凪のあすから ~変わりゆく時の中で~   作:黒樹

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〜前回のあらすじ〜
仲睦まじく、両手に花で登校。


第六十話 教室の蟲惑魔

 

 

 

――動物園の猛獣はこんな気分だったに違いない。

 

目の前の奇怪なものを見るような視線を静かにスルーする中で俺が思ったのはそれだった。

 

今、目の前に新しいクラスメイト達が席に着き、動揺や興味、苛立ち、嫉妬、傲慢などの様々な種類の視線で壇上に立つ俺を凝視していた。誰もが騒ぎ立てることもなく、皆一様にポカンと口を開けている。

 

「初めましてだか久しぶりと言った方がいいのか、巴日の日に会った人はお久しぶりです。長瀬誠です。よろしくお願いします」

 

流れのまま自己紹介を即決で終えた。

それでもまだ、クラスメイト達は何も話さなかった。

 

「えーっと、最初にも言ったようにこんな見た目だけど彼は五年前眠った一人で、光と同じ中学生だからね」

 

再度の注意と共に席を紹介される。指定された席は奇跡的にも美海と美空の隣、二人の間に入るようにとそこは空っぽがあった。欠席者ではなく空いている席らしいそこに腰を下ろすと、俺は鞄を置いて目を瞑った。どうやら席替えが行われていたようである。前とは違い、微妙な人の入れ替わりが感じられた。

 

男子生徒の視線が凶器のように背中を刺す。その中で救いなのは、女子生徒の視線が黄色いことだ。何やらひそひそと噂話が聞こえるが俺は頬杖をつき、知らんぷりを決め込みやり過ごそうとしたのだが、

 

「今から一時間目は好きな質問をするといいよ。あと、彼は怪我人だからほどほどにねぇ」

 

善意のつもりか先生が宣言すると、女子生徒の僅かな悲鳴が上がる。

 

あぁ、動物園の猛獣なんて生温い。

例えるなら、首に鎖をつけた猛獣の群れに餌の兎が一匹真ん中に放り込まれ、鉄柵のない中己の選択を頼りに誰に食われるか、はたまた動かず生き延びるかの選択を迫られているようなものである。

 

実際、兎の首輪はついておらず自由の身であるにもかかわらず、猛獣と兎は同じ檻に入れられているために生死の境をさまよっている感じだ。

 

「それじゃあ、あとは美空と美海の二人に任せるからねぇ。先生は別件の用事があるから」

 

そうして、教師(飼育員)は話題に腹を好かせたクラスメイト(猛獣)を同じ教室(檻)の中に放置して去っていった。

頼りない、俺の飼い主に全てを任せて。

 

 

 

 

 

先生が教室を出た瞬間、すっと音が消えたように場は静まり返る。誰もその場を動くことはなかった。

僅かな沈黙が教室を支配し、声を掛けたいのにかけられない、そんなクラスメイトの様子が伺える。そんな中、堂々と横から椅子を動かし近づいてくる一人の少女が、俺の隣へと陣取った。

 

「では、皆さんに代わり私が質問しましょう」

 

妹だ。美空だった。

ゴクリ、とクラスメイト達の息を呑む音が一致する。

 

「皆さんが一番聞きたいのは、私と美海ちゃんと兄さんの関係ですよね?」

 

『兄さん』と呼んだ瞬間、動揺が走りクラスメイトの一部はさらに息を呑むもの、ほっと安心する声が増え主に男子生徒達がなんだライバルじゃないのか、と力を抜くものに別れた。

 

――なんだ? 嫌な予感がする。

 

しかし、どちらかと言うと美空が一人でに質問を自分で起こして、答えようとしているようにも見えた。

そんな不安を現実にするように、美空はクスリと微笑むと口を開き、

 

「まず、私と長瀬誠、つまり兄さんは私の腹違いの兄妹です。血は半分繋がっています」

 

「え。え? どういうこと?」

 

