生徒会変態共!   作:真田蟲

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三十四人目

 

 

【スペシャルメニュー】

 

前回に引き続き、アリア別荘。

一夜明けて24日になりクリスマスイブ当日。

 

「皆様、パーティー前に入浴されてはいかがでしょうか?」

 

「そうだね」

 

リビングに集まって会話やボードゲームなどで楽しむ面々。

そこに夜のパーティーの用意をしていた出島さんが話しかけた。

どうやら風呂が沸いたので、入浴を勧めているようである。

 

「身体は念入りに洗ってくださいまし」

 

「どうして?」

 

アリアにタオルを渡しながら言う出島の言葉に、首を傾げる一行。

よく温まってとかならともかく、何故急に身体を洗うことを念押しするのだろうか。

別に念押しせずとも普通ならば身体は洗うと思うのだが。

 

「女体盛りだしたいので」

 

「「「あーー」」」

 

「じゃあみんなで洗いっこしようか?」

 

「さんせー!!」

 

「フッ、童心に帰るようだな」

 

盛り上がる三人を尻目に、スズは少し距離を開けて見つめていた。

何故誰も、女体盛りと聞いて引かないのだろうか。

誰も疑問にすら思っていないことが本気で不思議なスズであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【会長のお許し】

 

「では、これよりクリスマスパーティーを開催しまーす」

 

夕食の時間となり、今回のメインイベントであるパーティーが始まる。

全員ジュースの入ったグラスを持って、乾杯の音頭を待っていた。

 

「ではシノちゃんより一言」

 

「みんな今夜は存分に楽しんでくれ、今日は無礼講だ」

 

グラスを掲げて、笑顔を浮かべるシノ。

会長である彼女が無礼講と言うことで、普段の関係など気にせずに楽しもうという雰囲気が出る。

 

「だからM男の下克上もありだぞ」

 

そう言って津田を見るシノ。

心なしか、この場にいる面々の視線が全て津田に注がれているような気がする。

別荘内に男は彼しかいない以上、当然のことではあるのだが。

 

「会長さん直々にお許しが出たよタカ兄!」

 

「ふむ、つまりこれは私相手に下克上してみせろという会長の誘いですねわかります」

 

「へ?」

 

テーブルにグラスを置くと、津田はおもむろにチャックに手をかけようとした。

ちょっと津田をからかうだけのつもりだったシノは、彼の目が自分をロックオンしているのに気づく。

 

「させねーよ?」

 

「……」

 

スズがグラス内のジュースを津田の顔面にぶっかけて彼の頭を冷やすのだった。

水もしたたるいい男。

無礼講だもの。水ぶっかけても許されるよね。

 

 

 

 

 

 

 

【しみつき】

 

パーティーが始まり、テーブルの上に並べられた数々の料理に舌鼓を打つ面々。

この人数で食べ切れるのかと思うほどに、卓上には所狭しと料理が並んでいた。

一つ一つが一流レストランにも劣らない一品ばかりで、全員夢中で口に運んでいた。

ただ心なしか、鶏料理から牛、豚と続き、熊や猪と肉料理のバリエーションがやたら豊富なのが気になるが。

テーブルの真ん中には鹿の丸焼きが鎮座していた。

出島さん曰く、昨日のうちに周囲の森でしとめた獲物たちらしいが本当かどうかは誰も知らない。

 

「これは上手すぎる」

 

「出島さんの家事は一流だよ」

 

料理のあまりクリスマスらしくないレパートリーを気にせず食事を楽しむ面々。

普段から食べているからか、津田兄妹のようにがっついた食べ方をしていないアリア。

こういうところに育ちの良さがにじみ出るのだろう。

 

「誉め過ぎですよ。さすがの私にも苦手なものくらいあります」

 

褒められ慣れていないのか、少し照れくさそうに話す出島さん。

しかし相変わらず表情は変化が見られないために、口調の変化で判断するしかないが。

 

「特に洗濯は苦手です。洗うの勿体ないから」

 

「わかるわかる」

 

「同意するな」

 

「そもそもお前は家事とかしないだろうに」

 

出島さんに同意するコトミにスズと兄から愛のツッコミがプレゼントされた。

基本彼女は津田家では家事をする方ではなく、家事(仕事)を増やす方である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【サンタのつぼ】

 

胃も満たされ、食後のドリンクを飲みながら歓談する面々。

話題はクリスマスについての話になった。

 

「小さい頃、靴下ぶらさげてサンタが来るの待ってたな」

 

「だねー」

 

そんな女性陣の会話を聞いていた津田は、かつての記憶を思い出していた。

それは今からちょうど10年前のこと。

まだ今よりもそれなりに純粋だった津田の少年時代。

彼は当時まだ5歳であった妹がなにやら考え事をしているのに気がつき声をかけた。

 

「コトミ、何考えてるの?」

 

「サンタの性癖」

 

まだ舌足らずな印象を否めない妹の口から出た言葉がそれであった。

 

「なんでサンタの性癖が気になるんだい?」

 

「だってサンタも靴下よりもニーソやパンストの方が仕事がはかどると思うし」

 

