インフィニット・ストラトス Dark Knight Story   作:DASH君

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MISSION 02 悪魔の腕~デビルブリンガー~

一夏side

 

試合終了後、アメリカの操縦者をピットに運んで帰投し

運んでくれた感謝なのか名前を紹介された。

本人曰く、納得のいく敗北で次は勝ちに行くつもりだそうだ。

俺も「次も返り討ちにしてやるよ。」と言って再戦を誓った。

あっ、そうだ!!さっきの闘いで習得した回避技を『テーブルホッパー』と名付けよう。

これはかなり使える技だし、応用もかなり効きそうだからな。

そう考えながら束さんの所に戻ると束さんの隣に2人ほど人が居たが1人は・・・・

 

「鈴?凰 鈴音か?」

 

「ええ、久しぶりね一夏。」

 

「そうだな、しかし何故ここに?」

 

「それはこの子が中国の代表候補生さんで対戦相手の1人なんだよ。」

 

「そうだったのか、それで隣がイギリスの・・・・」

 

「イギリスの代表候補生、セシリア・オルコットと申します“セシリア”とお呼びください。」

 

「俺は織斑 一夏、よろしくな。」

 

「よろしくお願いしますわ。」

 

「ところで、セシリアは何故顔が赤いんだ?」

 

「そっ!?それは・・・・」

 

「それはいっくんの闘いがスタイリッシュ過ぎて見惚れていただけだよ。」

 

「はっ、博士!?」

 

「そうかい。」

 

こう言われるが束さん曰く「いっくんはスタイリッシュな闘い方をする。」そうで

別段、意識はしていないが自己流で闘うとそう見えるらしい。

他愛もない会話が続く中、鈴が口を開いた。

 

「一夏、あたしはアンタに謝らないといけない事が・・・・」

 

「何を謝るんだ?」

 

「日本に居た頃、自分の事ばかり考えてアンタを助けられなくて・・・・」

 

「別に謝る必要はねえよ、あの時は鈴も大変な立場だったんだろ?」

 

「でも、言わないといけない気がして・・・・」

 

「別に鈴が俺に何かをした訳じゃないし、俺も何も言わなかった。だからお前が俺に謝る理由なんてねえよ。」

 

俺は嘘を言わず、本音しか言っていないつもりだ。

確かにあの時は鈴が中国人ってだけで大変な目に遭っていた筈。

そう思うとあの時の鈴の行動もわからなくもなかったからだ。

すると今度はセシリアが何かを言い始めた。

 

「謝罪の事でわたくしからも言いたい事が・・・・」

 

「なっ、なんだ?」

 

「最初に見た時、貴方を“運が良いだけの素人”と蔑んでいた事ですわ。」

 

「そうか、でも俺は気にしないよ。」

 

「ですが!!」

 

「セシリアの考えもわからなくもないからな。これまでのISの常識を壊しちまった張本人だし

そう言う風に見られる覚悟もしていたよ。」

 

そう言って俺はオルコットの言い分を潰すように答える。

それからも淡々と俺の言い分を言い続けて最後にこう答えた。

 

「世の中は不公平だからな。2人の様に周りから認められる奴が居れば蔑まれる人だって

居る事を忘れないでくれよ。それが出来れば俺はすぐにでも君を許すさ。」

 

「あっ、ハイ!!わかりましたわ!!」

 

「うっし!!これで心置きなく闘えるな、楽しみにしているぜ!!」

 

そう言って俺は紫炎の調整の為にこの場を離れた。

 

 

セシリアside

 

わたくしは離れて行く一夏さんの後姿をずっと見続けております。

闘いの時の表情も良かったですが、あの様な笑顔を見れて本当に来た意味があったと思います。

その結果わたくしの体温は上がり続けて心拍の激しさは止まる事を知りませんわ。

そう!!これこそ“恋”と言うもの!!

わたくしは織斑 一夏と言う男性に恋をしてしまいましたわ!!

