ウルトラ5番目の使い魔   作:エマーソン

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第28話  目覚めしものはホロビ

 第28話

 目覚めしものはホロビ

 

 黒い宇宙植物 メージヲグ

 生物兵器 メノーファ

 恐怖エネルギー魔体 モルヴァイア 登場!

 

 

「弱点だと? 戯れ言を。このメノーファに弱点などないわ」

 ヴェルサルテイル宮殿前で続く、タバサとメノーファと融合したシェフィールドの戦いは熾烈化の一途を辿っていた。

 無限に近いエネルギーを使ってタバサを攻め立てるメノーファ。怪光線の連射、連射、連射の雨。タバサはこれを巧みにかわしながら、メノーファから視線をそらさずに立ち回り続けている。

 しかし、タバサの魔法ではまったくダメージを与えられないメノーファに対して、タバサはどんな策があるというのだろうか。

「あなたとこれ以上遊んでる時間はない。そろそろ終わらせてもらう」

「苦し紛れもいいかげんにおし。もはや不死身と化した私に向かって、打てる手があるというなら見せてみるんだね」

 シェフィールドにタバサは答えない。しかしその代わりに杖を振るって氷の嵐を叩きつけた。

『ウィンデイ・アイシクル』

 小さな城なら丸ごと真冬に変えられそうな吹雪がメノーファを一瞬でつららの塊に変えた。しかし、冷気は表面の水分を凍らせただけで、すぐにメノーファは氷を振り払って紫色のおぞましい姿を再び現す。

「無駄と言うのも飽きてきたわね。お前の魔法がトライアングルだろうとスクウェアだろうと、今の私には蚊に刺されたほども感じないのよ」

 実際、タバサの攻撃はメノーファにまったくダメージとなっていなかった。このメノーファはダイナのいた宇宙でナルチス星人によって開発されたものであり、その際もダイナのソルジェント光線を受けてさえ通用しなかったほどの頑強さを誇る。

 単純な力による攻略では突破は不可能。そして、メノーファに対して特効を得たウルトラマンAも、モルヴァイアとの戦いに拘束されてメノーファを攻撃するどころではない。

 けれどタバサは手詰まりに追い込まれたようなこの状況にも関わらず、焦った様子もなくシェフィールドに言った。

「哀れな人。あなたがどんなに命を削って尽くしても、ジョゼフがそれに感謝することはない。犬でさえ、主人に頭をなでられるというのに」

「くっ、この小娘が!」

 タバサの言葉に、シェフィールドはカッと頭に血を昇らせた。

「言ったはずよ。私はジョゼフ様のためならどうなっても構わない。私はジョゼフ様の忠実な使い魔、ただの道具なのだから」

「なら、なぜあなたは心も道具にならないの? 道具は怒らない、悲しまない。どうせジョゼフに無視されるなら、そのほうが幸せでしょう」

「それは、それが私の忠義だからよ。ジョゼフ様のお役に立って、見返りなんかなくても私はそれだけで嬉しいのよ」

「嘘。本当に無償の忠義を尽くすなら、喜びさえも自分から捨てるもの。人間は、無関心に耐え続けられるほど強くはない」

「ぐぅう、なにが言いたいというの!」

 耳をふさごうと思っても、今のシェフィールドにはできなかった。心をえぐるようなタバサの言葉を聞くまいとしても聞こえてくるそれが、シェフィールドの胸に突き刺さる。

「あなたはジョゼフに愛されたいと思っている。けれどそれを拒絶されて、今の関係が壊れてしまうのが怖くて何も言い出せないでいる、どこにでもいるただの臆病者」

「ハハ、殺してやる。お前はここで捻り殺してやるわ!」

 激昂したシェフィールドは、もはや理性をかなぐり捨ててタバサへの攻撃を激化させた。

 怪光線の乱射だけでなく、軟体状のメノーファの体をタコの足のように伸ばしてタバサを捕らえようとしてくる。その力は、外れた触手が石造りの建物を粉々に粉砕してしまうほどで、タバサを骨の一本まで潰してやろうというシェフィールドの殺意が込められていた。

 タバサの体を触手がかすめて、頬から血が飛び散る。しかしそれでもタバサは構わずにシェフィールドに言い続けた。

「あなたは臆病者。自分を見てほしいと尻尾を振り続けているけど、いくら媚びても無駄だと本当はわかっている負け犬。負け犬であることをわかっていても、今を壊したくなくて告白すらできない臆病者。そんなに失恋するのが怖いの?」

「その口を閉じなさい! 恋も知らないような小娘が、知った風な口ばかりを!」

「わたしの友達が、あなたみたいな人をよく笑っていた。一度の玉砕で消えてしまうような恋なんて、しょせんニセモノ。何度拒絶されても、自分を磨いてやり直せばいい。相手が自分に振り向いてくれないなら、相手が無視できないような大きな人間になればいいだけなのにって」

