ウルトラ5番目の使い魔   作:エマーソン

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第21話  踊れ! 怪獣大舞踏会 (前編)

 第21話

 踊れ! 怪獣大舞踏会 (前編)

 

 カンガルー怪獣 パンドラ、チンペ

 歌好き怪獣 オルフィ

 風船怪獣 バンゴ

 玉好き怪獣 ガラキング 登場!

 

 

 この事件の発端は、才人達がツルク星人と戦った、その三日後に、魔法学院を遠く離れたある山奥で始まっていた。

 誰も立ち入らないような深い渓谷の奥を、鋼鉄の鎧を身にまとった竜騎士が低空で飛んでいく。

 ここは、クルデンホルフ大公国領内、オットー山。魔物が住んでいるといわれ、現地住民すらめったに足を踏み入れないという魔の山であった。

 そんなところを、五騎の竜騎士は何かを探すようにきょろきょろと首を振りながら、ゆっくりと飛んでいた。

「おい、本当にこの辺なんだろうな?」

「ああ、道に迷って奥地に入り込んだっていう猟師の話が確かならな」

 彼らは、手に持った山岳の不確かな地図を頼りに飛んでいく。

「まったく、それにしても旦那様の思いつきにも困ったものだ、いるかどうかも分からないものを探して来いとは、見つからなかったら我らはなんとお詫びすればよいことやら……」

 騎士のひとりが、兜の裏からうかない声を出すと、他の仲間達も同意するように首を振った。

「やむを得まい、我らは所詮雇われた身。それに……ん? おい、あそこの山肌を見ろ!」

 突然、編隊右翼を飛んでいた騎士が、切り立った山肌の一角を指差した。

 その声に、仲間の竜騎士も、竜をホバリング状態にして、そちらの方向を見て息を呑んだ。

「あれは……どうやら目的のものらしいな。よし、仲間がこないうちにさっさと済ませてしまおう。眠りの煙と檻の用意はいいか?」

「準備はいいです。いつでもいけます」

「よし、かわいそうだがこれも仕事だ。煙玉を投擲しろ!」

 これが、その数日後どういう事態を招くか、そのとき彼らは知るべくもなかった。

 

 

 それから三日後、トリステイン魔法学院

 

 いつもは退屈な授業に眠そうな顔を並べる生徒達も、今日この日ばかりは朝から顔を輝かせ、日が昇るころから夕暮れを楽しみに友と飽きることなく語り明かす。

 今日は、魔法学院年に一回の春の行事『フリッグの舞踏会』の日、学年も家柄も関係なく、親睦を深めるために、男女は皆着飾って語り、食べ、飲み、そして踊る。それは新たな友情や、時には恋が生まれる大切な日なのだ。

 特に今年は、本来この一月半前におこなわれるはずだったのが、超獣ベロクロンのトリスタニア襲撃により、それどころではないと延期されてきたために、おあずけを喰らった生徒達の盛り上がりようは例年にないものがあった。

 この日は授業も午前中で切り上げられ、貴族の若き紳士淑女達は、秘蔵していたスーツやドレスを引っ張り出す。

 会場となるのは、アルヴィーズの食堂の上の大ホールで、全校生徒を収容しきれる広さのそこに、学院の使用人やメイド達がいすやテーブル、ほかの様々な小道具を何往復もして運び込んでいった。

 

 そんな様子を食堂外の壁際で物珍しそうに観察していた才人は、貴族のお祭りというのはさすが平民とは違うなあと考えていた。

「おーおー、たかが学生の行事だってのに、すごい量の飾りつけだなあ。俺達が必死こいて買い込んだものが、たった一晩で使い果たされると思うとなんかやりきれないよ」

 昨日、馬車いっぱいになるまで買いこんできた食料品や小道具は、あっという間にからになって、会場に運び込まれ、普段殺風景なそこを優雅に飾り立てている。

 しかし、日本の高校生にとって、舞踏会なんてものはテレビの中にしか存在しないために、すでに異世界にいるのに異世界の出来事を見るかのように、才人はぼんやりとその様子を眺めていた。

 そんなときに、たまたま通りかかったのか、両手いっぱいに洗濯物を持ったシエスタが横に並んで話しかけてきた。

「サイトさん、お疲れ様です。どうですか、フリッグの舞踏会は? 春の使い魔の召喚と並んで、学院の名物なんですよ、ああ、わたしもあのホールで着飾って、サイトさんみたいな人と踊ってみたいなあ」

 シエスタは、ぽーっと遠いところを見るように言った。メイドのシエスタにとっては、舞踏会など手伝いはあっても参加など夢の話。しかし華やかな舞台に憧れるのは、女の子にとって永遠の夢である。地球でも、シンデレラの物語がいまだに絶大な支持を持つのがその証拠だ。

