ウルトラ5番目の使い魔   作:エマーソン

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第63話  短い夏の日の終わり (前編)

 第63話

 短い夏の日の終わり (前編)

 

 冷凍怪人 ブラック星人

 雪女怪獣 スノーゴン 登場!

 

 

 アルビオン大陸、ウェストウッド村はまだまだ夏日が続いていた。セミの鳴き声が間断なく鳴り響き、外に干した洗濯物は一時間ほどで乾いてしまう。ときたまやってくる夕立さえなければ、遊ぶにはこれ以上ないというくらいに、太陽は下を通るものを真っ黒にしてやろうという日だった。

 

 ……なのだが、残念なことに今日この日に生気溢れる若者たちがやっていたのは、好意的に見ても、『青春の無駄遣い』という行為であった。

 

「ぐー、ぐー」

 木漏れ日の差し込む森の中に、才人の気持ちよさそうないびきが流れていた。彼の体は、木と木の間に張られたハンモックに抱かれて、そよ風を受けながらゆらゆらと揺れている。

 また、周囲を見渡せばこれはまた。

「すー、すー」

「むにゃむにゃ……」

 ルイズやキュルケがこれだけ見れば可愛らしい寝顔ですやすやと昼寝をしていた。そのまた隣では、タバサがハンモックに横になりながら読書にいそしんでいた姿勢のまま眠っている。他の木々の間にもたくさんのハンモックが吊るされていて、アイやエマら子供たちがぐっすりと眠っており、そのまた奥にはシルフィードが何人かの子供たちの枕になりながら鼻堤燈を作っている。

 

「まったく、いい若いのがのんきなものね」

「しょうがないわよマチルダ姉さん。みんな疲れてるんだもの」

 そうして惰眠をむさぼる一団の姿を、マチルダことロングビルとティファニアが、森の中に設置した簡易テーブルで紅茶を飲みながら見守っていた。

 このウェストウッド村にやってきて、早今日で五日目になる。それまで彼らはティファニアやこの村の子供たちといっしょに、初日のバーベキューをはじめとして、キャンプ、釣り、子供たちを山へ連れて行っての昆虫採集、少々危険だったが近隣の村の夏祭りに参加して盆踊りに似た踊りを踊ってきたりなどなど、夏休みにすることを駆け足でしてきた。ただし、その反動で思いっきり遊び疲れてしまい、今日は何も予定を立てずに一日中村でのんびり過ごすことにしていた。

「なーんにもすることがないってのが、一番幸せだよなあ」

 才人いわく、クーラーの利いた涼しい部屋で一日中ゴロゴロしているのが夏休みの最高のぜいたくだという。思いっきり怠け者の意見だが、彼はこの持論を後悔したことは一度もない。たとえ、夏休みの宿題が三十一日になって終わってなくてもである。見上げた信念というべきか。

 とはいえ、寝る子は育つともいうように、若いうちは大人よりも多くの睡眠が必要なのでもある。実に幸せそうに森のそよ風を受けて、よだれを垂らしながら寝ている一同の寝顔を眺めながら、ティファニアはこの騒々しくも楽しい日々を運んできてくれた者たちと出会えてよかったと思っていた。

「けど、この楽しい日も、あと半分なのね」

 だが、心の中に吹き始めた隙間風を彼女は感じ始めてもいた。ルイズたちは当然ながらずっとここにいられるわけではない。滞在期間の十日中、もう半分が過ぎてしまっている。けれど、それを見越していたかのようにロングビルが語りかけた。

「どうテファ、外に出てみようとは思わない?」

「え?」

「この森で過ごすようになって、もう四年経つわね。あの事件のことも風化し、もう人々の口に上ることも少なくなったし、国は今真っ二つに分かれて内戦の真っ最中。どちらが勝っても四年も前の小さな事件のことなんて思い出しもしなくなるでしょう。つまり、エルフであることさえバレなければ、ここに留まり続ける必要もなくなるということよ」

 実は、ロングビルがルイズたちをまとめてここにつれてきた理由の一つが、ティファニアに旅立ちの意思を芽生えさせることであった。どのみち、一生ここにい続けるわけにはいかないし、子供たちが子供たちとして育てられるのも精々あと数年である。ただ、四年間ずっと隠遁生活を続けてきたティファニアにはやはり外の世界は興味と同時に、不安と恐怖の対象でもあった。

「でも、やっぱり……」

「もちろん今すぐにとは言わないわ。けれど、あなたももう一六歳だし、そろそろ外に出てもいいころよ。エルフであることは何か対策を考えなくちゃいけないけど、世の中ってのもそんなに捨てたものじゃないからね」

 そう言ってルイズや才人たちを見つめるロングビルの目は穏やかだった。彼女も、ほんの半年にもならない前には世間というものに絶望し、盗賊として手を汚して金銭を得ていたのだが、本物の悪というものに飲み込まれかけたときに助けてくれたのは、その憎しみの対象になっていたものに属する者たちだった。

