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久遠
LP:4000
手札:五枚
場:ブラック・マジシャン
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「(『ブラック・マジシャン)』ですって……ッ!?)」
LDS理事長、赤馬日美香は、目の前に広がるその光景を簡単に信じることができなかった。その理由としては、遊勝塾側の選手である、遊緋久遠が出した一枚のモンスターカードにあった。
【ブラック・マジシャン】。
それはデュエルモンスターズの黎明期。。初代
今では伝説を通り越して、神話と同等に語られる初代デュエルキングの伝説。
元々かなりのレアカードではあったが、武藤遊戯により数多の伝説を打ち立てると、さらに爆発的に人気が広まり、世界中の人々がこのカードを求めるようになる。
しかし、そのあまりの人気故に多くのコレクターは窃盗を警戒しそれらのカードを死蔵するようになり、また所有者の死後盗まれてしまったのか、それとも正当な後継者が隠し持っているのかいつの間にか紛失しているという事態が続出。
その結果、時が経つにつれブラック・マジシャンの姿は表舞台では自然と見なくなっていく。
そして今ではその所有者は確認できるだけでも、世界中で片手で数えられる程度にまで減少してしまった。まさに『幻のレアカード』の名に相応しいモンスターカードなのだ。
普段大企業の経営者に相応しく、あえて常に笑みを浮かべることにより感情を隠すのが得意な彼女がここまで動揺しているのも、まさかいくら元チャンピオンが経営していたとはいえ、このような弱小塾にいる少年がそのようなレアカードを使うとは思っていなかったからだ。
そしてそれは彼女の教え子であるLDSの生徒たちもそうだったようで、彼らはそれぞれブラック・マジシャンの登場に動揺した顔を見せている。
「ブラック・マジシャンだと……!?なんであんなやつが!!」
「あの幻のレアカードをこんな弱小塾のやつが?」
「すごい。初めて見た……」
そしてそれは遊矢、柚子、権現坂。遊勝塾の古参メンバー以外の面々も同じだった。
「あ、あれって……」
「ぼ、僕知っている!!教科書に載ってたよあれ!?」
「ブラックマジシャン、本物はじめて見た!しびれる~!!」
そしてその中で一番驚いているのは遊勝塾で最も新入りである紫雲院素良だった。
「うっそ……。ブラック・マジシャンなんて僕はじめて見たよ!?」
「そりゃあ、そうだ。俺どころか父さんも兄貴以外に使っているやつなんて見たことないっていってたからな」
素良の言葉にそう答えたのは遊矢。その表情はなぜかどこか自慢げに見える。どうやら自分の兄が皆を驚かせたのがよほど嬉しかったようだ。
遊矢はいう。六年前、彼と初めて会った時のことを思い出しながら。
「兄貴は六年前、父さんがどこからか連れてきたんだけど、それまでは賞金付きの大会で賞金稼ぎをしながら生活していたらしい。父さんが引き取ってからはそういう大会には進んで出なくなったんだけど、出たら大人が混じっていた大会でも優勝するほど、強かったんだぜ?」
「うむ。当時魔法使い族を使い、圧倒的な強さを誇ったあの人は、我ら同年代のデュエリストたちの憧れでもあった」
そんな彼らの言葉を、横で聞いていた赤馬理事長は、そこで自分の記憶に何か引っかかるものを感じた。
「(『賞金稼ぎ』?それに『魔法使いを使うデュエリスト』?そういえば五、六年まえぐらいにまだ年端もいかない少年デュエリストが大会を荒らしまわっていると噂で聞いたことあったような……。もしかしたらその噂の少年デュエリストが彼だったのかしら?……あら?そういえば最近これと同じような話をどこかで聞いたことがあったような)」
そう、あれは確か海外に仕事にいった時に取引先との世間話の中で……。
だが、赤馬理事長はそこで思考を止める。デュエルが再び動き始めたからだ。
「(……そうね、今はそのことはいいわ。今はこのデュエルを見届けなくては)」
そして赤馬理事長は再びその意識をデュエル場へと戻すのだった。
★
★
母である赤馬理事長と同じく伝説のレアカードであるブラック・マジシャンの突然の登場に動揺していた赤馬零児であったが、流石は天才と謳われたデュエリストだということか、彼はすぐに平成を取り戻す。
「(落ち着け。例えブラック・マジシャンといえど所詮は効果を持たない通常モンスター。決して対処できないわけじゃない)」
そう、彼のいうとおりブラック・マジシャンは効果を持たない通常モンスター。そして攻撃力もレベル7でありながら2500と低めに設定されており、決して対処できないモンスターではない。
しかし久遠はそんな彼の考えを見透かしているのか、なにか含むような笑みを浮かべると一枚の魔法カードを発動させる。
「ブラック・マジシャンの真価はあらゆるカードとの連係により発揮される。ということで私は魔法カード「
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通常魔法
自分フィールド上に「ブラック・マジシャン」が
存在する場合に発動できる。
相手フィールド上のモンスター1体を選択して破壊する。
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するとブラック・マジシャンの周りに無数のナイフが出現した。
その一本一本が、どこか禍々しい雰囲気を纏っている。
「このカードはフィールド上にブラック・マジシャンが存在する場合に発動できる魔法のナイフ。その効果により、相手フィールド上のモンスター一体を選択して破壊することができます」
「ほう?」
「行け、千本ナイフ!!」
久遠が号令と共に右手を振り下ろすと、千本のナイフがテムジンに向かって殺到していく。
圧倒的なその光景に、しかし零児は不敵に笑うと一つバク転すると
「私はアクション
「!?これはこれは、アクションマジックですか」
