ウルトラ5番目の使い魔   作:エマーソン

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第89話  時空を超えた奇跡

 第89話

 時空を超えた奇跡

 

 変身超獣 ブロッケン

 一角超獣 バキシム

 ウルトラマンメビウス 登場!

 

 

 たとえどんなに闇が深かろうと、たとえ世界の全てが踏みにじられようと、すべての力が尽きて、誰もがあきらめてしまおうと、助けを求める人がいる限り、光は必ず差し込んでくる。

 

 異次元人ヤプールの罠にはまって十字架にかけられ、人々の目の前で、二大超獣バキシムとブロッケンによって、今まさに処刑されようとしているウルトラマンA。ヤプールは、何万人もの人間にエースの死に様を見せつけることで、復讐の成就と共に、その悲嘆と絶望のマイナスエネルギーで一気に力を回復しようと画策していたのだ。

 矢尽き刀折れて、精神力もなくなった人間たちにもはやエースを救うすべはなく、誰もが絶望に沈んだとき、アンリエッタはただ祈ることしかできず、その祈りの声に答えるものはいなかった。しかし、このとき神に祈っていたのはアンリエッタだけではなかった。世界の各地で、奇跡の日のその時に神に祈るものは何十、何百万人といて、彼らの中にも世界の平和を望む者は大勢いた。

 その願いを神が聞き届けたのかはわからない。けれども、神という超越的な存在に頼らなくても、世界を隔てても断ち切れることのない兄弟の絆は、時空を超えた奇跡を起こした。

(ガンフェニックスだ! ルイズ見ろよ! はは、こりゃ奇跡だぜ)

(この赤い光、エース、あなたに似てる。あれは……?)

 擦り切れそうだった心に差し込んできた希望の光は、尽きていたはずだった元気を二人の心に蘇らせ、ウルトラマンAは穏やかな声色でルイズの問いに答えた。

(弟だ……)

 日食の闇を超えて現れた不死鳥の翼。そして舞い降りた光は、エースの命を奪おうとした悪意の力を打ち砕き、人々の前に夜の終わりを告げる朝日のように立ち上がる。

 

「ヘヤァッ!」

 

 十字架にかけられたエースをかばって立ちふさがった赤い光が、超新星爆発のように輝くとき、人々はその光の正体を見た。

「見ろ、あれは!」

「ウルトラマン!? 新しいウルトラマンだ!」

 この世界の人々は、まだ彼の名を知らない。けれども、その銀色の勇姿と、みなぎる正義のオーラは邪悪な超獣を圧倒し、それを見る人々から恐怖心を拭い去ったばかりか、大きな声で叫ばせる。

「これは奇跡か? いや、もうなんでもいいや。いっけーっ! がんばれーっ!」

「そうだ、俺たちが応援してるぞ! がんばれーっ!」

 人々の希望と平和への願いを一身に受けて彼は立つ。人々の幸せを壊そうとするものを倒すため、無意味に命を奪おうとするものから人々を守るため。二大超獣の放ったミサイルとレーザーをすべて跳ね返し、赤い光の中から銀色の勇姿を現したウルトラ十番目の弟が、二大超獣へ向かって戦いの構えをとる。今ここにガンフェニックスの炎の翼に乗って、CREW GUYS JAPANとウルトラマンメビウスがハルケギニアに駆けつけたのだ。

 

「セヤァッ!」

 

 右腕を引き、左腕を突き出した独特のファイティングポーズから一転して、メビウスは軽快な動きで走り出した。その背にかばう兄エースを、敵二匹から引き離すために速攻に打って出たのだ。

 まずは、一度戦ったことのあり、戦法がわかっているバキシムを狙う。だが奴は、突っ込んでくるメビウスを食い止めるために腕のあいだから高熱火炎を発射してきたが、これをメビウスはジャンプして飛び越え、奴の頭を踏み越えていく。

「タアッ!」

 踏み台にされて、前のめりに倒れるバキシム。それを超えて、メビウスは間髪入れずにブロッケンに挑みかかり、細身の体からは信じられない重さの鉄拳、メビウスパンチをそのどてっぱらにめり込ませる。

「デヤァッ!」

 たまらずに、悲鳴をあげて後退するブロッケンだったが、逃がしはしないとメビウスは、接近戦に持ち込んでキックを放ち、噛み付こうとしてきた頭を逆に掴んでねじ上げた。しかし、その隙を狙って起き上がったバキシムが、鼻先からミサイルより強力な熱線を放とうと片目のレーダーで狙いを定める。だが、その後頭部にさらに強力なビームが浴びせかけられて、バキシムのほうが吹っ飛ばされた。

「見たか超獣め。俺たちCREW GUYSを忘れるな」

 バリアントスマッシャーの直撃を浴びせかけ、ガンフェニックストライカーが二匹の上空を飛び去っていく。ミサイルやレーザーしか武装のなかったガンクルセイダー以前の防衛隊の戦闘機と違って、ガンフェニックスの火力は通常でも怪獣を軽く吹っ飛ばせるほど強力なのだ。

