さて、今回は仮面ライダードライブの短編。最新話でとうとうチェイスが仮面ライダーとして覚醒したのでテンションがあがってつい書いてしまいました。ネタ自体は前々から考えてたんですが、せっかくだからこの際にと。
ということで暇つぶしにでもどうぞ。
サイバロイド”ZZZ”。かつて己の死期を悟ったベルトさんことクリム・スタインベルト博士が、自身の人格を宿す器としてドライブドライバーの前に開発していた強化ロイミュード。
ロイミュードと同じく重加速を起こすことができ、凄まじい怪力を起こる。さらに吸収したものをコピーすることができるという能力まで持ち合わせているが、しかしこれを起動するためには人並み外れた精神力が必要で、当時のクリムはこれを起動できるほどの精神力を持ち合わせておらず、またこれを使用してしまうと心が暴走する恐れがあることを知ったクリムは、自身の器をドライブドライバーへと変更しこのボディは彼が生前所有していたとある古城の地下深くに封印することとなった。
だが、そんなZZZの存在を嗅ぎつけた存在がいた。
その名はゾルーク東条。
白いシルクハットにスーツ、そして黒いマントを羽織ったマジシャンを思わせる装いが象徴的な伝説の怪盗である彼は、しかし高齢のために泥棒家業を引退していたのだが、、仮面ライダードライブがヒーローとして活躍していることを聞き付け、かつて英雄になることを夢見ていた東条は彼に嫉妬。
独自の調査でドライブやロイミュードの事を調べ上げ、自身がドライブに代わる仮面ライダー。英雄になることを決意し、とうとう封印されていたサイバロイドZZZのボディを見つけ出し、自身の魂をインストールしてZZZを起動させようと試みる。
本来の歴史ならばこれで老いた体を捨て去りZZZに自らの人格をインストールした東条が、新たな仮面ライダールパンとなり、仮面ライダードライブと戦いを繰り広げることとなるのだが、
――― そ の 時 不 思 議 な こ と が 起 こ っ た 。
なんと東条の人格がZZZにインストールされるまではよかったが、なぜかインストールされた東条の人格がZZZから消去されていったのだ。
『な、なんだと!?』
これに慌てたのは東条。それもそうだろう、目論見どおりに新しい肉体を手に入れたと思ったのに、その新しい体から自身の意志が消えていくのを実感しているのだ。焦りもする。
彼はなんとか自分の意識の消去を止めようとあの手この手を尽くすが、しかしあらかじめその機能を十分に把握しているならばともかく、先ほど入手したばかりのそのボディの全貌を短時間で完全に把握するのは、流石にあらゆる知識・技術を会得した東条でも不可能。
『い……いヤダ。死ニタクナイ。死ニタクナーイ!!』
自身の意識が薄れうつつあることを認識した東条は必死にそう叫ぶが、しかしそんな彼の叫びでは人格の消去を止めることはできず、とうとう彼の人格は完全に消去されてしまう。
『……ア…………ァ…』
人格を消去されてしまった東条、いやZZZは肉体を操っていたインストールされた人格がいなくなってしまったことにより、その場でくずれるように倒れ伏してしまう。
本当の歴史からは考えられない完全なイレギュラーな出来事。
しかし起こってしまったことは仕方なく、このままZZZは日の目を見ることなく終わることになる……はずだった。
『――――なんじゃこりゃあああああああああ!!』
――――これは、神様の願いで仮面ライダーの世界に転生というテンプレを果たし、敵役の能力を持った怪物に憑依というテンプレじゃない転生の仕方をしたとある男の奮闘記である。
☆
☆
『……どうしてこうなってしまったんだろう』
俺、
俺は所謂仮面ライダーオタクというやつで、ある日新しく放映された仮面ライダーの映画を見た帰り道、トラックに轢かれて死んでしまったのだが、その時俺は自らを『神様』と名乗る老人に出会った。
普通そんな存在に会ったら胡散臭く思うのだが、なぜか俺はその老人と出会った時、彼が本当の神様という存在だと確信していた。
