インフィニット・ストラトス Dark Knight Story   作:DASH君

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MISSION 09 内なる闇と向き合え~簪編~

一夏side

 

「うん?ここはどこだ?」

 

ふと目を開けてみると辺り一面真っ白で扉だらけの見た事が無い世界に俺は居た。

いや、俺は過去にここを訪れた事がある。そう、ここは・・・・

 

「『試練の間』なのか?」

 

「その通りだ、一夏。」

 

「『紫炎』・・・・」

 

「久しぶりだな。」

 

そう、『白い戦士』である彼女は『試練の間』に居る時の『紫炎』である。

ISのコアと深層同調(ディープシンクロ)を行うとこうしてISと面と向かって話し合う事が出来るのだ。

俺はこの『試練の間』に訪れて紫炎と話し合い、試練を行う事で強くなっていった。

まあ、今はその話を置いておいて・・・・

 

「随分と様変わりしたけど、改装工事でもやったのか?」

 

「そう考えても良いだろう。」

 

「何の為なんだ?」

 

「“君が信じようとしている者たち”と“君を信じている者たち”の為だ。」

 

「まさか、あいつ等にも試練を?」

 

「その通りだ。」

 

「でも、どうやってここに来させるつもりなんだ?」

 

「君と一緒に“君を信じている者たち”のコアを経由して来させる。」

 

「なるほど、その手があったか。」

 

「彼女たちならきっと成し遂げられる、それを伝える為に私は君を呼んだのだ。」

 

「そうかい、なら期待に応えられる様にやってみるさ。」

 

軽い受け答えを行ったら再び光に包まれていき、気が付くと寮の部屋に戻っていた。

 

「ああ、戻ってこれたのか・・・・」

 

「スゥ・・・・スゥ・・・・」

 

時刻を見ると朝の6時半を過ぎた頃でシャルルはまだ寝ていた。

それに今日は日曜日で寮に居る大半の生徒は寝静まっている筈だ。

本来なら休日を楽しみたい所だが、学年別トーナメントがあるからそうもいかない。

少し早いがシャルルを起こさない様に早めに日課の朝練を行いに部屋を出た。

 

 

簪side

 

時刻は朝の7時。何故かわからないけど、急に目を覚ましてしまった。

学年別トーナメントの登録をしてから1週間くらい経ったこの日

一夏から色々教わって自分でも強くなっている事を実感している。

あの日から日課にした“ISとの対話”をやる事にする。

最初は何も感じる事が出来なかったけど繰り返す事で少しずつだけどわかる様になってきた。

一夏曰く「俺が見た中で一番早く出来る様になっている」そうで

セシリアや鈴よりも早く出来ているらしい。

一夏に褒められると嬉しい気持ちがいっぱいになって安心する。

思えば、打鉄弐式の開発に四苦八苦していたのも一方的過ぎた事が原因だとわかり

コアが心を閉ざしてしまっていたからだった。

私はそれまでの行いを改めて、向き合う事で打鉄弐式と分かり合う事が出来た。

これからも少しずつ打鉄弐式の事をわかる様になれたら良いと思っている。

今でも対話しているけど、打鉄弐式はとてもわんぱくで活発な性格をしていて

妹みたいな感じで可愛らしく、今では早く紫炎と訓練したがっている。

打鉄弐式によると紫炎は“お姉さんみたいな人”らしい。

詳しい話は置いて、対話を終えて今日はいつよりも早く行動する事にした。

 

「誰か居るかな?」

 

そう言って自然とよく使っている第三グラウンドに訪れる。

こんなに朝早くだから流石に誰も居ないと思っていた。

 

「あれ?簪?」

 

「あっ、一夏。」

 

そこに居たのは学年別トーナメントのパートナーである一夏だった。

よく見ると汗を掻いていて早くから訓練をしているみたいだった。

 

「おはよう、簪。これから訓練か?」

 

「ううん、早く目が覚めちゃって自然とここに着いちゃった。」

 

「そっか、これから朝食だし、一緒に行くか?」

 

「良いの?」

 

「ああ、その代わり着替えさせてくれ。汗だらけだからな。」

 

「うっ、うん。待つから大丈夫。」

 

「わかった、少し待ってくれ。」

 

