凪のあすから ~変わりゆく時の中で~   作:黒樹

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地味に投稿・・・・・・。
これは書くのに結構時間がかかる。


第五話  幸せはまた消えた

 あれから数ヶ月、俺は以前のように元気になり、光達との仲もそれなりには回復しているのだが、静かで冷静な性格・・・・・・それは変わらなかった。

 

「早く学校行こうぜ、誠! 今日は日直だろ?」

 

「いや、日直はお前だけだ光。俺は一週間前に休んだ人と交代してやった。だから、今日はお前はまなかと日直だ。俺がやったから順番変わったんだよ。」

 

「なっ!? お前何時やったんだよ? くそ~、俺も誰かと日直を・・・・・・まあ、まなかと他の人じゃ心配だし、やってやるか。」

 

「お前、それは『まなかと一緒に日直やりたい』って言ってるようなもんだぞ?」

 

「な、ちげえよ。俺はただ心配でだな・・・・・・でも、お前ってつき合い悪いよな。昔は俺やまなかとちさき、要ともよく遊んでたのに、学校でしか遊ばねえじゃねえか。最近どこ行ってんだよ? お前、ほぼ毎日家にいねえじゃないか? 昔もそうだけど・・・・・・。」

 

 俺はあれから数ヶ月・・・・・・ほぼ毎日、俺はミヲリさん達の家に行っている。光達は知らないが、俺が元気になった原因だ。いや、お陰か・・・・・・。あの人達は何かと俺のことを気にかけてくれて、今じゃそのことに遠慮もなくなっている。

 

 俺は家から出て数分・・・・・・俺と光は何時もの集合場所に向かい、俺と光の目の先にはまなかとちさき、要の姿が・・・・・・。

 

「あ、ひーくん、まーくんおはよう!」

 

「ああ、おはようまなか、ちさき、要・・・・・・どうしたんだ? お前ら、何かぼーっとしてるぞ?」

 

 何時もなら先に挨拶をするちさきと要、それが二人はぼーっとしていて上の空、もしかしたらそれ以上かもしれない。

 

「どうしたんだ? まなかは何か知らないか?」

 

「それがね、今日はテストがあるんだって・・・・・・それで、二人とも点数が悪かったらお小遣いを減らされるんだって・・・・・・可哀想だよね。」

 

「へえ~・・・・・・別に二人なら問題ないだろ? 光ならともかく、ちさきと要が悪い点数とるわけ無いだろ? 光は悪い点数とっても平気だもんな。」

 

「おい・・・・・・まるで俺が、『毎回勉強もしないで点数を取れず、親に怒られても何時もへらへらしている奴』みたいじゃねえか。俺は点数悪かったら落ち込んだりするんだぞ? 俺はみた目通りにデリケートなんだよ。それに、お前が羨ましいよ・・・・・・。毎日どこかに行っても、クラスで一位なんだからよ。俺より遊んでるじゃねえか。」

 

「ちゃんと勉強してるよ。まあ、勉強するのは大体が夜なんだけど、それ以外にやる時間無いしね。仕方ないんだよ・・・・・・。」

 

 俺は実際、ミヲリさんの家に昼は行っているため、勉強する時間が夜しかない。でも、俺の家にはいろいろと言ってくる人もいないため、自由だった・・・・・・。

 

「それがね、誠・・・・・・。」

 

「それがさ~、誠・・・・・・。」

 

「「お母さんが誠に負けたらだめだって言ったんだよ・・・・・・。」」

 

 なる程・・・・・・残念だったな、ちさきに要・・・・・・。俺は頼まれても、この二人のために手を抜くつもりはない。俺はこれまで、一度もこいつらに負けたことが無い。

 

「ああ~、そりゃご愁傷様。俺は手を抜くつもりはないんで、がんばれとしか言えない。でも、俺と同じ点数とればいいんだろ? 百点なんて楽勝だろ?」

 

「「「この万年満点野郎!!」」」

 

「俺にとってはほめ言葉だ。そんな事言うなら、努力しろ。」

 

「あはは・・・・・・まーくん容赦ないね。ちーちゃん達の気持ちが分かる気がするよ。」

 

「同情する暇があるなら、お前も勉強しろよ? じゃないと、みんなと同じ学校に入れないぞ? 中学までは義務だけど、高校、大学・・・・・・確実に独りぼっちだな?」

 

「うわあぁぁーーーん!! まーくんの馬鹿!!」

 

「バカに負けてるおまえらは何なんだろうな? ちさきに要、まなかに光はおまえらの言うバカに負けてるんだぞ? と言うことで、みんなバカだ。」

 

 そうやって言い争っていると、俺と光達は学校につく・・・・・・。毎回、みんな自爆行為をしていることに気づかないのか? 毎回毎回、俺が言い争いには勝っているのでつまらない。それ以上に、何で毎回こんな言い争いになるんだっけ?

