魔法先生ネギま~とある妹の転生物語~   作:竜華零

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はい、ここからアンチ色がどんどん強くなります。
なのでそうした表現が苦手な方は、本当に注意してください。
では、どうぞ。


第49話「兄妹」

Side 明日菜

 

「ほら、ネギ。ちゃんと食べないとダメよ」

「うん・・・」

 

 

最近のネギは、おかしい。

話しかけても生返事だし、部屋に戻ればロフトの上にこもって難しそうな本を読んでるし。

今回ばかりは、カモにもどうしたら良いかわからないみたいで、「兄貴~」と横にいるだけ。

 

 

授業も、前はそれなりに準備をしてやってたみたいだけど、今はほとんど何もしていないみたい。

教科書読んでるだけ、みたいな・・・。

正直、龍宮さんとかは、そんなネギにイライラしてるみたい。

私も流石に、お給料もらっといてそれはどうよ? って思うけど・・・。

 

 

どうしてこんなになっちゃったのか、わからなかった。

どうしたら良いのかも、わかんないし・・・。

 

 

「ネギ・・・ネギってば! もう、せっかく四葉さんがサービスでスープ付けてくれたのに・・・」

「うん・・・」

 

 

ごめんね、と謝ると、四葉さんは「良いですよ」と言ってくれた。

相変わらず、可愛い話し方ね・・・。

でもネギは、それに見向きもしない。

ただ俯いて、何かを考え込んでる。

 

 

私とネギは、学園祭準備期間中限定の名物屋台「超包子」に来てる。

この時期は、いつもここで朝ご飯を食べてるんで、ネギも連れてきたの。

気分転換になるかもって思ったんだけど・・・。

 

 

「あらら、ネギ坊主は相変わらずカ?」

「あ、超さん・・・」

 

 

この屋台の店主で、クラスメートでもある学園最高頭脳、超鈴音。

超さんは、困ったような物を見る目でネギを見た。

クラスの連中(あやかとか、まき絵とか)がネギを見る目とは、また違った目だった。

 

 

「むぅ、ネギ坊主はどうしたネ?」

「それが、わからないのよ。えっと・・・まぁ、いろいろあって、落ち込んでるのはわかるんだけど」

 

 

まさか、「悪魔に襲われた時からおかしくなった」なんて言えないわよね。

 

 

「どうも、アリア先生と喧嘩してるという噂を聞いたヨ?」

「え、あ、う~ん・・・なんていうか」

「・・・アリア?」

 

 

アリア先生の名前に、ネギが反応した。そして、顔を顰めて頭を抱える。

私は慌てて、冷たいおしぼりを額に押し当てる。

 

 

アリア先生のことを考えると、ネギは凄い頭痛に悩まされるようになった。

それはネギだけじゃなくて、夕映ちゃんや本屋ちゃんもらしい。

たぶん、エヴァちゃんの別荘で立てた「誓い」のせいだろうって、ネギは言ってた。

でも、なんでか朝倉やくーふぇはそんなことはないって聞くけど・・・。

 

 

・・・本当に、困った。

どうすれば良いのか、わからない・・・。

 

 

 

 

 

Side ネギ

 

頭が、痛い。

アリアのことを・・・アリアの魔法のことを考えると、頭が痛くなる。

それでも考えると、今度は心臓の部分が痛くなる。

まるで、何かに掴まれているみたいだ。

 

 

自分で調べてみたけど、よくわからない魔法をかけられてる。

エヴァンジェリンさんの所での「誓い」くらいしか、心当たりがない。

でも魔法の力を司る精霊が存在しないのに、術式が組まれているって言うのが、理解できない。

これを「魔法」って呼んで良いのかもわからない。

 

 

「・・・ネギ、大丈夫?」

 

 

明日菜さんが心配してくれるけど、正直、返事ができない。

痛みが、どんどん増してきて・・・。

 

 

「まぁ、喧嘩したのならキチンと話し合うのが良いアルよ」

「そ、そうね」

 

 

そのアリアに、話しかけることもできない。

授業中も、普段も、アリアの魔法や魔法具のことを考えていて、その度に痛むから。

 

 

「・・・でも、まぁ、その状態では無理カ」

 

 

・・・え?