「そんな、そんな町娘の手ほどきみたいなものを聞きたくなんかないわ!」

 シェフィールドは怒り狂い、タバサを叩き潰そうとあらゆる攻撃を叩きつけた。

 しかし、それでもタバサは倒れなかった。どんな攻撃も紙一重でかわし、シェフィールドに呼びかけ続ける。

「その怪物は、リュティスの人たちの恐怖心でできてるとあなたは言った。そして、恐怖心とは生きようとする強いエネルギーだと。でも、あなたの恐怖心はただの怯え。そこからはなにも生み出されはしない」

「私はそれで構わない。私のつまらない意思で、ジョゼフ様の大望の邪魔をするほうがよほど怖いわ!」

 シェフィールドは己の信念にすがって叫び返した。どんなことがあろうと、ジョゼフのために全身全霊を尽くすのは決めたこと。けれど、タバサはそんなシェフィールドを哀れんだように告げた。

「あなたは、ジョゼフのことを何もわかっていない」

「な、んですって」

「ジョゼフがあなたの好意で目的を曲げるような、意志の弱い人間だと思っているの?」

「くっ、うう……」

「そしてあなたの恋心は、一度振られたらそれでジョゼフをあきらめる程度のものなの?」

「ぐ、うぅぅっ!」

 図星を刺され、シェフィールドは言い返すことができなかった。そして、シェフィールドは気づいていなかったが、シェフィールドが精神を乱したことで、シェフィールドとメノーファのつながりが弱まってきていた。

 メノーファの攻撃の精度が荒くなり、勢いも落ちてきた。それを見逃さず、タバサはだめ押しの一言を放った。

「あなたはジョゼフを愛していない。ジョゼフの影を愛してるふりをしてる。そんな女に振り向く男がいるはずがない」

「こ、の、クソガキがぁっ!」

 ついに完全にシェフィールドは切れた。目を血走らせ、メノーファの巨体そのものでタバサを押し潰そうとのし掛かってくる。

 だが、シェフィールドが我を失った今このときこそタバサの待っていた瞬間だった。フライの魔法で飛び上がり、メノーファから半身を乗り出したシェフィールドへ向けて、タバサは杖を向けて一つの呪文を唱えた。

「あなたへの始末は、この魔法がふさわしい」

 タバサの杖から風を物質化したロープが放たれて、シェフィールドの体に絡みついた。そして、タバサはそのまま力任せにシェフィールドをメノーファから引きずり出したのである。

「えいっ」

「なっ、なああぁっ!?」

 メノーファから引き抜かれたシェフィールドは我に返ったが、そのときにはすでに遅かった。

 シェフィールドはタバサの拘束の魔法の風のロープで体を縛り上げられたまま、タバサの杖先に宙吊りにされてしまっている。

「お前、最初からこれを狙っていたのね!」

「そう、その怪物がいかに完璧でも、操るあなたは完璧じゃない。そして、どんな攻撃も届かなくても言葉は届く。あなたはしょせん、道具に頼ってしか戦えない人。自分の手で決着をなんて考えたときから、こうなることは決まっていた」

「き、貴様……」

 悔しがっても、もうシェフィールドにはタバサに抗う方法はなにも無かった。タバサのさじ加減ひとつで煮るも焼くも自由。

 しかしタバサは攻撃の魔法を唱えるでもなく、睨み付けてくるシェフィールドに静かに言った。

「でも、あなただけじゃない。手に入らないものを求めて苦しむのは、すべての人間の性。わたしもそうだった。だからそれであなたを憎むつもりはない」

「お前、何を言っているの?」

「あなたが本当にほしいものを手に入れたいなら、たぶん一度だけチャンスがある。そこであなたがどうするかまではわたしは知らない。そして……」

 タバサは言葉を切ると、シェフィールドを拘束していた風のロープを消した。

 すると、十数メイルの中空で宙吊りにされていたシェフィールドは支えを失って落下を始めた。当然、愕然と恐怖に顔をひきつらせるシェフィールドだったが、タバサは杖を振り上げると、落ちてゆくシェフィールドの顔面へと向かって樫の大杖をハンマーのように叩きつけたのだった。

「ぎゃああぁ……」

 額を叩き割られ、悲鳴をあげて転落していくシェフィールド。タバサは息を切らせながら、憎っくき仇敵へと吐き捨てるようにつぶやいた。

「時間がないから、シルフィードの貸しはこれで勘弁してあげる」

 物静かに見えて、受けた恨みはきっちり返すくらいにはよい子ではない。むしろ、そういう面ではキュルケと同じくらい、内に熱いものを秘めているのがタバサだった。

 タバサは息を落ち着かせると、落ちたシェフィールドがどうなったかは確認せずに王宮に視線を向けた。

 まさか、キュルケに飽きるほど聞かされた恋愛談に助けられる日が来るとは思わなかった。人間の人生は、なにがどこに繋がってくるのかわからない奇縁でできていると言えるだろう。