一夏と最初から一緒に朝御飯を食べるなんて今日はちょっと運が良いかもしれない。

いつもなら箒やセシリア、それに鈴やシャルルが既に居る事が多く

私が最初から居るのは滅多にない。だから今日はいっぱい堪能しよう。

そうこうしている内に一夏が着替えから戻ってきた。

 

「それじゃあ、行くか。」

 

「うん!!」

 

一緒に食堂に行こうと手を繋いだ瞬間だった。

 

「っ!?何!?」

 

「これは・・・・」

 

お互いのISの待機状態から光を放ち、私は意識を手放した。

 

 

一夏side

 

簪の手を握った瞬間、急に紫炎と打鉄弐式が輝きだしてしまい俺は意識を手放した。

目を覚ますと目の前に簪が倒れていて、その場所は・・・・

 

「うう、ここは試練の間。紫炎から聞いたけどこう言う風に連れてくるのか。」

 

“コアを経由して来させる。”聞いていたとはいえ突然の出来事に焦りを隠せない。

とりあえず、簪を起こすことから始める。

 

「簪、大丈夫か?」

 

「ううん・・・・一夏?」

 

「気が付いたか、良かった。」

 

「あれ?ここはどこ?」

 

「ここは『試練の間』、紫炎が造り上げた電脳世界だ。」

 

「えっ?と言う事は私たち電脳ダイブしているの!?」

 

「そうだ、ここは紫炎が造り上げた場所。今朝、紫炎が試練の間を改装した時にこう言っていたんだ。『“君が信じようとしている者たち”と“君を信じている者たち”の為』だとな。」

 

「と言う事は紫炎が私をここへ呼んだと言う事なの?」

 

「そうだ。」

 

「そうなんだ、それにしてもここ・・・・」

 

「どうした?」

 

「いや、『The Legendary Dark Knight』に出てくる『ブラッディ・パレス』に雰囲気が似ている様な・・・・」

 

「簪も『The Legendary Dark Knight』を読んだことがあるのか?」

 

「うん、結構面白いから・・・・」

 

「なら話が早い、ここに出てくる敵は『The Legendary Dark Knight』に出てくる敵が主だからな。それにここから出るには試練をクリアしないといけない。その代わり現実の時間は一切経たないのが救いだけど・・・・」

 

「なら先に進むしかないのね。」

 

「そう言う事、早速ISを展開して指定された扉に行くぞ。」

 

そう言って俺たちはISを展開する。

それに呼応するかの様に真っ白な扉の1つが翠色に変わった。

どうやら翠色の扉が簪の試練の部屋らしい、扉の前に立って覚悟を決める。

 

「準備は良いか?」

 

「うん、いつでも。」

 

「じゃあ、行くぞ!!」

 

俺たちは扉を開けて前に進んで行った。

扉の中は、薄暗く広い部屋で如何にも不気味な雰囲気を醸し出していた。

すると、1体また1体と次々と鎌を持った黒装束が現れた。

 

「っ!?あれは・・・・」

 

「あれは『ヘル=プライド』この中では一番の雑魚敵だ。」

 

俺は簪に一言言った直後にヘル=プライドの群れに斬り込んで行く。

 

「一夏!?」

 

「既に試練は始まっている、先に進む為に闘うぞ!!」

 

俺が斬り込んでヘル=プライドを薙ぎ倒していく、簪も少し遅れてから一緒に闘いだす。

やはり不慣れなのか、簪の動きが悪い気がする。

 

「簪、恐怖を捨てろ。でないとやられるのはこっちだぞ!!」

 

「わっ、わかった!!」

 

簪は超振動薙刀:夢現を手に少しずつ倒していく。

日頃の訓練のおかげなのか大した被害がなく全滅させ、次の部屋への扉が開く。

 

「次に行くぞ、休む暇はないと思っていい。」

 

「うん、ここを出る為にも仕方がないね。」

 

次の部屋に進み、また闘う。ただひたすら前に進むことを考えて闘い続ける。

敵の中には近接攻撃が通じない『ヘル=レイス』や素早い動きをする『アルケニー』

上位種の敵である『フロスト』など、様々な敵が俺たちの前に立ち塞がるが

俺と簪の前では有象無象に過ぎず、大した被害もなく前に進むことが出来た。

だが、俺たちは気づかなかった。

“とある部屋”に入るまではほんの“小手調べ”に過ぎない事を・・・・

 

