バカと仲間と異世界冒険記!   作:mos

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第五十五話 上陸。扉の島

「いっててぇ……」

 

 また思いっきり腰を打ってしまった。今日はよく腰を打つ日だ。これじゃ尻が腫れ上がってしまうじゃないか。いくら小さい頃から叩かれ慣れてるとはいえ……ってそうだ! そんなこと言ってる場合じゃない! 船は!? 皆はどうなったんだ!? 慌てて上半身を起こし、辺りを見渡す。

 

『……雄二。大丈夫?』

『あぁ、なんとかな。ってお前! なに抱きついてやがんだ!』

『……雄二がクッションになってくれた』

『お前が抱きつくから図らずもそうなっちまったんだよ!』

『……でも落ち始めた時、雄二は私の手を握ってくれた』

『うっ……いや、その、なんだ……ぐ、偶然だ偶然! 何かに掴まろうとしたらお前の手だっただけだ!』

『……でも私の名を呼びながら手を伸ばしてた』

『ぐっ……う、うるせぇっ! 気のせいだ気のせい!』

『……雄二は恥ずかしがり屋』

 

 状況が分からないけど雄二と霧島さんがイチャイチャしている。ゴリラと霧島さんの組み合わせだと、どうしても美女と野獣に見えてしまうな。

 

「いたたぁ……絶叫マシンにしてはちょっと安全性に問題があるわね」

 

 右の脇からそんな声が聞こえてきた。腰を(さす)りながら起き上がる美波。彼女も腰を打ってしまったようだ。

 

「せめてシートベルトがほしいですよね」

 

 左の脇からも声が聞こえてくる。どうやら姫路さんも無事のようだ。

 

「そうね。座席を作って安全策を講じるべきだわ」

「座席は前の方に欲しいですね」

 

 あの、美波さん? これ絶叫マシンじゃありませんよ? それに姫路さんも同調しないでほしい。

 

『…………右舷魔導エンジン大破。機能完全停止』

『魔導伝導路破損。魔導コア出力20%に低下(ダウン)。マッコイ殿、もはや修復不能ですじゃ……』

『気にすんなキノシタ。こんなモン(ドック)に入れさえすればすぐ直せる』

『ワシらのために……すまんですじゃ』

『いいってことよ。俺が好きでやってンだからよ』

 

 秀吉とマッコイ船長が話している声が聞こえてくる。そっか……この船もう動けないのか。今の状況はどうなってるんだろう? このゆらゆらと揺れる感じは海の上だろうか。甲板の端まで行って身を乗り出し下を覗き込んでみると、すぐ下に青い水面が見えた。

 

「海……? これ水に浮くのか」

「ったりめーだろ。こいつぁ元は海用船だ。そいつを改造して砂上船にしたんだからな」

 

 気付いたら黒いコート姿のマッコイ船長が後ろに来ていた。黒い眼帯にどくろマークの入った黒い大きな帽子。相変わらずの海賊スタイルだ。

 

「そんなことより見てみろヨシイ。おめぇらの目指してる島ってのはアレじゃねぇのか?」

「ほぇ?」

 

 マッコイ船長が僕の隣で海上を指差す。その指す先に視線を移すと、例の島が目に入った。

 

「そうです! あれです!」

 

 扉の島は前回見た時と同じように黒い膜に被われていた。しかしよく見るとドーム状の一部にぽっかりと穴が開いている。そうか! あれが魔導砲で開いた穴か! ぱっと見で4、5メートルほどある。あれなら入れそうだぞ!

