インフィニット・ストラトス Dark Knight Story   作:DASH君

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皆さんお久しぶりです。
手厳しいご意見を貰いましてモチベーションが下がってしまった事と
オンラインゲームが再燃して熱中し過ぎた為にここまで投稿が遅れてしまいました。
我ながら豆腐メンタルが恨めしく思いながら制作しましたが
大目に見ていただけると幸いです。


MISSION 19 内なる闇と向き合え~ラウラ編~

ラウラside

 

現時刻05:30――――寮に居る生徒は全員就寝中

目の前に私の嫁である織斑 一夏の部屋がある。

何故私がここに居るのか、それは私の副官であるクラリッサが・・・・

 

『夫婦は包み隠さぬもの、共に寝台に居て当然なのです。』

 

と言う助言を得てここに来ている。

これはセシリアの一件で私が彼女に相談し、彼女なりに考えた一夏を癒す方法だ。

一度試みたが、入った時には一夏は既に起きていて失敗した。

一夏は06:30から朝の日課を行う為、今は一夏だけではなく誰も起きていない筈。

クラリッサからの助言で思い出したが、学年別トーナメントの翌日

我が国の研究施設の一部が消滅したそうだ。

幸い死者は出なかったものの、そこは私のISに組み込まれていた

VTシステムを開発した研究施設らしく、施設に居た研究員は全員拘束

今頃は軍法会議にかけられているそうだ。

私の同居人であるシャルロットの件を考えるとおそらく篠ノ之博士が原因と考えられる。

憶測しかないのだが篠ノ之博士はISの生みの親、ISは我が子同然と言った所だろう。

自分の子どもを最悪な形に弄られれば、怒り出すのは至極当然と言った所だろう。

ちなみにこの考えは一夏の言葉を借りて真似しただけで

人工的に生を得た私には考えにくい憶測だが、今は一夏の事を考えよう。

ドアを開けようとするが鍵がかかっている。

そんな事は問題ではなく、僅か5秒足らずで“外”から開ける。

そっとドアを開けると一夏が寝ているのを確認、流石にこの時間帯だと寝ている。

私は速やかに布団に潜り込む事にする。

 

「慎重かつ迅速に潜り込まなくては・・・・」

 

私は一夏を抱きしめる形に添い寝しようとした。

その時だったのだ、一夏の待機状態のISに触れた瞬間眩い光が出始めたのだ。

光が治まったと思ったら見知らぬ場所に我々は居たのだ。

一夏はその異変に察知したのか、起きてしまった。

 

「んあ?何故試練の間に・・・・って、ラウラ!?どうして・・・・」

 

「わっ、私も何が何だかなのだが待機状態のISに触れたらこうなって・・・・」

 

「あ~、また添い寝しようとしたんだな。規則があるだろ?」

 

「めっ、面目ない。」

 

私は素直に一夏に謝罪する。

想定の範囲外だが、どうやらここが『試練の間』と呼ばれる場所らしい。

辺りを見回していると一夏が私に話しかける。

 

「そう言えば俺教えてない筈なのにラウラってISと対話出来たんだな。」

 

「対話・・・・対話と言えるかわからないが一方的に声を聞いていた事ならあるぞ。」

 

「それどう言う事だ?」

 

「文字通りの意味だ。相手から一方的に話しかけて私を論していたんだ。

最初は口煩く思って不愉快に思っていたが今では良き相談相手と言った感じだろう。」

 

「それって意識してできているのか?」

 

「いや、多分無意識だ。気づいたら出来ていた。」

 

「ラウラは多分心の窓を開きっぱなしなんだろうな、これは・・・・」

 

「何が言いたい?」

 

「ラウラはみんなと違って誰よりも早く対話の術を習得していたって事だ。」

 

「そうなのか、私のISの性格はみんなの言葉を借りれば父性的と言った所だ。」

 

「ああ、最初の時点で大体わかっていたよ。」

 

「それで、どうする一夏?」

 

「入った以上は試練をやるしかない。自分の心の闇に対して心当たりはあるか?」

 

「ハッキリ言おう、わからん。」

 

「それじゃあ、『The Legendary Dark Knight』を読んだか?」

 

「読んでいない。まだシャルロットが簪から和訳版を借りて読んでいる最中で

次に借りる予定だった。」

 

そう言うと一夏は頭を抱えてしまう。何かマズい事でも言ってしまっただろうか?