「シエスタのドレス姿か、すっごくよく似合うと思うよ」

「えっ! ほ、ほんとにそう思いますか! ミス・ヴァリエールやミス・ツェルプストーより! やったあ!」

「いや、そこまでは言ってないんだが……」

 普通に思ったことを言ったつもりだったのだが、どうやら自分に都合のいいように解釈するのも世界の違いはないようだと才人は思った。

「う、うん……ところで、シエスタは今から洗濯かい?」

 これ以上シエスタを舞い上がらせると危険だと判断した才人は話題を変えることにした。

「はい、今日はお天気がいいので今からでもすぐに乾いちゃうでしょう。天気のいい日にはお布団を干すものです」

「そうだね、あ、そうだ、ところでアイちゃんはどうしてるかい?」

「ロングビルさんが預かってるはずですが、ここにいる間に教養をつけておくって、暇なときに読み書きを教えるって言ってましたから、今頃図書館じゃありませんか」

 ハルケギニアでは平民の識字率は低い。シエスタは学院に来る前に修道院で学んだそうだが、彼女いわく字が読めるおかげで学院での仕事も読めない人に比べて多いそうだ。日本で漢字や英語検定が就職に役立つのと同じようなものだろう。どうやら、ロングビルは本気でアイの保護者をする気のようだ。

「そうか、ミラクル星人も安心するだろう。けど、俺もそうだったけど、この学院で平民は肩身が狭いじゃないか。ロングビルさんも、始終つきっきりというわけにはいかないだろうし、大丈夫か?」

 才人がそう言うと、シエスタは難しい顔をした。この学院はとかく貴族というだけで平民の使用人やメイドを見下す者が多い。才人がギーシュとの決闘に勝ってからはそれほどでもなくなったが、悪習というものはなかなか消えないものだからだ。

 もし、自分達の見えないところでいじめられでもしたらと、才人は心配だったが。

「そのことなんですが、実は事情を聞いたオスマン学院長が自分の親戚の子だと言って、面倒を見ているそうです。まあ、暇はありあまってる人ですし、学院長の身内となれば手を出す人はいないと思いますが」

「学院長が? あのじいさんそこまで守備範囲広かったのか?」

 才人はオスマンが関わっていると聞いて悪い予感がした。確かにやっていることは美談だし、オスマンが悪い人ではないのはわかっているが、オスマン学院長といえば、女子生徒から女教師まで日中から胸や尻を平気で触ってくるセクハラジジイとして学院では知らない者はいない。そんなのにいくら子供とはいえ、女性を預けていいものか。

 ふたりが、もはや想像するだにヤバすぎる光景に慄然となったとき。

 

「あら、ご両人、こんなところでデートの相談かしら?」

 

 と、いつの間に現れたのかキュルケが二人の前に立っていた。

「あら、ミス・ツェルプストー、生徒の皆さんは今頃みんな舞踏会の準備にお忙しいと思ってましたが」

「あたしはこういうの慣れてるから、余計な時間は必要ないのよ。ところで、なんのお話してたのかしら?」

 

 そして二人から事情を聞くと、あははと笑って言った。

「そりゃ大丈夫よ。大方、幼いうちにつばつけて十年後に自分に惚れさせようっていう魂胆でしょうよ。多分、言い出したのはミス・ロングビルのほうね。将来絶世の美女になるとか、うまいこと言ってその気にさせて養育費を出させる腹でしょ」

「はぁ? 三百年も生きてるくせに、まったく呆れたじいさんだ。だがまあそれなら安心だな。それにあんなジジイに女が惚れるなんてありえないし」

 才人は悪い予感がはずれていたとわかってほっとした。 

 だが、キュルケはチッチッチと、才人の目の前で指を振って見せた。

「あら、そこのところは違うわよ。女は年齢や顔なんかで生涯の男を選んだりしないわ。上っ面に引かれるのはお子様だけ、まあそれも駆け引きのひとつなんだけどね。だからダーリンも、もっと自信を持っていいわよ。あの野蛮な空中装甲騎士団の連中なんかより、よほどいい男なんだから、ねえシエスタ?」

「そうですよ。サイトさんほど男らしい人なんていませんって、ミス・ヴァリエールだって、ああ見えてサイトさんが気になってしょうがないんですよ、きっと」

「ルイズが? まさか、ないない」

 シエスタの言葉を、才人は一笑にふした。あの高慢ちきな貴族様が、俺のことが気になる? まあそりゃあ短い付き合いだけど生死を共にしてきた仲だが、いつもは犬よばわりで、あるだけ雑用を押し付けてくるような鬼が? ありえないだろと思ったが、シエスタとキュルケは顔を見合わせて、やれやれとうなづきあっていた。

 

