ウルトラ5番目の使い魔   作:エマーソン

73 / 338
第73話  反撃開始! 二人のウルトラマン

 第73話

 反撃開始! 二人のウルトラマン

 

 円盤生物 ノーバ

 高次元捕食体 ボガール

 ウルトラマンジャスティス 登場!

 

 

 ヤプールの悪辣な罠にかかって、円盤生物ノーバと高次元捕食体ボガールの挟み撃ちによって、絶体絶命の危機に陥ったウルトラマンA。

 しかし、もはやこれまでかと思われたそのとき、ノーバの作り出した赤い雨の黒雲を打ち破り、一閃の光がボガールを撃ってエースを救った。

 そして、黒雲を消し去った光芒の中から姿を現した赤い巨人。それは、かつて超獣サボテンダー、さらにレッサーボガールを倒した、この世界の宇宙を守る戦士。

「グ……キサマハ……」

 ボガールは、以前自分の手下を全滅させ、自らにも手傷を負わせた仇敵の姿を見て憎憎しげにつぶやいた。しかし、邪悪な者たちにとっては憎らしいものにしか感じられないだろうが、心ある人間たちにとっては光と希望の象徴と見えた。

「あれはまさか、ティファニアの言っていた」

「もう一人の、ウルトラマン!」

 輝きを取り戻した太陽の下を飛ぶシルフィードの上で、キュルケやロングビルの驚愕と歓喜のまざった歓声が、空へと吸い込まれていく。

 今こそ、全世界の命運をかけた戦いは新たなラウンドを迎えたのだ!

 

「デュワッ!」

 エースの危機を救ったウルトラマンジャスティスは、右腕を前に突き出すファイティングポーズをとって、思いもよらない敵の出現に動揺するノーバとボガールを威圧する。

「ハァッ!」

 構えを解き、ジャスティスは二匹の怪獣をめがけて走り出す。当然、二匹は向かってくる敵を迎え撃とうとしたが、ジャスティスが地を蹴ったと二匹がその目で認識した瞬間には、ジャスティスは一瞬にしてマッハ3.5の最高地上走行速度にまで加速し、その姿はすでにボガールの正面にまで達していた。

「速い!」

 距離にしたら一千メイルはあろうかという距離を、常人ならば瞬間移動したかのようにさえ思ったであろう速度で駆け抜けたジャスティスの俊足には、『雪風』の異名をとるタバサでさえ驚嘆するしかなかった。だが驚いている暇もなく、ジャスティスの攻撃はさらに突風のように二匹に襲い掛かる。

「デヤァッ!」

 ジャスティスのハイキックがボガールの顔面を打ち、無防備だった鼻っ柱に強烈な一撃を食らったボガールはたまらずに、よろめきながらあおむけに転ばされる。ついでノーバには左ストレートを打ち込んでひるませた後、その頭をドッジボールの玉のように掴んで、ボガールに向かって投げつけた。

「ダァァッ!」

 起き上がろうとしていたボガールにノーバが頭から突っ込んで、両者は鞭やマントを絡ませてもんどりうった。

「すごい……」

 新たなウルトラマンの力も、エースに勝るとも劣らないすさまじさに、誰もが呆然として見とれた。

 けれど、ジャスティスは絡み合ってなかなか起き上がれないでいるボガールとノーバに追撃をかけようとはしなかった。くるりと振り向くと、力を使い果たし、ひざを突いてカラータイマーの点滅を消えかけさせているエースに歩み寄っていく。そして自らもエースのかたわらに片ひざをついて、無言でエースの右手をとると、エネルギーを光の粒子に変えてエースへと送り込んでいった。

『ジャスティスアビリティ』

(これは……エネルギーが、回復している)

 巨大化状態すら維持できなくなりかけていたエースのカラータイマーが青に戻り、同化の影響で疲労感が溜まっていた才人とルイズも楽になってくる。

「あなたは?」

 力を取り戻したエースは、無言で見守っているジャスティスに問いかけたが、ジャスティスは立ち上がると、構えを取り直して冷静にエースに告げた。

「話は後だ」

「……!」

 見ると、転ばされてもつれ合っていたボガールとノーバがようやく起き上がって、再びこちらへと叫び声をあげてきている。二匹とも、まだまだ余力があると見え、むしろ表情を持たないノーバさえ怒りに燃えているという風に鞭と鎌を高々と掲げて、口からは凶暴化ガスを漏らしている。

 だが、邪悪に対する怒りならばウルトラマンは負けない。

 

「デヤァッ!」

「デュワァッ!」

 

 並んで同時に構えをとったエースとジャスティスは、真正面から二大怪獣を迎え撃つ。

「よっしゃあ、これで二対二よ。いっけぇー!」

 キュルケの叫びがゴングとなったかのように、戦いの最終ラウンドの幕は切って落とされた!