「また扉が開いた!!」

 

「ああ、先に行こう。簪、疲れてないか?」

 

「大丈夫だよ。」

 

「なら行くか。」

 

次に訪れた部屋は目の前に鉄の檻があり、中心に1枚の大きな鏡がある部屋だった。

 

「ここは!?」

 

「一夏、ここを知っているの?」

 

「忘れるものか、この部屋は試練の間において“心”を試される部屋だからな。」

 

「“心”?」

 

俺は檻に付いてある看板に書いてある内容を読んでみる事にする。

 

「『“信じる者”檻の外にて相手を支え“信じられた者”檻の中にて試練に挑め。』・・・・」

 

「どう言う事なのかな?」

 

「紫炎のヤツこの部屋も用意するとは・・・・ここは簪が1人で挑む部屋だ。」

 

「私1人で!?」

 

「そうだ、この文章で言う“信じる者”が俺で“信じられた者”は簪を指す。ここでの敵はたった1つ。人の心の闇そのもの、『ドッペルゲンガー』だ。」

 

「『ドッペルゲンガー』・・・・」

 

「それは誰しもが持っているもの、簪にも俺にもな。この部屋を突破するには“闘いの勝利だけでは勝てない”んだ。」

 

「“闘いの勝利だけでは勝てない”ならどうすれば・・・・」

 

「相手は自分自身、必要なのは心の闇を受け入れる“勇気”だけだ。

大丈夫、簪ならできる。」

 

そう言って俺は簪の肩を叩く、震えている簪を安心させるためだ。

すると簪も一言言う。

 

「うん・・・・やってみる。」

 

そう言って簪は門の前に立ち、扉を開けて先に進む。

俺に出来るのは簪を見送り信じる事だけだ。

檻の中はまさに閉鎖された空間の様になっているが、こちらからは丸見えで声も聞こえる。

簪が鏡の前に立っていると、突然不気味な声が聞こえてくる。

 

「フフフ・・・・」

 

「誰!?」

 

「フフフ、私は目の前に居るよ。」

 

簪が鏡に注目すると、鏡の中に居る簪が前に進みだし、実体となって目の前に立っているのだ。

 

「貴女は誰?」

 

「私?私は貴女、貴女は私・・・・だから私は貴女の事を何でも知っているの。」

 

「なら、貴女が私のドッペルゲンガー?」

 

「そんな寂しいことを言わないでよ、私は貴女なんだから。」

 

このやり取りを見ていると俺の場合を思い出す、俺も同じ様なやり取りをしていたのだから。

すると、簪のデッペルゲンガーは簪本人に話しかけてくる。

 

「それにしても貴女はこのままで良いの?」

 

「何が?」

 

「このままだとお姉ちゃんに追いつくどころか、引き離されてばかりじゃない。」

 

「そっ、それは・・・・」

 

「それに貴女は一夏の事を心の底から信じていない。むしろ見捨てられるのを怖がっているんじゃないの?」

 

「そんな事は・・・・」

 

「“ない!!”って言うつもりでしょう?でもわかるの私は貴女なんだから。」

 

「私はそんな事を考えてないんかない!!」

 

次の瞬間、簪が荷電粒子砲:春雷を簪のデッペルゲンガーに放つ、しかし・・・・

 

「っ!?どうして!!」

 

「言ったでしょう?“私は貴女の事を何でも知っている”って。」

 

簪のデッペルゲンガーは同じ春雷を使って相殺したのだ

それをきっかけに闘いが始まってしまう。

簪は夢現で斬りにかかるが簪のデッペルゲンガーも夢現で返す。

両者全く同じ動きで互角に見えるが

簪はこの部屋に来る前まで闘い通しだった為、疲弊するのが早かった。

焦りを見せた簪は打鉄弐式のとっておきである、『山嵐』を放つが・・・・

 

「そんな、山嵐まで・・・・」

 

「何度も言ったでしょう?“私は貴女の事を何でも知っている”って!!」

 