 けれど感傷に浸ってはいられない。メノーファは操るシェフィールドがいなくなったことで動きを止め、もう王宮への道を邪魔するものはなにもない。

 タバサは、まだ戦いを続けているウルトラマンAとモルヴァイアを一瞥すると、エースの勝利を信じて王宮へと急いだ。

 

 

 その頃、王宮はすでに普通の人間の生きていられる場所ではなくなっていた。

 内部には瘴気が毒ガスのように立ち込め、最後まで残っていた大臣たちも兵士たちもついに耐えかねて逃げ出してしまい、宮殿の中に生きた人間は残っていない。王宮の象徴であった広大な花壇もことごとく枯れ果て、かつてジョゼフが滅ぼした旧オルレアン邸にも似た廃屋の様相をまとわせていた。

 ジョゼフが玉座に鎮座していたグラン・トロワ、イザベラが住んでいたプチ・トロワのいずれも無人の廃墟と化している。

 そして、その瘴気は王宮の地下深くの空洞から沸き上がってきており、そこに王宮に残った最後の人間となったジョゼフが、あの宇宙人とともに計画の仕上げの段階に入っていた。

「ようやくか。ようやく、俺はこのクソのような人生から解放されるのか」

「おや気が早い。まだこれからが大事だというのに早まってはいけませんよ。なにせ、待ちに待った弟君との再会が叶うのですからね」

「ああ、そうだ。シャルル……ようやくこの手にかけてしまったお前を、この世に呼び戻してやることができるのだな」

 ジョゼフの前には大きな棺が置かれていた。その中身は、もはや語るまでもない。

 これが、ジョゼフがずっとこの宇宙人に協力し続けてきた理由だった。

「ですが本当に長かったですね。あの日、初めて私が王様とお会いしたあの日のことも、もう懐かしいものです」

 宇宙人は、棺にエネルギーを吹き込みながら楽しそうにつぶやいた。             

 あの日……トリステインとアルビオンの連合とロマリアとの戦争が終わり、次に戦場になるのはロマリアと同盟していたガリアに違いないと世界が動いていたあのとき、コウモリ姿の宇宙人はジョゼフの前に現れて言った。

「私はこの世界でどうしても実験しなければいけないことがありまして、ぜひ王様に協力していただきたいのですよ。もちろん、タダとは申しません。協力していただけたらその代わりに、王様が死なせてしまったことを悔いている弟君を生き返らせてあげましょう」

 この誘いに、さしものジョゼフも驚いたものの、最初は当然断った。チャリジャを通じて、異世界の奇々怪々な品々や芸当を見てきたジョゼフでも、死者を甦らせるなどという神をも恐れぬ所業、そんな非現実的なことが可能にできるとは思えなかった。それに、正誤に関わらず、シャルルのことに触れられるのはジョゼフの逆鱗に触れるものだった。

 だが、宇宙人はジョゼフの命を受けて攻撃を仕掛けてきたシェフィールドを軽くいなすと、気分を害した風もなく笑った。

「これはこれは、第一印象は最悪ですか。一番喜んでいただけると思った贈り物だったのですがねえ。まあ落ち着いて考えてみてくださいませ。我々にとってみれば、怪獣を操るのに比べたら人間を生き返らせるなんて難しくもないことです。我々はあなたがたの、数千年は先を行っているわけですからねえ」

 確かに、落ち着いて考えてみれば死者を蘇らせることができないというのはしょせんハルケギニアの常識だ。ハルケギニアの水魔法でも、死者を蘇生させることはできない。先住の力を秘めたアンドバリの指輪のようなものでも、あくまで生前を再現したゾンビにするに過ぎない。

 ……しかし、ジョゼフの明晰な頭脳は、ハルケギニアよりはるかに進んだ宇宙人の技術ならば、完全な死者の蘇生も可能とするのではないかと想像をつけてしまっていた。あのチャリジャが見せたように、宇宙人には人間の想像を超えた恐るべき力がある。思えば、なぜ自分はあれほどの不可思議を実現するチャリジャに、シャルルを生き返らせる可能性を聞かなかったのだろうか? ジョゼフは自分の中に、まだシャルルから逃げたがっている自分が残っていることを自覚した。

 そして奴はデモンストレーションとして、以前に殺されたワルドをあっさり生き返らせてしまった。それを見せられると、さしものジョゼフも迷いを隠せなくなっていった。ジョゼフのこれまでの行動は、そのすべてが弟シャルルを亡くした喪失感に基づいている。その埋めようのない心の穴を塞ごうとしてきたあがきが彼の原動力だったわけだが、逆を言えばシャルルが生きてさえいればジョゼフの苦悩はその根本からすべて消滅する。