 しかし、なぜ地球の戦闘機がこのハルケギニアにやってくることができたのだろうか? いや、エースや才人、ヤプールや超獣たちも感じたその疑念も、今現実に彼らがここにいて戦っているということの前には些細な問題であった。しかも、それだけではない。

「テッペイ、あいつらはバキシムはわかるが、もう一匹のでかいやつはなんだ!?」

「ドキュメントTACに記録を確認、変身超獣ブロッケンです! 気をつけてください。そいつもバキシムに劣らずに強豪ですよ」

 メビウスになったミライを見送り、あらためて敵の様子を確認していたガンフェニックスに、時空のかなたの地球から、アーカイブ・ドキュメントに残された二大超獣のデータが届く。それぞれのコクピットでは、ガンウィンガーに乗るマリナ、ガンローダーのリュウとセリザワ、ガンブースターのジョージが、亜空間突破の興奮も冷め遣らぬままに、気を引き締めなおして、操縦桿を握っている。

「二匹とも超獣か、やっぱりヤプールが復活してたってのは本当だったのか」

「ウルトラマンA……あんなにまでなって、たった一人でこの星を守ってたのね。ヤプール、絶対に許さないわよ!」

「ああ、特にバキシムめ、前の借りはここで返すぜ!」

 ジョージ、マリナ、リュウはメビウスと戦う二大超獣の姿を見て、新たなる戦いの覚悟を決めた。特に、リュウは以前バキシムに体を乗っ取られた経験があるので、そのときのことは覚えていないものの怒りが深い。しかし、血気にはやりがちになるリュウに、後部座席のセリザワが釘を刺すように声をかけた。

「リュウ、冷静さを失うなよ。怒りや憎しみは判断を誤らせる。それで、守るべきものを守れずに、失ってしまってからでは遅いのだ」

「はい、肝に銘じておきます」

 セリザワの、ウルトラマンヒカリの警告はリュウに隊長としてのあるべき姿を思い出させた。それにセリザワは、リュウにとってあこがれであるとともに、隊長として乗り越えなければならない壁でもある。彼は、これがそのための試験の一つだと考えて、短く深呼吸をすると全員に言った。

「ようし、メビウスと、ウルトラマンAを助けるぞ。GUYS・サリー・GO!!」

「G・I・G!」

 たとえどんな空であろうと、GUYSの心は常に一つ。ガンフェニックスは急降下しながら必殺のバリアントスマッシャーを放ち、二匹の超獣を攻撃してメビウスを援護していく。

 

 その一方で、時空をへだてた地球でもガンフェニックスのサポートに余念がなかった。

「こちらガンフェニックス、観測データは届いてるか?」

「大丈夫です。亜空間ゲートは計算どおりに安定してます。そちらの惑星の観測データは現在検証中ですが、地球型惑星でほぼ間違いないようです。それよりも、バキシムもブロッケンも遠距離攻撃が得意な超獣です。気をつけてください」

「G・I・G!」

 東京湾上空に、ぽっかりと開いた時空の穴。それを前にして、超巨大戦闘機形態、フェニックスネスト・フライトモードに変形したGUYS JAPANの基地で、ガンフェニックスから送られてきた時空の向こうの惑星の環境や、バキシムとブロッケンのスキャニングデータがスーパーコンピュータによって高速で解析されていく。そしてそのディレクションルームでは、無言で見守るサコミズの元で、テッペイとコノミがリーダーになって若い隊員たちを引っ張りながら、異世界で戦うリュウたちのために奮闘していた。

「気圧0.9、大気組成、窒素77パーセント、酸素21パーセント、二酸化炭素0.03パーセント、ほかアルゴン1パーセント、湿度60パーセント……重力地球の98パーセント、このデータはほとんど地球と同じじゃないか」

 気圧がやや低いのは、ここが浮遊大陸であるためなのだが、便宜的にハルケギニア星と呼ぶこの星の自然環境はほとんど完全に地球と同じであった。もっとも、そうでなければ才人が生存できているはずはないのだが、この環境であるのならば、GUYSクルーたちも宇宙服なしで行動できるとあって、居残り組のテッペイたちはほっとして、さらに住人もほぼ完全な地球人型とわかるとそれをガンフェニックスに通達した。

「リュウさん、その星はやっぱり完全な地球型惑星です。地球とまったく同じ感覚で行動できます」

「なんだって? しかし、地球とまったく同じって、そんなことありえるのか?」

「アーカイブドキュメントZATに記録のあるミラクル星や、MACのサーリン星などは地球とほぼ同じ環境の惑星であったことが確認されています。住人がヒューマノイドタイプなのもそのためでしょう」