 

「返す言葉もないね・・・・・・。」

 

「要・・・・・・あきらめちゃだめだよ。もしかしたら、意外なところに誠の弱点があるかもしれないし、

そのうち誠の苦手な教科が・・・・・・。」

 

「無いからな?」

 

 要は諦めており、ちさきも若干諦めている? だが、苦手な教科は自分で克服しやがれ。俺だって苦手な教科は・・・・・・無いな。

 

「まあ、自分で努力しろ。そうすれば負けるか、同点にまではなるだろうよ。」

 

「余裕だな、誠・・・・・・。」

 

「光、勉強しないお前が悪い。あかりさんにも言われてんだろ? 毎日勉強しなさいとか、宿題はちゃんとしろだとか、守らないお前が悪い。」

 

「お前、毎回授業中寝てねえか?」

 

「気のせいだ。」

 

 授業中の居眠り? そんなのよくあることだろ? 

 

 

 

 

 それから放課後、俺は1人で走って帰っていた・・・・・・。光達はおいてきた・・・・・・だって、あいつ等遅いし、そんなの待ってたら日が暮れる。俺は泳いで陸を目指して、一直線。そして、俺が水面に上がったら、目の前にはミヲリさんがいた。あれ? 何時もは家じゃなかった?

 

「こんにちは、ミヲリさん。」

 

「やっと来たね。誠君、今日はどんな料理を教えてほしい? 実はさ、今日の献立に困っちゃってるんだよね。毎回三食考えるのって、結構大変なんだよ。美海はカレーが食べたいって言ってさ、至さんは海のものが食べたいって言うんだよね~。本当、親子なのに何処が違うんだろ?」

 

「う~ん、いっそのこと海老や魚を肉の代わり入れたシーフードカレーなんてどうですか? それなら至さんや美海の食べたいものが入っていると思いますが・・・・・・。」

 

「あ、いいねそれ。よし、今日はシーフードカレーで決まり! じゃあ、誠君も買い物手伝って。今日の料理はシーフードカレーで決定。まずは材料選びだよ。」

 

 そう言って、ミヲリさんは店に向かって歩き出し、俺は歩いてついて行く・・・・・・。俺が毎回ミヲリさんの家に行ったときに、俺は料理を教えてもらっていた。一人暮らしで子供が火を使うのは、危ないからだめだと言われ、料理を教わることになった。一回覚えたら、火事にならないだろうということだ。

 

「まずはカレーのルウと、野菜は人参とジャガイモ、それと玉ねぎ。う~ん、あとは海のものなんだけど、どうしようかな?」

 

「それなら、海老とホタテにイカ・・・・・・あとは、鮭でいいんじゃないですか?」

 

「鮭・・・・・・うん、面白そうだよね。じゃあ、材料は決まったし、買おうか。」

 

 そうして俺は野菜を取ってきて、ミヲリさんは魚類を・・・・・・。そして、カレーのルウを持ってきて

レジで精算。そうして、精算を終えた俺とミヲリさんは家に向かう・・・・・・。その時、歩道を歩いていると、前からあかりさんが歩いてきた・・・・・・。

 

「あれ? ミヲリに誠君・・・・・・? こんなとこで何してるの?」

 

「え? ミヲリさんとあかりさんは知り合いなんですか?」

 

「うん、というか、話してなかったかな?」

 

 聞いてねえよ・・・・・・。いや、海の人なら知っていてもおかしくないが、今まで知り合いとか聞く機会無かったし、知らないのも当然か・・・・・・。だって、誰が誰の知り合いかわからないしな。

 

「でも、なんで誠君とミヲリが知り合いなの? お互いに何処で知り合ったの?」

 

「う~ん、それがね、誠君が少し前に1人で陸で寝ているのを見つけて、家に連れて行ったんだ。なんかほっとけないくらい暗かったし、少しは元気になってもらおうと思って、家で一緒にご飯を食べたんだけど、その時に親がいないってきいて、よく遊びに来るようになったんだよ。」

 

 俺はそれを話され、ヤバいと思って走り出す・・・・・・。俺はまだ一人暮らしということが、まだ周りにバレていない。あかりさんも知らないはずだ。とにかくこのまま・・・・・・。

 

「「ちょっと待ってよ。誠君・・・・・・なんで逃げるの?」」

 

 俺はシヲリさんとあかりさんに腕を掴まれ、逃げられないようになっていた・・・・・・。しかも、片方をミヲリさんに・・・・・・もう片方をあかりさんに捕まれて、身動きがとれない。

 

「え~・・・・・・それは~・・・・・・その~・・・・・・。」

 

 それから数十分は尋問? が続いた・・・・・・。俺の父親が出て行ったが、毎月金を送ってくること、

それから一人暮らしを始めたことを全部聞かれた・・・・・・。

 

