沢山の評価と感想有難うございます。
ただ、感想量が本当に多いので、これからはちょびちょびしか返信しない方向で行きます。
数多くの感想、本当に有難う御座います。
今回はモードレッド回。
───忌々しい夢を、視た。
母が、今となっては死体となって何処ぞで果てているであろう忌々しい母が、幼い、何も知らなかった幼い自分に
“私の愛しい息子よ。貴方は騎士となり、王を倒しなさい。私の息子である貴方には王位を継承する資格がある”──────と、オレが王をどんな風に見ていたかまるで理解せず雑音を垂れ流している。
不可能だ、と思った。
だって母に連れられ物陰から観た王は、美しいくらいに完璧だった。
裁定も、戦術も、何もかもが完璧過ぎるほど完璧だった。
──────その仕える騎士も。
だから■■ことは諦めた。
せめて騎士として憧れようとして、しかし憧れたのは違う者だった。
騎士王と称される王だが、やはり王としての気質があるのか、オレは王に仕える、王を更なる至高に押し上げた黒い騎士に憧れた。王になるのを諦めた故に。
勿論、王に憧れてもいる。
成る程、王は騎士を統べる長。
しかし黒騎士は騎士の頂にいる。
信じられないことに、黒騎士本人は自分が騎士をしていること自体が幸運と迄自身を卑下している。
謙遜にしても過ぎるが、しかしオレは不思議と美徳に感じた。
礼節を守り、国を護り、王を支え、外敵を討ち滅ぼす。
彼以上の騎士は考えられなかった。
やがて、人造生命のホムンクルスであるが故に瞬く間に成長したオレには兜が与えられた。
自分の顔を知る者が見れば、全てが破綻する、と。
そう母に言いくるめられ仮面を被ったオレは、ソレでも尚剣技と騎士道精神は完璧で。
だから、オレは王から剣を賜り騎士となった。
末席とはいえ、それでも憧れの王や騎士と同じ円卓の席につく資格は与えられたのだ。
母の弄した姦計など知らんと言うように、オレは王に仕え彼と共に王の敵を退けた。
そんなオレに業を煮やした母により、己の出生が明らかになった。
この
歓喜したオレは、全てを王に語った。その場に二人の騎士が居たが、彼等にも聞いて欲しかったのかもしれない。
己がアーサー王の後継に相応しい理由を、全て語り──────それでも、王はいつもと変わらぬ冷淡な態度で告げた。
「────なるほど、姉の奸計とはいえ確かに貴公は私から生まれたもの。だが、私は貴公を息子とは認めぬし、王位を与えるつもりもない」
「ッ────」
“息子として認めない”。
その言葉が、深く深くオレに突き刺さり────
パァン! と、あの王の頭が
「──────な」
恐らく、王と被ったその驚愕の声。
呆然した。
己の目は当然疑い、現実を疑った。
叩いた手は二つ。
一つは王の義兄のサー・ケイ
前回の蛮族の侵略の際に負傷し、前線を退いたものの、その智計は健在。
もう一人は──────
「失礼するモードレッド、少々時間が欲しい」
円卓最古参の一人で、唯一戦場で鎧を纏わずに返り血すら浴びず敵を討ち倒す、円卓最高の剣。
こと戦いにおいては王すら凌ぐ一騎当千、無敵無双のブリテン最強の騎士。
反乱も同時に起こった先の二度目の大規模蛮族侵攻を、たった一人で殲滅した武神。
王を更に完璧以上に輝かせる者。
王として憧れたアーサー王と違い、オレが騎士として憧れた男。
湖の騎士、サー・ランスロット。
王はサー・ケイに玉座の奥に連れられて行った。
「何をする、サー・ケイ!?」
「何をするだぁ? テメェこそ何をしたか分かってんかオラ。成る程、確かにアレは不義で人道すら叛いた出自であることは確かだ。オマエに責任どうこう言うのは筋違いだろう。だがどんな事情があろうがアイツのツラ見りゃオマエ血ィ引いてんのは確かだろうが。それで今の対応たぁ、反逆してくださいッつってんのと同じだろうがボケ」
「い、いや。しかし」
「しかし何だ、あ? モルガンのクソの思い通りに、オマエへの反感が生まれることをホイホイやってんじゃねぇよ」
「ぐっ、うぅ……」
奥から聞こえる声は、王と臣下のそれではなく、兄弟の会話、という説教だった。
呆気に取られた。思考が停止すらした。
幾ら義兄弟と言えど、不敬極まりない。おそらく、この場に王と自分、ランスロットしか居ないからこその行動なんだろうが。
しかし目の前の騎士は、満足げにしていた。
混乱の極みに達していた俺を世界に戻したのは、オレの考えを完全に否定する言葉だった。
「モードレッド、完璧な存在など居はしない。それは王であろうと例外ではない」
何をバカな、王は完璧だ。
勇ましく、冷徹で、穏健で、鋼鉄である、完璧過ぎる故に王に仇なした者すら居たというのに。
しかし、恐らく誰よりも王を知っている男は否定した。
「それはお前が、王のことを何一つ知らないからだ」
お前は知っているか?
