エリアの守護神~THE GUARDIAN DEITY in THE AREA~   作:フリュード

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お久しぶりです!まだまだ変更前が残っているのでそれを出していきます。

それではどうぞ!


第10話

インターハイ地区予選 選手控え室

 

「・・・では私からの伝達事項は以上だ。今日のノルマは前後半5点だ。分かったな。」

 

「イエッサー!」

 

ペドロからの指示に蹴学の選手は軍隊風に返事をした。

 

今日からインターハイ予選が始まり、染谷たち蹴学は予選会場である代々木球技場に来ていた。

 

「ふぅ・・・」

 

ペドロからの指示を聞いた後、他の皆がピッチに立つ準備をする中、染谷は控え室のベンチで一人深呼吸をしていた。

 

「コウ」

 

すると、赤と黒を基調とした蹴学のユニフォームにキャプテンマークを付けたシルバが歩み寄ってきた。

 

「ん?あぁ、レオどうした?」

 

染谷はシルバに声をかけられたことで気付いた。

 

「これから僕たちの始めての公式戦が始まるけど、君が言っていた心配ってのはまだ消えないかな?」

 

シルバは昨日染谷が言っていた心配について聞いてきた。聞くシルバの顔は余裕を崩さないが、聞くところを見るに心配しているのだろう。

 

「うーん・・・まだ消えないかな。けど、今もこうやって考えてると本当にそうなるかもしれないから考えたくないかな。」

 

そんなシルバに対し染谷は顎に手を当て考える素振りを見せたのちそう言う。

 

「(・・・まぁ、シルバたちがいるから大丈夫だよなぁ・・・・?)」

 

実際まだ染谷の心に、こびり付いた「もやもや」がまだ消えない。しかし染谷は今は考えないようにした。

 

「そうだね。それなら行こうか。皆待っているよ。」

 

「あぁ。行こうか。」

 

そう言い染谷とシルバは皆の下へといった。そして染谷たちはピッチの中へと足を踏んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワァア――――!!!!

 

『さぁ!出てきたぞ我らが蹴学!今大会が公式戦初出場!だがその顔ぶれは高校最強だぜ!』

 

フィールドに出た途端、大きな声援とマイクの声が聞こえてきた。

 

(実況がいるのか・・・確かあの人後藤さんとか言ってたな。)

 

フィールドに出た染谷は準備運動をしながら実況のほうを見ながらそう思った。

 

『この試合の実況をするのは蹴学マネージメントクラス2年のGGこと後藤五郎とあと一人跳びっきり可愛い子が来るぜえ!』

 

インカムマイクを身に着け、いかにもチャラチャラした口調が特徴的な実況、後藤がそう言っていた。

 

(絶対舞衣ちゃんだな・・・)

 

(舞衣だな。)

 

(舞衣ちゃんだね。)

 

今、染谷とシルバと霧島の三人の思いがシンクロした。

 

「はっはっは。いよいよ始まるか。」

 

染谷が準備をし終えると、同じく準備を終えた風巻が染谷に言ってきた。

 

「えぇ。軽く捻りましょう!」

 

「言うなお前!けどそれには同感だな。しっかりと止めていけよ!頼むぜ!」

 

そう言い風巻は自分の位置、センターサークル付近へと行った。

 

「頼むよ守護神。」

 

シルバも染谷にそう言いトップ下の位置へといった。

 

「・・・よしっ!」

 

2人の言葉を聞いた染谷は顔をたたいた後、ゴールマウスへと向かった。

 

『さぁ選手が所定の位置へと着いたぜ!それじゃ選手の紹介をするぜ!』

 

後藤がそう言い選手の紹介が始まった。

 

『まずはGK!なんと大胆にも高校1年を起用してきた!しかしそいつはただの1年じゃない!名古屋ジュニア時代最強のGKと呼ばれ、数々の賞を貰った最高のGK・・・染谷昂輝!』

 

染谷の紹介とした後、サポーターの拍手と声援が飛び交う。

 

(おお・・・緊張する~)

 

