「ふわぁ~……おはよう~雄……って。あれ? 雄二?」
ふと目を覚ますと、もう片方のベッドで寝ていたはずのゴリラの姿がない。どこに行ったんだろう。大人しく動物園に帰ったのかな? まさかね。いくらあいつが動物に似ててもそれはないか。トイレに行って道に迷ってるんだろう。しょうがない奴だ。探してやるかな。
手早く着替えて早速ホテル内を歩き回り、赤毛ゴリラを探してみる。まずは館内のトイレ。ここにはいなかった。続いてロビー、浴場――いない。食堂……は、まだ開いていなかった。おかしい。館内のどこを探してもいない。あと考えられるのは女子部屋だけど……まさか雄二のやつ、霧島さんを襲うつもりか!?
『アキ~っ!』
廊下で考え込んでいると、どこからか女の子の声が聞こえてきた。この声は美波だ。
「おはよう美波。朝から元気だね」
彼女は手を振りながらこちらに向かって走ってくる。既に文月学園の制服に着替えているようだ。いつものポニーテールも可愛く決まっている。
「おはよアキ。ねぇアキ、翔子見なかった?」
「ん? 霧島さん? 見てないけど?」
「そう……どこに行っちゃったのかしら……」
「もしかして霧島さんもいないの?」
「”も”ってことは、他にも誰かいないの?」
「うん。雄二がどこにもいないんだ」
「坂本まで……もしかして2人でどこかに行ったのかしら」
「なるほど。そうかもしれないね」
でもこんな時間じゃ店も開いてないだろうから、朝食の買い出しとも思えない。となると……デートかっ!
「明久君」
「あ、姫路さん。おはよう」
「おはようございます。明久君、翔子ちゃんを見ませんでしたか?」
「その話は今美波から聞いたよ。いなくなっちゃったんだって?」
「そうなんです。気付いたら翔子ちゃんのベッドが空っぽになってまして……」
「実は雄二もいないんだ。だから2人でどこかに行ってるんじゃないかって美波と話してたところなんだ」
「…………デートか」
「うわっ!?」
「…………そんなに驚くな」
「あぁ、ムッツリーニか。いや、突然耳元で囁かれたら驚くよ普通……」
「どうしたのじゃ? 何かあったのか?」
「あ、秀吉。おはよう」
「んむ。おはようじゃ」
なんだかんだで雄二と霧島さん以外全員集まった僕たち。けれど誰も2人の行方を知らないという。2人とも誰にも行き先を伝えていないというのはおかしい。何かトラブルに巻き込まれたのでは? そう考えた僕たちは相談し、皆で手分けして探すことにした。
姫路さんは2人は船を探しに行ったのではないかと言う。僕もその可能性はあると思う。なぜならあと2日以内に扉の島に行かなくてはならないからだ。そこで僕は美波に姫路さんと共に港を探すよう指示。秀吉、ムッツリーニと僕は町の外を探すことにした。外を探すことにしたのは、この町で船を調達することが難しいことが分かっているからだ。
そう。この町で船を調達するのは現実的ではない。このことは雄二のみならず僕ら全員が思い知っている。町の中がダメとなれば、あとは外しかない。昨日の巨獣化したギルベイトと戦った海岸にはいくつもの船の残骸のようなものが転がっていた。このことを思い出し、雄二ならばあれを頼りにするのでは? と思ったのだ。
まぁ、思ったのは僕じゃなくて美波なんだけどね。
「しかし明久よ、海岸となると町の外なのじゃろう?」
「そうだよ」
「ならば危険ではないのか? 魔障壁は町の外までは届いておらぬはずじゃ」
「まぁ安全ではないだろうね」
「昨日雄二は危険なことをすべきでないと言っておったぞい? そのような場所に霧島を連れて行くじゃろうか」
「もし霧島さんが言い出したのなら雄二は反対するだろうね。でも逆に雄二が言い出したのなら霧島さんは絶対についていくと思うんだ」
「確かにそうじゃな。お主、意外にあやつらのことを理解しておるのう」
