東方帽子屋   作:納豆チーズV

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二.残光の如き外界の記憶

 ――もう戻れない。

 自然の溢れた幻想の世界とは違い、爽快感をまったく覚えない生暖かな汚れた空気。かつて崇められた天の光は一切の信仰を失っており、暖かいはずの日差しは薄っぺらく、どこか冷たささえ感じさせてくる。

 喧騒はどこまでも耳障りだった。そばにいるだけでも楽しい賑やかさとは異なる、常に聞き流していたいような騒音。

 けれど俺にとってはこの世のどこよりも心地よく、懐かしく、恋しく、なじみ深く、空気は昨日まで吸っていたかのようで、光は昨日まで浴びていたかのようで、喧騒は昨日までずっと聞き続けていたかのようで。

 ――戻ってはいけない。

 ここは俺がいてはいけない場所だと、ここは俺がいるべき場所だと、ここは俺を待っている世界だと、ここは俺を追い出した世界だと。

 このまま今のすべてを捨てて、向こう側へと戻ってしまいたいという欲求が俺の中に生まれたのがわかった。

 ぐちゃぐちゃになりそうになる脳を、頬に触れて無表情であることを確認して平生のそれへと引き戻す。

 ――俺はもう、人間ではないのだ。

 償わねばならぬ罪がある。贖うと決めた過去がある。この幻想の世界でそのすべてを清算しなければならないと、いつかどこかで誓った記憶がある。

 さぁ、眼を外界にさらそう。五感における最後の砦を自ら崩し、視界から現実を否定して幻想へ帰るとしよう。

 未練を捨てる。世界に俺を忘れさせる。そうしなければならない理由と責任が今の俺にはあった。

 すぅー、と大きく深呼吸をして心を落ちつかせると、ゆっくりと瞼を開いた。

 

 

 

 

 

 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

 

 

 

 

 

 幻想郷が本格的に冬を迎えようとしている。春は桃色、夏は緑色、秋は赤や黄、褐色などとさまざまなのだが、それも落ちてしまえばすべて同様に色がくすんでいく。息を吐けば淡い白色を帯び、外気に肌をさらしていれば自然と表面の冷たさは増していく。

 先日、自分のものも合わせてようやくマフラーが三つとも完成し、レミリアとフランにそれをプレゼントした。あいにくと温度の変化には疎いのだけれど、こうしてマフラーを巻くことで季節を味わうことは可能だ。首元を寒そうに覆って両手を口元に運び、はぁ、と吐息をもらせば少し早い冬の気分を満喫することができる。

 

「それで、今日はどこに行くんです?」

「霖之助さんのところよ。っていうか、あんたらそれ暖かそうね。ちょっと貸してくれない? 霖之助さんのところにつくまででいいからさぁ」

「はい、構いま」

「ダメっ! せっかくのお姉さまとのお揃いだもん。私のもお姉さまのも、渡さないから」

 

 魔法の森方面の道を、霊夢とフランとともに三人で歩いていた。俺がマフラーを貸すことさえフランは断固として拒むため、霊夢はいかにも寒そうな面で苦笑いとため息を吐く。

 霊夢がいつも着ている肩と腋を露出する巫女服が霖之助の作であることはずいぶんと前に聞いた。今日は彼のもとに冬用の服を取りに行くようで、未だに霊夢は寒気に溢れた幻想郷の中で薄めの布の服を着用している。香霖堂には外の世界の、空気を暖める道具――ストーブがあるからか、いつもより彼女の歩くスピードがほんのちょっぴり速い。

 やがて魔法の森の入り口付近に建っている摩訶不思議な建物の玄関までやってくると、霊夢は扉をノックもせずに開いた。カランカランッ、と来客を知らせる機能を持つ鈴の音が鳴る。

 

「ああ寒い寒い! なんか急に冷え込むようになったわね」

「霊夢と、吸血鬼の姉妹か。いらっしゃい」

 

