エリアの守護神~THE GUARDIAN DEITY in THE AREA~   作:フリュード

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初めまして!フリュードです!

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プロローグ

『いつか皆でサムライブルーのユニフォームを着ようぜ!』

 

小学校の頃、あの人・・・・逢沢 傑さんは初めて選出されたU-12の日本代表のユニフォームを見せびらかしながらそう言って俺たち4人と約束をした。

 

サムライブルー・・・日本代表のユニフォームを着ることは生半可な事じゃないとは知っていた。けど、それでもサッカー少年たちはサムライブルーのユニフォームを着たい、日本代表になりたいと思っていた。

 

(うらやましい…)

 

染谷 昂輝(そめや こうき)はそんな中の一人でもあった。

 

染谷のポジションであるGK(ゴールキーパー)はサムライブルーのユニフォームではないのだが、日本代表になりたいと思う気持ちは染谷の中ではすごく強かった。

 

(待ってろよ傑さん。俺もいつか追い付いて、そして日本代表のユニフォームを着てやる!)

 

染谷は4人とじゃれあいながら傑を見てそう強く思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数年後・・・・

 

『Uー15 日本サウスアメリカ交流カップ 日本対ブラジル いよいよキックオフです!』

 

(・・・・とかテレビではそう言ってるんだろうな)

 

染谷は試合前だというのに、冬も近くなりアップで温めた体を冷やさないようにしながらくだらない事を考えていた。

 

染谷はあの時の約束通り、まだ世代別ではあるが、左胸に日の丸を背負ったUー15日本代表ゴールキーパーのユニフォームを着て、腕には傑さんが付けていたキャプテンマークを付けて、試合に臨んでいた。

 

・・・ただ、約束をした当人は一年前に不慮の事故で亡くなってしまったが。

 

(見ているかい、傑さん。俺もついにここまできたよ!見舞いに行けなかった分、頑張って活躍して傑さんを安心させてやる!)

 

最期を看取れなかった染谷は空を見ながら天国で見守っているであろう傑さんに誓い、試合の準備をし始める。

 

そんな染谷自身も4人で約束した後、約束した4人の内の2人が外国へ引っ越してしまい、それに続くように染谷も小学5年の時に親の事情で愛知県に引っ越してしまった。

 

けど、いつか4人と代表で会えることを信じ、引っ越し先・愛知で有名なJ1クラブ、名古屋フローリアスのアカデミーに入り、染谷は一生懸命頑張ってきた。

 

おかげで身長とともに技術もメキメキと上達し、Uー13の時から世代別日本代表にお世話になっているが一度も皆と代表で会っていない。

 

風の噂では、外国に引っ越した2人、日比野(ひびの) 光一(こういち)美島(みしま) 奈々(なな)は外国から帰ってきているとは聞いたが、実際どうなのかはまだ分からない。

 

『い、いつか代表で会おうね!』

 

小学生のとき、愛知に引っ越すことをお世話になった逢沢家の人に話したら、泣きながら代表で会うことを約束した同級生で傑さんの弟で、同級生である逢沢(あいざわ) (かける)の姿を思いだし、少し笑みを浮かべる染谷。

 

(しかし、これでもう三度目か。次の世代別代表で駆に会えるかなぁ・・・)

 

U-13・14・15と選ばれている染谷。必ず代表入りした後に代表のメンバー表を見るがそこに駆の名前は無かった。それでも約束の為に染谷はずっと待ち続けていた。

 

「どうしたんすか?キャプテン?」

 

考えているのを不思議に思ったのか、1コ下のスタメンの子が俺に話しかけてきた。

 

「ん?いや、何にもないよ!(試合前に何考えているんだ!)」

 

「は、はい。分かりました。今日もお願いしますね!」

 

「おう!」

 

物思いにふけていた染谷は慌ててそう答える。その子もそれで安心したのか自分のポジションに戻っていった。

 

「ふふっ、君も考える時があるんだね」

 

「世良、それじゃ俺がいつも考えていない奴って思われるじゃないか」

 

クスクス笑いながら染谷の方に向かってくる少しタレ目の男に染谷は少し悲しい表情をしながらそう言った。

 

タレ目の男、世良(せら) 右京(うきょう)は染谷の言葉にまた笑いながらも「それはごめんね昂輝。」と謝った。

 

世良と染谷は初めて選出されたUー13から一緒に世代別代表をしてきた、所謂腐れ縁である。

 

ジュニアユースの大会でも世良が所属する湘南のジュニアユースと染谷の所属する名古屋のジュニアユースは戦ったことがある。

 

「まっ、もうじきキックオフだ。いつもの通りたのむぜ司令塔さんよ!」

 

「そっちこそスーパーセーブ頼みますよキャプテン」

 

染谷は世良の肩を叩きながらそう言うと世良は笑いながらそう言い、自分のポジションに戻っていった。

 

そして、試合開始のホイッスルがなって試合が始まった。

 

そして、この試合、GK・染谷は世良に言われた通りスーパーセーブを連発したが、ブラジル代表の硬い守りに攻撃陣は阻まれ、結局0ー0で引き分けとなった。

 

これはそんなGK、染谷昂輝の物語である!

 




珍しいゴールキーパーが主役です。作者もハンドボールでキーパーをやっているので分かるんですが、ゴールキーパーも非常に重要なポジションです。キーパーが上手かったら点も取られないし、相手のリズムも止められる。何より止めた時の快感が最高ですね!
うんちくたれてしまいましたが、今後ともよろしくお願いします!

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