歓声を聞いた染谷はそう思った。ジュニア時代もこんなに歓声を浴びたことがなかったために緊張が漂い始める。

 

『さて次は・・・』

 

染谷の歓声が収まった後、後藤による選手紹介が進んだ。

 

 

 

東京蹴球学園フォーメーション

 

4-4-2

 

GK 1染谷

DF 2唐木 4リカルド 5幸村 3加藤

MF 7坂東 6川崎 8喜多川 10〔C〕シルバ

FW 11ジェンバ 9風巻

 

渋谷東高校フォーメーション

 

5-4-1

 

GK 1〔C〕島尾

DF 2佐治 3今枝 4遠藤 5大井 6浅井

MF 7芳江 8若井 14藤沢 10翔居

FW 9石井

 

 

「くっ、うるせえな。」

 

蹴学の声援に、渋谷東のエースである石井はそう呟いていた。

 

渋谷東が勝つわけが無い。誰もがそう思っていた。

 

「ピィー!!」

 

審判の笛で試合が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舞衣視点

 

「ふんふん。」

 

私は用事があり、遅れて代々木に着いた。

 

用事というのも日本代表に選ばれたので、日本代表監督に挨拶に行ったところだった。

 

「さて・・・もうあれから30分近く経っているし、どういうスコアになってるかなぁ。」

 

そう言い私は中に入り、まず最初にスコアを見た。

 

 

渋谷東0-5蹴学

 

「すご~い!5点差で勝ってるじゃん!けどあの戦力なら10点差はいけると思うけどな~」

 

私は不思議に言った。レオやリッキー・パティ。そしてコウキっちやほかのメンバーもいるというのに。

 

そう思いながら私は実況席へといった。

 

「遅くなってごめんね~」

 

「おっ!遅いよ舞衣ちゃん~」

 

後藤さんはそう言っていた。どうやらマイクは切っているようだ。

 

「GG~あの程度の高校なら10点差はいけるんじゃないのかな??」

 

私は何故このようなスコアなのか聞いた。

 

 

「がんばれー!!!」

 

サポーターも大きな声を上げて応援をしていた。

 

「うん。前半始まって5分にレオのロングシュートで1点取ってからマッキー・パティの連続シュートで5点取ったけど・・・なんだかぎこちないんだよねぇ皆。」

 

「ぎこちない?」

 

その次を聞こうとしたがサポーターの悲鳴で私とGGはピッチのほうに目を向ける。

 

『ああっと抜かれたぁ!危ない!』

 

開いたスペースを抜かれ、キーパーと一対一になった。

 

 

渋谷東の選手は右隅にボールを蹴ったが・・・

 

バチィィィィィ!!!

 

『染谷スーパーセーブ!!!これで一対一でとめたのは5度目です!流石最強のGKの名は伊達じゃないぜ!』

 

染谷のスーパーセーブに、GGが興奮を隠しきれずといった口調でそう言った。

 

(コウキっち凄い!ナイスセーブ!)

 

私はコウキを称賛しながらマイクの準備をし始めた。

 

 

 

 

 

舞衣視点 終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ・・・はぁ・・・」

 

どフリーのシュートを何とかゴール横にはじき出し、染谷は立ち上がる。

 

相手の選手は驚きの顔をしていたが、すぐに戻りコーナーキックの準備をし始めた。他の選手も次々とエリア内に集まる。

 

「コーナーだ!気をつけろよ皆!しっかりと見てな!」

 

染谷はDF陣に指示を飛ばす。

 

 

ドカッ!

 

渋谷東の選手がコーナーからボールを蹴り、皆が群がる。

 

「うおおおお!!!!」

 

染谷は叫びながらボールの落下地点に相手の選手を弾き飛ばしながら行き、ボールをがっちりキープする。

 

 

『ナイスセーブ!コーナーの危機を逃れた!』

 

後藤はそのプレーにそう言っていたが集中していた染谷には聞こえなかった。

 

 

「カウンターだ!上がれあがれ!」

 

ドカッッ!