 

「この闘いは苦労しそうだぜ、それに終わったらシャルに謝らないとな・・・・」

 

「何故、シャルロットに謝る?」

 

「順序的にシャルが先だった筈がラウラが割り込んでしまったからな。」

 

「そう言うのは早い者勝ちだろう?」

 

「それに俺はあの時なんて言ったっけ?」

 

「あっ!?」

 

そうだった・・・・試練の間に行く場合は『The Legendary Dark Knight』を

必読する様に言われたのだった。

シャルロットはその決まり事を守る為に読んでいる、それなのに私としたことが・・・・

 

「一夏は謝りに行く必要は無い、私の所為だから私が謝る。」

 

「そう言う訳に行くか!!こうなった以上は俺も共犯だ!!良いな!!」

 

そう言って強制的に会話を切られ

事が終わったら一夏と2人でシャルロットに謝罪する事になった。

私の所為でこの様な事になったのに一夏のヤツはつくづく損なヤツだと感じさせられる。

とりあえず、一夏の指示通りISを展開する。

すると、翠色の扉の左隣の扉が黒色に染まりそこが私の部屋になった。

翠色は簪の扉らしく、桃色は鈴、蒼色はセシリアの扉だと一夏は教えてくれた。

試練開始前、一夏から最終確認をしてきた。

 

「準備は良いか?」

 

「ああ、出てくる敵を倒して進むだけなのだろう?」

 

「ドッペルゲンガー以外はな。ドッペルゲンガーはラウラの心を試している訳だから

闘いによる勝利は不可能だ。」

 

「あの時に聞いたからな、やるしかあるまい。」

 

「それもそうだな。」

 

最終確認を完了し、我々はいよいよ試練を始める事になる。

これから出てくる敵がどんなものなのか不安があるが

一夏が共に居るのなら乗り越える事が出来る。

私はそう信じて扉を開いた。

 

 

一夏side

 

早速ラウラの試練が開始された。

俺の感覚だと今回の難易度はセシリア程難しくはないと思うが

ラウラ本人『The Legendary Dark Knight』を読んでいない為

ドッペルゲンガー戦までの敵はある程度の苦戦はするだろう。

そしてドッペルゲンガー戦での心の闇はラウラ自身がよくわからない状態で

どうなるか想像も付かないのは確かだ。

もしも、セシリアの場合と同様に俺が原因となるなら・・・・

俺はどうすれば良いんだろう?

そんな事を考える暇は無く、『ヘル=スロース』が次々と現れ

その後ろで『ヘル=グリード』が増援を呼ぶ為に準備をしていた。

 

「一夏!!どちらを先に排除すれば良い?」

 

「棺桶を持っている方だ!!仲間を呼ぶから、呼ぶ前に倒すぞ!!」

 

「了解だ!!」

 

ラウラと協力して敵を攻撃していく、俺はギルガメスを装備して

急降下キック:『フルハウス』を使い、ヘル=グリード向けて突貫する。

しかし、この攻撃は普通の攻撃ではなく命中した瞬間、俺はエネミーステップを行って

再び飛び上がり再度フルハウスを叩き込む。

エネミーステップとフルハウスを繰り返すこのコンボは単純だが強烈で

相手は抜け出す事が出来なかった。

俺がコンボを繰り返していく中、周りに居たヘル=スロースが俺に襲い掛かるが・・・・

 

ガン(Gun)!!ファイアワークスだ!!」

 

レヴェナントの元折れ式の構造を利用してヌンチャクの様に振り回す『ファイアワークス』

を空中で襲い掛かって来たヘル=スロースたちに叩き込む。

ヘル=グリードにある程度ダメージを与えると俺は別のヘル=グリードへと飛び移り

同様のコンボを叩き込み続ける。

先に攻撃したヘル=グリードはと言うと・・・・

 

「消し飛べ!!」

 

“ズガンッ!!”

ラウラのレールカノンでトドメと言わんばかりに消し飛んでいた。

トドメだけではなく、今にも襲い掛かりそうなヘル=スロースに対してもレールカノンを

使って俺を援護している。

ラウラが居るからこそ俺は安心して1体ずつ処理する事が出来き

初めての連携でここまで上手くいくのはこれが初めてだった。

思えば簪、鈴、セシリアと一緒に試練の間を通って来たが

最初の方はぎこちない場合が多かった。

今回の場合はそれが無く、最初から息が合い無駄の無い行動をする事で

最短で一部屋ずつ通って行く。

そしてほぼ最短とも言える速さでドッペルゲンガーの部屋に到着し

確認の為、ラウラに声をかけた。

 

「覚悟は出来ているか?」

 

「ああ、これで私自身の闇を知り、克服すれば良いだけだ。」

 

「気を付けろよ、お前が想像している以上にドッペルゲンガーは手強いからな。」

 

俺の忠告を聞いたラウラはドッペルゲンガーが居る鏡の前に立った。

そして俺にとってはおなじみとも言える、影がラウラの姿に変わり本人に話し始める。

 

「私はどうすれば良い?」

 

「何をだ?貴様自身の考えを口に出してみろ。」

 

「私の存在意義だ、私の存在意義が壊れていく・・・・」

 

「存在意義・・・・」

 

ドッペルゲンガーの言葉にラウラは気付いた様子で目を見開きそのまま硬直していた。

そんな事はお構いなしにドッペルゲンガーはラウラに言い続けた。

 

「私は兵器として産まれ生きてきた、ISの登場までな。一度存在意義が壊され、教官が現れて尊敬する教官を助ける事が私の存在意義になっていた筈だった。」

 

「そうだ。だが、しかし・・・・」

 

「そう、一夏が壊したのだ私の存在意義を・・・・そんな気持ちで一夏を救えるのか!?

