【生徒会的ルール】
一学期の中間考査が近い桜才学園。
その生徒会室でいつものように集まっている生徒会の面々。
「さて、来週から中間考査なわけだが……知っての通り我が校は試験結果が張り出される」
机に肘をたて、口の前で手を組んだシノが改まって生徒会メンバーを前に話をしている。
「そして生徒会役員は学年20位以内に入ることが代々のノルマとなっている。
各自しっかり勉強しておくように」
生徒の上にたつ立場である生徒会の面々は、それ相応に優れた能力を持っていることを見せる必要がある。
そう考えられた結果、創立以来ずっと続いてきた伝統的なものだ。
先に述べたようにこの学園では考査の結果が張り出されるため、
中間や期末の試験は他の生徒に優秀なところを見せることのできる絶好の機会なのだ。
「えっ!?」
「大丈夫よ」
「問題ありません」
シノの言葉に反応する三人。
アリアとスズは問題がないようだが、津田はどうやら自信がないようだ。
「なんだ津田、自信ないのか?」
「はは……恥ずかしながら平凡なレベルで」
平凡とはいっても進学校である桜才学園。
そこに入学している時点でそれなりの学力は有しているわけだが、その中でも学年で20位とは難しい。
面倒くさがりでもあり、放課後は生徒会の仕事もしている津田は自身がなかった。
特に絶対に行きたいという大学があるわけでもないので、普段の勉強も最低限しかしていない。
津田と同じように生徒会の仕事をしているにも関わらず自信満々の他の三人。
彼女たちが努力家なのか、天性の才能からくる優秀さなのか。
少なくともスズに関しては両方だろうが、残り二人は後者な部分が大きい。
どちらにせよ、生徒会と勉学を両立させることにそれほど問題視していないシノにとっては
両立できていることは当然のことだった。
むしろ両立できるからこその生徒会役員だと考えてすらいる。
「よくそんなんで生徒会に入る気になったな」
「あれ? そういえばなんで俺生徒会に入ってるんでしたっけ?」
両立できない癖に生徒会に入っている津田を蔑む目で見るシノ。
その視線に少しぞくぞくとしたものを感じながらも、今さらなことを疑問に思う津田。
(以下津田の回想↓)
『君、生徒会に入らないか?』
『俺ですか?』
『ああ、共学化になったことから、男子の意見も聞けるよう現在男子の生徒会役員を募集中なんだ』
『でも俺そんなに頭よくないですよ』
『何を言うか。この学園に入れた以上それなりの学力はあるだろう。
あとはやる気しだいだ。どうだ、皆のために働く気はないか?』
『う~ん、なんか面倒くさいですし……』
『生徒会に入ればきっとモテモテだぞ?女は優秀な男が好きだからな。
それに今は男子の生徒会役員もいないからプチハーレムだ』
『入ります!!』
(回想終了)
入ったきっかけを思い出した津田。
甘言に乗せられた結果はどうだ? 確かにプチハーレムと言っていい。
彼女たちは三人とも美人で可愛い。しかしどうだ? 津田はもてている様子がない。
少なくとも告白されたことなど皆無だし、この場の三人ですら恋愛対象として見てくれていない気がする。
クラスメートの三葉ムツミなどは津田のことを意識しているのだが、本人も気づいていないので津田も知らなかった。
知らないということはその事実は、彼にとってないも同然である。
女の子に囲まれている今の状況は嬉しいものであるが、早まったかなぁと今さら後悔するのだった。
【スパルタ会長】
放課後の生徒会室。津田とシノの二人っきり。
「まぁ、せっかくだから私が勉強をみてやろう」
中間考査に自信がない津田のために、シノが勉強を教えてくれることになった。
「私はビシビシいくからな」
「はい、よろしくお願いします」
「時に津田……君はSかMか?」
「は?」
全く勉強と関係ないことを質問してきたシノ。
さすがの津田も予想していなかったのか目が一瞬点になる。
「会長もご存じのとおり、どちらかと言えば俺はどMですが?
まぁ、必要とあらば相手に合わせてSにもなれますよ」
「む、そうなのか?
Mだったら喜ばせるだけだからビシビシいかないようにしようと思ってたんだが……
SでもMでもいける口か……どうしたものかな」
「ふむ、時に厳しく、時に優しく、それでいいんじゃないですか?
