凪のあすから ~変わりゆく時の中で~   作:黒樹

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気まぐれで書いてみました。


第一話  始まりは海

 そこは・・・・・・暖かくて・・・・・・冷たい海の中だった。海の中にはたくさんの生命であふれていて、俺はその中の一つ・・・・・・。そんな大きな海の中の一つの村・・・・・・汐鹿生で、俺は生まれ育った。俺の家族・・・・・・母さん、父さん、俺は幸せにその時を過ごしていた。俺はまだ、5歳のころだった。そんなときに、悲しいことは、突然やってくる・・・・・・。これは俺、長瀬(ながせ) (まこと)の物語。

 

 

 

 

「ほら、早く食べちゃいなさい。誠、あなたが早く食べないと片づけられないわ。」

 

「まあまあ、母さんもそれくらい、いいだろ。子供なんだし、ゆっくり食べても別に普通だよ。それに、こぼさないだけましだと思うよ?」

 

 俺の母さんにせかされ、俺は自分のペースで黙々と食べ続ける。父さんは俺に甘く、母さんは俺にちょっと厳しいが、すごく優しい。そんなとき、玄関から、大きな声が聞こえてくる。

 

「お~い、誠~! 遊ぼうぜ~~!!」

 

 相変わらず、行動が早い奴だ。朝ご飯を食べ終えていないのに、もう呼びにきたのか・・・・・・。どうしたら、あんなに元気なんだろうか? その秘密が知りたい。俺は朝ご飯を食べ終え、玄関に走っていく。今日は、まなかとちさき、要に光と遊ぶ約束をしている。

 

「お母さん、行って来ま~~す!!」

 

「はいはい、お昼までには帰ってくるのよ。それと、今日は家族みんなで海の外に食べに行くから、

夕方は早く帰ってくるの。わかった?」

 

「わかってるって、お父さん、じゃあね~。」

 

「おう、子供は遊んでこい! 気をつけてな。」

 

 俺はそんな親の注意を聞きながら、玄関に走ると、そこにはもう、まなか、ちさき、要と呼び出した本人の光がいた。光の行動の早さに、よく対応できるもんだな? 時刻はまだ午前8時、朝ご飯はそんなに早く食べるんだろうか? それとも、光の影響力か?

 

「おっせえぞ、誠~! 7時半には広場集合って言っただろ。じゃあ、今日も探検に出かけますか。

俺、リーダーで要が副隊長・・・・・・誠は戦闘員な。まなかとちさきは救護班。じゃあ、探検開始だ。者共は我に続け~! 新たな大地を開拓するときが来たのだ!」

 

 相変わらず、凄い設定を作ったな・・・・・・尊敬するよ。要は苦笑いし、まなかはあたふたとしているようだ。そうとう光について行けてないな。ちさきはずっと光を見て、心配そうだ。

 

「ひひ、ひーくん! また探検するの!? 怖いから止めようよ、それに、大人達も危ない場所もあるからあまり遠くにいくなって・・・・・・。」

 

「んなもん大丈夫だよ。そんな遠くに行かねえし、それに、そこの戦闘員さんが戦ってくれるさ。そうだろ? 誠、出来るよな?」

 

「相変わらずの無茶ぶりだね、頑張るよ。」

 

「ハハハ・・・・・・ごめん、誠がいないと光は止められないんだよ。」

 

「もう、光は誠に迷惑かけすぎだよ。もうちょっと、計画ぐらいしようよ。そんなんばっかりだから、やんちゃ坊主って言われるんだよ。誠は誠で、光に甘すぎるよ。」

 

 俺が光に甘いね~・・・・・・。でも、近くにいないと、問題を起こしそうで怖いから仕方ないんだよ。

それに、光のストッパー役はここにいる全員だろ? だって、あかりさんにも頼まれたが、どう考えても俺だけじゃ無理だ。

 

「じゃあ、行くぞまなか、ちさき、要に誠。」

 

「はいはい、じゃあ行こうか、誠。光のストッパー役として、十分に力を発揮しないとね。」

 

「だな・・・・・・もう、なれたもんはしかたねえか。」

 

 要に答え、俺と光達は家を飛び出した。まなかとちさきは慌てて走り出し、俺達のあとをしっかりとついてくる。要と俺は光のペースに合わせて走る。

 

 

 

 

 それから数十分が経って、俺達は暗い海の森の中を歩いていた。光についてったらこうなったとしか言えないが、俺達も何で止めなかったんだろうか? まなかとちさきは二人で抱き合って、ゆっくりとついてくる。凄いふるえ方だな・・・・・・もう、帰った方がいいんじゃないか?