だからこそその老人の言葉を俺はわりと素直に聞いていた。そしてその老人の話によればその老人が神として管理する一つの世界があるのだが、その世界にイレギュラーが介入したらその世界にどういう影響を起こすか実験がしたいらしく、そのためにちょうどよくトラックに轢かれて死んでしまった俺を見つけて、自分の所に呼び出してこの話を持ちかけたのだという。
俺はその神様の話を二つ返事で承諾した。なぜかって?だって、仕方ないだろう、転生する先が「仮面ライダードライブ」の世界だっていうんだから。
【仮面ライダードライブ】。毎週日曜朝8時に放送されている特撮ドラマのことで、幼い子供から大きな子供まで、日本中の多くの子供たちから絶大な支持を受けている。
もちろん自他ともに認める仮面ライダーオタクである俺もこの作品の大ファンで、この話を聞いた時には生で仮面ライダーの戦いを見れるとろくに神様の話も聞かないでこの世界に転生したわけなのだが………。
『もっとちゃんと話聞いとけばよかった。まさか、あの『ZZZ』に憑依転生することになるとは』
俺が憑依したこの怪物ZZZ。正式名称はサイバロイドZZZといい、劇場版仮面ライダー「MOVIE大戦フルスロットル」でその存在が明らかになったそれは、元々は仮面ライダードライブを誕生させたクリム・スタインベルト博士が、自分の死期を察知したために自分の人格をインストールする「器」として造り上げた強化ロイミュードのボディだったのだが、これを動かすためには多大な精神力が必要でありクリム博士ではその精神力が足りず動かすことができなかった。さらにはこれを使用した者は暴走の危険があることを察した彼は、このボディを生前所有していた古城の奥底に封印した。
しかし、MOVIE大戦フルスロットルではその封印されたボディの存在をドライブの活躍に嫉妬した伝説の怪盗「デューク東条」が嗅ぎつけ、その封印を解いて自身の人格をZZZにインストールし、その後ルパンガンナーを製作し仮面ライダールパンとしてドライブたちと対決することになるのだが、この世界ではそのようなことにはならないだろう。なにせ、ZZZのボディは俺が使っているし、デューク東条は
『(まさか、東条がこいつに人格をインストールしてから憑依するとはねえ。こいつの人格が消えたのはそのためか、それともあの神様とやらがなにかしたか)』
なぜ俺がそれを知っているのかというと、俺が憑依してしばらくして、この体に俺以外の誰かの記憶が残っていることに気づいたからだ。
その記憶からこの体に東条の人格が元々インストールされていることを知った俺は、多少の罪悪感を感じたが、元々画面の向こうから見ていただけで特に知り合いというわけでもなく、また俺が望んでやったことでもないのでそれはできるだけ考えないようにした。
まあそんなわけで、最初は敵役の怪物に憑依して若干鬱になっていた俺であったが、しかしいつまでも落ち込んで入られない。それにせっかくの憧れの仮面ライダーの世界。せっかくなのであるものの製作に取り掛かっていた。
『ふんふんふふ~ん♪』
鼻歌を歌いながら俺が製作しているのは、なんと仮面ライダーの変身に必要な変身ベルト。劇中で東条が仮面ライダールパンに変身するために必要なアイテムであるルパンガンナーを自分で製作していた。つまり彼の知識と記憶がある俺も、彼と同じように変身アイテムを製作することができるというわけだ。
これに気づいた俺は、心の底から歓喜した。仮面ライダーオタクにとって仮面ライダーに本当に変身できるアイテムはまさに夢にまで見る垂涎間違いなしのアイテム。それをこの手にできるとあっては、いかに手間がかかったとしても、俺に作らないという選択肢は存在していなかった。
実は本来東条が使うこととなるルパンガンナーの設計図は既に頭の中に、というか東条の記憶の中にはあったのだが、正直仮面ライダールパンの姿は俺の趣味ではなく、もう東条自身がこの世にいないということで本来このボディが使うルパンガンナーを製作することはやめ、せっかくだから以前から仮面ライダードライブの世界に仮面ライダーの一人として登場するなら
