ソードアート・オンライン~死変剣の双舞~   作:珈琲飲料

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秋風 楓 (あきかぜ かえで)
プレイヤーネーム:カエデ  
性別 男

使用武器 短剣

本作の主人公でSAO最強プレイヤーの一人。急所を的確に狙い、必要最低限の攻撃で相手を殺すさまからプレイヤーの間では〈死神〉の名で呼ばれている。また高い隠蔽スキルを持ち、それを戦闘に織り交ぜて戦うので〈死神〉の名をさらに助長することになっている。
相手へのクリティカル率が異常に高いこともあってユニークスキルのひとつである
〈死変剣〉を得ることになる。

〈死変剣〉
取得条件:敵へのクリティカル率が最も高い者。
短剣のみ2本同時装備可能
背後からの攻撃にダメージアップ補正がかかるほか、攻撃した相手を麻痺や毒などの状態異常にさせる効果も持つ。(それらは蓄積制で一定値が溜まると状態異常になる)かなりのチート性能だがスキルを使用中はプレイヤーの体力が徐々に減っていくようになる。



3話 そりゃ逃げるわ

「もう、あいつらだけでいいんじゃないかな・・・」

 

「うんっ、あの二人すごいよね!」

 

現在地は74層迷宮区の最上部中間地点。モンスターとの遭遇も多くなってきて、現在も絶賛戦闘中・・・なのだが戦闘とは名ばかりで俺とユウキはまともに戦っていない。

 

「キリト君、スイッチ!」

 

「おう!」

 

理由は簡単でさっきからあのバーサク夫婦が敵を見つけては速攻で倒しているからだ。

キリトとアスナのコンビネーションから繰り出される剣技は流麗な舞いを見ているようで戦闘への参加を躊躇わせてしまう。それほどに二人の息はぴったり合っているのだ。

 

「やった!」

 

そんなことを思っている間に戦闘が終わったらしい。キリトとアスナがハイタッチをしている。

 

「お疲れさん」

 

「お疲れ!キリト、アスナ」

 

戦闘が終わった二人に俺とユウキは近づきながら声をかけた。

 

 

それからは大したエンカウントもなく、俺を含めた四人は円柱が立ち並ぶ回廊を進んでいった。奥にいくにつれてオブジェクトが凝ったものに変わっていき、マップデータの空白部分も残りわずかになる。おそらく近くに・・・

 

俺は自分の直感を頼りに索敵スキルを発動させた。スキルの恩恵を受けて先に広がる暗闇の明度がどんどん上がっていく。索敵スキルには敵や隠れているものを見つける以外に遠すぎて見えない範囲を見ることができる能力がある。もちろん範囲にも限度があるしこのレベルまでいくにはかなりスキルの熟練度を上げないといけないわけだが・・・。

 

目的のものは回廊の突き当りに見えた。怪物のレリーフがびっしりと施された灰青色の巨大な二枚扉。

 

「なあ、あの扉ってやっぱり・・・」

 

キリトも扉の存在に気付いたのだろう。全員に聞かせるように声に出す。

 

「ええ、おそらく」

 

「間違いないだろうな」

 

「ボス部屋だね・・・」

 

部屋の扉から流れ出る形容しがたい空気を感じ取ってか、キリトの返事に短い言葉でしか返せなかった。フロアボスと戦うわけではないのに空気がピリピリとしている。おそらく全員が緊張しているのだろう。

 

「カエデ、どうする?」

 

声に不安をにじませながらユウキが俺に意見をもとめる。いつもあんなに明るいユウキでもこういうシチュエーションは苦手なのだろう。キリトとアスナも俺の言葉を待っているみたいで視線をこちらに向けている。

 

「ボスは部屋からは出ないはずだから見るだけならたぶん・・・大丈夫」

 

「・・・一応、転移結晶用意しとくか」

 

「うん」

 

「だね」

 

キリトの言葉にならい全員がポーチから転移結晶を取り出す。

 

「じゃあ・・・開けるぞ・・・」

 

結晶を握りしめたまま空いたほうの手で扉に手をかける。ゆっくりと力を込めると、それに反応したのか巨大な扉は見た目に反して滑らかに動き出す。張りつめた空気の中、完全に開ききった扉はずしんという衝撃と共に停止し、部屋の内部をあらわにした。

 

内部は完全な暗闇でいくら索敵スキルを使い、目を凝らしても部屋の奥を見ることはできない。

 

「・・・・・・」

 

部屋の奥へ進むかみんなに聞こうとしたその時、突然入口付近にあった燭台二つに青白い炎が燃え上がった。すぐに、少し離れた燭台にも炎が灯る。それを繰り返し、入口から部屋の中央にむかって炎の道ができる。光源を得た部屋は、青白い光に包まれその全容を明らかにさせていった。

 

ユウキが俺の左腕にぎゅっとしがみついてきた。一瞬やわらかさを感じたが眼前に現れつつある巨大な姿を見て、もうその感触を楽しむ余裕など俺にはなかった。

 

引き締まった筋肉に包まれた深い青色の身体。山羊を彷彿とさせるその頭は、両側から太いねじれた角がそそり立ち。体にも負けないくらい青い眼は俺たち4人に据えられていた。

 

つまるところボスの姿は悪魔そのものだった。

 

おそるおそるボスの頭上に出現したカーソルに視線をあわせる。

<THE Gleameyes>、名前に定冠詞がついているのでフロアボスとみて間違いないだろう。

そこまで確認した時、青眼の悪魔は轟くような雄叫びを上げた。あ、これやばくね?と口に出す間もなく、ボスはまっすぐこちらに向かって、猛烈なスピードで走ってきた。

 

「「「「うわあああああ!」」」」

 

同時に悲鳴を上げ、くるりと方向転換すると全力でダッシュした。ボスは部屋から出ないという原則は分かっているが悪魔と対峙するという原始的な恐怖が逃走を選択させた。

俺とユウキもその例に漏れず高い敏捷度を最大限に発揮させて、来た道を全力で逃げた。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます!
今回は文字数が少なくて申し訳ありません
代わりと言ってはなんですが埋め合わせに主人公の設定とイラストを載せました
次回もよろしくお願いします

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