飴と鞭な感じであれば俺は両方堪能できて嬉しいですが」
「そうか!……喜ばしたら駄目じゃないか」
「でもどうせなら楽しく勉強したいですし」
「なるほど、一理あるな」
「どっち道今の会長と二人っきりで勉強会というこのシチュエーションで既に喜んでいる俺ですが」
勉強しようと頭では思っていても既にテントを張っている津田だった。
【検索用語】
現在シノに教わって英語の勉強中の津田。
うんうんと唸りながらも単語を辞書で調べながら英訳していく。
「津田は電子辞書持ってるのか」
「ええ、便利ですよ」
すぐに検索できますしね、と返す津田。
どうやらシノは電子辞書をもっていないようだ。
「私はあまりこういうのは好かないな」
「アナログ派ですか?」
「いや、人に貸しにくいじゃないか」
「確かに高価なものですからね」
「いや……調べたものの履歴が残るから、恥ずかしいじゃないか」
わかりやすい思春期のシノだった。
おそらく家では昔から辞書で恥ずかしい単語を調べたりもしたことが何度もあるのだろう。
「それがいいんじゃないですか。履歴が残るのが電子辞書のいいところですよ。
俺は女の子に電子辞書を貸すとき、必ず履歴がえっちな単語で一杯にしてから貸すようにしています」
「おおう、セクハラだな!?」
「ええ、手軽にできておもしろいですよ。
俺としてはむしろ本の辞書の方が貸しにくいですね」
「む? なんでだ?」
「ページによってはくっついてガビガビになっちゃってますし」
「お前は単語の意味だけで抜いたのか? すごいな」
「でも会長も小学生くらいの頃は辞書で調べた単語を想像してオナ○ーしたんじゃないですか?」
「……確かに」
【見た感じ】
シノとの楽しい勉強会を終えて英語のテスト範囲をなんとか理解し終えた津田。
今度は数学をスズに教わろうと、放課後、彼女に話しかけた。
「IQ180の萩村、数学教えてください」
「いいわよ」
もしかしたら速攻で断られるかもと思っていた津田は、逆に速攻でOKしてもらえたことに驚いた。
「えっ、いいの?」
「あんたが言ってきたんでしょ? 何驚いた顔してるのよ」
「いやー、たぶん断られるんじゃないかと思っちゃってて……駄目もとで頼んだんだけど」
「べ、別に私もそこまで鬼じゃないわよ。勉強教えるくらい構わないわ」
何故か恥ずかしがってそっぽを向くスズ。
ツンデレかー、とその彼女の反応ににやにやしてしまう津田であった。
「何にやにやしてんのよ」
「いや、萩村優しいな~って」
「何よ、気持ち悪い顔しないでくれる?
別にあんたのためじゃなくて、私は由緒ある生徒会から成績の低い者を出したくないだけよ!!」
スズとしては、今の言葉で彼のニヤニヤを止めたかったのだが、さらにニヤニヤ顔になる津田。
「ツンデレスズたん……ハァハァ……」
「……教えるのやっぱりやめとこうかしら?」
「ああ!? ごめんなさい!! 今日は真面目にしますから」
ついつい涎を垂らしてしまった津田を本気で見捨てようかと考えたスズ。
彼女に蔑んだ目で見られるのは嬉しいが、今日はまじめ路線でいこうと考えた津田。
蔑まれるのは歓迎だが、見捨てられるのは彼には辛いことだった。
特に、スズは彼の中でお気に入りの人物の一人であるので、今日は頑張ろうと思った。
「はぁ……わかったわよ。
ただし、やるなら二人っきりになれる場所でね」
(えっ、あれ? 今日だけは真面目に頑張ろうと思ったばかりなのに……なにこの展開?)
まさかスズに誘われているかのような言葉をかけられて戸惑う津田。
心なしか、彼女の頬も赤くなっている気がするのは気のせいか本当に恥ずかしいのか。
とにかく彼女は普段このような自分から誘惑するようなことは絶対に言わない人である。
(何? 俺今日死ぬの?)