「トォーッ!」

「ドァァッ!」

 エースが空中に飛んでノーバを蹴りつけ、ジャスティスは捕食器官を全開にして飛び掛ってくるボガールを受け止めると、圧倒的なパワーで地面に叩き付ける!

 対して、まさかこの場にレッサーボガール戦以降、ずっと未確認の存在であったウルトラマンジャスティスが乱入してくるとは計算していなかったヤプールは。

「うぬぬ……なにをしている! 二人まとめて早くやっつけてしまえぇー!」

 と、焦って叫ぶが、それこそこれ以上策がないことをエースたちに露呈してしまうだけの結果となった。確かに、エース一人だけを対象にしたならば、二十万人の人間を人質同然にしてエースに連戦を強いて消耗させて倒すヤプールの作戦は完璧といえた。ただしそれも他のウルトラマンの救援という事態までは盛り込まれておらず、ナックル星人やババルウ星人、ギロン人やリフレクト星人なども勝利寸前で大逆転を許している。唯一それを計算に入れて勝利できたのはヒッポリト星人くらいだ。

 二人のウルトラマンの攻撃を受けて、ダメージを受けた二匹はなおも持ち前の凶暴性を発揮して逆襲に転じようとする。しかし、それも無駄だった。

 ボガールはエースに向かって波動弾を放つが、エースは体の前で腕を回転させて作り上げたバリアで身を守る。

『サークルバリア』

 全弾を跳ね返されて、腕を震わせて悔しがるボガールの隣から、ノーバはもう一度円盤形態になって、高速回転しながらジャスティスに体当たりをかまそうと突進しても。

「ヌゥンッ!!」

 なんとジャスティスは突撃してきたノーバのマントのすそを真正面からがっちりと受け止めると、そのまま九万トンの握力を込めて回転を無理矢理に止めてしまった。そしてたまらず円盤形態を解除したノーバを、まるでハンマー投げのひも付き鉄球を振り回すように両腕ですそを掴んだままぶん回し、さらにそのままパワーに任せて勢いよく地面に何度もノーバの頭を叩き付けたのである! 

 もちろん、エースも受けてばかりではなく、さっきまでのお礼とばかりに腕を胸の前でクロスさせ、左右に勢いよく開くと同時にカラータイマーから虹色の光線を発射した!

『タイマーショット!』

 かつて超獣スフィンクスを粉々に粉砕した必殺光線が炸裂し、ボガールは吹き飛びこそしなかったものの、大爆発によろめいて、体の前半分を黒焦げにしてひざをついた。

 もはや、形勢は完全に逆転し、シルフィードから見守る面々の顔も一様に明るく強くほころんでいる。

「やったやったやったぁー! 見たか悪党どもー! あっはっはっはっ!」

「キュルケ……テンション上がりすぎ……」

「隊長、勝てます、勝てますよこれは!」

「ああ、もう大丈夫だ。よぅし、そのまま逃がさぬように一気にたたみかけろ」

「な、なんだか展開についていけなくなってるんですけど……とりあえずがんばれー!」

「きゅーい!」

 そうだ、ジャスティスと、完全回復したエースがタッグを組んだ以上、ボガールとノーバといえどももはや敵ではない。

 ジャスティスは連続して叩き付けた末にぼろきれのようになったノーバをボガールに向かって投げつけると、エースのそばへとジャンプして降り立った。そしてエースと目を合わせてうなずきあって、ボロボロになった二匹へ向かい、同時にとどめの一撃の体勢に入った。

「ヌゥゥゥ……」

 両腕を上げたジャスティスの眼前にエネルギーが集中し、エースは体を大きく左にひねる。もうボガールとノーバには回避するだけの余裕はない。

 

 とどめだ!

 

 ノーバは鞭と鎌をだらりと垂れ下がらせ、ボガールに向かって寄りかかるように倒れこんでいる。そこへ、二人はありったけの力を込めた一撃を放った!

 

『ビクトリューム光線!!』

『メタリウム光線!!』

 

 金色の光と三原色の美しい輝きが重なり合い、光の奔流となって二匹の怪獣へと突進し、一瞬のうちに光芒の中へと飲み込み、大爆発を引き起こして消し去った!

 

「やった……勝ったぁ!」

 黒煙が吹き上げて、火の粉が空中ですすに変わりながら消えていく中に、二匹の姿はどこにもなく、見守っていた者たちの中から歓声があがった。さらに、見るとノーバのガスにやられていた人々も、その効力が切れたらしく、凶暴化していた人々は糸が切れたように倒れこんでいる。過去の例から見て、おそらくは無事であるだろう。

 エースとジャスティスは、少なくともこの場でのヤプールの計画は完全に崩壊したことを確認すると、互いに目を合わせて、わずかにテレパシーで語り合った。

(あなたは……?)