そう考えながら隣に居る鈴さんの方に顔を向けると何やら複雑な表情をしているご様子。

これからタッグで彼に挑むので聞いた方が良いかもしれない。

そう思った矢先、博士が鈴さんに聞いてきましたわ。

 

「どうしたの?いっくんが気になるの?」

 

「ええ、ちょっと・・・・」

 

「君が思っている通り、いっくんはまだ過去の事を引き摺っているよ。」

 

「やっぱり・・・・」

 

「どう言う事なのでしょうか?」

 

「さっきの会話からわかると思うけど、昔のいっくんは蔑まれる側の人間だったんだ。」

 

「そうなのですか。」

 

「例え弾けて性格が変わっても、心の傷は簡単に治せないからね。」

 

そう言って博士と鈴さんは気を落としている様に見えました。

わたくしの場合は尊敬している母と顔色ばかり窺う父の下で過ごしておりました。

そんな親でも常にわたくしの事を見て考えてくださいました。

しかし、両親は列車事故で共に他界してしまいましたが、侍女のチェルシーが居てくれました。

それを考えればわたくしはまだ恵まれた方なのかもしれません。

博士が一夏さんの事をそう言う様にきっとそれくらい彼の過去は重いのでしょう。

 

「まあ、それはさて置き。今は実戦データが要るから2人には期待しているよ!!」

 

そう言って博士もこの場を離れてしまいました。

わたくしはタッグパートナーである鈴さんに一声かけました。

 

「とにかく鈴さん、今は・・・・」

 

「わかっている、今は試合の方に集中しないといけないわね。」

 

すぐに気持ちを切り替える鈴さん、何故ならわたくしたちが代表候補生ですから。

それ故、私情を持ち込んではいけないもの。頭はわかっていても心まではそうであるか・・・・

 

 

鈴side

 

試合開始時間が迫っていて、あたしたちはアリーナで待機している。

その前は時間の許す限りセシリアとイメージトレーニングや打ち合わせを繰り返した。

役割はあたしが前衛、セシリアは後衛で闘う。

一夏の方を見るとイーリスと闘った時の様に余裕の表情をしているみたいだけど

状況は2対1、前との違いは少しだけ険しいものになっている。

それにしても第4世代相当の性能か・・・・イーリスの時と言い厄介極まりない。

特に注目すべきなのは「リアルスタイルチェンジシステム」と「展開装甲」の存在だ。

イーリスの試合でわかったけど、『紫炎』のラインカラーによって特性がわかるみたいだ。

赤色が近接重視、青色が銃撃重視、緑色は防御重視になっているみたいだが

今のラインカラーは黄色、あたしの予想だと機動性重視のスタイルと踏んでいるし

セシリアも納得していた。

開始の合図まで待機している中、一夏から話しかけてきた。

 

「何辛気臭い顔しているんだ?」

 

「“辛気臭い”って、あたしは・・・・」

 

「“そんな顔してない”とか言うだろうけど、ハイパーセンサーでハッキリわかるぜ。」

 

「むっ!?」

 

「そうですわ、わたくしも見ていて心配している所ですわ。」

 

「ぐっ!?」

 

そんなに顔に出ていたのか、言われる側としては恥ずかしくてたまらない。

あたしが恥ずかしさで悶々としている時に一夏が更に声をかけてくる。

 

「とにかく、過去の事は置いておいて“今”は楽しもうぜ。でないと許さねえからな。」

 

「わかっているわよ!!」

 

もう!!人の事を知らないで!!

でも、一夏が心配してくれたから気分は少しだけ楽になった。

一夏は昔から自分の事を棚に置いて相手の事を気遣う奴だった。

それだけは昔と変わらなかったからあたしは嬉しかった。

このやり取りの直後、試合開始のブザーが鳴り戦闘態勢をとった。

 

「行くぜ、2人とも!!」

 

そう言って、一夏は突っ込んでくるがその速さは瞬時加速(イグニッションブースト)を超えており

黄色のラインカラーの予測が当たった証だった。

あたしは即座に双天牙月を構えて防御に成功し、一夏の表情は驚いたものになっていた。

 

「驚いたな、トリックスターのスピードに反応するなんて。」

 

「反射神経には自信があるからね、これで黄色の機動性スタイルは見破ったかしら?」

 

「そうかい?でもトリックスターの恩恵は機動性じゃないんだな!!」

 