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幻影
アクション魔法(作者オリジナル)
①フィールド上のモンスター1体を対象に発動できる。
1ターンに一度だけ対象としたモンスターの破壊を無効にすることができる。
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『アクションマジック』
それはアクションデュエルの醍醐味の一つともいえる魔法カードのこと。
アクションフィールドが発動した瞬間にフィールド全体に散らばるこの魔法カードたちは手札に一枚まで持つことができ、普通の魔法カードとは違い速攻魔法のように相手ターンでも使用することができる。
質量を持ったソリッド・ビジョンとこの魔法カードの導入により、アクションデュエルは世界中で行われるほど爆発的に広まっていったのだ。
「(さすがは赤馬零児。あらかじめアクションカードの位置はある程度把握していたということですか)」
時にはデュエルの決着に左右するというアクションカードの位置を把握しておくのはアクションデュエリストにとっての必須のスキル。それを当然のように行っていた零児はアクションデュエリストとして高い力量を持っているということになる。
だが関心してばかりはいられないと、久遠は次の行動へと移る。
「(テムジンの攻撃力は2000.ブラック・マジシャンの素の攻撃力で十分に倒せる範囲ですが、ふむ。……ここはヒュグロの魔導書は温存しておきますかね。一応、先ほど手に入れた
漆黒の波動がブラック・マジシャンの杖から放たれるが、それにも零児は慌てずに対応する。
「ならば、私は伏せカード「
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永続罠
①:自分スタンバイフェイズに発動する。
自分は1000ダメージを受ける。
②:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、 自分フィールドの悪魔族モンスターは、相手ターンの間は攻撃力が1000アップする。
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「このカードも他の契約書カードと同じく、自分のスタンバイフェイズ毎に私は1000ポイントのダメージを受ける。そしてこのカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの悪魔族モンスターは、相手ターンの間、攻撃力を1000ポイントアップさせることができる!!」
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DDD烈火王テムジン
攻撃力2000→攻撃力3000
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罠カードの影響力を受けたためか、テムジンの体から紅色のオーラが噴出した。
「行け、迎撃しろテムジン!」
力を増強させたテムジンの持っている大剣が波動を切り裂くと、そのままブラック・マジシャンに向かって斬りかかる。
「兄貴!?」
その光景に悲痛の叫び声を上げる遊矢だったが、そんな彼の心配をよそに久遠は一つ笑みを浮かべると、
「私はアクションマジック「
「なんだと!?」
「迎撃しなさい、ブラック・マジシャン!!」
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アクション魔法
①このターン自分フィールド上のモンスター1体の攻撃力をエンドフェイズまで1000ポイントアップする
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するとブラック・マジシャンは先ほどの呆然としたような表情を一転、不敵な笑みを浮かべるとテムジンの剣を結界のようなもので受け止める。
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ブラック・マジシャン
攻撃力2500→攻撃力3500
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そしてブラック・マジシャンは口元を歪めながら片手の指を「まだまだ甘い」といわんばかりに何度か横に振ると杖をその場から動けないでいるテムジンへと向け、そこから大量の炎が噴出しテムジンへと襲い掛かる。
そしてテムジンは炎に焼かれてそのまま破壊される。
「くッ……!?」
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零児
LP:4000→LP:3500
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苦悶の声を上げる零児。表情を歪ませると久遠を睨みつける。
「……いつの間にアクションマジックを」
「デュエルが始まってすぐに。海外を回っている時は
少し得意げにそういうと、久遠はさらに二枚のカードを伏せる。
「私はこれでターンを終了します―――さて、私のターンが終了したことにより、あなたには契約書の効果により4000ポイントのダメージを受けてもらいますよ」
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久遠
LP:4000
手札:二枚
場:ブラック・マジシャン
魔法、罠:伏せカード二枚
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ここで遊勝塾側の観覧席から歓声が上がる。
「やった、兄貴が先手をとった!」
「さすが久遠さん!それにあの人のターンに移行すれば」
「契約書の効果によりやつは合計4000ポイントのダメージを受ける。つまり」
「これでこっちの勝ちだ!!」
だが、そんな彼らの様子に水をさす者がいた。素良だ。
「それはどうかな?」