スズのあとをおとなしくついて歩く津田。彼等が勉強場所に選んだのは使われていない無人の教室。
こういう場合、勉強以外のことが始まってしまいそうなシチュエーション。
予想していなかった彼女の反応と展開に無意味な心配をしてしまう彼だったが、その心配は杞憂だった。
「人に見られると私が教えられてると思われるのよね。不愉快極まりないことだけど」
「あ、そうなんだ」
いつものスズだった、と安心する津田。
しかしそこでハッとなる。自分はこういうとき、とりあえず裸になって彼女に抱きつくくらいはするんじゃなかったか?
二人っきりの無人の教室。ここは他の教室からも離れているために人目がない。
にゃんにゃんするには絶好の機会だ。
でも今日は我慢すると決めたのだ。
我慢しきれず襲いかかろうものなら絶対にスズは津田を見はなすはず。
それは彼も勘弁願いたい事態である。スズは彼にとってお気に入りの人物の一人であるからして。
(触っちゃ駄目だ、揉んじゃ駄目だ、舐めちゃ駄目だ、パンツ覗いても駄目だ、下ネタ発言も駄目だ……)
「こんな問題30秒でやりなさいよ、どんくさいわね」
心の中で己の妄想と戦う彼の表情は、真剣に考えているように見える。
その顔はスズから見れば、数学の問題を必死で解いているようにも見えた。
結局彼女の勘違いなのだが、彼は今日はひどくまともな男子に見えて好印象だった。
いつもと違ってセクハラもせずに真剣な津田の姿を言葉とは裏腹に喜んでいた。
【個人指導】
国語の古文でわからない問題があった津田。
連日でシノとスズに教わるのも悪いと思った彼は今度はアリアに教えてもらうことにした。
正直、二人のおかげで英語と数学のテスト範囲に関しては完璧になった。
ただ二人の授業は勉強中にSだのMだのツンデレだのと妄想してしまって、勉強と思考を二分化してしまい疲れるのだ。
余談として、何気に思考分離化に成功し一度に二つの考えができるという高度な技を身につけた津田。
しかし彼のこの特技は今後の人生においても勉強のときにしか発揮されないのだった。
学生としてはそれでも十分すぎるほどだが、宝の持ち腐れである。
「七条先輩、古文の問題がわからないんですが教えてもらえますか?」
「ん? どれどれ?」
「ここなんですけど……」
問題集を見せられて、ふむふむと頷くアリア。
「ようし、お姉さんが優しく教えてあ・げ・る」
ウィンクして優しげに微笑むアリア。
津田としては嬉しい反面、いつも通りの彼女にあまりドキドキしない。
そのせいかあまりやる気が起きてこないことに、彼は愕然とした。
自分が色々と妄想できるシチュエーションの方が逆に勉強にたいしてやる気が出る体質だと初めて知った瞬間だった。
難儀な体質だった。
「ふふ、でも津田君最近勉強頑張ってるみたいだね。
シノちゃんとスズちゃんから聞いたよ? 二人にも教わったんだって?」
「はい、どうも自分だけじゃ解らない問題が多かったもので」
「うんうん、これからもわからないことがあったら遠慮なく頼ってくれてもいいんだよ」
勉強にやる気になってくれている津田に、彼女は嬉しそうな顔をする。
「ハハ、でも普段なれてない一日勉強ばかりの生活にさすがにちょっと疲れてますけどね。
やっぱり俺には勉強向いてないのかな」
「そんなことないと思うけど……津田君生徒会の仕事もちゃんとできてるし。
もともと頑張り屋さんなところあると思うし、試験が終わるまでもう少し頑張ろう!」
「そうですね、なんとか頑張ります」
アリアの励ましの言葉に乾いた苦笑して返す津田。
彼にはいつもの元気がなく、連日の夜遅くまでの勉強で目の下にも深いクマが出来ていた。
いつもなら彼女のような美少女を目の前にすれば無駄に興奮しているはずなのだが、今日はその様子がない。
会話にも下ネタ発言を自分からするはずの彼が、今日はまだ一言も下ネタを言っていない。
本気で疲れてるんだなぁ、と少し可哀そうになったアリア。