「うわっ!!」

 

一瞬の隙を突かれて簪のデッペルゲンガーは簪の首を掴み地面に叩きつけた。

そしてそのまま簪は踏みつけられる形で地面に伏せてしまった。

 

「貴女が何度も私を否定しようとしても私は貴女の闇そのもの、事実から逃げているに過ぎないわ。」

 

「うぅぅぅ・・・・」

 

「泣いたってヒーローなんて来ないわ、だって今は私と貴女しか居ないもの。

貴女は私に勝てず、誰にも認められず、一生独りぼっちになる運命なのよ。」

 

「・・・・・・・。」

 

「簪!!しっかりしろ!!」

 

「無駄よ一夏、この子は所詮これまでなの。」

 

「そうは思えないね、それに簪の事は君が一番分かっているんだろう?」

 

「それはそうだけど・・・・」

 

「だったら信じるさ、それに声が届かないなら“別の方法”で語りかければ良いんだ。」

 

「別の方法?まさか、相互意識干渉(クッシング・アクセス)を!?」

 

「その通り!!」

 

そう言って俺は意識を集中させる、簪の心に語りかける為に・・・・

 

 

簪side

 

「ダメだ・・・・ダメなんだ・・・・私はダメなんだ・・・・」

 

真っ暗闇の中で私は泣いている、思えばドッペルゲンガーの言う通りだった。

私のお姉ちゃんが優秀過ぎて、私に対する周りの目線が怖く感じていた。

私はお姉ちゃんに追いつこうと努力してきたけど、結局上手くいかない事だらけだった。

そんな中、織斑 一夏と出会って今の状態で落ち着いているけど、内心怖かった。

見捨てられるのではないかと怯えている自分も居たからだ。

そして、その事を一夏に全て知られてしまった。

 

「私は本当にダメなんだ・・・・」

 

「簪はダメなんかじゃないさ。」

 

「えっ?」

 

声の主の方を見るとそこに一夏が居た。

嬉しさがあったけどそれ以上に恐怖を抱いていた。

 

「ドッペルゲンガーが言っていたでしょう!!私はダメなんだよ!!

怯えてばかりで、いつも怖がって、一夏に対しても怖がっていて・・・・」

 

「それは俺も同じ事さ、その言葉を借りれば俺だって簪が怖いよ。」

 

「えっ?」

 

「俺だって簪に見捨てられるんじゃないか、ビクビクしているさ。」

 

「そんなの嘘だよ!!」

 

「嘘じゃない、俺だって周りから認められず、蔑まれ生きてきたからな。

箒にも鈴にもセシリア、シャルル、言えばキリがないくらい見捨てられそうで怖いよ。」

 

一夏を見ると、それが真実と言う事がわかった。

とても真っ直ぐとした目で手は震えていて、一夏だって怖い事が・・・・

 

「心の闇を否定したくなるのも逃げようとするのも人として当然さ

でもほんのちょっとの勇気があれば向き合える。」

 

「だから一夏は強いの?」

 

「さあ、どうだろうな?でも俺に出来たんだから簪にだって出来るさ。

簪は俺よりも強くて周りに認められているんだから。」

 

「そんな事は・・・・」

 

「周りが認めないと日本の代表候補に選ばれないだろう?それに周りをよく見れば

きっと認めてくれる人は必ず居る。自分を信じるんだ、簪!!」

 

一夏がそう言うと段々意識が戻っていき、ドッペルゲンガーに踏まれている状態に気づいた。

 

「うううう・・・・」

 

「何っ!?」

 

私は強引にドッペルゲンガーをどけて立ち上がる。

ドッペルゲンガーも今の私の様子に驚きを隠せない様だった。

 

「どうして!?何故立ち上がれるの!!」

 

「私の事、何でも知っているんでしょう?」

 

「っ!?そうね。それで?闘い続けるの?」

 

「ううん、止める。闘ったって意味が無いもの。」

 

「なら、負けを認めるって事なの?」

 

「違うよ、貴女と向き合う事にするの。」

 

「向き合う?今更何を・・・・」

 

「向き合って、もう少し周りを見る事にするの。私を見てくれる人を探す為にね。」

 

「現実を見なさいよ!!お姉ちゃんの所為で出来た今の立場を!!