 

「皆! バリヤーの穴がまだ開いてるよ! きっと今なら入れるよ!」

「ほんとアキ!? それじゃ急いで行かなくちゃ!」

「でもどうやってあそこまで行きますか? やっぱり泳いで……ですか?」

「あ。そういえばアンタ泳げなかったわね」

「はい……」

 

 見た感じ、島までの距離は200から300メートルくらいはあるように見える。海はそれほど荒れてはいないけど、泳げない姫路さんはもちろん、僕や美波でも泳いで行くのは厳しそうだ。

 

「なぁ船長、小型船は積んでないのか?」

「あるぞい?」

「マジか!? それを早く言ってくれ!」

「あるにはあるが、飾りで乗っけとるだけじゃから浮くくらいしかできんぞ? それでも良いのか?」

「構わねぇ! あとは俺たちでなんとかする!」

 

 なんだ。他に船があるのか。なら全然問題無いじゃないか。っていうかマッコイさん元の爺言葉に戻ってるね。もしかして眼帯を外すと戻るのかな?

 

「小型艇はこの後ろに積んでおる。下ろしておくから、お主らは準備をしてくるがよい」

「俺たちの準備はもうできている。全員身ひとつなんでな」

「なんじゃと? お主ら無一文じゃったのか」

「ま、そんなとこだ。持ってたモンはたぶんこの海の底だからな」

「無茶をするのう」

「へへっ、まぁな。そんなことより船を頼むぜ船長」

「おうよっ」

 

 そんなわけで僕たちはマッコイさんの用意してくれた小型艇に乗り込んだ。船は本当に小型で、全長5メートルほどのボートだった。動力どころか(オール)すら付いていない。これではマッコイさんの言う通り浮くことしかできないだろう。だが問題はない。なぜなら僕らには風力という動力があるのだから。

 

「今度こそお別れじゃな。キノシタ」

「マッコイ殿、本当に世話になり申した」

「なぁに、ワシも楽しかったぞい。もし帰れなんだら戻ってくるがえぇ」

「そうじゃな。もし帰れなければまたお世話になり申す」

 

 んー。秀吉の言う”もし”は、たぶん無いかな。もう元の世界への扉は目の前だし、学園長の示した期日まではあと2日ある。だから大丈夫さ。

 

「ところでお前さんがた、どうやってあの島まで行くのじゃ? まさか手で漕いで行くつもりではあるまいな」

 

 うん。知らないマッコイさんには疑問だろうね。

 

「心配には及びません。僕らには秘密兵器があるんです」

「ほほう。秘密兵器とな? それはどのようなものじゃ?」

「まぁ見ててください。それじゃ頼むよ。美波」

「ふふっ、任せてっ」

 

 美波は楽しげに片目を瞑り、ウインクしてみせる。こういう所が可愛くて、僕の心は踊ってしまう。

 

「――試獣装着(サモン)!」

 

 美波が装着すると、その衝撃で船が大きく揺れる。僕たちは船の(へり)に掴まり、船の体勢を維持した。

 

「さぁ行くわよっ!」

 

 彼女は腰のサーベルを抜き、意気込んでそれを天にかざす。

 

大旋風(サイクロン)!」

 

 右手に持ったサーベルをスッと前に下ろし、技を発動させるキーワードを叫ぶ。すると彼女のサーベルから激しい風が巻き起こり、小舟を押し出した。

 

「な、なんと! お主そんなことができるのか!」

 

 甲板の上から見送るマッコイさんは目を丸くして驚いている。

 

「僕ら全員こういった力が使えるんです! それじゃ行ってきます! マッコイさん、お世話になりました!」

 

 小舟は徐々に加速し、キングアルカディス号から離れて行く。

 

『あぁ! こちらこそ世話になった! 達者でな!』

 

「マッコイさん! お世話になりました! 私たち、このご恩は一生忘れません!」

「元気でな爺さん! 最高の航海だったぜ!」

「……ありがとうございました」

「まこと楽しい旅じゃった! マッコイ殿もお達者で!」

「…………お元気で」

 

 小舟の上から手を振る僕たち。美波の風は徐々に勢いを増し、どんどん船を加速させていく。マッコイさんはいつまでも甲板の上から手を振っていた。

 

「ところで島田よ、ちょっと飛ばし過ぎではないか?」

「何言ってるのよ。ウチの力はまだまだこんなもんじゃないわよっ!」

 