「なるほど、ヤプールが狙いそうなわけだ。だとしたら、なおさら奴らは許しておくわけにはいかねえ!」

 たとえ宇宙のどんな星であろうと、平和に暮らしている人々に侵略の魔の手を伸ばすやつを、CREW GUYSが許すわけにはいかない。地球一つだけの平和だけでなく、宇宙全体の幸せあってこそ真の地球の平和もあるのだと、GUYSの面々は、決意を新たに戦いの空を駆ける。

 

 が、人々の目をもっとも奪ったのはウルトラマンメビウスの活躍であることは言うまでもない。

 突然のメビウスとGUYSの戦闘介入によって、パニックに陥って攻撃が半端になっていたバキシムとブロッケンも、相手がメビウス一人だということで落ち着きを取り戻し始め、バキシムは得意のミサイルの連射攻撃を仕掛けてくる。

 だがメビウスはメビウスブレスから発生したエネルギーをそのまま両手のひらにとどめ、光の手刀にしてミサイルをはじきかえしながら、逆にバキシムに突撃していった。

『ライトニングスラッシャー!』

 かつてパラレルワールドで、双頭怪獣キングパンドンの火炎弾『双頭撃炎弾』を跳ね返したように、バキシムのミサイルも一発残らず叩き落とされて、すれ違い様にバキシムの腹に強力な手刀の一撃が居あい抜きのように斬りつけられた。背中まで届く衝撃にバキシムは振り返ることもできずに、背中からメビウスに持ち上げられて、そのまま投げ捨てられてしまう。

「テャアッ!」

 轟音轟き、バキシムの体が舞い上げられた土煙に隠される。バキシムは、普段は強力な武器となる体重も、今は逆に自らを痛めつける諸刃の剣となって地面にめり込んだままで必死にもがいていた。

「すごい、なんというパワーとスピードだ」

「それなのに、動きに一切無駄がない……」

 戦い始めてからまだ一分も経っていないというのに、メビウスの戦いを見守っていたカリーヌやタバサから感嘆の声が漏れる。なぜなら、メビウスの師匠はウルトラ兄弟最強と名高い、宇宙警備隊筆頭教官ウルトラマンタロウであり、彼が地球滞在時から磨きぬいてきた、パワーとスピードの両方を極めたテクニックを直伝されて、いまやそれに独自の戦法を組み合わせた、新たな宇宙拳法として大成させつつあったのだ。

 

 むろん、上空を飛ぶガンフェニックスのことも忘れてはならない。

「バキシムとブロッケンのスキャンが終了しました。二匹とも、過去に出現した個体に比べて体内エネルギー量が増大しています」

「て、ことは攻撃力が上がってるってことか」

「はい、ですが体内の構造は変わっていませんから、武装強化などはおこなわれていないようです。ミサイルとレーザーに気をつけて、中距離以上からの攻撃につとめてください」

 時空の壁を超えて、フェニックスネストからテッペイの的確な敵情分析が届く。バキシムは一度戦ったことのある相手だが、ブロッケンは初見である。ただし、既に戦ったことがあるといってもバキシムも強敵に違いはない。メビウス一人では荷が重いし、本当の目的はあくまでエースの救出である。現CREW GUYS隊長リュウは決断した。

「ようし、超獣はガンローダーとガンブースターで引き受ける。ガンウィンガーはそのあいだにウルトラマンAを十字架から解放しろ。いくぞ、ガンフェニックス、スプリット!」

「G・I・G!」

 隊員たちの返答とともに、ガンフェニックストライカーはガンウィンガー、ガンブースター、ガンローダーの三機に分離した。それを見てガンフェニックスが機械だとは知らない地上の人々からは、「三匹に分かれた!?」と、GUYSのメンバーが聞いたら失笑しそうな叫びがあがったが、もちろん彼らはそんなことは知らずにそれぞれの任務に向かっていく。

「いくぜバキシム、くらえ! バリアブルパルサー」

 リュウの操るガンローダーの黄色のビームが、メビウスに向かってミサイルを放とうとしていたバキシムを直撃して火花を散らせ、続いてジョージがガンブースターの引き金を引く。

「ブロッケン、お前の相手は俺だ、アルタード・ブレイザー!」

 青白色のエネルギー弾が見事にブロッケンに炸裂し、ひるませたところへメビウスがすばやくキックを叩き込み、さらに頭一つ以上背の高いブロッケンの上にジャンプして、奴の額に強烈なチョップをお見舞いした。

「テャァッ!」

 生き物にとって額は急所の一つである。そこに東京タワーでも真っ二つにしてしまうほどのメビウスチョップを食らっては、さしものブロッケンも脳震盪を起こして巨体をよろめかせ、力なく後ずさりして後ろ足をついて倒れこんだ。

 しかし、その隙をついてバキシムがなおもエースの処刑を実行しようとミサイルをエースに向かって放つが、それを見逃すメビウスではない。素早くメビウスブレスに右手を当てると、メビウスブレスから引き出したエネルギーを矢じり型の光弾に変えてミサイルを狙い撃った。