「そういえば、空中装甲騎士団ってなんだ?」

 ふと才人はさっきキュルケの言葉の中に出てきた、聞きなれない単語について質問してみた。

「あら、知らなかったの? ほら、あれよ」

 キュルケが指差した先には、先日まで見受けられなかった多数の野営用テントと、係留されている数十頭の飛竜、それの世話をしている無骨な騎士達の姿があった。

「空中装甲騎士団(ルフトパンツァーリッター)、クルデンホルフ大公国の私設竜騎士隊、トリステイン王軍のグリフォン隊を除けば、現在トリステイン最強と言われる空中騎士団よ」

「つまりトリステインNo2の戦力ってわけか。しかし軍隊だろ、ここは学校だぜ?」

 よくわからなそうに答える才人に、キュルケは舞踏会のおこなわれるホールを指し示して説明していった。

「ダーリンはトリステインの事情にあんまり詳しくないんだったわね。んーと、簡単に説明すると、クルデンホルフ大公国ってのは、トリステインの貴族のひとつなんだけど、大公国ってつくように名目上は独立国なの。それで、大変な資産家でもあるから数多くの貴族が借金をしてるし、一月前にトリタニアが壊滅したときには大量の復興資金がクルデンホルフから入ったわ。つまり、トリステインの貴族達はクルデンホルフに金貨でできた首輪でつながれたようなものなの」

「金持ちには貴族も逆らえないってわけか、なるほど、それであいつらはその貴族の子弟らに」

「そう、将来にわたって影響力を行使するために威嚇しに来たってわけ。かくいうここの運営資金もかなりな量クルデンホルフからの寄付でまかなってるっていうし、学院長も断りきれなかったんでしょ」

 キュルケはつまらなさそうに鎧を光らせている騎士団を眺めていた。

 と、そのときひときわ大きいテントの中から、金髪をツインテールにまとめた小柄な女の子が出てきて、才人は目を丸くした。

「え、女の子?」

「あれが、その空中装甲騎士団の指揮官で、クルデンホルフ大公国の長女、ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフ、本来魔法学院には来年入学だけど、顔見せでやってきたんでしょ」

 そこまで言うと、説明にくたびれたのかキュルケはふわあとあくびをした。

 どうやらキュルケはベアトリスのことは完全にどうでもいいらしい。まあ元々ゲルマニアからの留学生である彼女にとっては、トリステインの貴族の事情など他人事だ。 

 また、シエスタにとっても普段いばりくさっている貴族が借金で首が回らなくなっても、別に同情には値しないために、どこ吹く風、考えてみれば才人にとってもどうでもいい。

 遠くて、何を話しているのかはわからないが、ベアトリスは自分の親ほどにも歳の離れた髭面の騎士にあれこれと偉そうに命令している。

(あれま、どうやらありゃまた簡単に友達になれそうにないタイプだな)

 才人達が遠目で眺めていると、ベアトリスは何人かの騎士を連れてどこかに行ってしまった。

 そして、シエスタも洗濯物を干すために行ってしまい、残ったキュルケが才人を自分の部屋に連れ込もうとしていたところで、もはや血に刻まれた宿命か、砂煙と地響きを猛ダッシュで引き連れて、額に青筋を立てたルイズがやってきた。

 

「サイトぉ!! ご主人様のドレスの着付けも手伝わないでどこほっつき歩いてたの!! し、しかもまたキュルケと……そんなに死にたいなら今ここで楽にしてあげるわよ!!」

 息を切らしているところから見ると、どうやら学院中を才人を探して走り回っていたらしい。端から見たら可愛らしいものだが、目を血走らせて乗馬鞭を持っている点で減点百点がついている。

「い、ルイズ落ち着け、ドレスの着付けって、俺にそんなことできるわけねえだろ」

 冷や汗を流しながら才人は必死に弁解した。キュルケがいるせいか、ルイズの怒りもいつもの五割増しに見える。乗馬鞭がぶっちぎれそうなくらい張り詰めて、このままではバードンの前のケムジラさながらに息の根を止められてしまう!!

 なんとかしなければ!! まだ死にたくはない!! 才人の生存本能は盛大に警鐘を鳴らしていた。

 そんな怒り心頭のルイズの前に、風前の灯火の才人だったが、そんな面白そうなものをただ見物しているだけでは我慢できないのがヴァリエールの仇敵のツェルプストーである。

「あはは、ねえルイズ、あなたお馬鹿? ドレスの着付けを一番見てもらいたい人にやってもらっちゃあ見せる楽しみがないじゃない」

「なっ!?」

 瞬間的に、過剰運動と怒りで赤くなっていたルイズの顔が、別の意味でさらに真赤になった。

「ななな、なな」

 何か言いたいようだが、パニックで舌がもつれて言葉にならず、なを連発するばかり。

 それを見てキュルケはさらに愉快そうに笑う。

「あなたって本当に面白いわねえ。着付けだったらシエスタに頼めばいいじゃない、わざわざそんな汗まみれになって探しにくるってことは、近くにいてくれないと不安なんでしょう?」