一夏がそう言うとあたしの後ろからセシリアが放ったレーザーライフルが一夏目掛けて通る。

しかし一夏は“消える”様に残像を作って回避した。

それだけじゃなく、セシリアの頭上に突然現れて長剣の兜割りを受けてしまう。

セシリアはすぐに態勢を立て直すがあたしとセシリアは今の行動に驚きを隠せない。

 

「トリックスターは機動性じゃなくて“回避能力”に特化したスタイルだ。」

 

「一瞬消えた様な・・・・」

 

「これはトリックスターのスタイル技『エアトリック』で見た通り

残像を残して相手の頭上に現れる技だ。」

 

「本当に厄介過ぎる技ね!!」

 

あたしが一夏に攻撃を仕掛けると同時にセシリアは一夏から離れる。

それから一夏とあたしが剣技で闘うがあたしには秘策があった。

それは小さな起動音から始まっており・・・・

 

「っ!?ガード(Guard)!!」

 

「遅い!!」

 

その瞬間、大きな衝撃音と共に一夏が吹っ飛ぶ。

ダメージを見ると軽減されてはいるが有効打になっている事は確かだった。

セシリアもレーザーライフルですかさず追撃を行うが回避されてしまった。

でも一夏の初ダメージに観客席に居る人たちは大きな歓声が聞こえる。

 

「クソ、ブロックしたが間に合わなかったか。にしても弾丸が見えなかったぞ。」

 

「衝撃砲『龍砲』の味はどうだったかしら?」

 

「衝撃砲?」

 

「空間に圧力をかけて砲身を作り、衝撃そのものを撃ち出す代物よ。」

 

「成程、道理で見えなかったわけだ。厄介なのはどっちだよ。」

 

「さあね、でもあたしたちの攻撃はまだまだこれからよ!!」

 

 

セシリアside

 

鈴さんの衝撃砲で一夏さんも闘い方を変えたのか、回避主体になりましたわ。

しかし、機体のラインカラーは相変わらず緑色。

ガード出来る時はガードを行い、ガード不可能と判断したら回避に専念。

おそらくその考えでしょうが、それも計算済みですわ!!

 

「鈴さん!!プランBですわ!!」

 

「わかったわ!!」

 

「さあ踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズが奏でる

円舞曲(ワルツ)を!!」

 

「どうせ踊るならロックが良いぜ!!」

 

一夏さんの言葉を無視してわたくしはビット『ブルー・ティアーズ』を展開し向かわせます。

4基のレーザービットは的確に一夏さんを襲いますが、全て防御で無効化されます。

でも、それはレーザービットだけの話。鈴さんの衝撃砲と組み合わせたらどうなるか・・・・

 

「そこ!!」

 

「ぐあっ!?」

 

一夏さんは鈴さんの衝撃砲をまともに受けて大きく後退しました。

「どうせ防御で無効化されるのなら無効化出来ない様に攻撃すれば良い。」

鈴さんの提案であり、わたくしたちが出来る最も効果的な作戦でしたわ。

目視出来る攻撃と目視出来ない攻撃が合わさった猛攻に一夏さんも見切る事が難しい筈ですわ。

ビットを一旦戻し、鈴さんと一緒に一夏さんの方を見ます。

一夏さんは態勢を立て直して、わたくしたちの方に向きます。

 

「くぅ、流石に2対1だと厳しいか。」

 

「どうする?白旗でも挙げる?」

 

「いや、少し本気で闘おうと思う。」

 

「へぇ~、強がりを言って。」

 

「これを見てそう言い切れるかな?束さん!!“あれ”を使っても良いですよね?」

 

『“あれ”ね、許可を求めなくても大丈夫だし、あの2人がそれくらい強いなら

全然オッケーだよ!!』

 

「ありがとうございます!!」

 

通信で聞いた“あれ”とは何の事でしょう?

博士から一々許可を求めるくらいですからただの兵器ではない筈。

しかし、考えている暇はありません。今は攻撃あるのみですわ!!

