しているはずなのにそんな時間に客人など珍しいと思ったからだ。

 

 しばしその不可解さに考え込んでいたが、客人を待たせるのは申し訳ないし、わからないことを考えていてもしょうがないと、俺は一旦顔を上げる。

 

「まあいいわ。とりあえず、お通して?」

「承知しました。それでは少々お待ちください」

 

 健二は俺の言葉にそう一礼すると一旦部屋から退出し、少しした後再び扉をノックする音が。

 

「お待たせしました。こちらが風紀委員長の執務室になります」

 

 そういって健二は客人だという人物に俺の執務室に入るように促すと、その人物は戸惑うような気配を見せるも、恐る恐るといった感じで、部屋へと入ってくる。

 

 その人物の姿を確認した俺は思わず驚愕で目を見開いた。

 

「――――あなたはッ!?」

 

 そこにいたのはあまりにも予想外な人物だった。

 

 

 

 

 

 

 

 ―――とある人物が風紀委員会の執務室にやってきてから約一ヵ月後の昼下がり。俺たち風紀委員は、とある案件を生徒会につきつけるために、彼らの根城である生徒会室まで足を運んでいた。

 

 

「―――生徒会のリコールだと!?」

「はい、ちゃんと署名と手続きの書類は揃えてあります。―――これはコピーですがどうぞお読みください」

 

 俺の言葉に激昂する生徒会長、九劉雅人。俺はそんなかれに一枚の書類を差し出すと、彼はそれを奪い取りなにかの間違いではないかと何度もその紙を見渡すが、それに間違いがあるはずはない。風紀委員全員で何度も見直したのだから。

 

 そう、俺たちが今回ここに来たのは生徒会にリコール、つまり解散をもうしわたすためにここまでやってきたというわけだ。

 

 本来の彼らの能力とカリスマならこんな自体にはならないんだろうが、ヒロインがこの学校に来てからの彼らの行動がまずかった。

 

 生徒会活動の職務怠慢、ヒロインに近づいたであろう男子への精神的、そして物理的手段を使った恐喝、生徒会費の横領、そしてヒロインにわずかでも害意を抱いた女子生徒、男子生徒を実家の権力を使って退学や定額に追い込むなど、問題行動は後を絶たない。

 

 リコールされた理由についてそう告げると、今まで黙っていた生徒会副会長である大黒白楼が眼鏡を人差し指で軽く持ち上げるとこちらをいつもの冷静な姿はどこへやら。物凄い形相で睨みつけてきた。

 

「証拠はあるのですか?それがないとこちらとしても承服できかねますが?」

「そ、そうだよ!証拠をだせ証拠を!!」

 

 白楼のその言葉に、生徒会庶務である財全尊が騒ぎ立てる。

 

 うん、いわれると思った。でも仮にも学園屈指の名門ぞろいの生徒会に喧嘩を売るのに証拠のひとつも揃えないと思ってたのかな、この人たちは?

 

 内心呆れながら俺は慌てずゆっくりと口を開く。

 

「もちろんですわ。この一ヶ月私の友人(・・・)にじっくりと調べなおしてもらいました。―-―ねえ、大門さん」

 

 

 

 

「そうやね、天城はん」

 

 

 

 

「「「「は?」」」」

 

 私の言葉に生徒会のうちの四人が思わず呆けた声を出す。それもそうだろう、敵である俺の言葉に答えたのは自分たちの見方である生徒会会計、大門周防だったのだから。

 

 大門は生徒会メンバーを書き分けてゆっくりと私の前に出ると、手に持っていた鞄の中から一つの書類の束を取り出して私に差し出してくる。

 

「これがこの一年間のこいつらの行動の調査禄や。実家の権力を使った悪事もばっちり入ってるから有効に使ってくれ」

「もちろんですわ」

 

 優雅に微笑みながらその書類を受け取る俺。しかしそれに我に返った生徒会メンバーの一人、生徒会書記の神宮寺武彦が待ったをかける。

 

「ちょ、ちょっと待てよ。俺たちを裏切る気か大門!!」

「じゃかあしいわい、甘ったれたクソガキどもがッ!!」

「!?」

 