 今までどれだけ望んでもあがいても満たされることのなかった渇きを癒す方法が目の前にある。けれどこれは誰が見ても悪魔のささやきであったが、たぐいまれな頭脳の持ち主であったジョゼフといえども、二度と訪れないであろうこのチャンスの誘惑には抗しきれなかった。

 しかし、その場ですぐにとはいかない。宇宙人はシャルルを甦らせるに当たって、いくつかの準備を要求してきた。

「ただ生き返らせるならすぐにできますが、それは私の力で命をつないでいるゾンビのようなものです。完璧に蘇生させるなら、肉体も生前に限りなく近く元通りにしておかねばなりません。おわかりになられるでしょう?」

 シャルルは四年以上も前に死んだ人間だ。当然、遺体は土に返っている。ジョゼフはシェフィールドに命じてシャルルの遺体を不名誉墓地から回収させ、水魔法とマジックアイテムを使って遺体の復元に当たらせていた。

 そして、宇宙人はジョゼフとの取引として、チャリジャにやったようにハルケギニアでの行動の全面的な許可を与えられ、これまで様々な暗躍をおこなってきたらしい。もっとも、なにをやっていたかまではどうでもよかったので深く追及してはいないが、だいぶんハルケギニアをいじりまわしていたらしい。たとえば……。

「待って!」

 だがそのとき、物思いにふけっていたジョゼフの意識を、悲鳴のような叫びが現実に呼び戻し、ジョゼフは顔を上げてその相手を見た。

「シャルロット……」

 そこでは、タバサが肩で息をしながら立っていた。この地下空洞まで全力で駆け降りてきたのだろう……ジョゼフはその弟の面影を残すタバサの顔を見下ろしながら話しかけた。

「遅かったな。だがちょうどいいところに来た。シャルルが帰ってくる瞬間は、お前こそ見なければならんのだから」

 ジョゼフの表情は、タバサから見ても信じられないほど穏やかだった。本気で、弟を蘇らせて時計の針をあの日に戻すつもりなのだ。

 けれど、タバサは首を横に振りながら苦渋を込めて言った。

「違う。そうじゃない……父様を、父様を生き返らせちゃいけない」

「違う? なにが違うというのだ? シャルルを蘇らせて、ガリアをあるべき姿に戻すことに、あの日からお前も同意したであろう」

 ジョゼフの問いに、タバサは唇を噛んだ。

 確かに、その通りだ。それは、蘇ったワルドを倒した後、タバサはジョゼフからの呼び出しに応じて旧オルレアン邸へと駆けつけた。

 

 オルレアン邸ではジョゼフが直々にタバサを出迎え、タバサに父が生き返れるかもしれないことを提案した。むろん、ジョゼフ同様タバサも最初は拒絶した。こんな危険な臭いしかしないような提案、みすみす乗るほうがどうかしているレベルである。

 しかし、ジョゼフは自分に向かって杖を向けるタバサに言った。

「動揺しているな。杖が震えているぞ」

「っ!」

「お前らしくないことだなシャルロット。だが恥じることはない。当然だ、恥ずかしながら俺もそうだった。今でも、痴人の夢、冒涜的な大罪と万人が俺を罵倒するに違いない。だがあえて言おう。シャルロットよ、シャルルをこの世に呼び戻す企てに協力してもらえぬか?」

「痴人の夢を、信じられるわけがない。ワルドを生き返らせたことくらいでは、トリックでどうにでもなる」

 タバサは断固拒絶する態度を示したが、その声が震えているのは自分でもわかった。

 ジョゼフが自分をこの屋敷に呼び出して何を言おうとも、問答無用で父の仇をとるつもりでいた。けれど、どんなに非現実的で倫理に外れたことだと理性では思っても、誰よりも愛していた父とまた会える方法があると思うと心臓が言うことを聞かず、杖を持つ手から力が抜けていく。

 それでも自分を奮い立たせてジョゼフに呪文を放とうとしたとき、あのコウモリ姿の宇宙人がタバサの目の前に現れた。

「おやおや、疑り深いお姫様ですね」

「誰!」

「あなた方が先日まで戦っていた教皇やヤプールと同じく、この世界の外から来たものですよ。自己紹介は王様にしたので省略いたしますが、我々の科学力を持ってすれば、人間のような単純な生物を蘇らせるなど造作もないことです」

 宇宙人はそのまま、なんならお望みの誰でも生き返らせてあげますよとうそぶいた。

 その言葉は恐らく真実であろう。タバサは否定できなかった。アンドバリの指輪などで蘇生する死者のことは自分も書籍などで知っている。ハルケギニアの魔法でも、生前の記憶を保持したゾンビは作り出せるのだから、はるかに優れた宇宙人の技術が完全な死者の蘇生ができたとしても不思議はないと、タバサもジョゼフと同じ結論にたどり着いた。