「母親が違うんです。兄さんは海で生まれたのですが、私は陸で生まれたのでパパは同じでも私にはエナがありません。確かに特徴的に似ていることもそこまでありません。それに兄さんは小さな頃から、一人で生きてきました。兄さんのママが死んでパパが出て行って……私が兄さんの存在を知ったのも五年前で、それまで兄妹はいないと思っていました。その間、兄さんは一人だったのに」

 

「ということは……」

 

「はい。私の母親は兄さんから父親を奪った悪い人ですね。それから兄さんは一人暮らしをしているのですから、それを知らないで毎日を過ごしていた私は酷い女の子です」

 

思った以上に暗い話に場まで暗くなる。

割り切った話だったから、美空を咎めることも出来なかった。何より美空自身も自分を責めているのだろう暗い表情に俺は嘆息する。

気にしなくていいのに。

そうでもならなければ、美空は生まれてこなかったのだから。今では妹の存在に感謝している。俺の想いを知ってか知らずか女子生徒の一人が励ますように身を乗り出した。

 

「美空ちゃんが気負っても仕方ないよ!? お兄さんを棄てたのは、こう言ったら悪いけど、お父さんで。それに美空ちゃんだって、病気で苦しんでたんだから」

 

果たしてそれはお相子で済むのかと言われれば、お相子ではないのかもしれない。

そうだそうだ、と美空を励ますよう他の子達まで声をかけ始める。主に男子生徒が、美空を好きなのであろう者達が便乗していく。ある者は俺を横目で睨み、優しい声で美空に好かれようと群がっていく。

 

――それ自体が罠だとは知らずに。

その一人である、男子生徒が面白くなさそうに呟いた。

 

「早瀬は悪くねぇ。……なぁ、あんたはどう思ってるんだよ。兄貴なんだろ?」

 

周囲の視線が一斉にこちらを向く。一触即発の雰囲気に気圧された様に、また教室は静まり返った。答えが知りたいのだろう。

この空気に耐えられない、責め立てられているような雰囲気に、バンっと机を叩いて彼女が立ち上がる。

 

「誠を責めるような言い方は止めてよ! 誠は怪我してるんだよ、本来なら病院にいなきゃいけないくらいの。興奮して傷口が開いたらどうするの!?」

 

「んなの俺が知るかよ。潮留こそお前、家族のような存在だって言ってたけど結局は赤の他人だよな。小学校の頃からずっとだ。散々、実の兄貴みてぇに自慢して、よくもまぁ早瀬相手にそんなことできたよなぁ!」

 

「ちょっと、沢渡! 美海も美空もその時はお互いに知らなかったんだから、言う必要は無いでしょ! そんなの当人達が一番知ってるわよ。というか、あんたも何なわけ? あんただって赤の他人じゃん!」

 

美海の心配から喧嘩に発展し、サユまで参加しての言い争いが激化。その様子をとうの起こした本人である美空はいつもながらのニコニコとした表情で傍観している。

 

「なぁ、あれ止めなくていいのか?」

 

肩を後ろから叩き、光が囁くような声でそう聞く。

それに対し、やれやれと掌を上に向けてみせる。

 

「今のうちに吐き出したいことは吐き出しとけばいいんだよ。まぁ、多分、言いたいことは増えるけど」

 

「お前は言いたいことねえのかよ? 例えば、美海は俺の彼女だから手を出すなよ、的な」

 

茶化すように光がニヤリと笑った。

 

「言うよ。頃合を見てだから、光は無駄に手出すなよ。お前が口を出すとややこしいことになる。あっ、俺の叔父になるんだからやっぱり参加する? 間接的に美空も家族になるんだし」

 

「お前、もう結婚する気なんだな……」

 

呆れたように光が机にもたれかかって、ギシリと椅子が悲鳴を上げた。その音すら意に介することなく目の前の喧嘩は激化を続ける。

俺が叔父さんかなんて呼んで欲しい、と聞くと苦い顔で気色悪いと返す。昔から俺達は幼馴染みで呼び方が決まっている。今更変えるなんて到底できやしない。そんな話題に乗り換えながら目の前の喧嘩を眺めていると、俺が意図的に避けていた質問へと辿り着いてしまった。