 店の中には霖之助の他に魔理沙もいた。壁に背を預け、寒そうに両手を擦っている。

 彼女のもとにフランを連れて歩み寄り、「ストーブはどうしたんですか?」と声をかけた。

 

「長い夏休みだそうだ」

 

 すぐ隣で霊夢が俺と同じように、霖之助にストーブがついていないのはなぜかと言及していた。そんな彼女にも魔理沙がもう一度「長い夏休みだぜ」と声をかけ、現在の事情を説明し始める。

 どうやらストーブの燃料が切れているようで、店の中も寒いままであるらしい。俺やフランはまったく困らないが、三人にとっては結構な一大事だろう。魔理沙はストーブの暖気を味わいに来たとのことで、燃料がないことを語る時は口を尖らせて少々不満げだった。

 

「で、ストーブってのは外の世界の道具だから燃料を手に入れる方法は限られるだろ? その中でも一番楽ですぐに思いつく方法が、外の品を大量に持っている妖怪を頼るってことだ」

「その妖怪って……やっぱり紫のこと?」

「そうだ。あいつが一番外の世界に近い」

 

 魔理沙の言うことは間違っていない。俺だってサッカーのルールブックは紫に譲ってもらった経験がある。紫は『境界を操る程度の能力』により博麗大結界を越えて外の世界を訪問することができ、ちょっと前には携帯電話で藍とやり取りをしていた光景も見たことがある。

 幻想郷と外の世界を行き来できる妖怪は今のところ彼女のみであり、博麗大結界をもっとも簡単に破壊せしめる存在もまた彼女だけだ。妖怪の賢者、八雲紫は幻想郷の管理者、そして外の世界の監視者を担っていると言える。

 霊夢なら紫の居場所を知っているだろ? という魔理沙の確認に、問われた当人は首を横に振った。

 

「知らないわよ。住んでいる場所も知らないし、神社にも来てほしくない時にきて、やっぱり来てほしくない時に来ないんだから」

「……いつも来てほしくないんだな」

 

 俺も紫の住処がどこにあるのかはわからない。もしかしたら外の世界にあるかもしれないし、幻想郷と外の世界の狭間にあるのかもしれないし、彼女が持つ特有の空間に存在しているのかもしれない。

 俺が紫と交流をする場合も、俺の部屋に彼女が空間を割いて一方的にやって来た時にしか行われず、あいにくと霊夢と同様に俺も彼女の居場所は知識にない。ただ、一つだけ彼女の特性に関して理解していることはある。

 

「魔理沙。ゆかりんはこれからしばらく、出没の回数が減りますよ」

「打ち止めか?」

「ラストオーダーじゃありません。って、なんでもないです。ゆかりんは熊とかと同じように冬眠を……いえ、ただ単に睡眠時間が増えるだけみたいなんですけど、とにかく冬はあんまり姿を見なくなるんですよ」

 

 ああでも、と一つ付け加えておく。

 

「油揚げでも撒いておくと、藍の方が釣られてくるかもしれませんね。前にそれで出迎えたらすっごく喜ばれましたし」

 

 フランもその時のことを思い出したようで、小さくため息を吐いていた。

 

「あー、私も覚えてるー。狂喜乱舞してたよねぇ。そんなにおいしく感じられるのかな、油揚げって。味噌汁は確かにおいしいけど」

「私たちにとっての、処女のB型の血みたいなものじゃないですか? それにしてはずいぶんと安っぽいですが」

 

 豆腐を揚げるだけで極上の味になるなんて羨ましい限りだ。もしかしたら、藍の血を吸って九尾化魔法でも使えるようになれば、その美味さ加減を少しなら味わえるかもしれない。ちょっと今度頼んでみようかな。

 ああでも、鈴仙の時みたいになったら困る。萃香は酒が入り過ぎて、あるいは慣れ過ぎていたから無事だった感があるし、感受性の高い妖獣である彼女が吸血によって発生する恍惚に耐えられるかどうか……なんだか無理そうだから、やめておいた方が賢明だろう。