(ジャスティス……)

(あなたも、ウルトラマンなのか?)

(そうだ、お前こそ何者だ? この星に逃げ込んだスコーピスの一体を倒したのもお前だな)

(スコーピス、あの砂漠化を進めていた宇宙怪獣か。私の名はウルトラマンA……何者かと問われれば、話は長くなるが)

(いいだろう、お前も私に聞きたいことはあるだろうからな)

 両者はそれぞれ話したいことが山ほどあった。だがこのままウルトラマンの姿のままでここに居続けると、それだけでエネルギーを消費してしまうので、同時に空を見上げて飛び立った。

「ショワッ!」

「ショワッチ!」

 二人のウルトラマンは、悲劇的な茶番劇の舞台となった戦場を後にする。シルフィードの背に乗る、たった五人の目撃者となった少女たちに見送られて、はるかな上空へと飛び去っていった。

 

 そして数分後、エースとジャスティスの姿は、アルビオン上空高度千五百キロの衛星軌道上にあって、ハルケギニアを見下ろしていた。

(アルビオンが、あんなに小さい)

 ルイズが、高高度からパンケーキのように小さく見えるアルビオンを眺めてつぶやいた。彼女にとって、宇宙からこの星を眺めるのは二度目になるが、やはり宇宙からの眺めというものは、地球は青かったと言ったガガーリンのようにちっぽけな人間を圧倒するものがある。

 が、今はこの青い星の上に立つようにして眼前に浮いている赤い巨人と会話するほうが重要である。 

「ここでなら、気兼ねなく話せるだろう」

 ジャスティスは、自分には地球型の惑星内での時間制限は特にないが、エースはハルケギニアのような星で活動するときはエネルギーを大量に消耗するであろうことを、今の戦いから見抜いていた。その問題のなくなる場所まで彼をいざなったのだ。

 エースも、星の影響圏を突破して、変身の時間制限がなくなったことで、話をするだけの時間が充分にとれたことを、自分の体の状態を確認してうなずき、ジャスティスに向かって静かに答えた。

「ああ……ジャスティス……いや、先に助けてくれたことを感謝する」

 エースは、ジャスティスに向かって一礼した。通じるかはわからないが、ウルトラマンとしてより、北斗星司としての人格が彼にそうさせた。ルイズと才人は、二人のウルトラマンの会話を、じっと息を呑んで見守る。

「礼を言う必要はない。私は、奴を追ってきただけだ」

「奴……ボガールのことか? なぜ、奴を追っているのだ」

「ボガール……それが、奴の名か? 奴は危険だ、放っておけば、奴はこの惑星の生態系に甚大な被害を与えるばかりか、やがては全宇宙規模で同じことを繰り返すだろう」

 そのジャスティスの洞察は、ボガールの習性を完全に的中させていた。ボガールはいわばイナゴの大発生にも似た生物災害で、しかも数段悪質で規模が極めて大きい。

 それは、かつてジャスティス自身が戦った異形生命体サンドロスともつながる己の繁栄だけを欲する、宇宙の調和を乱すものに他ならない。その根を絶つために数ヶ月前から奴を追っていることを、ジャスティスはエースに告げて、今度はエースにお前はどこから来て、この星で何者が暗躍しているのかを尋ねた。

「私は、この宇宙とは別の次元にある宇宙の、M78星雲の宇宙警備隊に所属しているウルトラマンの一人だ」

 エースは、難しいことだと思いながらも、ジャスティスに一つずつ事情を説明し始めた。

 自分は、この世界とは異なる宇宙から、ルイズの召喚魔法で呼ばれたこと。ヤプールと名乗る異次元空間に潜む悪意の塊のような侵略者がいることと、その配下の超獣や宇宙人たちなど。ジャスティスはそれらをじっと聞いていたが、やがてなるほどというふうにうなずいた。

「そうか、この星で起きている異変は、ただの別惑星からの干渉にしては妙だと思っていたが、別次元からの攻撃だったとはな」

「信用するのか?」

「異次元、平行宇宙からの侵略はありえないことではない」

 軽く言ってのけたジャスティスの言うとおり、こちらの世界でもジャスティスが関わったものではなくとも、異次元人が他の惑星の侵略を企てた例はある。

「それに、悪いがさっきの戦いは離れた場所から見させてもらっていた。お前が本当にウルトラマンなのか、確かめたくてな」

「どういうことだ?」

「お前の世界には、ウルトラマンは大勢いるようだが、この世界には私を含めてもウルトラマンは二人しかいない」

「二人!? 君以外にも、この世界にはウルトラマンがいるのか?」

 エースや才人は、ウルトラマンが二人しかいないというジャスティスの言葉に、やはりここは別の宇宙なのだということを実感したが、同時にこの世界にもウルトラマンはいるのだと知って喜びを覚えた。けれど、ジャスティスは宇宙のかなたを望んでつぶやいた。