「ななっ……なに根も葉もないこと言ってくれてんのよあんたは! ええい、さっさと来なさいサイト! 言っとくけど、今夜の舞踏会に特別待遇で参加できるからって調子に乗るんじゃないわよ。へらへら他の女の子に見とれてたりしたら叩き出すからね!」

 そんなことを言う時点で才人のことを意識してるのだと公言しているようなものだが、本人には当然自覚がないため、さらにキュルケに笑われるばかり。

 才人も、人が大勢いる舞踏会で人に目をやるななんて無茶だと思ったが、理屈の通用する相手ではない。だがこのまま連れて行かれて折檻されるのもやだと思った彼は、常人の七割くらいは詰まっている脳髄をこのときフル回転させた。

 

「いや、ルイズ、悪いがそれはできないぜ」

 

「なんですって、もう一度言ってみなさい?」

 ルイズの目が蛇のように下から睨みあげてくる。ここで対応を間違えたら死ぬ。彼は本能的にそれを察知し、精一杯の笑顔を見せてこう言った。

「だって、そんなことしたらお前がほかの誰よりも輝いているのが確認できないじゃないか。月が瞬く無数の星の中でこそもっとも美しいみたいに、星々の中で輝くルイズの姿を俺は見たいんだよ」

 それを聞いて、怒り心頭だったルイズの表情が一瞬で変化した。

 夢を見ているように視線が宙を舞い、やがて、ねめあげていた顔がしだいにうつむき加減になっていく。

「そ、そう、そんなに言うんだったら、まあ……わたしも鬼じゃないし、けど、だったら誰よりもわたしを見てなさいよね。わかった!?」

「ああ、わかってるって!」

 才人がそう答えると、ルイズはまだ、ぽけーっとした様子で、千鳥足をしながら、どこかにふらふらーっと歩いていった。

 そして、完全にルイズの姿が見えなくなると、一気に緊張が抜けた才人は腰の力が抜けて、土の上にへたりこんでしまった。

「はー、死ぬかと思った……」

「なかなかやるわね。でも、とっさによくあんな口説き文句思いついたわね」

「さっきギーシュが金髪縦ロールの女子に同じこと言ってたの思い出したんだ。まったく、あいつはよくもまああんなクサい台詞を平然と言えるもんだぜ。うー、気持ち悪」

 さっき自分が言った台詞を思い出して、才人は全身に悪寒が走って、ぶるっと震えた。

「あっはっは、なるほどね。ま、陳腐な内容だからそんなことだろうとは思ったけど、ルイズには効果はあったみたいね。ほんと単純なんだから」

「まあ、ここまでうまくいくとは俺も思ってなかった」

 ふたりは顔を見合わせて、笑いあった。

 だが、しばらくするとキュルケは真顔になって、才人の額と自分の額がくっつきそうになるくらいまで顔を近づけて言った。

「でもね。例え苦し紛れの嘘でも、それを本当にしてあげるのが立派な男ってものよ。今夜は約束通り、あの子を一番に見てあげなさい。いいこと?」

「……そうだな、だますのはよくない。今夜は、あいつに付き合ってやろう」

 こういうところでは、才人もまたいっぱしの男であった。

 

 

 そして、時間はあっという間に過ぎ、日が暮れて月も高く上がり、フリッグの舞踏会は盛大に開催された。

 学院長のあいさつが適当に聞き流され、主賓となる生徒達が、きらびやかなドレスに身を飾って次々入場してくる。

「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおなーりー!」

 ルイズも、白いパーティドレスに身を包んで現れ、いつもとは違うフランス人形のような可憐さをかもし出す姿に、馬子にも衣装だと期待していなかった才人も、一瞬我を忘れて見入ってしまった。 

「お、お前ルイズか?」

「ほかに誰がいるっていうのよ?」

 思わずそう聞いてしまった才人に、ルイズは顔をふくらませて言った。

「ふん、どうせ似合わないとか、あっちの子のほうがきれいとか思ってるんでしょ。わかってるのよ」

「いや……正直想像以上だった……お前、こんなにきれいだったんだな」

 それはまごうことなき才人の本音であった。女の子は着るものが違うだけで、ここまで印象が変わるものなのか、こっちのほうがよっぽど魔法だと、ルイズから目が離せなくなっていた。