きっとそっちの方がサンタも喜んでプレゼントをたくさんくれると思う。

妹はそう考えているらしい。

確かに自分の父も普段からパンストが好きだと言っているから一理あると津田は考えた。

その夜、母のパンストを拝借して靴下代わりにベッドのそばにかけてみた。

ふと夜中に物音がするので目を覚ます津田。

幼き津田少年が目にしたのは、サンタのコスプレをして頭に母のパンストをかぶって脱げなくなった父であった。

どうやら被ったはいいが脱げなくなったらしい。

サンタクロースの正体が父親だと知った、津田タカトシ6歳のことである。

 

「どうしたのタカ兄?」

 

「いや、なんでもないよ」

 

今もサンタを信じている妹には、真実を伝えていない優しい兄であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【いけない気分】

 

「お次はお待ちかね、プレゼント交換です!」

 

ルールは単純明快。

輪になって座り、部屋の電気を消して誰が誰のプレゼントを持っているかわからなくする。

その状態で音楽をかけ、音楽が止まるまでプレゼントをまわし続けるだけである。

 

「じゃ、明かり消すよー」

 

照明の電源が下ろされ、真っ暗になる室内。

外は夜なこともあり何も見えない状態だ。

 

「なんか興奮するね」

 

「……はぁ~、はぁ~、はぁ~……」

 

「本当に興奮するな」

 

「……あの、アリア? 何故私の身体をまさぐっているのだ?」

 

「あ、これシノちゃんか。間違えちゃった」

 

「……誰と間違えた?」

 

「そしてコトミ、お前はドサクサ紛れに俺の股間をまさぐろうとするのを止めろ」

 

「何故ばれたし」

 

「……さっさと音楽かけてはじめましょうよ」

 

さっさとプレゼント交換はじめよーぜー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【クリスマスの夜】

 

プレゼント交換も終わり、思い思いに楽しく過ごす面々。

津田は、出島さんのプレゼントが当たってしまいどうするか考え込んでいた。

まだ箱は開封していないが、おそらくはバイ○かロー○ーの類だろう。

流れからして、それらに類する大人の玩具であることはほぼ間違いない。

それを物語るかのように、彼の手の中の箱はヴィィイイと小さく振動している。

どうやら今朝の出島さんとのやりとりの時と同じく誤作動しているらしい。

 

「さて、どうしたものか」

 

別にもらった以上捨てるつもりはない。

だが、彼女のいない津田にはバ○ブの類は正直使い道があまりない。

せいぜい自分の尻を使って、自分自身でセルフ調教するしか使い道がないように思う。

彼自身、女の子に尻を調教されるのであればやぶさかではないのだが。

さすがに自分で自分の尻穴を開発して新たな扉を開こうとは思えなかった。

 

「津田……」

 

「会長?」

 

そんな彼に声をかけてきたのはシノだった。

彼女はどこか恥ずかしそうにしながら彼の前に立つ。

 

「どう……似合うかな?」

 

シノの首元には、シックな印象のネックレスがあった。

 

「あ、俺のプレゼント……気に入ってくれました?」

 

「ああ」

 

どうやら津田の用意したプレゼントはシノに当たったようだ。

最初は下着にしようかと思ったのだが、誰に当たるか解らない。

そのため各自でサイズがばらばらな下着は今回見送ったのだ。

自分以外は皆女の子なこともあり、無難に大人しいデザインのアクセサリーにしたのだった。

 

「それでだが……これ」

 

「え?」

 

シノが差し出したのは、一つのラッピングされた箱だった。

既にプレゼント交換は終わっているので、予想していなかった贈り物に戸惑う津田。

 

「これは私個人の君へのプレゼントだ。今年副会長として頑張ってくれたからな」

 

「ありがとうございます会長」

 

ありがたく受け取っておきます、とシノからの贈り物を手にした。

思いがけない贈り物の嬉しささから微笑む津田。

対してシノは気恥ずかしいのか、照れくさそうにはにかんでいた。

 

――――ヴィイイイイイイ――――

 

津田の手の中で小刻みに振動しだした二つの箱。

出島さんのプレゼントだけでなく、シノからのプレゼントまで同じように振動している。

 

「その、なんだ。男の君でもきっと使い道はあると思うからな。

 君ならきっと使いこなせると私は思っているぞ」

 

どうやら会長は、副会長をからかうネタとしてプレゼントしてくれたらしい。

 

「なるほど、ですが会長?」

 

「うむ?」

 

「実はここにもう一つ同じようなものがありまして」

 

「む」

 

「残念ながら男の僕には楽しめる穴が一つしかないので、頑張っても一本が限界なんですよ」

 

「まぁ、そうだな……」

 

「そこで、ちょうど二つあるわけですし一緒に楽しみましょうか」

 

「……え?」

 

振動する箱を両手に、シノににじり寄る津田。

彼の発するプレッシャーに後ずさるシノ。

 

「会長もコレがどんなものか興味あるでしょう?

 僕が会長の穴で試しますから、ぜひ会長は僕の穴で試してくださいよ」

 

「ちょ、ちょっと待て!! 君は何を言って……!?」

 

「無礼講無礼講」

 

「イーヤー!!」

 

「まてまてー、あははははー」

 

楽しい追いかけっこが始まった。

そんな二人を見て、微笑むアリアと出島さん。

 

「二人とも楽しそうねぇ」

 

「仲睦まじいですね」

 

ちなみに、スズとコトミは大音量でカラオケをしていたので騒動には気がつかなかったらしい。

 

 

 


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