インフィニット・ストラトス Dark Knight Story   作:DASH君

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どうもようやく臨海学校へ向かう事になります。
ここまで長かった!!



MISSION 25 待望と再会の臨海学校

箒side

 

バスが臨海学校の舞台となる旅館に到着し、各自の部屋に荷物を置いて

旅館の玄関口付近の休憩所に集まりシャルロットが見た事を聞く事になった。

だが、シャルロットから聞いた内容は我々の耳を疑う内容だったのだ。

 

「何だと!?一夏が自分を犠牲にしようとしたのか!?」

 

「うん、僕がドッペルゲンガーに支配されて元に戻そうとした時に・・・・」

 

「バカな事を、そんな事をした所で誰も喜ぶ筈が・・・・」

 

「僕もそう言ったよ、でも一夏も自分を責めていたから・・・・」

 

シャルロットの話を聞いて、我々の目的とは真逆の方向に進んでいる事を聞いて

私を含む6人は焦りを感じていた。

そんな中、シャルロットは口を開く。

 

「僕たちさ、一夏の心を助ける為にこうして居るんだよね?」

 

「そうね、だからこうして集まっているじゃないの。」

 

「だけど僕思ったんだ。僕たちが一夏を助ける筈なのに

逆に追い詰めているんじゃないかって・・・・」

 

この言葉で我々は絶句し、私以外の5人は“ハッ!?”とした表情をしている。

内容はわからないが『試練の間』で体験した心の闇を思い出したのだろう。

5人の表情から察するに、心の闇の原因を作っていたのが一夏だったようだ。

一夏が5人の心の闇を強くし、それに対して責任を感じている。

それがシャルロットの時に出た行動で償おうとしたのではないかと。

だが、自分を犠牲にする事で償う事は間違いであり、必ず止めなければならない。

しかし、今考えた所で何も浮かばない上

下手したら一夏をさらに追い詰めてしまう可能性がある。

そうなってしまったら打つ手がない。

このまま時間だけが過ぎていき、この集まりは鷹月さんが来るまで続いた。

大半の生徒がこれから自由時間に旅館の近くにあるビーチで遊ぶだろう。

私も久々の海ではある為か、楽しみではある。

この日の為に新調した水着を一夏に披露する事になるが

それは全員同じ事を考えている。

私はみんなより一足先に着替え終わりいざ浜辺に移動した所で一夏が先に居た。

 

「早かったな、一夏。」

 

「ああ、おっ?水着似合っているじゃないか。」

 

「そっ、そうか!!そう言われると選んだ甲斐があったものだ。」

 

そう言われた直後、みんなが少し遅れて来た。

 

「ちょっと箒!!抜け駆けはないんじゃないの!?」

 

「そうですわ!!淑女たる者いつ周りに見られても良い様に

ちゃんとした準備をしてですね・・・・」

 

「ふむ・・・・迅速に行動したつもりだったが一足遅れてしまったか。」

 

「冷静に分析している場合じゃないよラウラ。一夏、この水着どうかな?」

 

「そう言ってシャルロットも抜け目ないね。」

 

「おお!!みんなも似合っているじゃないか!!」

 

一夏の台詞を考えると、私に言った言葉も社交辞令の様なものだったのかもしれんな。

だが、それでも私は嬉しく感じたのは事実だ。

私は一夏が向いている方向に注目して聞いてみた。

 

「そう言えば一夏、一体何を見ているのだ?」

 

「えっ?ああ、あのパラソルの中でくつろいでいる人たちがな・・・・」

 

一夏に言われて私もパラソルの中でくつろいでいる人たちに注目する。

1人は見た事が無かったがもう1人は紫に近い髪の色に

山田先生に負けないくらいのプロポーション

そして極め付けは髪飾りが機械のウサ耳・・・・

 

「なあ、箒・・・・」

 

「言うな、このやり方まだ“まとも”な再会の仕方だ。」

 

「箒が“まとも”って言うくらいだから普段はやっぱりはっちゃけているのね。」

 

「まあ!!まさかこの様な形で再会するとは思いませんでしたわ!!」

 

「「「???」」」

 

簪、シャルロット、ラウラの3人は誰の事だかわかっていない様子だったが

セシリアと鈴は一度会った事が・・・・いや、“遭った”事がある為わかっていた。

すると、私が一番注目した人はこちらに気付いたのか

“ドドドドッ!!!!”と言う足音と共にこちらに近づいて来たのだ!!

