ネギまじゃなくてこっちを更新した理由は、活動報告(多分)に書くのでそちらを確認してただければ。
────────アリストテレス。
現代と呼ばれる時代から遥か未来に、星の死と共に現れた人類を絶滅させた存在。
正体も生態も明らかになっていないが、星に住む人間種や亜麗百種たちからは便宜上、とある哲学者から名前をとって『アリストテレス』と呼称されている。
その正体は、他天体という異常識の生態系における唯一最強の一体『
星の意思の代弁者であり、その星全ての生命体を殲滅できる能力を有する。
それぞれ『タイプ』の頭文字を天体名に冠しているのが特徴だ。
ソレがやって来る切っ掛けとなるのは、自らの死の上でなお生存する生命体に恐怖を覚えた地球が死に際に発した「どうか、いまだ存命する生命種を絶滅させて欲しい」というSOSを星が受信したこと。
彼等には死という概念がなく、故に『直死の魔眼』は通じず、物理的に破壊されない限り活動停止することはない。
その中で『約束の時』より早く地球に飛来したのは二体。
一体目は、純粋にタイムスケジュールを間違えた、後に死徒二十七祖の第五位を瞬殺、捕食したことからその序列を受け継ぐ水星のアルテミット・ワン。
ランスロット曰く、地球上で最も働いて欲しくないヒッキー。
通称『ドジッ蜘蛛』。
まぁ、コレはそもそも本当は地球の発したSOS信号を受け取る最強種では無いという説も有るのだが、今は関係無いので省こう。
二体目は地球が人間の誕生に不安を覚えた時、その意思を受信して地球を守るためという名目で地球に降り立って協力を持ちかけたアリストテレス。
無となった
それが朱い月のブリュンスタッド。
星の最強種
鼠が猫に、天敵に遭遇した。という訳ではなかった。
そんなレベルではなく、蟻が恐竜に遭遇した。そんな次元のお話。
圧倒的なまでの生命としてのレベルの差。
象ならば蟻が群れれば倒せるだろう。
しかし蟻がどれだけ足掻いても、恐竜には勝てない。
絶望的なまでの死のイメージを叩き込まれる。
誰も、動けなかった。
指先を動かす関節の音すら、瞬きの立てる音すら怖れた。
心臓ですら、止まってくれと願った。
────────悠然と朱い月へ進む、ランスロットを除いて。
「────そう易々とッ!」
「主の前に立てると思うなッ!!」
その様子が不敬だと、巨大過ぎる怪烏と魔を従える神子がその行く手を阻んだ。
しかし、黒騎士は歩みを止めることもなく、
「邪魔」
その一言と共に、全長数キロの怪烏は一振りで巨体ごとその片翼を切り裂かれる。
「ゴガッ……!」
「ッ……!!? 空の王者!」
「遅い」
一騎打ちに特化した解放の具現、四大魔獣のうちの一体。
あらゆる動物たちの集合体。空を泳ぐ獣の王様はその姿を顕現すること無く、メレムはその体の斜めに咲いた血飛沫と共に崩れ落ちた。
「クッ……ソ……!」
「化、物が………」
戦場を蹂躙した二人の怪物は、たった数秒で敗北した。
「メレム……グランスルグ……!」
強すぎる。
心の中でそう呟き、呆然としながら二人の名を呼ぶトラフィム。
メレムは血溜まりに倒れ伏し、グランスルグは姿を半人半烏に戻し、両腕を切り落とされながら胸を切り裂かれていた。
神秘を否定するランスロットの刃を受けながら生きているのは、ランスロットがこの場からの退場を優先させたからか、もしくは奇跡か。
そもそも眼中に無かったか。
「クッ……」
遥か未来の現代ならば兎も角、トラフィムは死徒としての戦闘能力は最古参に恥じないものだが、あくまで死徒。
一度文字通り一蹴され、更に武闘派であるメレム達が一瞬の内に文字通り瞬殺される様をまざまざと見せられ、ランスロットに挑む蛮勇は持ち合わせていなかった。
「────素晴らしい」
そんな臣下を尻目に、朱い月は喜色の声をあげた。
「へ、陛下ッ」
「善いトラフィム、許す。二人を連れて下がれ。汝等ではアレの相手は辛かろうて」
「なッ!? しかしそれはッ」
「────二度は言わぬ」
「ッ……!!」
有無を言わさぬ絶対者の命令に、トラフィムは頭を下げて即座に二人を回収して姿を消す。
ソレを追える者は、追おうと思える者は誰も居なかった。