 彼女は得意げにそう言うとサーベルを持つ手にぐっと力を入れた。すると船は更に加速し、まるでモーターボートのような勢いで海面を切って走り出した。

 

「あ、あの……さ、美波? ちょ、ちょっと張り切りすぎなんじゃないかな?」

「まだまだよっ!」

 

 まずい、美波が調子に乗ってしまっている。どうにかして止めないと島に突撃してしまいそうだ。

 

「で、でもさ、あんまり加速すると今度は止まれなくなっちゃうんじゃないかな。そしたら島を通り越したり、バリヤーにぶつかったりするんじゃないかな?」

「大丈夫よ。止まる時はウチが反対を向いて風を起こせばいいんだから」

「いやまぁ、そうなんだけどさ……」

「あの……美波ちゃん、すみません。少し速度を落としてもらってもいいですか? 私、酔ってしまいそうで……」

「そうなの? それじゃ少し緩めるわね」

 

 姫路さんの訴えでようやく風を緩める美波。やれやれ。これで一安心かな。

 

 落ち着いた僕は船の進行方向に目を向けた。目前に聳えるのは半球型の黒いドーム。魔障壁に守られた扉の島。その一角にはぽっかりと穴が開いていて、時々ジジジと電撃がほとばしる。あれが先程魔導砲で開いた穴だ。

 

「どうやらこのまま入れそうだな。よし島田、ここからは慎重に行け。船がバリヤーに触れたらどうなるかわからん」

「分かったわ」

 

 雄二の指示に従い、風を更に弱めて巧みに船をコントロールする美波。こんな細かい操作ができるなんて、やっぱり美波は器用だ。

 

「そのまま真っ直ぐだ。……いいぞ。そのままゆっくりだ」

 

 船は静かに、とてもゆっくりと前進する。海は不気味なくらいに静かで、船を揺らすほどの波もない。チャプチャプという波音の中、雄二以外の者は押し黙り、息を呑んで青い軍服姿の美波を見守る。

 

「よし、バリヤーの中に入った。よくやったぞ島田」

 

『『『ふぅ~……』』』

 

 雄二の言葉に全員が安堵し、息を吐いた。やれやれ。ただ見守っていただけなのに手にじっとりと汗をかいてしまったよ。

 

「……あそこに船を着けられそう」

「そうだな。島田、あの緩やかな浜の所に行けるか?」

「やってみるわね。少し勢いつけるわよ。皆掴まって」

 

 掴まる……。

 

「アキ。ウチに掴まったりしたら蹴っ飛ばすからね」

「な、なんで考えてることが分かったの!?」

「アンタの考えてることなんてお見通しよ。今集中してるんだから余計なことするんじゃないわよ」

「うぐ……わ、分かった」

 

 ちぇっ。さっきのお返しに掴まってくすぐってやろうかと思ったのに。でも見透かされていたのなら仕方がない。仕返しはまた今度だ。

 

 なんて余計なことを考えているうちに船はやや勢いを増し、扉の島に向かって行った。目の前に広がるのは灰色の山肌。どうやらこの島は海岸からすぐに山になっているようだ。

 

「乗り上げるわよ。皆、気をつけて」

 

 美波の呼びかけに皆は頷き、船の縁をぐっと強く握った。

 

 ――ガガガッ、ゴン、ゴンッ!

 

 何か石のようなものが当たる音がして、小舟は砂浜に乗り上げた。しかし思っていたほどの揺れはなく、少し体を揺すられた程度だった。見事な接岸だ。

 

「皆お待たせ。到着よ」

 

 どうやら無事到着のようだ。ついに扉の島に辿り着いたんだ。

 

「美波ちゃん、お疲れ様です」

「……ありがとう。美波」

「どういたしまして。ふふ……」

 

 美波はなんだか楽しそうだ。もしかして美波にはボートを漕ぐという趣味があったりするんだろうか。そういえばまだボートに乗るようなデートには行ったことがないな。

 

 ……帰ったら誘ってみようかな。

 