「もちろん、中には救いようのない人間のクズもいっぱいいるわ。けどまあ、そういうののあしらい方を覚えるのも経験だし……第一あなた自身はどうなの? このままここにいたい?」

「わたしは……ただぼんやりと、災いのない場所でひっそりと暮らしたいと思ってた。けれど、きっとそれだけじゃだめなのもなんとなく思ってた。お母さんが何のためにこの国まで来たのか、その答えはきっと東の果てのお母さんの故郷にあって、いつかはそこへ行きたい。そのためにも、世界を見てみたい」

 少し迷いを見せたものの、きっぱりとそう言ったティファニアを見て、ロングビルは頬の筋肉を緩めた。

「ちょっと見ない間に、大きくなったわねテファ、あなたがそんなことを言うようになるとは、正直思ってなかったわ」

「なんとなくだけどね。この村にいれるのも、あと少しなんだって漠然と感じるようになってきたの……伝え聞いた話では、世界のあちこちで怪物が現れて暴れてるって、だからわたしたちだけ辺境に隠れていても、それは安全じゃなくなってきてる」

「この村を襲ったっていう、怪獣のこと?」

 うなづいたティファニアを見て、ロングビルは考え込むしぐさを見せた。以前、超獣サボテンダーが現れて暴れたときのことは、村の裏手の森が壊滅しているのを見れば隠しようがなかったので、ティファニアはそのことを、自分たちは逃げ延びて、怪獣はその後どこかへ去ったということにしていたが、口下手な彼女はすぐに見破られてしまった。仕方なしにジュリと、それからウルトラマンジャスティスのことを話して、大変な衝撃を彼らに与えていた。なにせ、才人から見れば二人目の異世界のウルトラマン、しかも今回は同じ時間に共通して存在できているのだ。

「ジュリ姉さん、もう一日いてくれたら皆さんにご紹介できたんだけど」

「そうねえ、せっかくあなたたちを助けてもらったんだから、私もあいさつくらいはしておきたかったけど」

 ただし、ジュリは才人たちがやってくる前日にこの村に立ち寄ったが、その後また旅立ってしまっており、また戻ってくるのはいつになるかわからないというのが彼らを落胆させた。探そうにも、アルビオンと一口に言っても九州、四国以上の広さがある。そうなると本当に一日違いで入れ違いになってしまったのが悔やまれた。だがそれでも、話を聞くに自分たちと敵対する存在ではないと確信することはでき、もしかしたらどこかで会えるかもと希望を持つことにした。

「まあ、正直私以外に姉さんと呼ばれるやつがいるのには少々妬けるけど、それほどの人が見回ってくれてるならアルビオンも安心かもねえ……それにしても、ウルトラマンは人間になることもできるのか……いったい何者なんだろうねえ……」

 ウルトラマンの正体、それについてはハルケギニア全体の人間の疑問だろう。しかし、ジュリはティファニアに対して、ウルトラマンは宇宙の正義と秩序を守る者、とは言ったが、それ以上のことは宇宙の概念が根本から欠けているティファニアにはまったく理解できないものであった。しかし、ジュリの言葉をそのまま信じるとすれば、それはある一つの単語を連想させた。

「まるで、神様みたいよね」

「神様、ね」

 ロングビルは、ティファニアの率直な感想を受けて考え込んだ。人智を超えた力で正義と秩序を守る存在、それはまさしく神と呼んでもいいだろう。実際、地球でもウルトラマンは平和を守る神なのかもしれないと評されたこともある。

「けど、神がいるなら悪魔もいる。そして、神の力が必ずしも悪魔を上回るとは限らない。そのとき、人間はどうするべきなんだろうね」

「……」

 ティファニアは、はっきりと答えを出すことはできなかった。神と悪魔の戦いが、神話ではなく現実におこなわれているのが今の世界だ。そのとき、人間は傍観者としての立場でいられるのだろうか? その答えは、いずれ人間全体が出さねばならないだろう。

 また、アルビオンに来てから表面上は平和だが、ティファニアが行商人から得た情報では、地方では怪事件が頻発しており、どうもきなくさい匂いはしている。けれど、そんなことはトリステインでも同じであり、今のところはヤプールが何かをたくらんでいる確証はなかった。

「とにかく、このまま何事もないのが一番だけど、楽しめるときには楽しんでおかないとね」

「そうよね。皆さん、今日はゆっくり休んで、明日からまた遊びましょう」

 いくらヤプールがいつ襲ってくるかもしれないとはいえ、月月火水木金金などといった時代錯誤な愚劣なことは彼らは考えない。いくらやってもだめなものはだめ、野球部でレギュラーを目指しているとかいうならともかく、目標もなく焦っても徒労にしかならないし、勤勉などそもそも柄ではない。そうなれば焦ってもしょうがない、事件が起きたらそのときはそのときだと開き直って、夏休みをこれまで楽しんでいた。