「?どういうこと素良?」
「あいつ、そんな間抜けなことするようには見えないんだよね」
―――そしてそんな彼の予想は的中することになる。
零児は久遠の言葉に口元に歪んだ笑みを浮かべた。
「契約?そんなもの……」
そしてその時だった。その言葉とともに零児のフィールドに4枚の契約書カードが現れたかと思えば、その全てが破壊されたのは。
「なッ!?」
「これは!!」
突然の事態に観客席から驚きの声が上がる中、零児は眼鏡の位置を直しながら言葉を続ける。
「私はこのターン、既に
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通常罠
①:「契約書」カードが発動したターン、 自分の魔法&罠ゾーンの「契約書」カードの効果を全て無効にして発動できる。このターンのエンドフェイズに、自分の魔法&罠ゾーンの「契約書」カードを全て破壊し、
自分は破壊した数だけデッキからドローする。
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「このカードは契約書を発動したターン、自分の魔法、罠ゾーンにある契約書カードの効果を全て無効にして発動できる。このターンのエンドフェイズに、自分の魔法、罠ゾーンの契約書カードを全て破壊する。つまり私はこのカードの効果により契約書のカードを無効にしたのだ。そしてこの効果により破壊したカードの数だけ私はカードをドローする!!」
そういうと、零児はデッキの上から契約洗浄の効果により破壊した数、四枚のカードをドローした。
そんな彼の行動に、久遠は感嘆の声を上げる。
「なるほど。まさかあのまま素直に自爆してくれるわけがないとは思っていましたが、まさかこのような手で無効化し、さらに手札も回復するとは。計算尽くされたその行動。さすがは天才と呼ばれたデュエリストですね」
零児はそんな久遠の賞賛に笑みを一つ返すと、再びデッキトップに手を置いた。
「そして私のターン、ドロー!!」
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零児
LP:3500
手札:五枚
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場は久遠が圧倒的に有利ではあるが、それでも天才と呼ばれたデュエリスト。自らの不利にもかかわらず、その口元に余裕の笑みを浮かばせる。
「ふふ、なるほど。さすがは榊遊勝が養子にしたというだけある。はじめお礼に先行を譲るなどといわれたときには甘いと思っていたが、いやはやどうして……」
「おや?甘いのはお嫌いですか?」
「少なくとも勝負事に感情を持ち込むのは間違っていると思うがね」
零児のそのある意味エンタメデュエルを否定するような言葉に、しかし久遠はそうですかとばかりに肩を竦めるだけだった。
エンタメデュエルを標榜する一人である久遠であったが、別にそれを強要する気はない。前世で個人の自由を尊重する日本に生まれた彼としてはそんなことしても意味がないとわかっているからだ。
「しかし、ブラック・マジシャンとは。まさか幻のレアカードをこんなところで見られるとは思わなかったよ。―――いったいどこでそのカードを?」
「それはあなたにいう必要が?」
突き放すようにそういう久遠であったが、これは別に意地悪とかではなく単にいえないだけ。まさか前世から持ってきたとはいえるわけがないのだ。
そんな彼の言葉になにを思ったのか、零児はふっと軽く笑うと口を開く。
「久しぶりだよ、ここまで昂ぶるデュエルは。―――いいものを見せてもらった礼だ。代わりにといってはなんだが、私もいいものを見せよう。私は手札から魔法カード「死者蘇生」を発動!」
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通常魔法(制限カード)
自分または相手の墓地のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。
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零児が一枚の魔法カードを掲げると、そこから光が現れ、光の中から先ほどブラック・マジシャンの攻撃により破壊されたテムジンが再び現れる。
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DDD烈火王テムジン
攻撃力2000/守備力1500
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そのモンスターの姿に、遊勝塾の子供たちから悲鳴が上がる。
「あれは!?」
「さっきブラック・マジシャンで倒したモンスターだ!!」
「そんな。せっかく倒したのに……」
だがそんな彼らの様子に構わず零児はデュエルを続ける。
「さらに私はDDモンスター。チューナーモンスター「DDナイト・ハウリング」を召喚する」
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《DDナイト・ハウリング》
チューナー(効果モンスター)
星3/XX属性/XX族/攻 300/守 XXXX
(7月10日現在正確なテキスト不明)
このカードの召喚に成功した時に墓地に存在するレベル4以下の「DD」1体を特殊召喚する。その際特殊召喚に成功したモンスターの攻撃力は0になる。
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すると零児のフィールドにワニの顔のようなモンスターが現れる。
そのモンスターの出現に、久遠の顔が僅かに警戒心からか強張った。
「チューナーモンスターだと……」
「このカードが召喚に成功した時、墓地からレベル4以下のDDモンスターを特殊召喚することができる。私はこの効果により墓地からDDリリスを特殊召喚する」
すると黒い穴が出現し、その中からユリを模した悪魔が現れる。
