【タヌキ】
前回に続いて旅館にいる生徒会役員共。
それまで雑談に興じていたが夜も更けてきたのでそろそろ就寝とすることにした。
「ではそろそろ床につくとしようか」
「そうね」
シノの提案にアリアが同意する。
「じゃあ津田、あんたは少し離れて寝なさい」
「え? うん、わかった」
スズの命令に素直に従おうとする津田を見て、シノが声をかけた。
どうやら津田を必要以上に疑おうとすることをどうかと思ったらしい。
「そんなことしなくても私たちは津田を信用しているぞ」
「そうだよ」
「津田が信用できるんですか?……まぁ、それは別にいいんですけど。
……それよりも私はいつのまにか津田の横を陣取ってかつ服を脱いでるっぽいこの人が信用できません。」
「ぎく」
同じ部屋の中でいかがわしいことされてたまるかと吐き捨てるスズ。
彼女の言葉に根息を立てていたはずの横島先生の体が反応した。
「横島先生、そこは私が」
結局津田の隣にはシノが寝ることになった。
ちなみに先生は布団ごと丸められス巻きにされ、部屋の隅に放置された。
しばらく「むーむー」と何かを言いながら暴れていたが、数分後には何故か「ハァハァ」と興奮していた。
どうやら放置プレイに興奮したようである。
どこまでも残念な横島先生であった。
【寝ぼけま○こ】
「……すーすー……」
「……zzz……」
「……ハァハァ……」
「……くー……」
「……んん……」
明かりが消され、寝息が静かに聞こえる部屋。
生徒会の面々は誰もいびきをかくような人間はいないようだ。
そんな中、寝相を乱して目を覚ましたシノ。
自分の格好を見れば腕をのばして大の字のようにしてしまっている。
どうやら枕もどこかに追いやってしまったようだ。
(いかん……私としたことが寝相を乱してしまった)
寝起きで視界がぼやけながらも体を起こし、枕がないことに気付く。
(枕、まくら……)
眠気のせいであききらない目で首を動かしながら枕を探す。
その視界に丁度枕の高さに会う場所を発見した。
(ああ、そこか……)
彼女は寝ぼけながらその枕と認識した場所に移動してそのまま首を預けて寝てしまった。
丁度近くにあって人肌のぬくもりのする物体に抱きつくようにして安心して夢へと落ちていくのであった。
【これは夢?】
「んん……?」
津田は寝苦しさに目を覚ました。
なんだか無性に暑苦しく、なんだか胸のあたりがムズムズするのだ。
眼を開けてみれば、津田の伸ばした右腕にシノの顔が乗っかっていた。
丁度腕枕の体勢で幸せそうに眠るシノ。
しかも彼女は津田の体を抱き枕のようにして抱きついている。
さらにはだけた彼の浴衣に手を突っ込み、津田の乳首をこねくりまわしていた。
「……うぇ?」
一瞬なんだこの状態は、と自分の目を疑った。
しかし考えてみればあのシノがこんな自分を誘うような真似をするはずがない。
すると寝ぼけているのかとも考えたが、まさかあの完璧超人であるシノに限って……と思った。
では目の前の彼女はなんなのだろう。
「ああ、寝ぼけてるのは俺の方か」
これは夢だ。そうに違いない。
寝ぼけているのはシノではなく津田であって、このシノは彼の夢の産物なのだろうと判断する。
その間にも乳首をこねくり回され、興奮して息を荒くさせてしまう津田。
段々乳首が勃起し始めてしまった。
【これも夢?】
これはあれか、据え前というやつか?
どうせ夢なんだから何をしてもいいのだろうか?