「そうかな?」
「…………門を開けてもらった」
「サンキュームッツリーニ。仕事が早いね。そんじゃ行こうか」
「んむ」
早速僕たちは開けてもらった門から外に出てみた。町から出る馬車道は真っ直ぐ西に向かって続いている。その道の遙か先には緑色の木々が生い茂る”森”が見える。昨日、僕と美波はこの道を通って町に戻ってきた。左手が海岸で、右手が山脈。右手の山の向こうにはローゼスコートがあるのだ。
「海岸はあっちじゃな」
「うん。行ってみよう」
僕たちは海岸に向かった。しかしここは町の外。魔障壁が届かないため魔獣が出没する危険性がある。この近辺にまで近付ける魔獣は小さくて弱いもののみだが、できれば遭遇したくない。そこで僕たちはできるだけ外周壁に沿って移動することにした。
この頃には既に日が登り、朝を迎えていた。そのためか気温はわりと高め。しばらく歩いているとじんわりと汗がにじみ出てくるくらいだった。
「それにしてものどかな風景じゃのう」
「ん? そう?」
「見てみぃ。青い海。白い砂浜。緑や山もある。まさに大自然じゃ」
秀吉に言われてぐるりと辺りを見回してみる。なるほど、確かにこれ以上ないくらいに大自然の中だ。僕たちの住む世界はアスファルトの道やコンクリートの建物が多く、こういった光景はあまり目にすることがなかったりする。そういう意味では貴重な経験とも言える。
「ホントだね。こんなところで皆でバーベキューしたら楽しいだろうね」
「んむ。そうじゃな」
「…………いた」
「えっ? どこどこ!?」
「…………あそこだ」
ムッツリーニが海の方角を指差して言う。しかし指差す先には青い海と青い空しか見当たらない。
「えっと……まさかもう船を手に入れて海に出てるの!?」
「…………違う。もっと手前だ」
「手前?」
再度目を凝らせてよく見てみると、砂浜に2つの動く人影が見えた。その2つの黒い影はゆっくりと移動しているようだった。
「いた! 雄二と霧島さんだ!」
「そのようじゃな。2人で早朝デートかの?」
「…………妬ましい」
「んー。だとしたら声をかけるのはマズイかな」
「少し様子を見るべきかもしれぬな」
「…………当然様子を見る。これをネタに脅迫できる」
「お主も変わらぬのうムッツリーニよ」
「…………カメラが無いのが悔やまれる」
「は、はは……」
美波とのデートは撮られないようにしようっと。雄二たちの様子を見ながら僕はそう心に刻んだ。
「うぅむ。ここからではよく見えぬのう」
「…………近付くぞ」
ムッツリーニはそう言うとバッと地に伏せた。両肘を突っ張り、胸を地面に付ける。僕と秀吉も真似をして地面に伏した。
「へっくしぃっっ!」
伏せたら短い草が鼻に入ってしまい、思わずくしゃみが。
「…………静かにしろ。気付かれる」
「ご、ごめん」
「…………行くぞ」
ムッツリーニは右、左、右、左と肘を前に出しながら少しずつ前進する。いわゆる”ほふく前進”というやつだ。僕らもその後に続いた。
雄二と霧島さんはこちらには気付いていないようだ。距離が400メートルほどあるから僕らが見えていないのだろう。2人は何か話をしながらゆっくりと砂浜を歩き、町から遠ざかって行くようだ。
……
それにしても……。
「ね、ねぇ秀吉」
「なんじゃ?」
「なんか僕たちさ、覗きをやってるみたいじゃない?」
「”みたい”ではなく、覗きそのものじゃな」
「…………問題ない」
「いやムッツリーニはいつものことだからいいだろうけどさ、なんか悪いことしてるような気がしない?」
「むぅ……確かにそうじゃな」
「やっぱり声掛けようよ」
僕はすっくと立ち上がり、声を掛けようと片腕を上げた。
「お――」
キィィイイン……
ん? なんだこの音? ジェット機……の、音? まさかね。そんなものがこの世界にあるわけが――
ドオォォォォオン!!