「だが、今はどこの宇宙を飛んでいるのか、私にも見当はつかん」

 そう言われて、エースと才人は落胆したものの、ジャスティスがこの星にやってきたのも、スコーピスがたまたまこちらにやってきたのを追撃してきたからでしかない。広い宇宙での偶然の確率を考えると、ジャスティスだけでもいてくれたことは非常な幸運だったのだ。 

 けれどそこで、経過を見守っていたルイズが、エースのテレパシーを借りてジャスティスに話しかけた。

(だけど、ずっと見ていたのなら、なんでアルビオン軍が衝突しようとしているのを黙っていたのよ)

「この星の人間か……悪いが、そちらの世界ではともかく、我々ウルトラマンは宇宙全体の調和と秩序を守ることを使命としている。異種生命体の侵略攻撃ならばまだしも、同族同士のなわばり争いに干渉する責任はない」

(な、国と国の戦争を、動物の争いみたいに言わないでよ!)

「宇宙全体の視点から見れば、大差はない」

(……っ!)

 ジャスティスの切り捨てるような言い方に、ルイズは激発しかけたが、そこは才人がおさえた。

(ハルケギニアの人間の責任で起きた戦争を、ウルトラマンに解決してもらおうなんて、虫が良すぎるんじゃないのか?)

 ウルトラマンは個人としての人間一人一人を愛し、種族としての人類を守護しようとはするが、その活動単位である国には、なんらの干渉もしないのは、光の国のウルトラマンたちも一貫している。それは、全宇宙の平和を守るという大義のもとに絶対中立を必要とするためで、あくまで一方的な侵略行為は阻止するにしても、たとえばミステラー星とアテリア星や、ドロボン星の戦争などの同格の星間戦争には一切の干渉をおこなっていない。

 どうであれ、ハルケギニアの人間が起こした問題は、どれだけ痛みをともなおうが、その人間たちで解決せねばならない。厳しいようだが、それが責任というもので、責任を守れないような種族は宇宙のどこへ行っても信用されないだろう。

 もちろん、エースもそれは重々承知しており、怪獣、宇宙人の出現がなければ、仮にハルケギニア全土が戦火に包まれようとも変身を許すことはない。

「二人とも、過ぎた力を行使する者は、無力な者と同様に争いの火種となることを覚えておいてくれ。それでジャスティス、私はまだこの宇宙がどういうところなのか、この星以外ではほとんど知らないのだ」

 エースに問われて、ジャスティスはテレパシーでこの宇宙の概要をエースに伝えた。それによると、この星……仮にハルケギニア星と呼ぶ星は、エースのいた宇宙で地球のあった銀河系とほぼ同じ形をした渦状銀河の、地球のあるオリオン腕と呼ばれる場所から銀河系中心部をはさんで反対側にあるという。ほかにもマゼラン星雲、アンドロメダ星雲などもほぼ同じものが存在し、もちろんその中にある惑星や種族はほとんど別種の進化をたどった、聞いたこともないものばかりだが、宇宙地図的にはそっくりであって、ここが並行宇宙であることをあらためて納得した。

 だが、その中でも驚いたのは、この宇宙にも地球と呼ばれる星があったことであった。

「まさか……そこまで同じとは」

 もちろん、似てはいるけど並行世界の別物であるからGUYSもないし、日本はあるけど、様相はかなり異種であるらしいから、名前だけは同じのまったく違う星であることは間違いない。しかもハルケギニア星とは八万光年は離れているから影響も皆無だが、才人はもしかしたらその地球にも同じ平賀才人という人間がいて、別の人生を送っているかもしれないと、複雑な思いを抱いた。 

「むぅ……ありがとう、だいたいはわかった。それでジャスティス、君はこれからどうするのだ? 私は、彼らといっしょにヤプールの侵略を阻止に向かうが」

「私は、ボガールを追う。ヤプールとやらも、宇宙の調和を乱す存在である以上、私の敵ではあるが、奴の貪欲さはそれにも増して危険だ」

(ちょ、ちょっと待て、ボガールはさっき倒したんじゃなかったのか!?)

 才人が慌てて、さっきの戦いで爆炎の中にノーバとともに消えたボガールが生きているのかと問いただすと、ジャスティスは不愉快そうに答えた。

「人間の視力では捉えられなかったのも無理はないが、奴は我々の攻撃が命中する直前に離脱に成功している。見てみろ」

 すると、エースとジャスティスの間の空間に、ホログラフで今の戦いの再現映像が映し出された。スローで再生される中で、瀕死のボガールがメタリウム光線とビクトリューム光線の直撃寸前に、捕食器官でノーバを飲み込んですぐに背中から皮を残して脱皮し、異次元に逃走する様子が再現された。この間、わずか0.1秒以下。

(くそっ、なんてしぶとい奴なんだ!)