 ――翌日。人間にとっては体感でわかるほどに気温が下がっているらしく、順調に冬がやって来ようとしている。

 そろそろレティ・ホワイトロックことレティが顔を見せ始める時期なので、今度会いに行っては春雪異変の頃にした約束の通り、一緒に冷たいものでも飲もうかと考えている。チルノも混ぜて、かき氷なんかを一緒に食べてみるのもいいかもしれない。なんにせよ冬の楽しみの一つであることは確かだった。

 

「雪景色って、毎年新鮮に感じるんですよね」

「そう? 毎年同じようなもんじゃない」

「そうですね。でも、それでもです」

 

 俺の発言に疑問を示した霊夢に、そう返す。

 博麗神社。フランを連れていつものように訪れては、コタツに脚を入れてくつろいでいた。

 お茶を喉に通し、なぜ毎度新鮮に感じるのかと思考を巡らせれば、答えはすぐに出る。俺の前世の記憶は魂に刻まれており、決して忘れることはなく、また強い価値観を植えつけている。幻想郷のように田舎の『これこそ本物の雪景色!』と言った光景の記憶はあいにくと前の生では見たことがなかった。美しい光景でありながら前世で一度も感ずることがなかったゆえに、こうして毎度毎度新鮮な気持ちになることができるのだろう。

 ……こんな話をしてはいるが、実はまだ雪は降っていない。落ち葉はたくさん落ちていて、さきほど焼却処理をしたりもしたが、吹雪は未だ姿は見せていない。

 

「あんたらって嫌いな季節ってあるの? 私は冬ってあんまり好きじゃないんだけど。寒くて凍えるし、雪かきは疲れるし」

「私たちは気温の影響をあんまり受けない種族ですし……強いて言うなら春の終わりか、初夏くらいでしょうか」

「うーん……? 日差しが強いから?」

 

 かつての紅霧異変は、日光が鬱陶しいという理由によりレミリアが真夏に引き起こした。異変を起こそうと決めた時の話し合いには俺も同席していて、日差しが眩しいし美鈴の仕事が長引くから好きではないと言った記憶もあるが、それでも嫌いと言うほどではない。

 ならばなぜ春の終わりから夏の始まりにかけてはダメなのかというと、そこはもう一人の吸血鬼が引き継いで答えてくれた。

 

「梅雨だからよ。いっぱい雨が降るせいで、全然外で遊べない。いつ降るかもわからないから迂闊に出かけられもしないしー……」

 

 寝転がって漫画を読みながら、フランが不満を垂れる。ああ、と納得した風に霊夢が頷いた。

 吸血鬼は流水が苦手だ。これはいくらローブを着てフードを被ったところで変わらない。傘を差したってどうしても雨は体に当たってしまうものだから、出かけることができなくなるのだ。

 日光以上に邪魔な天気が続きまくるのだから、ちょっとは嫌いになってもしかたがないと思う。紅霧異変前は地下室にこもりっ切りで天気や季節なんてどうでもよかったフランも、今では俺と同じく梅雨が苦手になってしまっている。

 

「おーい、いるか?」

 

 ふいと境内の方から、おそらくは霊夢を呼ぶ声が聞こえてきた。返事をするのがめんどくさいのか、霊夢はズズズとお茶を飲むだけで動こうとはしない。

 次第に足音がこちらに近づいてきて、ガラガラと障子が開かれる。姿を見せたのはいかにも魔法使いと言った格好をした少女、毎度お馴染み霧雨魔理沙だった。

 

「なんだ、いないじゃないか」

「いるわよ、目の前に」

「霊夢、お前じゃなくて、紫の方だ」

 

 そう口走る彼女の手には、なぜか油揚げが乗っている。

 