例え一歩たりとも動けずとも、ただ目の前の理解不能の何かから眼を離すのを恐れた。
そして、その何かはランスロットだけを見る。
「星の排斥対象である汝は、云わば有り得たかもしれぬ私だ。ヒトの身でその境地まで辿り着ける者などそうは居るまい。私が許す、名乗るがいい」
「……ランスロット。ランスロット・デュ・ラック」
「ランスロット……うむ。星に抗う者の名、しかと刻み付けた。では戯れようか、ランスロット」
その、人外の美しさを持つ一見人にも見える怪物との会話が成立する。
ソレだけで、周囲の騎士達はランスロットを紛れもない英雄だと誉め称えるだろう。
ソレだけの圧力が、自然体の朱い月から放たれていた。
「────────しかし、ふむ……」
そして王者は、その虹色の双眸で周りを睥睨する。
「少し雑多が過ぎるか」
周囲に群がる蟻を鬱陶しいと思う巨竜の心理。
朱い月の心境を例えるならソレだった。
美しい掌を掲げ、一言呟く。
その迫り来る脅威に気付けたのは、直感が極めて優れたアルトリアとモードレッド、そしてランスロットだけだった。
「ッ!! 皆逃げッ────」
「────────『廻れ』」
真祖の中でも、後に『ブリュンスタッド』を名乗れる者だけが扱える、空想通りに自然を変貌させる能力『
『────────ッ!!!!!?』
その原型たる、鏡像によって星を侵食する月の王の御業。
ソレが『風速数百メートルの神秘を纏う暴風』として、戦場を蹂躙した。
◆◆◆
天を突かんばかりの高さの竜巻は、しかし中心点から放たれた斬撃によって消し飛ばされる。
「ククク……」
「……チッ」
朱い月は当然として、朱い月に最も近かったランスロットも無傷ではいるものの、ソレ以外の被害は甚大だった。
朱い月によって齎された暴風はブリテン島を易々と呑み込み、猛威を振るった。
台風の目ともいえる場所に立っていた二人は兎も角、戦場は目も当てられない惨状になっていた。
壊滅という表現が正しいだろう。
唯一健在なのは、評価規格外である護りの
英雄たる円卓達は辛うじて堪えたが、騎士は軒並み全滅だ。
何よりの問題が、朱い月にとって今のが戯れの一撃に過ぎないこと。そうなれば、円卓といえど保たない。
「良い、よくぞ耐えた。誉めてつかわす」
朱い月にあるのは、純粋な賞賛。しかしソレは圧倒的強者だからこその物。
「────────な、め、てんじゃねぇッぞっっっ!!!」
そんな朱い月に、全身装甲のお蔭である程度ダメージが軽いモードレッドの、赤雷が食らい付く。
「ほぅ」
ソレを、朱い月は腕を振るって弾き飛ばした。
腕を振るう余波ですら、満身創痍の騎士達には強烈なものだった。
「チィ!?」
「見所のあるのは解るが、今人形遊びに興じる気は無いのでな」
断頭台の刃のように、振り上げられたもう片方の腕がモードレッドの命を刈り取る前に、ランスロットが腕を弾きその一撃を防ぐ。
「!」
「ら、ランスロット」
「下がれモードレッド」
「で、でも────ッ!?」
ランスロットの言葉に戸惑うも、ランスロットの刀がモードレッドの意識のみを刈り取る。
気を失ったモードレッドを抱えてランスロットは跳び、アルトリアに預けた。
「アルトリア、退け。奴は俺が相手をする」
「なッ────!?」
無茶だと思った。アレはコレまでのあらゆる生き物を超越している絶対強者。
幾ら常勝無敗のランスロットと言えど、戦う土俵が違うのではないか。そう思わざる得なかった。
「何も無駄死にするつもりはない。一度下がり傷を癒せ。特に、ガウェインは直ぐにだ。アレは国に必要だろう」
「しかしッ」
「お前は王だ。ならば、王として優先すべきものを見失うな」
「ッ」
この場にいるのはアルトリアとモードレッド、ランスロットだけではない。生き残った円卓や残り少ない兵は、もうこれ以上戦えない。
この場に残っても、確実に死んでしまうだろう。
ならば、王としてやるべき事は一つ。
「……必ず、必ず戻ってくる。それまで耐えてくれ!」
苦虫を噛み潰した様な表情で、騎士達を率いて退いた。
彼女の事だ、全ての兵を避難させたら、一人でも来るだろう。