『メビュームスラッシュ!』

 高速で追いすがったメビュームスラッシュは、ミサイルに追いついてこれを全弾撃墜した。悔しがったバキシムはなおも次のミサイルを放とうとするが、今度はバキシムの顔面にメビュームスラッシュが命中する。

「マリナさん、ここは大丈夫です。はやくエース兄さんを!」

「わかったわミライくん。リュウ! いくわよ、お願い」

 メビウスの声が、ミサイルを避けてチャンスをうかがっていたガンウィンガーのマリナに届く。そして彼女は必死に二大超獣を抑えているメビウスを見て、今がチャンスだとリュウに決断をうながした。

「ようし、一気に決めるぜ! 全機、メテオール解禁!」

「G・I・G!」

 その瞬間、枷は解き放たれ黄金の不死鳥は舞い上がった!

「パーミッション・トゥシフト・マニューバ!」

 ガンウィンガー、ガンローダーに収納されていたカナードウィングが展開し、常時展開状態のガンブースターのウィングとともに、それぞれの機体がまばゆく輝く金色の粒子に覆われる。超絶科学メテオール、それを解き放ったガイズマシンの本当の姿、マニューバモードの威力をここに見よ!

「喰らえ! ガトリングデトネイター!!」

 ガンブースターから放たれた六本のビーム砲の一斉射撃がバキシムを吹き飛ばし、巨体に軽々と泥をつけさせる。だが、いきりたったブロッケンは両腕と二本の尻尾を空に向けて、ビーム光線の乱射を仕掛けてきた。

「危ない!」

 両腕の先から連射されるストレート光線と、尻尾の先から放射されて、空中を鞭のようになぎはらうスネーク光線が空を切り裂いてガンローダーとガンブースターを狙う。その弾幕の濃さには、どんな敏捷な鳥でも逃れられないと人々は恐怖したが、GUYSクルーたちはおびえてなどいなかった。

「ファンタム・アビエイション・スタート!」

 ビームがガンローダーを貫いたと思われたとき、ガンローダーの姿は掻き消えて、別の場所に出現していて、さらにそれも別の場所にガンローダーが現れたと思ったときには消えていた。そう、それこそ右に左に、上下前後とランダムにめまぐるしく金色の光を撒き散らしながら飛び回り、ブロッケンのどころか鍛えぬいたタバサやカリーヌの動体視力でもまったく捉えることができない。

「速すぎる!?」

 普段冷静沈着な二人が、そんな感想しか漏らすしかできなかったほどガンローダーの動きは彼女たちの常識を超えていた。むろん、ガンブースターやガンウィンガーも同様の動きをして、まるで実体のない幽霊のように攻撃をまったく寄せ付けない。これこそ、超絶科学メテオールの技術の一つ、かつて地球にやってきた数え切れないほどの宇宙人のUFOや宇宙船の残骸を分析して発見された、数々のオーバーテクノロジーを転用して、重力や空気抵抗、慣性などを無視し、分身さえ可能な超高速を機体に与える、その名も『ファンタム・アビエイション』。この技術の原型は防衛チームZATのコンドル1号やMACのマッキー二号の翼にあった重力制御コイルにも使われて、空力特性をまったく無視した形ながら高い空中機動性を可能にしているが、ガンフェニックスのこれは文字通りレベルが違う!

「当たるものかよ!」

 通常のクルーズモードでさえ、ベロクロンの全力のミサイル攻撃の弾幕すらかいくぐれる機動性を持つガンフェニックスの各機がこのモードを展開すれば、威力はあっても弾数はそれより少ないバキシムのミサイル程度なら、当たるわけがなかった。おまけに、意地になってガンフェニックスを追おうとすれば、隙ありとばかりにメビウスが殴りつける。

「セヤァッ!」

 メビウスの鉄拳、バキシムの顔面直撃。左目がつぶれていたことからメビウスの接近に気づけなかったのもあるが、わざわざ位置を教えてから殴りにいくほどこちらもお人よしではない。

 しかし、ただではメビウスやガンフェニックスを捉えられないと思ったバキシムは、悪辣な頭脳を回転させ、ウルトラマンは人間が危機に陥れば必ず助けにいくはずだと考えて、ミサイルを戦いを見守っていたアンリエッタたちに向かって発射した。

「きゃあっ!?」

「姫さま、危ない」

 迫ってくるミサイルを見て、アニエスが盾になろうと彼女をかばう。だがこれこそバキシムが望んでいる展開、愚かな人間たちは勝手にかばいあって死んでいく。それはヤプールには決して理解できない感情だが、それを利用する術は誰よりも心得ており、あえて速度をゆるめにしたミサイルが、一直線に人間たちに向かって突き進む。さあ早く助けに行け、飛び道具で撃ち落そうとすれば人間たちも巻き込むぞと、バキシムは、エースが角ミサイルから人々を守ったようにメビウスがミサイルに飛び込んでいくことを期待した。

