インフィニット・ストラトス Dark Knight Story   作:DASH君

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皆さんお久ぶりです。
リアルがハチャメチャに忙しくなって投稿が遅れてしまった次第でございます。
これからも投稿感覚が伸びてしまうかもしれませんが暖かく見守っていただけると幸いです。


MISSION 22 旧友たちとの再会

一夏side

 

箒と簪が友情を深めてからすぐに俺はみんなを誘って駅前のショッピングモール

『レゾナンス』に向かう事にした。

事のきっかけはシャルの愚痴からで何とラウラは私服系統が一切ないらしい。

それを聞いた俺は(と言うよりみんなが)それは女の子としてマズいと思い

駅前で集合する事になったのだ。

確かに俺は箒を含めた専用機持ち全員を誘ったのだが・・・・

 

「かんちゃんたちだけ行くのはズルいぞ~。」

 

「時には強引に行くのも有りだと思って。」

 

「鈴ばかり優遇されるのはね。」

 

「イベントある所に相川清香は居るんです!!」

 

「ビーチバレー用の水着を購入しないと7月のサマーデビルは様にならないからね。」

 

とまあ、本音ちゃん率いる大半の1組(ティナも居るが)に俺たちが

レゾナンスに行く事がバレたらしく、その結果大所帯になってしまった。

俺は別に良いけど箒を含む専用機持ちは不服と言った感じだ。

 

「まさか大所帯になるなんてな。」

 

「時には羽目を外すのも良いと思いまして。」

 

「そう言う普段真面目な鷹月さんが一番ノリノリな気がするぜ。」

 

「ううう、まさかこうなるとは・・・・」

 

「様子を見ると浮かれ過ぎて口が滑ったって感じだな。」

 

「言うな、一夏!!」

 

「ハイハイ。」

 

「ティナも来るなんてね、暇だったの?」

 

「まあ、私のスタイルに合う水着が無くてね。」

 

「アンタねぇ・・・・」

 

「前に鈴の件での借りって事で良いでしょ?」

 

「それ言われると何も言えないわ。」

 

「まあ、行くなら早く行こうぜ。時間は待っちゃくれないから。」

 

そう言って俺たちはレゾナンス行きの電車に乗り込む。

電車内ではみんながみんな会話し合って花を咲かせている。

俺はその中から少し離れた場所に居るが女同士だと仲良くなるのは本当に早い様だ。

特に箒と簪の仲は中庭であった一件で仲良くなり親友と言った雰囲気だ。

そんな中、本音ちゃんと鷹月さんが俺に気付いて近づいて来た。

 

「一夏君は会話に参加しないの?」

 

「そうだぞ、いっちーも一緒に何かお喋りしようよ。」

 

「いや、良いさ。こう言うのは女同士の方が良いからな。」

 

「そう言わずにさ~。」

 

「俺が居てもお邪魔虫になるだけだし。と言うか本音ちゃんは自棄に俺に構うな。」

 

「そりゃ、かんちゃんがしののんと一緒に居るから侍女として嫉妬しているのだ~。」

 

「そこは素直に喜ぼうぜ。」

 

「そうだね、篠ノ之さんは本当に明るくなった気がするから。」

 

「あいつも随分と不安を溜めていたみたいだからな。そう言う点なら簪も共通する所が

あるらしい。」

 

「その結果仲良くなったって感じかな?」

 

「そう言う事。しかしまあ、あんなに仲良くなるとは思わなかったぜ。」

 

「そうだね。」

 

「その分、私は嫉妬が大きくなるのだ~。」

 

「良いぞ、簪と一緒に居れない分は俺に構っても。」

 

「わ~い。」

 

「そんな事を言うと後が大変じゃない?」

 

「こう言うのは早い者勝ちさ。」

 

まあ、こうして目的地に着くまでの間まで会話は続く。

レゾナンスに到着して一番驚いていたのはラウラだった。

 

「おお!!こんな場所があるのか・・・・」

 