ランスロットは、その前に決着を付けると決めた。
「すまん、待たせた」
「善い、許す。余計なものがいれば汝も集中出来ぬだろう。ソレは私の望むところではない」
朱い月がその白い手を振り上げ、ランスロットが居合いを構え、
「いざ」
「戯れようか」
────────両者は激突し、天が割れた。
◆◆◆
叩き付けられた朱い月の腕を受け流すように体を捻り、そのまま朱い月の腕へ滑らすようにランスロットはアロンダイトを引き抜いた。
刀とは、引くことによって人を斬る武器。
ソレだけならば単純だが、ソレを音の何十倍もの速度で行われれば話は違う。
何より驚異なのは、ランスロットの剣速は朱い月の挙動より遥かに速かった。
「おぉ」
朱い月の腕から、鮮血が舞った。
しかし、その傷はかなり浅い。
「成る程、傷がすぐ治らぬ。私でコレなのだ、トラフィムらが汝に勝てぬのは必然か」
そう感想を述べながら、朱い月が飛翔する。
「『轟け』」
「!」
生じるのは爆音による、全方位への衝撃波。
人の肉体を容易く粉砕する不可避の音の壁を、
「
一太刀で切り払う。
音の壁がランスロットの場所のみ割けて、周囲を蹂躙していくも、ランスロットはそれに気を取られている暇は無い。
切り開いた衝撃波の向こうから、朱い月が翔んできた。
「ふはははッ!!」
「ッ!」
その拳を紙一重で躱すも、地面と共にランスロットを吹き飛ばした。
「『奔れ』」
空中ならば避けられまいと、エクスカリバーに匹敵する極光という形で、力の奔流がランスロットを襲う。
だが、
「……なんだ、空を歩く術を持っていたのか。汝は」
ランスロットは地面と同じように、一瞬で虚空を踏み込んで極光を切り裂いた。
そしてランスロットは、空中を踏みつけ当たり前の様に空に立っていた。
「俺は湖の精霊より、水上を走れる加護を得ている。そして水分は大気に満ちているのだから、大気を歩けるのは当然だろう」
────────その理屈はおかしい。
同じく湖の精霊────ヴィヴィアンより同じ水上歩行の加護を得ているアルトリアは、必ずこう答えるだろう。
アルトリアはそんなことは出来ないし、しようとも思わない。
その異常さを、勿論朱い月は理解した。
理解して、笑いが止まらなかった。
「ははははははははッッ!!!! そうであったな! 星に畏れられるのだ、それぐらいやって貰わねばな! 愉快愉快。いやはやどうして、中々に堪能させてくれるではないか!!」
「そうか」
漸く笑いが治まった朱い月は、美しすぎるその髪を一本引き抜き、剣に変えた。
「だが足りぬ。汝はその程度では無かろう?」
「……」
それから両者は再び激突し、天地を揺らす。
戦いはまだまだ加速するのみ。
朱い月は万象を操り、怪物の膂力で星を震わせ、ランスロットはその総てを切り伏せる。
拮抗している両者だが、しかし徐々にランスロットは押され始めた。
幾ら剣速と剣技が神域に達していようとも、肉体は人類の域を越えない。
どれだけ負担を最少最低限に抑えても、朱い月の力は英雄の肉体を容易く上回り、足元すら見せることを許さない。
生き物としての
だからこそ朱い月はランスロットを賞賛する。
ヒトの身で、よくぞここまで練り上げた、と。
戦場を戦いの余波で更に変貌させながら、ランスロットは追い詰められていた。
◆◆◆
────公式ラスボス強すぎワロタ。
なんやねんコレ、出演する作品間違ってるって絶対。
宝石のお爺ちゃんどないしてコレに勝ったんだよ。
うん、チート武器持ってましたねあの人。
俺のアロンダイト、対人宝具よ? ビームも出ないし無制限のエネルギー供給も無いでゲス。
彼方さんめっちゃニヤニヤしてるし、メッチャ楽しそうだし。
何で俺だけ辛い目に遭わなくちゃいけないんだ(キレ気味)
メッチャ光ってる髪メッチャ逆立ってるし。よく聞けばべーさまボイスに聴こえないこともないし。
ロンギヌスとか持ち出したらマジでキレるぞオイ。神座シリーズに帰れよ。
水銀補正は無いし発狂するレベルの渇望も持っとりません。内なる虚も居ねぇ。
なんかピンチになったらパワーアップしそうな気もするけども、一向にその予兆は見えず。
俺ができるのも剣振るだけだスィ?