 

「ひひひ、ひーくん・・・・・・もう帰ろうよ、こんな暗いとこにいても怖いだけだよ。それに、何か出るかもしれないし、帰ろうよ。」

 

「わぁぁ、帰ろう光。まなかもそう言ってるし、それに誠や要も何か言ってよ・・・・・・。このままさまよい続けたら迷子になるよ。」

 

 話しは俺と要にふられ、まなかとちさきは最後の希望? の俺と要に目を向ける・・・・・・。要と俺は顔を見合わせ、しょうがないという風に首を縦に振ると、光に話を持ちかけた。

 

「なあ、光。そろそろ帰ろうぜ、もしかしたら大人たちが心配してるかもしれないだろ? 家のまなかが・・・・・・とか、ちさきが行方不明とか、どうする?」

 

「誠・・・・・・俺はもうその手には引っかからねえぞ。何時もの俺だと思って、バカにすんな。そんな数十分で俺達がいないとかならねえだろ。第一、昼を過ぎても帰らないならわかるが、こんな数十分で探しに来る大人なんていねえよ。」

 

 ああ~あ、もうこの手には引っかからないのか・・・・・・残念。じゃあ、ほかの手でいこうかな? 俺は要の出方をみる・・・・・・。

 

「ほら、光は女の子を泣かせる気なの? 女の子を泣かせるな。ってあかりさんにも言われなかったかな? もうまなかとちさきは半泣き状態だよ?」

 

 おいおい、それはどうしたらそんな方法で光を説得できると思うんだよ・・・・・・。それに、光にそんな概念はないと思うが、要は相変わらずの紳士だな。そんな事を考えていると、光がこっちに向き直って、反論をする。

 

「んなもん習ってねえよ。それに、これぐらいで泣くなよめんどくせえな。今は探検中だ。帰りたいなら二人で帰ればいいだろ。別に、俺と要と誠だけでも探検は出来るんだ。お前たちが帰ろうが、別に気にしねえよ。」

 

 また、光は思ってもいないことを言う・・・・・・。頑固なのは、あの親父さん譲りなのかな。心の中では思っていても、表に出せない奴。光はそういう奴だが、意外と良い奴なんだよな。しょうがない、

出来れば使いたくない手だが、まなかとちさきが限界のようなので使おうか。

 

「光・・・・・・実は、そんな事を口では言ってても、本当は帰り道がわからないんじゃないの? もしかして、隊長さんが道に迷っちゃったとか・・・・・・笑えるね。」

 

「んな!? そうじゃねえよ。俺は帰り道くらい、簡単にわかるんだよ。それに、隊長である俺がこんなちっぽけな森で迷うはずがないだろ! お前はわかんのかよ、誠!!」

 

「え~、そんなの知るわけ無いじゃないか。隊長さんはリーダーなんだから、光が覚えていて当たり前だし、俺は覚えてねえよ。要はわかるか? 帰り道。」

 

 俺は嘘をついて、光をわざと怒らせる。そうしたら、光も帰る気になるだろう。俺の嘘に、要も察したのか、のってきた。

 

「さあ? ぼくも帰り道なんて覚えてないよ。誠も覚えてないし、困ったね? ちさきとまなかは始まって数秒でこんな感じだし、帰り道を覚えてるのは光だけ・・・・・・困ったな~、お昼まで時間の余裕を持って家につきたかったんでしょ? 誠は。」

 

「ああ、そうじゃないと母さんに怒られるんだ。「何時まで遊んでるの! お昼前には帰ってきなさい。そうじゃないと、ご飯は食べさせません!」って言われるんだよ。」

 

 俺は嘘をさらにのせて、でっち上げた話をさらに上乗せする。毎回、この嘘とかいろんな方法を使い、光を帰らせている。これが一番楽なんだ。

 

「うわああ、ひーくん帰ろうよ。ひーくんが帰り道忘れちゃうと、迷子になっちゃうよ! こんな暗い森の中で迷子なんて、絶対にいやだよう。」

 

「ええ~! 要も誠もまた覚えてないの!? ストッパー役を任されたのは何処の誰よ!! もうちょっと、二人も気を配ってよ。迷子になっちゃったらどうするのよ!!」

 

 まなかとちさきが慌てだし、光もこの光景を見たら、さすがに動くだろう。まなかは半泣きだったのが、通り越して、涙がポロポロと泣き喚くギリギリだ。ちさきはいまだに喋れるが、まなかの方がメンタル弱いもんな。当たり前か・・・・・・。

 

「ああ、もうわかったよ! 帰ればいいんだろ、帰れば!! じゃあ、ついてこない奴は置いてくからな。ちゃんとついて来いよ!!」

 

「なあ、要・・・・・・やっぱり光って素直じゃないよな~。それに、もう疲れたし、早く帰りたい。出来れば、もう少し早く帰りたかったな。なんか今日は、余計に疲れた気がする。」

 