「ふ、ふん、あんたにしちゃ上出来のお世辞じゃない。まあ、素直に喜んでおいてあげるわ!」

 思いもよらぬ才人の言葉に、今度はルイズのほうが我を忘れてどぎまぎする。

 ふたりはそのまま、お互いに話しかけられずにもじもじしていたが、そうして無駄な時間をとってしまったおかげで、そんなふたりを見つけたキュルケが、間に割り込んできた。

「ご両人! なーにマネキンみたいに突っ立てるの、せっかくの舞踏会の雰囲気が台無しよ」

「い!? キュルケ」

 いきなり肩を叩かれてそう言われ、ふたりはびっくりして飛び上がった。

 キュルケはルイズと正反対に胸元をはだける扇情的なドレスを着ていて、別の意味で才人の目が釘付けになり、ルイズはいきなり現れたキュルケに対して不快感を隠そうともせずに怒鳴った。

「キュルケ! あんたはどうしてもういつもいつも、ずかずかと乗り込んでくるのよ。あんたは普通にもてるんだから、その辺で適当な男と踊ってればいいでしょう!?」

「そうするつもりだったんだけどね。見てご覧なさいよ、舞台を無粋なやからが占拠しててそれどころではないわ」

 ふたりは、ホール中央部に目を向けた。今までお互いしか見えてなくて気づかなかったが、ダンスホールの中央に、鎧姿の騎士達、例の空中装甲騎士団が陣取っていて、華やかな舞台に不釣合いな重苦しい雰囲気を放っていた。

「なんだありゃ? 仮装パーティのつもりか?」

「違うわよ、なんでもこの機にトリステインの将来を担う空中装甲騎士団の威光をご披露なさるそうよ。まあ貧乏貴族の子弟に脅しをかけて、あわよくば借金のかたに空中装甲騎士隊に入隊させて、戦力の増強を計ろうっていうことじゃない?」

「はっ! 成りあがりの三流貴族の考えそうなことね。金銭と打算だけで世の中が動かせると思ったら大間違いよ」

 ルイズは伝統あるフリッグの舞踏会を、無粋な鉄くずで汚すやからに、激しい嫌悪を見せた。

 ほかの生徒達も、ホールの中央を占拠する騎士達に不快な様子を示していたが、その中にはかなりの割合でクルデンホルフに首根っこを押さえられている貴族達がいたし、完全武装の戦闘のプロ集団に手を出そうという無謀なやからもいなかったので、彼らはホールの主のようにそこに君臨していた。

 だがそのとき、呼び出しの衛士が、高らかに彼らの主人の名を告げると、ホールの全員の目が入り口の門のほうに集中した。

「クルデンホルフ大公国が息女、ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフ殿下、おなーりー」

 ホールの大きな門が開き、昼間見たツインテールの少女が、きらびやかに無数の宝石をちりばめたドレスをまとい、五、六人の彼女よりやや年上の少女を連れて入場してきた。

「あれがクルデンホルフのお姫様か、ものすっげえ金持ち主義」

 才人はそのルイズの衣装すら安物に見えかねないほど豪華に飾り立てられたドレスを見て呆然とした。数百のダイヤを中心に、ルビーやサファイヤが赤と青のアクセントをとり、まるで歴史の教科書で見た大英帝国黄金時代のエリザベス女王のようだった。

 しかし、ルイズとキュルケは、それに対して、きらびやかというより、けばけばしいという印象しか抱いていなかった。

「はあ、気品もなにもあったものじゃないわね。あれじゃ宝石が着てる人間を飾り立てるんじゃなくて、人間が宝石の付属物みたいじゃない」

「今回はあなたと同意見ね。ドレスはすばらしいけど着てる人間が追いついてないわ、あの子には十年早いわね。それより、後ろのお付の五人、あれ一年のシーナと二年のメディナ、うちのクラスのキャメルもいるわ。みんな領地経営が苦しくて、クルデンホルフに多額の負債を抱えてるところの子よ」

「金貨と権力と負けて、強い者にすりよって保身をはかるなんて、貴族の風上にもおけないわね。トリステインの貴族も落ちたものだわ」

 ルイズはそう吐き捨てたが、困窮して家と家族を守るだけで精一杯の貴族がいるということを理解していない辛辣な台詞でもあった。

 やがてホール中央の、周りを見渡せる壇上に立ったベアトリスは気分よさそうに皆を見渡すと、高らかに演説をぶりはじめた。

 

「皆様ごきげんよう。お初にお目にかかります、わたくし、ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフと申します。まずは、このすばらしい席にお呼びいただいたことを感謝いたしますわ」

