湖の求道者   作:たけのこの里派

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今回と次回は短い。

いつもの半分しか文字数がありませんが、キリの良い所で分割するとこうなりました。


らんすろ日記02

 ――――――――――その男は生まれながらの強者だった。

 

 星という絶対者により産み出され、人間を律するために生み出した『自然との調停者』。『星の触覚』。

 精霊の一種として誕生した男は、俗に魔王と呼ばれる存在に成り果てた。

 

 律する対象である人間の血を吸いたいと欲する「吸血衝動」と呼ばれる唯一の欠陥によって。

 

 その吸血衝動に負け、血を吸った堕ちた真祖───魔王に成り果てたのだ。

 欲望のまま、無差別に人の血を吸う。力の抑制から解き放たれ、本来吸血衝動を抑えるための力を解放し、真祖として全力を発揮できるようになっており、勿論人間では太刀打ちできず同じ真祖でも吸血衝動に縛られていては対応できないほどの強大さを存分に振るった。

 

 男はそんな魔王の内の一人だった。

 街を幾つも襲い、一人残らず血を啜り、幾百幾千もの死者を、元々人であった者が真祖もしくは他の死徒に噛まれ吸血されたことで変異した吸血鬼───死徒を生み出した。

 それは最早軍勢であり、勢力だ。

 この時こそ、男にとって絶頂だった――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 「何だ! 何なのだ貴様はッ!!?」

 

 ─────────フラりと、黒刀を携えた剣士が現れるまで。

 

 

 

 

 

 その真祖の男が居城にしていた街に訪れ、当然生者に反応した死者に襲われ、蹴散らしていく。

 そして男は歩みを進め、また反応した死者が一人残らず斬り殺される。

 死屍累々。死体の軍勢をまるで薄氷を叩き割るかの様に、容易に皆殺しにする。

 淡々と、無表情を張り付けて。

 

 

 『―――――感染拡大は阻止せねばならん』

 

 

 死徒達はついぞ理解出来なかったが、そう言いながらそれの繰り返しが三十を超えた辺りで真祖の男に辿り着き、そして全能感に酔いしれていた真祖の男は、何時ものように男を惨殺しようとし──────こうして、悲鳴をあげている。

 

 「あり得ない……あり得ないィッ」

 

 どうして自分は這いつくばっている?

 どうして人間(ムシケラ)風情が真祖である自分を見下している?

 

 「真祖だぞ!? 貴様らムシケラを支配する絶対者だ! ソレをッ、何故貴様のような……ッッ!」

 

 到底受け入れられる現実ではない。何かの間違いだ。

 しかし目の前の悪夢は何一つ変わらずソコにある。

 

 「お前が大将か? 大将だな。大将だろう」

 「わ、ワタシは真祖のッ……」

 

 真祖の動体視力でも視認困難な刃が、断末魔と共に煌めいた。

 

 

 

 

 

 

 

 「────────────首置いてけ」

 

 

 

 

 

 

 今思えば、これが唯でさえ逸脱していたランスロットを、彼処まで変質させてしまう出来事の始まりだったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

£月ゑ日

 

 村々を巡り、ならず者退治をしながら生活を続けている内に、又もや世界観がブチ壊される出来事に遭遇した。

 大きな街が丸ごとラクーンシティみたいな状況だったのだ。

 

 そんなバイオ災害的事件に巻き込まれたのだが、翌々考えてみればバトル漫画の住民がゾンビ程度に臆するだろうか?

 

 結果として、ゾンビ諸君を縦に両断して全滅に追い込んだ。

 悪いが、Tウイルスを拡散させると人類が世紀末に突入してしまう。ここは皆殺ししなければならないのだ。

 

 そして最後に知ったことなのだが、彼らゾンビはゾンビと云うよりも食屍鬼(グール)という死体らしい。まぁどっちにしてもゾンビなのだが。

 重要なのは、感染源がTウイルスではなく吸血鬼だということだった。

 

 吸血鬼が存在していたこと自体は驚かなかった。本来はアーカードの旦那ことヴラド公爵が現代の吸血鬼のイメージモデルなのだが、俺自身がネトリ騎士やってて精霊に育てられた者としてはそれぐらいの差異はスルー出来る。

 

 問題なのが、俺が細切れにした吸血鬼が真祖を自称していたことである。

 

 真祖。つまりは吸血鬼の始まりであり、咬まれる以外の方法で為った、基本的に最強の存在である。

 

 例えるならアーカードの旦那。

 エターナルロリータのエヴァにゃん。

 そしてアーパー吸血鬼である。

 旦那とエターナルロリータは、世界でも唯一にして最強の称号を持つリアルチート。

 武者修行中の若僧が無傷で勝てる相手ではない。

 

 ならばアーパー吸血鬼だ。

 型月世界の設定では真祖は月の王さまを参考にした星の最強生命体の失敗作で、アーパーしてなかったアーパー吸血鬼が態々潰しにいく程多かった筈。

 

 ならばこの世界は型月世界なのか…………?