 

「――そういやさ、お前って何でも出来るから当たり前だとか思ってたけど。実際、自分の妹のことどう思ってるんだよ?」

 

「あー……それ聞く?」

 

恨んでいるのか、妬んでいるのか。

そんなの昔から決まっている。元から、俺は、

 

「別に恨んでなんかないよ。もし親父が出て行かなければ俺は美海に会えなかった。強いて言うなら、借金やら何やら残して妹と美和さんを不幸に貶めた親父を殴りたい」

 

――妹には罪なんてない。そう思っていたのだから。

 

恨んだことも妬んだこともない。美和さんにも怒ったことは無い。家族の関係とはかけ離れてはいるけれど、純粋な気持ちは好ましいものだった。

 

「なら目の前のこれ止めろよ。答え出てるんじゃねえか」

 

「あれ、お前の質問に対する回答は出してないぞ」

 

「まだあんのかよ」

 

「言ってないけどさ、俺だってまだ割り切れてなかったりするんだよ。美和さんや美空が家族であったとしても、裸を見せられたりしたら男として反応するし密着されたら逃げられないし、しかも逃げたりしたら何か凄く寂しそうで泣きそうな目で見てくるんだ。昨日今日まで家族じゃなかった人達が好意を持っていて……。そうだな、お前はマナカがいきなり実の兄妹って言われて諦められるか?」

 

光にわかりやすく例話を言ってみると、同感したように頷き腕を組んだ。

 

「……なんとなくわかったわ」

 

実際、それより質の悪い話なのだがそこは理解してもらわなくても少しだけこちらの気分が晴れた分楽だった。

 

「――で、お前の気は済んだのか?」

 

「はい、それはもう。兄さんが私に肉欲を抱いているということは大収穫でした。じゃないと私、本当に女の子としての自身失っちゃいますよ」

 

盗み聴いていたであろう美空は満面の笑みで擦り寄るようにして、俺の隣へと移動する。本当に嬉しいようでえへへ♪と上機嫌に俺の腕を絡めとっては抱き着いてきた。美海が喧嘩に混ざっているのをいいことに。

それを拒まないあたり、俺も同罪だ。罪悪感免れぬ状況から逃げるために、美空を引き剥がすことなく別の解決策へと俺は挑むことにする。残念ながら妹を引き剥がす選択肢は解決策に含まれていなかった。

 

「おーい、喧嘩してるそこの3人」

 

「なんだよ部外者は引っ込んでろ!」

「なに!?」

「あっ、誠……」

 

部外者云々は気にしないことにした。

美海だけは俺を見て、少しだけ冷静になったが、隣にいる美空を見てむっと怒ったように脹れた。

私のなのに―――。

そんなオーラがひしひしと伝わり、挑発するようにわざと美空は抱き締める腕の力を強くした。制服の上から感じる柔らかさ。間違いなくそれは、女性的な象徴で男性には凶器と言える代物だ。クラスの中で比較すると一番大きく形の良いそれは理性を崩壊させるには充分にある。

 

その光景が面白くなかったのだろう。喧嘩をしている沢渡なる少年と周囲の男子生徒達の目は『嫉妬』『羨望』に変わる。

 

「あのさー、君たちはなんで喧嘩してるのかな?」

 

「うるせえよ。お前は何してんだよ、早瀬から離れろよ!」

 

話の腰を折らないで欲しい。

仕方なく、言うことに従って俺は席を離れて美海のいなくなった椅子へと座る。若干、男子数名が反応したようだが無視した。

これで満足だろ? と、視線で示した時だった。

美空は自分の椅子から降りると、俺が先程まで座っていた椅子に腰をかけて俺の腕をとる。その行動が想定外だったのか少年は苦い顔をして舌打ちを打つ。

 

「さっきの質問に答えようか。お前はそれに答えて貰えば満足なんだよな?」

 

「……ああ」

 

