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私立桜才学園。
元は伝統ある女子高だったが近年の少子化の影響で今年から共学化。
その生徒数の比率・・・女子524人男子28人。
これはそこに入学して、かくかくしかじかな理由から生徒会に入ることになった少年と、
彼を取り巻く人間たちとの青春の物語である。
【津田タカトシ】
津田タカトシ。
高校に入学したばかりの少年である。
女子ばかりの学校に入学し、これまた女子ばかりの生徒会に入ることになった生徒である。
日本人らしい黒髪をしており、並はずれた美形ではないがなかなかに整った顔をしている。
身長も平均よりは高く、少々面倒くさがりという性格をした少年。
なんというかギャルゲーの主人公みたいな人間である。
これだけを言えば町を探せばどこにでもいそうな少年だ。
まぁギャルゲーの主人公って大概そんなものだろう。そういう設定にありそうな外見だ。
ただし、普通と違うところもある。それが問題なのだ。
生徒会の同じ役員である少女と校門から校舎までを歩いていた津田。
そんな時、さわやかな風が二人の頬を撫でた。
津田の少し前を歩いていた少女のスカートがふわりと舞い上がる。
黒のタイツに包まれた美脚と、その下にある子供っぽいショーツが露わになる。
あわててスカートを押さえる少女。
「み、見た……?」
顔を赤くし、津田に問いかける。
しかし津田はどこか悔しそうな顔をしている。
見えなかったのか?と思ったが、どうやら違ったようだ。
「見てない……むしろ萩村には見せたい」
そう言っていきなりズボンのチャックを降ろした。
ごそごそとチャックの中に手を入れて中身を取り出そうとする津田。
「……フン!!」
「あふん!?」
萩村と呼ばれた少女はおもいっきり津田の股間を蹴り上げた。
股間をおさえ崩れ落ちる津田。その顔はとても満足そうだった。
「そこで一生うずくまってろ……変態」
萩村は蔑むような眼で地面に寝転ぶ津田を見下ろしていた。
その視線に恍惚の表情を浮かべる15歳。
彼の普通とは違うところ……それは彼がどうしようもなく変態であるということだ。
【天草シノ】
天草シノ。
桜才学園の二年生であり現在の生徒会長である。
濡れ羽色をした黒髪をまっすぐに伸ばし、すらりとした肢体をもつ美人だ。
凛とした雰囲気を醸し出す姿は、まさに日本人が考える大和撫子といった感じか。
品行方正、才色兼備、文武両道。
何をやらせても人並み以上にこなし、面倒見もよく人望も厚い。
まさに漫画の登場人物のようなできすぎた生徒会長である。
「あの、会長。このプリントは―」
今も生徒会に入ったばかりの津田に仕事を教えているところだった。
さっそくわからないことを天草に確認しようとした津田。
しかし彼の立ち位置が気に入らなかったらしい。
「君は私の右腕なんだから右側に立て!!」
「がふ!?」
彼女の左側に立ってしまった津田は、思い切り頬を平手打ちされる。
生徒会室に肌をうつ乾いた音が鳴り響いた。
椅子を巻き込み床に叩きつけられる。
はたかれた頬に手を当て、起き上がる津田。
その顔はどこか嬉しそうだった。
「大丈夫ですよ会長。俺のは一応右向きです」
そう言って己の股間を凝視する。
彼は言葉の意味を少し間違えて理解していた。
「……なら良し!」
彼の言葉の真意を正しく理解した彼女は満足げにうなずいた。
シノは思春期な生徒である。
【七条アリア】
七条アリア。
現在二年生の生徒会役員。書記を務める。
茶色のかかった長い髪にうすくウェーブをかけた髪型をしている。
七条グループだか七条財閥だか知らないが、実家はどえらいお金持ちのお嬢様である。
性格は気立ても良く人あたりもいい。天然ぎみなのがポイントだ。
生徒会一の、というよりも津田の周囲のなかではダントツで大きい胸をもつ。
運動神経もよく、おまけに勉強までできる。
絵にかいたようなお嬢様で、キャラとしては無駄に属性の多い人物である。
「津田君、もう生徒会には慣れた?」
今は生徒会室で津田と二人、資料の整理をしていた。
入ったばかりの津田を気遣って問いかけるアリア。
「う~ん、ここの皆とは慣れたんですが……仕事はなかなか……」
「あら、何か難しい?」
アリアの問いに頭を掻いて答える津田の言葉は歯切れが悪かった。
何か問題があるのかとアリアは気になった。
「いえ、たいした問題じゃないんですが。
会長は責任者。書記は会議内容を議録をつけたり、会計は予算の計算。
役職名からやることはなんとなく分かるんですが……
副会長って何やればいいんでしょう?」
津田は自身の副会長の役職が普段何をすればいいのか未だに解らなかったのだ。
津田の言葉を聞いてアリアは成程、と思う。
確かに生徒会という役職の中で副会長は役職名からははっきりと仕事がわからない。
また、これといって決まった仕事が割り振られいている役職でないのも確かだ。
「そうね~、会長の補佐役なんだからシノちゃんが困った時に手を貸してあげたら?」
「会長の補佐ですか」
「うん。あっ、でもちょっと待って?
