ソードアート・オンライン~死変剣の双舞~   作:珈琲飲料

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更新が遅れて申し訳ないです!
また2、3日後に投稿するので堪忍してつかぁさい・・・

それでは第18話です!どうぞ!


18話 何回通えば「マスター、いつもの」と言えるのか

<Look at this>というタイトルで送信されたメールには一枚の写真が添付されていた。

画像は限界まで引き伸ばされているらしく粗い。それでも画像に写った景色は不思議な構図でその場所が現実世界ではないことを表している。そしてなにより――――

 

「・・・アスナ?」

 

鳥かごのような鉄格子の向こう側に白いドレス姿のアスナがいるのだ。わずかに覗く横顔は憂いに沈んでいるようにも見える。

 

続けて画面をスクロールさせると画像の下に簡素な一文が表示されていた。

 

――詳しく話したい。店に来られるか?――

 

メールを打つのももどかしく感じた俺は携帯端末を開き、電話帳からエギルの番号を選択して発信ボタンを押した。プツ、という接続音のあとに野太い声が聞こえる。

 

「もしも――」

 

「OK!」

 

返事も聞かずに一言だけ発して電話を切ると、速攻で着替えを済ませ、俺は部屋を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

エギルが経営している喫茶店兼バーは、台東区御徒町にある。名前は<Dicey Cafe>。

こみごみとした路地裏を小走りで抜けて、店先のドアを押し開けると、カウンターの向こうでスキンヘッドの巨漢が顔を上げた。もちろん客は一人もいない。

 

「カエデが一番乗りみたいだな」

 

「まあ、ここから俺がいちばん近いし当然だろ。・・・それにしても相変わらず不景気だな」

 

「うるせぇ、これでも夜は繁盛しているんだ」

 

店内を見渡しながら呟く俺にエギルは納得のいかないような顔で答える。

こんな気安いやり取りをしたのはあの世界ぶりだな、と思っていると乾いたベルの音と共に店のドアが勢いよく開けられた。入ってきたのはもちろんキリトとユウキ。同じメールが送られていたのだろう。カウンター席に腰を下ろすと、急かすようにキリトはエギルに問いただした。

 

「で、あれはどういうことなんだ」

 

エギルはすぐに答えず、カウンターの下からゲームソフトを取り出すと俺たちに手渡してきた。パッケージのタイトルは<ALfheim Online>

 

「アルヴヘイム オンライン・・・?」

 

「ほう、初見で発音を正解か。<妖精の国>という意味らしい」

 

ぽつりと呟いた俺の横でエギルが補足をする。妖精の国、アルヴヘイム。たしか北欧神話でそんな言葉を聞いたことがある。舞台は神話の世界か。

 

「内容はほのぼのファンタジーなのか?」

 

「それが、そうでもなさそうだぜ。ある意味えらいハードだ」

 

キリトの言葉にエギルはニヤリ笑いながら答える。

 

「難しいの?」

 

「どスキル制。プレイヤースキル重視。PK推奨」

 

「「ど・・・」」

 

言葉を詰まらせるキリトとユウキを尻目にエギルは続ける。

 

「いわゆる<レベル>は存在しないらしいな。各種スキルが反復使用で上昇するだけで、育ってもヒットポイントは大して上がらないそうだ。戦闘もプレイヤーの運動能力依存で、剣技なし、魔法ありのSAOってとこだな。グラフィックや動きの精度もSAOに迫るスペックらしいぜ」

 

ここまで聞いて俺はこのゲームに対して少しだけ好感を持っていた。理由はスキル制の部分。

 

MMOというものは大きく分けて3種類ある。まず一つ目はSAOのようなレベルとスキルを併用したもの。次にこのゲームのようにスキルだけを採用したもの。最後は逆にレベルだけのもの。面白さで言えばレベルだけのものや両方使ったMMOがいちばんなのだが、スキル制のメリットはそこにはない。単純に言ってしまえば初見プレイヤーに対する始めやすさにある。

 

レベル制にしてしまうとどうしても古参プレイヤーとビギナーに圧倒的な差が生まれてしまうがスキル制だとそうはいかない。それにプレイヤーの運動能力依存ならば戦闘面に関してはビギナーはベテランに十分追いつくことができるのである。これには賛否両論あるのだが、これからこのゲームについて調べる俺たちにとってはこのシステムはありがたい。

 

「PK推奨ってのは?」

 

「プレイヤーはキャラメイクでいろんな妖精の種族を選ぶわけだが、違う種族間ならキル有りなんだとさ」

 