 これからは鬱陶しい吸血鬼は魔王と呼ぼう。

 型月の原作でも堕ちた真祖は魔王と呼称されてたし。

 

 

 

 

 

 

★月◆日

 

 吸血鬼マジウゼェ……。

 一人バイオハザードごっこしていたヤツをブチ殺してから、自称魔王の吸血鬼が1週間毎に大群引き連れて襲って来るのだ。

 

 お陰で最近の趣味が真祖狩りになってしまった。武者修行的にはイイのだろうが。

 アーパー吸血鬼にさっさと生まれて駆除してほしいのだが、残念ながら今は大体五世紀あたり。

 アーパー吸血鬼の成人式が現代から800年前なのを考えても、後7、800年掛かる。

 まず無理だ。

 

 というか連中、真祖にしては弱すぎるのだが。

 最近は一太刀で仕舞いとかどうなってる。アーカードの旦那並みのしぶとさを見せんかいやと述べたい。

 

 こんな様ならコッチから斬りに行ってやろうか、と考えてしまう始末だ。

 どうせなら殺した分だけパワーアップぐらいしたい。某ニートの術式は殺せば殺すほど強くなれるのだが。

 

 まぁ永劫回帰の世界とか嫌すぎだから要らんのだけど。

 

 

 

 

 

 

 

ゐ月*日

 

 ヒャッハー! 皆殺しじゃボケェッ!!

 逃げる魔王はただの魔王だァーッ! 向かってくる魔王は良く訓練された魔王だァーッ!!

 

 

 

 

 

 

 

※月£日

 

 ……最近吸血鬼を見なくなった。

 実に良いことであるのだが、しかしやることが無くなってしまった。

 用心棒の仕事も、俺の顔を見ただけで逃げる始末。全くもって武者修行になっていない。

 森を少しずつスライスするのにも飽きた。

 魔法は未だ程遠い。せめて一刀で地形が変わらねば到達には程遠い。

 TUBAMEでも探そうと思ったが、十八年近く生きてるが見ていない。雄鶏は居るのにね。

 

 遠出でもしてみようか。

 

 

 

 

 

 

 

~月Ц日

 

 徒歩で海を渡り、ブリテン島に着いた。

 アーカーシャの剣とかあったら良いな。ギアス的な、と、そんなノリでブリテン島に到着したのだが、またもや吸血鬼と速攻で遭遇した。

 

 テンションが駄々下がりになりながら、最早作業になった魔王狩りを決行。

 何やら騎士みたいな人達が襲われていたみたいで、俺がメッチャ適当に吸血鬼を殺しまくっているせいで呆然としていたが、遠目から見たパツキンのお嬢ちゃんが逸早く再起動。加勢してくれた。

 正直助かる。マゾゲーとか俺大嫌いだし、レベルアップしない作業とか本当に面倒なのだ。

 お蔭で口調がどんどん軽くなってしまう。ストレスだろうか。

 

 

 

 

£月〒日

 

 就職先が決まった。なんと俺が助けたあのパツキンのお嬢ちゃん、王様なのだと。

 その王様が是非に側近騎士になって欲しいと言ってきたのだ。 

 

 返事は勿論OK。美少女が雇い主とか最高すぐる。それにそろそろ一つの場所に落ち着きたかったのだ。良い機会だろう。

 

 

 お嬢ちゃん王様の名前は、アーサー・ペンドラゴン。

 現在領地を平定中なのだと。

 ちなみにアホ毛の様なクセ毛がある。

 

 ……………………。

 やっぱり異世界に生まれたようだ。

 

 




この時点で主人公のアレ具合を伝えられたら幸いです。
ちなみに主人公が蹴散らした真祖は並のサーヴァント二体分と考えて頂ければ。


修正点は随時修正します。
感想待ってまする(*´ω`*)


修正*
死徒二十七祖級×
並のサーヴァント二体分○

×アルトリア
アーサー・ペンドラゴン○

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