もしかしたら誰かがまた存在意義を壊すのを恐れているのではないか!?」

 

これはおそらくラウラ本人の意思であり、主張であり、悲鳴なのだ。

それに対してラウラは答えがあるのだろうか?俺は目が離せなくなっていた。

 

「そして・・・・私はどう生きればいいのだ!!どう生きていけばいいのだ!!」

 

「答えは既にある。」

 

「何?」

 

「私が・・・・いや、私たちが“ラウラ・ボーデヴィッヒ”になれば良い。

それも“兵器”としてではなく、“人間”としてのな。」

 

「“人間”として・・・・だと?」

 

「それが学年別トーナメント後の病室で教官が見せてくれた道標であり

私が目指すべき存在意義だ。」

 

俺は目を点にしていた。何故なら千冬姉がそんな事をしていた事を初めて聞いたからだ。

ラウラはその言葉に続けてドッペルゲンガーに言い放った。

 

「勿論、2人だけでは真の“ラウラ・ボーデヴィッヒ”にはなれん。シュヴァルツェ・ハーゼ隊や

ここで新たに得た仲間たち、そして一夏が必要だ。」

 

「だが、しかし・・・・」

 

「確かに貴様が言う“恐怖”を否定するつもりはない。だが一夏たちと出会って私は“彼等なら信じる事が出来る”と感じた。」

 

そう言うラウラの瞳に嘘は見当たらない。

それくらいラウラ本人が俺やみんなを信じ切っている証だった。

 

「貴様が私の影であるならばそれくらいはわかっているだろう?それとも私の影と言うのは嘘なのか?」

 

「そうだな、私もその気持ちを持っていてみんなを信じている。私は本体である貴様を試したかったのだから。」

 

「その結果どうだ?私を信じられるか?」

 

「ああ、合格だ。今の貴様なら任せられるし、力も託せるからな。」

 

ドッペルゲンガーはそう言って光となり、ラウラの元に入り込む様に近づいた。

 

 

ラウラside

 

ドッペルゲンガーから発した光に包まれながら過去の事を思い出していった。

出来損ないの烙印を押された事、教官と出会い、そして一夏たちとの出会い。

今までの生い立ちとこれから進むべき道を考えていた。

光が治まると私のISに2つの武器が装備されていた。

1つは狼をイメージしたであろう光を発する籠手と具足

そしてもう1つは右腕を包む様に現れた銃器である事がわかった。

 

「名前は・・・・『ベオウルフ』と『アルテミス』か、そう言えば『ベオウルフ』は前にセシリアが説明していた様な・・・・」

 

確か、魔剣士と対立していた光を発する悪魔だったか?

まあ、今はそんな事はどうでも良い。装備の性能を確認せねばならない。

まずは『ベオウルフ』を使ってみるが鈴がトーナメントで使用していた『イフリート』に

類似しているが、これには火球や炎を操る能力はない様だ。

籠手と具足なのだから格闘で攻めれば良いだろう。

プラズマ手刀よりもリーチが短いのが欠点だがな。

もう1つの武器である『アルテミス』に触れてみる。

この兵器の弾はレーザーになっていて、実弾とは一味違う。

『アルテミス』の説明を読むと私は左目の眼帯を外して越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)を解放し、複数の岩盤をロックした上でチャージショットを放つ。

すると、レーザーがロックオンした箇所に一斉に放たれ、全て命中したのだ。

 

「これは使えるな。」

 

私はそう呟いた。それと同時に檻が収納されて一夏と再び合流出来た。

 

「気に入ったみたいだな。」

 

「ああ、私の影がそれくらい期待しているのだろう。」

 

「だな、それにしてもトーナメント後に千冬姉とそんなやり取りをしていたんだな。」

 

「まあな、短い時間だけだったがな。ある意味私が求める道を教えてくれたよ。」

 

「そうか、ラウラが納得しているならそれで良い。」

 

私がこの場で言った事は決して忘れる事が無いだろう。

私自身が見つけた新しい道であり、追い求める道標になったのだから。

 

≪To be continued…≫

 


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