沢渡と呼ばれる少年はまだ言い足りなかったのか、それとも聞ければいいと思ったのか、急に大人しくなる。

俺の答えはさっきとほぼ変わらないものだった。

美空に聞こえていようがいまいが構いやしない。

喜ぶならそれでいいし、ドン引きするならそれでいい。

俺は愛おしい蠱惑で魅力的な妹の頭を撫でながら、その答えを吐き出した。

 

「端的に言うと、俺は美空のことを恨んでもないし憎んでも妬んでもない。さっき美空が言ったことは本当だ。小さな頃から一人で暮らしてきたし不安はなかった。それに一つ言うと、美空が知る前、生まれる前か……俺は自分から提案を蹴ったんだよ」

 

「……は?」

 

「家族になろうって美和さんから、美空の母親に言われたんだ。間接的にだけど、親父にそう言われて、会うこともなく俺は迷わずそうした。自分で選んだんだ」

 

自ら茨の道を選びそこを進んだ。迷うことは無かった。誰よりも母親を忘れたくなかったから、死んだ原因は自分だから。責任感がそうさせたのか、今では正しくもなく間違いでもない選択だった。

だって、美海に会えたのだから。

そうしなければ、今の俺は此処にいない。

 

それにだ。

 

「今では良かったと思ってるよ。美空のことは嫌ってなんかない。生まれてきてくれて本当に嬉しかった。家族としても、女の子としても、大好きだ」

 

「はい。私も兄さんのこと大好きですよ。兄さんのことは一人の男の人として愛してます♡」

 

愕然と沢渡は口を開けたままだ。

女子生徒達が黄色い声でキャーキャーと騒ぐ。

放たれた美空の爆弾発言。

それをスルーしながら、俺はちょいちょいと美海に手招きをする。

 

「次は俺からだ。お前さ、美海は赤の他人だとか言ったよな。知らずに美空相手に自慢したとか、それが恥ずかしいだとか」

 

寄ってきた美海は俺の隣に立つと、不安げに見つめてくる。その手を優しく掴み引っ張る。掴むだけで少し心が温かくなる。

そして、引っ張られた美海は体勢を崩し俺の膝上へと尻から着地した。引っ張った腕はそのまま繋ぎ、後から腰を抱くように回し固定する。

 

「ちょっと誠!?」

 

恥ずかしそうに美海が顔を赤らめ、抵抗を見せる。

形だけの抵抗。本気で嫌がっているわけではなく、スカートを抑えて見えると注意すると大人しくなった。

 

「そんなことは無い。俺は少なくとも美海を妹のように大切にしていたつもりだよ。無関係でも赤の他人でもない、今じゃ俺の大切な恋人だ」

 

そう言って、美海の頬へとキスをする。

本日二度目の、黄色い歓声が上がった。

 

 

 

 

 

□■□

 

 

 

 

 

放課後。

堤防の横を歩いていた。

サユ、光、俺の横で朝と同じく腕を組む美空、疲れきったような美海の手を握り、5人で帰路を進んでいく。

茜色が海を染める。

その光景に俺は惹かれていた。

 

「――まったく、あんたのせいで美海はとんでもない目に遭ったんだからね」

 

「キスの事?」

 

「そうに決まってんじゃん! いきなりみんなの前でキスとかどういうつもり。美海見てみなよ、抜け殻みたいじゃん」

 

あれから、質問攻めにあい大変だった。

主に女子生徒が恋愛関係について気になるのか、俺と美海を質問攻めにしたのだ。告白したのはどっちだとか、どっちが先に好きになったとか、いつ好きになったとか、いつから付き合っているのかだとか、初キスはいつどこでどんなシチュエーションで……など。その先は言えない。

その大半が美海である。告白したのは美海、先に好きになったのはおそらく美海、初キスは実は俺が寝ている間に幼い美海が奪っていたとか。

今度、いたずらをしてやろう。そう思った。それくらいなら俺にも許される権利のはずだ。元は美海が寝ている俺にしているのが悪いんだし。

 

「……」

 

美海を見てみると、赤い顔でぼーっとしながら無心で道を歩いている。心ココにあらず、といった感じだ。

 

