エリアの守護神~THE GUARDIAN DEITY in THE AREA~   作:フリュード

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第3話

春休み。東京蹴球学園の寮『蹴学寮』の前。

 

 

「ここが蹴学の寮・・・・ワクワクしてきたぜ・・・・」

 

染谷は電車と歩いて3時間にある蹴球学園の寮の前に来ていた。

 

 

染谷は蹴球学園に決めたのはよかったが、その後が大変だった。

 

利奈は昂輝が蹴球学園に行くことに驚き「じゃあ私も行く!」と言い出すし(結局両親によって説得されて江ノ島高校に通うことが決まった。) 、フローリアスUー15のチームメイトに蹴球学園に行くことを報告したらみんな揃って「はぁ?」とキレイにハモっていたし、受験(と言っても推薦を受けているので面接だけだったが)を受けるために東京蹴球学園のある東京まで電車を使い、3、4時間かけて行ったし、散々だった(合格通知が届いたときは嬉しかったけど)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けど卒業式で染谷は皆から色紙と花束、それに皆からのプレゼントでなんと染谷が欲しかったキーパーグローブをプレゼントしてくれたのだ。

 

それに両親からもサッカーシューズをプレゼントしてくれて、染谷は泣くことを抑えることが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなの思いを胸にオレは神奈川へ引っ越し、最低限の荷ほどきをしてから蹴学内にある寮へ移るための荷物をつくって、バタバタしているうちに神奈川を旅立ち、今度は愛知より早い2時間程度で東京蹴球学園の寮に着いたのだ。

 

 

「入寮日は書いてないからすぐに来たんだけど・・・・しっかしでかいなぁ、まぁ玄関に行こっと」

 

染谷は想像していたのよりデカイ寮に圧倒されながらも玄関に向かっていった。

 

 

 

玄関に入り、染谷は事務室の人に名前を言うと事務室の人は「ああ!今年入ってくる新入生ね!ちょっと待ってね!案内するから」と言われ、事務室の人が鍵をもって現れると鍵を染谷に渡した。

 

染谷の部屋は「201」号室である。鍵を貰った後事務室の人に案内されて自分の部屋につくと、事務室の人は帰っていった。

 

染谷は貰った鍵で扉を開けて部屋の中を見ると、どこにでもあるような部屋だった。

 

「なんだ、デカイと思ったら案外普通だな・・・・でもここからオレの高校生活が始まるんだな♪ウッ~ワクワクしてきた!」

 

部屋に入って、隅っこに荷物を置くと染谷はこれから始まる生活に心踊らせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピンポーン。

 

すると入って早々チャイムが鳴ったので染谷は早速玄関に行き、扉を開けると。

 

「ヘイ!久し振りダネ!コウキ!」

 

そこにいたのは今巷で有名なあのレオナルド・シルバだった。

 

「あれ?レオさん「レオで良いヨ、コウキ」・・レオ、もうこっちに来てたの?」

 

「うん。昨日コッチ(蹴学寮)に来たかな。散々取材陣に囲まれて疲れたよ」

 

「はは!流石にブラジルの秘宝は違うねぇ~」

 

「からかわないでヨ!コウキ」

 

「はは!サーセン」

 

二人は笑いながらも会話を交わしていた。普通の人から見ればあり得ないことなのだが、染谷とシルバが友達だからこそなし得ることである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・しかし、コウキが来てくれるとは思わなかったよ」

 

シルバは染谷の部屋に入って、色々話しているうちに不意にそんなことを言ってきた。

 

「え?来ないって思ってたんですか?」

 

「うん。神奈川だからボクの予想だト・・・・傑の弟って・・「駆?」そうそう!駆のいる高校に行くと思ったよ!」

 

「あ~やっぱり?」

 

染谷の心理を読んでいたかのようなシルバの発言に染谷は笑いながらも話を続けた。

 

「確かに駆のいる高校にいこうと思ったけど、こっちの方が設備が良いしね。それに駆と戦ってみたかった」

 

「駆と?そこまで拘る理由ガ?」

 

シルバは不思議そうに聞いてくる。

 

「うん。駆には何かがあるんだ。小学生の時にも誰にも教えられてないのに「兄ちゃんにたった今教えてもらった!」って言ってラン・ウィズ・ザ・ボールをやるくらいだ」

 

「それは兄弟との何かのアイコンタクトとか・・・あ、そうは言ってもスゴいねそれ」

 

「そうなんすよ。だからこそ俺は戦いたいんだ」

 

染谷はそう言って、窓の方を見た。

 