使うしかないから使うけど、コレ使うと厨二病再発するから嫌なんだよねぇ。
でも、仕方ねぇか。
────────界王拳、四倍だ。
◆◆◆
「これは────────」
その変化に、朱い月は直ぐ様気付いた。
アロンダイトの黒い刀身を見せ付けるように添え、その枷を外す。
「────
ランスロットの解号と共に、アロンダイトの漆黒の刀身が淡く光る。
常闇に輝くアロンダイトを持ち、ランスロットは構えた。
その変化は、劇的だった。
「────」
朱い月がふと胸を見ると、ソコには一筋の傷と血飛沫が噴き出している。
今までと違い、決して浅くない傷だ。
「ッ!」
驚愕に思考を染めながらも、朱い月は前に出て力を振るう。
出なければ首を落とされていただろうからだ。
見えないランスロットの剣と、朱い月の力が激突する。
「――――――くくくくくッ」
髪で形作った剣も、影もなく斬り落とされる。
同時に、肩や足から血が噴き出す。
「ははハははははハはははッッッ!!!! 見えぬ! 見えんぞ!! この私が! まるで見えんッ! 私が戯れる余裕が無いなど初めてだ!」
────────神秘とは、ソレを重ねる毎にその強度を増していく。
例えば概念武装。
能力や機能が全く同じ概念武装でも、積み重ねた神秘の強度が違えば自ずとその性能には差が出てくる。
ソレと同じだ。
アロンダイトは正史と違い膨大な神秘を取り込み続け、その強度を上げていた。
神秘、具体的に言うと神秘そのものである真祖を屠り続け、その強度と性能を大幅に上げていたのだ。
先ずは一つ。
新たに付与した力は、神秘を否定する『異形の毒』。
復元呪詛は意味を成さず、仮に端末を操っているに過ぎずとも、肉の一つであり魂が繋がって人の姿をとっていれば、強制的に人としての、生き物としての死を押し付ける。
「俺が斬ったんだから死ね」と、自分勝手過ぎる意思の押し付けを成す、理屈も道理も無視した反則のソレ。
尤もコレはアロンダイトの特性というよりランスロットの特性の様なもので、アロンダイトだけの特性とは言い難いのだが。
そして二つ目は、性能面の変化。
本来────全てのパラメーターを1ランク上昇させ、また、全てのST判定で成功率を二倍にする────という性能を、ランク上昇値を四倍に。ST判定は八倍という数値を叩き出していた。
唯でさえ人知未踏の剣速剣技を持ち、個として最強の英雄たるヘラクレスと同等以上のステータス────つまりは大半がAランクを超えるランスロット。
それがアロンダイトの補助を受け、その内の一つは
地上の何者よりも強く、月の王たる朱い月と並ぶ強さ。
何故星が朱い月にランスロットの排斥を頼んだのか。その理由はここに有るのかもしれない。
アリストテレスは全ての星に連動し、星の代弁者だ。寧ろそうでなければならない。
地球上でソレ等を兼ね備える存在こそ、アルテミット・ワンの失敗作たる真祖だ。
しかしランスロットはどうだ。
真祖を容易く蹴散らし、アルテミット・ワンたる朱い月相手にまともに戦っている。
星はこう思っただろう。
これではまるで────────
────────ランスロットこそが
戦いは終幕へと進む。
終わりは、すぐそこまでやって来ていた。
しかしその終わりは、朱い月もアルトリアも望まない結果であると。
その時は誰も知らなかったが────────
らんすろ「一体何時から――――無毀なる湖光を使っていると錯覚していた――――?」
というわけで対朱い月戦前編でした。
星がらんすろを排斥対象にした最大の理由は、星に属さない最強種というどこぞのドジッ蜘蛛(不確定)みたいにいう事聞かない最強種に成っちゃうかも。という懸念からのものでした。
必死こいて最強種作ろうと頑張ってるのにこんなん出てきたら釘撃ちたくもなるかもですね。
感想で朱い月が獣殿っぽいって言うもんだから、外見イメージが獣殿で固まってしまった……。
性格は崇神魔縁と獣殿と更木剣八を足して割った感じを思い描いて今回は書きました。
ちなみにらんすろの現段階のステータス(白目)はだいたいこんな感じです。
筋力B耐久B敏捷EX魔力C幸運B+宝具A++
↓無毀なる湖光使用時
筋力A+++耐久A+++敏捷★(表記不可)魔力A++幸運EX宝具A++
保有スキル:剣技:EX、精霊の加護:A、無窮の武練:A+、異形の毒:EX、圏境(偽):A、自己暗示:EX、心眼(偽):A、信仰の加護(偽):A+++、宗和の心得:B、直感:A
なぁにこれ。
まあ、こんなけしないと朱い月とは戦えないって考えて頂ければ。
修正点は随時修正します。
返信遅れるかもですが、感想待ってまする(*´ω`*)
異形の毒の描写を加筆修正しますた。申し訳ありませぬ(;´д`)
ステータスを更新修正しました。