「まあ、ここで必要な物が無かったらもうどこにも無いって言うくらい立派な建物だな。」

 

「洋服店、生活雑貨、etc・・・・って感じに売られているわよ。」

 

「そうなのか。」

 

「それじゃあ、こっからは別れて行動しようぜ。」

 

「えっ?一夏の意見があった方が良いと思うのに・・・・」

 

「こう言うのは俺なんかよりもお前等の方が詳しいだろ?それに・・・・」

 

「それに?」

 

「大変身したラウラを見てみたいって言うのがあるからな。」

 

「嫁よ・・・・」

 

「それだったらあたしたちのは見たくないって事?」

 

「そりゃねえな、みんなのもの見たいさ。今回はラウラが主役って意味で言っただけさ。」

 

「成程ね、それで一夏はどうするの?」

 

「先に水着買う事にするさ、時間があれば私服も選ぼうと思う。」

 

「そうですの、では集合場所をどこにいたしましょうか?」

 

「そっち側がメールで指定してくれたら俺はそこに行くよ。」

 

「わかった、それじゃあまた後でね。」

 

「おう。」

 

そう言って俺はみんなと別れて行動する事にした。

 

 

ラウラside

 

我々の元を離れて行く嫁の後姿を見ながら、私はさっき言われた事思い出している。

『大変身したラウラを見てみたいって言うのがあるからな。』

嬉しい事言うではないか、そう言われると嫌々ながらここに来た事が馬鹿らしく感じる。

しかし、こう言う場所は初めてなのでどうしたら良いのかわからない。

シャルロットにどうするか聞こうとしたら向こうから右肩を掴みこう言った。

 

「さあ、早速行こうかラウラ。」

 

「なっ、なんだシャルロット!?なんだか怖いぞ!!」

 

「まあ、一夏からああ言う事を言われてやる気出さない方が可笑しいと思ってね。」

 

どうもシャルロットはやる気に満ち溢れていて、その雰囲気はどこか異常だ。

何か言おうとしたら今度はセシリアが左肩を掴んでこう言いだす。

 

「そうですわ。一夏さんから言われた以上、精一杯コーディネートさせて頂きますわ。」

 

「なっ、何!?」

 

セシリアもどこか・・・・いや、絶対に様子が可笑しい。

周りをよく見ると箒と簪以外は目の色が明らかに変だ。

 

「フフフ、目の前に着せk・・・・いや、素晴らしい素材があるからね。」

 

「らうにゃんが初おめかしになる記念日だから、せーいっぱい頑張るぞー!!」

 

全員が全員同じ事を言い出す始末、教官の訓練以上に身の危険を感じた。

私はまともな思考を持つ2人に助けを求めた!!

 

「箒!!簪!!助けてくれ!!」

 

「こうなったら無理かな?」

 

「私もどうしようもない。」

 

「バカな!?」

 

『それじゃあ、行こうかラウラ(らうにゃん)(ボーデヴィッヒさん)。』

 

「やめろ!!離せ~!!嫁よ!!助けてくれ~!!」

 

私の声が虚しく誰よりも大きく響いた瞬間であった。

 

 

一夏side

 

みんなと一旦離れてすぐ、俺は男性水着売場に着いた。

そう言えば、ビーチで海水浴なんて何時以来だろうか?

俺の記憶が正しければ覚えていないくらい昔の話になるだろうな。

今日は日曜日だからだろうか、周りをよく見ると女性用売場が近い為か

女性客が多くいる様に見えるし、男が入った事に気付いたお客さんも多い。

おっ?あの水着はPCで探していた気に入った物だ。

ギリギリ女性用売場の近くにあったが気にしない事にした。

 

「よし、これで後は会計だけだな。」

 

「ちょっとそこのあなた。」

 

誰かから呼ばれた気がしたが俺は気にせずに立ち去ろうとする。

だが、俺を呼んだヤツはあろうことか、俺の腕を掴んで強引に止めさせやがった。

 