王の好む剣の型を。
王の好む指揮の型を。
王の好む憩いの場を。
王の好きな料理や食材を。
何も、知らない。
何一つ、オレは王の内面を知らなかったのだと、そう宣告された。
「今すぐに親子として接することは出来ないだろう。それを行うには事情が複雑すぎる。だが少しずつ、少しずつ距離を近付ける努力をしろ。少しずつ、王を知ることがお前に必要な事だ」
彼は幼子に接するように、オレの目に視線を合わせる様に屈み、兜を脱いでいるオレの頭にその手を乗せて撫でた。
常に兜を被っている俺にとって、初めての体験だった。
「モードレッド、円卓とは何だ?」
上座下座のない円卓が用いられたのは、王が卓を囲む者すべてが対等であるとの考え方からである。
つまり円卓の騎士とは──────王と対等であるという事。
彼は言う。
王とて人だ。失敗もすれば間違いもする。そう王自身が考えたからこそ作られたのが円卓なのだと。
「故に我々は、場合によってその命を賭してでも王に諫言しなければならない。でなければ王は人ではなくなる。王ですら無くなる。それは一種の舞台装置に過ぎん。民を治める王は、民を幸せにする以前に、自らを幸せにしなければならん。お前も王を志すなら覚えておけ」
そしてその言葉を、オレは死しても忘れない。
「──────自分を幸せに出来ない奴が、誰かを幸せに出来ると思うな。王を目指すならまず、自らの幸せを掴める様になってからにしろ」
ホムンクルスであり、故に寿命が他者と比べ短いオレに、それでも幸せになれと。
オレの幸せとは何だ?
王位を継ぐことか?
否、それはオレにとって夢であり、ある種義務だとも感じている。
王の息子として生まれたからには、それはオレが遣らねばならない義務だ。それに幸せを想像できない。
そもそも幸せを想像することすら出来ない。
何故なら王の円卓の末席に名を列ねていた今こそ、幸福を感じていたのだから。
故に問うた。彼にとっての幸せとは何かを。
それを聞けば、己の更なる幸せを見出だせるのではないかと──────
「……結婚して子供を作って子供より早くに死ぬこと、か?」
思わず笑ってしまった。
円卓最強の騎士の夢が、あまりにありふれていたことを。
そしてそれでいいとも思った。
同時にオレは、この騎士こそに幸福を見出だせるのではないかと──────
時が経つにつれ、それは確信に変わる。
彼と剣を交えるのが好きだ。
彼と戦場で背中を合わせるのが好きだ。
彼と共に歩くのが好きだ。
彼の料理を食べるのが好きだ。
自分が王になり、彼を自分の騎士に出来ると思うと、頬が緩む。
そして気付く。彼と共にあることに、幸せを感じるようになって居たことに。
──────しかしその幸福は、三度目の蛮族の侵略で全て終わった。
王の命令で殿を務めた彼は、もう二度とブリテンに戻ってこなかった──────。
◆◆◆
(-.-)月(´Д`)日
襲い掛かってくる
その一度目の侵略は、正直俺にとって大したことはなかった。
どれだけ数を増やそうが、構成される軍のメンバーが死徒や真祖の混成部隊のみなら、文字通り一蹴できる。
サッカーしようぜ! お前ボールな!!
だが問題は、ブリテン各地に複数の群体で襲ってきたのだ。
流石にニンジャではないので、分身出来ない。
取り敢えず全速力で殲滅していた時、何かに見られている感覚に襲われる。
例えるならエロ動画を観ている時に感じる悪寒!
ストーカーに追われる時に感じる視線ッ!
女性が局部を男にガン見されているような感覚ッ!!
……いや、最後のは野郎なんで自分は解らんのですけど。
鬱陶しいがネタに走れる機会に、俺は万感の思いで叫んだ。
──────貴様、見ているなッ!!
戦場でポーズ取れないので代わりに斬撃を飛ばしておいた。
その斬撃も勿論ネタに走った。
敵は遥か上空。山を斬るときの斬撃では届かないかもしれない。
故に俺は考えた。
だったら凄い速くて超々遠距離の技を。
「『
──────1 3 キ ロ や(ドヤァ)
いや、勿論13キロも斬撃飛ばせないです。
斬撃速度もマッハ500には及ばない。
しかしキッチリ手応えを感じた。
……鳥さんだったらごめんなさい。
それきり視線を感じなくなったので、俺はそのまま死徒を全滅し、治療部隊以外の率いていた部隊を帰らせて、他の戦場へ向かった。
(;・ω・)月(*≧∀≦*)日
良いニュースと悪いニュースがある。
今回のBANZOKU侵略の際にケイの兄貴が負傷し、前線を退いた。
それに被害も大きい。
まぁあの人、どう見ても話術サイドの人間だから仕方無いんだけど。
日常生活や文官としての仕事には支障がないから、不幸中の幸いだろう。
そして吉報。
なんとモードレッドが円卓入りした!