 

「い~っ~く~ん!!ほ~う~き~ち~ゃ~ん!!」

 

「「どわっ!?(うわっ!?)」」

 

すると、突撃してきた人は両腕を大きく広げて

私と一夏を抱き付く様にしながら私たちを押し倒した。

私たちを押し倒した人は私たちの事をお構いなしに話しかける。

 

「いっくん!!箒ちゃん!!さあハグハグしよう!!再会を喜び合おう!!」

 

「姉さん・・・・」

 

「束さん、ハグなら既にしてますし、再会を喜び合おうにもこの状態だと・・・・」

 

「えっとこの人は一体・・・・」

 

「この方は篠ノ之博士、箒さんのお姉様ですわ。」

 

「この人が!?」

 

「まあ、こう言う感じの人だけどかなりしっかりした人よ。」

 

「箒からある程度は聞いていたけど・・・・」

 

「ドイツの兵器開発部や化学班にはない明るさを持った人だな。」

 

「そう言うのは多分アンタだけよ。」

 

みんなが姉さんを見てからそれぞれの感想を言う中

私と一夏は姉さんに解放されて起き上がる事が出来た。

すると、姉さんの後ろから見た事が無い人が立って

その姿はどこかラウラに似ている気がした。

 

「クロエさん、お久しぶりですね。元気でしたか?」

 

「ハイ、一夏さん。私はこの通り元気にしていました。」

 

「一夏、姉さんの後ろに居る人は誰なのだ?」

 

「ああ、この人はクロエさん。クロエ・クロニクルさんで束さんの助手をしているんだ。」

 

「クロエ・クロニクルと申します。以後お見知りおきを・・・・」

 

彼女がそう言うと綺麗なお辞儀をして姉さんの後ろに立つ。

まるでそこが自分の定位置の様に私は感じた。

騒ぎに気付いたのか、千冬さんと春斗がこっちに来た。

 

「何の騒ぎ・・・・束!!」

 

「ええ!?どうして束さんがここに!?」

 

「えへへ、久しぶりだね。ちーちゃん、はるくん。」

 

当然の事ながら千冬さんと春斗も驚きを隠せない。

すると姉さんは空気をぶち壊す様にこんな事を言い出す。

 

「ちーちゃんもハグハグしよう!!愛を確かめ――――ぶへっ」

 

「うるさいぞ、束。」

 

姉さんは千冬さんに飛びかかるが千冬さんのアイアンクローによって止められる。

だが姉さんはすぐさま千冬さんのアイアンクローから抜け出す。

 

「ぐぬぬぬ……相変わらず容赦のないアイアンクローだねっ」

 

「スマンな、反射的にこうしてしまうものでな。」

 

「まあ、良いや。ちーちゃん“あの時”に言われた事、覚えている?」

 

「忘れる訳ないな。おかげで見えなかったものも見えたつもりだ。」

 

「まあ、いっくんの様子を見るとそうみたいだね。」

 

そう言って一夏の方を見ている姉さん。

姉さんの瞳からは何かを見据えている様子だったが

何を考えているかまではわからない。

学園の生徒が集まり千冬さんが姉さんを紹介し、案の定全員驚きを隠せない。

一応、「観光とバカンスの為にここに来た」と言う事にしているが

実際は違うのは我々専用機持ちたちだけの秘密だ。

その後、姉さんたちを含めてビーチで遊ぶ事になるのだが

姉さんがナチュラルに遊んでいたのが驚きだった。

考えているばかりではいけないと思い、今を楽しむ為に私も参加する事にした。

 

 

簪side

 