 タバサの理性は、ここで容赦なく魔法を放ってジョゼフも宇宙人も始末することが最良と警告していた。だが、タバサは脂汗で全身を濡らしながらも、喉が凍って呪文を唱えることができなかった。

「なぜ、わたしを引き込むの? お父様を生き返らせたければ、あなたが勝手にやればいい」

「ああ、その通りだ。だが、シャルルを生き返らせても、ガリアの民どもはなんとでも言いくるめられるが、お前はそうはいかん。いきなり生きたシャルルが目の前に現れたら、お前も困るだろう。それに、シャルルにガリアを返すとしても、俺が引っかき回したガリアをそのまま渡すわけにはいかん。あいつが治めるに始めやすいくらいに、整えておく必要はある。それにはお前の協力がぜひ必要なのだ」

 この言葉で、タバサはジョゼフが本気だと知った。けれど、この怪しいことこの上ない宇宙人の言うことを鵜呑みにするのは危険すぎる。

「あなたは何が望み? もしハルケギニアに災いをなすつもりならば、わたしはすべてを投げ打ってもあなたを倒す」

 これもタバサの本音だった。父が戻ってくることが確実だとしても、キュルケや仲間たち、大勢に危険が及ぶようなことには決して乗るわけにはいかない。

「実験ですよ。ある兵器の実験に、このハルケギニアがすごく適していると探査結果が出たのです。おっと、別に私はハルケギニアを欲しいとか滅ぼしたいとかは考えてませんよ」

「でも、市勢の人たちに被害が出るかもしれない。認められるわけがない」

「そりゃあ実験ですからね。ある程度の被害は仕方がありません。私の計算によれば、この世界にそんな大きな影響は与えずに終われるはずですよ」

 悪びれずにそう告げる宇宙人に、タバサは明確な敵意を抱いた。無関係な第三者を危険にさらすなど、ジョゼフは平気でも自分が許せるわけがない。

 こいつは危険だ。タバサの中で危機感が燃える。父様を生き返らせられるというのは本当だろうが、それ以上の災いをハルケギニアに呼び込むことになる。

 タバサは、父様に会いたいという渇望を必死で抑え込み、魔法を唱えようとした。だが、タバサの詠唱よりも速く、宇宙人の言葉が彼女の耳朶を貫いたのだ。

「今から始まろうとしているガリアとトリステインの戦争を、私なら止められるとしたらどうです?」

 その瞬間……タバサの思考は真っ白に塗りつぶされた。

 

 そして、すべては今へと至る。

 あの日の判断が間違っていたのかどうか、それはわからない。しかしあの時にあれ以外の選択をし得たかといえば恐らく否となる。

 けれど、だからこそこれ以上の悲劇の上塗りは避けなければならないのだ。タバサは理解できないという風をしているジョゼフに向かって、懐から一冊の本を取り出しながら言った。

「違う。わたしは、わたしたちはみんな最初から大きな間違いをしていた。わたしはあなたに、伝えなければならない父様の真実を持ってここに来た」

「真実だと?」

 怪訝な表情をするジョゼフ。シャルルの実の兄である自分ですら知らないような真実があるというのか? しかしシャルロットは意味のない嘘をつくような娘ではない。

 タバサが差し出した本に手を伸ばすジョゼフ。だが、そのときだった。エネルギーを注ぎ込まれていた棺が大きく揺れ動きだし、宇宙人ははしゃぐように叫んだのだ。

「おおお! いよいよですよ。念願叶う、弟君の復活の時ですよ、ご注目ください!」

 くっ、しまったとタバサは思った。まさかこんなに早く準備が整ってしまうとは。

 タバサはとっさに杖の先を棺に向けた。だが、ジョゼフが冷たくタバサに告げる。

「無駄なことはよすがいい。お前にシャルルを撃てるわけがない」

「……」

 悔しいがその通りだった。あの棺の中にいるのが生きた父かと思うと、どうしても攻撃魔法の詠唱ができない。

 手をこまねいているしかできないタバサの見ている前で、王族用の豪奢な棺は生き物のように揺れ動いていたが、やがて糸が切れたかのようにぷっつりと動きを止めた。

「ど、どうなったのだ?」

 ジョゼフがらしくもなく、間の抜けた口ぶりで漏らした。

 成功か……それとも失敗したのか?