「それって人気でるのかな?PK推奨だと難しい気がするけど」

 

ユウキの疑問にエギルは再び笑みを浮かべる。

 

「そう思ったんだけどな、今大人気なんだと。理由は<飛べる>からだそうだ」

 

「飛べる・・・?」

 

「妖精だから羽根がある。フライト・エンジンとやらを搭載してて、慣れるとコントローラなしで自由に飛び回れる」

 

すごーい!と隣にいるユウキが声を上げる。飛行ができるVRゲームはナーヴギア発売当初から存在していたのだが、そのすべては乗り物を伴っての飛行で、生身で空を飛びまわれるものはなかった。いったいどうやってそんなエンジンを開発したのだろうか。

 

「飛べるってのは凄いな。羽根はどう制御するんだ?」

 

「さあな。だが相当難しいらしい。初心者は、スティック型のコントローラを片手で操るんだとさ」

 

「なるほど。ところでこのゲームを見せてきたってことはあの画像に関係してるんだろ?場所はどこだ?」

 

そういうとエギルはパッケージを取って、裏返すとある場所を指差した。ゲーム舞台が描かれたイラストの中央には一本の巨大な樹がそびえたっている。

 

「世界樹と言うんだとさ」

 

大樹のイラストを指で軽く叩きながら続ける。

 

「プレイヤーの当面の目標は、この樹の上の方にある城に他の種族に先駆けて到着することなんだそうだ」

 

「到着って、飛んでいったらダメなの?」

 

「いや、おそらく飛行にも制限があるんだろう。指定された場所では飛べないとか」

 

「そのとおり。滞空時間ってのがあって、無限には飛べないらしい。この樹の一番下の枝にもたどり着けない。でもどこにも馬鹿なことを考えるやつがいるもんで、体格順に五人が肩車して、多弾ロケット方式で樹の枝を目指した」

 

「面白そうだねっ!」

 

「だな」

 

「うむ。目論見は成功して、枝にかなり肉薄した。ギリギリで到着はできなかったそうだが、五人目が到達高度の証拠にしようと写真を何枚も撮った。その一枚に、奇妙なものが写り込んでたらしい。枝からぶら下がる、巨大な鳥かごがな」

 

「鳥かご・・・」

 

その言葉にあの写真の光景がフラッシュバックする。囚われの姫君といったところか。

 

「・・・行く価値は十分にあるな。キリト」

 

「ああ・・・。エギル――このソフト、貰って行っていいか」

 

「構わんが・・・行く気なのか」

 

「ああ、この眼で確かめる」

 

「死んでもいいゲームなんてぬる過ぎるだろ。そうと決まればハードを揃えなくちゃな」

 

「ナーヴギアで動くぞ。アミュスフィアは、単なるアレのセキュリティ強化版でしかないからな」

 

「そりゃあ助かる」

 

キリトとユウキにアイコンタクトで合図をすると俺は頷いた。

 

「じゃあ、俺たちは帰るよ。ご馳走様、また情報があったら頼む」

 

「情報代はつけといてやる。――アスナを助けだせよ。そうしなきゃ俺たちのあの事件は終わらねえ」

 

「ああ。いつかここでオフ会をやろう」

 

ごつんと拳を打ち合わせると俺たちはエギルの店を後にした。

 

 

 




カエデ「お前自分が何をしたのか分かってるのか?」

珈琲「ほんとにごめんなさい・・・」

カエデ「反省しているのか?」

珈琲「しています・・・」

カエデ「じゃあ次週は2話分投稿だな」

珈琲「えっ」

カエデ「は?」

珈琲「ひいっ!わかりました!絶対に書き上げます!」

ユウキ「カエデ・・・もうそのくらいに」

カエデ「・・・まあユウキに免じてこのくらいにしておいてやるか」

珈琲「ユウキさん・・・!」

ユウキ「でもあとでお仕置き部屋だよっ(微笑)」

珈琲「なん・・・だと・・・」

カエデ「更新が遅れてほんとにすまないな。目を離すとすぐにサボろうとするから」

ユウキ「やさしく罵ってあげてね!」

珈琲「罵らないで!あっ、でもユウキになら罵られてもいいかも・・・」

ユウキ「えっ」

珈琲「えっ」

カエデ「なにそれこわい」


更新が止まっていたなか、お気に入り登録とコメントをくださった読者様、ほんとにありがとうございました!

励みになるのでとてもうれしいです!それでは次回またお会いしょう!


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