ビーチで遊びに遊んだ後は夕食を摂る為に専用の和室に行く事になる。

ここに来た全員が遊び疲れていると思うが、全員疲れを見せていない。

まあ、一夏や織斑 春斗の隣の座席を賭けた小さな闘いがあったが

一夏は私たち6人を呼んでテーブル席に行って何とか回避した。

ちなみに一夏の両隣になったのは私と箒だった。

食後、箒が私たち5人を呼んである部屋に移動する事になった。

その場所は織斑先生の部屋でそこには篠ノ之博士とクロエさんも居た。

箒、鈴、セシリアの3人は慣れているのか落ち着いているけど

私、シャルロット、ラウラの3人は少し緊張していた。

そんな私を見かねたのか、博士が私に話しかける。

 

「更識 簪ちゃんだっけ?」

 

「はっ、ハイ!!なっ、何でしょうか!?」

 

「そんなに緊張しなくても良いのに、束さんは君の事を気に入っているんだぞ。」

 

「えっ?そうなんですか?」

 

「うんうん、箒ちゃんの事を良くしてもらっているからね。

姉としては助かっているんだ。」

 

「そっ、そうですか。」

 

「うん、これからも箒ちゃんの事、仲良くしてあげてね。」

 

「わっ、わかりました!!」

 

そう言うと、博士はとても優しい笑顔で応えてくれた。

箒の方を見ると照れ臭かったのか、顔を赤くして恥ずかしそうだった。

この一連の会話で場の空気が少しだけ和らいだ感じだった。

気持ちを切り替えて箒は博士に今回の事を聞こうとした。

 

「それで姉さん、私たちを呼んだ理由は何ですか?」

 

「あ~、いっくんの事だね。」

 

博士がそう言うとここに居る全員の目つきが変わった。

そして織斑先生が博士に問いかける。

 

「どう言う事だ束。」

 

「まあ、率直に言うといっくんが悪い方向に追い詰められているね。」

 

「ひょっとして私たちが・・・・」

 

「それは無いね、これはいっくん個人の心の問題だよ。」

 

「一夏個人のですか?」

 

「うん、いっくんは過去の事が原因で自分が許せないんだよ。」

 

博士がそう言うと私たちはここに来てから行った会議を思い出す。

結果何も思い浮かばなかったのでどうするべきか迷っている所だった。

すると先生と博士が2人だけで話を進める。

 

「まあ、そこの所はちーちゃんに似たのかな?

昔みたいに優しすぎて自分で自分を追い詰めているよ。」

 

「そうか・・・・束の思い浮かぶ最善の方法はあるのか?」

 

「それこそ、箒ちゃんたちが鍵だね。いっくんの事を第一に考えているから・・・・」

 

この言葉を聞いて私たちは驚く

何故なら私たちがやろうとしている事は間違いじゃないとわかったからだ。

箒はそのまま博士に問いかける。

 

「それで姉さん、私たちは何をすれば良い?」

 

「いつも通りかな?普段通りに接してくれた方が良いよ。

それで今夜一晩だけ私たちといっくんを同じ部屋にしてほしいんだ。」

 

「一夏を思い留まらせる為か?」

 

「うん、私とくーちゃんに任せてほしい。」

 

博士がそう言うと先生は安心した様子だった。

あとの問題は明日の訓練内でやるとしてこれで解散する事になった。

私と箒は一夏の所に行って今夜だけ博士と相部屋である事を告げる事にした。

 

「一夏。」

 

「おっ?箒と簪、どうしたんだ?」

 

「今夜だけは一夏が博士とクロエさんの部屋に寝る事になったからその報告にね。」

 

「そっか、わざわざありがとうな。」

 

一夏はそう言ったが、やはりどこか無理をしている様子だった。

一夏に博士が居る場所を教えてこの場から離れる。

私と箒はお互い同じ気持ちを持っていた。

 

「簪、必ず一夏を助けるぞ。」

 

「うん!!」

 

そう言ってお互い鼓舞していく。

想いを1つにすれば絶対に大丈夫・・・・私たちはそう信じる事にした。

 

≪To be continued…≫

 


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