 けれど、彼女たち二人も食事の時間まで昼寝の仲間に加わろうかと思ったとき、街道のほうから耳慣れない大きな声が響いてきた。

 

「失礼! この村の住人の方はおられないかね」

 

 ややしわがれた男の声に、二人は一瞬はっとしたが、すぐに気を取り直して顔を見合わせた。

「こりゃ、旅の商人あたりが営業に来たってところかな。どうするテファ? 無視しちゃおうか」

「そういうわけにもいかないでしょ、一応あいさつくらいはしておかなくちゃ」

「律儀なんだから。じゃあ私もでるわ、タチ悪いのだったら丁重にお帰り願わなくちゃならないからね」

 二人は仕方無げに席を立つと、声のした村の表のほうへと歩いていった。

 

 …………

 

 それからおよそ十分後、しんと静まり返った村の裏手で、いいかげん寝疲れた才人が目を覚ましていた。

「ふわぁーあ、よく寝た」

 普通なら、充分眠ったら疲れがとれるはずなのに、逆に体がだるいくらいだ。今はルイズを起こす必要もないし、今日のところは洗濯もする必要はなし、なまけることで疲れてしまうとは、これではなまけがいがない。しょうがないから起きることにしようと才人はハンモックから降りて、背伸びをするとデルフを掴みあげた。

「おはようデルフ、寝てる間になんかあったか?」

「はよさん相棒、よく寝てたぜ、もう目が覚めないんじゃないかと思うくらいな。だから、村はずっと何事もなしさ」

「ならいいや……ロングビルさんとテファの姿が見えねえが?」

「ああ、秘書の姉ちゃんとエルフの娘っこなら、村の入り口のほうにさっき行ってたな。商人かなんかが来たみたいだったが」

「そっか、じゃ、ま、顔洗うついでにあいさつしてくるかな」

 目をこすりながらそう言うと、才人はデルフを背中に背負い、まだよく眠っているルイズや子供たちを起こさないようにしながら歩いていった。

 

 だが、村の表口までやってきたときに才人の耳に入ってきたのは、予想もしていなかったティファニアの切羽詰った声だった。

「そんな! 横暴です!」

 とっさに彼は、これまで何度も修羅場を潜り抜けてきた経験から、背中のデルフを確認すると一目散に駆け出した。

「どうしたんだテファ?」

「あっ、サイトさん」

 村の入り口に着いてみると、そこではティファニアとロングビルが、鎧を着て槍を持ったいかつい十人ほどの一団と言い合いをしているところであった。才人は一瞬盗賊かと思ったが、身なりが整然としているところから見ると兵士らしい。また、指揮官と思われる男は派手でこそないが上質の生地を使った服を隙なく着こなし、悠然と立っているところから役人であると思われた。

「どうしたもこうしたもないよ。こいつら王党派の役人だそうだけど、近々おこなわれるレコン・キスタとの決戦のために税を納めろって言い出してきやがって」

 ロングビルが吐き捨てるように言うと、役人はにこやかな作り笑顔を浮かべた。

「別におかしなことではないでしょう。この国を我が物としようとたくらむ不逞な反乱軍を撃破し、秩序を回復するために協力するのはアルビオン国民として当然の責務です」

「だからって、五百エキューなんて大金がこの村にあるわけがないだろう!」

「ごっ、五百エキュー!?」

 ロングビルの言った金額を聞いて、さしもの才人も愕然とした。この世界の世事にまだうとい彼も、それがいかほどの大金かはちょっと考えるだけですぐにわかった。日本円に換算しても、五、六百万円くらいにはなるだろう。平民どころか、貴族にだっておいそれと出せる金額ではない。そんな大金が、ましてやこの女子供だけの小村のどこにもあるはずがない。

「おいあんた、そのアホみたいな数字はどっから出てきたんだよ」

 才人が問いかけると、役人は後ろに控えていた長い黒髪の、秘書と思われる女性に身振りで指示した。

「村人一人当たり、頭税一エキュー、保護税十エキュー、土地税、住居税、農地税などを総合しました結果、およそ五百エキューとなりました」

 その秘書は無表情で、まるで氷のようになんの感情も含まれないマネキンのような美女だった。それが事務的な、いやむしろ機械的な声で淡々と問われたことを述べたのが、なおのこと才人たちの怒りをかきたてた。

「ふざけるな! なんだその訳のわからない税金の数々は」

「この国に住んでいる以上、納税の義務が生じるのは必然です。それに今は戦時。税率が増すのは当然ですし、なにより反乱軍どもの魔手から守ってやっているのですから、これくらい当然です」