「あなたに言っているのよ、無視しないで!!」

 

「悪いがアンタは誰で、何の用だよ?」

 

「誰かなんて関係無いわ。それよりその水着を片付けておいて。」

 

「悪いがお断りだ、知らない人から声をかけられても聞かない事にしている。

あと、自分で出した物は自分で片付けるのが常識だろ?」

 

「何を・・・・」

 

「その辺の子どもでもわかる事がわからないなんてどうかしていると思わないか?」

 

この台詞で周りの雰囲気は俺を味方にしている事がわかった。

何故なら周りは話しかけた見知らぬ女に対して「クスクス」と笑われているからだ。

すると女は何かを言おうとしていた。

 

「そっ、そう言う事を言うの。自分の立場が分かっていない様ね。」

 

そう言ってどうやら女は警備員を呼ぼうとしているみたいだ。

ISが普及してから10年経つが女尊男卑の風潮はおかしい位に浸透していった。

その結果、この女の様に男は女の道具にしか見ないヤツなんて多くなった。

今はそんな事はどうでも良いか。

仮に警備員呼ばれてもIS学園特記事項を使えば回避は楽だからな。

さて、どうしてやろうかと模索している最中だった。

 

「いっ、一夏さん!?」

 

「うん?」

 

また別の方向から女の・・・・いや、女の子の声が聞こえた。

さっきのとの違いは『聞き覚えのある』女の子の声だったのだ。

まさかと思い俺は声がした方向を向く。

 

「蘭?五反田 蘭か?」

 

「やっぱり一夏さんだ!!織斑 一夏さんだ!!」

 

「えっ!?おり・・・・むら?」

 

どうも権力女は信じられないと思わんばかりの表情になっていたが無視して

俺は成長した蘭を見ている。

最後に会ってから随分と経つが女の子らしく成長していてちょっと驚いている自分が居る。

蘭の後ろから人ごみを掻い潜って2人の男が現れた。

 

「蘭!!急に走り出したら危ねぇだろ!!」

 

「そうだよ、急に走り出したから驚いたよ!!」

 

「お兄!!数馬さん!!一夏さんだよ!!」

 

「えっ?一夏?」

 

「おう、久しぶりだな。弾、数馬。」

 

「えっ、本当に一夏・・・・なのか?」

 

「夢じゃないよね?」

 

「ああ、夢じゃねえし、俺は正真正銘織斑 一夏だな。」

 

「「「一夏!!(一夏さん!!)」」」

 

そう言って3人は俺に抱きついて来た。

3人に会えたのは何年振りだろうか?

何も言わずに去っちまったから心配かけちまったな。

 

「この野郎、心配してたんだぞ!!急にいなくなるなんてよ!!」

 

「連絡くらい欲しかったぞ。」

 

「まあ、色々あってな。またこうして会えたから良かったじゃねえか。それより

一旦この場から離れる事を薦めたいんだけど・・・・」

 

「「「えっ?・・・・あっ!!」」」

 

周りを見るとさっきの騒動で人が集まっていたが

俺の存在の所為で大変な騒ぎになりつつあった。

みんなに聞いたが、実戦テストの影響で千冬姉並の人気があるらしく

ファンサイト等も多くあり、今では事実上『最強の男』と呼ばれているらしい。

俺個人としてはスター選手になったつもりは無いのだが

無警戒って言うのもどうだろうか・・・・

とりあえず“今”はどうするか決めなければならない。

 

「おう、3人とも今は・・・・」

 

「言うな、俺たちもどうするかわかっているから。」

 

「「コクコクッ!!」」

 

「逃げろ~!!」

 

持っていた水着を元々あった場所に俺たちはこの場を逃走した。

 

 

鈴side

 

あたしたちはラウラの用事を済ませて集合場所に居る。

一夏にメールで連絡したからすぐに来る筈だと思う。

服屋に行って結構色々やった結果のラウラだが・・・・

 