 タバサもジョゼフも、棺に触って確かめる勇気が湧かずに立ち尽くした。しかし、ふと棺の蓋がガタガタと揺れ動くと、蓋が中からずらされて横に落ちた。

 中から手が覗く。ジョゼフもタバサも動けない。石像のように固まった二人の前で、棺からむくりと人影が体を起こしてきた。

「う、ううん……」

「シャルル……?」

「お父様」

 ジョゼフもタバサも、今見ているものが夢ではないことを自分に言い聞かすだけで精一杯だった。

 高鳴る心音を抑え、息を落ち着かせて相手の顔を確認する。そして、相手が間違いなくオルレアン公シャルルその人であると確信を持つと、抑えきれない喜びを込めて駆けよっていった。

「シャルル、シャルルよ!」

「お父様、お父様!」

 意図がなんであろうと、二人にとって会いたくてたまらなかった大切な人であることには変わらなかった。

 近くで見ると、シャルルはまさにジョゼフとタバサの記憶の通りの姿でそこにいた。あれからざっと四年も経つけれど、何年経とうが忘れることなどあり得ない。

 けれども、シャルルからの第一声を待ちわびた二人に、シャルルは期待通りの声をかけることはできなかった。

「ぼくは、いったい……森で、それから」

「シャルルよ……むう、まだ意識がはっきりしておらぬのか」

「お父様……」

 頭を抱えて困惑し続けるシャルルを、ジョゼフとタバサは見守るしかできないでいる。

 無理もない。彼にとっては四年前に射殺されてから今日まで眠り続けていたも同然なのだ、記憶を整理するには少し時間を置く必要があるだろう。

 

 だが、ジョゼフもタバサも忘れていた。宇宙人は親切心でシャルルを生き返らせてくれたわけでなく、壮大な実験の一端であるということを。

 シャルルが生き返ったことを確認した宇宙人は満足そうにうなづくと、両手を目の前の巨大な物体に掲げて高らかに宣言したのだ。

 

「さぁ、お約束も果たしたところで私の実験も最終パートに入りますよ。この大地の力を吸って育った姿を、今こそ衆目にさらす時がやって来ましたのです!」

 シャルルにエネルギーを送っていた巨大な物体は、その中央部を黄色く光らせながら動き始めた。

 東京ドームほどもある地下空洞いっぱいに詰まっていた巨体が動き出した影響で、天井の岩盤が崩れだしてタバサたちの近くにも落ちてくる。

『エア・シールド!』

 タバサは魔法で空気のドームを作って自分たちを防御した。だが崩落はさらに激しくなっていき、ジョゼフは宇宙人に向けて怒鳴った。

「貴様、我々もまとめて潰す気か!」

「いえいえ、私はそこまで薄情ではありませんよ。言い忘れていましたが、そちらの横穴からなら安全に地上に出られます。では、私は少々忙しくなりますので、また後で」

 宇宙人がそう告げると、巨大な何かは天井の岩盤を砕きながら上昇を始めた。奴は地上に出る気なのだ。このままでは生き埋めにされてしまう。

 助かる道は宇宙人の言い残した横穴だけ。しかしタバサはエア・シールドで落ちてくる岩塊をしのぐので精一杯。まだ自失状態のシャルルまで運ぶ余力はない。

 すると、ジョゼフはシャルルに肩を貸す形で彼を持ち上げてタバサに言った。

「ゆけシャルロット、シャルルは心配するな」

 タバサは無言のまま、エア・シールドで自分を含めた三人を守りながら駆け出した。

 言いたいことは山ほどある。しかし、ジョゼフの迷いないその姿は、ただ一人の兄であろうとする人間に他ならなかった。

「シャルルよ、お前は体を使った遊戯でも俺を下し続けたな。だが、俺はこれでも勤勉なのでな。日々の鍛練を続け続けた今ならお前に力比べで負けはせん。だがそんなものより、これからお前にはびっくりするものを見せてやるさ」

 瓦礫が降り注ぐ地下空洞の横穴へと、三人の姿は闇の中へ消えていった。

 

 一方その頃、地上ではウルトラマンAとモルヴァイアの戦いもクライマックスに入ろうとしていた。

 メノーファからの膨大なエネルギーを受けて、モルヴァイアは高いパワーと俊敏さを身につけ、ヤギのような角を生やし、獣のような体と鋭い牙を振り立てた姿は、まさに恐怖から生まれた悪魔と呼ぶにふさわしかった。

「トォーッ!」

 エースの仕掛けたジャンプキックに、モルヴァイアも跳躍して迎え撃ち、空中で両者の蹴りが激突して両者ともに弾き飛ばされる。

 モルヴァイアはその獣然とした姿とは裏腹に、連続バック転をすら軽々とおこなえるほどのアクロバティックな身軽さを持ち、かつて現れた別個体もウルトラマンダイナを格闘戦で翻弄したほど強かった。

 そして今度のモルヴァイアもエースと互角に渡り合い、身軽さを活かしてスラッシュ光線やパンチレーザーを避けるほどの手強さを見せつけた。だが、白い花のエナジーを得て特効を身につけたエースはモルヴァイアの攻撃を耐え凌ぎ、一瞬の隙をついて投げ飛ばすと、身をひねって必殺光線をお見舞いした。