 仲間であるはずの自分たちを裏切った大門を神宮寺は糾弾するが、大門はそれを一括して黙らせる。

 

 その顔は温和な彼にしては珍しく、憤怒の感情で彩られていた。

 

「この一年、実家の命令でコネを作るためにあんたらと一緒に行動してきたがいつもいつも面倒ごとの尻拭いばかりやらせやがっれもう我慢できんわ!あんたらとは縁を切らせてもらう!!」

「―――いいのか?俺たちの家がだまっちゃいないぞ?」

 

 大分鬱憤が溜まっていたのだろう、激昂する大門。そんな大門を睨みつけながら生徒会長は脅すようにそういうが、大門はそんな彼を鼻で笑う。

 

「はっ!困ったらお家に泣きつくとはさすが三大財閥の時期当主様は格が違いますのぉ?」

「……なんだと?」

「好きにしたらよろし。実家でもどこにでも行って好きなだけわしを潰すための工作でもおこなえばよろしいがな。―――尤もそれができたらの話ですけどねえ」

 

 そういうと大門は新たな書類の束を鞄から取り出すと生徒会長の前に叩きつける。

 

 生徒会長はそんな彼の行動に額に青筋を立てながらもそれをなんとか抑えると、その書類の中身を確認する。

 

「―――なんだとッ!?」

「?どうしたんだい雅人?」

 

 驚愕の表情を浮かべる生徒会長の様子を不思議に思ったのだろう。副会長は訝しげにしながらも横から生徒会長が持っている書類を覗き込む。

 

 そこにはこう書かれていた。

 

 

 

 

 

『悠久学園生徒会長九劉雅人、副会長大黒白楼、書記神宮寺武彦、庶務財全尊の四名を退学処分とする』

 

 

 

「退学だと!?」

「なに!?」

 

 そう、大門が彼らに渡したのは彼らの退学を通知する書類だったのだ。

 

 慌てながらそれを覗き込む彼らを見て、大門は嘲笑う。

 

「あんさんたち、どうやらあの子に入れ込む前もいうこと聞かないからって実家の権力で無理やりどうにかしてたみたいですなあ。その時の悪事の証拠がたんまりと出てきましたわ。―――あんたらの実家があんたらに愛想がつかすほどになあ」

 

 そう、彼がここまで生徒会の面々に強気なのはこれが理由だったのだ。

 

 政財界の大物、大商人大門家に生まれた彼はとびっきりの名家ぞろいである生徒会にコネ作りのために入ったのだが、その生徒会は表向きはいいが、裏ではいうことを聞かないやつ、少しでも自分たちの意に沿わない生徒は実家の権力で黙らせ潰す。そんな腐ったガキの集団だったために、彼は彼らの活動を抑制するために彼らに対抗できるだけの家柄である俺に接触。そのままスパイとしてこの一年間生徒会に居続けたのだ。

 

 その彼や健二に集めさせた彼らの愚行の証拠を彼らの実家に突きつけ、こうして彼らの退学処分を取り付けることに成功したというわけである。

 

 未だなにが起こったか理解していないのか、呆然とした彼らをよそに話は続く。

 

「あなたたちの家族はたいそう悲しんでいましたよ。まさか自分たちの子供が、弟が、兄が。こんなことをするとは思わなかったとね。―――尤も私もはじめはここまでするつもりはありませんでした」

「?なに?」

「どういうことだ?」

 

 俺の言葉に不思議そうにする生徒会メンバー。その中には大門や、健二以外の風紀委員会のメンバーも入っていた。

 

 ああ、そういやいわなかったっけ?

 

「あなたたちは確かにやりすぎましたが実家の権力を使うという点は間違いでありません。この学校に来るのは権力に甘やかされた子ばかりですからそれ以上の権力はまず必要でしょうし。なのでよほどの被害が出ない限りあなたたちの行動を黙認しようとしていました。―――尤も彼女(・・・)の訴えを直接聞くまでのことですが」

「彼女?それはいったい……」

 

 生徒会長の呟きに、私はため息を一つつくと、そばに控えていた健二に視線で合図をして、彼女に生徒会室まで入ってきてもらうように促す。

 

 健二が部屋を出て行ってから少し、扉の向こうから女性の声で「失礼します」という声が聞こえたかと思うと、その女性が部屋の中へと入ってくる。

 