「シクシクシクシク・・・・」

 

「ゴメンね、ボーデヴィッヒさん。」

 

「ちょっとやり過ぎちゃったね。」

 

とまあ、見立てていく内に着せ替え人形みたいな状態となり

最終的にはラウラが半泣き状態になって事態は終息した。

こればっかりは箒と簪以外のほぼ全員はやり過ぎたと感じて謝り続けている。

それは置いておいてどうもこの辺りと言うよりレゾナンス全体が妙な騒ぎがあるようで

鷹月さんは気になったのか、近くの人に何があったのか聞きに行っている。

それにしても一夏からの連絡が来ない、何があったのだろうか?

考えている内に鷹月さんがこっちに戻ってきた。

 

「騒ぎの原因がわかったよ。」

 

「んで?何があったわけよ?」

 

「どうも一夏君がこの辺りに居た事が原因だったみたい。」

 

「ひょっとしてファンの人たちがこの惨状を作ったの?」

 

「そうみたい。」

 

「そりゃ、連絡が来ないわ。」

 

「しかし、どうする?一夏を探そうにも見つけた時にまた騒ぎになってしまう。」

 

「そうなったら買い物どころじゃないよね。」

 

あたしと箒、簪、そして鷹月さんはどうするか考えている中

あたしの携帯からメールが来た。相手は一夏からだ。

 

「あっ、一夏からメールだわ。」

 

「それでどうしたって?」

 

「あ~、待ちなさい。今見るから。」

 

『From:一夏

 Re:集合場所を変更してくれ

 メール遅れてすまねえ、この騒ぎの所為で動こうにも動けなかったんだ。

 今俺が居る場所は男性用服屋で写メの看板が目印だ、そこで集合しよう。』

 

「一夏は今服屋に居るって、場所も結構近いし。」

 

「あっ、良かった。」

 

「みんなを連れて行こう。」

 

「そうね・・・・うん?」

 

あたしは送られたメールを読んで固まってしまった。

 

『弾や蘭、数馬と再会して今一緒に居る。数馬のトラウマに関してはティナの事を伝えておいたから多少は大丈夫な筈だ。』

 

「数馬・・・・」

 

楓の件で途中から帰国したからその後の数馬の事は何も聞いていない。

春斗の所為ではないと知ったが、それでもかなりのトラウマになった筈。

ティナはそんな楓にそっくりだから思い出してしまうのではないかと心配した。

あたしが考えている最中、いつの間にかティナが後ろに居てメールを読んでいた。

そんな事に気付かなかったあたしは思わず悲鳴をあげるけど・・・・

 

「うわっ!?ティナ!!」

 

「へぇ~、これって鈴が言っていた男子の事?」

 

「そっ、そうよ。」

 

「ちょっと会ってみようかな?」

 

「ちょっ!?ティナ!?」

 

「勿論、駄目だったら私はすぐ離れるよ。それで良い?」

 

「あっ、でも・・・・」

 

「欲しい物は手に入ったから今日の目的は終わっているの。だからいつ帰っても良い訳。」

 

「わっ、わかったわよ。」

 

ティナはこう言うがあたしとしては複雑である。

折角みんなで一緒に来たから楽しみたい気持ちがあるからだ。

あたしの心境としては一か八かだが、いつまでも考えている訳にはいかない。

とりあえずティナも一緒に一夏が居る所に行く事にした。

一夏のメールによると、店の入り口に蘭と数馬が待っているらしく

店の近くまで来るとすぐに分かった。

あたしがみんなの先頭に居たからか、蘭はあたしに気付いてこっちに来た。

 

「鈴さん!!お久しぶりです!!」

 

「やあ、蘭。久しぶりね。一夏はどうしてんの?」

 

「今、中でお兄と一緒に服を選んでますけど・・・・」

 

途中蘭は会話を止めて固まってしまい何かを見ていて、その視線の先にはティナが居る。

蘭の様子に数馬が気になったのか、こっちに来た。

 