そして睡眠も食事もいらない体になったことをいいことに、変身アイテムの製作に時間を費やして1週間。そのアイテムがとうとう完成した。
『――――やった。これで俺も仮面ライダーとして活躍できる!!』
そういって満面の笑みで俺が持ち上げたベルトは、まるでバイクのハンドルのような特徴的な形をしており、もし俺と同じ仮面ライダーオタクがこのベルトを見たら思わずこういうだろう。
――――”アクセルドライバー”と。
☆
☆
■
この小説の主人公。転生者。
前世の名前は
仮面ライダーの最新作の映画を見に行った帰り道、神様の手により仮面ライダードライブの映画作品の一つの敵役である、サイバロイドZZZのボディに憑依転生する。
神様からは、自分の管理する世界にイレギュラーが介入したらどう変化するかの実験をするために仮面ライダーの世界に転生してほしいとだけ頼まれており、仮面ライダーオタクのために二つ返事で承諾したのだが、よく話を聞かずに承諾したために、転生先が仮面ライダードライブ劇場版「MOVIE大戦フルスロットル」の敵役として登場するサイバロイドZZZへの憑依転生だとは知らず転生する。
本来サイバロイドZZZに憑依する仮面ライダールパンとなるデューク東条が人格をインストールをした後、彼の人格だけ消して体を乗っ取るという形で憑依しているので、彼の経験、技術、知識などがそのまま彼の能力として引き継がれているために、ちょっとした疑似チート状態となっている。
その能力を使い、本来ならルパンガンナーを造り仮面ライダールパンとなるのだが、彼の趣味に合わなかったために、その代わり以前から仮面ライダードライブに登場してもおかしくないなと考えていたアクセルドライバーを造り上げる。
ちなみになぜアクセルドライバーなのかというと、作者自身が仮面ライダードライブに同じ乗り物をモチーフにしている仮面ライダーアクセルが登場してもおかしくないと考えていたため。それに本来このアクセルに変身する照井さんも警察のそれも警視なのでなおさら登場してもおかしくないから、誰か変わりにそういう二次創作を書いてくれないかなーと作者は考えてたりする。作者は肝心のWを殆ど見たことがないから無理なのでww
後、主人公の台詞の括弧が普通の人が使うような「」ではなく『』になっているのは肉体がZZZに変わっているために声質が変わっているため。別に某負け犬の人と同じようにマイナスとかじゃない(笑)
ということでどうでしたでしょうか。
……ええ、わかってます。ぶっちゃけこの主人公がZZZである必要がないということでしょう?ええ、私も実はそう思います(おい
実は本当は、仮面ライダーWの話が終わり、エリート警察官僚として生活を送っていた照井竜が、クリムと接触し、本願寺と共に彼の支援者となり特状課の後ろ盾として登場するというもの。
仮面ライダーアクセルもドライブやマッハと同じで確か乗り物をモチーフとした仮面ライダーだったので、結構マッチするかなと思ったのですが、実はぶっちゃけていうと仮面ライダーWって数話ぐらいしか見たことないので、照井のキャラがどういうものかわからなかったのでこうなっちゃいました。ごめんなさい。
で、どうせなら以前からネタとしてどこかで使おうとしていたZZZといっそのことあわせちゃおうということでこうなったしだいです。
ちなみにこの後の展開として考えていることは二つあり、仮面ライダーアクセルとしてなし崩し的にドライブ陣営の仲間になるパターンと、ロイミュード陣営からのスカウトを受けてチェイスなき後の死神としてドライブたちと敵対するパターンの二つを考えたのですが、正直書く気力がわかなかったので、もうこのネタは他の方に任せようと短編にまとめました。だれか代わりに書いてください(願望)
それでは、また機会があれば。