もう一度レーザービットを展開し、再びプランBを実行します。

さっきと変わらずビット攻撃を防御して無力化し、鈴さんが一気に仕掛けます。

 

「もう一撃よ!!」

 

わたくしも鈴さんもこの衝撃砲は必ず命中すると確信しておりました。

しかし、一夏さんがとった行動はわたくしたちの予想を遥かに上回る事を仕掛けたのです。

 

「はあ!!」

 

「なっ!?」

 

驚いたことに右腕から突然巨大な腕の様な物が現れ、鈴さんを捕まえて引き寄せられたのです。

そしてそのまま右腕で鈴さんを持ち変えて・・・・

 

落ちろ(Go down)!!」

 

「うわあああ!?」

 

地面に思いっ切り叩きつけたのです。

叩きつけた際に発生した衝撃音はとても大きく、高い威力を持っていました。

しかし、今のは一体何だったのでしょうか!?

一夏さんに聞こうとした矢先、鈴さんが先に尋ねましたわ。

 

「くぅ、今のは一体・・・・」

 

「これか? これは『悪魔の腕(デビルブリンガー)』って言う伸縮自在のエネルギーで出来た腕さ。」

 

「“エネルギーで出来た”!?」

 

「ああ、だからさっきみたいに掴んで引き寄せたり、投げ技みたいに出来るのさ。

欠点としてコアとのシンクロ率が高くないと使えないが・・・・」

 

「うぅ・・・・カウンターをモロに喰らったわ。」

 

頭を振って意識を戻しながら鈴さんは立ち上がりました。

咄嗟に受け身をとったのでしょう、すぐに立ち上がって一夏さんに集中していますわ。

 

「距離をとったら負ける、一気に仕掛けるわよ!!」

 

「わかりましたわ!!わたくしも合わせます!!」

 

こうしてもう作戦を変えて一夏さんに挑みます。

 

 

一夏side

 

2人が攻撃を仕掛けるがパターンの違いは鈴が龍砲を使わず2本の青龍刀で仕掛けている点だけ

デビルブリンガーを警戒してか、鈴はヒット&アウェイを繰り返して仕掛けている。

セシリアはビットで攻撃を仕掛けるがロイヤルブロックで全て防ぐが

このままではジリ貧なので一気に勝負を仕掛ける。

 

「はあ!!」

 

「今だ!!『リリース』!!」

 

「うわっ!?」

 

鈴が攻撃を仕掛ける瞬間、俺はロイヤルリリースで反撃し、鈴の態勢を大きく崩す。

すぐにセシリアが放ったビットを捕らえる為

デビルブリンガーの技の1つ『スナッチ』を仕掛ける。

スナッチ成功した直後に『バスター』でビットに向けて投げ込んだ。

すると狙ったビットに命中し、2基のビットは爆散する。

 

「ビットが!?」

 

「これで1つ!!もう1発だ!!」

 

同じ様にスナッチで捕まえたビットをセシリアに向けてバスターを仕掛ける。

バスターで物を投げた場合はダメージが大きくなると言う特性を持っているのだ。

 

「ああ!?」

 

バスターが命中してしまったセシリアは大きくダメージを受けながら態勢を崩す。

するとビットが急に止まったのでチャンスにもう一度スナッチで捕まえてバスターを放つ。

 

「これでラスト1基!!」

 

「きゃあ!!」

 

又もやセシリアに命中し、態勢を立て直す暇を与えなくして最後の締めに入る。

 

ガンスリンガー(Gun Slinger)!!(パチンッ!!)これで最後だ!!」

 

手に対戦車ライフル『スパイラル』を持ち

態勢を崩したセシリアに向けて『スナイパーショット』を放つ。

見事命中し、これでセシリアのシールドエネルギーが0になった。

 

「セシリア!?この!!」

 

態勢を立て直した鈴が俺に向かって突撃する。

だが、俺もバスターでカウンターを仕掛ける為に構えていた。

 

「させるか!!」

 

「同じ手は喰らわないわよ!!」

 

バスターで鈴を掴んだが、見事な反応ですぐに振りほどく。

俺は右手にリベリオンを持ち、青龍刀と何度も打ち合い最終的に鈴が動いた。

 

「左!!貰った!!」

 