このままじゃあ誰も私を見やしないじゃない!!」

 

「それでも“全員”じゃない、だから少なくても良いから探してみたいの。君と一緒にね。」

 

「私と一緒に?」

 

「だって私は貴女で貴女は私だもの、一緒に探せるでしょう?」

 

「私を見捨てないの?」

 

「見捨てないよ、むしろ必要だからね。」

 

そう言ってドッペルゲンガーを抱きしめる。

ドッペルゲンガーも震えていて怖がっている事がこれでわかった。

 

「何度も転んでも良いから一緒に探そうよ。“私たち”を見てくれる人をね。」

 

「・・・・うん。」

 

弱々しく声を出すドッペルゲンガー。

すると突然輝きだし、光が治まると背中に剣と左手には上下二連の銃を持っていた。

驚いた私はすぐにこの2つの武器のデータを確認する。

 

「銃は『ブルーローズ』、剣は『レッドクイーン』!?

これって『ネロ』が使用していた武器なの!?」

 

そう、手にした武器は『The Legendary Dark Knight』に登場する

魔剣士の孫『ネロ』が使用した武器と同じ名前・・・・いや、同じ物だった。

ブルーローズは六連装の上下二連リボルバーでほぼ同時に2発の弾を発射させることで

強固な装甲を撃ち抜く事が可能な銃。

レッドクイーンは柄の近くにあるイクシードと呼ばれるバイクのアクセルの様なバーを

捻る事で噴射剤が作動し、威力を高める事が可能な剣だ。

試しにレッドクイーンのイクシードを捻ってみると独特のエンジン音が聞こえて紅く染まった。

さっきの闘いの余波で出来た瓦礫に試し切りをすると真っ二つになり

切り口からは熱を発していた。

そしてブルーローズを試し撃ちすると、的にしていた瓦礫に2つ弾痕が出来る。

更に確認してみると・・・・

 

「『チャージショット』?溜めれば良いのね。」

 

意識してエネルギーと溜めるとブルーローズを持つ左手が赤く染まっていき

チャージ完了と同時に撃ってみるけど・・・・

 

「きゃっ!?」

 

銃声とは思えないほどの2回の爆音と同時に“私が”後方へ吹っ飛んでしまった。

 

「イタタ・・・・」

 

ブルーローズのフルチャージショットは反動が恐ろしくあるらしく

使い慣れるまで時間がかかりそうだ。

少し経って2つの弾痕が爆発して、その威力に驚いてしまった。

その音と同時に檻が部屋の床に収納されていき、一夏が近づいて来た。

 

「大丈夫か簪?」

 

「うん、大丈夫。ブルーローズは使い方が難しいみたい。」

 

「そうか、念の為にスペックデータを確認してみるぞ。」

 

そう言うと一夏はディスプレイを出して打鉄弐式を確認してみる。すると・・・・

 

「何だこりゃ!!」

 

「どうしたの?」

 

「追加武器やチャージショットだけじゃなくて『リアルタイムスタイルチェンジシステム』も使える様になっている!!」

 

「ええ!?」

 

「試しにやってみてくれ、従来の物と違って音声入力だから気を付けるんだ。」

 

言われるがままにやってみる、一夏が使っている4つのスタイルがラインカラーの変更と同時に

全て出来る様になっていた。

 

「これは最早第3世代の機体じゃないな、第3世代の姿をした第4世代だ。」

 

「オーバースペックって事なのかな?」

 

「そうだ、システム側から負荷がかかり過ぎて打鉄弐式がどうなるかわからんぞ。」

 

「でももうすぐ学年別トーナメントだし・・・・」

 

「ああ、続けるしかないだろう。まあ、最悪な状態になる前に止めるさ。」

 

「うん。」

 

「『リアルタイムスタイルチェンジシステム』は成長し続けるシステムだから使い続けないと俺が使うスキルが使えないから気を付けなよ。」

 

「うん、それを含めてご教授お願いします。」

 

「任されました。」

 

こうして次の部屋に行く前に『リアルタイムスタイルチェンジシステム』を学ぶ事にした。

新しい力を与えてくれた私の影を想って・・・・

 

≪To be continued…≫


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