「鈴、久しぶりだ・・・・ね。」

 

数馬もティナを見て驚いて固まった。

蘭が固まった状態から戻ったのか、恐る恐るティナに向かってこう言った。

 

「西川・・・・さん?」

 

「いや、違う。私はティナ・ハミルトンって言うの。君がそこまで驚くと言う事は

それ位、西川って人に似ているのかな?」

 

「はっ、ハイ。一夏さんから聞いてますけど、生き写しと言うか

ドッペルゲンガーと言うか、それ位似ています。」

 

「そっか、鈴も最初は同じ反応していたから大丈夫だよ。それより後ろの彼は大丈夫?」

 

「あっ、数馬さん。」

 

「いや・・・・大丈夫。いつまでも引き摺っていたら駄目だと思うし・・・・」

 

「無理だったら、無理で良いよ。鈴から事情はある程度聞いているし。」

 

「いや、その・・・・大丈夫・・・・うん、大丈夫。」

 

数馬は『大丈夫』だと言っているが、やっぱり青ざめている。

楓の事を思い出してしまったのか、明らかに平気そうではない。

あたしが動こうとした矢先、先に動いたのはティナだった。

 

「大丈夫、ゆっくり呼吸を整えて。」

 

「えっ!?あっ・・・・うん。」

 

ティナは自分の両手で数馬の両手を握って落ち着かせ始めた。

周りは他のお客さんの声などで賑わってはいたが

この空間だけ遮断されて静寂になった気がした。

あたしを含めたみんながティナと数馬に注目しているが2人は気にしていなかった。

暫くして数馬は落ち着きを取り戻したのか、さっきよりは楽な表情をしている。

注目していたあたしたちもほっと一安心し、数馬はティナに話しかけた。

 

「ありがとう、おかげで落ち着けたよ。」

 

「良いよ、これ位は朝飯前だからね。」

 

そう言ってティナは数馬の一言に笑顔で答えた。

静寂に近い雰囲気が無くなり、あたしたちは一夏が居る試着室の方に行く事にした。

その最中、あたしは蘭からあたしが日本から離れた後の事を聞く事が出来た。

数馬を励ますために弾と2人で色々遊び回った事、学校での出来事

一夏がIS起動した時に参加は自由だけど一斉にやった適性検査に

弾と数馬は受けていない事等、他愛もの無い話が続いた。

驚いた事に蘭は来年IS学園に入学するつもりらしく、あたし以外の面子(特に代表候補以外)から色々参考意見を聞いていた。

弾は蘭がIS学園に行く事に反対はしていたらしいけど、2人の祖父:五反田 厳の決定で

反論出来なくなったらしい。

まあ、弾はシスコンもビックリなくらい蘭に甘く、溺愛しているから反対は当然だろう。

そうした中、一夏が居るであろう試着室の前に居た弾を見つけた。

 

「あれ?鈴!?それに・・・・西川さん!?」

 

「やっぱりか・・・・」

 

「その台詞もう2回目だよ。」

 

案の定、弾も同じ反応する始末であった。

 

「私はティナ・ハミルトン。アメリカ人よ。」

 

「俺、五反田 弾。そこに居る、蘭の兄貴だ。」

 

「お兄、一夏さんは?」

 

「多分もうすぐ出てくると思うぞ。」

 

弾がそう言うと、試着室のカーテンが開き、姿を現す。

 

「じゃじゃ~ん!!どうだい?」

 

「すげぇ!!決まってんじゃねえか!!」

 

「一夏さん、カッコいい。」

 

「一夏!!それってフォルトゥナでのダンテコスでしょう!!」

 

「当たりだぜ簪、ちなみにバージルやネロのコスも出来るぜ。」

 

一夏は真紅のロングコートに黒のシャツ、そして所々にシルバーアクセを付けている。

簪が大興奮なのはあまりの再現度の高さが原因なのだろう。

それにしても興奮している簪は普段とのギャップに差があり過ぎて少し引いている。

一夏自身も満足な買い物が出来たみたいで良かったようだ。

それから数馬たちと別れてあたしたちは水着売り場に行く事にした。

 