「で、あんたなんであんなことしたわけ? 美空もいまさらだし」

 

サユのジト目が射抜く。

俺は美海の耳を優しくつまみ、頬をぷにぷにとつっついたり、好き勝手していた。

ああ、愛おしいなこの娘は。

と、現実逃避も程々に美空へと目を向ける。

 

「……全部、美空の仕組んだことだぞ」

 

「はぁ?」

 

「俺を利用したんだよ。自分が好ましい状態へとことを持っていくために、な」

 

ふふふっ、と美空が妖しく微笑む。

 

「実はですね、全部振り落とすためのお芝居だったんですよ。私が兄さんとゆっくり学校生活をおくるための、計略といえばいいでしょうか」

 

それにしては蠱惑的過ぎた。

 

「俺の目的は美海と美空に這い寄る狼を遠ざけること」

 

「私の目的は、兄さんと私に言い寄る人達を排除して静かな生活を送ることです」

 

二人の目的は一致しているようで違う。

美空の願いは、もっと奥深くにあった。

 

「のように見えてそれは前段階で、美空の目的は皆に兄妹で恋愛関係と思わせることだ。それもいい方向に」

 

「兄さん、知ってたんですか?」

 

「気づくに決まってんだろ。あれだけくっついてきて気づかない方がおかしい」

 

不思議そうな美空にデコピンをくらわせると、酷いと言いながらも嬉しそうに笑顔を見せる。

 

「兄さんの目的は美海ちゃんと学校生活を静かに送りたいだけだったんですよ。それには付き合っていると公言するだけで良かったんです。でも、私の爆弾発言と裏切りがあったこと、ついでに沢渡君に美海ちゃんのことを悪く言われたのでつい兄さんは熱くなっちゃいました」

 

だから、キスをしてしまった。

本当なら口でも良かったけど、自重した。何よりも美海がキスしているのを見られたくなかったから。

けれど、美空の爆弾発言は不発どころか女子生徒ウケはすごく良かった。

 

「結局、何がしたかったわけ?」

 

「ハハ……、それ言われると俺の負けだな。俺は美空の近親相姦発言を回避してゆっくり過ごしたかっただけ。美海と一緒に平凡に進んできたかったんだ。でも、美空が兄を男として見ていることを公言した上に応援されて、俺の周りには逃げ道がなくなってる。少なくとも美空の思惑通り、男子の友達やら女子やらは寄ってこなくはなったな」

 

つまりあれだ。

美空は教室の仲間達に恋を応援されているのだ。

気味悪がる人はいない。同情を煽った上に、自分の気持ちを他人に認めさせた。

だから、美空が教室内で愛を囁いてもおかしく思う人はいなくなるわけだ。その対象が俺だとしても。

そのついでに自分に言い寄る男をなくすために、俺にデレデレと胸をくっつけたり見せつけたりするようにして、隙に入る余地すらなくしたわけだ。

 

「兄さんってば、あそこで私を大嫌いって言っておけば良かったのに、優しいんですから」

 

美空の願い事が叶っただけで完全敗北だ。

初めて負けた。

それでも、悪い虫を払えただけ良かったのもしれない。

 

「お前ら、いつそんなこと相談したんだよ」

 

「してないですよ、光さん」

 

「は?」

 

「どっちもお互いを利用したけど、俺はまんまと美空にしてやられたわけだよ」

 

意外そうに光がニヤリと笑う。

まさか、誠が負けるなんて、と。嬉しそうだ。

茜色の空の下。

夕焼けに染まった俺の彼女はとても綺麗だった。




お久しぶりでごめんなさい。
最高で一ヶ月空けるだけのつもりが、約二ヶ月も空けることになってしまいました。
久しぶりに凪のあすから見たらテンション上がったよ。
やっぱり美海は癒しです。
それはそうと、書きたいものがいっぱいあるこの頃。
チサキルートを模索中です。
初めから書くのは面倒だしどうしたものか……。
色々とポイントはあるんですけどね。
凪のあすからを全話見直さなければ、夏は越せない!

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