インフィニット・ストラトス Dark Knight Story   作:DASH君

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MISSION 20 Welcome the HELL

ラウラside

 

ドッペルゲンガーと対峙した部屋で一夏から第4世代の使い方を教わっている。

一夏曰く覚えが早い方で褒められて私は少々照れている。

今は私の越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)をフルに活かせる様にロイヤルガードを

可能な限り覚えている。

越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)を展開している最中は擬似的なハイパーセンサーを

展開しているのと同義でより早く反応可能でその気になれば敵の銃器からの発砲を

生身で回避する事も可能なのだ。

その甲斐あって一夏から繰り出す攻撃(手加減されているが)を全て防いで見せた。

 

「うへ~、ラウラがここまで強敵になろうとはな。」

 

「フン、元々鍛え方が違うのだ。」

 

「軍人だからか、環境の差でこうもなるんだな。千冬姉から鍛えてもらったのもあるし。」

 

「お前こそ、先ほどは手を抜いていたのだろう?だとしたら追いついた事にはならん。」

 

「あら、バレたか。」

 

「それが気に食わんがおかげで感覚はわかった。感謝する。」

 

「どういたしまして。」

 

「では先に進むとしよう、次が最後なのだろ?」

 

「ああ、今度はどんなヤツと闘うのかね?」

 

一夏がそう言って次の部屋へと続く扉を開く。

扉の奥の光景はまるで闘技場の様な場所であった。

一夏はイライラしている様な表情で周りを見渡していた。

 

「どうした一夏?」

 

「いや、ムカつくヤツが相手と思うとな・・・・」

 

「“ムカつくヤツ”?そいつはいっt『hahahahahaha!!』なっ!?なんだ!!」

 

一夏に詳細を聞こうとした矢先、大きな高笑いが聞こえて私は周囲を警戒した。

だが、声の主は見当たらない。

痺れを切らしたのか、一夏が部屋の周囲を見回しながらこう叫んだ。

 

「とっとと出てきやがれ、ジェスター!!」

 

「おや?お前さんにはバレちまうか。」

 

その台詞と共に黒い道化が突然一夏の目の前に現れたかと思えば一定の距離まで離れた。

見た目からして何とも不気味な男でどこか油断も隙も無い様に見えた。

コイツが一夏の言う“ジェスター”と呼ばれている男なのだろう。

私が一夏からジェスターの事を聞こうとしたら一夏がヤツに話しかけた。

 

「お前の事だ、どうせ前の部屋の闘いを見ていたんだろ?」

 

「あら?わかっちまったか。お前さん方にしちゃ、よく出来た方だぜ。」

 

「貴様・・・・見ていたのか。」

 

「そりゃ、じっくりとね。お前さんだけじゃなく今までの奴らだってな。hahahaha!!」

 

なん・・・・だと・・・・私だけでなくみんなの分も見ていたと言うのか!?

 

「傑作だったね、お仲間が“あんな事”や“こんな事”それに“そんな事”を考えt」

 

「いい加減に鼻の穴を1つにしてやろうか?」

 

「そいつは勘弁だね。」

 

イライラが頂点に達したのか、一夏はジェスターの鼻にエボニーを構えて脅している。

一夏がジェスターを“ムカつくヤツ”と表現するのも頷けた。

私が目を離した隙にジェスターは急に消えたと思ったらフィールドの中心に立っている。

私は戦闘が始まると思い戦闘態勢をとる。

 

「本当は嫌だけど、たまにはお前の遊びに付き合ってやるよ。」

 

「そいつは光栄だね、Welcome the HELL!!」

 

「ラウラ、まずは俺の動きを見てから参加してくれ。コイツは思った以上に厄介な奴だからな。」

 

「うん?了解だ。」

 

そう言うと一夏はジェスターとの距離を詰めてから2丁拳銃を敵の足元へと連射し始めた。

対するジェスターはタップダンスをする様に銃撃を回避し続ける。

やはりジェスターの動きに隙らしい隙が見当たらない。

すると突然一夏はレヴェナントに切り替えて発砲、それが命中したのかジェスターは

仰け反っている。

その隙を見逃さずにスティンガーで突貫してミリオンスタブへと繋げる。

私はジェスターを見てある事に気づく。

 

「何故、血しぶきではなく紙が飛び散っているのだ?」

 

今まで闘ってきた敵は血しぶきを出していたが、コイツだけは紙が飛び散っている。

ひょっとしたらコイツは本体ではないと思った。

一夏はそのままジェスターを斬り続けていたがターゲットが姿を消した。

すると一夏はそのまま自分の後方に銃口を向けて発砲、そこにジェスターが現れて命中。

繰り返し乱射し続けるとジェスターの頭上の空間が歪み始めたと思ったら

エネルギーの塊を放出し始めた。

 

ガード(Guard)!!パターンが単純なんだよ!!」

 

「hahahahaha!!!!」

 

一夏はロイヤルガードにスタイルを変えて球体をブロックしていく。

ある程度攻撃が終わったらジェスターは再びフィールドの中心に戻り

一夏も私の元に戻って来た。

 

「これが基本パターンだが、わかったか?」

 

「わかってはいるが、アイツは本体ではないのでは・・・・」

 

「俺も疑問に思っているけど偽物だろうと何だろうと倒すしかないだろ。」

 

「それもそうだな。」

 

今度は私も攻撃に参加しなければならない。

一夏の言う通りヤツを倒さなければ・・・・

 