 ただし、人間たちのことわざに、柳の下にドジョウは二匹いないというものがある。

「ジョージ!」

「G・I・G! やらせるかよ、スパイラル・ウォール!」

 リュウの指示でミサイルとのあいだに割り込んだジョージのガンブースターが回転を始めると、ガンブースターの機体が巨大な金色の球体のようになってミサイルを全弾叩き落した。

「ジョージさん!」

「ミライ、この星の人たちは俺にまかせろ。お前は気がねなくそいつらをやっつけてしまえ!」

 高速回転するガンブースターは、ミサイルどころか熱線さえ軽々とはじき返して、唖然として見守っているアンリエッタやウェールズの前に立ちはだかっている。これも、メテオール技術の一つの成果、機体の周りに強力なバリヤーを張り巡らせてあらゆる攻撃を跳ね返す究極の盾、『スパイラル・ウォール』だ。これによって、人間たちに手出しができなくなったバキシムは、またメビウスと戦わざるを得なくなったが、上空にはまだガンローダーが遷移していた。ブロッケンに攻撃を集中させて、二対一にならないように妨害をし、さらに怒り狂ってビームを乱射するブロッケンの弾幕を軽々とかいくぐったガンローダーは、翼に隠された巨大なファンを高速回転させて、二本の荒れ狂う荷電粒子ハリケーンを発生させた。

「ブリンガーファン・ターンオン!」

 竜巻は二頭の黒い龍の様にバキシムを飲み込むと、七万八千トンの奴の体重を意にも介さず軽がると回転しながら空中へと巻き上げた。

「すっ、すごい……」

 アンリエッタとウェールズのヘクサゴンスペルにもびくともしなかったバキシムが、まるで木の葉か人形のように軽々と宙を舞っている。とても現実とは思えない光景だが、この程度は、ウルトラマンやウルトラマンジャックを一敗地にまみれさせたゴモラやグドンをさえ翻弄したガンローダーのメテオール、『ブリンガー・ファン』にかかれば序の口に過ぎない。

 空中をきりもみしながら飛ばされたバキシムは、身動きができないままブロッケンに向かって叩き落され、二匹はそれぞれが超重量級であったために激突の衝撃も並ではなく、大きなダメージを受けた。だが、これだけの攻撃を受けながらも二大超獣は信じられないほどの生命力を見せて起き上がってくる。

「さすがにしぶといな」

 メビウスとガンフェニックスのメテオールをこれだけ受けてもなお、バキシムとブロッケンには余裕が見られる。それに絶大な威力を誇る反面、メテオールはまだ未知の部分が多いために、その使用可能時間が一分間と厳しく制限されており、限界時間は刻一刻と近づいてきている。が、ならばその限界が来る前に勝負を決めてしまえばいいだけだ。

「ミライ、行くぞ!」

「はい! リュウさん」

 残りの時間を一秒でも無駄にしないために、リュウはメビウスとともに一気に攻勢に打って出た。ガンローダーとガンブースターのビームが二大超獣に火花を散らせ、その隙をついて空中にジャンプしたメビウスの高角度からの急降下キックがブロッケンを狙う。

『流星キック!』

 ウルトラマンジャックの代名詞ともいうべき必殺技がブロッケンの顔面に炸裂。さすがにキングザウルス三世の角をへし折った本家ほどの威力はまだないが、メビウス渾身の一撃にブロッケンの巨体が揺れて、それは偶然にもまたバキシムを巻き込んで地面へと倒れ伏させた。

 そして二匹の超獣が身動きできなくなったのを見るや、リュウは攻撃に参加せずに待機していたガンウィンガーのマリナに合図をした。

「マリナ、今だ!」

「G・I・G!」

 マリナはガンウィンガーを急旋回させて、十字架に磔にされているエースの前に出ると、照準機を睨んで操縦桿のトリガーボタンに指をかけた。ターゲットはエースのカラータイマー、通常ならばガンウィンガーにはスペシウム弾頭弾が装備されているが、今回は別のメテオールカートリッジが搭載されてきており、それこそウルトラマンAを救出するための切り札だ。

 

「マグネリウム・メディカライザー・シュート!」

 

 ガンウィンガーの機首から真っ赤な光線がほとばしり、エースのカラータイマーに吸い込まれていくのを確認すると、ガンウィンガーは役目を果たしたように十字架から離れていった。しかし、そのとき力尽きて灰色に染まっていたエースのカラータイマーに赤い点滅が戻ったかと思うと、赤は青に色を変えて力強く輝きだし、エースの瞳に乳白色の輝きが戻ると、目覚めたように彼は首を上げた。

「エースが……生き返ったぁ!」

 これこそ、かつてウルトラ警備隊がガッツ星人に倒されたウルトラセブンを蘇生させた、ウルトラマンの活動エネルギーである、マグネリウムエネルギーを光線化して発射する装置をメテオール化し、回復させることのできる特殊兵器『マグネリウム・メディカライザー』である。

 十字架上のエースは、四肢を固定している鎖に力を入れると一気に引きちぎった。

「ハァァッ……ダァァッ!」

 乾いた金属音を立てて鎖が粉々に砕け散るのと同時に、エースの足が大地に降り立つ。そして太陽の輝きと弟や仲間たち、人々の喜びに満ちた眼差しを受けて、ウルトラ兄弟五番目の弟は、右手を高く掲げて復活の雄叫びをあげた。

「トアァーッ!」

 ウルトラマンA、完全復活! 