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DDリリス
攻撃力100/守備力2100
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新たに出現した悪魔の登場に、久遠はこのデュエルにおいてはじめて笑みを消した。
「なるほど、シンクロ召喚ですか……」
「ご名答だ。―――さあ、行くぞ。私はレベル4のDDリリスに、レベル3のDDナイト・ハウリングをチューニング!!」
すると2体のの悪魔が飛び上がったかと思えば、DDナイト・ハウリングが光の輪となりその姿を消し、DDリリスがその光の輪の中を駆け抜ける。
「闇を切り裂く咆哮よ。疾風の速さを得て、新たな王の産声となれ!!―――シンクロ召喚。生誕せよ、レベル7「DDD疾風王アレクサンダー」!!」
その零児の言葉とともに、光の柱の中から緑色のオーラを纏った新たな王が現れた。
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DDD疾風王アレクサンダー
シンクロ・効果モンスター
星7/風属性/悪魔族/攻2500/守2000
「DD」チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「DDD疾風王アレクサンダー」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在し、
自分フィールドにこのカード以外の「DD」モンスターが召喚・特殊召喚された場合、
自分の墓地のレベル4以下の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
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シンクロ召喚により新たな悪魔の登場に、観覧席からこのデュエルで何度目かわからない驚きの声が上がる。
「やつが使えるのは融合だけじゃなかったのか……!!」
だが、どうやら驚くのはまだ早かったようで、零児のデュエルはさらなる動きを見せる。
「まだ終わりではない。私はDDD烈火王テムジンのモンスター効果を発動」
するとテムジンの纏っていたオーラが紅色から紫色のオーラへと変色する。
「このカード以外にDDDと名のつくモンスターが特殊召喚された時、墓地に存在するDDと名のついたモンスターを一体特殊召喚できる。再び蘇れ、DDリリス!!」
その言葉とともに先ほどアレクサンダーのシンクロ召喚に使われた一体であるDDリリスが再びフィールド上にその姿を現した。
「さらに、DDD疾風王アレクサンダーのモンスター効果を発動!DDと名のついたモンスターが特殊召喚された時、墓地にいるDDと名のついたモンスター一体を特殊召喚することができる!!」
すると、アレクサンダーの周りに突風が吹き荒れ、新たに黒い渦が生まれたかと思えば二足歩行の三つの犬の首を持つ化け物が零児のフィールドに出現した。
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DDケルベロス
攻撃力1800/守備力?(まだ不明)
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「そしてレベル4のDDケルベロスとレベル4DDリリスでオーバーレイ!!」
「なッ!?」
「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!!」
そして2対のモンスターが光となり、空に出現した渦の中に飛び込んだかと思えば、その中から大きな雷が、フィールドに落ちた。
―――そしてその中から三対目の王が出現する。
「この世の全てを統べるため、今世界の頂に光臨せよ!!―――エクジーズ召喚。生誕せよ、ランク4「怒涛王シーザー」!!」
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DDD怒濤王シーザー
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/水属性/?族/攻2400/守XXXX
(7月10現在正確なテキストは不明。蘇生効果?)
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新たに出現した王の姿に、観覧席から今日一番の驚愕の声が上がる。
「あれは……!?」
「エクシーズモンスターまでも……」
「な、なんてやつだ!?」
そしてそれは零児の本気のデュエルを見たことがないLDSの生徒たちも同じであったが、そんな中、赤馬理事長だけは笑みを浮かべていた。
それは先ほどの不安な状態から自らの息子が一気に逆転したことからなる安心の笑みだった。
「(そう、それでいいのよ零児さん。あなたは最強のデュエリスト。こんなところで負けるはずがない)」
そして零児の情報をあらかじめ知っていた柊塾長も、赤馬が行った三つの召喚により生み出された三体のモンスターに動揺こそしていなかったが、その顔にはいつものどこかコミカルな表情はなく、深刻なものを宿していた。
「三つの召喚方法を自在に操る。これが赤馬零児……」
そしてその三体の王と相対している久遠は、いつもの笑みを浮かべながら、しかし珍しくその額から冷や汗を流していた。
「(これはこれは……。少々まずいかもしれませんねえ」
そんな彼の内心を知ってか知らずか。零児は片手で眼鏡の位置を直しながら話を続ける。
「『DDD』とはすなわち、「
―――異次元をも制する王の力、たっぷり味わうがいい」
そして彼は不敵に笑った。
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零児
LP:3500
手札:三枚
場:DDD烈火王テムジン
DDD疾風王アレクサンダー
DDD怒涛王シーザー
~~~~~~