 その女性の姿に、はじめはどんなやつが自分たちをここまでの苦境に貶めたんだと扉を睨みつけていた生徒会メンバーは、しかしその女性が誰なのか理解すると、あまりの驚愕に口をあんぐりと大きく開けた。

 

「―――な、なんでお前が!?」

 

 生徒会長、いや元生徒会長九劉雅人が叫びながらも震える指で指した先にいるのは、一人の気弱そうな雰囲気を持つ女子生徒。

 

 用紙はせいぜい並より上といった程度だが、その小柄な体とぱっちりと開いた大きな瞳から小動物のような可愛らしさを感じる彼女の名は『桜木シオン(さくらぎしおん)』。

 

 この学校で数少ない庶民出の特待生であり、私が認知する中で最大の被害者。

 

 

 

 

 ―――そして生徒会メンバーが崇拝するヒロイン様である。

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんで彼女がここに……?」

「それは彼女があなたたちの最大の被害者だからですわ」

 

 生徒会庶務の震える声を、しかし俺は一刀の元それを切り捨てたが、そんな俺の物言いが気に入らなかったのか生徒会長が俺に向かって食って掛かる。

 

「被害者とはどういうことだ!俺たちは彼女をこれ以上なく愛し、大切に扱っていた!!」

「そ、そうだそうだ!!」

 

 会長の声に便乗して声を上げる財全。どうやら他の二人も同様の意見のようでこちらを激しく睨みつけてくる様子を見て、俺は思わずため息が漏れるのを感じた。

 

「(わかってねえ。本当にわかってねえよこいつら)」

 

 彼女が最大の被害者だという理由を教えるために、俺は再び口を開こうとしたが、その前に叫び声を上げた人物が一人。

 

 

 

 

 

「―――ふざけないで」

 

 

 

 

 この世界のヒロイン。桜木シオンだ。

 

 先ほどまでの気弱そうな印象とは打って変わって彼女は冷徹に生徒会の面々を見回す。その瞳には冷たいながらも激情の炎が燈っているのが見えた。

 

 あまりの豹変に凍りつく生徒会の面々。そんな彼らを冷たく一瞥しながらも彼女は話を続ける。

 

「確かに私は最初はあなたたちに興味を示した。あなたたちはそれは輝いて見えたもの―――でもそれは遠くから見るだけでよかったの。私は普通に行きたかっただけなのに何度も巻き込まれた」

「離れようとはしなかったんですか?」

 

 俺のその質問に、彼女は涙を零しながらも気丈に答える。

 

「したわよ!!でもこいつらはそれを照れ隠しといって離れさせてはくれなかった。家や教室まで迎えに来て、私が周りからどんな風にいわれてると思う!!いいとこのおぼっちゃんを誑し込んだビッチっていわれてるのよ!!」

「なんだと!?」

「そんな!!」

 

 桜木シオンの涙交じりのその告白に驚愕の声を漏らす生徒会メンバーたち。

 

 ちなみにこの噂のことは俺も知っていたが、生徒会の面々がなんとかすると思い黙認していた。尤もそれが間違いだったのだが。

 

「それだけじゃないわ!九劉生徒会長は私に近づく人間を暴力で遠ざけようとするし、大黒副会長は私の周りの人間を脅して私に話しかけないようにする!神宮寺先輩は来ないでっていっても私の後を尾けてくるし、財全さんはセクハラばかり!!もうあなたたちにはたくさんよ!!」

 

 そういうと彼女は大粒の涙を流しながらその場に蹲る。

 

 あまりの痛ましいその姿。沈黙が部屋を支配する中、震える声で口を開く人物が。

 

「……どうしてだ」

 

 生徒会長、九劉雅人だった。

 

 生徒会長はいつもの自信はどこにいったのか、青ざめた顔でこちらを怯えたような瞳で見据えていた。

 

「そこまで嫌ならなんでいわなかった?いってくれれば俺たちだって」

「―――いえるわけないでしょッ!!」

 

 言い訳じみた生徒会長のその言葉に、しかし先ほどまで泣き崩れていた桜木シオンが月光の声を上げる。

 その顔はすでに怒りを通り越して怨念のようなものを感じてしまう。

 

