エリアの守護神~THE GUARDIAN DEITY in THE AREA~ 作:フリュード
「よーおはよう!」
「おはよー!!」
ゼッケンを貰った翌日は平日なのでシルバたちといつものように登校し、自分の教室に入った染谷と霧島は皆と挨拶を交わした。
「よいしょっと・・・しかし蹴学ってただサッカーする学校じゃないんだな」
「またそんな事言ってるよ・・・「いやいや!!分かってるからね!?」ふーん・・・でも本当にうちの学校ってサッカー選手だけじゃなくてサッカーに関すること全般を学ぶって言う子もいるよね」
「それそれ。確かスポーツマネジメントとか栄養管理とか・・・幅広いよな」
リュウの言ったことに自分の席に着いた染谷はそう言った。
就学は1年の時は400人近いサッカー選手やサッカー関係の仕事に就きたいという人が混ざって過ごし、2年からサッカー選手のコースや先ほど言ったスポーツマネジメントや栄養管理などサッカーに役立つことを学ぶコースに分かれて2・3年と2年間学んでいく。
どのコースに入ってもサッカーが出来ないということはないのでサッカー選手以外のコースに入ってサッカーをしている子も少なくはない。
「とは言いつつもオレはサッカー選手のコースだな」
「だね。僕もそうだね」
染谷と霧島は他愛のない会話をしながら朝の休み時間を過ごした。
昼休み・・・
「コウキとリュウ!一緒に飯食べに行こうぜ!」
「「いいぜ(よ)!!」」
4時間目が終わったあと、染谷たちは昼飯を食べに食堂に向かっていた。因みにここの食堂は生徒の懐にも優しく、味も一流レストラン並みに美味しいので染谷たちは毎度お世話になっている。
「そういやリュウ?ウ○イレ買った?」
「いや、まだ買ってない・・」
「おいおい・・・今度皆で買いに行こうぜ」
「ありがとう!」
皆で楽しく会話をしながら食堂に向かっていた。
「あっ!いたいた!!」
「ん?」
女の子の声がした方を向くと、前から金髪のロングヘアーでたれ目の美少女と言っても過言ではないほどの女の子が走ってきた。
「おいコウキ、お前の彼女?」
「(おぉ、胸が・・って、)いやいや違うからその嫉妬オーラをしまえ」
走るたびに揺れる胸に釘付けの染谷たちが女の子のことで揉めている内に女の子が染谷の前に立った。
「漸く会えた!ねぇ、君がレオレオの言ってたコウキ君だね?」
「レオレオ?・・・・・あぁ、それってレオのこと?」
染谷はレオレオと聞いてそんな友人いたっけ?と思ったがふとシルバが出てきたので聞くような感じでその女の子に言った。
「うん!そうだよ!」
女の子がそう言ったので染谷はほっと胸をなでおろすのと同時にこの女の子は誰なのか気になった。
「・・・」
しかし染谷がふと後ろを向いてみると、空気状態にされていて腹が立っていたのか明らかに不機嫌オーラと嫉妬オーラを漂わせていた男たちがそこにいた。
「あっ!ごめんね皆!別にのけ者にしていたわけじゃないの!」
女の子も気付いたのか後ろの男たちに謝っていた。それだけで男たちの不機嫌オーラは完全に消えた。
(はぁ・・・何だよそれ)
あまりにも現金な態度に染谷はため息をつくしかない。
「まぁ、ここにいるのもなんだし・・・食堂にいこ?」
唯一常識人だった霧島が機転を利かしてそう提案してきた。女の子も快く受けてくれてそのこと一緒に食べることになった。
道中・・・
「そういや名前言うの忘れていたね!忘れていたね!私は
「えっ!??」
食堂に向かう途中、彼女・舞衣がそう言ったので上級生だったのかと少し驚いた。
「に、2年生!?なら・・「別に上級生だからって敬語にしなくても良いよ!」・・へっ?」
一緒に来ていた同級生が何か言おうとしていたのを舞衣が何を言おうとしているか分かったのかそう言った。
「私そう言うのあまり好きじゃないからいつもどおりで良いよ!あっ!後「舞衣さん」じゃなくて「舞衣ちゃん」とかでいいからね!」
舞衣がそう言ったので同級生たちは同意しさっきまでと同じようにぺらぺらと話し始めた。
「しかし、何者なんだろね?舞衣ちゃんって」
「だな。後で聞いてみないとね」
染谷と霧島はそう言い、食堂へと足を向けた。
食堂・・・
「へぇ、レオと舞衣ちゃんって幼馴染なんだ」
「うん!えーとね・・・」
食堂に着いた染谷たちはたくさんの生徒でごったがえしていたが、運良く席が見つかりそこに座った(因みに霧島・染谷・舞衣の順で座っている)。
その後シルバと仲がいいのか聞いてみたら舞衣がブラジルにいたときにお世話になったらしく、その頃から仲がいいらしい。
「へぇ、それなら舞衣ちゃんってレオさんの“コレ”?」
染谷の前に座っていたクラスメイトが舞衣に小指を立てて言った。
「ちがーう!!」
「なんだよ・・・」
舞衣ちゃんが否定したのでクラスメイトはそう言い落ち込んでいた。
「なによー?さっきはあんなにコウキに嫉妬オーラ出してたのに今度は落ち込んでー」
『ははは!!!!』
舞衣がそう言うと周りから笑いが起こった。
「舞衣ちゃんここにいるってことは舞衣ちゃんもサッカー関係に携わったりしてるの?」
すると霧島が舞衣にそんなことを聞いていた。
「うん!まだ予定だけどこれから日本代表にはいるかな?」