「雄二よ、ここが扉の島で良いのか?」

「あぁ、間違いねぇ。俺の腕輪がこんなに反応しているからな」

 

 そう言う雄二の右腕では白金の腕輪がぼんやりと怪しい光を放っている。この光り方は学園長と通信が繋がった時と同じだ。でも少し光が弱い気がする。

 

「ここが扉の島なんですね……なんだか寂しい感じがします」

「ホントね。きっと植物が無いからそう感じるのね。見てよ。そこら中、岩だらけよ」

 

 美波と姫路さんが話しているのを聞き、僕は島の様子を左から右へと見渡してみた。ぱっと見た感じ、そんなに大きくない島のようだ。ここから見える範囲では、端から端まで歩いたとしても1時間も掛からないと思う。

 

 ただ、彼女らの言うように植物があるようには見えなかった。この砂浜から数メートル先は灰色の岩山になっていて、緑は一切見えない。右も左も、どこを見ても岩、岩、岩。こんな環境に生き物がいるとしてもイグアナとかの爬虫類くらいしか想像できない。

 

「お前ら気をつけろよ。まだ何があるかわからん。魔導船が攻撃を受けた以上、敵対する意志があるのは確かだからな」

 

 雄二が注意を促す。そんなことは言われなくても分かっている。飛空艇が攻撃を受けた後、僕はずっと考えていた。その攻撃してきた者が何者なのかを。

 

 目的の島は幻で包まれ、更に黒い魔障壁(バリヤー)で守られていた。それに加えて先程飛空艇を襲った謎の攻撃。ここまで明確な拒否の意思を示されているのだ。僕たちに敵対する何者かがこの島に存在している。そう考えざるを得ない。

 

 問題はそれが何者なのか、だ。この世界で僕たちに敵意を見せたのは魔獣。それと魔人だ。魔獣は本能で動いていて意思が無い。つまり現時点で考えられる犯人は魔人だ。もしくはギルベイトの言っていた、魔人の”主”か。

 

「雄二よ、目的の島に入ったのじゃ。ここで腕輪を使っても元の世界への扉が開くのではないか?」

「いや、扉を開くポイントはここじゃない。学園長(ババァ)の言っていたことを思い出してみろ」

「そういえば何か言っておったな」

「……島の中央で腕輪の力を発動させる」

「そういうことだ。つまり扉を開けるためにはこの山の向こうに行かなくちゃなんねぇってことだ」

 

 そういえば学園長がそんなことを言ってたっけ。島の中央か。中央というのがどの辺りか知らないけど、きっとこの岩山を登れば見えるだろう。

 

「それじゃ行こうよ。その敵対する意思って奴に見つかる前にさ」

 

 僕は先陣を切って歩き出した。

 

「ちょっと待ってアキ」

「ん? どうかした?」

「アンタこんな崖を登るつもりなの?」

 

 美波が目の前に聳える岩山を見上げて言う。何か問題があるのだろうか?

 

「そうだけど?」

「そうだけど、ってアンタね……こんな断崖絶壁を登るなんてロッククライミングみたいなものじゃない。そんなことをウチらにやれっていうの?」

「美波ならこんなの簡単に登れるんじゃないの?」

「そりゃあウチは登れるけど、瑞希や翔子はどうするのよ」

「あ……そうか」

 

 もうすぐ目的地だから気が急いてすっかり忘れていた。僕は登る気満々だったけど、確かに姫路さんや霧島さんにはちょっと無理かもしれない。

 

「……私は平気。雄二が背負って頂上まで行ってくれる」

「お断りだ」

「……じゃあお姫様抱っこで」

「両手が塞がっていてどうやって登れってんだ!」

「……そして頂上で式を挙げる」

「なら俺は登らずにこの岩山をブチ抜いて進む!」

「……バージンロードを作ってくれるなんて雄二は気が利いてる」

「何を言えば諦めてくれるんだお前は……」

「……私は諦めない。絶対に雄二と一緒に帰って式を挙げる」

「俺、この世界に残るわ」

「……じゃあこっちの世界で式を挙げる」

「だーっ! もう勘弁してくれ!」

 