 才人がじだんだを踏みそうな勢いで吐き捨てた。あのとき爆発したのは、ボガールの残した抜け殻に過ぎなかったというわけだ。なんという逃げ足の速さ、さらに脱皮したということは、ボガール自身もパワーアップしているに違いない。

 ホログラフを消すと、ジャスティスはボガールがここ数ヶ月のあいだに、アルビオンに現住するものから宇宙怪獣までもあちこちで捕食していたことを告げて、最後に言った。

「ただし、脱皮したとはいっても奴がパワーアップした自分自身に慣れるまでには時間があるだろう。また、かっこうの餌場であるこの星を簡単に離れるとも思えないが、奴は今でもヤプールの命令に服従してはいない様子であったから、いずれこの星を離れて別の星を荒らしにまわることは間違いない。そうなってしまえば、再び捕捉するのは困難だ」

 ジャスティスは、ボガールが第二のサンドロスとなる可能性を考え、まだ不完全なうちにこの星で殲滅しようと決意していた。

 エースは、ジャスティスが行動を別にすると言ったことに、少々の残念を覚えたのは確かだった。しかしボガールも宇宙全体にとって脅威となる生命体であることには変わりなく、ヤプールと戦っているうちにボガールに漁夫の利を占められることは避けたかったので、そのままうなずいた。

「わかった。ボガールは怪獣を食うたびにパワーを上げていく。注意してくれ」

「言われるまでもない。そういえば、アルビオンという国を旅しているうちに聞いたことだが、レコン・キスタとやらは首都防衛のためと称して、大量の空軍戦力を首都近辺に温存しているそうだ」

「空軍戦力? しかし、そんなものがあるならなぜ今の戦いに投入しなかったのだ?」

 アルビオンを含めてハルケギニアの空軍戦力は幻獣を除けば、飛行する帆船による空中艦隊で、それで頭を抑えられれば陸上兵力はひとたまりもないはずである。クロムウェルがヤプールの傀儡としても、その他の軍人が納得するとは思えなかった。

「風石の採掘場が王党派陣営に抑えられ、長くは飛べないからと理由付けられてはいたが本当のところは知らん。だが、ヤプールが人間を利用する作戦を好んでいる以上、何らかの関係はあると思うがな」

「なるほど、ありがとう」

 あのヤプールが一度作戦を失敗させたからといって、おいそれとあきらめるとは思えない。だが、次になにかを起こすであろう場所が特定できるのなら、対策も打ちやすい。

(これで、目的地は決まったな)

(アルビオン首都、ロンディニウム……)

 そこでの計画さえつぶせば、さしものヤプールとて打つ手は残していないだろう。まだ未知の怪獣、超獣、宇宙人が待ち構えているのに違いないが、アルビオンが平和を取り戻せば、ヤプールの力の源であるマイナスエネルギーも減少する。

「では、私は行くぞ。ボガールに、これ以上時間を与えるわけにはいかん」

 ジャスティスは振り返り、眼下に見下ろすアルビオンへと戻ろうとする。が、その前にエースが引きとめた。

「ジャスティス……また共に、戦ってくれるか?」

「……我々は、ウルトラマンだからな」

 そう言い残すと、ジャスティスはまだアルビオンのどこかで怪獣を狙っているであろうボガールを仕留めるために飛び立ち、エースもまた才人とルイズの仲間たちの待つ元へと飛んでいった。

 

 

 戦いが終わった後、赤い雨が上がって静けさを取り戻した草原は、戦いに参加していたキュルケたち以外は貴族から平民まで総勢二十万人が洗脳が解けた後遺症で、死屍累々と気絶した姿をさらす壮絶な風景となっていた。

 そんな無残な光景を、キュルケたちはシルフィードを少し離れた場所に着陸させて、濡れた服をはたきながら眺めていたが、やがてロングビルが憮然としたようにつぶやいた。

「とてもほんの一時間前に、精悍な姿を見せていた軍隊とは思えませんわね」

 眼鏡をくいと右手で持ち上げながら言う彼女の言葉の内には、何年か前まで自分と自分の一族が誇りを持って仕えていた国家が、その当時想像もできなかった惨めな姿を目の前にさらしていることへの、悲哀がにじみ出ていた。

 つわものどもが夢の後。地球の古い歌人が残した一文にこんなものがある。どんなに権勢をふるって栄えようとも、後世の歴史から見れば一時の夢に過ぎない。しかも、これはなにもアルビオンに限ったことではなく、条件が揃っていればヤプールがターゲットにしたのはトリステインやゲルマニアなど、アニエスやキュルケたちの故郷であったかもしれず、他人事とは思えないキュルケは、目の前の人々をゲルマニアの人々に重ねてため息をついた。