 

 

「古の弟子らしいし、担任として世話にもなってるアルし?」

「ち、超さん?」

 

 

今、何か・・・。

 

 

「その恩と縁に応えるために、この超鈴音の力を貸してあげるヨ♪」

 

 

 

 

 

Side 千草

 

「ほぇ~~~~」

「はぁ~~~~」

 

 

小太郎と月詠はんが、凱旋門のパチモンみたいな門(学祭門やったか?)を見上げて、アホみたいな顔をしとる。

まぁ、うちとしてもこんなもん見るのは初めてやし、そもそも。

 

 

「ここまで大きな祭りも、初めてやしな・・・」

 

 

なんやったか、東の人らから聞いた話によると、中学だけやなくてこの都市の学校全部がいっぺんに祭りに参加するんやったな。

お金儲けもOKってことで、かなり大掛かりな出し物もあるとか。

 

 

「なんやったかな・・・去年はもの凄い鬼ごっこをやったって聞くけど」

「はぁ~、なんやわからんけど、こっち来て良かったわ!」

「うちは、こんなに人がおるのに斬れへんとか、拷問やわぁ」

 

 

小太郎は素直に楽しみにしとるようやな。

まぁ、こういう経験は無いやろうから、楽しむのも悪く無いやろ。

月詠はんは、自重してや。

 

 

「それにしても、本当にええんか? 戸籍なり何なり、うちがなんとかするよって、2人とも学校に・・・」

「うちは、学校とかは興味無いですぅ。たまに人とか妖怪とか斬れたらなんでも」

「俺もええわ。ガラやないし、そういうつまらんとこで嘘吐くのもバカらしいしな」

 

 

うちとしては、ちゃんと学校に行って常識とか学んでほしいんやけど。

それに、同じ年頃の子らとおった方が2人も・・・って。

 

 

なんでうちが、2人の教育について考えなあかんのや?

また知らんうちに、絆されとるんやな・・・。

 

 

「それに、千草のねーちゃんとおった方がおもろそうやしな」

「千草はんとおったら、また楽しいことができそうな気がしますえ~」

「んなっ・・・////」

 

 

ま、またこの2人は、アホなこと言いよってからに・・・。

そんなこと言うたかて、絆されへんからな!

 

 

・・・ま、まぁ、2人とも形だけやけど、うちの補佐役らしいし?

お役御免になるまでやったら、構へんかなーなんて、思わなくもあらへんけど?

 

 

「ま、まぁ、なんや。あんたらがうちの言うことちゃんと聞いて」

「おお!? なんや格闘大会あるやないか! 月詠はん、出ぇへんか!?」

「人斬ってもええどすか~?」

「せやから、自重せいよ!」

 

 

思わず叫んだけど、2人とも「格闘大会」と書かれた垂れ幕の方に興味が移ってしもたらしい。

・・・うちのことは結局、その程度か!

 

 

「・・・なぁー、千草のねーちゃん」

「なんやの。出たいんやったら好きにしぃ」

「ネギの奴、出るかなぁ?」

「アリアはんは出ますか~?」

「うちに聞かれても、知らんわ。本人に聞・・・くのは、やめといた方がええな、うん」

 

 

アリアはんらは、別にええ思う。

タダで使われることもないやろし。

それに、木乃香お嬢様に便乗する形でいろいろやらせてもらえるし?

・・・その分、面倒な仕事も増えてく気もするけど。見返りはでかい。

 

 

・・・ネギはんはなぁ。

正直、付き合いたくないタイプの人種やし、小太郎には会わせたぁないなぁ。

でも、小太郎はリベンジしたがっとるし・・・ちょいと出て、ちょいと負けてくれへんかなぁ。

小太郎はなんやかんや言うて、情に脆い所があるからな、注意せんと・・・って。

 

 

「せやから、そうやないやろうちいぃぃっ!」

 

 

いつからや!?

いつからこんなことを考えるようになってしもたんやっ・・・(どんっ)・・・っと。

よそ見しとったら、髪の短い女の子とぶつかってしもた。

 

 

「えろうすんまへん。お嬢はん」

 

 

 

 

 

Side 夏美

 

登校中に、かぶり物した大学生の人達を見ていたら、ちづ姉とはぐれちゃった。

もちろん一人でも行けるけど、探しもしないで行ったら・・・(どんっ)・・・ひゃ!