(・・・へぇ、コウキも駆の事気になってるんだな。まぁボクも別の意味で駆に興味を持ってるけどね♪)

 

シルバはそう思いクスッと少し笑った。シルバががそう思うのも全中神奈川予選を見た時に駆の傑を思わせるドリブルで最後に2、3人抜いたのを見たからで、その時にシルバはここに入学することを決めたのだが、染谷は知るよしもない。

 

「ねぇ、コウキ。ヒマだからボクのシュート練習付き合ってくれない?」

 

「来て早々ですが、良いですよ!どこでやるのですか?」

 

「あぁ、それなら・・・・」

 

二人は話しながら(染谷は着替えて、グローブとシューズを持って)グラウンドへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蹴球学園サッカーグラウンド

 

「うほぉ、芝だよ」

 

染谷はジュニアユースに匹敵する綺麗な緑のグラウンドを見て興奮した。

 

「早速だけどやろうか」

 

するとどこから持ってきたのかサッカーボールが入ったカゴ(あとで聞いたら勝手に取り出したとか)を持ってシルバが現れた。

 

「うん!」

 

そう言って染谷は笑顔で芝を踏みしめながらゴールへと向かった。

 

「ハハハ」

 

シルバも笑いながらもかごを持って、所定の位置に行きシュート練習を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後。

 

 

 

 

 

「疲れたぁ~」

 

染谷は顔をしかめその場に倒れこんだ。

 

全力でプレーをしたためシャツが汗まみれになっていた。それにシルバのシュートの威力が強くてグローブ越しからでも分かるほど手が痛いのが染谷にはわかった。

 

 

 

 

(けど練習になった。やっぱりレオとするのはたまらんわ)

 

息が整わない中、染谷はにっこりと笑った。

 

 

 

「やれやれ(しかし、コウキのプレーはいつみてもすごい。打った瞬間には打った方向へ飛んでるし、何より無理にシュートをキャッチせずに弾いたりするところもスゴいな。お陰で半分以上は止められたよ)」

 

シルバは汗を拭い苦笑しながら言うが、真剣な表情でそう思い改めて染谷のすごさを実感した。

 

 

「オオ!スゴいシュートとセーブの連発ダッタヨ」

 

 

「あ、ペドロ」

 

すると笑いながら拍手をしながらカッターシャツの袖をまくった外人がこちらへ向かってくる。シルバは知ってるようだ。

 

「レオ、あの人って?」

 

「知らない?蹴球学園の監督。ペドロだよ」

 

「え?まじで!?(電話の時に確かに片言だったから外人なのかなって思ったのだが本当に外人だったんだ)」

 

シルバの言葉に染谷は驚いた。

 

「お疲れダヨ、レオ。後ハジメマシテコウキくん。私が蹴球学園の監督のペドロだ。ヨロシク」

 

そう言いペドロは手を出し、染谷に握手を要求してきた。

 

「初めまして、染谷 昂輝です。よろしくお願いいたします」

 

染谷は緊張している所為か少し硬い挨拶をして握手を交わした。

 

「それよりも上手かったネコウキくん!」

 

「い、いえ・・そんな(照)」

 

ペドロの言葉に染谷はちょっとだけ照れながら言った。

 

「もしかすると、一年から正GKかもしれないカラそのつもりでね」

 

 

「!!!っ、ハイ!」

 

染谷は嬉しくていつもより大きな声で返事をしてしまった。

 

「ちょっと張り切りすぎだよコウキ」

 

「あっ、ごめん・・・(でもレギュラーか~うれしいな!)」

 

シルバに少し叱られたが染谷はペドロに言われたことがスゴい嬉しくて、生返事になってしまった。

 

「それじゃ、お先に失礼します!」

 

「あ!明日から練習に参加してネ!その時に自己紹介もするからそのつもりでネ!」

 

「わかりました!」

 

染谷はそう言って、ペドロに褒められた所為か軽い足取りでボールカゴを持って帰っていった。

 

 

 

 

 

「・・・・ペドロ。本当にコウキを?」

 

染谷が帰った後、二人は染谷のことで話していた。

 

「そのつもりだ。それに見ていたが、あの反射神経・ボールの弾く方向・跳躍力・・・どれをとっても大場や他のGKよりも飛び抜けてうまい。流石Uー15正GKと言うとこカナ。それにレオが一番彼のスゴさを実感したでしょ」

 

「そうだね」

 

二人はそう話していた。染谷 昂輝が蹴球学園の正GKとして大会に出るのも夢じゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして染谷は明日から始まる練習に期待とワクワク感を寄せながら1日を過ごした。




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