 確かに言っていることは、戦時下の国としては当然のことだが、それにしたって高すぎる。才人も怒ったが、何よりロングビルの腹の虫はおさまらなかった。

「では、その当然の義務とやらを国民に押し付けるために、あなた方はこんなへき地までわざわざやってきたのですか。たいそう忙しくてご立派でいらっしゃいますね……いったいどうやって払えっていうんだ!」

 元盗賊の、普段子供たちには決して見せない凄絶な怒りの表情を向けられても、役人はなおも涼しい顔のままだった。

「この村の家財一式と、土地や作物を売り払えばよいでしょう。王家のために国民はそれくらいして当たり前、それでも足りなければ、あなた方くらいならいくらでも稼ぎ手があるでしょう」

「……」

 ふざけるなと怒鳴りたいのを奥歯を噛み締めてこらえながら、ロングビルは心に以前と同じ黒い感情が戻ってくるのを感じていたが、今回はそれを抑制する必要を認めなかった。また、才人も同時に同じ結論に達したらしく、さりげなくティファニアを後ろに下がらせながら、デルフリンガーの鞘の先を軽く小突いて相棒に出番が近いことを知らせた。

「もし、払えないと言ったら?」

「ご心配なく、金銭だけが国に貢献する手段ではありませんよ。幸いこの村には人手は豊富なようですし、現在前線に構築中の陣地の工事に従事していただければ充分ですよ。ついこの前も、この先の町の方々が総出で喜んで協力してくださいましたよ」

 それはつまり、戦争のために奴隷同然となって労働しろと言っているのだろう。その総出で駆り出された町というのも、住人が全ていなくなっては、いずれ戻ってきたときも町の機能が回復するまでにはとほうもない時間がかかるし、前線の陣地設営ともなれば常に生命の危険がともなうし、場合によっては弾除けにされる。おまけに百歩譲って労働に従事するにしても、大人だけでなく子供まで働けと明言してくれた。そんな場所にどうして子供たちをやれるものか。誇らしげな役人の表情に反比例して、ロングビルと才人は顔の筋肉が引きつっていくのを抑えられなくなっていた。

「それもお断りしますと言いましたら、どういたしますか?」

「そんな人は忠誠心豊かなアルビオン国民にはありえないはずですが、もしいたとしたらそれは反乱軍の協力者でしょう。間諜はただちに連行し、あるべき正しい姿に戻して差し上げるために、教育を受けてもらいます」

 自分の頭の血管が切れる音が聞こえた瞬間があるとすれば、それはまさにこのときであっただろう。自分の権力を盾にして弱者から収奪する、この紳士ぶった盗賊たちの言いなりになってやる義理はどこにもなかった。

 

「お前らにやるようなものは、ここには何にもないよ!」

「今すぐ出て行け! この腐れ外道ども!」

 

 ついに堪忍袋の緒が切れた二人は、盛大にたんかを切ってそれぞれの武器を抜いた。対して、役人はいやらしい笑いを浮かべて、兵士たちに合図を送った。

「これは反乱の証と判断するに充分ですね。捕らえなさい! 生死は問いません」

 すぐさま十名からなる兵士が、槍や、ある者は杖を抜いて襲い掛かってきた。普通ならば女子供などのかなう相手ではないが、彼らは見た目どおりの人間ではない。

「おもしれえ、悪いがてめえらみたな奴らには手加減しねえぞ!」

 才人はデルフリンガーを引き抜き、瞬時に動くと、こちらをなめていた槍兵の槍を切り飛ばした。さらに、わき腹に峰打ちを食らわせて戦闘力を奪うと、残った槍兵は槍を持ち直し、油断なく構えて才人に向かってきた。

 また、恐らくは下級貴族出身であろうと思われる二人のメイジの兵は、杖を構えたロングビルに対して、刃物を取り付けた凶器のような形の杖を向けてくる。

「最近の王党派は、多少はましになってきたのかなと思ってたけど、どうやら買いかぶりだったみたいだねえ……ムシャクシャしてるから、骨の五、六本は覚悟しなさいよ」

 凶悪な笑みを浮かべながら、ロングビルは敵のメイジを挑発した。その雰囲気にただならぬものを感じ取ったのか、敵は二人で数で勝っているというのに、用心して一気に攻めてこない。その隙に、ロングビルは後ろにいるティファニアに目配せした。

「テファ、後でいつものやつよろしくね」

「うん」

 ティファニアは、敵がロングビルと才人に意識をとられているのを確認すると、懐からこっそりペンシルサイズの小さな杖を取り出した。

 