 ここに、エース抹殺のために組み上げられたヤプールの謀略は完全に崩壊し、闇はすべて光の中へ暴き出された。そして、闇の中でこそ恐怖の対象となる悪霊も、光の下では消滅するしかない。バキシムとブロッケンは、まだ戦うには充分な力を残していたが、エースの復活はもとより人間たちのあいだから恐怖が完全に拭い去られ、マイナスエネルギーの発生が消滅してしまったことに驚きとまどった。

「シュワッ!」

 倒れて砕け散る十字架を背にエースは跳び、メビウスと並んで戦いの構えをとる。

「エース兄さん、大丈夫ですか?」

「メビウス、すまなかったな、もう大丈夫だ」

 時空を超えて別れ別れになった兄弟が、再びめぐり合い、肩を並べて戦うときがついにやってきた。目指すは、バキシムとブロッケン、こいつらを倒せばもはやヤプールは当分のあいだ打つ手を失う。

 だが、長年に渡って怨念を積もり積もらせてきたヤプールは策が破られても、なおもあきらめてはいなかった。

「ええい、何人に増えようとも同じことだ。いけぇーバキシム、ブロッケン! 二人まとめて地獄に送り込めぇ!」

 光の戦士を前に、今度は二大超獣のほうが恐怖をふりはらうように雄叫びをあげてエースとメビウスに突進していく。しかし、ウルトラ兄弟が力を合わせたら、その力は二倍にも三倍にも強くなる。

「テャァッ!」

 エースのキックがバキシムの腹を打ち、巨体が大きく後ずさりする。さらにメビウスもブロッケンに対して速攻をかけて、流れるようなパンチやチョップが人馬の胴体や首にめり込んでいく。

 特に、ブロッケンをメビウスにまかせたエースの攻撃は猛攻という言葉も生易しいすさまじさをもってバキシムに炸裂した。

(よくもやってくれたな、この野郎!)

(好き放題してくれた分は、百倍、いえ一億倍にしてお返ししてあげるから、覚悟なさいよ!)

(その意気だ。しかし二人とも、心を憎しみに支配されるなよ。いくぞ!)

 エースに力を分けてもらって回復した才人とルイズの怒りも込めて、エースはバキシムに立ち向かう。ミサイル攻撃も意に介さずに大地を蹴り、天空から急降下チョップをおみまいし、首筋を掴んで背負い投げ、さらに尻尾を掴んでジャイアントスィングで放り投げた。

「ダァァッ!」

 大地を揺さぶる投げ技の連続攻撃。エースのフルパワーとハルケギニアの引力に打ちのめされて、バキシムの全身に激しくダメージが加わる。しかし、この程度で倒せるのならば、最初からとっくに倒している。起き上がってきた奴は、なおも怒りを増して、この死にぞこないめとばかりに腕から高熱火炎を放射してくるが、エースも突き合わせた両手の先から火炎を放って迎え撃つ。

『エースファイヤー!』

 火炎対火炎の衝突で、接触した熱エネルギーは暴発して大爆発を引き起こす。吹き荒れる猛烈な爆風。しかし、その炎すらも火鼠の衣のようにまとって、エースの真正面からの跳び蹴りが炸裂する。

「テヤァァッ!」

 炎の一撃が、熱エネルギーと運動エネルギーを火山弾のごとき破壊力にしてバキシムを地にひれ伏させる。だが、これでもなおバキシムは悲鳴をあげながらも残った右目のレーダーでエースを見据え、倒れたままミサイルを放とうと狙ってくる。けれど、そうはいかない。エースはバキシムを背中から持ち上げると、空高くへ向かって垂直に投げ上げた。

「ダアッ!」

 ウルトラパワーで投げ上げられて、空を飛べないバキシムは何もできずに宙を舞う。そして奴が重力に負けて落ちてきたところをエースは受け止めて、風車の羽のように回転させながら投げ飛ばした。

『エースリフター!』

 激震と轟音が、地震などないはずのアルビオンの大地を激しく揺さぶり、人々は立っていられないほどの揺れに見舞われる。かつてはこれだけで地底超獣ギタギタンガを木っ端微塵にした大技に、重装兵はこけて動けなくなり、馬に乗っていた兵は落馬して、軽いタバサなんかは二メイルばかり宙に浮き上がった。が、これで終わりと思ったら大間違いだ。エースは地面にめり込んでいるバキシムを引っ張りあげると、またも頭上に持ち上げて、衝撃ででんぐりがえってスカートの中を丸出しにしているキュルケの見ている前で。