「私は庶民!あなたたちと違ってごく普通の一般家庭に生まれた人間なの!!逆らえるわけないじゃない!!」

「なッ!?俺たちはそんなことしない!!」

 

 桜木の言葉に生徒会庶務財全尊が激昂するが、彼女にあらかじめ相談されていた(・・・)俺はそこで口をはさむ。

 

「あんた方がやるかどうかは問題ではなく、あなた方が実際にそれを行うことができる(・・・)のが問題なのでしょう。あなた方にはそれができる権力があり、能力がある。―――そしてそれを行ってしまう実績も。彼女はそれを知っていたんですよ」

 

 そうですねと桜木嬢に視線を向けると、彼女は瞳を潤ませながらもしっかりと頷く。

 

「私はつらかった。私のせいでひどい目にあっていく人たちを見るために心が痛んだわ。でもあなたたちが怖くてなにもできなかった。もし本気で怒らせたら私だけじゃなく家族にも迷惑がかかるんじゃないかって。そう考えたら黙っているしか私にはできなかった。―――でもそこで私は姫亜様のことを知ったの。姫亜様はこの学園で唯一あなたたちに対抗できる存在。だから一か月前にこの人に相談したのよ。あなたたちのことをどうにかしてほしいってね!!」

『―――なッ!?』

 

 彼女の声に驚愕の声をあげる生徒会メンバー。

 

 そう、実は一カ月前に俺の執務室に来たのは彼女、桜木シオンだったのだ。

 

 生徒会の能力、権力任せの求愛行動。彼女を誰にも渡さない、彼女を護らないという違法行為。そしてその被害に遭う生徒たち。それに我慢できなくなった彼女は俺の所に駆け込んできたのだ。

 

 それはどれほどの勇気がいっただろう。彼女は全校生徒に完全に生徒会側の人間だと見られており、私もその時まで彼女とは直接の面識はなかったが完全にそう思っていた。自分に対して噂を把握していた辺り自身も周りからそう見られていることを認識していたに違いない。

 

 なのにその生徒会と敵対している風紀委員会まで単身一人やってきて、下手をしたら自分をも罪にとわれかねない告白をするのだから。それほど彼らの行動が彼女を精神的に苛んでいたということだろう。

 

 私は善人ではない。むしろ細かいこととはいえ必要とあれば違反行為も見逃すこともしていることから彼ら生徒会とどっこいどっこいといったところだろう。尤も私は彼らのように自分の都合のいいように自身に持たされた権力を使うことは絶対にないが。

 

 彼女の言葉を聞いた生徒会メンバーは、よほどショックだったのか全員顔を真っ青にしており、その顔は深い絶望感に彩られていた。

 

 まあそれも仕方ない。彼らは原作では自身の人生に関わるコンプレックスや問題を彼女に解決してもらったせいか、彼女に深い愛情を抱いていた。

 そんな彼女と自分たちの間にできていたと思っていた(・・・)絆を完全に否定されたのだから。

 

 ……でも私は同情しない。全て彼らの自業自得なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――それからの話をしよう。

 

 あれから生徒会の四人は、俺が説得した実家の指示で特に問題なく退学にすることができた。

 

 最初は彼らのような子供を育てた実家なのだから説得は難航するかと思ったらわりとそうでもなく、権力をもつ者のあり方を熟知していた彼らは思ったよりすぐに動いてくれた。どうやら彼らがあそこまで悪質に育ったのは彼らの能力の高さからついつい甘やかしてしまったからだそうだ。

 

 俺の報告に激昂した彼らの家族は彼らの実家においての実権を全て剥奪。地獄の再教育を施し、一からやり直させるらしい。(ちなみにその時これを聞いた桜木嬢はよほど嬉しかったのかとてもイイ笑顔で笑っていた。

 

 ただ生徒会の面々が逆恨みで彼女を襲わないとも限らないので、彼女の能力の高さもあり私は元々卒業してからはどこかの会社で働く予定だったという彼女を家の実家の会社にスカウト。彼女は喜んでそれを受けてくれた。

 

 

 