彼女は普段から勉強をしているほうだが、基本的に優秀な彼女の頭脳はそれほど勉学に時間を割かなくとも大丈夫なのだ。
色々と習い事をして、趣味の時間もたっぷりととって、後は宿題と復習をほんの少しである。
それだけでいつも学年5位には入るのだから呆れたスペックの持ち主である。
そんな彼女だから、勉強でここまで苦労するということを経験として知らない。
自分のわからない苦労をしているんだな、と津田をちょっとだけ尊敬してしまうアリアだった。
だから、彼を元気づけてやりたいと思ったのも、優しい彼女からしてみれば当然の考えだった。
「じゃあ、津田君がやる気を維持できるようにお姉さんからの提案!」
「はい?」
「津田君が次の中間考査で一位を取れたら、ご褒美として私の体のどこでも一か所一回だけ舐めていいよ」
「本当ですか!?」
彼女の提案は、やっぱり彼女らしくエロスな香りのただようものだった。
魅力的なご褒美を提示されて、目を限界まで開く津田。
「うふふ、一か所だけよ? それと一舐めだけね?」
「本当ですよね? 嘘じゃないですよね!?」
「恥ずかしいけど、津田君がちゃんと一位を取れたらね。私も頑張る」
恥ずかしそうにもじもじと腰をくねらせながらも二言はないと言うアリア。
恥ずかしいならそんな提案しなければいいのにとか、別のまともな褒美でいいのではとかは愚問である。
いつも津田に負けず劣らずエロい妄想をして、エロ発言をするアリア。
彼女にとってはこのご褒美は罰ゲームではなくむしろ彼女にとってもドキドキな体験なのである。
恥ずかしいことこの上ないが、むしろどんとこいである。
彼女にとってのアウトラインは本当に合体するか否かであり、それ以外は……まぁ、面白ければいいかという考えだ。
「ぃよっしゃああああ!! 一位とったらぁああああああ!!」
「うふふふふふふふ」
先ほどまでとは変わってみなぎるやる気にあふれる津田。
何故か先ほどまでは深いクマのせいで黒々としていた目の下の肌が、健康的な色を取り戻していた。
そんな彼の様子に楽しそうな顔で笑うアリアだった。
「絶対に一位でご褒美もらって、七条先輩の眼球を舐めるぞぉおおおお!!」
幸運にも彼の叫びはアリア以外の人間には聞かれていなかった。
【うっかりくん】
そして中間考査当日。
自身の教室で試験をうける生徒会の面々。
みんなに勉強を教わり、ご褒美のために怒涛の勢いで勉強した津田。
彼は難しいはずの問題もすらすらと解いていた。
勉強の成果だなと思いつつ解き進めていると、何故か最後の問題にきて解答欄が一つ足りない。
(あっ!?)
どうやら解答欄を一つずつずらして記入してしまっていたようだ。
時計を見れば残り5分。
彼は急いで記入欄に書く解答を書きなおすのだった。
時間が流れて生徒会室。
全教科の試験を終えて、手ごたえを確認し合っていた生徒会メンバー達。
「私は今回も特に問題なくできたわ」
「私もたぶん書き間違いでもない限り全部満点だと思います」
「そうか、皆手ごたえは良かったみたいだな。
津田はどうだ? 勉強頑張ってただろう?」
「いやーそれが、今日の数学で解答欄一個ずつずらして書いちゃっててあせりましたよー」
自分の試験中の失敗談を話のネタに提供する津田。
「あらあら、津田君うっかりさんね」
「アホじゃないの? てか阿呆じゃないの?」
「萩村、二回も言わなくても。ていうかいちいち漢字で言い直さなくても」
「あんたアホって言われて悔しいのか嬉しいのかどっちなのよ?
セリフと表情が一致してないのよ気持ち悪い」
「ははっ、まぁまぁ萩村もその辺にしといてやれ。しかし津田もそそっかしい奴だな。
これからはズラすのはスク水の秘所だけにしておけ」
楽しそうに冗談を言うシノ。
「じゃあ今度の夏にでも会長の秘所をズラしていいですか!?」
「おっ、おお?」
その冗談に無駄に食いつく津田。
シノもまさかここまで食いつきがいいとは思っていなかったのか少し動揺している。
「あらあら二人とも、旧スク水はもうないわよ?