 

 

「すんまへん。お嬢はん」

「え、あ! 私の方こそ、ごめんなさい!」

「ああ、そんな頭下げんと・・・」

 

 

眼鏡をかけた、綺麗な女の人だった。

喋り方に聞き覚えがあるような・・・ああ、京都の人かな。

修学旅行とかで聞いたかも。

 

 

「・・・まだ、何か?」

「え・・・あ、ご、ごめんなさい。し、失礼します!」

 

 

慌てて、もう一度頭を下げた。うう、恥ずかしい。

その後、もう一言ほど話してから、パタパタと離れた。

 

 

「ん・・・?」

 

 

少し離れてから振り向くと、さっきの女の人の所に、黒髪の男の子と、髪の長い可愛い女の子がいた。

あれ・・・?

 

 

あの男の子、どこかで会ったことがあるような。

・・・気のせいだよね。犬耳じゃないし・・・犬耳?

 

 

・・・あの可愛い女の子とは、どんな関係なのかな。

どうしてだろう。ちょっと、気になるな・・・(どんっ)・・・って、またぁ?

 

 

「うふふふ、夏美ちゃ~ん? 離れちゃダメって言ったでしょう?」

「ひぃっ!? ち、ちづ姉!?」

 

 

ね、葱は許してください!

 

 

 

 

 

Side 刹那

 

・・・正直、コレはないんじゃないだろうか。

まぁ、議論を進めないネギ先生も問題だが、クラスメイト達も問題なのではないだろうか。

 

 

今の状況を一言でまとめると、「ネギ先生が侍従姿の生徒に囲まれ悦に浸っている」だろうか。

いや、まぁ、悦に浸ってはいな・・・い、のだろうか。

以前であれば「まさか」と思ったが、今となっては自信が無い。

 

 

「うふふ、皆元気やなぁ、せっちゃん」

「そ、そうですね。このちゃん」

 

 

朝のHRの時間よりも、少し早い時間。

ネギ先生が早めに来て、2週間後の学園祭でのクラスの出し物を何にするかを話し合っていたはずだが。

雪広さん発案(実際は、早乙女さん達が唆したことは明白だが)のメイドカフェ。

衣装の種類、質共に申し分ないと思うが、内容が・・・。

 

 

「ねぇ、ネギくぅん。あたしもこのカクテル飲んで良い~?」

「は、はぁ。いいんじゃないでしょうか」

「よっ、社長! 太っ腹~!」

「あぁ~ん♡ 胸の谷間に栓抜きが落ちちゃった~、ネギ君、取って~」

「あ、あの、これってどういう・・・」

 

 

これは、中学生に許されるのだろうか・・・?

というか、なぜネギ先生は注意をしないのか?

イギリスでは、普通なのだろうか。いや、そんなことはないだろう。

 

 

ネギ先生も昨日に比べれば、ずいぶんと元気になっているような気がする。

・・・明日菜さんが励ましでもしたのだろうか?

 

 

「う~ん?」

 

 

・・・?

このちゃんは、さっきから首をかしげてネギ先生を見ている。

なんだろう、ネギ先生に『崩壊の鐘を打ち鳴らすもの』でも叩き込むのだろうか?

だとしたら、『月衣(カグヤ)』からすぐにお出ししないといけないのだが。

 

 

ここだけの話、私は今「このちゃんに言われる前に自分で考えよう月間」だ。

なので「これか!?」と察したら、すぐに行動しなければならない。

 

 

「なぁ、せっちゃん」

「はっ、なんでしょう。このちゃん」

 

 

すかさず、ポケットに手を入れると見せかけて、実は『月衣(カグヤ)』の中に手を入れている私。

自分で言うのもなんだが、なかなかの物ではないだろうか。

 

 

「ネギ君、何か変やない?」

「・・・変、と申されますと?」

 

 

正直、変でなかった時を思い出せない・・・。

 

 

「何と言うかな、こう、あるべき物が無いと言うか・・・」

「はぁ・・・」

 

 

このちゃんは最近、妙に要領を得ない言葉遣いをするようになった気がする。

なんというか、中間テスト以降、別荘内に居座っている陰陽師と話すようになってから。

何か、私には見えていない物が、見えているのではないかと・・・。

 

 

 

 

 