 

一夏side

 

「ようやく、水着が買えるぜ・・・・さっきは変な奴に絡まれて大変だったから。」

 

「なるほど、それが騒ぎの原因か・・・・」

 

「今度はちゃんと買えると良いね。」

 

そう言って騒ぎの原因をみんなに伝えてこの始末である。

箒と簪がそれぞれ一言ずつ俺に言った所で水着売り場に着いた。

すると見知った顔がそこに居た。

 

「あれ?山田先生じゃないですか。」

 

「あっ、皆さんこんにちは。」

 

「先生も水着選びですか?」

 

「ええ、そうですよ。織斑先生たちと一緒に。」

 

山田先生がそう言って指差した先に千冬姉と春斗が居た。

その事に気付いたのか、千冬姉がこっちに近づき、春斗はどこか不機嫌な表情になっていた。

 

「何だ、お前たちか。どうしてここに・・・・と言っても聞くだけ野暮か。」

 

「まあね、水着を買いに行く以外にここに来る理由がないからな。」

 

「皆さん、ちょっとこっちに付いて来てくださいね。一夏君は織斑先生をお願いします。」

 

「あっ、ハイ。」

 

そう言って山田先生はみんなを連れてどこか別の所に行ってしまった。

まるで最初からこれを狙っていたみたいだったが気にしない事にした。

何はともあれ、これで数年振りに家族全員が揃った事にはなった。

 

「千冬姉も水着選びか?」

 

「そうだな、春斗と一緒にここに着いたばかりだ。」

 

「そうなのか、何というか春斗、もうちょい笑顔になろうぜ。楽しめねえだろ?」

 

「フン!!」

 

そう言って春斗はそっぽ向いてしまった。

仕方がないので千冬姉と会話を続ける事にした。

 

「それで一夏、お前はこれを見てどっちが似合うと思う?」

 

そう言って取り出したのはビキニタイプの水着2種類。それぞれ白と黒一色だ。

俺はそれぞれ一目見て即答した。

 

「黒!!」

 

「やはりな春斗も同じ意見だったぞ。」

 

「へぇ~、そうなのか。それは嬉しいね。」

 

「僕は最初『白』って言ったんだ。そしたら千冬姉が・・・・」

 

「なるほど、心配して違うのを選んだけど千冬姉に見破られたって事か。仮にナンパ男が来ても千冬姉なら平気でしょ。」

 

「僕は千冬姉に変な虫が付かないように心配してだな・・・・」

 

「もうちょっと千冬姉を信じてやろうぜ。俺よりは信じられるだろ?」

 

「フン!!そうだよ!!お前よりは断然信じられるからな!!」

 

「素直じゃねえな、全く。」

 

そう言ってふくれっ面の春斗を見て俺は笑う。

久々に家族の会話って感じだった気がした。

このまま、修復出来れば良いと俺は願うのだった。

 

 

真耶side

 

私は生徒の皆さんと一緒に気付かれるギリギリの場所で3人を見ています。

様子を見ると、ちょっと安心しました。

 

「先生はこれを狙ったんですか?」

 

「まあ、私も織斑先生の悩みを解決出来たら良いと思いましてね。」

 

「でも簡単にはいかなそうよ、春斗の反応を見る限り。」

 

「それでも信じてあげるのが先生の仕事なのです。」

 

シャルロットさんと凰さんの一言を聞いてそれぞれに答える私。

私が思うに春斗君は素直じゃないと考えているのです。

だから、ああやって一夏君を突き放していると私は勝手ながら推測しました。

遠くから3人の様子を見ると間違いではないと思い安心しました。

それから私たちは3人の様子を暖かく見守り続けました。

3人の仲を修復出来る事を祈りながら・・・・

 

≪To be continued…≫

 


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