「味噌汁でも作って温まりますか?」

「お姉さまの味噌汁おいしいよねぇ」

「咲夜の味噌汁の方がおいしいですよ。私も咲夜に教えてもらいましたから」

「味噌汁にはしないぜ。こいつはお前が言ってた通り、狐を釣るために持ってきたんだ」

 

 ご飯や味噌汁はいくら食べても飽きない。食事で重要なのは好物よりもなによりも、きっとそういうものなのだと俺は考えている。

 魔理沙から話を聞くと、どうやら彼女は、両手に油揚げを携えて玄関の前に佇むというわけのわからない奇行をしていた霖之助に代わって、紫のことを呼んでくる約束をしてきたらしい。ストーブがなければ香霖堂にいてもしょうがないからと彼女は言うが、そうでなくとも霖之助の頭がおかしくなったとしか思えないので、ちょっとでも親切心がある紫の知り合いならば誰でも協力してくれるだろう。いや、でも、幻想郷の住民にそんなことは期待できないか、とすぐに思い直した。

 

「それで、霖之助さんのところから持って来たその油揚げはどうするの?」

「それを聞きに来たんだよ。冬眠たって、ただ出て来なくなるだけなんだろう?」

 

 南の島にバカンスに行ってるだけかもしれんぜ、なんて魔理沙がもらす。彼女にしてみれば冗談のつもりなのかもしれないが、案外、それもありそうだ。

 魔理沙は続けて、本当に紫を呼ぶ方法はないのかと霊夢と俺に問いかけてくる。二人して顔を合わせてみるが、残念ながら俺は一つも思いつかないと首を横に振った。霊夢もそうなのかと考えていたが、どうやら彼女には紫を呼び出す方法に一応の心当たりがあるようで、ちょっとだけしぶい顔を作って魔理沙に向き直る。

 

「紫はこれをやると怒るんだけど……」

「手があるんですか?」

「あるんだけどねぇ……」

 

 あるにはあるが、紫から危険だからやめなさいと注意をされているとのこと。しかし異変解決に進んで乗り出すような二人を危険なんて言葉で抑止できるはずがない。

 出てくるならいいじゃんということで、それを決行することになった。どんな内容なんだ? と問いかける魔理沙に、霊夢は開いた障子から外の景色を見やる。

 

「幻想郷の結界を緩めるの――」

 

 ――外の世界の近くにいると、外の世界に放り出されるかもしれないわよ?

 

 

 

 

 

 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

 

 

 

 

 

 最初に感じたのは、眩暈(めまい)と幻聴。次に嗅覚と、おそらくは味覚が鈍り、最後に触覚が薄れていった。

 これは、なんだろう。湧き上がる疑問に耐えるように、右手を胸の前で強く握る。

 結界を緩める作業をしていた霊夢たち、特にフランが心配そうに駆け寄ってくるのが、不安定な視界の向こう側に窺えた。しかし次第にそれもぐにゃりぐにゃりと歪んでいき、頭が鋭い痛みを訴えてきたために反射的に両目を閉じる。

 ふと、懐かしさという感情が駆け巡り、瞬く間に全身を埋め尽くした。

 そうしてすべてを理解した。なぜ感覚がなくなってきているのか、どうして調子が悪くなって座り込んでしまったのか、理解する。

 霊夢は、外の世界の近くにいると外の世界に放り出されるかもしれないと言っていた。彼女からしてみれば、きっとそれは人間に限定した話だったのだろう。すでに幻想とされているがゆえに幻想郷にいる妖怪が外に放り出される可能性など考えもしなかった。

 ましてや、俺の中に外の世界と密接した記憶があって、それが媒介になって外界に繋がりかけているなんて。

 五感が返ってくる。しかしそれで感じるすべては、さきほどまでのものとはまったくの別物になっていた。

 ――もう戻れない。

 自然の溢れた幻想の世界とは違い、爽快感をまったく覚えない生暖かな汚れた空気。かつて崇められた天の光は一切の信仰を失っており、暖かいはずの日差しは薄っぺらく、どこか冷たささえ感じさせてくる。