 一方、才人は残る七人の槍兵を相手に、獅子奮迅の立ち回りを演じていた。

「ちぇっ、意外とやるなこいつら」

 最初の一人は油断していたので簡単に倒せたが、相手も本職の兵士である。本気を出せば剣術ではまだ素人同然の才人より技量は上であるし、一人に攻撃しようとしても、別の方向から槍を突き出されたりと、連携のとれた防御をしてくる。これでは、鎧のついていない急所を、殺さないように狙うのはガンダールヴの力を使っても容易ではなかった。

「けど、ならそれはそれでやりようもあるぜ!」

 攻めるのが難しいと判断した才人は戦法を変えた。こちらから無理に攻め立てるのではなくて、相手が槍を突き出してきたところで、かわすと同時に槍の穂先を切り落として、ただの棒に変えていった。

「銃士隊とした特訓、意外とよく役に立つなあ」

 三人目の槍を役立たずに変えながら、才人は以前アニエスやミシェルとともにツルク星人を倒すための三段戦法の特訓をしたときのことを思い出していた。あのときの、高速で振り下ろされてくる星人の刀を受け止めるために徹底的に鍛えた受けの技を、少々応用したカウンター戦法、防御は最大の攻撃なりとでも言うか、なかなか使えるようである。

 その活躍をちらりと横目で見たロングビルも、彼女なりの戦法をメイジの兵に向けて披露していた。

「いでよゴーレム! ……なーんてな」

 高々と杖を掲げたと思った瞬間、敵メイジの顔面に石がめり込んでいた。食らった相手は目から花火をひらめかせてゆっくりと倒れる。

「あっはっはっはっ、ばーかばーか」

 いかにもな仕草で魔法を使うのかと思いきや、足元にあったただの石を蹴り飛ばして一人のメイジを倒したロングビルは、相手のその無様さに大いに笑った。

「おのれっ! メイジを騙るとは不届き千万な、女とて容赦はせぬぞ」

「ふんっ、ちょっと違うね。『元』メイジさ、けど容赦してもらう必要はないよ」

 怒って氷の矢を撃ちだして来るもう一人の攻撃を余裕で避けながら、ロングビルは手ごろな石を拾い上げて、今度は投げつけた。

「ちょこざいな! 貴族をなめるな」

 相手は風で石を吹き飛ばして、もう一度ロングビルに狙いを定めたが、その必要もなかった。彼が自ら作り出した風が彼の周辺の樹木を揺さぶり、彼の手の上や鼻先に、黒々としたまだら模様の毛虫を何匹も落としたのである。

「ぎゃっ!? ぎ、虫!? 毛虫っ!? ぎゃっ……」

「はい、お休みなさい」

 顔面に今度こそ大きな石をめり込ませて倒れるメイジに向けて、ロングビルは祈る仕草をしながら笑った。実は、投げた石は囮で、このうっそうとした森の場所で風の魔法を使わせることによって、樹上の虫を落っことさせて隙を作ったというわけである。もちろん、メイジの頭上の木にこの時期虫がつくというのも、地元の人間であるロングビルにとってはよく知ったことである。

「ま、悪く思わないでね。こちとらまだ魔法が使えないから、多少ズルさせてもらってもいいよね」

 ロングビルはホタルンガの事件の際に魔法の力を奪われ、それから人知れず訓練をしているけれども、いまだに魔法は回復していない。だが、そこのところは元盗賊のつぶしで、護身術や魔法が使えないときの戦闘手段などはいつでも使えるように、磨きをかけ続けていた。

 

 だが一方、カウンター戦法で一時有利に立った才人であったが、すぐにまた形勢を逆転させられていた。

「相棒、右に跳べ!」

「くそっ、銃を持ってるとは考えが甘かったぜ!」

 鉛玉の連射をかわしながら才人は毒づいた。槍兵たちは、手持ちの槍が破壊されて使い物にならなくなると、降参するどころか鉄砲を取り出して撃ってきたのだ。

「くそっ、こりゃちょっとまずいか」

 いくら才人がガンダールヴの力を発動できるとはいえ、相手が銃では分が悪い。剣と銃が兵器として圧倒的なアドバンテージ差があるというのもそうだが、連射をしてくるというのが彼が隙をついて切り込むチャンスをつぶしていた。普通、ハルケギニアの銃は前込め式で連射が利かないが、彼らは一人につき四丁も持っていたために、射撃間隔の隙が埋められていた。しかも悪いことにまだ五人も残っていたために、三人が撃っている間に二人が弾込めをするという信長の三段撃ちのような攻撃をしてきてまったく近づけなかった。

 だがそのとき、戦況は三度逆転した。苦戦する才人の視界の外から風にまかれた炎が飛んできたかと思うと、兵士たちをあっという間に吹き飛ばしてしまったのである。

「ルイズ、タバサ、キュルケ!」

「はぁーい、助っ人ただいま参上ってね」

 一瞬でけりをつけてしまった三人の助っ人は、まだ銃を向けようとしてくる兵士を適当にぶっとばすと、呆然としている才人に歩み寄った。

「お、お前らどうして?」

「あんな派手に鉄砲撃ってれば普通気づくわよ。バカじゃない」

「あ、そうか……そういえばルイズ、子供たちは?」

「シルフィードが守ってるから心配ないわ、普通ドラゴンに好んで近づくやつはいないしね。んったく、あんたはまた勝手に暴れて、これでまたキュルケやタバサに借りができちゃったじゃない」