「ハハハ・・・・・・僕も一緒だよ。このまま家につかなかったらどうする? 光も家の場所を覚えてなっかたら、僕ら帰れないよ?」

 

「ん? お前は本当に帰り道、覚えてなかったのか? てことは、覚えてるのは俺と光だけか。確かに、今日は複雑な道を通ったし、暗いもんな。」

 

 俺と要はみんなに聞こえないように会話をする。俺たちの前にいる光は、生い茂る海藻やら何やらをかき分けながら進んでいく。どう考えても、こんな道通った覚えはない。だが、光はずんずんと進んでいき、ちさきとまなかもそれに続く。

 

 

 

 

 それから光の先導で暗い、海の森の中を進み続けて一時間・・・・・・。だんだん、みんなの顔色が悪くなってくる。特に、光の顔色が焦っているように見える。ちさきとまなかは、『まだ家につかないのかな? もしかして迷ったんじゃ・・・・・・』と薄々思っているようだ。それに、行きに一時間かからなかったのに、帰りに一時間かかるなんておかしい。光・・・・・・確実に迷ったな。

 

「なあ、光・・・・・・もしかして、本当に迷ったんじゃないよな?」

 

「ひ、ひーくん迷ったの!? どどど、どうしよう、このままじゃ帰れないよ。ま、まーくんこの状況を何とかしてよ!」

 

「うるせえ! 俺は『迷ったんでしょ? しかも、帰り道までわからなくなった。』・・・・・・はい、そうです。道に迷いました。」

 

 光はあっさり迷ったことを認め、目を逸らしてこっちに目を向けないようにする。その言葉を聞いて、まなかとちさきは限界を越えたのか、泣き出してしまった。・・・・・・ああ~あ、遂に泣き出したのか。もう、帰ろうかな? どうせ、今から帰れば昼時だし、丁度いいや。

 

「う・・・・・・うわぁぁぁん!! ひーくんが道に迷った! このままじゃ帰れないよう!」

 

「うぅ・・・・・・ひっく、そんなの嫌だよ。帰りたいよ・・・・・・。」

 

 まなかとちさきは座り込み、泣き出すが、今回は本当に光が道に迷ったようだ。初めて、光が道に迷ったな。俺は溜め息をつき、歩き出す。光はパニック状態で、冷静なのは俺と要だけだ。

 

「んじゃ、早く帰ろうか。ほら、ちさきとまなかも立ってたって・・・・・・座り込んでたら帰れないから立ってよ。じゃないと、置いてっちゃうよ?」

 

「「もう歩けない! どうにかしてよ!」」

 

 ええ~、こんな事なら早く帰ればよかった・・・・・・。仕方ない、俺はちさきとまなかの手を取り、上に向かって泳ぎ出す。それに要と光がついて来る。最初っからこの方法を使えばいいのに、何で光は思いつかないかな?

 

 

 

 

 それから、俺はちさきとまなかの手を引っ張り続けて一時間。結構遠くまで来ていたので、帰るのに時間がかかってしまった。だが、何とか昼までには家に帰れそうだ。そんな事を考えていると、俺達は村の見えるところまで来た。

 

「あ、私の家! まーくんありがとう!」

 

「うん、誠ありがとう。どっかのリーダーと違って、頼りになるね。」

 

「うっせえ! 俺だって思いついたよ!」

 

「じゃあ、一時間くらい森の中をさまよったのは、何処の誰かな?」

 

 要がそう言うと、光はばつが悪そうな顔をして、逸らす・・・・・・。俺は、それを見て笑うと、スピードを上げて家に向かう。

 

「じゃあ、またお昼に遊ぼう。」

 

「おう! 今度は遅れるんじゃねえぞ!」

 

 俺はそう言うと、家の方に向かって泳ぎ出す。光にまた怒られるのは、勘弁して欲しいので、光達より早く家につかなければ・・・・・・。そんな事を思いながら、家へと急ぐ。

 

「ただいまーー!! お母さん、ご飯は~?」

 

「こら、先に手を洗ってきなさい。もう出来てるから、食べ始めてるわね。」

 

「は~い。」

 

 俺は返事をして、手を洗いに向かう。そうして、手を洗ったら俺はリビングに向かい。待っている母さんと父さんの隣に座ると、昼ご飯を食べ始める。そうして、朝より早く食べると、食器を片付けてから玄関へと飛び出した。

 

「行って来ます!!」

 

「誠!! 今日は、朝言ったとおりに早く帰るのよ! じゃないと、夕飯を食べる時間が遅くなるわよ。」

 

「わかってるって、5時前には帰ってくるよ!」

 

 俺はそう言って、光達とよく遊ぶ公園へと、走り出した。

 

 

 

 




さて、これからが問題だね。
原作開始まで地味にやっていきます。

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