エリアの守護神~THE GUARDIAN DEITY in THE AREA~ 作:フリュード
染谷に電話をかけてきたのは奈々だった。
「どうしたのコウ?」
「いや!何もないよ。それでどうしておれの番号を?」
染谷はすぐに気を取り直して奈々に聞いてみる。
「え?理奈から聞いたの。携帯を買ってもらってからコウの携帯番号なんて知らなかったから理奈に聞いて今かけているのよ。」
「あ~そう言うことね・・・江ノ高はどうだ?」
染谷は聞きたい事を聞いた後、奈々に江ノ高での生活はどうかと聞いてみた。
「うん!こっちは大丈夫だよ!あのね、前まではね・・・」
そう言い奈々は江ノ高での出来事を染谷に話しはじめた。
奈々たちが入学した当初はサッカー部がSCとFCの2つあった事と、そのサッカー部が1つになった事など江ノ高であったことを話していた。
「へぇ、荒木君が江ノ島にいたんだ。」
その中でも日本代表でも一緒にプレーをして、傑と中盤のコンビを組んでいた荒木竜一が江ノ高でプレーをしていたことには染谷も驚いた。
「うん!最初は太っていたから分からなかったけどSC対FCの試合でやせてきたことには驚いたよ!」
「はははっ、ホントにあの人は・・・」
染谷は奈々の話を聞いて苦笑する。染谷にとっては痩せているときの荒木しか見たことがないので荒木が太っていることを想像すると笑えて来るのをこらえた。
「それで駆はどうなんだ?」
「あぁ、ちょっとね・・・今癖を直している所かな。」
染谷が今度駆について聞くと奈々が言葉を濁しながらそう言った。
「癖?何が駄目なんだ?」
「コウは敵だからいえないかな。」
「何だよそれw」
染谷は聞こうとするが奈々は染谷が蹴学…敵校と言うことを理由に教えてくれなかったので染谷は少し残念な気分になった…
「それでそっちはどうなの?」
「ふふん。俺は1番貰えたよ!」
「凄い!流石コウだね!」
今度は奈々から染谷のことについて聞いて来たので染谷は胸を張りながらそう言うと奈々が喜んでくれた。
「ちょっとこっちはレオたちがいるからな。チームメイトも上手くなってきて止めるのもきついけど頑張っているよ。」
「へぇ。それなりに頑張っているんだ。」
「・・・何だよその言い方。」
奈々の素っ気ない返事に染谷が文句を言う。
「ははは!・・・なんか遠くに行っちゃったね。」
「そんなことは無いよ。レギュラーをキープしないとすぐに他の人にとられるからね。奈々も頑張ってるみたいだしそれでいいと思うよ。」
奈々がちょっと切ない感じで言ってきたので染谷はそう言っておいた。
「ふふっ。頑張ってね。」
「ああ。あっ、そうだ。」
染谷はあることを言おうとして一呼吸置いた。
「いつか、日本代表のユニフォーム着ようぜ!」
「!!・・うん!」
染谷がそう言うと奈々が嬉しそうに答えたので、染谷はその嬉しそうな声が聞けただけでも嬉しかった。
「それじゃ切るね。」
「あぁ、また今度な。」
「うん。じゃあね!」
そう言い奈々は電話を切ったので通話が終了した。
「ふぅ・・・緊張した。」
染谷は電話を切れたのを確認した後、布団にダイブした。
「・・・元気そうだったな。奈々。」
染谷はそんなことを呟いた。奈々が引っ越してから何度か電話をもらったが、まだ会った事は無い。正直早く会いたいという気持ちがあったがそれを堪える。
「・・・さて、まだ時間もあるし親に電話をしないとな。」
そう言い染谷はまたスマホをもち、親に電話をし始めた。1番をもらえたことを報告するために・・・
奈々視点
「・・・・ふぅ。」
私は携帯を机においた後、ベットに寝そべった。
「元気だったね・・・」
寝そべった後、私は一言そう言った。
コウとは小学校のときに一緒のチームでプレーしていた間柄。しかしあの時は背も低くて私はどちらかと言うとお姉さんみたいな感じで接していた。
けどその後のコウの活躍はアメリカでもネットニュースなどで欠かさず見ていた。
日本代表に選ばれたの事と、ユース大会でMVPに選ばれたことも知って私は嬉しかったのを覚えている。体も176cmと大きくなり、この数年でかなり成長したことに私は凄いと思った。
「・・・・かっこよくなってたなぁ。やだ、何言ってるんだろ私・・・」
私はそう言ったあと顔を真っ赤にし布団をかぶった。
先週買ったサッカー雑誌でレオともう一人の子と一緒に写っていたコウを見たら、体も大きくなり成長した写真が写っていた。
それを見たときから私は少しずつ意識をするようになった。
「うぅ~なんで・・・意識しちゃう。」
私は顔を真っ赤にして悶々としたまま眠りについた。
奈々視点 終わり
「はぁ~怖いよ母さん。」
親との電話を切った後、染谷は顔を真っ青にしながらもう一度ベットに仰向けになった。
両親に電話したら直子は喜んでくれた。が。
『フフフ・・・私としてはお仕置きしたかったけどね・・・それじゃ頑張ってね。』
そう言い直子は電話を切ったので、それを聞いた染谷は冷や汗が出たものの、レギュラーになれたから無くなっただけでも良いやと思い先ほどにいたる。
「よーし。明日から頑張るぞ!」
染谷はそう言い眠りに着いた。
「よーし!今日の練習はここまで!」
インターハイ予選も明日に控えいつもよりも充実していた練習もいつもより早く終わり皆引き上げる中で染谷はいつものように倒れては・・・・
「ふぅ。いい感じだったな。」
無かった。今日はいつもより早く終わったからなのか、ただ単にスタミナがアップしたかは分からないが今回は倒れる事は無かったのである。
「あれ?今日は倒れてないね。」
すると倒れていない染谷が珍しかったのか霧島が染谷にそう言ってきた。
「あぁ。まぁ単に早く終わっただけだとは思うからな。」
「ホントに?」
染谷はそう言うが霧島はまだ半信半疑である。
「なに?何故疑いの目で見る。」
「いや、最近残って走っているのを「ア~聞こえない。」・・・ほら、普通に努力したって言えばいいじゃん。」
「だって努力したよ~って褒めてもらいたい一心で言う奴がどこにいる?」
染谷は腰をくねくねしながらそう言った。
「・・・まぁ、これがコウキか。」
霧島はそう言って自己完結させた。
「・・・いよいよ明日だね。」
「大丈夫さ・・だけど。」
霧島が翌日に迫ったインターハイの話題を出したので染谷はちょっと心配なことを言った。
「けど?」
「うーん。蹴学の実力はいいとして「チームワーク」は大丈夫なのかなってところが心配だな。しっかりと練習しているから大丈夫だとは思うけどな。」
霧島が聞いてきたので染谷は顎に手を当てて言った。
「ふふっ。そのときは頼むねコウ。」
「まぁ、レオがいれば大丈夫だとは思うけどね。」
「だね。」
すると、シルバが2人のところにきてそう言ってきたので染谷と霧島は笑顔でそう言った。
「くすっ。そんな僕に期待されてもね。」
シルバはそんな2人に苦笑した。
その後3人で話しながら帰っていったが、まさかインターハイで染谷の不安が的中してしまうとはこのとき思わなかったのである・・・
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