でもシノちゃんって勉強できるし運動神経もいいし、礼儀や作法、家事も完璧。
手伝えること、特に無いわね」
「え~~~~~……」
あんまりな言葉に落胆の声をあげる津田。
「あ、でもでも、保健体育の授業じゃ限界があるから男の子なんだしそっちを手伝ってあげるのは?」
「保健体育ですか?」
「そう、写真や絵と実物は違うと思うし……
シノちゃんも一度見てみたいって言ってたし……」
「解りました! 頑張ります!!」
急にやるきになって立ち上がる津田。
彼の瞳は仕事への情熱で燃え上がっていた。
その眼を見てアリアは津田君って仕事熱心だな~と感心した。
「今すぐ行ってきます!!」
「頑張って~」
シノを探しに生徒会室を飛び出す津田。
彼を笑顔で送り出すアリア。
「うふふ、なんだか私、今すごく先輩っぽいな~」
七条アリア、彼女は天然だった。
【萩村スズ】
萩村スズ。
生徒会の会計を務める一年生。
帰国子女であり、IQ180という頭脳を誇る天才少女である。
英語はぺらぺらであり、10桁の安産も朝飯前である。
違った、訂正する。10桁の暗算も朝飯前である。安産は無理である。
容姿はハーフなのか金髪の髪をツインテールにしている。
小学生と間違えそうになるほど小柄な身長で幼児体型の少女だ。
その容姿にコンプレックスを持っており、子供扱いを極端に嫌うふしがある。
そのため、自分を大きく見せようと腰に手を当て、胸を張るポーズで立っていることが多い。
「私こんなだからナメられないようにしてるのよ」
「へー、確かにそのポーズならちょっと威厳があるように見えるしね」
「けど、このポーズには大きな問題がある」
「問題って?」
「前へならえの先頭を彷彿とさせる。
このジレンマどうしたらいいいの?」
そう言って涙を流すスズ。
その様子に少し不憫に思って真剣に考える津田。
けっして、むしろそれがいいとか言わない。
「そうだな、じゃあ胸の前で腕を組んでみたら?」
「こう?」
津田の言うとおり胸の前で素直に腕組みをしてみる。
「そうそう、で、顔はちょっとむっとさせて……」
「こう?」
「違う違う、もっと相手を睨む感じで……」
「こ、こう?」
津田の指摘のままに実行してみる。
彼女は今、腕組みをしながら彼の前に立ち睨みつける状態になった。
「……俺を睨みつける幼女、ハァハァ……」
「幼女って言うな!」
「おうふ!?」
彼女は津田の股間を蹴りあげる。
また床に蹲ることになる津田は、恍惚の表情をしていた。
「ちっ、この変態が……真面目に相談した私が馬鹿だった」
「……ああ、幼女が俺を見下している」
「ふん!!」
スズは津田の顔を踏みつけた。
そのままぐりぐりと上靴の底で彼の顔を踏み続ける。
「あぁん、もっと~……」
何気にお似合いの二人だった。
【いじめよくない】
今現在、生徒会室では役員達が会議をしていた。
議長を務める会長のシノが、今回の議題を発表する。
「最近いじめが社会問題となっている!!