 

ボールをキープした染谷は前線にボールを送った。染谷が蹴ったボールを取ったのは風巻だった。

 

「・・・くっ。」

 

前線に送った後、染谷は悪態をついた。

 

「すまんなコウキ。」

 

そんな染谷を見ていたリカルドが染谷に謝ってくる。

 

「仕方が無いです。タクさんが横に動かされた後を狙われましたから。1対多数じゃ周辺視もクソも無いですから。けど点を取られなかったから大丈夫です。あとタクさんにMFの動きに惑わされないように言ってくれないっすか。」

 

「了解。」

 

リカルドはそう言い、自分の位置に戻っていった。

 

「・・・悪いのはDFじゃなくて攻撃陣ですから。」

 

染谷はリカルドが戻った後、表情を無くしそう呟いた。

 

 

その時のためにしっかりと練習を積んできた。そのおかげもあってか守備陣はリカルドを中心に連携が取れていた。

 

対して攻撃陣はとにかく連携が取れていなかった。5点取れたのは個人技で抜いて点を取ったというのが多く、パスをしたり連係プレーでの点が取れていない。

 

特にジェンバが強引に仕掛けボールを奪われたり、風巻がジェンバとワンツーをしようとしたがジェンバが勝手にゴール前へと走っていってしまい周りにバックアップがいない中、風巻はバックパスをしたがそれを奪われたり・・・

 

シルバや坂東、両サイドの川崎・喜多川がそれをフォローしようと何とか頑張っていたが、ジェンバの単独行動が得点に繋がることが無かった原因には違いない。

 

「・・・練習試合をしなかったからな。」

 

染谷はそう言いため息を吐いた。

 

 

パスサッカーもまだ練習している最中。

 

ペドロもこれまで練習試合をしていなかったことや今回前半点を取り、後半そのリードを守るという作戦をあらかじめ決めていたので低く点を設定していた。

 

結果ノルマは達成しているが内容があんまりだった。

 

明らかにパティが足を引っ張っていた。

 

練習はパスをするのだが試合ではそれとまったく違う動きをしているのが原因だった。

 

「・・・・」

 

染谷は色んなことを思いながら前を見た。

 

 

(キーパーから見て)左サイドの川崎がサイドを切り込むと見せかけて中にいるシルバにボールを渡す。

 

 

「お前には打たさない!」

 

一気に3人の選手がシルバに向かってくるが

 

「フン。」

 

そこはブラジルの至宝。いとも簡単にかわし、その後もフェイントでかわして前に出たGKを見てループシュートをし、この日3点目をとった。

 

『ゴーーーーール!!!!!レオがまた決めてハットトリック達成!これで6-0!突き放すぜぇ!!』

 

「またレオか・・・・しかもまたあそこから抜いてシュートを打つとか。自分で打ってるよあれ。」

 

前半でのシルバのハットトリックに実況はシルバのゴールに喜ぶが、またしても個人技での得点に染谷は素直に喜べなかった。

 

前半の5点中、3点がシルバの得点である。先ほどの3点目も川崎さんが事実上のアシストをしたが、まだ完成形のパスサッカーには程遠い。

 

ピッ、ピーーーーー!

 

渋谷東が試合を再開した直後にここで前半が終わる。

 

『さぁここで前半が終わった!蹴学前半はシュートの嵐で6点を取り、染谷のスーパーセーブで0点に抑えた!』

 

後藤が前半を振り返り、興奮した口調でそう言う。

 

『そして解説がとうとうついたぞ!アイドル、群咲舞衣ちゃんだ!!!』

 

『ヤッホー!!!皆!』

 

実況が舞衣ちゃんの説明をした。舞衣ちゃんも元気に挨拶をしたが染谷はそんな気分ではなかった。

 

「・・・・・(ゴゴゴゴゴゴゴ・・・)」

 

「びくっ!!!」

 

皆が染谷が放つ怒気を感じ、避けている。染谷の怒りの矛先は自己中なプレーをしていたジェンバだった。

 

今切れたらいけない・・・しかし、怒りだけは抑えきれないよう状態で控え室へと引き上げた。

 

 

 


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