「ご、ごめん」

 糾弾してくるルイズに、才人はとりあえず頭を下げて許しをこうしかなかった。ルイズの爆発よりキュルケやタバサの魔法のほうが援護には向くとはいえ、やはりキュルケに借りができるのはルイズにとってかなり不愉快なもののようだ。

 

 とはいえ、これで兵士たちは全員戦闘不能になり、意識は取り戻したが武器を取り上げられて、役人の後ろで縮みこまっている有様だった。

「さて、これで頼みの兵士たちはみんな役立たず、どうするねお役人さん」

「ずいぶんとやってくれますねえ。こんなことをやってくれたら、もう反乱確実ですね。次は軍隊がやってきますよ」

 ここまで来ながら、まだ虎の威を狩る役人の態度に彼らは腹を立てたけれど、まさか本当に国の役人を殺してしまうわけにもいかなかった。もちろん、この国ではルイズたちの家名も役には立たない。しかし、表情を歪める才人たちとは別に、ロングビルは余裕たっぷりというふうに、後ろで待っていたティファニアに合図を出した。

「テファ、もういいよ。やっちまってくれ」

「うん……ナウシド・イサ・エイワーズ・ハガラズ・ユル・ベオグ……」

 まるで歌うようにティファニアは呪文を詠唱し始めた。そのスペルは流れるようで、才人は思わず聞きほれてしまった。しかし、魔法に精通しているはずのルイズたちは、その呪文がまったく聞いたことのないスペルだったことに驚いた。

「これは……水でも火でもない……なら、エルフの先住魔法? いえ、あれは杖を必要としないと聞いたことがある」

 メイジにとって、これからおこなわれようとしている魔法がなんなのかわからないというのは本能的に恐怖を呼び起こす。だが、この中で一人、デルフリンガーだけはその呪文を聞いて、遠く懐かしい記憶を呼び起こしていた。

「こいつは……恐れ入った。こんなところに、これの使い手がいたとはな」

 対する役人や兵士たちも、呪文の正体がわからずにとまどうが、彼女の魔法はそこで完成した。

「ベルカナ・マン・ラグー!」

 呪文の終了と同時にティファニアが杖を振り下ろした瞬間、役人と兵士たちの周りの空気が陽炎のように揺らめいたかと思うと、それは目の錯覚だったのかすぐに掻き消えた。

「え……」

 何かが起こると思っていた才人たちは、一見何の変化も現れないことにとまどった。だが、この一見したら何も起こっていないように見えることこそが重要だった。

「なんだ、何も起こらぬではないか、またこけおどしか」

 役人は、自分に何のダメージもないことを確認してせせら笑った。しかし、この反応が逆にティファニアやロングビルに驚愕に目を見開かせた。

「え! な、なんで?」

「テファの魔法が、効かない!?」

 その声を聞いて驚いたのはルイズたちもだが、言われた役人たちもだった。

「な、なに!?」

 驚いた役人は、とっさに連れている秘書や兵士たちを見渡した。

「私は、何も異常はありません」

 秘書は無表情で機械的に答えた。だが、兵士たちは目を虚ろに開いてぼんやりとして。

「あれ、俺たち、なんでこんなところにいるんだ?」

「なんだ、いったい何してたんだ?」

 と、きょろきょろと居眠りから覚めたときのように混乱していた。

「記憶を無くしているの?」

 兵士たちの様子から、ルイズはそう読み取った。少なくとも、この村に来てから今までの記憶が削り取られているようで、その推論をロングビルも肯定した。

「そうよ。この子の魔法は、対象の人間からある程度の記憶を失わせるもの。系統も何もわからない代物なんだけど、今までこれで盗賊とかの記憶を奪って村を守ってたの。けど……」

 何故、この役人とその秘書には通じない? 皆の視線がその二人に集中した。

「ねえテファ、その忘れさせる魔法、これまで効かなかったことはあるの?」

「い、いいえ、動物とか何を考えてるのかわからないものには成功したことはないけど、人間相手に失敗したことはありません」

「人間相手に……」

 その説明で、才人とルイズはピンとくるものを感じていた。まさか……最悪の展開を想像しながら、才人は以前トリステイン王宮であのバム星人と戦ったときのように、懐からガッツブラスターを取り出して、かざして見せた。