というわけで我が校でも緊急アンケートを行う」
「いじめはいけないこと?」
その議題にアリアが疑問を呈する。
「当然だろう?」
「いじめは良くないに決まってます」
その問にシノとスズが答える。
当然だろう、いじめでどれだけ辛い思いをしている人間が世の中にいることか。
問題がないのであればそもそも社会問題としてここまで大きなものになってはいない。
「私の父はいつも母に虐められて悦んでるけど」
「仲睦まじいじゃないか」
どうやらアリアはプレイとしてのいじめも問題の範囲に入れて考えてしまったらしい。
「いいなぁ、俺も将来そういう夫婦関係になりたい」
「津田、あんたは黙ってろ」
津田の妄想を、スズが一言でばっさりと切り捨てた。
【体内スケジュール】
「ふあ~……」
昼休みの生徒会室。
弁当を持ち寄って昼食をすませた後、次の行事に使う資料をまとめている作業中に津田がおおきなあくびをした。
「午後って眠くなりますね」
「お昼のあとだもんねー」
彼の言葉に同意を示すアリア。
あくびをする津田の姿をほほえましそうに見ていた。
そこに小さな寝息が聞こえてきた。
見ればスズが机に突っ伏し、口を半開きにして眠っていた。
「ちなみにスズちゃんは本当にお昼寝しないと体もたないの」
普段子供扱いを嫌う彼女は、体型だけでなく体質も子供だった。
(あの口に俺のキノコとかつっこんだらどんな反応するかな?)
津田はその姿にそんなことを考えていた。
でも実行しない。実行したら18禁になっちゃうから。
妄想だけならOKだよね?と自分に言い聞かせる津田であった。
【魅惑の入口】
またまた会議中の生徒会室。
「良い学園を作るには生徒の声を聞くことが大切だ。
そこで目安箱を設置しようと思う」
シノが提案したのは目安箱を置いて、生徒の意見を聞こうというものだった。
「目安箱って前にも実施しましたけど、あんまり投書なかったんですよね?」
「うん」
どうやらスズが言うように以前はあまり効果がなかったようだ。
何故過去に失敗しているものを生徒会の政策としてまた実行するのか。
「前に失敗したことは私も覚えている。
だから今回は入れたくなるようにひと工夫してみた」
これだ、と机の下から一つの箱を取り出すシノ。
その箱は中央に◎が書いてあり、その外側の○から線が何本か伸びている。
その中央に縦線に切れ込みがあり、そこから投書できるようになっていた。
「これ不信任ものだろ」
明らかに女性器を模した外見に呆れた声を出すスズ。
アリアは面白そうに目を輝かしていた。
「そして津田。あんたはいの一番に入れようとするんじゃない」
喜び勇んでノートの切れ端を入れてみようとしていた津田をスズが制止した。
【メッセージ】
「今回はいっぱい投書きてるよー」
目安箱を設置して三日。
生徒会室前に置いていた箱を回収してきたアリア。
彼女が言うには以前に設置した時よりもかなり投書が多いという。
スズは思いのほか悪乗りする生徒が多いことにため息がでた。
とりあえず中身を確認しようと箱を開け、中身を机の上にぶちまける。
皆で中に入っていた意見を確認する作業に入った。
何気なく津田がとった一枚。
そこには『会長に手を出したら穴ぶち抜きます』と書かれていた。
「シノちゃんのファンクラブの子からだねー」
横から内容を覗き見たアリアがおもしろそうに笑う。
ほらこれも、と彼女が手渡してきた紙には『会長の半径2メートル以内にいたらあんたのケツの穴が広がることになるわよ?』
と書かれていた。
「こえーなー。
会長に手を出したら俺がファンクラブの女の子に尻掘られるのか。
……会長とにゃんにゃんできるうえ、さらにそんな特典があるなんて。
一石二鳥だな!!」
彼はなぜか嬉しそうだった。
当のシノは彼が言っていることが何についてのものかわからず首をかしげていた。