Side 千雨

 

・・・イライラする。

ここの連中を相手にしてると、精神が擦り減って行くんじゃねぇかってくらい、イライラするぜ。

 

 

「まだ、何かが足りない気がする」

「奇遇ね、朝倉。私もそう思っていた所よ」

 

 

今だってそうだ。

早乙女とかのおふざけが、ますますエスカレートして、バニーやら巫女やら・・・。

てめーらに足りないのは常識だっての。

 

 

「よっし、ならもっと衣装を追加するのよ!」

 

 

くっそ、どいつもこいつもわかっちゃいねぇ。

狙いすぎだっての。なんでもミニスカにすりゃ良いなんて思ってんじゃねぇよ。

私に全部任せりゃ客の1000人くらい・・・。

 

 

いやいや、自分を保て。平和に普通に生きるんだ。

周りが異常だからって、私までそこに仲間入りすることはねぇ。

これまで通り、隠れて生きよう。

 

 

だいたい、入学した時から異常な場所だって思ったんだ。

明らかに中学生じゃねぇ奴いるし(身体的なことは、すまん。私にはどうにもできねぇ)。

そもそも人間じゃねぇのいるし(話したことはねぇけど)。

 

 

自分の方が変なんじゃなぇかって、思った時もあった・・・。

あの時は危なかった。危うく異常者の仲間入りを果たす所だったからな。

よく自制した、私。

もしかして、私の精神力ってすげーんじゃね?

そりゃブログの女王も狙えるって・・・いや、まぁ、良い。

 

 

まぁ、それでも2年の途中までは、異常な中でもまだまともな方だったんだ。

あの2人が来るまでは・・・。

周りの連中は意味不明なノリで受け入れていたが、私は認めねぇ。

というか、アレ認めちゃダメだろ。

 

 

あそこで自分の生徒に囲まれてヘラヘラしてるガキと、今もどこかで仕事してるガキ。

アレが認められるんなら、もう大概のことはOKになっちまうだろ。

 

 

どうなってんだ、この学校。

・・・はぁ、ストレスが溜まる。

 

 

今日はやってっかな、「愚痴り屋」(いや、正式な名前は知らないけど)。

女将さんに話聞いてもらって、ブログして、寝よ。

 

 

 

 

 

Side アリア

 

なんなのでしょう。コレは。

 

 

今朝、学校に着いて教員用のロッカーを開けると、手紙が入っていました。

私宛で、差出人はネギ先生でした。

破り捨てました。

 

 

職員室に行き、挨拶をしつつ席に座ると、机の上に手紙が。

私宛で、差出人はネギ先生でした。

破り捨てました。

 

 

今日処理する仕事はあるかしらと、机の引き出しを開けると、中に手紙が。

私宛で、差出人はネギ先生でした。

破り捨てました。

 

 

諸々の雑務を処理して、さて教室に向かおうかと教科書や名簿を手に取ると、間に手紙が挟まれていました。

私宛で、差出人はネギ先生でした。

破り捨てました。

 

 

・・・なんなのでしょうか、コレは。

これまで、私と話そうとする度に『ギアス』の痛みに悶えていたはずなのに。

今日に限って、なぜこんなにアプローチ?

しかも、若干気持ちが悪いです。

 

 

「おお、アリア先生も今から教室に?」

「あ、はい」

「では、途中まで一緒に行きましょうか」

「・・・はい、新田先生」

 

 

そのまま、新田先生と連れ立って、教室へと向かいます。

学園祭の準備期間だからか、すでに活気が・・・。

 

 

「そういえば、アリア先生は麻帆良の学園祭は初めてでしたな」

「あ、はい・・・というか、こういうお祭りみたいなのは、実は初めてで」

「おや、そうなのですか?」

「ええ、ウェールズ・・・故郷の学校は生徒数が少なくて、そこまでの物は・・・」

 

 

前世の記憶にしても、ここまで大きな物はありませんし。

メルディアナでは、研究発表会などはありましたが・・・。

一瞬、ロバートが「妹成長記録展」を強行しようとした時のことを思い出しましたが、アレは絶対に違いますね。

ミッチェルのデンプシーロールで事無きを得たんでしたっけ。

 

 