『メタリウム光線!』

 三色の光芒が突き刺さり、モルヴァイアの邪悪なエネルギーを浄化して消し去っていく。そしてモルヴァイアは、その悪魔を具現化したような体を崩れ落ちさせながら爆発したのである。

「やったぜ!」

 遠巻きに見守っていた水精霊騎士隊の少年たちも喝采をあげた。

 モルヴァイアは四散し、メノーファもコントロールする頭脳であるシェフィールドが抜けたせいで停止したままでいる。あとはメノーファの残骸を始末すれば王宮は丸裸だ。

 そう、もはや王宮を守るものは無いに等しい。しかし、すでに王宮を守る必要などは無くなっていることを彼らは知らなかった。水精霊騎士隊といっしょに喜んでいたシルフィードが、真っ先にぞくりとする悪寒を覚えた。

「きゅいっ!? な、なんなのね、この気持ち悪い感じ。何か、何か怖くて悪いものが近づいてきてるのね!」

 野生の勘が、シルフィードに蛇の前に立ったネズミのような恐怖と危機感を感じさせていた。

 人間たちはまだ何も感じられない。けれど、リュティスの上空にはあのコウモリ姿の宇宙人が浮いて待ち、ついに訪れた終わりの始まりの瞬間の幕を高らかに上げた。

「さあ、地上には美味しい餌が待っていますよ。今こそ、その姿を能天気な人間どもにお見せいたしなさい。邪神の卵よ! アハハハ」

 リュティスを突如激震が襲い、窓ガラスが割れ、脆い家屋も崩れ去った。だが、そんなものに気をとられている暇はない。

 王宮の地底から黒々とした巨大な昆虫の脚のような触手が何本も突き出してくる。それは地上で止まっていたメノーファを抱き抱えると、丸ごと吸収し始めたのだ。

 その光景に、ウルトラマンAも脅威を感じて身構える。メノーファも巨大だったが、その触手はさらに巨大だ。こんな触手の元になる奴はどんなに巨大なのか? 才人とルイズも、新たな敵の出現に緊張を高めた。

〔一難去ってまた一難かよ。ったく、ボスラッシュなんて勘弁してくれってんだ〕

〔ワケわかんないこと言ってる場合じゃないでしょ。元から素手で竜を討つようなつもりで来たんじゃない。素手じゃないだけ恵まれてると思いなさい〕

 軽口を叩く才人と、貴族らしく毅然とした佇まいを崩すまいとするルイズ。その二人の見つめる前で、メノーファを食いつくしたそれはついに恐るべき巨体を地上に現した。

〔あ、あれはそんな!〕

 才人はその巨影に見覚えがあった。王宮をも見下ろすメノーファ以上の巨体。その表層はメノーファに似た薄紫色の皮膜で覆われているが、透けて見える巨大怪獣の特徴は才人もよく知るある怪獣と一致していた。

〔サイト、あれ知ってるの?〕

〔じょ、冗談じゃねえぞ。あんなでかいのが動き出したら〕

 戦慄するどころの話ではなかった。大きさこそ才人の知っているそれとは桁違いだが、あの頭部の特徴的な角と体の発光体は間違いなく奴だ。だが、あんなばかでかい奴がいるなんて聞いたこともない。

 間違いない。あれが敵の切り札だ。あれから感じられるとてつもない気配は、これまで戦ってきた怪獣たちの非でない。

 こいつは、とてもウルトラマンA一人で対処できるような相手ではない。と、そのときだった。巨大怪獣の頭部が動いてこちらを見た。そしてその眼前に真っ赤な火の玉を形成していく。

〔そんな! あんな繭みたいなかっこうで、もう動けるというの?〕

 ルイズが悲鳴同然に叫んだ。しかし怪獣の動きは止まらず、チャージされた火球は容赦なく放たれ、バリアで食い止めようとしたエースもろとも街を炎に包み込んでいく。

〔こいつを放っておいては、ハルケギニアが。いや、宇宙が危ない! 仲間たちよ、集まってくれ〕

 爆炎に吹き飛ばされていくウルトラマンAから、必死のウルトラサインがハルケギニア各地のウルトラの仲間たちへと飛んでいった。

 しかし、飛んでいくウルトラサインの光を見ながら、コウモリ姿の宇宙人は愉快そうにほくそ笑んでいた。

「想定通り想定通り。そうきますよねえもちろん。いくらウルトラ兄弟の一人でも、一人だけじゃこいつを倒すのは無理というものです。ですが、こいつの熟成にはもうひと手間必要ですから邪魔はさせませんよ。ウルトラマンの皆さんには、この時のために手間をかけて呼び寄せたゲストの方々と遊んでいていただきましょう」