「ひっ!?」
突然、上空でもの凄い爆音が轟いた。それと共に凄まじい突風が巻き起こり、周囲の砂を舞い上げる。
「いてっ! いててててっ!」
風に巻き上げられた砂が体にビシバシと当たってきて、かなり痛い。まるで嵐のようだ。それとも美波が腕輪の力でも使ったんだろうか?
「なっ、何じゃ!? 何が起こったのじゃ!?」
砂が目に入らないように腕でガードする僕たち。あまりに激しい突風のため目を開けていられない。けれどすぐに風はおさまり、爆音も遠くに消えていった。一体なんだったんだ? 今のは……。
「…………また来る」
ボソリとムッツリーニが呟いた。って! また来る!? 何が!?
キイィィィィン……
再び金属を擦り合わせるような音が近付いてくる。ん? この音は……どこかで聞いたような? 思い出そうとしていると、今度は上空から拡声器を使って叫ばれたような声が聞こえてきた。
『おぉぉーーいぃ! ガキどもォーっ! こんな所におったンかァーっ!』
ビリビリと空気が振動するかのようなバカでかい声。この声には聞き覚えがある。つい最近、確か砂漠で聞いた声だ。って、そうか! 思い出した! さっきの音は砂上船のエンジン音だ! でもなんで空から聞こえてくるんだ?
疑問を抱いた僕は腕で目をガードしつつ、チラリと上空を見上げてみた。
「え……えぇぇぇぇーーっ!? ふ、船ぇェーーッ!?」
「な、なんじゃと!?」
「…………船が……飛んでる……」
こんな夢みたいなこと、ゲームの中だけの話だと思っていた。けれど今、僕たちの目の前では全長20メートルほどの”船”が空中に浮いているのだ。何度か目を擦って見直してみても間違いはない。どう見てもマッコイさんの砂上船、”キングアルカディス号”だ。でもどうして船が空を……?
ポカンと口を開けたまま空を見上げる僕たち。そんな僕たちの目の前で、船は激しい風を吹きながら高度を下げていく。どうやら馬車道に着陸するつもりのようだ。
「秀吉! ムッツリーニ! 行ってみよう!」
「んむ!」
僕たちは着陸する船の方に向かって走り出した。向かう先では空飛ぶ船が船底から足のようなものを出しはじめている。よく見れば船体の左右には大きく板がせり出し、飛行機でいう翼のようなものを形成していた。
これって飛行船? 飛行船だよね!
僕はワクワクしながら着陸するキングアルカディス号の元へと向かった。程なくして砂上船はガシュウンという音を立てて馬車道に着陸。僕たちはその船体の脇へと駆け寄った。
「やはりマッコイ殿の船のようじゃな」
「うん! 間違いないよ!」
船体の横には”King Arcadis”と黒い字で殴り書きされている。完全には読めないけど、きっとキングアルカディスと書いてあるのだろう。
「でもなんで砂上船が空を飛んで来たんだろう?」
「なんとなくじゃが、分かる気がするのう……」
横で船体を見上げていた秀吉がどこか嬉しそうに言う。秀吉はマッコイさんと仲がいい。何か知ってるのかもしれないな。そう思って僕も船体を見上げた。すると、ひょいっと船の上から縄ハシゴが降ってきた。そしてその縄ハシゴを伝って誰かが降りてくる。
『おー! キノシタァー! また会ったのうー!!』
彼は縄ハシゴの途中で片手を離し、手を振っている。なんだかとても嬉しそうだ。
「マッコイ殿ぉーっ! 手を離したら危険ですぞー!」
黒いロングブーツに黒のロングコート。
どくろマークの入った黒い大きな帽子。
左目に巻かれた黒い眼帯。
この海賊のようなスタイルをする人なんて他に考えられない。間違いなくマッコイ爺さんだ。
『なーに! この程度平気――――おわっとととっ!』
「わぁぁーーっ!?」
バランスを崩して落ちそうになるマッコイさん。僕は堪らず両手で目を覆ってしまった。
……?