 

一夏side

 

ジェスターの動きをラウラに見せ、今度は一緒に攻撃に入る。

俺はエボニー&アイボリーを連射、ラウラはワイヤーブレードで攻撃を繰り返す。

一瞬の状況判断でラウラはレールカノンを撃ち込んでジェスターにダメージを与える。

 

「捕まえた!!今だ一夏!!」

 

「おう!!」

 

隙をついてラウラはジェスターに慣性停止結界(AIC)を仕掛けて拘束

俺はギルガメスでひたすら殴り続ける。

フルチャージで殴り続けて大きなダメージを与え続けた。

ジェスターも隙をついてワープで拘束を解除し、俺たちの後方に回った。

 

「ふん、読み通りだ!!」

 

ラウラは反応して直ぐに後方にもレールカノンを撃ち込み完全にパターンにはめている。

ジェスターは次に大量のエネルギー球体を放出し続ける。

今度は球体の数が段違いに多い上、あちらこちらに球体をバラ撒いている。

完全に2対1の対策を行っていたが、俺たちは共にロイヤルガードで全て防ぐ。

そして再び襲い掛かってく来る瞬間に・・・・

 

「「喰らえ!!」」

 

「Ohっ!?」

 

同時にロイヤルリリースをブチ込む事に成功した。

ジェスターは大きく仰け反って動こうとしない。

 

「どうした?もうお終いか?」

 

「ああ、もう飽きたもんでね。帰るとするよ。」

 

「“帰る”だとっ!?今ここで・・・・」

 

「待ちなラウラ、やった所で意味がねえ。」

 

「むっ、そうだった・・・・」

 

「それじゃあ、俺は帰らせてもらうよ。hahahahahaha!!」

 

ジェスターは高笑いしながら俺たちを小バカにして目の前から消えた。

すると光の球体が俺の目の前に現れてフィールドの中心が出口になっていた。

静かになった所でラウラが俺に話しかけた。

 

「良いのか、一夏?」

 

「良くはないな、アイツがまだ生きているから。」

 

「そうだな。」

 

「まあ、今は戦利品を試してみますか。」

 

光の球体に触れるとリボルバー式の銃器が現れる。

コイツの名前は・・・・『ケーブリー』か、ダーツリボルバーなんだな。

試しに少し遠目の地面に撃ってみる。

“バンッ!!サクッ!!”

最初の印象は弾速が結構遅い上、対して威力が無さそうに見えた。

だけどケーブリーの撃鉄部分を不意に押してみると・・・・

“カチッ!!バーンッ!!”

大きな爆音と共に刺さったダーツが爆発した。

あまりの大きな音に俺とラウラは驚きを隠せない。

 

「ダーツが爆発しただと!?」

 

「なるほど、じゃあこう言う風にも使える訳だな。」

 

俺がそう言うとケーブリーを同じ地面に連射する。

“バンッ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!”

“サクッ!!サクッ!!サクッ!!サクッ!!サクッ!!サクッ!!”

“カチッ!!ババババーンッ!!”

同じ箇所にダーツを刺し続けて起爆するとさっきよりも大きく爆発した。

ルシフェルと違って火力があるが、1つ1つではなく一気に起爆する仕組みである。

それに弾速の関係上、レヴェナントと同等の距離でなければ避けられる可能性が高い。

 

「コイツは使い方次第って所かな?」

 

「しかし、ダーツであんな爆発を起こすとはな。1発の火力が高いと言う事か。」

 

「弾速が遅いから『至近距離で撃つ→ぶっ飛ばす→起爆』で本領発揮って感じだ。」

 

お互いに武器の分析が終わった所で次の部屋へと移動する。

次の部屋は勿論、最後の部屋で例の文章が書かれている部屋だ。

部屋に辿り着くとラウラは少し納得した様子で文章を見る。

 

「そうか・・・・教官が言っていた言葉は篠ノ之流の言葉だったのだな。」

 

「ドイツでも千冬姉が言っていたのか?」

 

「ああ、教官が日本に戻る前に教わったんだがその時の私は意味を理解できなかった。」

 

「その結果が転入直後のあれか。」

 

「それを言うな。だが、ここに来て皆と出会った今ならわかる気がする。」

 

「それで十分さ。とりあえずここを出ような。」

 

「ああ。」

 

そう言って俺たちは最後の部屋を後にする。

眩い光に包まれ、気が付くと寮の部屋に戻っていた。

 

「ふあ~、ようやく戻ってこれたか。」

 

「ああ、時間も殆ど経過していない様だしな。」

 

「よし、シャルに謝りに行くか。勿論ラウラも来るよな?」

 

「あっ、ああ・・・・元はと言えば私の所為なのだが・・・・」

 

さあ、起きて着替えようとしたその矢先、突然部屋のドアが開き。

 

「ねえ、一夏。ラウラ知らない?起きたらベットに居なかったから・・・・」

 

「「・・・・・・・。」」

 

「・・・・・・・。」

 

今の状況、ほぼ全裸のラウラが俺の上に乗っていて布団が床に落ちている中

シャルが部屋に入って来た。

シャルの顔を見ると笑ってはいるが目が笑っていない。そして俺たち2人は青ざめている。

 

「これは・・・・どう言う事かな?」

 

「「ハハハハハ・・・・」」

 

色んな意味で“マズい”俺たち2人はそう思わざるを得なかった。

 

≪To be continued…≫

 


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