仮面ライダー鎧武オルタネイティヴ   作:瀬久乃進

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登場人物紹介

角居裕也/アーマードライダー鎧武
葛葉紘汰/オレンジインベス
駆紋戒斗/バナナインベス
呉島光実/ブドウインベス
呉島貴虎/メロンインベス

シド(故)/チェリーインベス
戦極凌馬/レモンインベス


第9話「新たな強敵オーバーロード」

翌日、出社した俺は貴虎に昨日の無断帰宅について小言を言われたが、俺の知ったことではない。

オフィスには、件の貴虎をはじめとして、紘汰、戒斗、ミッチの四体のインベスがいた。

もはやスーツ着てるの俺だけだ。

遂に俺以外全員インベスだ。

 

「遂に俺以外全員インベスだな」

「裕也さんはならないんですか?」

「んー」

 

光実にそう訊かれたが、少し返答に困った。

尻から果実を入れることに、特に抵抗はない。

むしろ気持ち良さそうで、興味がある。

 

「なんか、やめろって声がするんだよな」

「え?」

「インベスになったら死ぬような気がして」

「インベスにならないと、それこそ死ぬような気がするんですけど…」

「ミッチ」

 

紘汰がミッチを制した。

 

「裕也がこう言ってるんだ。裕也は戦極ドライバー使えるし、インベスにならなくてもあまり問題ないだろ。な、裕也」

「尻から果実を入れることに抵抗はないんだけどな」

 

何度も言うようだが、尻から果実を入れることに、特に抵抗はない。

むしろ気持ち良さそうで、興味がある。

 

「ところで、新たな問題を発見した」

 

仕切り直すように、貴虎が告げた。

 

「というと?」

「凌馬の手記、そして例の動画(※ロックオープン!謎の怪物がイケメンヤクザの肛門フルーツバスケット!ゲテモノの極みアッー!)でシドが言っていたことを総合すると、ヘルヘイムの森には、知性を持つインベス―オーバーロードが存在するらしい」

「ああ、そんなこと言ってたな、シド」

「知性を持つインベス…厄介ですね…」

 

知性を持つインベス・光実は自らの鉤爪を研ぎながら言う。

 

「ああ。俺たちはこれから、いわば奴らの世界を荒らすようなことを始めるわけだ。

知性を持たないインベスは葛葉が何とかしてくれるが、オーバーロードが黙っているとも思えない。

最悪の場合、報復としてこちらの世界に侵攻をかけるかもしれない」

「マジかよ!オーバーロード許さねえ!」

「ああ!許せないな」

「オーバーロード許さねえ!」

 

紘汰はその辺にクラックを生成すると、その向こう側へ飛び込んだ。

 

「葛葉!どこへ行く!」

 

戒斗が叫んだ。

 

「オーバーロードを全て倒す!そうすりゃ問題ねえだろ!」

「確かに!」

 

俺たちの心が一つになった。

俺は戦極ドライバーとオレンジロックシードで変身し、四人のインベスと共にヘルヘイムの森を走り出した。

 

「どこだ!どこにいる、オーバーロード!

絶対に許さねえ!」

 

紘汰が走った跡には、ヘルヘイム植物がすごい勢いで生い茂ってゆく。

 

「紘汰さん!これだと効率が良くないので、手分けして探しませんか」

「そうだな!行くぞ、裕也!」

「ああ!」

「では、俺たちはこっちだ。着いてこい、光実!」

「うん、兄さん!」

 

必然的にバナナの人が余ったわけだ。

俺と紘汰は、ヘルヘイムの森を突き進んでいった。

 

―――戒斗視点―――

 

葛葉たちと別れてから一時間以上立つが、一向にオーバーロードは見付からない。

葛葉が制御しているのか、通常のインベスにさえ遭遇しない。

だが、一人というのは気が楽でいい。

うるさい奴がそばにいると気が散るからな。

まるで俺が余ったようになったが、俺はいずれにせよ単独行動を選んだ。

余っていない。

そんなことを気にするやつは、弱者だ。

俺は強者だから、そんなことは気にしない。

なんで余ったんだろ。

 

その時、何やら物音がしたので、俺は木陰に身を隠しつつ、音の聞こえた方向の様子を伺った。

 

なんか、赤いやつがいる。

 

俺くらいの強者になると、一目見ただけでわかる。

あいつは、強い。

そして、俺とは似た者同士だ。

力こそ全て、その信念が、まるでオーラのように体から立ち上っている。

あれが、オーバーロードインベス。

この森の支配者にして、知性を持つインベス。

何か言葉を話しているようだが、聞き取れない。

滑舌が悪いのだろうか。

いや、そもそも使っている言語が違うのか。

俺は頭がいいから、その可能性にすぐに思い当たる。

 

強い者を前にした時、俺は、自分の中の闘争本能を抑えることができなくなる。

これは、力、強さを求める者の宿命だ。

正直、奴は格上の相手だろう。

一人で戦うのは分が悪いかもしれない。

だが、それでも、俺はこの闘争本能を抑えられない。

たとえ、その結果、この命が燃え尽きようとも―

だが、やはり命は大事だと思う。

命あってこその力だ。

死んだら元も子もない。

ここで無闇に命を捨てるようなやつは弱者だ。

俺は強者だし、頭も良いから、そんなことはしない。

歩き疲れているせいで、100%の力が発揮できないことも目に見えている。

今の疲れだと、恐らく実力の80%、いや30%も発揮できないだろう。

今日はもう帰って寝ることにする。

オーバーロード、首を洗って待っているがいい。

この俺、駆紋戒斗がそのうちお前を倒す。

俺は威風堂々と、足音を殺しつつクラックを目指して歩きだした。

 

つづく


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