「もしかして、二発目!?」

 そのまさかだった。バキシムの体が再度宙を舞い、エースリフターの第二波がもう一度バキシムを大地に沈ませ、人間たちに一秒間の空中散歩をさせる。しかし、エースの怒涛の連撃は止まらない。

「イャァッ!」

「って、まさか三発目!?」

 力を緩めずエースリフターの三発目が、バキシムを容赦なく痛めつける。エースは光線技の豊富さが有名であるが、投げ技のバリエーションも豊富で強力なのだ。

 

 むろんメビウスも兄に負けてはいない。ジャンプしてブロッケンのあごを下から蹴り上げると、鋭い牙で噛み付こうとしてくるブロッケンの三つの口をかわし、至近距離から放たれた火炎熱線をメビウスディフェンスサークルで受け止め、そのままブロッケンめがけて押し返す。

「エイヤァッ!」

 バリヤーに跳ね返された自分の火炎をもろに受けて、ブロッケンは焼け焦げ、チャンスを逃さずメビウスは連続攻撃を仕掛けて、巨体にみるみるうちにダメージを刻み込んでいく。

 しかしそれでも、現在ヤプールが最大の切り札として作り出したブロッケンはしぶとく、残った生命力を全て破壊力に変えるかのように、怒りのままに両腕と二本の尻尾の先からのビームで光線の弾幕を張ってきた。 

「ヘヤッ!」

 襲い掛かる光の矢の雨あられをメビウスは高い瞬発力をもってかわすが、激昂したブロッケンの攻撃は収まらない。だが、CREW GUYSも忘れてはならない。再び合体したガンフェニックストライカーのバリアントスマッシャーがブロッケンをひるませ、セリザワはメビウスにテレパシーで呼びかけた。

「奴を倒すには、あと一歩強力な一撃が必要だ。使え、メビウス!」

 すると、空間を越えてセリザワの右手に出現したナイトブレスがメビウスのメビウスブレスに一体化し、赤と青の輝きを放つナイトメビウスブレスに変形させた。その先端からメビュームブレードをもしのぐ光の剣が伸び、メビウスの体に雄雄しく輝く金色のラインが刻まれる!

『ウルトラマンメビウス・メビウスブレイブ』

 ウルトラマンヒカリの意思を受け継いだ、メビウスのパワーアップバージョンが姿を現し、メビウスは光の大剣、メビュームナイトブレードを振りかざし、力強く駆けていく。

「テャァァッ!」

 正面攻撃、それは例えるならば強力な魔法を使うメイジに一本の剣だけで向かっていく無謀な剣士を人々に連想させるものであったが、浴びせかけられる光線はメビウスを止めるどころか、メビュームナイトブレードによってすべて受け止められ、そのままメビウスは速度を緩めることなく突進していくではないか。

「いけーっ!」

 驚愕するブロッケン、その眼前でメビウスはジャンプして自分の体をコマのように高速回転させながら、奴の巨体に向けて瞬時に剣閃を閃かせた。

『スピン・ブレードアタック!』

 超獣の強固な皮膚をものともせずに、メビュームナイトブレードの一撃はブロッケンを切り裂き、ななめに大きく燃える刀傷を巨体に刻み付けた。しかし、宇宙量子怪獣ディガルーグを真っ二つに切り裂いたこの技を喰らっても、なおもブロッケンは絶命せずに生きていた。恐るべきはヤプールの怨念の力、だが闇が強かろうと、光はそれを超えていく。

「いくぜ! とどめだミライ」

「はい! リュウさん。エース兄さん」

「ああ、頼むぞメビウス」

 上昇し反転してきたガンフェニックスと、エースリフターの猛攻で、バキシムを立てないほどにまで叩きのめしたエースが、ブロッケンと距離をとったメビウスに並んで力をためる。そして、瀕死の傷を負ってなおもビームを放とうとするブロッケンへ向けて、メビウスはメビュームナイトブレードをかざし、剣舞を踊るように、その切っ先をメビウスの輪の形になぞらせ、形成した巨大なメビウスの輪の形のエネルギー波を投げつけた!

『メビュームナイトブレード・オーバーロード!』

 メビウスブレイブ最強の必殺技が炸裂し、ブロッケンがメビウスの輪の光のエネルギーに焼かれていく。そこへ、ガンフェニックストライカーとウルトラマンAはとどめの一撃を叩き込んだ!