 誰が呼んだんだよ、と多くの者が思ったが、当然口に出す者はいない。むしろ、クルデンホルフに頭が上がらない者達から拍手があがるほどだ。

「ありがとう皆さん。わたくしも来年にはこのトリステイン魔法学院に入学し、共に国の将来を背負うべく学びにつくのですから、ここで先輩の皆様方と親交を持てるのは至上の喜びですわ。昨今、この国は外敵の脅威にさらされ、隣国は今なお内戦のただなかにある今、我がクルデンホルフも私財を投げ打って国の平和のために尽くしていますが、それも皆々様のようなご立派な貴族の方々の協力なくしてはなしえないこと。今後ともトリステインに恒久的な平和と繁栄をもたらすために、共に手を携えていきたいと考えております。そして、賢明な皆様方でしたら、必ずやよりいっそうのご協力をいただけるものと確信しておりますわ」

「なんだありゃ、まるでトリステインを守っているのは自分みたいないいぐさじゃないか」

 才人はベアトリスの演説の、あまりにも居丈高で高慢な内容に唖然とした。

 ルイズやギーシュも高慢という点では同じだが、それでもまだ貴族として自分を律しようというところがあった。だが、これではまるで弱虫泣き虫を従えるガキ大将のようだ。

「だから、成り上がりって言ったでしょ。クルデンホルフは元々ゲルマニアの者だけど、功あって時のトリステイン王から独立を認められて、それ以来ゲルマニアならではの経営戦略と貿易で急成長してきたんだけど、昔からの貴族とのつながりがないから、金で弱小貴族をクモのように絡め採ってきたのよ。聞くだけ馬鹿馬鹿しいわ、ホールが空くまで飲むから、酌をしなさい」

 ルイズはクルデンホルフの自慢話と恫喝など興味はないと、バルコニーのテーブルについて、ワインを要求した。

 才人とキュルケも同じくどうでもよかったので、近場のテーブルからいくつかのワインボトルを取ると、ルイズのテーブルに運んだ。

「サイト、あんたも座りなさい」

「えっ、いいのか?」

 てっきり酌だけさせられて、後は立たされて用事を言い使わされるだけだと思っていた才人は思わず聞き返した。

「いいわよ。一人で飲む酒は悲しみを忘れるためのもの、楽しむ酒は大勢でいっしょに飲むもの、お父様の教えの受け売りだけど、あんたみたいなのでもいないよりはましでしょ。さっさと座りなさい」

「じゃあ、遠慮なく。ワインは赤のほうが好みだったな、確か」

 才人はルイズの隣の席に座ると、グラスにワインを注いでやった。

 と、そこへどこから見つけてきたのか、キュルケが皿に山盛りのサラダを大事そうに抱えて口を膨らませているタバサを連れてやってきた。

「そういうことだったら、わたし達も仲間に入れてもらうわよ。せっかくの舞踏会、踊れないんじゃつまらないからね。んじゃ、さっそく乾杯しましょ。はい、かんぱーい」

 キュルケの音頭で、四人はカチンとグラスを合わせて、ワインを口に運んだ。 

 壇上ではまだベアトリスの演説が続いている。校長先生や政治家の話も大抵長くてつまらないが、その理由としては短くわかりやすくまとめる才能がないのか、単なるしゃべりたい病の独演であるからかだが、今回の場合両方であるようだ。

 才人達は、他愛もない話で時間をつぶしながら、度数低めで口当たりのいいワインを楽しんでいた。

 

 やがて、何分過ぎたかは分からないが、ほどよくアルコールが回って体があったまってきたところで、ようやく長いだけの演説もきりがきたようだ。

「さて、ではここで我が空中装甲騎士団の武を披露したいと思います」

 ベアトリスがそう言って壇上から降りると、直立不動で待機していた空中装甲騎士団が一斉に、剣のように凶悪な形をした杖を取り出して構えをとった。

 なんだなんだと、生徒達は、ただならぬ雰囲気にざわざわと騒ぎ出す。ベアトリスは武を示すと言っていたが、こんなところで模擬戦でも披露しようというのか。

 また、離れて様子を見ていた才人達も、その物々しい雰囲気に気づいていた。

「あの姫さん、なにか始める気みたいだな」

「どうせろくなものじゃないでしょ。はーあ、今年のフリッグの舞踏会は最悪ね。しかも来年にはあの馬鹿が正式にこの学院に来るっていうし、お先真っ暗だわ」

 ぐいとグラスを飲み干して、しらけた様子でルイズは言った。

「しかしいったい何をする気かしら? 見て、彼ら庭に下りていくわ」

 空中装甲騎士団は、バルコニーから見下ろせる学院の中庭に下りていく。まあホールの中でドンパチやられるよりはましだが、舞踏会を武道会にするつもりなのか?

