ソードアート・オンライン~死変剣の双舞~   作:珈琲飲料

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ついにALO編突入!!今回は病院回なのでシリアスな感じかもしれないです。
甘さなんてないよ!

ユウキって私服のときはカチューシャつけてない気がする。でもそれだと作者の力ではユウキ感が出せないから描いてしまった(笑)

それでは第17話です!どうぞ!!


ALO編
17話 公共施設ではお静かに!


デスゲームと呼ばれたSAOがクリアされてからすでに二か月が過ぎようとしていた。しかし、二か月経った今もすべてが終わったわけではない。

 

三百人・・・SAOがクリアされてから今もなお解放されていないプレイヤーの人数だ。

世間では行方不明の茅場晶彦の陰謀だと囁かれているが、俺はこれが茅場の起こしたものとは思えなかった。夕焼けに染まる世界で語った彼の言葉、透徹した視線を覚えていたからだ。

 

あの男は生き残った全プレイヤーを解放すると言った。こんなくだらない結末を望むはずがない。彼は間違いなく自らの手であの世界に幕を下ろしたのだ。少なくとも俺や木綿季はそう信じている。

 

間違いなく誰か黒幕がいる。

初期化されたSAOサーバーを操り、三百人の魂を縛り続けている人物が―――

 

 

 

 

 

 

 

丘陵地帯を巻くように続く道の先に目的地が見えた。高級ホテルのような巨大な建造物はかつて鋼鉄の城で共に戦った仲間の一人が収容されている病院。一階の受付で通行パスを発行してもらい、俺と木綿季はエレベーターに乗り込んだ。

 

最上階である十八階でエレベーターを降り、無人の廊下を突き当りまで歩く。

 

「・・・ここだな」

 

部屋の前で確認するように呟きながら壁に設置されたネームプレートを見る。

<結城 明日奈 様>―――間違いない。

 

ポケットから先ほど発行してもらった通行パスを取り出し、扉の横についている細いスリットに滑らす。すると小さな電子音とともに扉が開いた。

 

「アスナ・・・」

 

部屋の中へ一歩踏み込むと同時に木綿季が不安げに声を出した。その声音はカーテンの向こうで眠り続けているアスナが目覚めていますように――と祈っているようにも聞こえる。

 

しかしカーテンを引いた先では今もなお少女が眠り続けていた。健康状態が悪そうに見えないのがせめてもの救いか。体重も俺や木綿季ほど落ちてはいないようだ。

 

「アスナ、今日も来たよ」

 

「健康そうでなによりだ」

 

聞こえないと分かっていても俺と木綿季はアスナに声をかけた。こうして声をかけ続けていればアスナが戻ってくるような気がして・・・。

 

しばらくアスナを見つめていると背後から扉が開く音がした。振り返ると、一人の少年が病室に入ってくる。

 

「・・・和人か」

 

「おはよう、和人」

 

「おはよう、二人とも。来てくれたのか」

 

俺と木綿季が来ていたことにキリト――桐ケ谷 和人は少し驚きを見せたがすぐにいつもの表情に戻り、ベッドのほうへ近づいてくる。

 

「アスナ・・・」

 

傍まで来ると和人はアスナの手を握り、呼びかけた。

 

 

 

 

 

ベッドサイドで控えめなアラーム音が鳴る。いつの間にか正午になっていたらしい。

 

「そろそろ帰るよ、アスナ。またすぐ来るから・・・」

 

「またね、アスナ」

 

「また来るぞ、アスナ」

 

小さく話しかけ、立ち上がろうとした時、またドアの開く音がした。今度は二人の男が病室に入ってくる。

 

「おお、来ていたのか。たびたび済まんね」

 

二人の男のうち前に立つ、初老の男性は俺たちを見ると、顔をほころばせて言った。男性の名前は結城 彰三。アスナの父親だ。昔、アスナから父親は実業家だと聞いたことがあったが、実際には総合電子企業メーカー<レクト>のCEOだった。大企業である。たしか事件後のSAOサーバーの管理も任されていたはずだ。

 

三人ともひょいと頭を下げ、口を開く。

 

「こんにちは、結城さん」

 

「こんにちは!」

 

「お邪魔してます」

 

「いやいや、いつでも来てもらっても構わんよ。この子も喜ぶ」

 

結城はアスナに近寄り、彼女の髪をそっとなでた。少しの間、物思いにふけていたが、やがて顔を上げると一緒に病室に入ってきたもう一人の男を俺たちに示してきた。

 