「なるほど・・・では、今回の学園祭は、楽しみなのでは?」

「はい、とても。実は、一部の生徒から仮装の提案までされてしまっていて。恥ずかしいながら」

「ほう、それは楽しみですな」

 

 

フリルリボンドレス(茶々丸さん)、ゴスロリ(エヴァさん)、シスター(チャチャゼロさん)。

あと良く分かりませんが、魔法少女 (さよさん)。さらに袴 (スクナさん)。

・・・どれにしますかね。

 

 

「それに、舞台や設備の点検のお仕事などを頂いていますし」

「むぅ・・・別に、学園祭を見回るだけでも十分ですよ?」

「それは、もちろん回りますよ。すでに・・・ほら」

 

 

懐から、囲碁部や茶道部、占い研など、一部の部活の出し物のチケットなどを取り出します。

それに、今朝ここに来るまでに、ザジさんからサーカスのチケットを複数枚いただきました。

実は私も、ザジさんとお話ししたのは初めてで・・・とても嬉しかったですね。

他にも、たこ焼きの引換券とか、いろいろ。

クラスの方々の所は、原則回るつもりですから。

 

 

「無料でいただいてしまって・・・」

「アリア先生は、生徒に慕われていますな」

「いえ、そんなことはありませんよ。普通です」

「ほう、普通ですか。なら、もっと生徒と触れ合う必要がありますな」

 

 

新田先生は、少し意地の悪い笑みを浮かべながら。

 

 

「アリア先生は、仕事は大変良くやってくれますが、生徒との触れ合いが少々足りない気がしますからな」

「・・・善処します」

 

 

・・・む?

何やら、3-Aがすさまじく騒がしいのですが。

その中に、ネギ先生の声が混ざっているような?

 

 

「・・・あれは、触れ合いすぎですが」

「あはは・・・」

 

 

むしろ、異常ですよね。

なんであんなに慕われるのか・・・。

ガラッ・・・と、勢いよく新田先生が扉を開けると、そこには。

 

 

様々な衣装に着替えた女生徒に接待される10歳(教師)が。

一部には、女子中学生に相応しくない衣装の方も。

・・・刹那さん? あとでお仕置(「これはこのちゃんが!」)ええい、言い訳しないでください。

 

 

とにかく・・・。

 

 

「「全員、正座―――――――――っっ!!!」」

 

 

あ、新田先生とハモった。

 

 

 

 

 

Side 古菲

 

「まったく・・・元気なのは良いことですが、節度を守ってくださいね皆さん!」

「「「「はぁ――いっ!」」」」

「返事だけは、いつも良いんですから・・・」

 

 

ブツブツ言いながら、アリア先生が教壇に上がったアル。

最近は、ネギ坊主の調子が悪いアルから、アリア先生が出席とかを取るネ。

むしろ、アリア先生が担任になるって噂もあるらしいネ。超が言ってたアル。

 

 

「あ、あの・・・アリア」

「なんですかネギ先生、今日はご自分で出席を取りますか?」

 

 

アリア先生が名簿を開いた所で、ネギ坊主が声をかけたネ。

瞬間、クラスが静かになったネ。

アリア先生とネギ坊主は、最近「冷戦状態」(by柿崎)アル。

まぁ、ネギ坊主が一方的に緊張してる雰囲気だったアルが。

 

 

「アリア、その・・・大事な話が、あるんだ」

「はぁ・・・それは、今この場で聞かなければならないようなことですか?」

「僕はこの10日くらい、ずっとアリアのことを考えてて・・・」

 

 

アリア先生が、目に見えて引いたネ。

今のは、誰でも引くと思うアルよ、ネギ坊主。

 

 

・・・ネギ坊主。

私の初めての弟子アルが・・・このまま教えても良い物か、わからないネ。

技術面は、申し分ないアル。まさに天才と言えるネ。

でも、それ以外の面は、私には教えられないアル・・・。

 

 

先週、中間テストが終わった後、故郷に手紙を出したネ。

師父に。

その返事次第では、ネギ坊主に拳法を教えられなくなるかもしれないアル。

というか、そっちの可能性の方が高い気がするネ。

日本に来る際、師父は「好きにしろ」と言ってくれていたアルが・・・。

 

 

・・・ネギ坊主。

 

 

 

 

 

Side さよ

 