 空を見上げ、宇宙人は笑い続けた。

 街の一角は炎に包まれ、巨大怪獣は王宮の半分を押し潰してなお不気味に脈動を続けている。

 その恐ろしい光景を、町中の水精霊騎士隊、郊外の市民たちやガリア軍も背筋を震わせながら見上げていた。

 こんな化け物、人間の力でどうしろっていうんだ? だが彼らは、この恐怖と絶望が始まりに過ぎないのだということを知らなかった。

 

 

 そして、所を変えてトリステインのある場所では、我夢たちとの合流を目指すアスカが馬車を急がせてもらっていた。

「走れ走れーっ、もっとスピード出ないのかよ」

 御者のミジー星人たちを急かしても、馬の足では車のようにはいかないのはもどかしかった。

 そんなときである、アスカは空にウルトラマンAからのウルトラサインを見た。ダイナはM78出身のウルトラマンではないが、読み方は教えてもらってある。とてつもない怪獣が現れたという緊急連絡を目にして、アスカは予定を変更してすぐにリュティスに向かおうとリーフラッシャーを取り出した。

 だが、変身しようと馬車から飛び出そうとしたアスカはあり得ないものを目にして止まった。輝くウルトラサインの隣の空に、真っ昼間だというのに月が浮かんでいる。

「なんだありゃあ?」

 空を見上げるアスカにつられて、ジェシカやスカロンたちも空を見上げていぶかしんだ。

「なんでこんな時間に月が出てるの?」

「待ってジェシカちゃん。あの月、色が変よ。青でも赤でもないわ。あれは、月なんかじゃないわ!」

 そう、ハルケギニアの月は赤か青のはずだ。つまり、あれは月ではなく、月に見えるくらい巨大ななにかが空に浮いているということになる。

 いったいあれは……?

 唖然とするアスカたち。だが、敵は考える暇を与えてはくれなかった。アスカの頭にテレパシーのようなもので、強烈な敵意が叩き込まれてきたのである。

”ミツケタゾ、オマエガウルトラマンダイナカ”

 その声が聞こえた瞬間、月のような何かからこちらへ向かって飛んでくるものが見えた。

「なんだあれは」

 大きい、しかも速い。それはアスカたちの見ている前でみるみるうちにこちらにやってくる。アスカはとっさにみんなに向けて叫んだ。

「まずい、馬車を止めろ! みんな、伏せろ」

 アスカが叫んだ瞬間、何かは平原にその巨体を土煙と地響きをあげて着地してきた。馬車はスピードを落としたおかげで転倒は免れたものの、衝撃で激しく揺さぶられて、アスカは馬車から体を乗り出させながら、身長五十メートルはあるそいつを見上げながら言った。

「宇宙人? まるで虫みたいな奴だ」

 そうとしか表現のしようがなかった。昆虫……まるでセミのような顔、クワガタの角のような頭部、そして両手の大きなハサミ。

 そいつは両手のハサミを持ち上げて笑うように体を揺らすと、地上のアスカへハサミを向けて、開いた。

 

 また、同じことは山岳部にいる我夢と藤宮の元にも起きていた。

 空から突然現れた巨大な異星人。そいつは二人がウルトラマンガイアとアグルだと知って襲いかかってきて、二人は敵の意図を即座に読み取った。

「今度は間違いなく、あいつの差し金だね。僕たちをここで足止めか、あわよくば始末するのが目的だろう」

「だが、俺たちがそれに付き合ってやる義理はない。奴の計画が終わって、この世界が白昼夢から目覚めるなら、こっちも存分に動けるようになる。我夢、時間をかけずに切り抜けるぞ」

 敵の力は未知数だが、ウルトラマン二人を相手に差し向けられるなら並みの相手であるわけがない。ここを抜けてリュティスに行けるか、それとも足止めされて手遅れになるか……。

 

 そして、宇宙人の攻撃の標的とされたのはもう一ヶ所……それは戦火から遠いと思われていたトリステイン魔法学院へと向けられていた。

「きゃああっ、怪獣よ!」

 学院のメイドたちが突然現れた宇宙人に驚いて逃げ惑っている。学院の生徒たちの中には杖を手に取る者もいるが、宇宙人は人間たちをオレンジ色に輝く目で一瞥すると、手のハサミから発射する光線で校舎を破壊しながら、慌てて飛び出してきたティファニアたちの見上げている前で叫んだ。

「デテコイ、ウルトラマンコスモス! キサマニヤブレ、コドモノオアソビヘトダラクシテシマッタワレワレノクツジョクトイカリ、イマコソキサマニオモイシラセテヤル!」

 憎悪のこもったその声に、ティファニアはぞっと寒気を覚えた。

 あの怪物は、コスモスを狙ってやってきた? 彼女はコスモプラックを取り出すと、自分の中のコスモスが憮然とつぶやいた声を聞いた。

〔バルタン星人……〕

 

 

 続く


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