「彼とは初めてだな。うちの研究所で主任をしている須郷君だ」

 

そう言われて須郷は前に出ると俺たちのほうへ右手を差し出しながら言った。

 

「よろしく、須郷伸之です。そうか、君たちがあのゲームをクリアした・・・」

 

人のよさそうな男。というのがおそらくほとんどの人が感じる第一印象だろう。だが俺にはそれが仮面のように見えた。相手によって表情を変える、都合の良い使い捨ての顔。

木綿季も須郷の振りまく笑顔に違和感を覚えたのか、挨拶もほどほどに俺の後ろに下がる。

 

「須郷君は私の腹心の息子でね、家族同然の付き合いがあるんだ」

 

「ああ、社長、そのことなんですが―――」

 

挨拶を済ました須郷は、彰三氏に向き直る。

 

「来月にでも、正式にお話を決めさせて頂きたいと思っています」

 

「――そうか。しかし、君はいいのかね?まだ若いんだ、新しい人生だって・・・」

 

「僕の心は昔から決まっています。明日奈さんが、今の美しい姿でいる間に・・・ドレスを着させてあげたいのです」

 

「・・・そうだな。そろそろ覚悟を決める時期なのかもしれないな・・・」

 

何のことかさっぱり分からず沈黙していると彰三氏は俺たちを見て小さく頷き

 

「では、私は失礼させてもらうよ。桐ケ谷君、紺野君、秋風君、また会おう」

 

といって身を翻して病室を出て行った。後には俺と和人と木綿季と須郷だけが残される。

 

「君たちは、あの世界でアスナと知り合いだったのかな?」

 

 

須郷が先ほどとは全く違う表情で、俺たちを覗いてきた。

 

「まあ……」

 

和人が三人を代表して答える。すると須郷はゆっくりとベッドの下端に回り込むと反対側に立ち、アスナの髪を玩びはじめた。その仕草に表しがたい嫌悪感を覚え、顔をしかめる。木綿季も耐え切れないみたいで俺の腕をぎゅっと強く掴む。

 

「さっきの話はねぇ・・・」

 

ニヤニヤと笑う須郷を見て、俺は自分の予想が当たったのだと確信した。これがこいつの本性なのだろう。

 

「僕とアスナが結婚するという話だよ」

 

この言葉を聞いて俺たちは絶句した。放たれた言霊は冷たく纏わりつくように俺たちの身体を這う。そして数秒間の沈黙の後、和人が言葉を絞り出した。

 

「そんなこと・・・できるわけが・・・」

 

「確かに、この状態では意思確認ができないゆえに法的な入籍はできないがね。書類上は僕が結城家の養子に入ることになる。・・・実のところ、この娘は昔から僕のことを嫌っていてね」

 

そう言いながら須郷は自身の人差し指をアスナの頬に這わせる

 

「親たちはそれを知らないが、いざとなれば拒絶される可能性が高い。だからこの状況は僕にとっては非常に都合がいい。当分眠っていてほしいね」

 

頬に当てた指がアスナの唇に近づく。

 

「やめろ!」

 

和人は咄嗟に須郷の手を掴み、アスナの顔から引き離した。ニヤニヤ笑い続ける須郷に今度は俺のほうから声をかける。

 

「火事場泥棒・・お偉いさんは考えが穢れてるな」

 

「泥棒?いいや正当な権利だよ。明日奈や残った三百人の命は僕が維持させている。僅かばかりの対価を要求したっていいじゃないか?」

 

明日奈から離れて俺の前までくると笑みを抑えず須郷が話す。三百人の命は自分のものだとでも言いたいのだろうか。

 

「上辺だけ取り繕っても本質は変わらねえって言いたいんだよ。それほど天才(かやば)が残した蜜は甘かったのか?主任さん」

 

俺の言葉を聞いて須郷の顔から笑みが消えた。不機嫌さを隠さずに俺を睨みつける

 

「・・・ふん、まあいい。どうせ君たちには何もできやしないさ。ゲームしかできないガキが・・・」

 

そう言って須郷は忌々しそうに俺をもう一度睨むとドアのほうへ歩き出した。

 

「ゲームしかできないガキがこれから何をするか・・・後悔すんなよ」

 

後ろ姿に向けて放った言葉はおそらく耳に届いただろうが須郷は振り返ることなく病室を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何ぼさっとしてんだ。さっさと行くぞ」

 

黙り込んだままの和人の頭にチョップを入れる。気合が足りんぞ!