 しかし、そんな冷ややかな視線に気づいていないのか、ベアトリスはルイズ達のとなりから空中装甲騎士団を見下ろして高らかに宣言した。

「皆さん、近年トリステインを初めとするハルケギニア全土において、怪獣による災害が多発しておりますが、我が空中装甲騎士団は、そんなものには屈しない強さを持っていることを、ここに証明いたしましょう。さあ、獲物をこれに!!」

 ベアトリスはそう言って、右手を高くかかげた。

 

 まさに、そのとき。

 

 突如足元から突き上げるような衝撃が伝わってきたかと思うと、大地がうなり、学院全体を巻き込んで激しく振動しはじめたではないか。

 テーブルの上のグラスや皿が床に落ちて乾いた音を立てる。立っていられなくなった生徒が転んで、豪華なドレスやスーツを散乱した料理で汚して悲鳴をあげる。

「じ、地震か!?」

 だが、それはそんな生易しいものではなかった。

「あっ、あれを見ろ!!」

 バルコニーにいたひとりの生徒が外を指差して叫んだ。

 その先には、この間怪獣アングロスが暴れて破壊されたままになっていた外壁から、学院の外の草原の土が盛り上がり、そこから二頭の巨大怪獣が姿を現すのが見えたのだ。

 一匹は、白く柔らかそうな体毛に包まれて、頭に生えた一本角がコアラのようなユーモラスな顔と不釣合いな怪獣。もう一匹は全身土色で、ラクダみたいな顔と眠そうな目つきに、なんというかお腹からぷっくり突き出た出べそが目立つ怪獣だった。

「か、怪獣だ!?」

 怪獣の出現に生徒も教師達もざわめきたった。

 早くも逃げ出そうとして門に駆け出す者、コルベールのように賢明な教師連は生徒達の避難経路を確保しようと迅速に行動し始めていたが、そのときある一人の生徒が、なにをどう勘違いしたのか、とんでもないことを叫んだ。

 

「さすがクルデンホルフの空中装甲騎士団、怪獣を倒すところを我々に披露していただけるというわけですね!!」

 

 それを聞いて場の空気が一気に変わった。

 なんだ、あれはベアトリス殿下の演出か、それならば安心だ、すごいサプライズを用意していたんだなと、衆目の目が一斉にベアトリスに向けられた。

 もちろん、いくら権勢を誇るとはいっても一介の貴族が怪獣など用意できようはずもない、しかし集団心理が働いてすっかりその気になった群集に見つめられて、ベアトリスも後には引けなくなってしまった。

「ほ、ほーっほっほっ、そ、そのとおりですわ、わたくしの空中装甲騎士団にかかれば怪獣の一匹や二匹、さあ、全員竜に騎乗しなさい。空中装甲騎士団前へ!!」

 空中装甲騎士団の団員達は、その命令に一瞬躊躇したが、鎧のおかげでそれを気取られずにすんだ。だが、彼らにもトリステイン最強と名をつけられている自負があるし、なにより主人の命令は絶対である。口笛を吹いてそれぞれの竜を呼び寄せると、勇ましく飛び上がっていった。

 その勇壮な姿に、少年少女の間からは歓声もあがるが、最初から冷めた目で見ていた才人達はなんの期待も抱いていなかった。

「馬鹿だな、ベロクロン一匹に王軍が壊滅させられたのに二十騎そこらの竜騎士でどうなるっていうんだ」

「自分達は違うって特別意識を持つものなのよ。それよりも才人、あれも超獣?」

 ルイズの問いに、才人は空中装甲騎士団の照らした明かりにまぶしそうにしている二匹の怪獣の姿を、かつて愛読していた怪獣図鑑の内容と照らし合わせてみた。

「いや、白っぽいやつはパンドラ、茶色いのはオルフィ、どっちもヤプールとは関係ないはずだ。ハルケギニアに元々住んでたやつじゃないか?」

 地球もハルケギニアも、馬もいればネズミもいる。だったら同じ怪獣がいてもおかしくはないだろう。

 と、そのとき同じように二匹の様子を見ていたキュルケが楽しそうに言った。

「でもさあ、なんか二匹とも可愛くない? 特にあの白いほう、ぬいぐるみみたい」

「キュルケ、あんたなに言ってるの? 怪獣は所詮怪獣でしょ……けど、なんか気の抜ける顔をしてるわね」

 ルイズも、パンドラとオルフィにはいまいち敵愾心が湧かないようだ。それもそのはず、パンドラもオルフィも森の木などを餌にする草食性の怪獣で、すりつぶす臼歯は持っていても切り裂く犬歯は持っていない。