「ふ~ん、誠君が元気になったのはミヲリのお陰か・・・・・・。じゃあ、心配ないね。一人暮らしは問題だけど、ミヲリが毎回見てくれてるなら安心。でも、今まで話さない誠君もダメだよ? 大人に相談しなきゃ、もしかしたら、今頃餓死してたかもしれないんだし・・・・・・。でも、よく生きてこれたね。

これからはちゃんと頼ること。いいわね?」

 

「・・・・・・努力します。」

 

 俺はあかりさんの説教をくらい、少し疲れた・・・・・・。まさか、こんなとこでバレるとは思っていなかったし、これからも一人暮らしをするのはかわらない。誰かの家に居候なんて、余りしたくない。

 

「じゃあ、あかり。今日は誠君とシーフードカレーを作る約束だから、またね。」

 

「うん、誠君のことをよろしくね? この子、他の人に頼らないってところあるし。誠君が誰かに頼るのは初めてだから、これからも頼られてあげて?」

 

「うん、ほっとけないしね。」

 

 そう言ってあかりさんは海の中に消え、俺とミヲリさんは家に向かって歩く・・・・・・。あかりさんが大人達に喋らないことを祈ろう・・・・・・。あと、光もうるさそうだから駄目だな。

 

 

 

 

 それから数分で家につき、俺とミヲリさんは料理を作り始める・・・・・・。が、その前に米を炊かなければいけない。俺は米を洗って、炊飯器にセットする・・・・・・。

 

「じゃあ、料理教室を始めようか? まずは野菜の皮を剥いてくれる? 私は鮭の切り身を食べやすい大きさに切っておくから、全部お願いね。」

 

 俺はそう言ってピーラーを渡される・・・・・・。子供が包丁を使うのは危ないと言われ、皮をむくときはこれを渡されるのだ。包丁でやった方が面白そうなんだけどな? まあ、それは家でやるからいいのでおいておこう。俺が次々に皮をむいていき、鮭の切り身を切り終わったシヲリさんが、次々に俺が皮を剥いた野菜を切っていく・・・・・・。うん、凄く地味だ。でも、毎回こんな感じで料理は進められていく・・・・・・。

 

 材料を全部切り終えたら、ミヲリさんがあとは殆どやっちゃうから、俺のやることは無く、凄く暇だ。でも、料理を見てるだけでも楽しいので、俺は後ろからミヲリさんが作っているところを見ているだけでも、意外と覚えられる。

 

「ただいまーー!! カレーだ!!」

 

「はいはい、ちょっと待っててね。誠君、悪いけど美海と遊んでてくれる? もうすぐだから、見ててもおもしろくないわよ?」

 

「わかりました。じゃあ、あっちの部屋で遊ぼうか?」

 

「うん! 今日は友達と縄飛びしたんだ、それで私はいっぱい飛んで、それからブランコや砂浜で貝殻拾いをして、それから・・・・・・。」

 

 今日も美海の何をして遊んだかの話・・・・・・。楽しそうに話す美海は、とっても生き生きとして、本当にただの子供だ・・・・・・。昔の俺みたいだな・・・・・・俺も、昔はこんなに元気だったのかな? そんな事を考えていると、急に台所から大きな音がした・・・・・・。

 

 ────ドタンッ!!

 

 嫌な予感しかしない・・・・・・。俺はすぐにミヲリさんの名前を呼ぶ。

 

「ミヲリさん・・・・・・? 何かありましたか?」

 

「どうしたの? 誠、早く遊ぼうよ?」

 

 台所からの返事はなく、俺は慌てて台所に走る・・・・・・。嫌な予感は的中・・・・・・ミヲリさんは、床に倒れてつらそうだった。俺は今日の出来事を振り返る・・・・・・。ミヲリさんが海を見ながら座っていたこと、あれは俺を待っていたと言ったが、違うんじゃないか? もしかしたら、ミヲリさんは今日は病院に行っていたんじゃないか? それで、疲れたから海を見ながら休んでいた・・・・・・。

 

「お母さん!! どうしたのお母さん!!」

 

「───っ!? そうだ救急車!!」

 

 俺は慌てる美海の声で我に返り、電話をかける・・・・・・。まずは救急車、それから至さんに電話だ。

そうして数分後、救急車が駆けつけ、ミヲリさんを運んでいく・・・・・・。俺は美海を連れて一緒に救急車に乗って病院へ・・・・・・。

 

 そうして数日後、シヲリさんは退院して、いつも通りの元気な姿を見せた・・・・・・。でも、俺にはわかった。至さんがつらそうな顔をしている。でも、美海は喜んでおり、至って普通で何時もの光景に見えるが、多分、重い病気なのだろう・・・・・・。

 

 

 それから数ヶ月・・・・・・俺はいつも通りにミヲリさんの家に行く。毎回、俺は通い続けた。もしかしたら、本当に重い病気なのではないのか? そんな疑いも晴れず、俺は通い続け、ある日突然、ミヲリさんが死んだ・・・・・・。

 




はい、ミヲリさんが死んだ理由を知らないので、勝手に書いちゃいました。

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