 

「いてっ!・・・なにすんだよ!」

 

若干キレ気味に和人が俺に抗議する。

 

「こんなことで諦めるほどアスナに対する思いはいい加減なものだったのか?あの世界での約束は遊びだったのか・・・?」

 

俺の問いかけに即座に和人が答える。

 

「違うっ!俺は・・・」

 

「だったら落ち込むのは無しだ。仲間の命が助かる確率が一パーセントでもあるなら全力でその可能性を追え。茅場だってそう言ってただろ?」

 

かつての聖騎士の言葉を聞き、和人が目を閉じる。そしてゆっくり目を開けると口を開いた。

 

「・・・ゼロじゃないならそれに向かって最大限の努力をする、か」

 

「その通りだ。目が覚めたか?」

 

「ああ、ありがとな」

 

苦笑しながら和人が言う。

和人が立ち直ったのを見て、隣にいる木綿季に声をかけた。

 

「というわけで、木綿季も協力してくれないか?一人でも多いほうがいい」

 

「もちろん!アスナのこと絶対に助け出そうねっ」

 

「ありがとな」

 

微笑みながら即答してくれる木綿季の頭をなでてお礼をいう。

 

「ちょっと、か、楓!?」

 

いきなりなでられたことで木綿季が顔を赤くさせる。

 

「なに今更恥ずかしがってんだよ。向こうじゃこんなの日課みたいなもんだろ」

 

「そ、そうだけど・・・えへへ」

 

だらしなく頬を緩める木綿季を見て一気に庇護欲が高まる。猫のように甘えてくる姿は見ていて飽きない

 

「ほんとに木綿季は可愛いな。ずっとなでていたい・・・」

 

独り言のように小さく呟いたはずだがしっかり聞こえてたらしく

 

「っ!?・・・でも楓が望むのなら・・・・・・いいよっ」

 

耳まで真っ赤にさせて木綿季は俺の耳元でぼそぼそと小さく囁いた。

それならお言葉に甘えて―――

 

「・・・・・なんなんだこのバカップルは・・・」

 

和人の呟きは病室内を虚しく漂った・・・・・・ちなみに楓たちのあとに病室に入った看護婦は空気が甘かったと話していたらしい。 

 

ついに空気汚染まで・・・

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 




珈琲「お待たせしました!17話、お読みくださってありがとうございます!」

カエデ「・・・」ナデナデ

ユウキ「えへへ・・・/////」

珈琲「・・・・・・」

珈琲「今回はイラストも描かせていただきましたがそちらのほうも感想を下さると嬉しいです!」

ユウキ「カエデ~」スリスリ

カエデ「ほんと可愛いな」ナデナデ

珈琲「・・・・・・よろしい、ならば持久戦だ!」




――――――――そして月日は流れ

珈琲「もう無理です・・・壁もコーヒーもないっす・・・」

カエデ「あいつどうしたんだ?」

ユウキ「さあ・・・疲れてるんじゃないかな?」

珈琲「たしかに疲れてるよ・・・主に君たちのせいで・・・」

カエデ・ユウキ「??」

珈琲「うん、知ってた。理解されないなんて」


カエデ「それにしてもようやく投稿か・・・」

ユウキ「イラスト描いてたから遅れたの?」

珈琲「ううん、イラストのほうはSAO編が完結する前に描き終わってたんだけど・・・」

ユウキ「だけど?」

珈琲「ほかの人の作品を読むのに徹してました!反省はしている。後悔はしていない」

カエデ「つまりさぼっていたと?」

珈琲「そんなことない!ほかの作品を読んで勉強してたっていうかなんというか・・・」

ユウキ「カエデ、これは・・・」

カエデ「うん、お仕置き部屋確定だな」

珈琲「なに、その新システム!?聞いてないよ!?」

ユウキ「大丈夫だよっ」ニッコリ

珈琲「ユウキさん・・・」

カエデ「絶対に痛くないから」ニッコリ

珈琲「嘘だ!やだ!死にたくない!!誰か助けて!」

カエデ・ユウキ「一名様ご案内しま~す!」

珈琲「いやだぁぁぁああああ!!」


ほんと更新が遅れて申し訳ありません!次回はもうちょっと速度を上げれるようにします。
それでは次回またお会いしましょう!

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