 喧騒はどこまでも耳障りだった。そばにいるだけでも楽しい賑やかさとは異なる、常に聞き流していたいような騒音。

 けれど俺にとってはこの世のどこよりも心地よく、懐かしく、恋しく、なじみ深く、空気は昨日まで吸っていたかのようで、光は昨日まで浴びていたかのようで、喧騒は昨日までずっと聞き続けていたかのようで。

 ――戻ってはいけない。

 ここは俺がいてはいけない場所だと、ここは俺がいるべき場所だと、ここは俺を待っている世界だと、ここは俺を追い出した世界だと。

 このまま今のすべてを捨てて、向こう側へと戻ってしまいたいという欲求が俺の中に生まれたのがわかった。

 ぐちゃぐちゃになりそうになる脳を、頬に触れて無表情であることを確認して平生のそれへと引き戻す。

 ――俺はもう、人間ではないのだ。

 償わねばならぬ罪がある。贖うと決めた過去がある。この幻想の世界でそのすべてを清算しなければならないと、いつかどこかで誓った記憶がある。

 さぁ、眼を外界にさらそう。五感における最後の砦を自ら崩し、視界から現実を否定して幻想へ帰るとしよう。

 未練を捨てる。世界に俺を忘れさせる。そうしなければならない理由と責任が今の俺にはあった。

 すぅー、と大きく深呼吸をして心を落ちつかせると、ゆっくりと瞼を開いた。

 

「――えさまっ! お姉さまっ!」

「……大丈夫ですよ、フラン」

 

 一瞬にして全部の感覚が正常を取り戻した。目に映るのは心配を顔に映した二人の人間と吸血鬼、耳に響くは喧騒ではなく不安の声音。空気はとてもおいしいし、フランに肩を支えられているということもハッキリと認識できる。

 何事もなかったのように立ち上がり、「ありがとうございます」と無事を伝えるために作り笑いを浮かべた。

 

「なんの問題もありませんよ。ほら、普通に動けます」

「……本当に平気? 顔、かなり青かったわよ」

「そうだな。吸血鬼が急に調子が悪くなるなんて、きっとヤバいやつだぜ」

「そう、ですね……」

 

 でもそれより今は、と霊夢と魔理沙の頭上辺りに目を向ける。

 直後、その部分の空間が割けて、二つの拳がそれぞれ二人の頭に襲いかかった。その拳骨に「いたぁっ!?」「いてっ!?」と霊夢と魔理沙は揃って悲鳴を上げる。

 二人の後ろで同様に大きく空間が割れ、切れ端にリボンのついた切れ目から妖力を滾らせた女性が姿を現した。

 

「危ないからやめなさいって、言ったでしょう?」

 

 明らかに怒っている様子の紫に、霊夢と魔理沙が顔を逸らす。そんな人間の二人に呆れたように大きくため息を漏らし、紫が説教を始めた。

 その後、霊夢と魔理沙は紫を香霖堂に連れて行き、見事霖之助は燃料の確保に成功したらしい。

 らしいというのは、俺が急に青い顔をして座り込んだことを心配したフランの手によって、即座に紅魔館に連れ帰られたからだ。さすがに善意でやってくれることに抵抗はできず、なんの問題もないのにも拘わらず「未知の病気っ!?」という感じで数日間、無理矢理ベッドに寝かされて看病されてしまった。

 杞憂なのに手を煩わせてしまって申しわけなかったが、いつか交わした約束通り、パチュリーが一生懸命に看病をしてくれたのにはちょっと驚いた。覚えていてくれたこともそうだが、魔術の研究を一時的にやめてまで介抱してくれたのだから。

 ……仮病ならそんなことしないって言ってたのに。

 近いうちにお返しをしなければならない。そんなことを思いながら、窓の外の美麗な雪景色を眺めた。


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