「まじで!?」
舞衣がそんなことを言ったので染谷や他の皆は驚き同じことを言った。
「まじかよぉ・・・・」
「いいなぁ・・・・・」
「おおおおお・・・・」
「なになに皆揃って落ち込んでいるの?」
染谷や霧島と一部を除くほかの生徒が明らかに落ち込んでいるのを見ていきなりのことにあたふたし始める舞衣。
「ははは・・・ここにいるほとんどの人がジュニアや中学で名が通ってたけど世代別日本代表に選ばれてないからね。羨ましいんだと思う」
そんな舞衣に霧島が苦笑しながらそう説明をした。
「へぇー」
「女子なんてそんなに世代別なんてないから上手いやつがいきなりA代表なんてこともあるからな」
舞衣がそう言った後、染谷はそう付け加えるように説明をした。
「まぁ、そうなんだよね・・・ねぇ?コウキ君?」
「ん?何だい舞衣ちゃん」
すると舞衣は染谷に声をかけてきた。
「レオレオから聞いたよ~リトルウイッチィと知り合いなんてね!」
「へっ?・・・あぁ、奈々のこと?」
「あったりー!!」
舞衣はグッジョブサインを出してそう言った。
因みに染谷は奈々がなぜ『リトル・ウイッチィ』と呼ばれているのを知っているのかというと、ネットで調べたからなのだが英語で書いてある中で唯一分かったのが奈々の名前とリトルウイッチィという単語だけだったというのは誰にも言えない秘密だ。
「ふーん・・・流石ウイッチィのことが好きなだけあるね!」
「ぶっ!!!ちょ!なぜそれを!?」
「さぁ~なんでだろうね~」
「おのれ!誰から聞いたのかキッチリはいてもらうぞ!」
「きゃ~怖いよ~」
そう言って二人でここが食堂ということを忘れてしまい口論が始まった。
周りの野次馬は『痴話喧嘩か?』と思ったらしく興味津々で見ていて、途中から二人の話題についていけなくてぽかーんとしていた霧島達もすぐに立ち直り、何とか止めようとして必死になって止めようとしていた。
結局この後駆けつけた教師によってこの騒動は治まり、二人はこっぴどく叱られてしまった・・・
霧島視点
「くくく・・・なるほど。それでコウキはこの状態というわけね」
「うん。謝っても全然許してくれないの~」
授業も終わりいつものメンバーとそこに舞衣ちゃんも入って(舞衣ちゃんも寮に入っているらしい)、4人で帰っていたのだがいまだに昼のことで起こっているのか昂輝はまだ怒っていた。
「はぁ?あんな謝り方あるかぁ?『ごめ~ん』なんて」
「いいじゃん別に~でもコウキの赤面した顔かわいかったなぁ~~レオレオにも見せたかった」
「ふふっ。それは見たかったな」
「があああああ!!!うるさいわぁ!!!」
二人、特に舞衣ちゃんがいじるのでついに昂輝の堪忍袋の緒が切れた。
「うるさい!!!また迷惑をかけるつもりか!!!!」
「あっ、ごめん・・・」
「ははは♪怒られてる~」
また昼みたいになるのはごめんなので今度はそうなる前にしっかりと怒ると、昂輝も反省したのかうつむく。舞衣ちゃんはその光景を見て笑っていたから、こっちにも怒ることにした。
「舞衣ちゃんもこれ以上はやし立てない!昼の事だって舞衣ちゃんにも非があるからね!しっかりと今日のこと反省してくれる?」
「は~い・・・」
舞衣ちゃんそれで反省したのか舞衣ちゃんもうつむいてしまった。まぁ、これくらいじゃないとね。
「くすくす、まるでお母さんだねリュウは」
「もう、そんなこと言わないでよレオ君」
レオにそういわれたので僕はそう言い返した。因みに二人は寮に帰った後お互い謝ってレオの共通の友達となった。
霧島視点 終わり
「はぁ~やはり風呂は疲れが取れるなぁ」
「何爺さんみたいな事言ってるんだよコウキ・・・」
「はは♪コウキくんおじさんくさい~」
「ハハ、コウも言われっぱなしだな」
「・・・別にいいじゃん」
練習後、風呂に入った後の食堂で染谷たち、そして舞衣の4人で染谷の発言を3人でいじりながら食事をしていた。
「でもいつも見てるけどコウキ君って練習終わった後へばってるのにプレーはすごいんだね!」
「へへ、それほどでも・・・」
舞衣がそう言うので染谷は自然と笑みがこぼれた。
「舞衣ちゃん、あまり言うとつけあがるからやめたほうが良いよ」
「そうだね。コウはそう言うと張り切っちゃうからね」
「別にはりきらねぇよ!」
『ははははは!!!!』
(もういや・・・誰か助けて・・・)
沸き起こる笑いの中、染谷は内心そう思いながら時間が過ぎていった・・・
「はぁ・・・今日も疲れたよ」
食事の後染谷は自分の部屋へと戻り、就寝時間までまったりとしていた。
「あ、そういや両親にレギュラーになった事言ってない。電話をしなくては」
時間を見てまだ9時を過ぎたくらいなので両親も起きているだろうと思い、染谷は電話をしようと携帯をとろうとしたとき着信音が鳴った。
「へ?誰だ?」
そう言い、見てみるとスマホのディスプレイに知らない番号だったので、出るかでないか迷った末通話を押し、「もしもし?」と言うと
『もしもしコウ?久しぶり!』
「奈々!?」
電話の相手は奈々からだった。
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