左腕に2本の青龍刀が襲うが俺はすぐに防御する、左腕で守っているのは・・・・

 

「なっ!?デビルブリンガー!?」

 

「実は左腕にもあるんだな、これが!!」

 

鈴を動揺させた理由は左腕にもデビルブリンガーを展開していたからだ。

多分誰もが“聞いてない”とか言いそうだが、誰も“右腕にしかない”とは言っていない。

鈴は右腕にしか展開できないと踏んでいたみたいだが、それが仇になったのは言うまでもない。

その一瞬の隙で強引に押し出し、すぐさまエボニーとアイボリーを鈴に向けて構える。

 

クールにいこうぜ(Keepin' it stylish)!!」

 

「しまった!?」

 

鈴は態勢を崩した状態ですぐには反応できない、正に格好の的になっている。

その隙に俺は高速連射攻撃『ミリオンダラー』放つ。

 

ヒャッホウ(Yahhooo)!!」

 

「うわああああ!!」

 

弾丸の嵐が容赦なく鈴に襲い脱出困難に陥っていた。

 

大当たりだ(Jackpot)!!」

 

最後にとどめと言わんばかりに決め台詞を言いながら引き金を引く。

この瞬間、試合終了のブザーが鳴り試合は俺の勝利で幕を閉じる事になった。

 

 

束side

 

私は試合終了後、3人を出迎える形でピットに待機していた。

そして戻って来てからの第一声は・・・・

 

「3人とも、お帰り!!」

 

「束さん、ただいま戻りました。」

 

「いや~、良い試合を見れたし、良いデータも入手できたから万々歳だよ。」

 

「試合には敗北してしまいましたが、自分の為になる内容でしたわ。」

 

「ホント、次は勝ちに行くわよ!!」

 

「ああ、いつでもかかって来いよ。」

 

「良いねぇ、そう言う闘いの中で友情を育む感じ。私は好きだよ。」

 

「それで束さん、気になったけどこの騒ぎは何が起こったの?どう見ても試合の結果での

騒ぎじゃないみたいだし。」

 

いっくんの指摘通り会場は“これでもか”ってくらいざわついている。

いや、むしろこれは“騒ぎ”ではなく“混乱”に近いくらいだ。

 

「いっくんがISを動かしてから世界中は何をしていると思う?」

 

「確か、全世界一斉にIS適性検査が男性中心に行っていた筈ですが。」

 

「ひょっとして2人目が見つかったとか・・・・」

 

「大正解だね、見つかったんだ2人目が。」

 

中国の子が言う事に対して、私は真顔で答える。

 

「マジで!?」

 

「それでどんな方ですの!?」

 

「春斗だろ?束さん。」

 

「うん、はるくんだよ。」

 

「げぇ!?よりによってアイツなの!?」

 

「どちら様?」

 

「いっくんの双子の兄貴でね、人材としては優秀な人だよ。」

 

「優秀な方ですか、それはスゴイですわね。」

 

「セシリア、あくまで“人材”としてよ。“人間”としては最低な奴よ。」

 

「うん、人を踏み台にしか考えていない子でね。その性格を何とかしたいところだけど。」

 

「そっ、そうですか。そう言う方には会いたくないですわ。」

 

「そんな事はどうでも良い。それで束さん、俺はこれからどうすれば良いんだ?」

 

「多分、いっくんのお察しの通りだよ。」

 

「IS学園に通ってか?どうせ政府が強要しているんだろ?」

 

「まあね、いっくんここは・・・・」

 

「わかってます、通いますよ。自分の意思じゃないのが癪に障るけど。」

 

「わたくしも通う予定ですから一緒ですわね!!」

 

「一夏が通うならあたしも通うわ、丁度中国政府から指示を受けてたし。」

 

「そうか、これからもよろしくってか?」

 

「ええ、よろしく。」

 

「よろしくお願いしますわ!!」

 

ふぅ、ひとまず安心って所かな?

最初は不安だったけど、この2人が居るなら安心していっくんを送り出せると私は思った。

まあ、私の最終目標はいっくんとちーちゃんの仲を完全に修復する事。

私はその事を考えながら3人のやり取りを見ているのでした。

 

≪To be continued…≫

 


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