はわわ・・・。

こ、これは、屋上でサボっているであろうエヴァさんに知らせた方が良いのでしょうか~。

たぶん、茶々丸さんがもう知らせてるかもだけど・・・。

さっきから凄い音立ててますし。

ウィンウィン、ガガ、ピー!・・・みたいな。

 

 

ハカセさんが、「茶々丸、大丈夫!?」と心配しています。

ただ茶々丸さんは基本、アリア先生を見る時は録画してるので、いつもジーって言ってますけど。

 

 

「アリア、聞きたいことがあるんだ」

「・・・ですから、それは今、この瞬間に聞いてあげなくてはいけない類の物なのですか?」

「アリアは、どうしてま「ネギ先生!」あ・・・!」

「後にしてください。仕事中です」

 

 

アリア先生が、強い口調で言いました。

たぶん、少し怒っています。

それは、そうだろうなって、思います。

だって、ネギ先生は今、「魔法」って言おうとしたんだと思います。

 

 

アリアは、どうして魔法を使えるの? と、聞きたかったのでしょう。

でも、変です。

どうして、ネギ先生が魔法関連の質問をできるの?

魔法と魔法具で、禁じられたはずじゃあ・・・。

 

 

「え、あ・・・そうか。じゃあ、放課後に世界樹前の広場に来て、ほしいんだけど・・・」

「・・・一応、留意しておきましょう」

 

 

クラスメイトの皆は、ハラハラする人や、白けている人など、いろいろです。

世界樹前の広場は、なんでも告白の名所とかで・・・。

一部の人達は、大騒ぎしています。

いや・・・絶対にあり得ないと思います。

絶対、碌でもない話に決まっています。

 

 

特に、早乙女さん。

「禁断の恋!? これは・・・イケる!」って、殺されても知りませんよ?

 

 

「出席番号一番・・・相坂さよ!」

「あ、はい!」

 

 

そう言えば、私の出席番号は一番。

いつもアリア先生に最初に名前を呼んでもらえる。

そんな番号。

だから、私は「1」って数字、結構好きなんです。

 

 

 

 

 

Side エヴァンジェリン

 

「・・・ぼーやの枷が外れているだと?」

 

 

昼食時になって、アリアや茶々丸達が順次、屋上に集まってきた。

状況が状況だけに、木乃香や刹那も連れて来たらしい。

まぁ、ぼーやの枷が外れているとすれば、妥当な判断だな。

 

 

最も、刹那の見ている前で、ぼーやごときが木乃香に触れられるとも思えんが。

だが、それにしても・・・。

 

 

「どういうことだ? 魔法と魔法具で、ぼーやの意思を縛ったはずだ。それが何故解ける」

「わかりません・・・ただ、私の『複写眼(アルファ・スティグマ)』で視た所、ネギ先生の魂を縛っていた枷が外れていました。というより、消滅していました」

「封印級の魔法具とアーティファクトの魔法的拘束を消す・・・?」

 

 

そんなこと、よほど高位の術者でもない限り不可能だ。

じじぃか、それとも、地下のアルか・・・? 

じじぃを締めあげた際、ここにアルが隠れていると聞いた時は驚いた物だが。

しかも、ぼーやの師匠ときた。

最初は会いに行こうかとも思ったが・・・いや、今はそれは良い。

 

 

「・・・まぁ、事実は事実として受け止めておくとして、これからのことだな」

「私とこのちゃんは、その・・・」

「ああ、構わん。そのまま距離を取っていろ。下手に動くな」

「わかったえ。いつも通りに行動する」

「一応、前回の拷も・・・尋も・・・交渉によって、ネギ先生への連絡は徹底されているはずです」

 

 

茶々丸の言う通り、東西の決まりごとはぼーやに伝わっているはずだ。

これで伝わってませんとか言われたら、私は今度こそあの後頭部を輪切りにする。

・・・というか、今から行くか? 非常に魅力的なアイデアな気がする。

 

 

「・・・それで、ぼーやはお前に話があると言うんだな?」

「ええ、放課後に告白の名所に呼び出されました」

「よし、ぼーやを殺そう。それで話がすっきりするはずだ」

「それは構いませんが、一応話を聞きたいと思います。誰が私達の拘束を解いたのか、それが気になります」

 

 