「インビンシブルフェニックス・ディスチャージ!」

『メタリウム光線!』

 ガンフェニックストライカーがまとった灼熱のエネルギー。それが機体の形をかたどった、巨大な火の鳥となって飛び立ち、ブロッケンを炎の翼の中に包み込むのと同時に、エースの必殺光線が勝利への架け橋となって突き刺さる。

 光の三重攻撃、その圧倒的な威力の前にはさしもの巨大超獣といえども到底耐え切れるものではない。

「馬鹿なぁーっ!」

 ヤプールの悲鳴とブロッケンの断末魔の遠吠えがこだました瞬間、悪魔の使者は太陽のような業火に焼き尽くされ、粉々の塵となって飛び去り、夏の風の中に消滅していった。

「やったぁーっ!」

「すごすぎる……」

「ウェールズさま……」

「アンリエッタ……いや、もう言葉が出ないよ」

「やったやった! ほんとサイコーよ、ねえタバサ! ねえねえねえ!」

「く、苦しい……キュルケ、抱きしめすぎ……」

「きゅいーっ!? ちょっと、お姉さまを絞め殺す気」

 悪魔の最期に、人々の間からかけらの遠慮もない大歓声があがる。

 見たかヤプール! お前がどんな卑劣な陰謀をめぐらせようと、人間の、そしてウルトラマンはそれを超えていく。

「ようし、あとはバキシムだけだ」

 そう、超獣はあと一匹残っている。しかし、エースリフターの連続攻撃によって大ダメージを受けていたバキシムがやっと起き上がってきたが、塵と化したブロッケンと、いまだ戦意の衰えない二人のウルトラマンとガンフェニックスを前にしては、もはや勝ち目などないことは誰の目にも明らかだった。

「ヘヤッ!」

「セァッ!」

 構えをとり、攻撃の態勢をとるエースとメビウスに対して、バキシムはそれでも戦意を衰えさせずに、なおもミサイルで反撃を試みてくる。恐るべきはヤプールの怨念の力だが、もうそんなものは通じず、全弾軽々と叩き落されて、二人のウルトラマンにはいささかのダメージもない。

「とどめだ!」

 誰もがそう叫び、メタリウム光線とブレードシュートの狙いがバキシムに向けられたときだった。

「おのれぇ! やむを得ん、バキシムよ、ここは引け、引くのだ!」

 バキシムの背後の空間が割れて、異次元の裂け目が現れる。ヤプールはここでバキシムまでも失うことを恐れ、バキシムを回収しようとしたのだ。

「逃がすか! バリアント・スマッシャー!」

 あと一歩のところで取り逃してなるものかと、ガンフェニックスの砲火がバキシムを狙う。だがそれは残念ながら異次元の裂け目にバキシムが逃げ込んでしまったことで、空振りに終わってしまった。

 しかし、綿密に立てた計画をすべて破壊され、用意した怪獣や超獣もバキシムを残して倒されてしまったヤプールの怒りは、さらにすさまじかった。

「覚えていろウルトラ兄弟、そして人間どもよ! 我らの計画はまだまだ始まったばかりだ。いずれもっと強い超獣を生み出して、必ずや復讐してくれるぞお!」

 次元の裂け目がヤプールの怒りと悔しさに満ちた捨て台詞とともに閉じると、あたりはそれまでの戦いがうそであったかのように、明るい光に包まれて、早くも鳥や虫の声がざわめき始める。しかし、それが決して夢でも幻でもないことを、人々は陽光を浴びて銀色に輝く、二人の巨人を見て感じていた。

「エース兄さん、よくぞ無事で」

「ありがとうメビウス、お前の……お前たちのおかげだ」

 ナイトブレスをヒカリに返還し、通常の姿に戻ったメビウスは、長い間探し続けてきた兄を前にして、言葉を詰まらせながら手を握り合った。そして感極まった様子のメビウスを見て、エースは強い懐かしさを感じた。思えば、この世界にやってきて半年……短いようで、なんと長い月日であったことか。そのあいだに、どれだけ兄弟たちに心配をかけてしまったか……しかしそれでも、こうして守るべきものを守ることができた喜びは、何にも変えがたい。

「メビウス見てみろ、人々のあの笑顔を」

「はい」

 二人の見下ろす先では、誰もが喜びに湧いていた。キュルケはタバサを持ち上げて胴上げをしてシルフィードに止められて、アニエスとミシェルは喜びすぎて調子に乗った兵たちが抱きついてくるのを張り倒している。カリーヌでさえ、仮面の下の目は笑っていて、そしてアンリエッタとウェールズが肩を抱き合いながら手を振り、七万人の歓呼の声を浴びながら、ガンフェニックスとともにエースとメビウスは飛び立った。

「ショワッチ!」

「ショワッ!」

 光の中を、三つの光が帰っていく。

 一つの戦いが終わり、アルビオン大陸に平和が戻った。

 しかし、物語はまだ終わらない。

 

「エース兄さん!」

「え?」

「へ?」

 

 そう、まだ終わりはしないのだ。

 

 

 続く

 

 

 

 

 

 

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