「役人さん、これ何だかわかるか!?」

「ぬっ! な、なんだと!?」

 役人は、ガッツブラスターを見るや、過剰なまでに驚いて後ろに飛びのいた。それで才人は確信した。銃を向けられれば驚くのは人間として当たり前の反応でも、ハルケギニアの感覚では一見銃には見えないビームガンのガッツブラスターを見てここまで驚くのは、先に人間には必ず効くティファニアの忘却の魔法が効かなかったことも合わせて、充分な確信を彼に持たせるのに必要な条件を満たしていた。

「てめぇ、宇宙人だな!」

 その瞬間、これまで人を食ったようだった役人の顔が、ひきつったようにゆがんだ。

 

「……よくぞ突き止めたな! このブラック星人の正体を! ふはははは!」

 

 笑いながら役人が両手を顔の前で合わせると、全身がスパークしたかのように発光し、一瞬のうちに巨大な目を持つ全身黒色の星人の姿に変貌していた。

「やっぱり、な」

「あ、亜人? いえ、こいつもウチュウジンなの!?」

「そのとおり、貴様らのような下等な文明の者たちもようやくそれくらいはわかるようになったか、はははは」

 バム星人、ツルク星人、スチール星人などの襲来によって、ハルケギニアの人々にも、わずかであるがウチュウジンという、ヤプールの配下の正体不明の亜人たちがいることは知られ始めている。ブラック星人は、単なる正体不明の怪物として見られるより、高度な知的生命体と見られたことをうれしがったと見え、むしろ正体を暴かれたことを喜んでいた。そして言い逃れようとすることもせずに、赤い発光体となっている口部を点滅させながら正体を喜んで明かしたが、本当なら当たらないほうがよかった予感が的中した才人はあらためてガッツブラスターを構えなおし、ほかの面々も戦闘態勢を整えた。

 しかし、心の準備ができていなかった兵士たちは、星人の姿を見てパニックに陥ってしまった。

「ひっ、なんだあ!?」

「ち、徴税官さまが、徴税官さまが怪物になったあ!? に、逃げろぉ」

 宇宙人を見慣れているはずがない彼らは、尻に帆をかけて逃げ出したが、その前にあの役人の女秘書がいつの間にか無表情で立ちふさがっていた。

「て、てめえ」

 その後に、どけと言おうとした一人の兵士は、それを言い切ることができなかった。なぜなら、立ちふさがった女秘書の口から真っ白な霧が噴き出して、避ける間もなく彼らを包み込んでしまったのだ。

「目撃者を、生かして帰すわけがないだろう」

 星人があざ笑いながら言い、霧が晴れたとき、そこには真っ白な氷の彫像となった兵士たちが身動き一つせずにたたずんでいた。恐るべき極低温の冷凍ガスによって、一瞬のうちに凍結させられてしまったのである。

「あの女も、人間じゃないみたいね」

「雪女……」

 キュルケが吐き捨てるように言ったように、冷凍ガスを吐ける人間などいるはずがない。あらゆるものを氷漬けにする氷の女、まさしくそれは雪女。真夏だというのに女の周りから吹いてくる風は、刺すように冷たい。下手に近づけば、こちらもあの冷凍ガスにやられる。キュルケとタバサは遠距離攻撃で戦おうと決めたが、才人は戦うに先立って星人に問いかけるのを忘れなかった。何故宇宙人が人間に化けて役人の真似事などをやっていたのかと。

「ふははは、どうせ死ぬのだから教えてやろう。理由は知らぬが、ヤプールは人間を多く集めたがっている。だから奴は我らに目をつけたのだ、愚かな人間を騙すなど、我らには造作もないことだからな」

 星人は、正体を明かして開き直ったのか、こちらがただの人間だと甘く見ているのか雄弁に話し始めた。この傾向は、侵略宇宙人全体に見られることで、計画が看破されると自分から侵略作戦を丁寧に説明してくれるものが多い。隠していたことを自慢したいのは宇宙人にも共通する心理なのかはわからないが、そのおかげでGUYSのアーカイブドキュメントはデータに恵まれている。

 だがともかく才人は話しながら、ブラック星人のプロフィールを思い出していた。MATの時代の後期に地球にやってきた侵略宇宙人の一人で、土星に前進基地を築いて、そこで働かせる労働力となる奴隷を得るために、地球人の若い男女を千組盗み出して、子供をたくさん生ませて奴隷にしようという、なんとも気の長いことを考えた星人だ。さすがに今回は前回の作戦の迂遠さを反省したようではあるが、ということはあの雪女の正体も……だが今はそんなことより、王軍の内部に当たり前のように宇宙人が潜入しているほうが問題である。

「なるほど、お前もバム星人とかみたいにヤプールの手下に成り下がった奴らの一つってわけか」

「それは違う。奴は我らを利用しているつもりだろうが、我らこそここで奴隷を大量に手に入れ、前進基地を築いたら大軍団を送り込み、先んじてこの世界も地球も侵略してくれるぞ」