アレは見事な俺ッ子ツンデレだ。
アレだね。アルに向ける視線がキラキラしてるね。デレ期だね。
デレツンとは此れ如何に。
しかし俺は、彼女の出生がブラックすぐる事を知っている。
姉が女のアルトリア嬢を魔術で一時的に男にして造ったホムンクルスとか。
彼女の母親のモルガンは、なんでも王位が欲しいのが犯行目的なんだと。
そんでもって史実ではアルトリア嬢は血縁関係否定するし、不憫すぎる。
下手したら十歳位なんだよねあの娘。
という事でメンタルカウンセリングを俺がしているのだが、現在モードレッド嬢に関してはアルを随分尊敬している。
アレだ、『コイツを馬鹿にして良いのは俺だけだ』みたいな感じのデレだ。
べシータ?
可愛いねコレ。何て言うか、野生の狼? 獅子? 猫だね。
なので稽古に付き合ったげたり、ご飯作ってあげた。
麦ご飯と牛肉の角煮。
お蔭で唯でさえ黒い服装に、更に黒い外套で顔を隠して極秘の村に行くのに慣れてしまった。
ちなみにこの極秘の村とは、フランスの生まれ育った湖近くに作ったもの。
此処に住んでいる人間は、先の大規模侵攻でどうしても犠牲にしなければならなかった村人達だ。
以前は一人用だったのでソレほど広い生産地は必要無かったが、蛮族侵攻が始まってからアル、ギネヴィア王妃、モードレッド、ケイの兄貴と食べる人数が増えてしまったのと食糧問題がシャレにならなくなったので人手を投入して拡大。村にしたのだ。
そこで起用したのが上記の村人達だったわけだ。
そしてやはり親子か、モードレッドの餌付けに成功した。
しかしアルが拗ねてしまった。
子供かッ! と思いながら、やはり親子だと感じながら交互に稽古に付き合った。
結論、この親子べらぼうに可愛い。
ε=ε=(((((((( *・`ω・)っ月( ′Д`)┌┛)`д) ;∴日
二度目の蛮族侵攻。
尤も、小競り合いは結構あり、大規模な侵攻が二度目というだけなのだが。
そしてなんと、それに乗じてアルや円卓に明らさまに不満タラタラだった連中が一斉蜂起した。
どうすんべ、と思ったが、今回吸血鬼連中は群体を分散しておらず、軍隊みたいに悠々と侵攻している。
と言うことで俺一人が凸って吸血鬼の相手をし、残りは反逆者を狩りに行って貰いましたよっと。
反逆者との戦いはあんまり知らないが、今回死徒やグールだけじゃなくて、真祖もいた。
何より少し毛色の違う奴が一人。
白髪の貴族っぽいウザいのがドヤ顔晒していたので、取り敢えず全力で潰しに行きました。
顔面をサッカーボールに見立てて執拗に、
ふざけすぎたのか、残念ながら逃げられたけども。
ちくせう。怒られるのやだなぁ。
( ̄^ ̄)月(ノ-_-)ノ~┻━┻日
モードレッドが自分の父親? がアルだと知り、俺とアル、ケイの兄貴の前で素顔を見せながらその事を告げた。
そして史実通り、アルはモードレッドを息子と認めなかった。
──────横合いから思い切り殴り付ける!
横に侍っていた俺とケイの兄貴がアルを叩いた。
そんな子に育てた覚えはありませんぞ!
まぁ、俺の言いたいこと全部ケイの兄貴がSEKKYOUしてくれたからエエねんけども。
その間にモードレッドにフォローを入れる。
願わくば、この親子が笑っていられる結末が欲しい。
「嫁さん貰って子供作って死にたい」という俺の夢が、モードレッドに笑われた。
俺が落ち込んだのは、言うまでもない。
言うまでも、ないッ!
オカン最強説。
BANZOKU侵攻で円卓でケイ以外にも数人脱落者が出るくらいには苦労しています。
でも一番の解決方法は一人ランスロットを凸らせること(白目)
やられた方々は次回に分割した閑話で出ます。
ちなみにランスロットの外見イメージは「PandoraHearts」のオズワルド=バスカヴィル。
描いてみたのがこんなん。
【挿絵表示】
ケイ兄さんの口調を修正。こんな感じかな?
修正点は随時修正します。
感想待ってまする(*´ω`*)