・・・確かに、看過できない問題ではある。

我々の魔法や魔法具を、どういう理屈か知らんが解除できる何者かが、ぼーやについてるわけだからな。

放置するには、リスクが高すぎる問題だ。

と言って、ただノコノコ行くのはつまらんな。

 

 

・・・いっそのこと麻帆良から出ていくと言う手段もあるが、それは最後の手段だな。

 

 

「ぼーやは、お前にどんな話をする気だと思う?」

「・・・十中八九、私の力についてでしょうね。私としたことが、手の内を見せすぎました」

「まぁ、そこを責める気はないさ・・・状況が状況だったしな」

「マスターは、全力でうたた寝をしておりましたが」

「茶々丸、私はたまにお前に喧嘩を売られているのではないか、と思う時があるんだが」

 

 

茶々丸の作ってきた12段弁当を皆でパクつきながら、そんなことを話す。

まぁ、話の結論としては、「ぼーやを殴る」→「聞きだす」→「再封印」だな。

ぼーやの言い分など、一切聞く気も価値もない。

 

 

「行くのは良いと思うんですけど・・・何か、普通の生徒がついてきそうな感じなんです」

「それは・・・人払いの結界でも張りましょう」

 

 

さよの懸念に、アリアが答える。

まぁ、それが妥当だろうな。

 

 

「それで、どうでしょう。エヴァさん。許可していただけますか?」

「・・・良いだろう。基本的な判断は好きにするが良い。ただ、魔法や魔法具についての具体的な情報について開示してやる必要はない。一方的に情報をむしり取るぐらいの気持ちでやれ」

「は・・・」

「それと・・・ケリを付けて来い。いい加減、あのぼーやにはうんざりしてるんだ」

 

 

前回の「誓い」でやっと離れたかと思えば、またコレだ。

正直、私がやってもいいんだが・・・アリアにやらせることに意味があると思う。

おそらく、一番溜めてるのはこいつだと思うしな。

 

 

「私はもうこれ以上、あのぼーやに付き合いたくない」

「・・・・・・・・・」

 

 

一応、茶々丸とさよを付けておく。

ぼーやは、どうせ一人で来るだろう。

 

 

「・・・それが、エヴァさんの望みなら」

「そうだな。私の望みで、命令だ。だが、そんなことは関係なく、お前自身の意思でもって、あのぼーやとケリを付けて来い」

 

 

別に縁を切れとか、そんなことを言うつもりは無い。

だが、この中途半端で中弛みした、惰性のような関係に、終止符を打って来い。

それがどんな結論、結果でも、私は文句は言わない。

個人的には、二度とぼーやの顔を見たくないわけだが。

 

 

アリアは、私の言葉に軽く俯いた後。

かすかに微笑んで・・・言った。

 

 

「・・・仰せのままに(イエス)我が主(マイロード)

 

 

 

 

 

Side 超

 

「良いネ。ほぼ計画通りだヨ」

 

 

その会話を聞いて、私は嬉しくなったネ。

計画の第一段階は、これで完了と言ってもいいはずネ。

 

 

「ここまで師姉の言った通りだなんて・・・」

 

 

本当、未来人と言うのはお得ネ。

正確ではないにしろ、その時代の人間の思考をトレースできるのだから。

 

 

私は、個人的な目的を叶えるために、未来からこの時代に来たネ。

将来の悲劇を止めるために。

私の大切な全てのために。

私の全てを懸けて。

 

 

「全てを懸けて・・・なんて言うと、師匠は怒るがネ」

 

 

それでも、少しでも、わずかでも・・・大切な人のために何かをしたいと思うのが、人間ヨ。

そのためにいろいろ計画して、師匠達の目を盗んでまで過去に来たのだから。

 

 

「それには、ここであの2人の関係を決定的にしておく必要があるネ」

 

 

私の計画の、最重要部分のひとつアル。

申し訳ない気持ちもあるガ・・・。

 

 

「・・・止まるわけには、行かないヨ」

 

 

願わくば、彼女の未来に幸福がありますようニ。

 





アリア:
アリアです。
今回は、学園祭準備期間のある一日を。
生徒の皆さんとの交流も、増えていくことでしょう。

アリア:
さて次話は・・・。
ちょっとケリつけてきます。
なんというか・・・年内にはっきりさせたくなりまして。
では、またお会いしましょう。

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