しかし数秒経っても落下音が聞こえない。落ちたのならドスンといった感じの音がすると思うのだけど……。
『なーんちゃって。冗談じゃよ~』
爺さんのおちゃらけた声が聞こえてくる。恐る恐る目を開いてみると、爺さんは縄ハシゴに両足を引っかけ、逆さまにぶら下がっていた。
『カッカッカッ! この程度どうってことないわい!』
「なんとも人騒がせなご老人じゃな……」
マッコイ爺さんは体勢を戻してスルスルとハシゴを降りてくる。まったく、秀吉の言う通りだよ。
「久しぶりじゃなキノシタ、ツチヤ」
「お久しぶりですじゃ」
「…………久しぶり……です」
「それとお主は……あー……。確かヨシイじゃったかな? お主も元気そうじゃな」
「あ、はい。お久しぶりですマッコイさん」
僕はおまけ程度に覚えられているのか。秀吉やムッツリーニとはずいぶん扱いが違うじゃないか。まぁ別にいいんだけどさ。
「相変わらずお達者のようですな。マッコイ殿」
「カッカッカッ! 当然じゃ! これもお主らが生きる目的を与えてくれたおかげじゃ。感謝しておるぞ」
「礼を言うのはワシらの方じゃ。主様のおかげでここまで来られたのじゃからな」
「キノシタは変わらず謙虚じゃのう。どうじゃツチヤ、お主も元気にしておったか?」
「…………そこそこ」
「フフ。そこそこか。お主も変わらぬな」
「ところでマッコイ殿。この船は一体どうしたのじゃ?」
「ん? おお、そうじゃった! 見てくれ! キングアルカディス号の新たな姿を!」
マッコイさんは両腕を広げて船体に向かって声を張り上げる。目の前にあるのは木造の帆船。いや、よく見るとマストがなくなり、帆もなくなっている。代わりにあるのは船体の横に大きくせり出した翼。その翼には以前後部に取り付けられていたジェットエンジンが、左右に1個ずつ搭載されていた。ここまで来ると、もはや飛行機だ。
「お? なんだ明久じゃねぇか。こいつはお前の仕業か?」
その時、後ろから雄二の声が聞こえてきた。
「あ。雄二」
霧島さんも来たみたいだ。まぁこんな物が降りてくれば気になって見に来るのは当然か。
「そんなわけないだろ。マッコイさんに決まってるじゃないか」
「エッヘン! どうじゃ凄いじゃろう!」
両手を腰に当て、胸を張るマッコイさん。ははっ、やっぱりこの人面白いや。
「あぁ、まさに奇想天外な発想だな。こんなものを飛ばそうなんて考えるのはアンタくらいなもんだぜ」
「ホッホッホッ! お主、なかなか話が分かるではないか。見直したぞい?」
(……別に誉めたつもりはないんだがな……)
ボソッと雄二が何か言ったようだけど、気にしないでおこう。
「……船長、お久しぶりです」
霧島さんが丁寧にお辞儀をして挨拶する。これが正しい挨拶のやり方だね。
「おぉキリシマ、お主も元気そうでなによりじゃ!」
僕の名前はうろ覚えでも女の子の名前はしっかり覚えてるんだね。なんかこの人が話に入ってくると僕の存在感がとても薄くなる気がする。
「ところで船長、今日はこいつを見せびらかしに来たのか?」
「まぁ簡単に言うとそういうことじゃな。ホッホッホッ。しかしお主らもうこんな所まで来ていたとはのう。間に合わんかと思ったぞい」
「もうというか、やっとここまで来たって感じなんだけどな……」
「む? なんじゃサカモト、そのシケた面は。そのようなことでは運気も逃げてしまうぞ?」
「いやまぁ、なんだ。もう逃げちまったのかもしれねぇな」
「なんじゃ。ずいぶんと弱気ではないか。何やら訳ありのようじゃな」
……
えーっと。何だろう。なんかこう、今すっごく大事な事を忘れてる気がする。なんだっけ?