「人間も国も、滅ぶときはあっという間なのね」

「いや、悪いがまだ滅びてもらっては困る」

 アニエスが、キュルケの言葉をさえぎって発した言葉に、一同は注目した。

 彼女によると、このままではヤプールに勝てるうんぬん以前にアルビオンが無政府状態になるのは避けがたく、そうなればトリステインなどの他国が調停に乗り出すことになる。だがそうなれば権益などをめぐって争いが起こることは当たり前で、やっと各国につながり始めた対怪獣防衛網が瓦解してしまうことになりかねない。レコン・キスタは論外であるから、ここはなんとしてでも王党派にアルビオンを再掌握してもらわねばならないのだと。

 が、そのことは皆にもわかったが、実際王党派はこのありさまで、中核となるウェールズが洗脳が解けたとはいっても、操られていたときのようなカリスマ性は望み得るまい。

「まるで、死人の目を覚まさせるような難題ですわね」

「だが、やってもらわねばハルケギニア中がこの騒動のとばっちりを受けてしまうことになる。まったく、気が重いわ……」

 大きく息を吐き出して、アニエスはアンリエッタ王女から受けた使命によって、ウェールズを助けなければならないことに、どうしてこう頼みもしない面倒な仕事ばかりが舞い込んでくるのかと、憂鬱になりかけたが、そこへシルフィードの上からミシェルが顔を出した。

「私がいますよ、隊長」

「ふっ、そうだったな。頼りにしているぞ」

 笑顔のはげましに、笑顔で応えたアニエスは、ミシェルの気遣いに感謝した。これからやるべきことは多く、今は無理でもミシェルや銃士隊全員の助力を必要とするときはすぐに来るだろう。

 だが、それらのことも、まだヤプールがレコン・キスタを掌握している以上、近いうちにまた何かを仕掛けてくるはずだ。それを撃破できなければすべて絵に描いたもちに等しい。

 アニエスはそこまで考えて、これからの行動の優先順位を決めようとしたときに、やっと待っていた二人組の声が聞こえてきた。

「おーい、おーい」

「待ってーっ、まだ行かないでーっ」

「……遅いぞ! さっさと来い」

 ぜいぜいと息を切らしながら才人とルイズがアニエスの怒鳴り声に迎えられながら走ってくる。それを見て、ミシェルが勝ち誇ったように、「な、無事だったろ」と言ったのには、キュルケやロングビル、ついでにタバサも、「ああ、やっぱりね」と、そのしぶとさに正直な感服さえ覚えていた。

「今回は、ずいぶん遅かったな」

「すみません、無事だった人を見つけたので、少し話を聞いていたので」

 才人は、ジャスティスから聞いた情報をうまく脚色して皆に説明した。皆は、この決戦を利用した作戦が失敗した後でも、レコン・キスタにかなりの戦力が残されているのに不安な様子が見て取れた。が、とりあえずそれは首都防衛のための固定戦力であるはずなので、ここにすぐ攻め込んでくる可能性は低いと思われる。ただし、たかが帆走戦艦の十隻や二十隻、ヤプールがその気になれば風石などなくても動かすことは簡単だ。

 アニエスは、それらの情報を総合して、今できる最善の方策を考えて披露した。

「とにかく、その残存した艦隊戦力が問題だな。それさえつぶしてしまえば、後は首都に残った兵力がせいぜい一万、その程度の数なら今回と同じ作戦は使えないだろう。残るは、有象無象の反乱貴族のみだ」

「ということは、首都に乗り込んで、アルビオン艦隊をつぶしてしまえば、もうヤプールにレコン・キスタを操る価値はなくなるってわけか」

「もしくは、ヤプールの傀儡となったクロムウェルを倒せば、あとは勝ち馬に乗ろうとして集まった雑魚ばかりだから、レコン・キスタは自壊するだろう。だが問題は、どちらも厳重に警護されている上に、トリステインからの増援を待つ時間はないから、我々だけで片をつけなければならんということだ」

 艦隊か、クロムウェルか、どちらかを倒せばヤプールの影をこの大陸から一掃できる。けれど、人数は少なく難易度は高い。

 けれど、皆が迷う中でルイズの決断は早かった。

「クロムウェルを倒しましょう。あいつを倒すか、ヤプールの傀儡であったことを暴露すれば、レコン・キスタそのものが消滅するわ」

「だが、艦隊を残しておけば、それをヤプールが別に利用しようと考えるかもしれないぞ」

「その危険性があるのは、トリステインやガリアの艦隊も同じことでしょう。それに、艦隊をつぶすなら焼き払うしかないけど、そうしたら多くの犠牲者が出てしまうわ」

 確かに、言われてみればそのとおりで、人的被害を見てみれば、クロムウェル一人を倒せばすむのに対して、艦隊は乗組員を巻き込んでしまう。ルイズの口から人命尊重の言葉が出たことは少々驚きだが、彼女もより広い視界で見渡す目が、少しずつ養われていると思うと才人は誇らしくもなった。