 ―――そして十年後、自身の性の問題的にどうにも結婚する気が起きなかった俺は両親が無理にそれを進めなかったこともあり女のみで家を継ぎ、彼女はそんな俺の健二と並ぶ腹心にまで成長していた。

 

「―――姫亜様この書類にサインをお願いします」

「わかったわ」

 

 差し出された書類の中身を確認しながら生き生きと毎日を生きる彼女を見て私は思う。

 

 この世界に転生した当初は、どうせ自分は神様のおもちゃなんだと心の底で卑屈になっていたが、俺が転生したことで彼女を救うことができたのなら、別に神様のおもちゃでもいいんじゃないかと。

 

 

 

 

 ………ただ、

 

「……………(うっとり)」

 

 なにをどう間違えたのか、彼女が時折俺のことを恋する乙女の視線で見てくるのだが、どうしたらいいのだろうか?

 

 

 

 

 ―――おもちゃでもなんでもやるから教えてくれよ。なあ、神様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・天城院姫亜(てんじょういんひめあ)

 

この小説の主人公。前世ではなんとか就職することができたが上手くいかずにそうそうにクビに。神様の暇つぶしのおもちゃになるためによりにもよって姉がハマっていた乙女ゲーの悪役キャラに転生することに。

 

将来約束されている自分の死を回避するために自分を磨きあげ超人ぞろいの生徒会を凌駕する超・淑女(スーパーウーマン)に。

 

原作は傍観するつもりだったが、ヒロインに現を抜かして生徒会業務を怠り問題行動を起こす生徒会を牽制するために学校から風紀委員長への打診を受け、原作の展開により生じる被害を減らすためにそれを受けることに。

 

下手に刺激してもあれなので原作が終わってからはよほどの問題行為以外は見逃そうと思っていたが、ヒロインの訴え、そしてスパイである生徒会会計の大門周防から寄せられた証拠を使い生徒会の面々の実家と交渉。彼らを学校から追い出すことに。

 

卒業してからは心が男、体が女ということから男にも女にも興味がわかなかったために結婚はしないで実家を自身が継ぐことを決意。そのカリスマ性と超人的な能力から部下からは「女主人(ミストレル)」と呼ばれ尊敬され、親しまれている。

 

最近の悩みは部下の視線が熱すぎること。

 

 

 

・桜木シオン(さくらぎしおん)

 

世界の元となった原作、『悠久物語』のヒロイン。

 

向上心が強く、自身を高めるために名門中の名門である悠久学園に入学するが、そこでいろいろとやっかいな生徒会に目をつけられ、彼らに関わる問題に巻き込まれ、なんとかしないと自分も大変な目に遭うためにいやいや解決に奔走していたら本人の意図しないところで逆ハー状態に。

 

愛が重すぎる生徒会の行動により、友達になった人たちが自分から離れ、どんどん自分のせいで人が学園から追いやられ、嫌気がさし、生徒会と唯一対抗できる主人公を頼ることになる。

 

悠久学園で特待生の地位を獲得したその能力を買われて主人公の実家の会社で働くことになった現在では、毎日主人公の傍で生き生きと働き、自分の上司に熱い視線(意味深)を送る日々を送っている。

 

 

 

 

・磯野健二(いそのけんじ)

 

主人公の幼馴染兼世話係として幼いころから主人公の傍にいる主人公の第一の臣。

 

特技は野球。

 

 

・大門周防(だいもんすおう)

 

元生徒会会計。

 

錚々たる家柄の人間が集まる生徒会に対してコネを持つために生徒会に入ったが、生徒会メンバーがヒロインに現を抜かして好き勝手する生徒会の面々に嫌気がさし、主人公に接触。そのまま主人公のスパイの一人として働く。

 

 

 

 

・生徒会メンバー

 

超人的な能力を持つイケメソ集団。いろいろ問題をかかえていためんどくさい男たちだったが、ヒロインが(いやいや)それを解決し、ヒロインへの恋愛感情が暴走。さまざまな問題行為、違法行為を起こす。そのために学校を退学することに。

 

退学してからどうなったかは不明。

 

 

 

・生徒会メンバーの実家の家族

 

権力者のあり方を理解している人たち。意外にいい人たちで退学した生徒会の面々を再教育することに。その後どうなったかは不明。

 

 

 




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