いや、いいに決まっている。
隣からはシノの髪から漂うシャンプーの甘い香りが漂っている。
リアルだなぁ……と思いつつ興奮して下半身まで勃起させる津田。
心なしか布団の中もものすごく暑い。
今すぐ布団を剥いで隣のシノに覆いかぶさりたい衝動に駆られた。
身をそらしてシノに左腕を伸ばそうとした……その時。
「……?」
ふとあることに気づいた。
隣のシノにばかり意識が行っていたが、なんだか腰から下が重く感じるのである。
それに動こうとすれば何かが上に乗っかっているかのようで動きを阻害される。
布団の中も、下半身が充血しているだけとは思えないほどに熱い。
見れば布団が自身のいちもつ以上に膨れ上がっている。
まるでもう一人布団の中に人がいるかのように。
何となく左手で掛け布団を剥いでみた。
「……!?」
「……zzz……」
そこには、彼の下半身に覆いかぶさるようにしてアリアがしがみついて寝ていた。
しかもちょうど股間の位置に彼女の顔があり、息子に布ごしに寝息を吹きかけられている状態。
これは熱くて当たり前である。
「えっ……ちょ、何この状態?」
さすがの彼も意識がはっきりしだした。
これ夢? 本当に夢?
しかし鼻を刺激するシノの甘い香り、乳首をこねくり回す指の感触。
股間に感じるアリアの吐息、太ももに感じる彼女の豊満で柔らかな肉感。
そのすべてがこれが現実なのだと訴えていた。
【第一声】
さすがにこのまま据え前なんとやらでいたしちゃうのは気が引けた津田。
彼女たちは就寝前に自分のことを信じると言ってくれたのだ。
このまま手を出すのはなんだか罪悪感を感じる。
「あの、会長……」
よって、津田は彼女たちを起こすことにした。
とりあえず手始めに横にいるシノに声をかける。
「んん……?」
その声に乳首をこねくり回すのをやめ、目をこすりながら目覚めるシノ。
彼女の視界一杯には津田の顔が映っていた。
頬の下には筋肉質な腕の感触。
視界には津田の顔。
鼻に感じる臭いは男性の寝汗の臭い。
自分が今現在津田に抱きつく形で腕枕されていることに気が付いたシノは一瞬で目が覚めた。
「……っ!?」
一瞬で顔が真っ赤に染まる。
しかし電気の消えた夜の部屋ではその色の変化まではわからなかった。
それでも彼女のうろたえている様子はよくわかる。
「き、近親相姦はいけないぞ!?」
「その設定まだ生きてたんですか?」
津田から離れ、胸の前でバッテンを作って叫ぶシノ。
彼としては第一声がそれかぁ、と思いつつシノでもこういう失敗をするんだなぁと親近感が湧いていた。
親近感である。近親姦ではない。読みは似ているが違いますよ? 念のため。
「んん~~~~……な~に~……」
シノの叫び声で目を覚ましたらしいアリアが顔を上げる。
津田の股間は彼女の涎でほのかに湿っていた。
アリアの存在を認識したシノは、さらに驚愕の表情を作り絶叫する。
「しかも3Pか!?」
【快楽タイム】
朝が来て目を覚ます生徒会の面々。
着々と身支度を整えて帰る準備をしようとしている女性陣に対し、津田はまだ布団にもぐっていた。
「津田!! 君もそろそろ起きないか!」
「うーん……あと5分。zzz……」
未だに布団から出てこないで寝の体勢の津田に説教をするシノ。
しかし津田は起きることを拒んで出てこようとしない。
「往生際が悪い、5分で何ができる!!」
「朝立ちの処理」
「なら仕方ない」
「朝から嫌な会話するな」
津田を前にそんな会話をする先輩たちに頭痛がするスズであった。
このままでは埒があかないと判断したスズは、津田を強制的に起こすことにした。
彼の布団に手をかけ、無理やり引っぺがす。
「ほら津田、さっさと起き……!?」
「……zzz……」
「おお!?」
「まぁ!?」
掛け布団を引っぺがしたスズ、それを傍観していたシノとアリアが目にしたもの。
それは未だに睡魔に勝てず寝息を立てている津田。
その彼の下半身、浴衣とトランクスでは抑えきれずに顔を出した生理現象。
朝日の光を浴びて屹立する男性だった。
「……zzz……」
「これは……立派な」
「凄く……大きいのねぇ」
「…………」
顔を真っ赤にして見入る先輩二人の隣で、スズは思考が停止して固まっていた。
津田はそんなことも知らずに未だ寝息を立てるのだった。
横島先生がトイレから戻ってくるまであと40秒。
それまでにスズが意識を復活させるか津田が起きるか。
それは想像にお任せしよう。