 霧島さんの意思は硬いようだ。雄二もそろそろ年貢の納め時なんじゃないかな。

 

「あ、あの、坂本君……?」

「ん? なんだ?」

「いくら坂本君の力が強くても、この岩山を()り貫くのは無理があると思うんですけど……」

「姫路……あれは冗談だ。本気にしないでくれ」

「あっ、そうなんですね。安心しました」

 

 姫路さんがポンと両手を合わせて笑顔を作る。この子も意外と天然だよな……でも確かにこの岩山を刳り貫けたら一直線に中心に行けるかもしれない。

 

「雄二の召喚獣なら力もあるし、岩山をブチ抜くくらいできるんじゃないの?」

「あのな明久、教室の壁とは違うんだぞ? いくらなんでもこんなモンをブチ抜けるわけねぇだろ。召喚獣の力は多く見積もっても人間の10倍だぞ?」

「そっか。でもどうする? 確かに姫路さんにここを登れって言うのは厳しいと思うし」

「ワシもあまり体力に自信は無いぞい」

「…………俺は登れる」

「そりゃムッツリーニは装着しなくても登れるだろうけどさ……あ、そうだ! 試獣装着して登るっていうのはどうだろう? きっとこんな岩山だって簡単に登れるよ?」

 

 我ながら良いアイデア!

 

「いや、ダメだ」

 

 と思ったら雄二が速攻否定した。

 

「なんでさ。装着すれば10倍の力が出せるんだろ? それなら姫路さんだって登れるじゃないか」

「さっきも言っただろ。恐らくここには俺たちを敵視する奴がいる。それがもし魔獣や魔人だとしたら召喚獣の力が必要だ。だから今は温存すべきだ」

「う……」

 

 雄二は慎重だな。けど分からないでもない。僕だって今まで何度も魔獣や魔人と戦う羽目になったし。

 

「って……あれ? 美波?」

 

 気付けばすぐ横にいたはずの美波が姿を消していた。どこに行ったんだ?

 

「島田なら周りを見てくると言って……ほれ、あそこにおるぞい」

 

 秀吉は岩壁に沿って左側を指差す。その方角を見ると、岩山に沿って歩いていくポニーテールの姿が見えた。なるほど、考えるより行動か。美波らしいな。

 

『ねぇ皆! こっちに歩けそうな道があるわよ!』

 

 どうやら何かを見つけたようだ。なんだか今日の美波はとても行動的だ。

 

「よくやった島田! よし皆、向こうから行くぞ」

 

 雄二が歩き出し、僕らはそれぞれ歩き出した。

 

「……雄二、バージンロードは?」

「作らねぇよ!」

 

 雄二が大声で答えると霧島さんはシュンと俯き、悲しそうな目をする。

 

「ま、まぁなんだ……か、帰ったら好きなもの買ってやるからよ……」

 

 すると雄二は目を逸らしながらポリポリと頬を掻き、意外なことを口にした。ついに観念したか?

 

「……じゃあ、2人のスイートホーム」

「すまねぇ翔子、俺の財力じゃ無理だ……」

「……それなら出世して稼いでもらう」

 

 霧島さんには将来の夢があるんだな。スイートホームか。そういえば数日間だけど僕も美波と2人暮らしをしてたんだよね。いわゆる未来のシミュレーションってやつ……? な、なんか考えたら急に恥ずかしくなってきた……。

 

「…………何をニヤついている」

「うわぁっ!?」

 

 急に耳元でムッツリーニの声が聞こえて、驚いて飛び上がってしまった。

 

「べべべべつにニヤついてなんかないよ!? 2人暮らしってあんな感じなんだなって思っただけでさ!」

「…………? 2人暮らし?」

「あ……い、いや。なんでもない……行こうか……」

 

 危うく恥ずかしい話を自分から暴露するところだった……。

 


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