仮面ライダー鎧武オルタネイティヴ   作:瀬久乃進

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第4話「結束のビートライダーズ!」

ドルーパーズを出た俺たちは、ユグドラシルタワーを見据えた。

次の瞬間、ユグドラシルタワーからロケットのようなものが射出され、「私の計画がぁぁぁ!」という叫び声が聴こえたかと思ったら、タワー上部で謎の大爆発が起こった。

何が起こったかはわからなかったが、大体わかった。

 

「たぶん、紘汰が勝ったな」

「俺の復讐が…」

「今から行っても遅いだろ。店に戻ろう」

「ああ…」

 

戒斗はだいぶ落ち込んでいたが、戒斗のダンスの脚は上がっている、と誉めちぎったら少しだけ元気になった。

 

「しかし、目標がなくなってしまったな…」

「ダンスしてたのも、ユグドラシルと戦うためか?」

「そうだ」

「なんでダンスなの?」

「…」

「好きだったからだろ?ダンス。ユグドラシルがどうとかじゃなくて、お前がダンス好きだったんだろ」

「黙れ、ダンスなど手段に過ぎない」

「いや、だからなんでダンスなの?」

「…」

 

戒斗はまた考え込んでしまった。

 

「なあ戒斗、ストリートはいつの間にか随分ややこしいことになってるけど、俺たちは踊れればそれだけで良かったんじゃないのか?

強いとか弱いとかじゃなくて、みんなでさ」

「今更、どうすればいい」

「簡単だよ。俺が用心棒としてバロンに入る。

そんで変身して、他の全チームをインベスゲームで倒す。

全部のロックシードを回収して、インベスゲームを終わらせるんだ。あとは皆で好きに踊れるようにすればいい。

全部、元に戻すんだ」

「お前が変身するというのが気に食わない」

「仕方ないだろ、お前は出来ないんだから。乗るか?戒斗」

「…わかった。懐刀を持つ、これもまた一つの強さの形だ」

 

危なかった。戒斗がインベスゲームへのモチベーションを失ったら返金させられかねないからな。

175000円は、用心棒代ということにすればいいだろう。

 

「そういうことなら、とりあえずメンバーに連絡するよ」

「ああ」

 

舞に電話したが出ない。生理だろうか。

仕方なくミッチに電話した。

 

「もしもし、ミッチか?」

「裕也さん?どうしました?」

「鎧武やめる。バロン入るわ」

「そうですか。わかりました。ところで今、ユグドラシルが大変な騒ぎになってますね」

「ああ、紘汰がカチコミかけてるらしいんだ」

「そうなんですか?紘汰さん、心配ですね」

「あとお前、舞と紘汰で抜いてたよな」

「どうしてそれを?」

「路上で見たって紘汰が言ってた」

「葛葉紘汰…許さない…」

「次のリーダーは舞に任せるって言っておいてくれ」

 

電話を切った。

時を同じくして、紘汰が窓を破って店に入ってきた。

 

「おい紘汰、窓割るなよ。マジで」

 

店長は目が笑っていなかった。

 

「おかえり紘汰。どうだった?」

「ああ、すげえザルな警備だったから、楽勝だったよ。タカトラは強かったけど、尻に果実入れたら大人しくなったよ」

「タカトラ?」

 

―――貴様!何者だ!何故インベスが言葉を話す!

―――俺はインベスじゃない!葛葉紘汰だ!

―――何だと!ぐわあああ!

―――尻から果実を入れてやる!

―――やめろ!離せ!離せ!うわあああああ!

―――ここからは俺のステージだ!

 

(爆発するユグドラシルタワー)

 

―――私の体がインベスに…!

―――参ったか!

―――そうか、尻から摂取すれば、知性を保ったままインベスになれる。

これなら、全人類を救うことも…!

葛葉紘汰。絶望以外の選択肢をもたらしてくれたこと、感謝する。

―――よくわからねえけど、みんな尻からこれ食えばいいんだな?!

―――ああ。私の名前は貴虎。さっそくプロジェクトに取り掛かろう。プロジェクト名は―――

 

「そんなわけで、プロジェクト・アナルが始動するんだ」

「へえー。ってことは、まずは果実を70億揃えるところからか」

「ああ。数が揃い次第、各地の病院で施術してくってよ。これで人類は救われるな」

「そうか。良かった。これでお前もアルバイトに専念できるな、紘汰」

「ああ、それなんだけど、俺、ユグドラシルに雇ってもらうことに決まったんだ」

「え!マジか!良いなあ」

「裕也も来るか?人手足りないし、あいつら俺に逆らえないから」

「本当か!頼んでもいいか?」

「ああ!」

 

「おい!」

 

ここで戒斗が話に入ってきた。

 

「俺もユグドラシルに入れろ」

「誰、この人?」

「ああ、チームバロンの戒斗だ」

「あ、この人が。何、ユグドラシル入りたいの?」

「うん」

「いいよ」

「ありがとう!」

「戒斗、ビートライダーズのことはいいの?あと、復讐は?」

「もうどうでもいい。それよりも―――」

 

―――正規雇用と定収入こそが強さだ。

戒斗はそう言って、今日一番のキメ顔を見せてくれた。俺たちビートライダーズ(元)の心が通じあった瞬間だった。

 

つづく


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