「どうしたのじゃ明久よ? そのように難しい顔をして」
「いやぁそれがさ、なんか大事なことを忘れてる気がしてさ。う~ん……なんだっけ?」
「ワシに聞かれても困る。お主の頭の中がワシに分かるわけがあるまい?」
「だよねぇ」
「…………トイレに行きたいとか」
「いくら僕だってそれを忘れたりしないよ」
「マッコイ殿に関係することではないのか?」
「そう、そうなんだよ。うぅ~ん……なんだっけ。喉まで出てきてるんだけどなぁ」
うー。もどかしい。何かの拍子にポンと出てきそうな気がするんだけど……。
「なんじゃヨシイ。ワシに何か用があるのか?」
「あ、はい。そうなんですけど、思い出せないんですよね。なんだかとっても大事な用だったはずなんですけど……」
「ふむ。ならばそれを思った時に何をしていたかを思い出すべきじゃな。何をしておったのじゃ?」
「えっと、雄二の監視?」
「はぁ? なんじゃそりゃ?」
「おい明久。俺の監視ってのはどういうことだ」
「えっ? いや、その……あはははっ!」
「笑って誤魔化すんじゃねぇ! てめぇ何を企んでやがる!」
しまった。思わず口を滑らせてしまった……って、そうだ! 思い出した!
「ね、ねぇマッコイさん! 実は僕たち、船のことで困ってるんです! 相談に乗ってくれませんか!」
そうだった。船が無くて困っていたんだった。しかも空飛ぶ船なんて、願ってもない救世主じゃないか!
「なんじゃと? なぜそれを早く言わん! 船のことなら任せておけ! で、どんな船が欲しいのじゃ? 小型船くらいなら2日もあれば作れるぞい!」
「いや、それが、その……」
僕は順を追って事情を説明した。
扉の島に向かっていたこと。王妃様の船で行ったものの、魔障壁のようなもので阻まれてしまったこと。攻撃したら反射されて大事な船を失ってしまったこと。そして残りの日数が2日しかないこと。すべてを伝えた。
「なるほど。そういうことじゃったか」
「マッコイさん! お願いです! どうか僕たちを乗せて扉の島まで送ってもらえませんか!」
「フ……ワシを誰だと思うておる。船で送るなどお安いご用じゃ!」
「ほ、ホントですか!?」
「無論じゃ。お主らには礼をしたいと思うておったしな」
『『『ぃやったぁーーっ!』』』
僕たちは歓喜した。残り2日。船を失ったことで僕たちの胸の内には不安が立ちこめていた。そんな僕たちにもたらされた希望の光。まさに救世主の登場だった。
「では早速乗り込むがよい。目的の場所は分かっておるのじゃろう?」
「あ、ちょっと待ってください。まだ美波と姫路さんが町の中にいるんです」
「ミナミ? 誰じゃそれは」
「あ……えっと、美波というのは島田美波でして……」
「おぉ! あの時のリボンの
「は、はい……」
この爺さん、また美波にチューをしろとか言い出すんじゃないだろうな……。
「それじゃ雄二、僕は美波たちを呼んでくるよ」
「あぁ、任せる。俺たちは先に乗って待ってるぜ。戻ったら俺を監視していた話をじっくり聞かせてもらおう」
「う……い、いや~何の話かな?」
「とぼけても無駄だ。とりあえず姫路と島田を呼んでこい」
「わ、分かった」
こうして僕は1人で町に戻ることにした。それにしてもまさかマッコイさんが来てくれるなんて思いもしなかったな。でもこれで元の世界に帰れそうだ。そうだ、今度こそ……今度こそ本当に元の世界に帰れるんだ!