「ようし、じゃあこれからロンディニウムに乗り込んで、クロムウェルとかいうおっさんをぶっ飛ばすか」

 これで今後の方針は決まった。

 やることが決まれば、思考回路が明確にできている才人などは切り替えが早かった。相手が人間ならともかく、超獣か宇宙人が化けているのだとしたら容赦する必要はない。

 けれど、意気の上がる彼らの意表をつくような言葉がアニエスから発せられた。

「残念だが、私はここに残る」

「え? なんで」

「もうじき、ここの人間たちが目を覚ましたらパニックが起こる。そうさせないためにも、ウェールズにはさっさと目を覚ましてもらって、向こうで倒れているレコン・キスタの兵もまとめて全軍を撤退させなくてはならんからな」

「確かに、ですができるんですかそんなこと」

「張り倒してでも目を覚ましてやってもらうさ。それに私にはトリステイン特使としての立場と、アンリエッタ王女直筆の書簡がある。ウェールズ皇太子と姫様は昔から親友だったと聞くから、あとはまあなんとかやってみるさ」

 まぁ、アニエスさんの強引さにかかったら、大抵のごり押しは通るだろうなと、口に出しはしなかったが、才人はなんとかうまくいくのではないかと思った。もっとも、鬼より怖いアニエスに、ウェールズが女性にトラウマを持たねばよいのであるが、とても軟弱な取り巻きの貴族どもには止められはするまい。

 ともあれ、時間がないのでアニエスは他にやるべきことを順次説明していった。

「ミス・ロングビルは、すまないがいったんトリステインに戻って、ここであったことを王女殿下に報告してもらいたい」

「それは、別に構いませんが、ここから王城までは二日はかかりますわよ」

「それは大丈夫だ。今頃トリステイン軍は、ラ・ロシュール近辺に前線を敷いているだろうから、姫様もそこにいるはずだ。それに、今はアルビオンがトリステインに再接近する時期、急げば一夜で着けるだろう」

「わかりました。その代わりといってはなんですが、わたくしの故郷がこれ以上荒れないように、しっかり頼みますわね」

「心得た」

 アニエスは強くうなずくと、手持ちの紙に即席で紹介状と、種種の報告内容を書いてロングビルに手渡した。ロングビルとしては、本当はすぐにティファニアのところに戻って無事を確かめたかったのだが、事態がアルビオンはおろかハルケギニア全体の命運にかかってくるとなると有無を言ってはいられなかった。

 そして、アニエスは最期に、才人、ルイズ、キュルケ、タバサ、ミシェルを見渡して頭を下げた。

「すまん、お前たちには一番危険な仕事をしてもらわねばならん」

 そう、残ったこの五人のみが、今ロンディニウムへ向かって、ヤプールの陰謀を砕くことができる唯一の希望であった。だが、そのために、軍人でもない少年少女たちを敵の本拠地に乗り込めと言うのは、死ねと言っているにも等しいので、ほかに選択肢がないとはいえ、良心に痛みを覚えずにはいられなかった。

 けれど、彼らには迷いは最初からなかった。

「別に、最初からそのつもりでしたから問題ないですよ」

「そうよ、それに最初に喧嘩を売ってきたのは向こうなんだから、買ってやらなきゃヴァリエールの名が廃るわ」

 才人とルイズに続いて、今度はキュルケとタバサも。

「ま、ここで食い止めなきゃ、ゲルマニアのわたしの故郷も戦火に巻き込まれちゃうし、第一、ヴァリエールに背を向けるなんて、ご先祖に顔向けできないわ」

「付き合いだし」

 二人とも、乗りかかった船から下りる気はないようであった。

 最後に、ミシェルに目を向けたアニエスは静かに問いかけた。

「お前はどうする?」

「私は、サイトが行くのならどこへでも」

「本陣では、お前はすでに裏切り者として手配されているはずだ。生きて帰れないかもしれんぞ」

「私がいなければ、レコン・キスタ内部のことはどうにもならないでしょう? それに、私はもう死にはしません」

「わかった。サイト、ミシェルを頼んだぞ」

「はい!」

 強く返事をした才人に満足したアニエスは、ミシェルの同行を許可した。本来なら、まだ立つことすらままならないミシェルが同行するのは危険極まりないが、なんとなく才人たちならば立派に守り抜いてくれると思えていた。

 ちなみに、レコン・キスタ本陣でミシェルが裏切ると思っている者はこの中にいない。それが、信頼というものであった。

 