この学園の水泳授業の指定の水着も新タイプのスク水だし……」
「そうか、すまなかったな津田。今のタイプのスク水じゃあ秘所はずらせん。
私も旧のは持っていないしな、諦めろ」
旧スク水が無いと聞いて安心するシノ。持っていないのだから仕方ない。
津田には悪いが諦めてもらうしかないと考える。
しかし彼にその辺の死角はなかった。
「大丈夫です。旧スク水ならちょうど会長がきれそうなサイズのものを俺が持っています。
持ってくるので今度の夏は一緒にプールか海にでも行きましょう!!」
「そ、そうか……」
「あらあら凄いわね津田君。私の着れそうなのはある?」
「勿論ありますよ!」
「なんで持ってるのよ……」
「あっ、萩村の分もちゃ「私は着ないわよ」んと……」
【てっぺん】
試験から三日後。
中間考査の結果が張り出された廊下にて。
5教科500点満点で各学年上位50人の順位が張り出されている。
二年生の順位結果に、一位天草シノ491点。二位に七条アリア480点とあった。
生徒会の会長と書記がワンツーで独占している。
「まぁ、こんなものか」
さも当然といった態度をとってみせるシノ。しかしその表情はどこか嬉しそうである。
「あー、またシノちゃんにトップ取られちゃった」
今回は前より頑張ったのになぁ、とそれに反してアリアは少し残念そうである。
彼女も津田に触発されて今回はいつもよりもテスト勉強をしてみたのだが、シノに一位を取られてしまった。
点差にして6点。問題に置き換えれば二問か三文の違いだろう。
あまり競うことをしない彼女でも、いつもより頑張った今回はもしかしたらシノよりも点数が高いかも、と淡い期待をもっていた。
「うーん、こっちのトップはシノちゃんより上なんだけど……」
自身の胸の先を見つめて深い溜息を吐く。
溜息にあわせて、ブレザーの下からでも自己主張する乳房が上下する。
「ハハハハ、相変わらずアリアは面白いことを言う。……なぁ?」
その光景を見ていたシノは試合に勝って勝負に負けたかのような暗い顔で笑う。
その事実を笑いごとにするかのように隣にいたスズに問いかける。
「……私がその問に答えられるとでも?」
若干いらついた様子のスズ。よく見れば頬が引きつっている。
シノとアリアの胸の差が圧倒的というならば、アリアとスズはどうなのか。
答えは今さら言うまでもないようなもの。まさに大人と子供の、ゾウとアリの戦いになる。
そのことに思い至り、ショックを受けるシノ。
「悪い、そんなつもりじゃなかったんだ。
そうだよな、胸の大きさで女の価値は変わらんよな?
萩村もいい女なのは私は知ってるぞ?」
「あんた謝ってるのか喧嘩売ってるのかどっちだよ。
喧嘩か? 喧嘩売ってるんだな? そうだな?」
【一年の試験結果】
続いて一年の試験結果の張り出された場所にきた面々。
「っちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そこでは津田が地に膝を付き、慟哭の嘆きをあげていた。
もしや結果が悪くて20位以内に入れなかったのかと心配する女性陣。
一同張り出された結果を見てみる。そこには……
一位 萩村スズ 500点
二位 津田タカトシ 491点
三位 吉田マナカ 472点
……と書かれていた。
こちらも生徒会役員でのワンツーフィニッシュである。
それも3位に20点近い大差をつけている。
「おお、凄いじゃないか津田!」
「へー、出来ない出来ないって言ってたのにやるじゃない見直したわ津田。
……でもなんでこの点数であんた悔しがってるの?」
「……あはは」
単純に褒めるシノ。
津田のことを見直し、評価を高めるも何故か悔しがっている津田を不思議がるスズ。
彼が何故悔しがっているのかわかるアリアは小さく笑い声をあげた。
彼女としても恥ずかしいことをしなくてすんで安心したような、ドキドキ体験がなくなって残念なような複雑な気分である。
「くそ、くそぅ、一位とれなかったぁあああ!! 萩村に負けたぁあああ!!」
「なんだ。そんなことで悔しがっていたのか津田は」
「テスト期間の詰め込みだけでこれだけ点とれるなんて逆に凄いわよ。
というよりそれで負けたら私の立場がないわ」
「ふふ、でも津田君頑張ったわね」
「一位じゃないと意味がないんだぁあああああ!!」