 どうやら、表面上協力してはいても、内実はお互いを利用しあって、機会が来たら裏切る腹づもりのようだ。才人はあわよくば、この機会にヤプールの情報を聞き出そうと思ったけれど、この様子では奴の言ったとおりヤプールが何故人間を集めるのかなど、作戦の重要なことは知らされていないに違いない。だが、どんな小さなことでもこの際は聞き出しておくべきだろう。こっそりと、今にも攻撃を仕掛けようとしているキュルケたちに視線で待ってくれるように頼むと、もう一つ質問をぶつけた。

「まったく、トリステインで会った狼野郎といい、いったいどれだけ宇宙人が来てるんだよ?」

「はっはっ、ウルフ星人のことか? あんな低脳はせいぜい使い捨てにされればよいのだ。お前たちにはわからぬだろうが、今宇宙中からこの星は注目されているのだ。なにせ、これほど侵略しやすくて、なおかつ価値のある星はそうないからな。ただ、あまり派手に動きすぎると他の星人に目をつけられてしまうから、準備が済むまでは精々平和でいるがよいさ」

 なるほどと、才人は思った。メフィラス星人が、バルタン、ケムール、ザラブの三大星人を配下にしていたように、侵略宇宙人には独自のネットワークがあるのだろう。確かに、地球と環境がそっくりな上に、人間の文明レベルも低く、なにより防御についているウルトラマンの数が格段に少ないハルケギニアのことが知れ渡れば、侵略したがる宇宙人はいくらでもいると思われる。この話のとおりだとすると、もう何十、何百といった宇宙人がヤプールの手を借りて侵略を狙っているのに違いない。ただし皮肉なことに、抜け駆けしようとすればヤプールや他の宇宙人も敵に回してしまうために、お互いに牽制しあって動けないのだ。

「だが、いくらでも超獣を生み出せるヤプールを相手にして、どうやって対抗するつもりだ」

「ふはは、奴は欲深いからな。いずれ大規模に動いてこの星の軍勢やウルトラマン、他の星人とも激突するだろう。その疲弊したところに我らが大軍団を送り込めば、最後に全ては我らのものよ」

 要するに、漁夫の利を狙っているということか。確かに有効な手段だろうが、このくらいで狡猾なヤプールを出し抜けると思っているあたりが抜けている。才人は、所詮こいつもヤプールにとっては捨て駒だと悟り、これ以上聞きだせることはないと結論づけた。

「姑息なやり口は昔と変わってないみたいだな。そんなのじゃヤプールには遠く及ばないぜ」

「なに? 人間ごときが生意気な! どうやら少ししゃべりすぎてしまったようだな。そろそろまとめて死んでもらうぞ」

 怒ったブラック星人は、大きな目をさらに血走らせて、秘書だった雪女を前に出した。対して、待ちに待ったとばかりにキュルケ、タバサたちこちらの主力も杖を構えなおし、ロングビルもティファニアを後ろに下がらせる。才人も接近戦はまずいと、愚痴をもらすデルフを鞘に戻して、ガッツブラスターを構えながらルイズをかばう。

「お前たち全員を氷の像にして、この場で叩き割ってくれるわ!」

「言ってくれますわね。ですが、わたしたちを相手に、手下一人で勝とうなどとは少々なめすぎではありませんこと?」

 雪女と正対しながら、キュルケは強気で星人を挑発した。手下の後ろに隠れて偉そうにしている態度が気に入らなかったからだが、ブラック星人は元々変身能力以外にはこれといった能力を持たずに巨大化もできない。だから直接戦うことはしないのだが、この雪女は違う。

「ふふふ……確かに貴様ら、この星の人間の戦闘力は高い。ならばじわじわ恐怖を味わうより、一気に絶望を味わって死ぬがいい。雪女、スノーゴンになれいーっ!!」

 その瞬間、棒立ちしていた雪女が一瞬にして山のように見上げるほど巨大化し、女性の姿が揺らいだかと思うと、全身を白毛に覆われた、直立した白熊のような怪獣に姿が変わった!

 

【挿絵表示】

 

「ちょっ、おいいきなりかよ!」

 多分この後、雪女を相手に息もつかせぬ立ち回りを演じることになると思っていた才人は、生身の人間相手に空気を読まずにいきなり巨大怪獣を出現させたブラック星人に抗議したが、星人はスノーゴンの後ろで高笑いをあげながら命令を下した。

「ゆけ! 氷付けにして踏み潰してしまえ!」

 やむを得ずに逃げ出す才人たちに向けて、スノーゴンは口を開いてさらに強力になった冷凍ガスを吐き出してきた。真夏の森が、まるで真冬のように白く凍りついていく。

「たく、せっかくの休みをぶちこわしやがって……ただじゃすまさねえぞ!」

 

 

 続く


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