 そして、善は急げとばかりに、各々はすぐに行動に移すことになった。

「では、武運を祈る」

「無茶はしないでね、生徒の戦死報告なんてつまらない事務を、私の仕事に入れないでほしいからね」

 アニエスとロングビルを見送り、シルフィードは五人を乗せて、アルビオンの首都ロンディニウムへ向けて飛び立った。

 

 

 アルビオンから発した波紋は、たちまちのうちにハルケギニア全体を飲み込み、加速度を増して歴史の津波の下に乗り遅れた者を押し流そうとしている。平和か、大乱か、いずれになるにしても、この数日中に決着がつくであろうことは間違いなかった。

 だが、大半の兵力を失ったとはいえ、反乱軍という看板を背負うレコン・キスタの貴族たちには降伏という選択肢はありえず、文字通り死に物狂いになって最後の抵抗を試みるであろうし、そんな余裕をなくした彼らを、ヤプールは嬉々として捨て駒に使うだろう。

 もちろん、兵力に劣るレコン・キスタがどうしたところで勝利者となることはないであろうが、混乱と戦火の種を残すことはできる。ジャスティスとある程度似た意味で、異次元人であるヤプールにとって人間の国家などというものはどうでもいいものだった。

 その証拠に、ヤプールは今回、戦争を利用してハルケギニア壊滅を画策したわけだが、これまでに、人間を操れば簡単であろうに、戦争を作り出そうとしたことは地球の頃から一度もない。それは、ヤプールを含む大多数の宇宙人にとって、一つの星は一つの星人が所有しているのが当たり前なのに、別の種族ならばともかく、同種族のあいだで星の中に狭い枠組みを無数に作って争いをするなどとは、到底理解できない狭隘な思考だからだ。

 奴の目的は、今も昔も全ての人間を絶望に染めた上で滅ぼすこと。アルビオンは、たまたまその目的のための道具として適当だったので選ばれたにすぎない。 

 ヤプールは、どんな心の隙にも忍び込み、どんなものでも利用する。それに対抗するには強い心を持つしかないが、これまでハルケギニアの外からの攻撃にさらされたことの無い、この世界の人々にとって、外惑星からの悪意に満ちた攻撃に対抗するには、あまりにも経験が不足していた。

 

 しかし、心あるものがいる限り、運命はその方向をどうとでも変える。

 

 アルビオンで才人たちと別れたロングビルは、スカボロー港まで王党派から拝借した上等な馬をぶっとおしで走らせ、アニエスからもらった資金で竜を借り切ってラ・ロシェールまで直行し、半日でトリステインに戻ることに成功した。

 

 この時期、トリステイン軍はアニエスの言ったとおりに、トリステインに最接近するアルビオン大陸を眼前に見る、港町ラ・ロシェール近郊の、タルブ村郊外に再建なったその主力を結集させつつあった。

 現在の総兵力は一万五千。最盛期にはおよばないものの、港には空軍も艦隊の出動準備を整えて、陣頭指揮をとるべくやってきたアンリエッタ王女の命令を待っている。

 その本陣へ、夜明けとともにラ・ロシェールから魔法学院の教師で、銃士隊隊長アニエスの使いと名乗る女性が駆け込んできたとき、アンリエッタはわずか三分で身なりを整えて、仮司令部のテントにやってきた。

「ロングビルさん、でしたわね。オスマン学院長の秘書さんの」

「はい、学院では殿下にお目にかかっております。ご記憶いただけて光栄ですが、ことは急を要しますので、ご無礼をお許しください」

 ロングビルはアンリエッタに対して、礼節を正しく守って拝礼した。彼女にとって、元々こういう作法は貴族であったころに教え込まれて慣れたものだったので、その気品漂う姿はアンリエッタの心象をよくした。

 だが、ロングビルの口から、昨日アルビオンで起こった決戦の始終が余すことなく伝え聞かされると、白磁のような姫の肌から、さらに血の気が引いて死滅した珊瑚のようになっていった。

「王党派が……壊滅……ウェールズさまも、意識不明」

 よろめいて椅子に崩れ落ちたアンリエッタを責めるのは酷であろう。ワルドによる暗殺の計画を阻止するためにアニエスを向かわせたとはいえ、これまで王党派が有利とばかり聞かされていたのに、それが一夜にしてひっくり返されたのだからショックを受けるなというほうが無理である。

 それでも、アンリエッタはウェールズの命には別状がないことと、アニエスが彼の元へ向かって王党派の瓦解を防いでくれているであろうことを聞かされると、大きく深呼吸をして気を落ち着かせた。そして瞳に強い意志を宿らせて見開き、猛々しくも音楽性を感じさせる声で軍政の腹心であるマザリーニを呼びつけて、あいさつもそこそこに命令を下した。

「すぐに可能な限りの兵力をアルビオンに上げる準備をしなさい。出立は六時間後、正午をもって艦隊を出港させます!」

 

 

 続く

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。