 それを証明するように、才人も笑いながら言った。

「心配しなくても、あいつらはどっちも大人しいはずだ。人間に危害を加えたりはしないさ」

 この二匹は、どちらもZATの時代に事件が起きているが、どちらも原因は人間側や宇宙人の仕業で、彼らはむしろ被害者として扱われている。

 また、オルフィは怪獣頻出期が終わった後も、生息地が保護下に置かれて、年に一度姿を見せる特別な怪獣として、才人も幼いころから親しんできた怪獣だ。

 しかし、解せないのは、普通なら二匹とも人目を避けて山奥に住んでいるはずなのに、なぜこんなところに出てきたのか。

 だが考えている間もなく、ルイズは席を立った。

「そんなこと言っても、学院が壊されちゃうかもしれないじゃない。行くわよサイト!」

「お、おい、ちょっと待てって!」

 駆け出そうとするルイズを抑えて、才人もやむを得ず変身しようかと思ったが、その手のウルトラリングは光ってはおらず、再び心の中からエースの声が響いてきた。

(あの怪獣からは悪意は感じない。もうしばらく様子を見るんだ)

(エース!? でも)

(才人君の思うとおり、怪獣も暴れるにはそれなりの理由がある。あの二匹がなぜここに現れたのか、それを探ってからでも遅くはない)

 エースの心には、かつて超獣バクタリと戦ったときに、ウルトラセブンに教えられたことが蘇っていた。怪獣といえども、むやみに殺してはいけない。冷静な目で、助けられる方法がないか見極めなければならないと。

 

 だが、そこにギーシュやギムリを初めとする男子生徒達が集まってくるにつれて、悪い予感がひしひしと高まってきた。

 

「諸君、学院の危機に我ら貴族の子弟が黙って見ていることができようか! 皆に問おう、この学院を守るのは空中装甲騎士団か? それとも我ら水精霊……いや、WEKCか? 答えは決まっている。さあ、行こう!!」

 ギーシュがいつもの調子で演説し、十数名の少年達は、わっと二匹の怪獣に向かっていった。

「いたよ、こっちにもバカが……」

 呆れ果てた表情で四人は突撃していくギーシュ達を見ていた。勇敢なのは大変けっこうだが、考えなしに突撃して、怪獣を怒らせたらどうする気なのか。

 たった一人残った良識派のレイナールが寂しそうにやってきて、才人は同情をこめてなぐさめた。

「ごめん、僕は散々止めたんだけど」

「君のせいじゃないさ。まあ、死にゃしないだろ」

 

 

 外壁の外では、空中装甲騎士団、WEKC、そして二匹の怪獣の乱戦になっていた。

 だが、騎士達と少年達はそれぞれの存在が邪魔になりあってうまく戦えないでいた。WEKCも空中装甲騎士団も、共に相手を誤射する危険があってうかつに魔法が使えない。

 そんな様子を見て、ベアトリスはバルコニーから金切り声を上げて空中装甲騎士団を叱咤した。

「なにやってるの! もっとしっかり戦いなさい!! クルデンホルフの名に泥を塗る気!!」

 黙っていれば可愛いのだろうが、怒りのせいですっかり地が出てしまっている。ルイズはそんなベアトリスを見て、「淑女としてなってないわね」と、すっかり自分のことを棚にあげた批評をしていた。

 しかしいくらベアトリスが怒鳴ったところで、一度混乱状態になった戦場は容易に復元できない。

 一方のパンドラとオルフィは蝿を追い払うように手を振り回しているが、積極的に反撃しようとはしていない。だが、しつこく攻撃が続けられるとパンドラは口から黄色い煙を吐き出して、それが周囲にもうもうと立ち込めはじめた。

「ゴホッ、煙幕か?」

「こしゃくな! ええいウィンドカッター!!」

「エア・ハンマー!」

 風系の使い手が放った魔法の突風で、パンドラの煙幕が振り払われると、彼らは再び杖を振るって立ち向かっていった。

 

 

 しかし、二度目の地震が学院を襲ったとき、事態は才人の予想すら超えた方向へと進展していった。

 再び大地が揺れ動き、大きく裂けた草原の亀裂から丸っこい体つきをした緑色の怪獣が現れた。

 さらにそれだけではない。

「あっ、あれはなんだ!?」

 空を見上げると、そこには月が三つ浮かんでいた。

 いや、一つはどんどん大きくなりながら地上に落ちてくる。とてつもなく巨大な球体が空から降ってくるのだ!!

 それは、草原のはずれに地響きを立てて落下すると、まるでアルマジロが元に戻るかのように、身長五十七メイルの鳥のような顔をしたとぼけた姿の怪獣に変わった。

「バンゴ……ガラキング」

 さすがに引きつった顔をして才人がつぶやいた。

 空中装甲騎士団も、生徒や教師達、ルイズ達でさえ、怪獣が四匹というあまりにもあんまりな状況に、ただ呆然としている。

 そして、四匹の怪獣はまるで示し合わせたかのように、魔法学院へ向かって前進を始めた。

 

 立ち向かおうとする者、逃げ出そうとする者、どうしていいかわからない者などでパニックに陥った場を見て、

才人はぽつりとつぶやいた。

 

「こりゃ……祭りだな……」

 

 

 続く


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